日本共産党 書記局長参議院議員
小池 晃

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医療は「ゼロ税率」に/小池氏 医療機関が増税で打撃

2016年04月02日

赤旗2016年4月2日付

 日本共産党の小池晃議員は3月31日の参院厚生労働委員会と財政金融委員会で、医療機関が負担する消費税の問題を連続して追及しました。

 保険診療は非課税で、利用者は消費税を支払う必要がないものの、医療機関は、医薬品や医療機器の購入、設備投資などに生じる消費税を自己負担しています。国はこの負担について、消費税の導入・増税時に、医療行為の公定価格である診療報酬を調整し手当てしているとしています。

 小池氏は、診療報酬の大幅引き下げなどで、補填(ほてん)できない医療機関の「消費税の持ち出し」(損税)があると確認させた上で、その額が全国の医療機関の総額で年間約2560億円にのぼるとの日本医師会の試算を示し、「医療機関は8%増税で打撃を受けている。税率が10%になったら存立の危機だ」と迫りました。

 塩崎恭久厚労相は「診療報酬は消費税負担の実績をふまえた水準に設定されている」と述べる一方で、「課題があることはその通り」と認めざるを得ませんでした。

 小池氏は、増税分の補填を診療報酬の引き上げで行えば、患者の窓口負担や国民の保険料負担に転嫁されると指摘し、「社会政策的な配慮で“非課税”といいながら、負担増になるやり方でいいのか」と強調しました。

 その上で小池氏は、医療を「ゼロ税率」にするよう要求。麻生太郎財務相が「社会保障の財源の減収(1・6兆円)を招く」と答弁したのに対し、「輸出大企業には4兆円以上の消費税を還付している。問題を先送りにしてきたのは政府与党の責任だ。解決もなしに10%への消費税増税は許されない」と批判しました。

速記録を読む

○小池晃君 日本共産党の小池晃です。
 政府・与党は、特例公債の発行額は毎年減少している、アベノミクスの成果だというふうにおっしゃっているんですが、ちょっと確認しますけど、二〇一三年の新規国債発行額と二〇一六年度の発行額及び二〇一三年度と二〇一六年度の消費税収を述べてください。

○政府参考人(美並義人君) まず、新規国債発行額でございますけれども、二〇一三年度の決算で四十兆八千五百九億円でございます。二〇一六年度予算は、三十四兆四千三百二十億円でございます。
 消費税収につきまして、国税分でございますけれども、二〇一三年度決算において十兆八千二百九十三億円でございます。二〇一六年度予算においては十七兆千八百五十億円になります。

○小池晃君 国債発行額が六・五兆円減り、消費税収が六・四兆円増えているわけで、消費税増税で赤字国債発行を抑制しているだけで、アベノミクスによる効果でも何でもないんじゃないかなというふうにこの数字を見て思うわけですが、膨大な財政赤字を抱えながら、低金利で赤字国債発行できるのが異次元金融緩和のおかげであって、ある意味では一番政府がこの恩恵を受けているんではないかと思うんですが、ちょっとそのことについて伺いたいと思います。
 日銀のマイナス金利政策がその様相を一層強めております。マイナス金利以降、政府が行う国債の発行のための競争入札で、政府は利息を払うのではなくて、むしろ実質マイナス金利で落札価格決まっていますから、政府に利益が生じているとの報道がございます。
 日経新聞が、十年以下の国債は需要の高まりで発行金利がマイナスになっており、借金をする側の国にもうけが生じる逆転現象が起きているというふうに報道していて、その超過収入が三月中旬までの累計で少なくとも五百五十億円に上ったとされています。
 実態はどうなのかちょっとお聞きしたいんですが、最近の新規利付国債の競争入札で、償還まで保有していると損失が発生する実質マイナス金利の利回りで金融機関が落札しているのか、二月と三月に行われた五年債の入札で超過収入がどれだけ生じているのか、平均価格と平均利回り含めてお答えいただきたいと思います。

○政府参考人(迫田英典君) お答えをいたします。
 委員御指摘の超過収入額につきまして、国債入札における払込金額から発行額、それから支払予定利子の総額を差し引いたものとして計算をいたしますと、今年の二月に入札をいたしました五年債では百六十八億円、三月に入札をいたしました五年債では百九十三億円という計算になるわけでございます。
 また、二月入札におけるただいまの募入平均価格、これは百一円十六銭、募入平均利回りはマイナスの〇・一三八%。三月入札におきます募入平均価格は百一円二十二銭、募入平均利回りはマイナスの〇・一四二%でございます。

