日本共産党 書記局長参議院議員
小池 晃

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2016年2月18日 厚生労働委員会 速記録

2016年02月19日

○小池晃君 日本共産党の小池晃です。
厚生労働委員会というのは、ともすれば対決、激論、強行採決というようなことが起こるんですが、少なくともこの自殺対策については、本当に党派を超えて、この間、十年前から私もこの法案作りにも関わったし、昨年ここでも議論をして、こういった形で、そして実際に法律作ったことによって自殺者の数も減ってきているという、国会がやったことが目に見える形で成果になっているという点では希有な、本当は全部こうじゃなきゃいけないと思うんですけれども、非常に大事な取組だということで議論させていただきたいというふうに思います。
自殺者、そうはいっても、減ったとはいっても二万五千四百二十七人ということで、一日七十人近くということで、非常に深刻なわけです。理由の最も多いのは健康問題ですが、二番目は経済・生活問題ということになっている。無職者が全体の半数以上を占めているというのも、これは大きな特徴ではないかと思います。
やはり、全ての人がかけがえのない個人として尊重され、生きがいや希望を持って暮らすことができるように、その妨げとなる諸要因を取り除く、これはまさに政治の責任だと言わなければいけないと思うんですね。
大臣にお聞きしますが、これは基本的な問題ですけれども、やっぱりそのために政治、行政ができることは無数にあるわけで、何よりも求められるのはやはり貧困と格差をなくし縮小していくような経済政策であり、賃上げ、安定した雇用の実現、社会保障の充実ということではないかと思うんですが、大臣の認識をお伺いしたいと思います。

○国務大臣(塩崎恭久君) 今、自殺の原因について御指摘がございました。これは確かに、警察庁の統計による複数回答のデータを御覧になってのお話ではないかというふうに思いますが、平成十九年度以降、警察庁の統計において比較可能な形で把握をしているわけでございますが、自殺者数は平成十九年の三万三千九十三人から平成二十六年の二万五千四百二十七人と二三%減少してきたこと自体は大変いい傾向ではあると思います。
この複数回答で見ますと、今お話があったとおり、健康問題が一番ということで一万四千六百八十四人から今、最近、直近では一万二千九百二十人と、これも一二%減少しておりますし、それから経済・生活問題、今先生がおっしゃった経済でありますが、これは七千三百十八人から四千百四十四人ということで四三%減少しているということで、傾向としては最近減少が、特に経済でも減ってきているということで、健康問題が原因であるという方が引き続き経済・生活問題を原因としている方の約三倍おられるということでございます。
経済・生活問題を原因とする自殺者数を減らしていくことには、御指摘のとおり、経済の発展と安定した雇用というものが、それをつくっていくことが大事だということだと私どもも考えておりますが、さらに、これは社会保障制度を通じて厳しい状況にある方にはしっかりと援助の手を差し伸べるということが重要であって、一人親家庭や生活保護に至る前の段階にある生活困窮者への相談、就労支援、こういったことを総合的な支援として提供をしっかりしていくということが大事であり、そのように取り組んでいるところでございます。
今後、厚労省としても、自殺対策が移管をされるわけでございますので、それに伴って、各省庁とも連携しながら、より自殺に関するデータを詳細に分析をし、自殺を考える方を減らすべく、様々な角度から対策を打っていきたいというふうに思っております。

○小池晃君 そこで、昨年ここでも質問した自殺未遂者あるいは未遂者家族支援問題について聞きたいんですが、自殺未遂というのは自殺の最大のリスクファクターとも言われています。つまり、未遂を経験している人は再びそういう行動に至るリスクが非常に高い。裏を返せば、自殺対策においてそうした自殺未遂者に対する対策というのが非常に重要な柱になるということだと思います。
清水参考人にお伺いしますが、一年前この委員会で決議したときに、大臣は、しっかりと、自殺未遂者支援を行うためには情報収集が大変重要だということと、それから、救急搬送データのより細かな分析、医療機関、関係省庁と連携して、そして更に情報収集、共有の強化を図って未遂者支援に取り組むと答弁されたんですね。参考人は様々自治体で関わってこられたと思うんですが、この大臣は重要だというふうに一年前おっしゃったことが実際現場では進んだというふうにお感じになりますか。

