だまし討ちの暴走許されない/参院予算委 小池書記局長 政治の転換迫る

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赤旗2016年10月7日付

 6日の参院予算委員会で、安倍内閣の姿勢を追及した日本共産党の小池晃書記局長。年金、介護、医療、雇用分野で安倍内閣の暴走を告発し、国民の立場に立って政治の転換を迫りました。


「働き方改革」

裁量労働制で広がる「過労死予備軍」――「残業代ゼロ法案」は撤回せよ

経営側に偏った改革会議

写真

(写真)質問する小池晃書記局長(右)
=6日、参院予算委

 安倍晋三首相が掲げる「働き方改革」について、小池氏は、「残業代ゼロ」法案に盛り込まれている「裁量労働制」の拡大を取り上げ、すでに導入している大企業の実態を告発し、同法案の撤回を求めました。

 裁量労働は、仕事の進め方などを労働者の裁量に委ねることを条件に、あらかじめ決めた「みなし労働時間」以上働いても残業代は支払われない制度です。

 小池氏は、裁量労働制を採用しているトヨタとソニーの労働者の実態を紹介。トヨタでは、同制度の適用者1740人(3月時点)中、「超過在社時間」が80時間を超えるなど健康診断の対象となった社員が347人に上ることを示し、「5人に1人が過労死予備軍となっている。重大だ」と迫りました。

 塩崎恭久厚労相は「(裁量労働を拡大する際は)過大な業務が課されないよう、新たな指針を設ける」と答えました。

 小池氏は、「『指針』で解決しない」と批判し、ソニーでは、社員の半分が裁量労働となっていると告発。大臣席から「ほお、2人に1人か」と、驚きの声が上がりました。

 小池氏は、最長で月94時間も働き、支払い義務がある深夜手当も支払われていなかったとして労基署が指導に入っていると批判しました。

 小池氏は、「裁量労働制は労働時間を正確に把握できない。ソニーのように適用者が広がれば、長時間労働がさらに広がる」と警告。「制度の実態を詳細に調べ、“みなし労働時間”を超えた場合の厳格な是正指導をするべきだ。対象の拡大などもってのほかだ」と強調しました。

 小池氏は、安倍首相が“働く人の立場に立った議論”を行う場という「働き方改革実現会議」の構成についても追及しました。

 同会議を構成する労働者の代表が連合会長ただ1人なのに対し、経営側からは経団連会長はじめ7人が選ばれています。小池氏は、労働法制を検討する労働政策審議会が、公労使10人ずつで構成されているのと比べ「あまりに経営側に偏った構成だ。これで『働く人の立場』に立てるのか」と批判。安倍首相は「見方の問題だ」としか答えられませんでした。

 小池氏は、「働く人の立場に立った改革」を本気でやろうというのなら「ナショナルセンターの違いを超えて労働組合が反対している法案を今国会で強行するのは矛盾だ」と強調。安倍首相は「採決するかどうかは国会で決めること」と答えました。

 小池氏は、「残業代ゼロ」法案はきっぱり撤回し、▽労働基準法による残業時間の上限規制▽勤務が終わってから次の勤務までの休息時間を保障する「インターバル制度」の法制化―を求めました。

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公的年金積立金

巨額損失を招いた株式運用拡大老後の安心を壊し、経済ゆがめる

公的マネーが大企業の筆頭株主に

 小池氏は、安倍政権下で公的年金積立金の運用方法が変更され巨額の損失をだしている問題を取り上げ、老後の安心を壊し経済をゆがめる株式偏重の運用を見直すよう迫りました。

 安倍政権は2014年10月、140兆円(当時)に上る年金積立金の運用比率を変更し、国内債券を60%から35%に下げ、株式を25%から50%に引き上げました。その結果、15年4月から今年6月までの運用損失が10・5兆円に上っています。

 塩崎恭久厚生労働相が、アベノミクスで経済が物価上昇局面に入れば債券中心の運用では収益が悪化するので「適切な見直し」だと言い訳したのに対し、小池氏は「いつまで待っても物価上昇局面は生まれていない」と批判。実際には、運用を拡大した株式は11・4兆円の損失になり、国内債券が3兆円の黒字になっていることを示し、「政府の政策変更がなければ、株価が下がってもここまで損失にならなかった事実を認めるべきだ」と批判しました。

 安倍首相は「年金運用は長期でみるのが常識」「不安をあおる議論」などとむきになって釈明しましたが、議場からは「答弁が非常識だ」との声が飛びました。

 小池氏は「不安をつくっているのは安倍政権だ」と一喝。「リスク運用に大きくかじを切ったことに国民が十分納得していると思うか」と迫りました。安倍首相は「10兆円だけ強調されると誤解を招く」と開き直り、小池氏は「勝手に変えることは許されない」と批判しました。

 小池氏はさらに、株式比率が高められたことで、日経平均株価に組み込まれている225社中117社で、年金を運用する独立行政法人「年金積立金管理運用」が筆頭株主となり、日銀と合わせると177社で公的マネーが筆頭株主になっているという試算を提示。「経済のあり方として異常だ」とただしました。

 安倍首相は「大胆な金融緩和がなければデフレから脱却できない」というだけでまともに答えられず、小池氏は「運用が想定通りにならなければ、国民が害を被ることになる。このようなやり方はやめるべきだ」と迫りました。

