論戦ハイライト/だまし討ち政治・白紙領収書暴いた小池質問に大反響

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赤旗2016年10月9日付

 6日の参院予算委員会で、安倍内閣の国民だまし討ちの暴走や主要閣僚の「政治とカネ」の問題を追及した日本共産党の小池晃書記局長。視聴者の反響が相次ぎ、マスコミでも注目を集め、他の野党議員からも応援の声が上がった熱い論戦のハイライトをワイド版で紹介します。


公的年金 巨額損失出した株式運用拡大

小池 運用方針変えて損失が拡大した事実認めよ
安倍 「運用は長期で見るべき」と反省なし

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 小池氏の質問は午後1時から。小池氏はまず、安倍政権下で公的年金積立金の運用方法が株式偏重に変えられ、15カ月間で10・5兆円もの巨額損失を出した大問題を取り上げました。

 安倍政権は2014年10月、140兆円(当時)にのぼる年金積立金の運用比率(ポートフォリオ)を変更し、国内債券を60%から35%に下げ、株式を25%から50%に引き上げました。その結果、15年4月から今年6月までの運用損失が10・5兆円にものぼっています。

 小池 安倍政権が運用方針を変えた結果がここに出ているわけですよ。総理、ポートフォリオ変更後にマイナスが拡大したという事実を認めていただきたい。

 塩崎恭久厚生労働相 物価が上昇局面に入っていくという想定の下で、従来のポートフォリオではなかなか難しいということで、株式等への分散投資を進めたものでございます。長期的に見れば、必要な積立金を下回るリスクは少なくなって、これは適切な見直しであって、やはり長期で見るのが年金運用の常識だというふうに思います。

 小池 政策変更したことで10・5兆円の欠損をつくりながら何の反省もない。そういうことでいいんですか。いつまでたっても物価上昇なんかしていないじゃないですか。運用資産別の収益を見てください。マイナスになるといっていた債券だけがプラスを続けて逆に3兆円の黒字になっている。ポートフォリオの変更をしなければ株価が下がったって、これほどの損失にならなかったという事実をはっきり認めてください。

 安倍晋三首相 長期で見なければいけないというのは、年金の運用においては常識なんです。長期で見れば、リーマン・ショックを含む平成16年度から25年度までの10年間について、現行のポートフォリオで運用したと仮定すれば、従前よりも1・1%高い収益率が得られる。不安をあおるような議論は慎むべきではないかと思うわけであります。

 小池 不安をつくったのは安倍政権の政策変更だからいってるんじゃないですか。10年前に変えていたらもっともうかっていたなんて、「捕らぬタヌキの皮算用」みたいな話じゃなくて、現実にしっかり向き合うべきだというふうに思います。

 年金の積立金は政府の持ち物ではなく、国民の財産です。政府は運用を委託されているだけであり、国民に十分に説明責任を果たすことが必要です。しかし、国民はまともな説明も受けていません。

 小池 リスク運用に大きくカジを切ったことについて、国民にちゃんと説明したといえますか。国民のみなさんは、十分に納得したと総理は考えますか。

 安倍 従前のポートフォリオよりもプラスになっているということを申し上げているわけで、(この間の損失を)ことさら取り上げるのは間違っているわけでありまして、安倍政権の3年間では27・7兆円のプラスになっているわけであります。

 明らかな損失を認めようともしない安倍首相に対し、野党席から「無責任だ」「反省がない」との声があがりました。安倍首相は「冷静な議論をしようじゃありませんか」「冷静な議論が大事なんですよ」と必死で弁明に回ります。小池氏はこう批判しました。

 小池 まったく答えがない。明らかな事実すら認めようとしない。こんな政権に任せておいていいのかとテレビを見ている人は不安に思いますよ。国民に対してちゃんと説明しなきゃ。勝手に運用方針を変えるなんてことはやってはいけないんですよ。(「そうだ」の声)

公的マネーが筆頭株主

小池 経済のあり方として異常
安倍 「デフレ脱却に必要」と正当化

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 さらに小池氏は、株式の運用比率が高められたことで、「日経平均株価」に組み込まれている東証1部上場企業の225社(「日経225」)のうち117社で、年金を運用する「年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)」が筆頭株主となり、日銀と合わせると177社で公的マネーが筆頭株主になっているという驚くべき実態を告発しました。

