小池書記局長の代表質問/参院本会議

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赤旗2017年1月26日付

 日本共産党の小池晃書記局長が25日の参院本会議で行った代表質問は次の通りです。


格差と貧困を正し、中間層を豊かにするための四つの提案

写真

(写真)代表質問に立つ小池晃
書記局長=25日、参院本会議

 日本共産党の小池晃です。会派を代表して、安倍総理に質問します。

 総理は、施政方針演説で「全国津々浦々で、確実に『経済の好循環』が生まれている」と述べました。しかし、国民にはそうした実感は、全くありません。

 たしかに、大企業の経常利益は、3年間で1・5倍近くに増え、内部留保は52兆円増えて、過去最高の386兆円余りに達しました。

 しかし労働者の給与・賞与は、大企業正社員でも1・4%の伸びにすぎず、消費税の増税もあり、実質では大きなマイナスです。中小企業や非正規も含めた全労働者では、安倍政権発足前と比べ、実質賃金で実に年収19万円ものマイナスです。家計消費も、15カ月連続で、前年比マイナスを続けています。

 大企業に巨額の内部留保が積みあがる一方で、実質賃金が下がり、家計消費が落ち込んでいます。これを総理は「経済の好循環」だというのでしょうか。

 国民生活基礎調査では、この20年間、生活が「苦しい」と答えた人が、42%から60%となる一方で、「普通」と答えた人は、52%から36%になりました。「普通」に暮らしていた人々が「苦しい」生活に追い込まれています。いまや、リストラ、病気、介護などで、誰もが貧困に陥ってしまう社会になってしまいました。

 こうした社会のたて直しが、政治の最大の責任なのではありませんか。

 格差と貧困を正し、中間層を豊かにするために、いま政治が行うべきことは何か。

 第一は、税金の集め方の改革です。消費税増税を中止し、富裕層や大企業への優遇をただし、能力に応じて負担する、公正・公平な税制を実現することです。

 第二は、税金の使い方の改革です。軍拡や大型開発中心の予算にメスを入れ、社会保障、教育、子育て支援など、格差と貧困の是正につながる予算を増やすことです。

 第三は、働き方の改革です。長時間労働を規制し、非正規から正規への流れをつくり、最低賃金は時給1500円へ。8時間働けばふつうに暮らせる社会の実現です。

 第四は、産業構造の改革です。大企業と中小企業、大都市と地方などの格差を是正するため、中小企業を日本経済の根幹として支援し、農林水産業の抜本的充実を図るべきです。

 以上が日本共産党の提案ですが、今回は社会保障と雇用の問題について質問します。

大企業への4兆円もの減税をやめ、社会保障の自然増削減を中止し充実を

 総理は「かつて毎年1兆円ずつ増えていた社会保障費の伸びは、今年度予算に続き、来年度予算においても、5千億円以下に抑えることができた」と胸をはりました。

 しかし、この削減は国民に激痛を与え、家計消費を冷え込ませるものにほかなりません。

 安倍政権はこの4年間、年金の削減、入院食費の負担増、介護保険利用料への2割負担の導入など、給付を削り、負担を増やしてきました。

 さらに来年度予算では、後期高齢者医療保険料の大幅な引き上げ、70歳以上の高額療養費の患者負担増、高額介護サービス費の負担増など、保険料負担・患者負担をさらに引き上げようとしています。

 総理は「社会の安定」のためには中間層が重要であり、「中間層が安心して消費ができる状況」が、経済活性化のためにも必要だと述べてきました。しかし、医療や介護の自己負担引き上げは、家計を苦しめ、現役世代の不安を増大させ、中間層の生活の安定と消費の喚起にも大きな障害となります。大企業への4兆円もの減税をやめ、社会保障の自然増削減はきっぱり中止し、充実に向かうべきではありませんか。

「働き方改革」――残業代ゼロ法案はきっぱり撤回すべきだ

 「働き方改革」についても質問します。

 総理は、罰則付きの時間外労働の限度を定める法改正を提出すると述べましたが、その上限は何時間ですか。月80時間で検討しているとの報道もありますが、過労死基準を上限にするなど許されません。大臣告示は「残業は週15時間、月45時間以内」ですから、当然、これを法令にすべきではありませんか。

 勤務の間の休息時間の確保、いわゆるインターバル規制も必要です。EU指令では、「24時間につき、最低連続11時間」とされています。わが国でもこれを法定化すべきではありませんか。

 電通に勤め、24歳の若さで自ら命を絶った高橋まつりさんの無念にこたえ、このような苦しみを繰り返さないために、野党4党は、衆議院に長時間労働規制法案を提出しています。ただちにこれを審議し、成立させようではありませんか。

 政府は「長時間労働の規制」を言いながら、「残業代ゼロ法案」を撤回しようとしません。しかしこれは、そもそも、一定の労働者を労働時間管理の対象から外してしまう法案です。残業時間の上限規制をしながら、その一方で、規制がかからない労働者を増やす。こんなことは許されません。残業代ゼロ法案はキッパリ撤回すべきではありませんか。

 1%の富裕層や大企業ではなく、99%の国民を豊かにする政治を!