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介護

軽度者のサービス取り上げ、負担増重度化すすみ「介護離職ゼロ」に逆行

 小池氏は、介護や医療などで計画されている改悪メニュー(工程表参照)を示し、「負担増と給付削減のオンパレードだ」と批判しました。安倍首相は「聖域化せず無駄は省いていく」としながら、「必要としている給付を必要としている方に届ける」と答えました。

 小池氏は「(問題は給付が)必要な人に届いているかだ」として、京都ヘルパー連絡会のアンケートを紹介。腰痛がひどくて掃除や調理もできず要介護1と認定された80代の女性は、複数のサービスが利用できるのに、年金生活のため1割負担が重く、週1回の生活援助にしぼりました。小池氏は「この上、利用料が上がり、原則自己負担になれば、頼みの週1回の生活援助も断念せざるを得ない」という声を紹介し、「必要なサービスまで利用できなくなるのではないか」とただしました。

 塩崎恭久厚労相は「財政審(財政制度等審議会)が言っていることだ」と言い訳。小池氏が改悪メニューを「拒否するのか」と迫ると、塩崎氏は「議論を深めていく」というだけで拒否するとは答えませんでした。

 介護保険で福祉用具を借りている人は全国で189万人。6割以上が要介護2以下です。日本福祉用具供給協会の調査に、自宅での車いす利用者はレンタルをやめた場合、トイレは半数が「介護者を依頼する」、入浴や洗面は3割、食事は2割が「その行動をあきらめる」と回答し、6割が家族親族に介助を依頼すると答えています。

 小池氏は「これでどうして『介護離職ゼロ』が実現できるのか」と追及。要支援1、2と要介護1、2の利用料負担の引き上げが検討されていることも告発し、「軽い人のサービスを取り上げ、負担を重くすれば、より重度化してしまう。そうすれば介護費用はますます増大する」と強調しました。

医 療

「3割」超える自己負担増国民との約束をほごにするな

 医療保険でも負担増がめじろ押しです。

 小池氏は「かかりつけ医以外を受診した場合の定額負担の導入」を取り上げ、「患者負担は3割を超える」と指摘。健康保険法で7割給付を「将来にわたって維持する」としていることを示し、「国民への約束をほごにしようというのか」とただしました。

 塩崎氏は「将来にわたり100分の70を維持するということ(健康保険法)は守っていかなければならない」と答弁しました。

 小池氏は「(厚労相は)法律でできないと言った。提案は撤回すべきだ」と追及。麻生太郎財務相が「財政をあずかる立場としていろいろなことをやるのは当然」と開き直ったため、「財政のために法律を破っていいのか。こんな無責任な提案は許されない」と批判しました。

 さらに小池氏は、自己負担の限度額を定める「高額療養費制度」について質問。高齢者の負担額引き上げが検討されており、一般的な所得があれば、70歳以上の負担上限が月額1万2000円から5万8000円になるとただしました。

 全国がん患者団体連合会の天野慎介理事長が「高額な薬を生涯飲み続けなければならない人もいる。『カネの切れ目が命の切れ目』になりかねない」と発言していると紹介し、「こういう提案は許されない。撤回すべきだ」と訴えました。

高薬価

算定組織は非公開で議事録もなし製薬企業言いなり価格にメスを

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 小池氏は、国民に負担増と給付減を迫る一方で医療保険財政に打撃を与える高薬価が放置されている問題をただしました。

 小池氏は、1年間使用すると患者1人当たりの負担が約3500万円になる抗がん剤・オプジーボについて各国の価格比較(図)をパネルで示し、日本の異常な高薬価を告発しました。

 オプジーボの薬価は原価計算方式で決められ、あらかじめ営業利益率が加算され、必ず利益がでる薬価が保障されています。この上、平均利益率(16・9%)に60%も上乗せされています。

 小池氏がこうした薬剤があるかとただすと、塩崎厚労相は「オプジーボ以外にない」と認めました。

 「製造原価も研究開発費もブラックボックス。メーカーの言い値だ。その上、60%の営業利益率の加算で大盤振る舞いだ」と小池氏。

 塩崎氏が、オプジーボは、予測患者数を470人として薬価が設定され、その後、1万5千人に対象を拡大したものの薬価は引き下げられていない事実を認めたため、「何の手も打っていない。メーカーの思うつぼではないか」と批判しました。

 さらに小池氏は、薬価を決める「薬価算定組織」が非公開で行われ、議事録もない驚くべき実態を告発しました。

 小池氏は、1997年2月の衆院予算委員会で高薬価問題を取り上げた日本共産党の志位和夫書記局長(当時)に、小泉純一郎厚相(当時)が薬価の透明性確保を検討する姿勢を示し、橋本龍太郎首相(当時)も「その通りの方向で進む」と答えていたことを紹介。「あれから19年。透明性の確保どころか、今も、議事録すら残さない会議の中で異常に高い薬価が決められている」と迫りました。

 安倍首相は、製薬業界の「機密性」をタテに非公開を正当化。小池氏は「国民に痛みを押し付ける前に、やるべきことは高薬価にしっかりとメスを入れることだ」と力を込め、オプジーボの薬価の大幅引き下げ、薬価算定プロセスの全面的な見直し、薬価算定組織の議論の情報公開を求めました。

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