 筆頭株主には、トヨタ自動車、三菱UFJ、セブン&アイ、ソニー、武田薬品、三菱商事など名だたる大企業がズラリ並んでいます。

 小池 日経225の8割の大企業の筆頭株主が年金資金と日銀という事態になっている。こんなことが世界のどこにあるのか。あまりにも異常ではないですか。

 塩崎 GPIF法にもとづいて20の信託銀行等に投資判断を一任しており、個別の投資判断にGPIFが関与する余地はないと。2千社以上の幅広い企業に投資しており、民間企業への介入とか大企業優遇という問題があるとは考えていないところであります。

 小池 特定の企業に介入しているなんていっていないんですよ。日銀も入れたら株式時価総額の1割近くが公的マネーになっている。このことが経済のあり方として異常ではないか。そういう認識はないんですか。

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(写真)パネルを示して質問する
小池晃書記局長=6日、参院予算委

 安倍 日本銀行はデフレから脱却するために必要な金融政策を行っているものと理解しております。

 これには他党議員からも「おかしいよ」との声が。あまりに「異常」な実態を認めるどころか必要だと開き直る安倍首相。小池氏はこう厳しく批判しました。

 小池 社会保障のことを議論すると、「持続可能性」だと繰り返すくせに、株式運用でこれだけ大穴を空けても何ら恥じることがない。積立金運用が想定通りにならなければ、結果的に国民がばく大な被害を被ることになるわけですから、こんなやり方はやめるべきだと申し上げたい。(「そうだ」の声)

介護 軽度者サービス取り上げ、負担増

小池 「介護離職ゼロ」にも逆行する
塩崎 どういうムダを排除するかも議論していく

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 安倍首相は参院選中、「アベノミクスの果実を社会保障に回す」と繰り返してきました。

 ところが、選挙が終わると、厚労省の審議会では介護も医療も負担増と給付減の計画が次々と出てきて、大問題になっています。

 小池氏は、社会保障で計画されている改悪メニュー(社会保障改革工程表)をパネルで示して追及しました。

 小池 参院選では社会保障の充実に力を尽くすと繰り返していたのに、いま提案されていることは真逆だと思います。全体としてみれば大半が負担増と給付減であることは間違いないですね。

 安倍 社会保障といっても聖域化せずにムダは省いていく。そうした努力をしていくのは当然だろうと思います。大切なことは給付が必要としている方にしっかり届けられることだと考えます。

 小池 必要な人に本当に必要なものがいってるかですよ。

 小池氏は、京都ヘルパー連絡会のアンケートを紹介しました。

 腰痛がひどくて掃除や調理もできず要介護1と認定された80代の女性のケースは―。

 複数のサービスが利用できるのに、年金生活のためサービス利用料の1割負担が重くのしかかり、週1回の生活援助に限定しています。「この上、利用料が上がったら、頼みの週1回の生活援助も受けられなくなる」と訴えています。

 小池 必要なサービスを提供するといったけれども、1回250円の生活援助が原則自己負担になれば、2500円を払わなきゃいけない。必要なサービスを受けられなくなるんじゃないですか。

 塩崎 全額自己負担にしろというのは、財務省の財政審のなかで意見が出ているものでありますので、私たちは介護保険の理念をしっかり押さえながら、しかし制度の持続可能性も守っていかなきゃならないので、そういう観点で議論を深めていきたいと思っております。

 小池 じゃあ、財務省の提案は拒否するんですね。

 塩崎 議論を深めていくわけであって、自己負担の提案は私どもからしているわけではございません。

 小池 無責任ですよ(「そうだ」の声)。決まってからじゃ遅いから聞いているんじゃないですか。

 さらに、全国で189万人が利用している福祉用具レンタル。利用者の6割以上が要介護2以下の高齢者ですが、財務省は、これについても原則自己負担化を求めています。

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 小池氏は、日本福祉用具供給協会が行ったアンケートを紹介。負担増によってレンタルをやめた場合、トイレは半数が「介護者を依頼する」、入浴や洗面は3割、食事は2割が「その行動をあきらめる」と回答し、6割が家族親族に介助を依頼すると答えています。

 小池 こんなことをやったら、「介護離職ゼロ」に逆行するんじゃないですか。

 安倍 持続可能性とどれぐらい負担できるかということも勘案しながら決めていかなければならないと思っております。

 小池 「介護離職ゼロ」と両立するわけないじゃないですか。

 安倍 これはまだ決まっておらず、議論が続いているわけです。

 小池 じゃあ、自己負担化はやらないんですね。

 塩崎 必要なサービスは確保されるということを念頭に入れながら、どういう「ムダ」を排除できるのかということもありますから、これから議論を深めていこうということです。