 そのために日本共産党は全力をあげる決意を表明するものです。

文科省あっせん疑惑――天下りを自由化した安倍首相の責任は重大

 元高等教育局長の天下りを、文部科学省が組織的にあっせんしていたことが、明らかとなりました。隠ぺい工作や、大学側との口裏あわせまで指摘されており、組織的な天下りあっせんの疑いがあります。

 とりわけ、文科省は、大学運営費交付金や私学助成、さらに科研費などの競争的資金を配分する権限をもっています。そうした権限を背景にして、国立大学の人事を牛耳り、私立大学への組織的な天下りあっせんを行っていたのではありませんか。全容解明を求めます。

 重大なのは、第1次安倍内閣が2007年に、それまでの国家公務員法にあった「離職後2年間の規制期間」や、人事院による「承認」をも撤廃し、「天下り」「天上がり」を原則自由化し、内閣の下で一元化する仕組みをつくったもとで、今回の事件が起きていることです。わが党は、「これは天下り自由化法だ」と批判し、新たな政官財癒着に道を開くと指摘しましたが、その通りの事態になったではありませんか。

 当時、これは「天下り問題を根絶する法案だ」と答弁した総理は、その責任をどう考えていますか。明確な答弁を求めます。

沖縄新基地建設反対の民意無視――民主主義国の政府として許されない

 沖縄では、名護市辺野古の美しいサンゴ礁を埋め立てて、海兵隊の新基地建設が強行されています。東村高江では、やんばるの美しい森を破壊してオスプレイ着陸帯が、伊江島でもF35戦闘機着陸帯の建設が、住民の声を無視して進められています。

 これらは、米軍基地を世界への「殴り込み」の一大拠点として、抜本的に強化・固定化するものにほかなりません。

 沖縄では、これまでの選挙で、繰り返し新基地建設反対の審判が下されています。ところが総理は、施政方針演説で「辺野古沖への移設工事を進める」と明言しました。総理は、保守・革新を超えて示されている「オール沖縄」の民意を、一顧だにする必要がないと考えているのですか。それは、民主主義の国の政府としては許されないことではありませんか。

 昨年12月、米海兵隊のオスプレイが名護市の海岸に墜落した事故は、日本と沖縄の植民地的実態を浮き彫りにしました。

 今回の事故について、海上保安庁が捜査協力を申し入れたにもかかわらず、米軍は無視し、「物証」となる機体の回収を進めました。基地外での日本の警察権行使を拒否し、証拠を隠滅する行為は、日米地位協定上も許されない無法なものではありませんか。

 米軍は、事故後わずか6日でオスプレイの訓練を再開し、事故後3週間余りで空中給油の訓練も再開しましたが、政府はいずれも「理解する」と表明しました。日本の捜査機関は独自の情報を何も持っておらず、米軍の調査でも事故原因は特定されませんでした。

 それなのに政府は、いったいどのような根拠で、「理解」したのですか。

 沖縄県民や国民の安全より「日米同盟」を優先する、主権国家にあるまじき安倍政権の態度を断じて許すわけにはいきません。

異常なアメリカ追随をやめ、対等・平等・友好の日米関係を

 米国のトランプ新大統領の「米国第一」に対して、今までのような「日米同盟第一」という硬直した思考を続けたら、国民との矛盾は深まるばかりです。異常なアメリカ追随外交をやめ、対等・平等・友好の日米関係に切り替えることを強く求めます。

原発再稼働を中止し、再生可能エネの本格的導入に転換する決断を

 東京電力福島第1原発の事故は、時とともにその深刻さがいっそう明らかになっています。今年も8万1130人の方が避難先で6年目のお正月を迎えました。

 国民の経済負担も重大です。安倍政権は、福島原発事故処理費用として、21兆5千億円にのぼる国民負担を、株主や大銀行の責任を問わないまま、電気料金などで押しつけようとしています。

 総理。費用の増大はこれで終わりと断言できますか。

 事故原因の究明どころか、壊れた原子炉の内部状況や溶け落ちた核燃料の所在さえ不明です。汚染水対策も、保管量が増え続ける状態が今後も続き、費用がさらに膨れ上がる可能性を否定できるのですか。