○参考人(清水康之君) 自殺未遂者支援を行うに当たって、その実態の把握が極めて重要であるということは、これは間違いないと思います。
ただ、その一方で、じゃ、そうした実態の把握が各地域で行われているか、進んだかというと、私はそれはとてもそうは思えません。自治体によっては、自殺対策の連絡会あるいは協議会などでその当該地域の消防署が部外秘という形で提供してきた自損、自殺未遂に関する情報を共有し、それを基にして対策を立てるということもあることはあるんですが、ただ、極めて例外的であって、それが全国で行われているかというと、決してそうは思いません。
ですので、あらゆる地域で自殺未遂に関する、自損に関するデータがしっかりと共有されて、その実態に基づいてそれぞれの地域で自殺未遂者支援ができるような枠組みを、これは地域の現場でつくるということは無理ですので、これはしっかりと国の方でつくっていただく必要があるんではないかというふうに思っています。

○小池晃君 一年前ここで質問したときは、厚労省としては未遂者の数は把握していませんと、総務省に聞いたら数字が出てきたというような議論があったんです。やっぱり、今あったように、まだまだその連携が不十分ではないかという指摘、大臣、どう受け止めますか。やっぱり、厚労省と総務省との間で情報を共有するための必要な枠組みというのは整備する必要があるんじゃないかと、そういう協議やっていらっしゃいますか。

○国務大臣(塩崎恭久君) 今御指摘のとおり、私の方からこの委員会で、救急搬送データを収集し活用するということが極めて大事だということを申し上げました。
内閣府では、消防庁からの情報によって、自損行為による救急車の出動件数、それから搬送人数を把握すると同時に、自損行為による救急搬送率の男女別、年代別の分析とか重症度評価を行うなどの情報の共有と連携を行ってきたというふうに理解をしております。
厚労省としても、これは内閣府から業務移管をされるわけでありますから、その後は、救急搬送データ等を含めて、今お話を申し上げたとおり、総務省と内閣府が情報共有をしていたのと同じように引き続いて連携をし、そしてこのような情報共有とか、それから更に深い分析をするということを続けていかなければならないというふうに思っておりますので、そういう中で自殺未遂者の支援をどうやるのかということも更に考えていかなければならないというふうに思っております。
基本的に、今先生がおっしゃったとおり、厚労省としても今まで以上にこういった情報を入手をして分析をし、総務省とも一緒になって対策をどう打っていくかということについて考えていかなければならないというふうに思います。

○小池晃君 かつて自殺の統計は警察が持っていたんだけど、それが出されなかったと。これはここでも問題になって、やはりそれが生かされるようになった。それで、全面的に提供されるようになった。これは地域の自殺対策を推進させる大きな力になったと私は思うんですね。やっぱりマクロのデータだけじゃなくて個別のデータも含めて、これは綿密にやっぱり連携取り合いながらやっていくことが私は非常に効果的だし、それは本当に待ったなしの課題になっているということを改めて強調したいと思うんです。
それから、自殺未遂者対策も含めて財源なんですが、これも昨年この場で質問しまして、安定的な恒久財源が必要ではないかと私言ったんですけど、そうしたら大臣は、来年度分は何とか頑張りますみたいな、そういう答弁だったんですが。来年度分、初めて当初予算として内閣府が地域自殺対策交付金を要求したわけですね。これ、確認ですが、厚労省としても再来年度分要求する際は、これは当初予算でしっかりやるとお約束いただけますか。

○国務大臣(塩崎恭久君) それは、今回、今までの補正から当初で要求するということをやったわけでありますから、当然その次も同じようにやっていくという心構えで今臨んでいるところでございます。