 塩崎氏が「ムダ」と述べたことに、野党議員から「何がムダなんだ」といっせいに批判の声が上がり、塩崎氏は慌てて「いや、この例えば用具にしてもいろいろな値段があるわけであって、どこまで許されるものなのかとか、いろいろあって…」と弁明に終始。小池氏はこう追及しました。

 小池 福祉用具は「ムダ」なんですか(「そうだ」の声)。必死になって自立して暮らそうとしている。それが何でムダなんですか。とんでもない発言ですよ(「そうだ」の声)。こういう考え方でやったら、どんどん切り捨てることになるじゃないですか。(「そうだ」の声)
 

小池 重度化すすみ、悪循環で財政も悪化する

 安倍内閣の「切り捨て」はこれだけにとどまりません。財務省は5日に開かれた財政制度等審議会で、中重度の人に比べて要支援1・2と要介護1・2の人たちの利用者負担が低いとして、原則1割となっている利用料を引き上げていくことを新たに打ち出しました。小池氏の質問に麻生財務相は「要介護区分ごとに軽度者の負担割合を引き上げることを提案させていただいた」と認めました。

 要支援1・2に要介護1・2を加えると、認定されている人の65%にもなります。そこからサービスをどんどん制限し、負担を増やしていく計画に対して小池氏は次のように批判しました。

 小池 要介護度が軽い段階で経済的な不安なく介護を受けられるようにすることこそ介護保険の役割じゃないですか(「そうだ」の声)。軽い人のサービスを取り上げ、負担を重くすれば、ますます重くなる。そうすれば介護離職はどんどん増える。回り回って結局、悪循環で財政だって悪化する。そういうことをあなた方はやっている。

医療 「3割」超える自己負担は違法

小池 将来にわたり維持するという国民への約束を破るのか
麻生 「年末にかけて審議していく」と押しつけねらう

 医療でも大変な負担増がめじろ押しです。

 小池氏は、「かかりつけ医」以外を受診した場合、現行の自己負担以外に「定額負担」を徴収しようとしている問題をただしました。

 窓口の自己負担について健康保険法は付則2条で「給付の割合については、将来にわたり百分の七十を維持するものとする」と定めています。ところが、定額負担が課せられると、3割負担を超えてしまうことになります。

 小池 将来にわたり維持すると、3割負担以上に上げないというのは国民への約束ですよね。

 塩崎 厚労省はこの法律を守っていくことが基本であると思います。

 小池 じゃあ、このやり方は法律違反ですね。(「そうだ」の声)

 塩崎 今の規定とどういう兼ね合いになるのかよく考えていかなければならないと思っております。

 小池 「将来にわたり」と書いてある。国民に対する約束を破るんですか。(「そうだ」の声)

 塩崎 守っていかなきゃいけないことです。

 小池 じゃ、この提案はできないということですね。撤回してください。

 麻生太郎財務相 財政を預かる立場ですから、いろいろなことをやっていくのは当然のことであり、財務省と厚労省との間で年末にかけていろいろ審議していきます。

 小池 財政を守るためには法律を破っていいというんですか(「そうだ」の声)。将来にわたり約束したことを壊していいんですか。こんな無責任な提案は許されない。(「そうだ」の声)

 さらに小池氏は、自己負担額の限度額を決める「高額療養費制度」の見直しについて追及しました。

 これは、70歳以上の高齢者が外来受診したときの負担軽減(外来上限特例)をやめてしまうもので、自己負担限度額が現在の月額1万2000円の人は一気に5万8000円にもふくれあがり、高齢者の生活を直撃します。

 この問題では、全国がん患者団体連合会の天野慎介理事長が「高額な薬を生涯飲み続けなければならない人もいる。『カネの切れ目が命の切れ目』になりかねない」(全国保険医団体連合会の機関紙)と危ぐの声をあげています。小池氏は、次のように迫りました。

 小池 こういうがん患者の悲痛な訴えをどう受け止めますか。負担増を押し付けていいんですか。

 塩崎 世代間の公平とか、能力に応じた負担の観点から議論をしているところです。疾病が多いという高齢者の特性についても議論していかなければならないと思っておりまして、年末までに結論を出していきたいと考えております。