○小池晃君 金融機関がマイナス利回り、つまり最後まで持っていれば損するような価格で国債を落札するのは、やはり日本銀行がそれより高く必ず買ってくれるというふうに確信しているからだと思うんですね。
 日銀は、一方で、毎年、年間八十兆円分の国債保有残高を増やすと、年間百十兆円購入すると、爆買いをしているわけであります。マイナス金利の導入によって金融機関が日銀に国債を売却せず少しでも利子の付く国債を保有し続けるのではないかという、そういう懸念を高める。だから、日銀のQアンドAでも、マイナス金利の説明資料でこの疑念に対して、マイナス金利分だけ買入れ価格が上昇することで釣り合うので、買入れは可能だと考えられるというふうに言っていますね。
 つまり、これは要するに、金融機関はマイナスの利回りで新規国債購入しても、日銀に売却することで確実に利ざやを稼ぐことができると。当たり前かもしれませんが、こういう行動を織り込み済みで、想定内でやっておられるということで、総裁、よろしいんでしょうか。

○参考人(黒田東彦君) このマイナス金利付き量的・質的金融緩和というものは、実質金利を一層低下させることを通じて、企業や家計の経済活動を刺激して、企業収益の改善あるいは雇用、所得の増加を伴いながら物価上昇率が高まっていくという経済の好循環をつくり出すことを目的としております。
 日本銀行がマイナス金利とともに大規模な長期国債の買入れを行う下で、御指摘のように国債金利は大幅に低下をしております。こうした国債金利の低下を受けて、貸出しの基準となる金利や住宅ローンの金利もはっきりと低下をしております。
 そうした意味で、国債の発行金利の低下はマイナス金利付き量的・質的金融緩和の波及メカニズムの一環として想定しているものでございます。

○小池晃君 報道では、外国人も値上がり目的で国債を買っているというようなこともあって、やっぱりちょっと通常のトレードと違うようなことが起こってきていることは間違いないんじゃないかなと。
 一方で、日銀がマイナス金利政策実施されてから、新規発行の国債のうちどれくらい保有しているかということで、資料の一枚目には、この間の購入割合出していただきましたけれども、二月下旬に発行した五年債、既に八割強日銀が購入しているわけです。十年債については公表されておりませんけれども、三月発行で、既に相当割合で購入しているんじゃないだろうかと。
 それから、次のページは、本会議で我が党の議員が質問した二〇一五年度の利付国債、利付債の発行額の八割相当額を市場から日銀が購入しているというふうに財務大臣がお答えになっているわけですね。これはやっぱりどう考えたって、財政法第五条が禁ずる財政ファイナンスと見られても仕方ないんじゃないだろうかというふうに思うんです。
 黒田総裁も麻生大臣も、日銀は金融政策のために国債の保有残高を増やしているのだから財政ファイナンスではないというふうに繰り返すわけですけど、先日公表された一月二十九日の政策決定会合での議事要旨によりますと、ある審議委員が、日本銀行のみが最終的な国債の買手となり、市場から財政ファイナンスとみなされるおそれがあることへの懸念を示しているというふうにあるんですね。日銀の審議委員ですらそういう疑念を持つ、こういう状態で、今後もこんなふうに国債保有残高を増やし続けて、市場はそれでも財政ファイナンスとはみなさないと。
 何か根拠があるんですか、総裁。

○参考人(黒田東彦君) 先ほども申し上げましたとおり、日本銀行が金利の低下を促しているのは、あくまでも二%の物価安定の目標の早期実現を図るという金融政策の目的でありまして、財政ファイナンスではないと考えております。
 なお、日本銀行の国債買入れ、これは金融機関を相手方として、市場において実施しているものでございます。

○小池晃君 いや、財政ファイナンスかどうかを判断するのは当事者である日銀じゃないんです。
 マーケットじゃないですか。
 マーケットがみなしたらどうなるかということを、総裁は二〇一三年四月の講演でこういうふうに言っています。内外の投資家から、一たび財政ファイナンスと受け取られれば、国債市場は不安定化し、長期金利が実態から乖離して上昇する可能性があります。これは、金融政策の効果を減殺するだけではなく、金融システムや経済全体に悪影響を及ぼしかねませんと。真っ当なことおっしゃっているじゃないですか。
 結局、今のような状態、日銀の審議委員ですよ、審議委員の方が財政ファイナンスと受け取られる懸念があると言っているようなときに、何で市場はそういうふうに思わない、当事者が幾ら言ったって市場なんだから。そこは何か根拠があるのか、ちゃんとその説明してほしいんです。

