日本共産党 書記局長参議院議員
小池 晃

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2016年3月15日 厚生労働委員会 速記録

2016年03月15日

○小池晃君 日本共産党の小池晃です。
 この社会福祉法は、本当に障害者、関係者の皆さん、本当に強い危惧、あるいは問題点指摘されておりまして、今日も傍聴たくさん見えておりますし、私の部屋にもたくさん反対意見のファクスが来ているんですね。私やっぱりこれは徹底的な審議で十分な時間取って議論するということは最低限必要だというふうに思っていますので、そのことをまず申し上げたいというふうに思っております。

〔委員長退席、理事羽生田俊君着席〕

 今、足立委員の取り上げた退職手当共済制度の問題について、私が聞こうと思っていたことも質問があったので、公費助成を障害者分野については廃止する理由について今大臣が御答弁されました。ただ、イコールフッティングというのであれば、障害者分野でもやっぱり福祉労働者と一般労働者の賃金格差が大きいわけですから、やっぱり労働条件のイコールフッティングこそまず最優先でやるべき課題ではないかというふうに思うんですね。
 これ衆議院の参考人質疑でも、きょうされんの参考人から、この公費助成の廃止で、人手不足が一層深刻になる、事業所の負担する退職金の掛金は三倍になる、厳しい経営強いられている社会福祉法人の中には共済契約を解除するところも出てくるだろうという、そういう意見も出ています。
 公費助成なくなると、これは法人は一人当たり十三万四千円負担しなければならないわけで、これはパートなどへの置き換えも進むことになってしまうと思うんですね。
 大臣、やっぱり福祉分野の労働者の賃上げ、待ったなしじゃないですか。そこは大臣も同じ認識なんでしょう。だとすれば、それに逆行するようなことをこれ今やっていいんでしょうか。人手不足を加速するような、現場からそういう危惧が上がっていることを何でやるんですか。大臣。

○国務大臣(塩崎恭久君) 先ほど申し上げましたけれども、この共済制度そのものは大変重要であって、今お話がありましたように、維持することが大事だということでございますが、この障害者総合支援法に関します施設、事業等については他の経営主体とのイコールフッティングの観点からということを先ほど御説明申し上げて、公費助成の廃止について御理解をお願いをしたいと、こういうことでございましたけれども、法人の運営に大きな影響を与えないように、既に入っていらっしゃる方々、これに対しては引き続き公費助成を維持をするということ、それから新規加入者に係る法人の掛金負担の増加については、制度見直し後の施設、事業の経営実態等を的確に把握した上で報酬改定を行うという、今後の課題として残っておるわけでございます。
 人材確保に当たりましては、今回の制度改正の中でも、退職手当の給付水準についてより長期加入に配慮したものに見直す、それから出産、育児、介護等の事由によって一度退職をしてその後再び被共済職員になった場合、前後の共済加入期間を合算できる期間を先ほど申し上げたとおり二年から三年に拡充をするということといった、こういった見直しを行うこととしておりまして、その他の福祉人材の確保策と併せて人材の確保に取り組んでまいらなければならないというふうに考えているわけでございまして、先ほど福祉・介護職員の皆様方の処遇の問題について御指摘がございましたけれども、これは介護の場合と同様に、この福祉・介護職員についても一人当たり月額一万二千円相当の拡充を今実施をしているところでございます。

〔理事羽生田俊君退席、委員長着席〕

○小池晃君 おかしいと思うんですよ。やって、後で被害が出たら報酬で面倒見ますって、逆じゃないですか。そんな被害が出るというふうに現場から出ていることを何でやるんですかというんですよ。
 今働いている人についてそれはやらないというのは、それは説明聞いているけれども、でも、これは本当に深刻なやっぱり障害者施設の運営に対する打撃になることは間違いないというふうに現場から声出ているわけですから。
 しかも、保育も平成二十九年度までに公費助成廃止を検討すると言う。全国の保育所の設置主体の約半数は社会福祉法人です。今、保育所の問題、大問題になっているわけです。昨日の予算委員会でも、総理は、待機児童ゼロは安倍政権において非常に重要な課題だと、そして保育士不足の要因は待遇の問題だと認めているわけですね。塩崎大臣も、職員の処遇改善は最優先の課題と言っているじゃないですか。何でそんなときにわざわざ保育士の労働条件に悪影響を与えるような法案を出す、そして通そうとするのか。私は、これ完全に矛盾していると思いますよ。
 大臣、いかがですか。

