2016年5月26日 厚生労働委員会 速記録1

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○小池晃君 日本共産党の小池晃です。
 お三人の参考人の皆さん、ありがとうございます。
 まず、磯谷参考人にお伺いしたいと思うんですが、本改正案の一条に子どもの権利条約の精神ということが明記されたことの意義なんですが、これはやはり保護の対象から権利の主体という点では非常に画期的ではないか、非常に大きな役割があると思うんですね。先ほど参考人もこれからこれはじわじわ効いてくるというようなお話をされましたけれども、このことでどのようなことを期待されているか、その意義も併せてお聞かせください。

○参考人(磯谷文明君) 御質問ありがとうございます。
 日本は御承知のとおり子どもの権利条約は締結をしているわけですけれども、実際なかなか、実際の法制度に浸透してこなかったというふうに思っておりますが、今回この児童福祉法にそのことが、しかもその一番最初に明記されたというのはとても画期的だと思いますし、この点は私の理解では大臣が随分この子供の権利ということをお考えになったと伺っております。そういったところも反映されたものというふうに理解をしております。
 これがどういうふうに効いてくるかというところはなかなか容易に予測は難しいのですけれども、やはり子どもの権利条約の一つの大きな目玉というのが意見表明権で、やはり子供が自分のことについて意見をきちんと述べて、かつ年齢や成熟度等には応じますけれども尊重されるということになっています。
 児童福祉の現場でも、もちろん実際上は子供の話も聞きながら援助方針を決めてはいますけれども、それをもう少し明確に意識付けをしてやるというふうなこともこれから考えていくことになるのかなというふうに思っています。児童福祉というのはやっぱりどうしても子供を助けてあげるというふうな形の発想になりがちですけれども、そこで、一体でも子供はどう考えているだろうか、もちろん子供が考えていることが全て正しいわけでないのはこれは残念ながらそうなんですけれども、やっぱりそこをきちんと受け止めるやり方というのをこれから具体的に考えていけるんじゃないかなというふうに期待をしているところであります。
 以上です。

○小池晃君 ありがとうございます。
 辰田参考人にお伺いしたいと思うんですが、家族統合というのは本当に今大変になってきているんじゃないかなと。特に、阻害しているものは一体何なのかという辺りで、虐待の要因の一つにやっぱり子供の貧困ということが指摘をされていると思うんですね。現場でお仕事されていて、この貧困という問題が家族統合にどのような影響を与えているというふうにお感じか、お聞かせください。

○参考人(辰田雄一君) 御質問ありがとうございます。
 虐待の発生している家庭について、イコールではありませんが貧困の家庭が多くあることは事実であります。当然そういった経済的な基盤の弱さ、またそういった家庭において、それがやっぱりいらいらだとか、そういったものがやっぱり力の弱い子供に向かってしまうというところで虐待が発生している家庭が数多くあります。
 そして、家族再統合に向けてというところでは、当然虐待したことを親にきっちり認識してもらい、そのためにどうしたアプローチを、子供への関わり方だとか、そういったところをまたペアレントトレーニングなどいろんなケアを入れながらやっていきます。ただ、当然、でも経済的な貧困が解決しているわけではありませんので、やっぱりそういったところにどのように親に対しての支援をどう入れていくか、そこもやっぱり並行して考えていかなければなかなか厳しい状況にあろうかと思います。

○小池晃君 ありがとうございます。
 重ねて、一時保護所の実態なんですけれども、非常に、非行、虐待、混合処遇となっているということで、そこに過密という問題が加わって非常に困難が生じているというふうに聞いているんですが、その点どのようにお考えでしょうか。