○参考人(黒田東彦君) 現時点でそういった市場の動きがあるとは思っておりません。
 そもそも、先ほど来申し上げておりますように、日本銀行の金融政策、マイナス金利付き量的・質的金融緩和というものはあくまでも二%の物価安定の目標をできるだけ早期に実現するために行っているものでありまして、財政ファイナンスと誤解されるおそれはないと思っておりますけれども、その点はもちろん常に私どもの説明として、十分マーケットの人たちにも理解していただけるように心掛けてまいりたいと思っております。

○小池晃君 いや、もう大臣、私が言ったように、これはその当事者の判断じゃないわけですよ、やっぱり市場の判断なわけですよ。今まで大丈夫だったからとか、今そうなっていませんという、そういうことじゃなくて、やっぱり日銀の審議委員ですらこういう疑問を呈するような状況の中で、市場関係者はそういうふうにみなすという可能性は大いにあるじゃないですか。その危険性、危機意識を大臣は持っていないんですか。今のような答弁で日銀はいるんですけど、そういう認識で、これは財政当局の大問題になるわけで、何の懸念も大臣もお持ちでないんですか。

○国務大臣(麻生太郎君) 日銀による財政ファイナンスではないかというのは、この話がスタートした最初からある話でありまして、今に始まった話ではありません。まず第一番にそれだけは頭に入れておいていただかぬといかぬのであって、この三年間、基本的によく言われていたことであります。
 しかし、私どもの答弁はずっと一貫しておりまして、二%の物価目標、いわゆる安定目標の実現という金融政策の目的なんですということをいわゆるモスクワのG20 で申し上げてこの方、G20等々の会合においてこの種の指摘を受けたことはありません。また、日銀の自らの判断で行っているものでありますので、これは我々が財政ファイナンスをしているという指摘が、私どもの立場としてこの話をしているのではないかということを考えているわけでは全くありません。

○小池晃君 いや、前から言われていたことは私も知っていますけど、審議委員の中からもこういう声が出てきているという状況の中で、いまだに危機意識を持っていないのはどういうことかというふうに言っているわけですよ。既に発行済長期国債の三割を日銀が持ち、現在いわゆる物価目標達成時期の二〇一六年後半には四割、黒田さんの任期満了時には約五割、こういうリスクを高めるような金融政策は、私は転換すべきだということを改めて言いたいというふうに思います。
 医療機関の消費税負担の問題について次に聞きたいと思うんですが、これ消費税の八%の増税で医療機関にも深刻な影響が広がっています。これはもう言わずもがなですが、保険診療は非課税です。ですから、患者さんから消費税は求めません。
 しかし、医療機関は、医薬品や医療機器を買ったり設備投資をする場合には消費税を負担している。
 これら仕入れに掛かった消費税は控除されないから、少なくとも税の世界では、これは持ち出しというか身銭を切っているという状況になっているわけですね。しかし、政府は、これは診療報酬で措置するというふうに言ってきた。
 私、今日午前中、厚生労働委員会でこれを質問して、診療報酬で措置したと言うけれども、消費税の導入時、あるいは五パーに増税時、それぞれ上げた点数が今やもう半分ぐらいになって、あるいは点数項目そのものがなくなったものがいっぱいあって、消費税対応分は行方不明になっているんじゃないか、そういう実態ではないかというふうに聞いたらば、厚労省もそういう実態があると認めたわけです。
 さらに、設備投資の問題がある。これはCTとかMRIなどを購入した、あるいは建物の改修など大規模設備投資をやった場合には、これは医療機関は高額な消費税を負担するけれども、これは回収は長期にわたるわけであります。
 お配りしている資料の三枚目にあるのは、これは日本医師会の作成したものですけれども、今回の税率八%への増税で医療機関が支払っている消費税は診療収入全体の三・六四%だと。そのうち、医薬品、材料に係る消費税一・九六%は診療報酬で補填されても、その他の費用、設備投資の部分は補填できていないという、そういう日医の主張ですが、日本医師会は五%から八%まではきちんと補填されているというかなり奥ゆかしいことをおっしゃっていて、私はその分もちゃんと補填されていないんじゃないかと思うんですが、日医は五%の分までのところで補填されていないということを問題にされています。いずれにしても、この日医の試算では、年間二千五百六十億円もの持ち出しがあるというふうに言っているわけですね。
 これは、中医協の分科会でも、設備投資については診療報酬で対応できないということが支払側も含めた一致です。
 大臣、これは大きな話として認識を聞きたいんだけど、やっぱり診療報酬ではカバーし切れない、持ち出しが発生しているという事実を認めていただきたいんですが、これはもうそういう事実は明らかにあると思うんですが。