○国務大臣(塩崎恭久君) 今回のこの法案では、今の退職手当共済制度に関しまして、社会福祉法人立の保育所及び幼保連携型の認定こども園、この職員につきましては、公費助成の在り方については、先ほど先生もおっしゃったように、二十九年度までに検討を行うということを申し上げているわけで、廃止をすることを決定をするということは全く決めているわけではないわけであります。
 これは、子ども・子育て支援新制度が今年度から本格施行をされたばかりであります。それから、待機児童、さっき申し上げたように、待機児童解消加速化プランに基づいて平成二十九年度末までに待機児童解消に全力で取り組むということなどを踏まえて今回の改正では公費助成を維持をするということとしたわけでありまして、待機児童の解消に向けて保育サービスの拡充は喫緊の課題であることはもう言うまでもないわけであって、子ども・子育て支援新制度や待機児童解消加速化プランの実施状況などを踏まえて保育所等に対する公費助成の在り方については今後検討を進めてまいりたいということを申し上げているので、廃止することを言っているわけでは全くございません。

○小池晃君 いや、だって公費助成を増やす検討をするわけじゃないでしょう。ほか廃止したから廃止に向けた検討をするわけでしょうが。今これだけ保育の問題が大問題になっているときに、検討するってメッセージを送るだけだって不安をかき立てることになりませんか。
 少なくとも、政策方向として保育士の待遇改善というのを安倍政権の最優先課題だってやっているときに、その待遇を悪くするようなことを検討すること自体、全く政策方向逆じゃないですかと聞いているんですよ。逆だと思いませんか、政策方向が。どうですか。端的に答えてください。

○国務大臣(塩崎恭久君) それはやはり制度のバランスなどを含めて検討をするということであって、それは、今も我々が申し上げているように、新三本の矢の二本目の子育て支援が重要であり、また中でも待機児童解消、そしてまた保育士の処遇改善については最優先課題として取り組んでいくということは何も変わらないことでありますし、矛盾していることでも全くないというふうに思います。

○小池晃君 いや、言っていることとやろうとしていることが全く矛盾していますよ、これ。どう考えたって矛盾してるよ。やっぱり、私これ、少なくともここのところを見直さないと国会の責任問われるんじゃないかということをこれは申し上げておきたいというふうに思います。
 社会福祉事業における国の責任について聞きますが、大臣は衆議院の委員会で、全て行政がやるという国柄ではないと、多様化するニーズに対応するためにはいろんな主体がそれぞれの役割に応じて活動することが重要だと言っているんですが、根本的なことをお聞きしたいんですけど、そもそも社会福祉というのは、これは憲法二十五条の生存権を保障するために、国がやっぱり全ての生活部面について、社会福祉等々、向上及び増進に努めなければならないと。
 これ根本的な考え方ですけれども、大臣、やっぱり国が第一義的にやっぱり責任を果たすべきものであると、国が果たすべき役割を社会福祉法人などに肩代わりさせるようなことはあってはならないと思いますが、いかがですか。

○副大臣(竹内譲君) お答えします。
 社会の変化、家族の変容に伴いまして多様化、複雑化する福祉ニーズに対応していくためには、国や地方公共団体による福祉サービスの制度化などに加え、社会福祉法人やNPO等の多様な民間主体がそれぞれの役割に応じたきめ細かな活動を行っていくことが重要であると考えております。
 こうした中、社会福祉法人につきましては、税制優遇措置が講じられている公益性の高い非営利法人として社会福祉事業の中心的な担い手としての役割を果たすだけではなく、営利企業など他の事業主体では困難な福祉ニーズに対応することが求められる法人であると考えております。そのような税制優遇措置が講じられている公益性の高い社会福祉法人が社会保障の向上及び増進に努めることは、憲法二十五条の趣旨に反するものではないと考えておるところでございます。
 今般の制度改革は、社会福祉法人の公益性と非営利性を徹底するとともに、地域社会に貢献するという社会福祉法人本来の役割を具体化するものであると考えております。

