日本共産党 書記局長参議院議員
小池 晃

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派遣に置き換え進む/小池氏 規制緩和の中止求める

2016年03月31日

赤旗2016年3月31日付

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(写真)質問する小池晃
副委員長=29日、参院
厚労委

雇用保険法等改定案が29日の参院本会議で全会一致で可決、成立しました。これに先立つ同日の厚生労働委員会で日本共産党の小池晃議員は、シルバー人材センターによる派遣事業の規制緩和の中止を求めました。

改定案では、県知事の指定で、シルバー人材センターが行う派遣・職業紹介について労働時間の上限を週20時間から40時間まで緩和します。小池氏は、公務職場からの委託が3割に達し、埼玉県では学童保育指導員など専門的業務まで委託されていると指摘し、派遣への置き換えがさらにすすむ恐れがあると強調しました。

小池氏が「まず実態調査を」と求めると、塩崎恭久厚労相は「実態把握を実施し、適正な就労環境を確保していく」と答えました。

小池氏は、安倍首相が請負として行われている「生きがい就労」にも規制緩和が及ぶかのように説明した問題や、国に“運用の範囲内”だと認められたとして埼玉県草加市が上限を週30時間、月15日まで拡大した問題を例に、「誤った理解が広がっているから問題が起きる」とただしました。

厚労相は、首相発言は「言葉が少し足りなかった。伝えておく」と述べ、厚労省の広畑義久雇用開発部長は、「恒常的に上限を超えて働くのは認めていない。指導を徹底する」と答弁しました。

速記録を読む

○小池晃君 日本共産党の小池晃です。
 シルバー人材センターの問題について聞きます。
 今回、シルバー人材センターが受注する業務で、労働者派遣については週二十時間から四十時間に上限引き上げられるわけですが、二十時間を超える場合は雇用保険に加入が必要になる、このことの確認と、それから三十時間を超えた場合はどうなるか。

○政府参考人(広畑義久君) お答え申し上げます。
 シルバー人材センターで働く会員のうち、派遣及び職業紹介による働き方の会員につきましては、現行でも、また今御指摘の仮に要件緩和を行った場合でも、六十四歳以下の方で、一つは一週間の所定労働時間が二十時間以上、二つ目は三十日以上の雇用の見込みがある場合は雇用保険の被保険者となります。

○小池晃君 三十時間を超えた場合は。

○政府参考人(広畑義久君) お答え申し上げます。
 三十時間を超えた場合も同様でございます。

○小池晃君 いや、雇用保険以外の、社会保険も適用になるか。

○政府参考人(広畑義久君) 大変失礼いたしました。
 社会保険でございますけれども、派遣や職業紹介といった働き方の場合でございますけれども、健康保険は七十四歳まで、厚生年金は六十九歳までの者につきまして、一日又は一週間の労働時間及び一か月の労働日数が通常の労働者の四分の三以上あれば社会保険に加入することが必要となります。例えば、具体的には一日の所定労働時間が八時間であれば六時間、あるいは一週間の所定労働時間が四十時間であれば三十時間ということになります。
 また、本年十月からは、社会保険が適用されている従業員が五百一人以上の企業等につきまして、賃金などの一定の要件を満たす場合に、週の所定労働時間が二十時間以上の短時間労働者にも厚生年金、健康保険が適用されることとなります。三十時間の取扱いについても同様でございます。

○小池晃君 なお、さらに、緩和の要件ですが、知事が関係者から意見を聞くとあります。その場合は、該当する市町村の労働者団体には地区労あるいは地域労連などが含まれるのか。そして、地域の労働条件に影響があると労働団体が反対だと言った場合は取りやめるんでしょうか。

○政府参考人(広畑義久君) お答え申し上げます。
 今回の要件緩和によりまして地域の労働市場に著しい影響を与えることのないよう、要件緩和を行おうとする場合には、改正案の法第三十九条第二項におきまして、あらかじめ当該市町村の労働者を代表する者等の関係者への意見聴取を行わなければならないこととしてございます。この関係者は、要件緩和を行う都道府県知事が選定する者ではございますけれども、労働者を代表する者は、要件緩和を行う市町村や当該市町村を含む都道府県を活動範囲といたします労働組合等になりまして、御指摘の団体も対象の一つになるものと考えております。
 また、関係者から要件緩和の実施に反対する意見があった場合でございますが、そのことのみをもって直ちに要件緩和ができないことにはなりませんが、都道府県知事におきまして、反対意見の内容等を十分に精査した上で、他の関係者の意見や要件緩和を実施する必要性等も含めまして総合的な判断がなされるものと考えております。