○国務大臣(麻生太郎君) これはもうよく御存じのように、診療報酬に仕入れ税額相当分の上乗せを行って、実質的に医療機関の負担とならないように手当てする。これは、基本的にこの体制というか体系でこれまでずっと来たんだと思いますが、消費税の引上げ時において診療報酬に仕入れ税額相当分の上乗せを行うだけでなく、それ以外の毎回の診療報酬改定においてこれは医療機関等々の仕入れ税額分も含めた費用の状況など経営状況全体を把握して改定率を決定をしてきたというのがこれまでの経緯だと思っておりますので、このことから、消費税に引上げ時の改定率だけを見て補填不足と言うのは適切ではないと、基本的にそう思っております。

○小池晃君 いや、じゃ、日本医師会のこの二千五百六十億補填不足であるということは事実でないというんですか。そんなことないでしょう。これは日医だけじゃないわけです。いろんなところがこういう問題点指摘しているわけです。
 例えば国立大学附属病院ですが、これは国立大学の学部長病院長会議がまとめて、八%に引き上げられた二〇一四年に初めて、これは大学法人移行後初めて、国立大学病院赤字になっているんですね。赤字額八十四億円、そのうち五十四億円は消費税増税の影響だというふうにまとめています。
 それから、日本私立医科大学協会、ここの調査結果では、私立医科大学病院が負担する控除対象外消費税、いわゆる持ち出し分は、これは六百二億円、一大学当たり二十億円ですね。それで、診療報酬による補填を差し引いても総額百八十二億円です。一大学当たり六億円が持ち出しになっているという、そういう実態がある。恐らく大臣もそういった実態はお聞きになっているというふうに思うんですね。厚労省がまとめた中医協の調査結果でも、特定機能病院、ここは一施設当たり四百五十四万円、こども病院は四百五十一万円損税だという結果が出ているわけですよ。
 だから、大臣、考え方はともかく、実際に、特にやっぱり設備投資をかなり大規模にやっているような病院であればあるほど、やはりいわゆる持ち出しの超過になっているという事実は事実としてあるでしょうと。だって、だから来年度に向けて検討すると言っているんだから。そういう事実があるということを、大臣、認めてくださいよ。
 それは事実の問題ですから。

○国務大臣(麻生太郎君) 病院経営していますのでよく分かっております、まず、大前提として。
 知らないように言われると、よく知った上で答弁しているんだから。頭に入れておいてください、それだけは。
 医療関係団体から、特に高額な投資を行っている場合の消費税負担が大きいという指摘は、これは前からあるんです、今に始まった話ではありません。しかし、これは医療機関の消費税負担につきましては、毎回の診療報酬改定によって、大きな医療機関も含めて、全体として補填しているものと考えておりますので、医療費に係る税制の在り方については、御指摘のありましたとおり、与党の税制改正大綱におきまして、実態の正確な把握を行いつつ医療保険制度における手当ての在り方を検討とされておりまして、今関係者の意見も踏まえて総合的に結論を得ようということとされておりますので、与党の方針を踏まえて引き続き補填をしてもらいたいと思っておりますが、補填の状況にばらつきがあるんですよ。ここのところをどうかせにゃいかぬということです。

○小池晃君 いや、だから、ばらつきがあるということは、補填がかなりできていない、特に、飯塚麻生病院はどうか知りませんけれども、高度機能の病院中心にやっぱりばらつきと言うんだったら、そういったところは補填できていないという事実はあるわけでしょう。

○国務大臣(麻生太郎君) 繰り返しになって恐縮ですけれども、総合的に検討し、結論を得るという、これは与党税制調査会の結論であります。
 その方向、流れを見て我々としては判断させていただきたいと存じます。