○小池晃君 ちょっと、今の全く質問と関係ない話しているんですよ。私通告していませんから、副大臣に。ちょっとこういうのはやめてくださいよ。

○委員長(三原じゅん子君) それでは、塩崎大臣にお答えいただけますか。(発言する者あり)
速記を止めてください。

〔速記中止〕

○委員長(三原じゅん子君) 速記を起こしてください。
 答弁者は的確に、簡潔にお願いしたいと思います。塩崎厚生労働大臣。

○国務大臣(塩崎恭久君) 竹内副大臣から御答弁を申し上げたとおりではありますけれども、まず第一に、憲法二十五条は、一つ目、まず、全ての国民は健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有すると言っている上に、国は全ての生活部面について社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならないと、こう書いてあるわけですね。
 それで、先ほど申し上げていることは、今回の制度改革は、社会福祉法人の……

○小池晃君 今回の制度改革について聞いているんじゃないんですよ、これ。いいです。

○国務大臣(塩崎恭久君) じゃ、質問もう一回明確にしていただけますか。

○小池晃君 私、ちゃんとこれは制度改革じゃないと言っていますよ、基本的な考え方だって言っているんだから。ちょっと時間がないから、もういいです。
 要するに、根本的な考え方として、国が果たすべき役割は社会福祉法人に肩代わりさせちゃいけないという、当然のことを聞いた、確認ですよ、そういうことなんですよ。今回の法改正とは別にとちゃんと通告で言ってありますから、今の部分はちょっと非常に問題だと思います。
 その上で、衆議院の質疑で、地域における公益的な取組が社会福祉法人の責務とされたんですが、その根拠について、政府は、ここからが今回の法案に関する部分です、衆議院の委員会で、このコメンタールの社会福祉法の解説の記述を基に答弁しました。配付していますが、この波線引いた部分を読み上げて答弁をしているんですね。しかし、政府答弁で引用したこの波線の前のところに、民間の社会福祉事業経営者として有する自主性、自律性を回復することによって、地域における様々な福祉需要にきめ細かく対応しという一節があるわけです。
 要は、やっぱり社会福祉法というのは、社会福祉基礎構造改革の中で、措置から契約へと、やっぱり自主性、自律性を尊重する、我々はそれは国の責任が後退するという批判をしたけれども、でも自主性、自律性を尊重するということが大きな政策方向としてあったと私は思うんですよ。ところが、この間はここを読まずに、これをその責務にすることの根拠にしたわけですね。私はこのコメンタールで書いてあることは、ここで求められているのは、民間の社会福祉事業者としての自主的、自律的な福祉サービスの提供だというふうに思うんです。
 もう私、参考人の方がちょっと的確に答えてくれるかもしれないから参考人に聞きますけれども、今回の法改正というのは、これ逆に社会福祉法人の規制強化じゃないですか。やっぱり社会福祉法人の自主的活動を法律で強要するというのは、これはこのコメンタールで言っているような自主性をやっぱり損なうことになるんではないですか。
 そういう懸念が私はあるんですが、そもそもやっぱりあの答弁でこの部分だけを読んだことは適切ではなかったんじゃないですか。

○政府参考人(石井淳子君) 当時と答弁者が変わっていることをまずお許しいただきたいと思いますが、少なくとも、この第二十四条の考え方としましては、その後段も前段も両方含まれているものでございます。やはり、措置から契約に変わった中で在り方も変わってきているのは間違いないわけでございまして、その中で、やはり社会福祉法人がそもそも行う役割は何かと問い直したときにこの条文が出てきたということでございます。
 そういう意味では、答弁内容は変わるものではございませんけれども、今回の二十四条のこの今の一項の規定に二項の規定を加えることは、裏からの規定と表の規定とを加えるということで明確にしたということでございます。

○小池晃君 いや、裏からの規定と表からの規定というのはよく分からないんだけど、要は、だから、その地域における公益的な取組を責務化したことの根拠にならないんじゃないですかと。二十四条の解釈というのは、これはコメンタールでも出ているように、自主的、自律的な取組が社会福祉法人のやっぱり性格だというふうに規定しているわけだから、それを逆に国の権限を強める責務規定にするということは政策方向として逆じゃないですかと聞いているんです。

○政府参考人(石井淳子君) 少なくとも、この規定を設けることによって国の責任が後退するものではないということは明確に申し上げたいと思います。
 ただ、やはり社会福祉法人本来の在り方として、公益性、非営利性の中で元々期待されていたことについての在り方といいますか活動について新たに書き起こしたということでございまして、そこは委員と見解が違うわけでございますが、やはり後段の部分も生きているわけでございまして、そこが根拠となっているということは答弁の内容を変更するものではございません。