 小池 こういう引き上げは許されないと思いますよ。撤回すべきです、こんな提案。

高薬価 営業利益を加算し利益を保障

小池 メーカー言いなりで大盤振る舞いをやっている
塩崎 今年の改定では対象にならず

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 国民に負担増と給付減を迫る一方で、医療保険財政に打撃を与える高薬価が放置されている―小池氏は、財源を口実にした社会保障の切り捨てが成り立たないと追及しました。

 小池氏は、患者1人あたりの負担が年間で約3500万円にもなる抗がん剤「オプジーボ」について、各国の価格比較をパネルで示し、日本の異常な高薬価を告発しました。

 英国を100とすると米国は198なのに対し、日本は486。日本は英国の5倍、アメリカの2・5倍にもなります。しかも、アメリカは希望小売価格なので実際はもっと安く、英国もまだ高すぎるとして56%の引き下げが提案されています。

 小池氏は、オプジーボの薬価は「原価計算方式」といって、営業利益が加算され、絶対に利益が出る仕組みになっていると告発。塩崎氏は、標準の営業利益率が16・9%に対して、オプジーボの場合は60%もの加算が行われ、27%の営業利益率になっていることを認めました。

 小池 こんな加算をやっている薬はほかにあるのか。

 塩崎 オプジーボ以外にありません。

 小池 製造原価だって研究開発費だってブラックボックスでメーカーの言いなりです。しかも、60%の営業利益率の加算までやっている。大盤振る舞いなんです。しかも、前提となる市場規模を過少に見積もれば、高い薬価ができる。

 オプジーボは当初、470人に使用するということで1瓶72万円の薬価を設定。年間販売額31億円と計画されていました。

 ところが、昨年12月に肺がんの適用が追加されると1万5千人に拡大され、なんと1260億円にも膨れ上がっています。

 小池 薬価を引き下げたんでしょうね。

 塩崎 薬価調査を行った昨年9月時点では市場規模は限定的だったので、今年4月の改定では薬価引き下げの対象とはならなかったというものです。

小池 薬価改定の前に市場規模が拡大することが分かっていたのに、何も手をつけなかった。メーカーの思うツボなんです。

算定会議は議事録なし

小池 決定過程を見直し議論の情報公開を
安倍 企業秘密があるので非公開
小池 メス入れずに痛み押し付けるな

 あまりにもひどい高薬価はどうやって決められたのか―。

 小池 それでは、薬価の算定を行った算定会議ではどんな議論をしたのですか。

 塩崎 算定方式を議論し、コストの総額、市場規模予測のデータの妥当性、臨床的意義などが評価されて、加算が適当というふうにされたものです。

 小池 議事録はありますか。

 塩崎 議事録は作成しておりません。しかし、議事概要は作成しています。

 「議事録もないのか」と声があがります。

 小池 議事概要は、これ1枚だけですよ。5時間半会議をやって。薬価の結果を書いてあるだけです。これで十分な公開だと言えるんですか。

 塩崎 もともと非公開です。医薬品の製造原価や研究開発費など企業にとって機密性の高い情報を出していただいているので、妥当ではないかと考えております。

 企業におもねって当然の情報公開さえ拒否する塩崎氏に対し、小池氏はたたみかけました。

 1997年2月4日の衆院予算委員会。日本共産党の志位和夫書記局長(当時)が高薬価の問題を取り上げ、「新薬の承認審査と薬価決定のプロセスに関する情報を、個人のプライバシーあるいは特許に関するものをのぞいて全面的に公開する。これは適当ではないか」とただしました。

 当時の小泉純一郎厚生相は「薬価の透明性確保は重要な課題でありますので、今後、透明化をいかに図っていくか、これも含めて検討させていただきたい」。当時の橋本龍太郎首相も「厚生大臣から積極的なお答えを申し上げました。その通りの方向で進んでまいります」と答弁していたのです。

 小池 それから19年ですよ。透明性の確保どころか、議事録すら残さない。そういう会議のなかで異常に高い薬価が決められている。これが19年間放置されている。これが今の薬価決定の仕組みなんですよ。

 オプジーボの薬価引き下げを最大25%というけれど、これではあまりに不十分で、大幅に引き下げるべきです。あわせて薬価決定プロセスを全面的に見直すべきではないでしょうか。それに加えて薬価算定組織の議論の情報公開がどうしても必要だと思います。(「そうだ」の声)

