日本共産党 書記局長参議院議員
小池 晃

検索

国会ハイライト

国会質問・速記録・質問

義援金は収入認定せず/生活保護世帯 小池氏に厚労省答弁/参院厚労委

2016年05月13日

赤旗2016年5月13日付

写真

(写真)質問する小池
晃議員=12日、
参院厚労委

日本共産党の小池晃議員は12日の参院厚生労働委員会で、熊本地震の被災者が義援金を受け取ると、収入とみなされて生活保護が停止されたり減額される恐れが指摘されている問題を取り上げ、厚労省の姿勢をただしました。厚労省の石井淳子社会・援護局長は「東日本大震災の時と同様に、住居の補修や生活再建にあてる場合は収入認定しないとするよう4月27日付で周知している」と述べました。

小池氏は「義援金を寄せていただいた人たちの好意を無にしてはいけない」と強調。石井局長は、収入認定除外のために生活保護利用者が提出する「自立更生計画」について、「義援金については詳細な記述を求めていない」と述べ、「被災自治体が義援金の取り扱いを適切に運用するよう丁寧に周知したい」と答弁しました。小池氏は「被災者に寄り添った対応を徹底すべきだ」と強調しました。

速記録を読む

○小池晃君 日本共産党の小池晃です。
 ちょっと、冒頭、法案入る前に、熊本、大分の地震のことで確認をしておきたいことがあるんですが、生活保護の問題で、被災者が義援金を受け取ると収入とみなされて生活保護が停止されたり減額されたりという報道がございます。これはあってはならないんではないかなと、義援金を寄せていただいた方の好意を無にするようなことは私はあってはならないと思うんですが、厚労省としてはこの問題、どういうふうに対処されているのか、どういうふうに考えているのか、お答えください。

○政府参考人(石井淳子君) 生活保護制度における義援金の取扱いにつきましては、これは東日本大震災のときと同様、住居の補修、生活用品、家具、家電などの生活の再建に充てられる場合にはその金額を収入認定しない取扱いとするよう四月二十七日付けで地方自治体に対して周知をしているところでございます。
 その収入認定の除外に当たりましては、生活保護受給世帯において義援金の使途あるいは金額を記載する自立更生計画を策定する必要があるわけでございますが、震災後、緊急的に配分する義援金につきましては包括的に一定額を自立更生計画に計上して差し支えないとするなど、震災直後、詳細な記載は求めないこととしておりまして、被災者の負担の軽減に努めているところでございます。
 こうした義援金の受取に係る取扱いにつきましては、被災自治体において適切に運用していただけるよう丁寧に周知をしてまいりたい、かように考えております。

○小池晃君 被災者に寄り添った対応を引き続き徹底していただきたいということを申し上げておきたいと思います。
 法案ですが、この法案については、国の責任を認めて給付金を支給する、給付金の請求期限を五年延長するということで賛成なんですが、延長だけでは解決しない必要な手だてがあると思いますので、そういう立場で質問をします。
 先ほどもあったんですが、受検状況です。未検査率がB型で四二・五%、C型で五二・一%。まあ毎年受けなければいけない検査という性格ではないわけで、やはり一回は受けるということであれば、やっぱりこれは、約半数が受検していないという実態は非常に問題だというふうに考えます。
 大臣、やっぱりこの受検状況についての認識、これをどうするのか、お考えを聞かせてください。

○国務大臣(塩崎恭久君) 肝炎の克服に向けて、当然のことながら早期発見、早期治療というのが重要であるわけですけれども、本人が自覚をされないままに感染をしているということが間々あるわけでありますので、全ての国民が少なくとも一回は肝炎ウイルス検査を受検をすることができるように検査体制の整備を進めることとしているわけでございます。
 国民の肝炎ウイルス検査の受検状況については、平成二十三年度の厚生労働省での調査結果では国民の約半分の方が事実上未受検ということになっておりまして、受検率の向上が大きな課題であることは御指摘のとおりでございます。
 受検者を増やすために利便性の高い検査体制を確保することが大事でございますので、都道府県や市町村に対して無料検査実施を働きかけるということがまず第一点。そして加えて、土日、夜間での検診とか出張型の検診の実施にも努めると。
 それから、医療機関への検査の委託の活用などをしっかりと働きかけて、国民が肝炎ウイルス検査を受けやすい環境整備に努めてまいりたいというふうに思います。