○小池晃君 私は、これは矛盾していると思いますよ、政策方向として。
 今いろいろと、要するに実際やっていることを法文化したんだと言うんだけれども、じゃ実際に地域における公益的な取組というのは、実態を厚労省として把握しているんですか。

○政府参考人(石井淳子君) 社会福祉法に基づく公益事業としまして、地域の幅広いニーズに対応する取組を講じているということにつきましては、これ衆議院の参考人質疑でも各人が御発言されたところでございまして、まずそういう全般的な状況があるということでございますが、個別に、その内容を個々にすくい上げているかといいますと、現状におきましては各所轄庁から国に報告をする仕組みはございませんので、そういう意味では全てのものをつまびらかに承知しているという状況にはないということでございます。

○小池晃君 実際には社会福祉法人はやっているわけですよ。しかし、それを厚労省としては調査もしていないで、それを責務化するというのは私はちょっとおかしいんじゃないかなというふうに思うんですね。
 それから、お金の問題、社会福祉充実残額なるもの、じゃ、これが、ちょっと飛ばしますけど、一つ。それが実際どれだけ手元にあるのかという調査はやっているんですか。

○政府参考人(石井淳子君) 現在のこの社会福祉法人制度におきましては、保有する財産の内容、内訳を明確化する仕組みはございません。
具体的には、貸借対照表上の純資産には、基本金あるいは国庫補助金等特別積立金が含まれるほか、事業継続に必要な財産額が含まれるわけでございますが、これらが区別された形でなっていないわけでございます。
今回の法案では、貸借対照表上の純資産から社会福祉法人が現在の事業を継続するために必要な財産額を控除することによって、再投下可能な財産額、社会福祉充実残額を明確化する仕組みを講ずることとしておりまして、また現行制度では全国の社会福祉法人に係る財務状況を把握できない状態にあります。したがいまして、今回、この制度改革におきましては、法人が所轄庁に届け出た財務諸表、そして社会福祉充実残額等のデータを国が都道府県を通じて集約し、データベースとして整備することによって、制度上、法人の財務状況を把握できるようにすることとしております。

○小池晃君 私は、これもやっぱり逆だと思うんですよ。やっぱり、実態として、じゃ地域に対して公益的な役割を果たす活動なるものがどれだけ行われているのかちゃんと把握をする、それからいわゆる残額なるものがどれだけあるのかという実態を、それがなければ立法事実がないじゃないですか。そこからやっぱり立法作業というのはあるべきであって、何かあるだろうからそれを定義するための法律を作るというのは私はちょっと逆転した感じじゃないかなというふうに思うんですね。
 そもそも、地域公益活動に再投下できる残額が、じゃ、あるのかどうかも分からないわけですね。
 仮にあったとしても、それは利用者が社会福祉事業の利用料として報酬として出したお金であって、それをその使途の目的に反して地域公益活動に活用するというのは、これは報酬の流用になりませんか。

○国務大臣(塩崎恭久君) 現行の社会福祉法人制度においても、介護報酬等による収益、これを他の社会福祉事業又は公益事業に充当することが認められているわけでございます。
 今回の制度改正におきましては、社会福祉法人の高い公益性、非営利性を踏まえて、保有する財産の内容、内訳を明確にして、保有又は再投下に係る制度上のルールというものを設ける、ルールを設けるということとしているわけであって、規律の問題でございます。
 具体的には、貸借対照表上の純資産額から社会福祉法人が現在の事業を継続するために必要な財産額を控除することによって、再投下可能な財産額を明確化し、これを社会福祉事業の拡充等に計画的に再投下することとしているわけでありますけど、この際、社会福祉法人は社会福祉事業の実施を目的とする法人であることから、新たな福祉サービスの展開とかあるいは職員の処遇改善を含む人材への投資など、社会福祉事業への再投下というものを最優先とするということを法律上規定をしているわけであって、社会福祉事業の適正な運営に活用することは担保されているというふうに考えているところでございます。

○小池晃君 ちょっと一点だけ確認させてください。
 今、要するに、社会福祉事業、既存の社会福祉事業、そこに優先的にやっぱり充てるということですよね。ということは、結局、この計画によって、もちろん評議員会が承認した場合ですけど、その残額なるものが全て社会福祉事業のみに充当する計画になったとしても、それはあり得ると、それは認められるという理解でよろしいですね。
 その確認だけやって、質問を終わります。

○政府参考人(石井淳子君) 御指摘のとおりでございます。

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