 安倍 医薬品の製造原価そのものが企業秘密になるわけです。そうした機密性の高い情報をもとに議論していくということで非公開としているわけです。結論については公開の場である中央社会保障医療協議会において決定する手続きを通じて可能な限り情報公開をはかっていると承知しております。

 小池 議事録も取らない。後で検証もできない。こういうやり方でいいとおっしゃるんですね。

 安倍 製造原価あるいは研究開発費等々について、企業から提供された情報をもとに議論していくなかで、非公開とせざるをえないと判断しているわけでございます。

 小池 議事録なしのままで本当にいいんですか。

 塩崎 世界で日本が透明性が特別に低いということはないのでありますが、ご指摘もいただいておりますから、検討してみたいと思います。

 企業秘密をたてに公開に背を向ける首相と厚労相。小池氏はこう主張しました。

 小池 国民に対しては患者の負担に対してはあれだけ厳しく切り込むくせに、製薬メーカーには遠慮ばっかりして、情報公開にはまったくふれない。安倍政権は「大企業が世界で一番活躍しやすい国」をつくる。そういう姿勢がはっきり出ているじゃないですか。国民に痛みを押し付ける前にやるべきことは、こういうところにしっかりメスを入れることですよ。そういうことをいっさいやらずに痛みを押し付けるようなこんなことは許されないということを申し上げておきたい。(「そうだ」の声)

「働き方改革」 経営側に偏った改革会議

小池 労働者が反対するものを推進することにしかならない
安倍 「経済界にも納得していただくため」と正当化

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 小池氏は、安倍首相が「最大のチャレンジ」と標ぼうしている「働き方改革」について切り込みました。

 「働き方改革」の具体案を検討する場として9月27日に発足した「働き方改革実現会議」。議長は安倍首相です。

 そのメンバーを見ると、肝心の労働側の代表は連合会長ただ1人なのに対し、経営側からは経団連会長、日本商工会議所会頭をはじめ7人も選ばれています。労働法制を検討する労働政策審議会が、公益・労働者・使用者から10人ずつで構成されているのと比べても大違いです。

 小池 どう考えてもあまりに経営側に偏った構成になっていませんか。(「おかしい」の声)

 加藤勝信「働き方改革」担当相 トップの方々に集まっていただいて議論していただくことに意義がある。多数決で決めるわけでもありません。従って、人数が少ないということではないと思います。

 小池 労使と言いながら、労働組合が1人ってバランスが悪すぎませんかと言っているんです。

 安倍 それは見方の問題だと思うわけであります。それぞれの団体のトップの方に入っていただき、その人たちの観点からお話をしていただくということでございます。

 小池 見方の問題じゃないですよ。どう見たってバランスが悪いですよ。

 それでは、7人も入っている経営側は、「働き方改革」に何を期待しているのか。

 「日経」が行った主要産業の社長100人アンケート(9月16日付)では、期待することの第1位は「裁量労働制の拡大」(51%)、2位は「テレワーク・在宅勤務」の促進(43・5%)、3位は「脱時間給制度」すなわち「残業代ゼロ制度」の導入(42・2%)、4位は、カネさえ払えば不当解雇もやり放題の「解雇の金銭解決」(25・9%)となっています。

 労働者が求めている「残業時間の上限設定」は8・8%、「同一労働同一賃金の実現」もわずか4・8%です。

 小池 経営者ばかりを集めて議論すれば、働く人の立場どころか、労働組合が組織の違いを超えて反対しているようなものを推進することにしかならないと思います。

 加藤 下の二つ(「残業時間の上限設定」と「同一労働同一賃金」の実現)は、経営側にとって非常に消極的な部分。これについてもしっかり取り上げていきたい。そういう意味で経済界の方々にも十分納得いただく、しっかり議論に参加していただく必要があるんではないかと思います。

 小池 残業時間の上限設定や「同一労働同一賃金」を、経営者は求めていないじゃないですか。それをやりたいんだったら、もっと労働組合の代表を入れて議論しなければならないでしょう、バランスが悪すぎると言っているんです。

 安倍 「同一労働同一賃金」については経営者は慎重な方々が多いわけで、そういう方々にも納得していただかなければならないわけで、入っていただいている側面もあるんですよ。そういうこともご理解いただきたい。