○小池晃君 先ほどからもいろんな御指摘があって、職域検査も大事だと思うんですが、自治体の取組としては、ちょっと紹介したいのは、東京の板橋区では国保の特定健診の受診者に肝炎ウイルス検査未受診の方には全部受診券を付けて送ると、もちろん同意書は取るんですが、そういった形でやって、特別な手続しないで、要するに特定健診のときに一回採血すればそれでセットでできるというやり方しているんですね。これ、私は、他の区に比べても受検率が高くなっているというふうにも聞いていますし、こういう国保の特定健診と一体に取り組むということは割とすぐできるんじゃないかなと。
 厚労省としても、やっぱりこういったやり方、普及していく必要があるんじゃないでしょうか。

○政府参考人(福島靖正君) 肝炎ウイルス検査の受検促進のためには、職域検診あるいは医療機関などでの検査など利便性の高い検査体制の確保が重要であるということでございまして、自治体においては、クーポン配付などの受検勧奨、あるいは医療機関への委託、スーパー等への出張型検診、こういう様々な取組を行っているわけでございます。
 今御紹介のあった特定健診の際のセットということでございます。これは、ほかの検診の機会に合わせて肝炎ウイルス検査の受検を勧めると、こういう方法も効果的であると考えておりますので、幾つかの自治体での取組事例も今御紹介のように報告されておりまして、こういう検査を受けやすくするための取組事例につきまして、私どもとして情報収集を行って、自治体の肝炎対策担当者の会議などを通して情報提供を行ってこういう取組を広げてまいりたい、こういうふうに考えております。

○小池晃君 陽性になった方がきちっとその治療に進む、あるいは給付金に進むという手だても併せて進めていただきたいと思います。
 あわせて、医療費助成のことですが、先ほどからもあるんですけど、要するに、肝硬変、肝がんの医療費助成問題、これは先ほど、ちょっといなくなっちゃったけど、長沢さんも言っていて、森本先生も言っていて、こんな、長沢さんと私が同じことを言うなんてめったにないですよ。やっぱりこれは党派を超えてもう課題になっているわけで、さっきからいろいろと何か実態調査がとかと言うけど、いわゆる八橋研究班なんというのもあるわけですから、もうそういう段階は過ぎているじゃないですか。これ、やっぱり、肝硬変、肝がん、進行すると医療費はもうこれは五十万円以上必要な人が数多く、年間、あるし、さらに百万円以上というようなことがもう研究班で出ているし、実際に、肝硬変、肝がんになると体調不良あるいは入院繰り返すということで、収入減るという実態もはっきりこれ出ているわけですね。
 やっぱり大臣、もうくどくど言い訳しないでいいから、踏み込んだってさっき言ったんだけど、もうやります、やる方向で頑張るんだということを、ちょっと決意をはっきり言ってくださいよ。
 党派を超えてみんなで言っているんだから、これはやっぱり応えていただかないとと思いますが、いかがですか。

○国務大臣(塩崎恭久君) お気持ちはよく分かるところでありますけれども、患者の方が参加をしておるこの肝炎対策推進協議会で議論をしてきていただいてまいりました。この肝炎対策基本指針について、先ほど申し上げたとおり、踏み込んで、肝硬変及び肝がん患者に対する更なる支援の在り方については、医療や様々な施策の実施状況を踏まえ検討を進めるということを明記をしているわけでありますから、これは今パブコメをしているところでございまして、この指針をしっかりと固めた上でこの対策をどうするかということも考えていかなきゃいけないんだろうというふうに思っております。
 肝硬変・肝がん患者の受けている今の医療内容あるいは医療費の実態についてのデータをしっかりと把握をして、今年度は調査を実施をするということになっているわけでありますので、その結果に基づいて肝硬変及び肝がん患者に対する更なる支援の在り方の検討を進めていくということで、表現ぶりも踏み込んでやっているということで是非御理解を賜れればというふうに思います。

○小池晃君 今年度は調査をすると、来年度はやるということですね。どうですか。

○国務大臣(塩崎恭久君) いろいろ他の疾病とのバランスとかいろんなことももちろん考えながらではありますけれども、気持ちの上ではしっかりと踏み込んでいかなきゃいけないというふうに思います。

○小池晃君 気持ちはよく分かりましたけれども、実際にやっていただきたいと。
 それから、身障認定基準ですけれども、これは、チャイルド・ピュー分類でこれまではチャイルドCだけだったんですね。これをやはり六か月の持続が必要だということで、私も何回か手帳の申請をやったことがあるんですよ。物すごい大変なんです、これね。四月からチャイルドBまで拡大されたことは評価するんですけれども、やっぱりこれ更に充実、拡充すべきではないかというふうに思うんですが、この点どうですか。