○参考人(辰田雄一君) 御質問ありがとうございます。
 今、一時保護所の方も、本当に保護されている子供の種別は様々です。そこで必要な保護ということは、やはり保護所がいっぱいだから保護しないということでは当然ありません。必要な保護は児童相談所長がしっかり判断して保護所に入れなければならないと思っていますし、当然、保護先は一時保護所だけで対応するものではなく、保護する子供の中で養育困難だとかまたそういったものがあれば、例えば里親さんの方に一時保護委託を掛けたり、そしてまた学校の方に通学できる体制を取ったりだとか、そこはいろいろ考え方はあろうかと思っております。
 ただ、混合処遇は、そこは賛否、正直あります。
 そこへ虐待の子また非行の子も入ってくる。そういう中で、じゃ、一律的などういった支援をしていったらいいか、一律ではないところもありますし、個別的なところをしていかなければならない。
 やっぱり学校の教育の保障もどうしていってあげたらいけないか。
 先ほど質問の方で回答させていただいたとおり、職員の配置の基準というのが児童養護施設に準じてなんですね。そこは一時保護所独自の職員配置だとか、そういったこともやっぱり考えて、個別のニーズに応えられる体制を整えていかなければならないと考えております。

○小池晃君 ありがとうございました。
 木ノ内参考人にお伺いしたいと思います。
 先ほどのお話聞いて、やはり里親などの家族的養護の非常に重要性、意義ということは大変大きいというふうに思いました。これ進めるべきだと思うんですが、当面すぐに施設を置き換えることが現実にはなかなか難しい、諸外国のような方向に持っていくべきだと私も思いますが。そういう中で、施設処遇の在り方について里親の立場から施設に望んでおられること、このようなやっぱり施設処遇でもこういったことが必要なんじゃないかという御提言いただければと思うんですが。

○参考人(木ノ内博道君) 今、十五年計画で家庭的養護に進めていこうというような国の方針も出ておりまして、まずはやっぱり施設の小規模化というところに取組が始まっているかと思います。
 今、五十人以上の施設が半分ぐらいあるというようなことで、やはり集団養育を個別養育の方に切り替えていくということが一つだろうと思いますし、併せて家庭養護を増やしていくというような、そういう部分があるかと思いますし、それから、施設を今のような施設ではなくて、もっと療育ができる、課題を持った子供たちに対応できるような、そういう施設に変わっていくというようなこともあるでしょうし、もう一つ、例えば乳児院などは、働いている人が乳児を専門に養育できる、家庭に連れて帰れる、赤ちゃんを、そういうような、場合によっては職業里親になるのかもしれませんけれども、何らかのそういった新しい仕組みをつくり出して、それで施設を変化させていくというようなことが可能なのかなというふうに思って、そういった議論を専門委員会でもしておりました。

○小池晃君 ありがとうございました。
 最後に、もう一回磯谷参考人にお伺いしたいんですが、磯谷参考人の資料の最後のページに陳述では触れない問題点というのがあるんですが、もしよろしければ、簡潔にでも感じておられる問題点をお話し願えますか。

○参考人(磯谷文明君) ありがとうございます。
 これは、差し出がましいのですけれども、私がほかの法律関係者と話をしているときに、どうなんだろうねというふうに思っていたところで、先生方はこれから政府の方にもいろいろと質問などをされるんだろうと思いますので、全くの御参考ということで作成いたしました。
 まず、一つ目の丸のところなんですけれども、これは、養子縁組その他の、児童も含めて、そういった方の相談に応じたり、必要な情報提供、助言をしたり援助をしたりという規定であります。
 これはもちろん非常に有意義な規定ではありますけど、その中に特別養子によって親族関係が終了した実方の父母も対象に含んでいるということから、一体どういうふうな支援を想定しているのかなというところがちょっと見えてこないよねというふうな議論をしていたところです。
 それから、二つ目の児童福祉法四十八条の三の方は、施設とかが市町村、児童相談所などと協力して親子の再統合のための支援等をやっていくということで、これもまた非常に重要なことなんですけれども、里親さんがやはりこの中に義務付けられているわけですね、里親さんもそういう措置をとらなければならないということになっている。
 ただ、木ノ内参考人のお話からすると、力のある里親さんだったらいけるのかなという気もしますけれども、一つは、里親さんに過大に負担にならないかなというふうなこと、特に親子を再統合というところまで、日々の生活もすごく大変だと思っておりますので、そういう意味でここまで期待をするというのがちょっと酷なのではないかなということと、あとやっぱりどういうふうな措置が想定されているのかなというところは疑問に思っていたということでございます。
 ありがとうございます。

○小池晃君 大変ありがとうございました。
 終わります。

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