 小池 だったら経団連の会長1人だけでいいんで、これでは多勢に無勢じゃないですか。これではまともな議論にならない。どう考えても説得力のない話だったと思います。

裁量労働制で広がる過労死予備軍

小池 矛盾した「残業代ゼロ」法案は撤回すべきだ
安倍 「国会にお任せしている」

 論戦は、「働き方改革」の議論が始まる前にすでに国会に提出されている労働基準法改定案(「残業代ゼロ」法案)の話に―。

 労基法改定案には、残業代ゼロの「高度プロフェッショナル制度」だけでなく、「裁量労働制の拡大」が盛り込まれています。

 「裁量労働制」は、仕事の進め方などを「労働者の裁量」にゆだねることを条件に、あらかじめ決めた「みなし労働時間」以上いくら働いても残業代は支払われない制度です。

 小池氏は、すでに「裁量労働制」を導入しているトヨタ自動車とソニーの労働者の実態を告発しました。

 トヨタ自動車では、同制度の適用者1740人(3月時点)のうち、「超過在社時間」が月80時間を超えるなど健康診断の対象となった社員が347人にも上るというショッキングな実態です。

 小池 トヨタでは5人に1人が働きすぎで「過労死予備軍」となっている。重大じゃないですか。

 塩崎 裁量労働制で月200時間以上ある方が半分近くおられることは認識しているわけでございます。今回の改正では、裁量を損ねるような過大な業務が課されることがないように法律にもとづく指針を新たに措置するわけであります。始業・終業時刻の決定も含めて労働時間について働く方本人の裁量がしっかり確保されるように条文で明確化することとしておりまして、監督指導も含めてしっかり対応していきたいと考えております。

 小池 実態をまったくわかっていないと思います。厚労省の調査だって、裁量労働で働く人の半分近くが労働時間管理や目標の設定について「裁量が与えられていない」と答えている。これが実態ですよ。規制緩和しておいて、いくら指針があっても何の解決にもならないですよ。

 裁量労働制のもとでどんな働き方になっているのか―。小池氏の追及は続きます。

 裁量労働制を「エキスパート制度」と呼んでいるソニーでは、対象者は5245人。

 社員1万500人のうち、何と2人に1人が裁量労働制になっています。驚くべき実態を小池氏が示すと、大臣席からも「ほおー、2人に1人か」と驚きの声が漏れました。

 小池 自分の裁量で働く人が2人に1人なんて、ありえないじゃないですか(「そうだ」の声)。しかも、労働者の訴えでは、深夜手当が出ていない。裁量労働では支払い義務があるんですよ。それが支払われていない。残業にすると月約65時間、最長94時間、深夜労働月平均5時間。いま仙台労基署が指導しているそうですが、これが今の実態なんです。労働時間を正確に把握できない裁量労働制がさらに広がっていくことになる。

 深刻な実態を示しての追及に委員会室が静まり返るなか、小池氏は力を込めました。

 小池 総理、いま政府がやるべきことは、裁量労働制の実態を詳細に調べることですよ(「そうだ」の声)。「みなし労働時間」を超えた場合の厳格な是正指導をしっかりやっていくことですよ。対象拡大なんてもってのほかだ。(「そうだ」の声)

 そして、残業時間の上限を労働基準法で法定する。勤務が終了してから次の勤務までの休息を保障する「インターバル制度」を法制化する。こういうことこそやるべきで、働く人の立場に立った「働き方改革」をやるとおっしゃるのであれば、本気でそれをやるというのであれば、いま出ている労働基準法改正案(残業代ゼロ法案)、これを通すというのは矛盾していると思います(「そうだ」の声)。労働組合は立場を超えて反対しているわけです。これをこの国会で通すなどということはきっぱり断念をして、そして、本当の意味で働く者の立場に立った「働き方改革」をやればいいじゃないですか。決断すべきだと思いますが、どうですか。総理。(「総理、どうなんだ」の声)

 安倍 多様な働き方を可能にしていく、かつ、それは働く人の立場に立って考えていかなければいけないと考えておりますが、この国会で審議し採決するかどうかは国会にお任せをしているところでございます。

 「残業代ゼロ法案」を撤回するとは絶対に言わないものの、審議・採決は国会に任せると述べた安倍首相に対して、小池氏はさらに迫りました。

 小池 「働き方改革」について議論をしようとしているときに、その一方で国会で法案を通してしまうというのは矛盾しているじゃないですか(「そうだ」の声)。だから総理、総理の政治的判断で、きっぱりやめると言うべきじゃないですか。どうですか。(「撤回すべきだ」の声)