○小池晃君 厚労省に移管されて後退したなどということはまかり間違ってもないようにしていただかないといけないというふうに思うんですね。
それから、現場の声で、この交付金なんですけれども、もっと使い勝手を良くしてほしいという声なんですよ。負担率、これをもっと自治体の声が反映されるような仕組みにすべきなんじゃないかと。
例えば、自殺未遂者支援は、今年度はこれ重点課題だということで十分の十付けているんですね。
しかし、じゃ来年度以降はどうなるのかということはよく分からないということがあるわけですよ。
来年度分はこれ国からの補助三分の二に減らされるということになって、今年度は十分の十だったけど来年度は三分の二だと、こういう困惑が起こっております。ほかにも、対面相談、電話相談事業も、今年度は四分の三補助なのが来年度は二分の一だと。私は、こういうふうにころころ変わると、自治体としてはやってはみたもののその後ちゃんと続けられるかどうか不安になるわけで、これではいけないんじゃないかと。
自殺対策の到達点というのは自治体によって全然違うわけです。自治体によってやっぱり必要な施策というのはそれぞれ自治体ごとに違うと思うんです。だから、私は、自治体がその時々で重点課題だと位置付けるものについては、これは十分の十出す、思い切って自治体の判断でやっていけるような仕組みをつくっていく、そういう工夫が必要なのではないかというふうに思うんですが、大臣、いかがですか。

○国務大臣(塩崎恭久君) 先ほど申し上げたように、これまで地域自殺対策緊急強化交付金として補正予算でやってきたわけでありますが、来年度予算については当初から地域自殺対策強化交付金ということで、自殺対策計画策定とか、あるいは自死遺族支援といった新しい事業もこの対象に加えるということにしております。
今回の法律でもございますが、国と地方の責務、あるいは地方自治体において計画を策定するといった役割を新たに明定をするということをしていただいているわけでございまして、こういうこと
で地方自治体の役割というものも法律の中でも明記をされ、位置付けられたわけでございます。
そういうことで、私どもとして、自治体の応分の負担というものも考え、今申し上げたように交付金の対象ももちろん広げていくわけでありますが、地方自治体の応分の負担というものも法律にのっとって考え方を広めていくということで補助率を見直したわけでございまして、その結果、二十六年度の補正予算と同額の二十五億円を二十八年度の当初予算として計上して、事業規模自体は三十四億円から四十億円へ増加をさせているわけでございます。
当該交付金の運用に当たっては、地域の実情に応じた事業が実施できるように配慮をしてまいりたいと思いますし、地方公共団体にも当然それぞれに応じた事業もやっていただければというふうに思います。
地域において行われる自殺対策を継続的に実施していくことは重要な課題であることは言うまでもないわけで、今後とも、地方公共団体とともに国においても必要な予算の確保に努めてまいりたいというふうに思います。

○小池晃君 いや、だから、地域に応じた課題やっていただきたいと言いながら、最初には十分の十付けて、だんだん下げていくというやり方したら自治体は安心してできないでしょうと。やっぱりその辺はもっと思い切って、自治体が裁量を発揮できるような仕組み考えたらどうですかということなんです。

○国務大臣(塩崎恭久君) それは、先ほど申し上げたとおり、今回見直しをしたわけであって、これをまた毎年変えていくみたいなことを考えているわけでは決してないわけでございます。
やはり、法律で、国と地方公共団体合わせてそれぞれ地域で暮らす方々が自殺をされる可能性があるということをどう防ぐかということでありますので、それぞれ役割を担いながら力を合わせて自殺対策を行っていくということが大事ではないかというふうに思いますので、十分の十にすることだけが対策ということではないのではないかと。
その代わり、メニューも増やしていくということも同時にやらせていただいているわけでございます。

○小池晃君 いや、全部十分の十にしろと言っているわけじゃないんだけど、要は、自治体が自分たちの裁量で判断して後になってはしご外されるみたいな仕組みはやっぱり見直すべきだと言っているので、是非検討していただきたい。
私は、現場でそれぞれ知恵絞ってやっているんだから、それをやっぱり後押し、応援するようなことをやるのが厚労省の仕事なので、足引っ張るようなことになってはまずいでしょうということなんですよ。そこをよく考えていただきたいということであります。
遺骨収集の問題、時間来ちゃったので、済みません、じゃ、これは後日改めて質問させていただきます。
終わります。

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