○小池晃君 意見を聞くというルールなわけで、こうなると、やはり仮に反対意見があっても、今あったように、それを尊重はするとは言うけれども、やはり要件緩和が可能な仕組みになっているというふうに言わざるを得ないと思うんです。
 東京シルバー人材センター連合に聞きました。
 現在、高齢者派遣実施しているのは五十八センターのうち三つなんですけど、この四月から二十一増えて、年度末までには二十六になると。二十六センターが派遣業務開始するというんですね。これ、いろんな労働問題起こってくると思います。
 派遣労働者だということになれば、これは労働基準法、安全衛生法、派遣法など様々な労働関係法令の適用になってくるということをまず確認したい。これは確認です。
 それから、例えば派遣される会員が労働組合をつくって、その組合員が都道府県段階のシルバー連合を派遣元の使用者として労使交渉もできるという理解でよろしいでしょうか。

○政府参考人(広畑義久君) お答え申し上げます。
 今回の要件緩和につきましては派遣と職業紹介に限って緩和するものでございますので、これらの働き方については労働関係法令が適用されます。
 また、派遣で行う場合、派遣元事業主であるシルバー人材センター連合と会員につきましては雇用契約を結びますので、委員御指摘のとおり、労働組合をつくり、派遣元事業主であるシルバー人材センター連合に労使交渉を行うことも可能でございます。

○小池晃君 以上を踏まえて、大臣、ちょっとお聞きしたいんですけど、高齢者の非正規雇用者の割合というのを見ますと、労働力統計では、全体の非正規率三七・五%に対して五十五歳から六十四歳は四七・四%、六十五歳以上では七四・一%と非正規は非常に多いわけです。派遣労働者の割合を見ますと、六十五歳以上では三%です。これは、全体の派遣労働者では二・四%ですから、全年齢に比べれば一・三倍になるわけです。非常にやっぱり高齢者は不安定雇用が多いという実態あります。更に今回の緩和で派遣労働が増加することになるでしょう。
 大臣に、これ、基本的な考え方なんですけど、高齢者だったら派遣でもいいよね、高齢者の仕事は派遣しかないよね、そういう社会にしては私はいけないというふうに思うんですね。高齢者も若年者と同様、全体と同様、やっぱり正規雇用、直接雇用が原則であるという考え方、はっきりここで言っていただきたい。

○国務大臣(塩崎恭久君) 労働法制上は直接雇用が原則というようなことが明文化されるようなものはないわけでありますが、直接雇用を希望する方にはそのような働き方を実現をしていくということが基本であるという考えは、私もそのように思っておりまして、一方で、高齢者は体力面とか経済面など置かれた状況が様々でありますから、それに応じた多様な就業機会を確保することもこれまた重要だというふうに思っています。
 こういった中で、直接雇用されることを希望する高齢者に対しては、今回の法案によります六十五歳以上の方への雇用保険の適用拡大、あるいは主要なハローワークに高齢者向けの求人の開拓を専門とする担当を今回置くということなどによる再就職支援の強化をしようとしていますから、こういったことで、御本人の希望を十分踏まえた就職支援に取り組んでいかなければならないというふうに考えております。

○小池晃君 私、危惧するのは、今回の緩和をきっかけにして、今後、派遣にとどまらず、いわゆる生きがい就労と言われている請負でも緩和しようという動きにつながっていく危険はないのか。
 週四十時間となればこれは一般労働者と同じ労働時間になるわけで、通常の労働者と同じであれば、これは派遣や請負ではなくて、直接雇用、安定雇用が原則になるはずなんですね。
 大臣に、派遣ルールの更なる緩和、あるいは生きがい就労、請負への緩和はしないとはっきり言っていただきたい。

○国務大臣(塩崎恭久君) 今回御提起申し上げている法案につきましては、先ほどお話があったとおり、派遣、職業紹介に限って週四十時間までの就業可能ということでありますけれども、今回の法改正においても、高齢者に働く方としての保護が及ばない請負で就業する場合について、その就業日数の上限を引き上げる緩和は行わないということにしておりまして、また今後についても現時点で緩和を行うことは想定はしていないと。
 また、高齢者が派遣と職業紹介で就業する場合の上限となります週四十時間、これについては労働基準法で定める一週間当たりの労働時間の上限であって、今後それらを超えた就業を認めることは高齢者の生きがい就労を推進するシルバー人材センターの目的に合致するとは考えにくいので、現時点では想定をしていないところでございます。