○小池晃君 いや、でも来年ですよ。実態調べると言うけど、実態は出ているんですよ、これいろんなところが出してきているわけですよ。中医協だってかなりこの間突っ込んで検討してこれ数字出ているんですよ。だから、もう決断するときでしょう。
 やっぱり私は、実態を見るとこれは放置できない。だって、これだけ、例えば私立医大病院でいうと一大学当たり六億円が持ち出しになっている。
 こんなことをやっていたら、医療機能止まってしまいますよ、一〇%なんかにしたら、ここで。
 実際に、私立医大協会は存亡の危機だというふうにおっしゃっている。私立医大なんかは都市部に病院、本院があるけれども、分院なんかは結構医療過疎地域に置かれたりしているわけですよ。
 もうよく分かっているんだという顔をしていらっしゃるけれども、医師派遣だってかなり大きな役割を果たしているわけですよね。そういったところがもう本当に止まってしまったら大変なことになるじゃないですか。やっぱり、こういった問題についてきちっと向き合うべきだと思うんですね。
 そもそも、医療機関が行う保険診療は非課税となっている理由は何ですか。

○国務大臣(麻生太郎君) 消費税において、いわゆる社会政策的配慮が必要な分野につきましては非課税ということで、教育とか社会福祉事業とか医療のほかにもありますけれども、非課税とされております。
 医療につきましては、これは総じて、欧州諸国等々におきましては原則として付加価値税が非課税とされているものと承知しておりますので、そういった上でこういう配慮がなされたんだと理解しております。

○小池晃君 消費税を導入したときの自民党社会部会の見解、こう書いてあるんですね。医療は、所得の大小にかかわらず生命を守るために選択の余地なく支出をせざるを得ないもの、医療は低所得者でも生きていくために支出をせざるを得ないものであり、医療に課税する影響は低所得者ほど大きく、逆進性という批判を受けると、こうかなり真っ当なことを言っているわけですよ。だから政策的配慮で非課税にしたと。
 こういうことのはずなのに、結局、この間の対応は診療報酬で補填するというやり方だから、大臣、やっぱりこの政策的配慮で負担にならないように、特に低所得者に配慮してと言いながら、その非課税の部分について損税になった部分は診療報酬で手当てするとなったら、結局、窓口負担であるとか保険料であるとか国民負担になっていくじゃないですか。これは当初の政策的配慮と矛盾するんじゃないですか、こういうやり方。いつまでもいつまでもこんなやり方でやっていいのかということが今大問題になっているじゃないですか。
 そこをどう答えるんですか。

○国務大臣(麻生太郎君) いわゆる仕入れ税額相当だけを取り出せば、今言われたように、診療報酬という形で皆さんに負担をいただいているというのはこれ事実です。
 しかしながら、一面だけを見るとそうなりますが、医療を非課税ということにしておることによって、少なくとも医師、看護師の人件費などの部分、医療コストのおよそ半分以上になりますから、これが、については消費税負担が生じておりません。
 仮に仕入れ税額相当分を税負担で手当てするとしても、その税負担は何らかの形で国民の負担にならざるを得ないということなんだと思いますので、いろんなことを併せて真の国民負担ということを考えなきゃいかぬのじゃないですかね。

○小池晃君 その分税金だから、結局国民負担だと、そういう議論を始めたらもう何の議論もできないですよ。
 やっぱり私は、こういうやり方は限界があると。
 それは実際、中医協の会長も、率直に言って、個別の医療機関が負担した消費税を患者個人が支払う診療報酬で還元するのは不可能だ、中医協の外で決着付けてほしい、話付けてほしいと、こう言っているわけですね。
 中医協の会長言っているように、やっぱり個別の医療機関が負担した消費税を全国一律点数の診療報酬でカバーするのは、これは無理があるでしょう。私はそう思いますよ。どうですか。

○国務大臣(麻生太郎君) 先ほど御答弁を申し上げたとおりだと思いますけれども、あの消費税の税制の在り方については与党税制大綱において、先ほど申し上げたとおりに、関係者の意見を踏まえて総合的に検討し結論を得るということにされておりますので、今言われたような御指摘等々をいろいろ、昨年もこれやられたところですけれども、診療報酬の改定のときにもこの話は十分にさせていただいておりますので、そういった意味では、これを踏まえて、実態に合わせて、配分等々に問題があるというのであればこれをきちんとということを今やられているところだと思います。