○国務大臣(塩崎恭久君) 平成二十二年の四月から、肝臓機能障害の身体障害認定基準を定めて、国際的な肝臓機能障害の重症度分類である、今お触れをいただきましたチャイルド・ピュー分類のA、B、Cの三段階のうちの最重度の分類Cに該当する患者のみを障害認定の対象とするということにしていたわけでございます。
 その後、患者団体から分類Bであっても日常生活が制限されている実態があるというなどの認定基準の緩和を求める声を受けていたことから、医学的知見及び患者団体からのヒアリングなどを踏まえて検討を行って、本年四月より分類Bの患者も認定対象とする見直しを行ったわけでございまして、これによって分類Bの肝がん・肝硬変患者も含めて新たに身体障害者手帳の認定の対象となるものが増加をするものだというふうに見込んでいるわけでありまして、厚労省としては引き続きこの認定をしっかりとやり、制度の周知そして認定状況の把握に努めていくことでしっかりとこれが対応できるようにしていきたいというふうに思います。

○小池晃君 これは更に拡充をしていただきたいと思います。さらに、B型肝炎に対する治療薬の開発に対してもやっぱり国として援助を強めるということも要望しておきたいと思います。
 続いて、除斥期間の問題についてちょっといろいろと聞きたいんですが、今回の特措法の制定時に宿題となっていた肝硬変・肝がん死亡者で二十年の除斥期間を経過した原告について国と原告団との基本合意に基づいて給付金の額を決めたわけであります。

〔委員長退席、理事島村大君着席〕

 そこで、お聞きしますが、政府はまず特措法制定の時点で慢性肝炎の発症から二十年以上経過したいわゆる除斥期間に掛かる提訴者がどのくらいに上ると予測されていたんでしょうか。

○政府参考人(福島靖正君) 平成二十三年に基本合意書を締結した際に、和解対象となるその除斥期間を経過した方については、これはそれぞれ疾病の中身はあるわけでございますが、慢性肝炎の方については一万九千人、無症候性キャリアの方はほぼその大多数が除斥ということで、これは四十万人程度というふうに推計をしておりました。

○小池晃君 慢性肝炎で除斥対象となる、一万九千人という話で、一方、特措法制定からほぼ五年経過した現時点で除斥期間に掛かっている慢性肝炎として既に和解した原告は何人なのか、あわせて、現時点ではまだ和解していないけれども、政府としては除斥期間に掛かっていると、除斥期間になっちゃっているというふうに裁判所において主張している原告というのは何人でしょうか。

○政府参考人(福島靖正君) いわゆる除斥期間を経過している慢性肝炎として既に和解をした原告の方は、平成二十七年度三月末時点でございますが、四百名でございます。また、いわゆる除斥期間が経過した形であれば和解できると私どもで考えている方でまだ和解に至っていない原告の方が約二百四十名でございます。

〔理事島村大君退席、委員長着席〕

○小池晃君 配付した資料は厚生労働省からいただいたものでありますが、今の答弁も含まれておりますけれども、慢性肝炎の推計対象者数一万八千人に対して、これ、来年一月までの見込み提訴者数は一万二千人、ですから見込み提訴率は六七%というふうになっております。一方で、除斥は全く違うんですね。除斥に掛かる方については、今あったように、慢性肝炎で推計対象者一万九千人に対して見込み提訴者数は僅か四百人、実に二%なわけですね。極めて低い。結局、やっぱりこれは除斥の方の給付額が低額であるという問題もあると思うんですけれども、やっぱりここを何とか改善するためのいろんな手だてが私は必要なんではないかなというふうに思うんですね。
 今回の基本合意で、基本合意の二ですけれども、肝がんについては除斥期間の起算点について、いわゆる多中心性の肝がん、再発がんの場合は、これは先発がんではなくて後発がんとしたわけです、起算点を。これは私は医学的には極めて合理的だと。要するに、転移ということではなくて、同じベースの肝臓から、肝細胞から別のがんが生じてくるわけですから、これは後発がんがやっぱり起算点になるというのはこれは医学的にも極めて合理的だというふうに思うんです。
 しかし、このことによって、結果として除斥の適用にならずに済む肝がん被害者の数が増えることに私はなるんではないかというふうに思うんですが、その認識は間違っていますでしょうか。

○政府参考人(福島靖正君) 今御指摘の多中心性発生による再発肝がんでございますけれども、初発の肝がんが根治した後に新しいがんが発生するという特異性に鑑みまして、当初の損害とは質的に異なる損害が新しく生じたと、こういうふうな評価ができるために、再発がんの発生時を例外的に除斥期間の起算点としたものでございます。
 こういう取扱いにつきまして、多中心性発生による肝がんを再発された方に限られるわけでございますが、一部の肝がん患者の方については除斥期間の起算点が元々の発症よりも、肝がんの時期よりも後の時点になるということでございまして、御指摘のとおり、結果的、結果的には除斥の適用を受けないで済む肝がんの患者さんが増える、人数についてはなかなか詳細には把握できませんが、こういうものが増えるものというふうに考えておるところでございます。