○小池晃君 現時点ではというのはちょっと気になりますけど、ちょっと次行きます。
 埼玉県の草加市で起こっている事例です。ここは、厚労省から、シルバー人材センターの生きがい就労の条件緩和の構造改革特区申請で、現行おおむね週二十時間、月十日程度というのを週三十時間、月十五日と、そういう緩和を求めた際に、厚労省がおおむねだから多少超過しても運用の範囲としてあり得るというふうに回答されたんだというふうなことを理由に、週三十時間、月十五日は運用の範囲だと解釈しています。
 これ、毎日新聞の社説でも取り上げられて、草加市の人材センターでは登録者が週三十時間、月十五日まで働けるようになったと、こういうふうに紹介している。市議会でも答弁で、今回厚労省からの回答の中で、おおむねの解釈により運用ができることが認められたと答弁しています。
 厚労省に確認したところは、そのような解釈の説明はしていないと言うんですが、どうしてこういう誤った理解が広がるんですか。

○政府参考人(広畑義久君) お答え申し上げます。
 シルバー人材センターで働きます高齢者の日数等の上限は、月十日程度又は週二十時間程度とおおむねのものとしておりまして、急な対応によって必要がある場合等は一時的にそれらを超えて働くことができることとしてございます。しかしながら、恒常的に月十日又は週二十時間を大きく超えて働くことは認められておりません。
 今委員御指摘のとおり、草加市のシルバー人材センターが週二十時間を大きく超えて働くことを要望していたため、厚生労働省からこの取扱いを伝えたつもりではございましたけれども、情報の伝達がうまくいかず、結果として御指摘のような不適切な取扱いにつながったところでございます。
 こうした状況を踏まえまして、草加市シルバー人材センターに対しましては、適切に就業日数等を管理するよう指示したところでございます。
 引き続き、同様の事例が発生しないよう、シルバー人材センターに対する周知を適切に実施してまいります。

○小池晃君 こういうの困るんですよね。やっぱり、きちっとやってもらわないとこれはまずいですよ、大変。
 それから、安倍総理もちょっと誤った理解をしているところがあるんじゃないかと思うんです。
 昨年の国家戦略特区の諮問会議で、兵庫の養父市、秋田の仙北市のシルバー人材センターの高齢者、これ四十時間まで緩和する特区について、正確には全体の三%にすぎない派遣だけの緩和なのに、総理は、シルバー人材センターに登録している健康な高齢者は従来二十時間しか働けませんでしたが四十時間働けるようになるというふうに発言しているんですね。今回の法案では派遣を除く生きがい就労、請負は変わらないのに、何か全体もそうなったかのような、ちょっと、大臣、後ろ向かないでちょっと聞いていてくださいよ、これ、やっぱり不正確でしょう、余りに。
 こういう発言が是正もされずに放置されている、これでいいんですか。いいえ、ちょっとこれはやっぱり大臣にちゃんと、総理の発言なんだから、これはやっぱりちゃんと明確に、大臣、否定していただきたい。

○国務大臣(塩崎恭久君) 今の総理の国家戦略特区の諮問会議における発言でございますが、この会議の場で配付をされました養父市国家戦略特区区域計画案には明確に労働者派遣事業を行う旨の明記がなされておりまして、総理はそれを目の前にしてそれを前提にして発言をされたということで、今引用されましたが、表現が労働者派遣事業を行う旨が少し足らなかったのかも分かりませんが、趣旨はそこの場に配られているものがそういうものだということで言ったということでございますので、必ずしも誤りとの御指摘は当たらないのではないかというふうに思いますが、より正確に言った方がよかったのかも分かりません。

○小池晃君 これ、ちゃんと認識、総理の認識変えてもらってください。どうですか。

○国務大臣(塩崎恭久君) いや、総理は、ですから、そこの目の前にある書類でもって分かっているのでありますが、発言でそのことが明示的に表現されなかったことについては、それを正確に表現をすべきであったかというふうにも思わないわけではないので、今そうやって申し上げているので、そのことはちゃんと伝えておきます。

○小池晃君 しっかり伝えてください。総理の発言だからね。こういう誤った理解が広がるから、現場でいろんなことが起こっちゃうわけですよ。
 公務の問題を聞きますが、お配りしているのは、自治労連埼玉が公務の職場におけるシルバーの実態を調査したものなんですけれども、これ、どういう業務がシルバー人材センターに委託されているかと見ますと、いろいろあるんです。学童保育の指導員、公民館、図書館の受付業務、上水道の監視事業、水道施設維持管理業務、これは短時間で交代する委託で適正な業務ができるんだろうかというようなものばかりなんですね。それから、小中学校や保育園の用務員業務など、恒常的にフルタイムで直接雇用の正規職員が担っていたものまで委託されているわけです。
 私、公務の広がり、これは需要があって希望者がいるからだと言うんですけれども、やっぱり安いからなんですよ。これ、埼玉のある市の学童保育所では、時給換算で臨時職員は九百五十円、シルバーだと八百九十二円、その差、時給で五十八円も安いわけです。結局、高齢者の生きがい就労という本旨よりは、安上がりの労働力としてシルバー人材センターの請負に公務の職場で置き換えられて広がりつつあるという実態があるんじゃないか。
 ちょっと厚労省に聞きますけど、シルバー人材センターへの委託業務での公務の割合はどれだけですか。