 安倍 まさに、この国会で通すかどうかということについては、国会でまずはご議論をいただいて、それを採決するかどうかは、まさに委員会においてご判断をいただきたいと思います。

 小池 「残業代ゼロ法案」はきっぱり撤回すべきだということを申し上げておきます。

「白紙領収書」問題 3閣僚認める

小池 でたらめなお金の使い方何が民主主義だ
稲田 記載するとパーティー混乱
菅 面識あるから問題ない
高市 法律上規定がない

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(写真)菅官房長官(左)と稲田防衛相の
各資金管理団体の領収書写し

 「最後に、政治資金の問題を聞きます」―。こう小池氏が切り出すと、委員会室には緊張が走りました。

 「政治資金規正法第11条で領収書の要件は」と問う小池氏に、総務省の大泉淳一選挙部長は「当該支出の目的、金額及び年月日を記載した領収書その他支出を証すべき書面と規定されています」と明言しました。

 「領収書には金額が記載されていなければいけないのは、あまりに当然のことだ。しかし、自民党の中では、政治資金パーティーなどで金額白紙の領収書が横行しているようだ」

 こう述べた小池氏が示したパネルには、政治家の名前が示された領収書がずらり。「おーっ」と議員らがざわめきました。

 小池 「しんぶん赤旗」で筆跡鑑定を依頼し、金額はすべて同じ筆跡で同一人物が書いたものだと分かった。稲田大臣、これは各大臣から白紙の領収書を受け取って、金額も稲田事務所で書き込んだ。間違いないですね。

 稲田 ご指摘になった通りです。政治家は会費をお祝儀袋で持ってくるので、会費を入れた封筒をその場で開封し記載をすれば、受付が混乱するなど、パーティーの円滑な運営に大きな支障が生じるため、都合上、金額が空欄の領収書を発行することがあります。領収書の日付、宛先、金額を主催者側の了解のもと、参加者が記載することがしばしば行われております。

 小池 金額を勝手に書いていたら、これは領収書にならないじゃないですか。みんながやっているからいいだろうと、そんな子どもの言い訳みたいなことをしないでください。

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(写真)菅義偉官房長官

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(写真)稲田朋美防衛相

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(写真)高市早苗総務相

 稲田 何ら問題はないと思います。

 小池 政治資金規正法第11条に金額が書いていなければいけないと書いてある。委託があれば金額は後で書いていいということなら、中小企業の社長たちもびっくりですよ。

 「主催者側の了解のもと、記入しているので問題ない」と繰り返した稲田氏。小池氏は、稲田氏の資金管理団体による「白紙領収書」が2012年から14年までの3年間に約260枚、520万円分ある事実を告発。稲田氏が09年11月の衆院法務委員会で「政治家はだれでも政治資金規正法についてはきちんと認識しておかないといけない。その趣旨を理解しないで、何が民主主義ですか」と述べていることにふれ、「こんな領収書を出しておいて、何が民主主義だ」と重ねて迫りました。

 稲田 今、小池委員の指摘。さらには「赤旗」で指摘されたことをうけ、これからはしっかりどういった形ができるか検討してまいりたい。

 小池 これからはやらないということは、まずいということを認めたということになるじゃないですか。語るに落ちたという感じがします。(「そうだ」の声)

 「しかもこれは稲田大臣だけではない」とたたみかける小池氏。委員会室から「ほーっ」との声があがりました。

 次に小池氏が示したのは、菅義偉官房長官の資金管理団体の収支報告書に添付されていた「白紙領収書」。同じ3年間で270枚、1875万円分の「白紙領収書」の存在が白日のもとにさらされました。

 小池 菅さんのは10万円、20万円というのが100枚以上ある。官房長官も、稲田さんと同じことをやっていたと認めますね。

  私自身が代表を務める政治団体で、政治(資金)パーティー会費の領収書の中に菅事務所で、日付、宛名、金額を記述したものが存在しています。互いに面識のある主催者と参加者の間においては、主催者が領収書を発行し、その了解の下に参加者側が内容を記載することがあります。

 小池 驚くべき答弁だ。金額が白紙のものは領収書とはいわない。こういうことを、国民のみなさんは非常にでたらめなお金の使い方をやっているというふうにみるのは当然じゃないですか。(「そうだ」の声)