○小池晃君 その与党税制改正大綱の平成二十九年度税制改正に対し、総合的に検討し結論を得る、その検討内容、どうなっているんですか。

○国務大臣(麻生太郎君) 今検討しているということは、目下検討している最中ですから結論が出ているわけないと思いますが。

○小池晃君 もう、だって、二年も三年も前ならともかく、来年の話じゃないですか。影も形も見えないじゃないですか。こんなのは駄目なんじゃないですか。もっと、もう踏み込んで何らかのものを出す時期なんじゃないですか。
 EU諸国の付加価値税でも公的医療非課税だと先ほどありました。しかし、医薬品や医療機器にはゼロ税率、軽減税率が適用されて、医療機関が仕入れで負担した付加価値税は還付されていますよ。
 財務省に聞きますけど、仮に日本で消費税率を現行の八%としたまま保険診療にゼロ税率適用した場合は、税収にはどれだけ影響出ますか。

○政府参考人(佐藤慎一君) お答え申し上げます。
 今の先生のお尋ねは、社会保険診療を消費税の課税にまずした上で、その適用税率をゼロとすると、こういう制度を仮定するということでございまして、それが消費税収にどういう影響を与えるかということでございます。
 ゼロ税率でございますので、したがいまして売上税額はゼロということになります。それで、課税になりますので仕入れ税額控除ができるということですので、その部分がゼロから引き算できますので、還付という形で生じてまいります。その部分が減収額という形で生じてくるという構造になってございます。
 具体的には、平成二十七年度の国民医療費の推計値を基にいたしまして医療関係機関の課税仕入れの割合というものを乗じまして、それの百八分の八ということで八%相当分と、こういう計算をいたしますと、機械計算で一・六兆円の消費税収の減という形になるということは試算としてできると思っております。

○小池晃君 重ねてお聞きしますが、消費税の還付額、八%増税実施された二〇一四年度に、国と地方を合わせてどれだけ還付されていますか。

○政府参考人(星野次彦君) お答え申し上げます。
 二〇一四年度分、平成二十六年度分の消費税及び地方消費税の還付税額でございますが、国税分が約三・六兆円、地方税分が約一兆円で、合計約四・六兆円でございます。

○小池晃君 消費税の還付金、今数字ありました四兆六千億円ということなんですが、その大半は、これはいわゆる輸出大企業の戻し税という理解でよろしいですね。何割とは言わないけど、かなりの部分はそういうことですね。

○政府参考人(星野次彦君) 実は、この還付額の内訳自体は把握しておりませんので、大宗がこれかどうかということは、そこははっきりはしておりません。
 ただ、先生おっしゃるとおり、輸出企業に係る還付税額が含まれているということは確かでございます。

○小池晃君 いや、含まれているというか、実態としてはほとんどかなりの部分がそうですよ。
 輸出大企業には四兆円を超える還付があるわけですね。それはもう、そちらはそういう、世界がそうなっているからとかいろんな理屈はあるんだと思うんですが、一方で、国民の命、健康を守る医療は還付がないということでいいのかということは、これ消費税の制度できたとき以来一貫して、これやっぱりおかしいんじゃないかという声はあるわけですね。医療界から二十年来、この保険医療のゼロ税率という要望も出ていますよ。
 麻生大臣、ちょっと通告していないけど、ゼロ税率ということをやっぱり要望が出ているということは理解されていますか。保険医療のゼロ税率が要望として出ていると、これはどう受け止めていらっしゃいますか。

○国務大臣(麻生太郎君) いわゆる要望が出ているということで、課税としてゼロ税率を適用して還付というのを認めることについては、これはもう我々、前々からの話ですから知らないわけではありませんけれども、今国税庁の方から話がありましたように多額の減収を招くことになりますので、医療を含みます社会保障のための必要な財源確保をどうやってやるんだと。その分の、四兆だ、五兆だという話になるのかもしれませんが、どれくらいの額かよく分かりませんけれども、それをどうするのかという話が一点。
 七割の医療機関が消費税の免税事業者となっております。これらの医療機関が課税事業者となるわけですから、そうなりますと、消費税の申告のための記帳等の事務が発生することは、もう医者からこれだけは勘弁しろとよく言われますので、これまた別の話です。
 その上で、更に消費税申告のための記帳ができるというんであれば、これは小規模医療機関の事務負担に配慮して、所得税、法人税において概算で経費を計算することを認めている現行の特例制度を継続するという必要性があるのかという話にもなりますので、種々の課題があるのだと、もうこれはよく医療業界と話したり、個別の中小の病院やっておられる方からよく話を聞くところでもありますので。
 いずれにいたしましても、この医療の税制とか課税の在り方につきましては、これは与党税制改正大綱というものの中で方針というのは今後いろいろ示されていくんだと思いますけど、その議論を踏まえつつ、引き続き検討してまいりたいと思っております。