○政府参考人(広畑義久君) お答え申し上げます。
 シルバー人材センターが平成二十六年度に受注をしました業務は全国で約三百六十万件でございます。その内訳は、公共事業に関するものが七・一%、民間事業に関するものが九二・九%でございます。

○小池晃君 ちょっと、そういうことじゃなくて、公務は三一%だというふうに聞いていますけど。

○政府参考人(広畑義久君) 詳細な数字は承知してございませんけれども、ひょっとしたら金額ベースかもしれません。ちょっとよく調べてみます。

○小池晃君 ちょっと、通告しているよ、これ。

○政府参考人(広畑義久君) 大変失礼いたしました。就業日数ベースで今委員御指摘の三一%というものが出ているものと思います。

○小池晃君 ちょっとレクで言ったのと違う数字を突然こういうふうに言わないでください。三割公務だと言っているんです。
 調査した労働組合は、こうした公務職場の委託では請負ということで労働者の権利も保障されていない、市民サービスとしても、事故が起こってもこれは市が直接責任を負えない、問題あるんじゃないかと。シルバー人材センターの臨時、短期、軽易という原則から見ても、これは厳格に運用されるべきだという指摘があるんですね。
 大臣、今回、高齢者派遣が二十時間から四十時間に緩和されれば、公務の職場での置き換えが更に広がるという、そういうことを私危惧をするんですが、何らかの歯止め必要なんじゃないですか。
 それとも全然問題ないと、これは大臣がいいです、大臣にと通告してあるんだから、これは。大事な問題は大臣、ちょっとちゃんと答えてください。
 今後の問題なんだから、ちゃんとこれ歯止めが必要でしょうと。

○国務大臣(塩崎恭久君) 一定程度公務がシルバー人材センターの受注した仕事の中に入っているということで御心配をされておられるわけでありますが、今回の要件緩和に当たっては、都道府県知事は、競合し得る事業者の利益を不当に害することがないと認められる場合に限り行うこと、それから、あらかじめ関係者への意見聴取を行う、それから、問題が生じた場合には緩和を取りやめることなどの仕組みを設けるということで適切に対応するということになっておりまして、御懸念の点についてはこのような配慮で手を打つようなことになっているところでございます。

○小池晃君 今のでは全然御懸念に応えることにはなりませんよ。駄目ですよ、それでは。
やっぱり公務のこういう実態、大臣、私お示ししましたよね。これはやっぱり本来正規職員でやるべきような仕事までどんどん置き換えられている実態、そのままでいいと私は思いません。これはやっぱり何らかの歯止めを設けないと、本当に公務の現場でこれが広がれば更に民間でも脱法を許すことにもなっていくと思う。
 今回のやっぱり規制緩和、これ、一億総活躍会議では、地域の実情に応じた高齢者の社会参加の促進だと。高齢者を労働力として片や見込むわけでしょう。ならば、シルバー人材センターについてももっと詳しい実態把握が必要じゃないでしょうか。私は、これだけの緩和をするというのであれば、きちんと詳細な実態把握をするということをやっぱり厚労省の責任としてやるべきではないかと、公務の現場でどうなっているかも含めてですよ。
 大臣、実態の把握、必要じゃないですか。

○国務大臣(塩崎恭久君) シルバー人材センターの就業の実態については、会員の就業日数とか報酬額とか保険の適用状況など、基本的な情報を各シルバー人材センターから業務報告として全国シルバー人材センター事業協会が定期的に把握をして、厚労省にも報告がございます。
 今般の法改正の検討に当たりましては、就業時間の要件緩和の実施についての意向とか、あるいは労働者派遣を行っている場合の就業時間などの実態調査を行ったわけでございまして、このように必要に応じた臨時的な調査も随時行っておりまして、今後とも、シルバー人材センターで働く高齢者の皆様方の実態の把握については引き続き適切に実施をして、会員の適正な就業環境を確保して、そこでしっかり活躍してもらいたいというふうに思っております。

○小池晃君 もう質問はしませんが、やっぱりこういう規制緩和をやると、そうなってくると、賃金相場は全体、地域下がっていく危険性もあるし、労災事故の増加も懸念されるし、その場合の責任関係も問題になってくるわけで、私は、やっぱり規制緩和するんだったら、まず実態をしっかり把握するということをちゃんとやるべきだというふうに思います。それをやらずにどんどん緩和するのは無責任だと。今、まあ必要な調査をやると言ったから、しっかり実態の把握をやってください。
 終わります。

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