  主催者と私ども参加者の間に面識のある事務所同士ですから、そこの了解のもとに記載しているわけで、問題はない。

 小池 面識があったら金額を後で書いてもいいというのが成り立つのなら、中小企業の社長さん、みんな取引先と面識ありますよ。(菅氏は)私を信じてくださいというだけじゃないですか。これでは、本当にその金額を払ったのかどうかを誰も証明できない。

 「支出の水増しは行っていない」と何ら根拠の示せない言い訳に終始する菅氏に対し、小池氏は「閣僚の事務所がお互いに日常的にこんなことをやっている。白紙領収書を日常的に発行して、受け取った側が金額を書き込んで収支報告書に添付して提出する。政治資金規正法の根幹がガタガタだ」と批判し、政治資金規正法の所管大臣である高市早苗総務相をただしました。

 高市氏が、稲田、菅両氏と同様の答弁を繰り返したうえ、「出席側が金額等を領収書に記載しても、主催団体から了解されている者であれば、法律上、発行側の領収書作成方法が規定されていないから合法だ」と強弁したために、委員会室は騒然となりました。

 小池氏は、総務省政治資金課発行の『国会議員関係政治団体の収支報告の手引き』が、領収書には「後から追記してはならない」としていることを紹介。「所管大臣が公然と、そんなことやらなくていいと答弁する。とんでもない話だ」と批判しました。

 「なぜ、あんな答弁をするのか。高市氏も同じことをやっているからだ」と述べ、高市氏の資金管理団体による13、14年度の「白紙領収書」の写しを示した小池氏。「政治資金を所管する大臣自身が白紙の領収書に金額を書き込んで提出している。言語道断だ」と迫りました。

 菅氏の資金管理団体は14年に政治資金パーティーで2952万円を集め、そこから1369万円をパーティー券などの会費として支出しています。小池氏は、その事実を突きつけ、こう強調しました。

 小池 まさに、企業・団体にパーティー券を売って、そこからお金を集めて、そしてそのお金で(同僚議員の)パーティー券を買う。そして、政治力を強めていく。これがやはり最大の問題ですよ。パーティー券も含めて企業・団体献金は禁止しなければならない。


議場内も野党共闘

 午後1時、小池氏の質問が始まると、約30席ある議員傍聴席は、他党の議員も含めて満席になり、与党議員の質問が続いていた午前の質問とは打って変わり、注目度の高さを示しました。

 小池氏の左側に陣取る野党席には、7月の参院選で野党統一候補として当選した議員の姿も。小池氏の質問や安倍首相らの答弁に対して「そうだ」「おかしいぞ」と一体となっていっせいに声を上げる場面が見られ、国会論戦での「野党共闘」をほうふつとさせる光景となりました。

 安倍首相は、「冷静な議論をしようじゃありませんか」と繰り返すなど神経をとがらせ、「杉尾さん、ヤジを飛ばさないでくださいよ」と、長野選挙区で野党統一候補として勝利した杉尾秀哉参院議員を名指しするなどいらだちを隠せませんでした。

 当の杉尾氏はフェイスブックで次のように書きました。

 「共産党の小池議員の歯切れの良い質問、大いに参考になりました。まともに答えない安倍総理に声をあげたら、『杉尾さん、野次らないで下さい』と総理から名指しでリアクションが。こんなことでひるむハズもなく、これからもおかしいものはおかしいと声を上げ続けます」


“「赤旗」に書かないで…”

 「『赤旗』に書かないようにしていただくとありがたい」

 小池氏の質問に対する答弁で、安倍内閣の2人の閣僚からこんな発言が飛び出しました。

 最初に口にしたのは塩崎厚労相。介護保険で福祉用具レンタルの自己負担化計画を小池氏に追及され、「どういうムダを排除できるかも議論していく」と答え、小池氏から「福祉用具はムダなのか」と批判された問題です。

 塩崎氏は、関係のない別の質問の最中に、ムダだといったのは高いレンタル料金のことだと言い訳したうえで、「私がムダといったということが『赤旗』に躍るのもちょっといかがなものかと思ったものですから、そういうことは書かないようにしていただくとありがたいなと思いました」と釈明しました。

 もう一人は、稲田朋美防衛相。「白紙領収書」問題で小池氏から追及され、「『赤旗』で指摘されたことを受けまして、私の事務所では、例えば一般に来ていただいている方には2万円の印字をしている領収書を発行しております」と弁明しました。

 「白紙領収書」問題は「赤旗」がスクープしたもの。国民の立場に立って安倍政権をただす「赤旗」の役割が改めて浮き彫りになっています。

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