○小池晃君 ここは私は評価したいと思うんですよ。そういった形でやっぱり除斥の対象から外れるという人をできるだけつくっていくということは大事なことだと思うんですが、医学的にも先ほど言ったように合理的な私はやり方だというふうに思うんですが。
 慢性肝炎の場合、先ほどの答弁で、まだ和解していない慢性肝炎の原告のうち、国としては除斥に掛かっているというケースは二百四十あるということだったんですが、こうした中にはやっぱり話合いが継続中のケースというのも含まれているというふうに当然思うわけであります。
 基本合意の二では、再発肝がんの場合の除斥期間の起算点は後発がんとすることによって除斥に掛からずに済む原告の範囲を拡大することができたわけですね。そんな何千人もというわけじゃないけれども、慢性肝炎もこれは病態としてはこれは活動期、非活動期繰り返す。やっぱりその一定ずっと安定期というか、全くデータ上は異常が出ないのがかなり期間がたってから出てくるとか、いろんなパターンがあるわけであります。そういう点でいえば、やはり私はこの除斥期間の起算点について、肝がんでやったものとはちょっと質的には違ってくるかもしれないけれども、やっぱり患者の病状をやはり踏まえた柔軟な起算点の考え方というのはあってしかるべきなんじゃないかなと。これやることによって、やっぱり除斥に掛からない原告の範囲を拡大することができるんじゃないかなと。除斥になるかならないかで全然給付金の額も違ってくるわけだから、これはやっぱりかなり重大な問題になってくるわけですね。
 加えて、この問題、そもそも、やっぱりB型肝炎ウイルスの感染被害というのは、これは平成元年に北海道で提訴があって、これ最高裁判決まで十八年掛かったわけです。ところが、国は、この最高裁判決で、多数のほかにも同様の被害者が存在することが推定されたにもかかわらず、被害者救済に踏み出さなかった。だからまた新たな裁判が起きた。で、基本合意、特措法制定まで更に五年を要したわけですね。やっぱりこういう経過もあるわけです。
 そういったことも踏まえれば、私は、被害者の十分な救済を実現するために、大臣、慢性肝炎の除斥の起算点についてもやっぱりできるだけ柔軟な対応をしていく、それによって少しでも救われる人が増えていくという立場でもう一歩踏み込む必要があるんじゃないかなというふうに考えるんですが、大臣、いかがでしょうか。

○国務大臣(塩崎恭久君) 集団予防接種によってB型肝炎感染被害に係る除斥期間の起算点について御指摘がございました。
 平成十八年の最高裁判決では、損害の発生時はB型肝炎の発症時と判示をされております。平成二十三年の基本合意書、ここでも慢性肝炎を発症後提訴までに二十年を経過したと認められる者というのがいわゆる除斥慢性肝炎に該当すると明記をされているわけでございます。この発症の時期については、基本合意におきまして、カルテや各種検査結果、原データなどの医療記録に基づいて医学的知見を踏まえて総合的に判断するとされておりまして、今後とも当該合意に基づいて適切に運用をしてまいりたいというふうに考えております。

○小池晃君 いや、だから、総合的でしょう、総合的でしょう。だから、やっぱり柔軟に、そこはやっぱり被害者に寄り添って、私は、これ法的解釈すれば、加害者なんですから、国は、この問題について言えば。やっぱり最大限被害者側の利益を尊重するという立場で臨むことは、これは当然必要だと思うんですよ。
 だから、やっぱり考え方として、今言ったことは形式上はそうなるんでしょう、法的には。ただ、やっぱり姿勢として、国の姿勢としてやっぱりできるだけ被害者に寄り添った形で起算点の計算をすると、起算点を考えるということぐらい言ってください。

○国務大臣(塩崎恭久君) これ、御案内のように、元々集団予防接種が原因でこういう事態が起きたということでありますから、当然、国の責任の在り方ということは、御指摘の点はもちろんあるわけでございます。
 しかし、これ、裁判にのっとって、今回の延期の話もそうですが、法律ができているわけでございますので、私どもとしては、気持ちはもちろん患者の皆さん方に寄り添うということはそのとおりだと思いますけれども、法律的な問題については、やはりきちっとした対応をしていかなければならないというふうに考えているところでございますので、今後とも、基本はやっぱりこの基本合意でございますので、これに基づいて適切に運用をしてまいりたいというふうに思っております。

○小池晃君 これ以上やってもあれなんで。ただ、やっぱり被害者の立場に寄り添ってきちっと運営していくことが法の精神にも私は基づくものだという立場で臨んでいただきたいというふうに思っています。
 終わります。

閉じる

資料

ご意見・ご要望