○小池晃君 軽減税率をやるときは、いろんな実務的な問題を一気に乗り越えるようなことをやるわけじゃないですか。
 やっぱり、私は、いろんな問題があることはもちろん承知していますよ、いろんな乗り越えなきゃいけない課題いっぱいあることは。だけど、本筋はやっぱりこれだというふうに私は思っています。だから、税収が失われるというけれども、輸出大企業の戻し税では四兆円超える還付しているんじゃないですか。何で医療だけそこは税収だということで拒絶されるのか。私はこれはもう納得いかない。これはこれ以上やっても多分議論にならないと思うんですが。
 一方で、日本医師会が、三月二十三日に医業税制検討委員会が取りまとめた答申では、各医療機関が設備投資などを行い、消費税負担額が診療報酬による上乗せ相当額、これは二・八九%相当だと思うんですが、これを上回った場合に、その超過額を還付するという提案もされています。これについてどうこうと私、大臣にお伺いしませんが、私はやっぱり、いずれにしても、医療機関が損税をかぶった場合に、それはやっぱり税の世界の中で還付するという考え方でこの問題は解決するしかないんじゃないかというふうに思うんですけど。
 そういう方向で是非検討していただきたいと。

(発言する者あり)

 与党税調の大幹部の方が何かいろいろとおっしゃっているけど、やっぱりそういう方向で是非これは検討していただきたい、検討すべきではないかというふうに思いますが、大臣、いかがですか。

○国務大臣(麻生太郎君) 今の御指摘ですけれども、還付という話なんですけれども、消費税の負担というものにつきましては、これは毎回、診療報酬の改定において、これは経営状況全体を把握して改定率というものを決定しているのでして、全体としては補填されていると、全体としては。
 補填の仕方に問題がある、配分の仕方に問題があることは確かですよ、それだから問題になっているんですから。しかし、全体としてはということになっておりますので。こうした中で、御指摘のように、診療報酬による上乗せを維持しながら、個々の医療機関に損税が生じた場合に還付する仕組みを導入すれば、これは全体としては過大な手当てを行うということにならざるを得ませんからね。
 そうすると、社会保障の財源となっております消費税収が減収を招くことになりますので、そういった意味では、医療を非課税としたまま還付を認める仕組み等々につきましては、これは課税売上げについて還付を認めるという消費税の基本的な仕組みとは、これは全く相入れませんし、免税事業者が多い医療機関極めて多いですから、そういった意味では、還付額の確定のために納税申告と同様の事務負担が生じるという、先ほど申し上げたとおりの問題がありますので、重ねて申し上げますけれども、与党税制大綱はこういったことを全部知っていますので、そういったことを考えて議論が今されているんだと理解しております。

○小池晃君 駄目だ駄目だ、これは駄目だ、これは駄目だ、これは駄目だ、これは駄目だって、どうやって解決するんですか。

○国務大臣(麻生太郎君) 与党の中の税制の中でいろいろ御検討になるので、あちらの方に聞いていただいた方がよほど正しいと思いますけれども、今この場でお答えできるのは、今申し上げたとおりの範囲です。

○小池晃君 私は、これは今に始まった話じゃなくて、消費税導入したときからずっと課題になっているわけで、それ先送りしてきたのはやっぱり政府・与党の責任ですよ、これ。一方で消費税の増税だけどんどん進めながら、この問題に対して答えを出さずに今日まで来た。本当に、もう夏休みの宿題が八月三十一日になってできていないような、そんなものじゃないですか。与党税調だって、これやっぱり遅いですよ、対応が。やっぱり私は、こういう重大問題、これもし今のままで一〇%なんかにしたらば、本当に大変な事態、医療崩壊を招くということになりますから。
 こういう手当てもしないで一〇%に増税するなどということは断じて許されないというふうに思いますので、この問題はもう責任を持って答えを出して、与党税調も含めて答えを出していただきたいということを申し上げて、ちょっと早いですけど、終わります。

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