 いったん大事故が起きれば、故郷は奪われ、仕事も奪われ、平穏な暮らしや家庭が壊され、人々の健康と地球環境を危険にさらす、そのうえ、膨大なコストが生じるのが原発です。再稼働せずに、「原発ゼロ」の日本に踏み出すべきではありませんか。

 政府は、高速増殖炉「もんじゅ」の廃炉を決定しました。「もんじゅ」には1兆円もの資金を投入しながら、初臨界から22年間で稼働したのはわずか250日です。

 総理は、「もんじゅ」は失敗だったと認めますか。

 政府は、「もんじゅ」に代わる新しい高速実証炉の開発に着手するとしています。しかし高速実証炉は、世界でも実用化できるめどは全く立っていません。「もんじゅ」の失敗の総括もなく、なぜ核燃サイクルにしがみつくのですか。たとえまぼろしであっても、核燃サイクルが回るように取り繕っておかないと、「核のゴミ」問題に対策がないことの言い逃れができなくなり、再稼働ができなくなるからではありませんか。

 「使用済み核燃料」の処分方法の見通しが立たないまま、再稼働を強行するのは、あまりにも無責任です。原発再稼働を中止し、再生可能エネルギーの本格的導入に大胆に転換する決断を強く求めます。

憲法を変えるのではなく、憲法を生かす政治こそが必要

 今年は憲法施行70年の節目の年です。総理は「憲法審査会で具体的に議論を深めよう」と述べ、憲法改定に執念を燃やしています。しかし、多くの国民は改憲を求めていません。直近の世論調査でも、「憲法改定の議論を急ぐ必要はない」と過半数が答えています。

 総理は、国民の多くが、改憲が政治の優先課題ではないと考えている事実を認めますか。

 憲法を変えるのではなく、憲法を生かす政治こそ必要です。しかし、憲法施行後の70年間、憲法は生かされるどころか、自民党政治によって、逆に踏みつけられてきました。とりわけ総理は、歴代自民党内閣の憲法解釈を踏み破り、立憲主義を破壊する暴挙を重ねてきました。集団的自衛権行使容認の閣議決定を行い、安保法制=戦争法を、国民の反対を無視して強行成立させ、戦後日本の「一人も戦争で殺さない、殺されない」というあり方を根本から変えようとしています。

 安保法制に基づいて、南スーダンPKO(UNMISS)に派遣されている自衛隊に「駆け付け警護」などの新任務が付与されました。そこで質問します。

 総理は、南スーダンが事実上の内戦状態にあることを認めますか。

 昨年12月の国連人権委員会の南スーダン調査団をはじめ、国連の公式文書は内戦状態であることを繰り返し指摘しています。UNMISSの楊超英・軍司令官代理も「和平合意が維持されているとは言えない」、ジュバの治安状況は「予測不可能で非常に不安定」と述べています。こうした見方はすべて誤っているというのですか。

 危険を危険と認めない安倍政権の態度こそ、最も危険であります。

自衛隊の新任務を撤回し、南スーダンから撤退させよ

 2点目。南スーダン政府軍が、国連PKO、国連施設、職員への攻撃を繰り返している事実を認めますか。

 昨年9月の「南スーダンに関する専門家委員会の書簡」は、政府軍が国際機関のスタッフの居住区画で殺害、レイプ、略奪などを行ったことを明らかにしました。11月の「国連事務総長の南スーダン報告」でも、UNMISSの要員に対する逮捕、拘束、迫害などが指摘されています。このような状況下で、自衛隊が「駆け付け警護」を行えば、自衛隊が南スーダン政府軍に武器を使用することになり、憲法が禁止する海外での武力行使となるのではありませんか。

 自衛隊の新任務付与をただちに撤回し、自衛隊を南スーダンから撤退させ、日本の貢献を非軍事の民生・人道支援に切り替えることを強く求めます。

 日本共産党は、憲法違反の安保法制=戦争法を廃止するために、野党と市民の共闘をさらに発展させていく決意を表明するものです。

思想や内心まで取り締まる「共謀罪」――国会提出を断念せよ

 最後に、安倍政権が国会に提出しようとしている「共謀罪」について聞きます。

 「共謀罪」とは、実際の犯罪行為がなくても、「共謀」、すなわち相談、計画しただけで処罰するものです。これは、「犯罪行為が実行された場合のみ処罰できる」とした刑法の大原則を転換するだけでなく、思想及び良心の自由を保障した憲法19条にそむく違憲立法にほかなりません。たとえ、「テロ等準備罪」と名前を変えても、対象犯罪を絞っても、その本質は何ら変わりません。

 政府は「テロ対策」のためといいますが、すでに日本はテロ防止のための13本の国際条約を締結し、57の主要重大犯罪について、未遂より前の段階で処罰できる国内法も持っています。それなのに、現行法ではテロを未然に防ぐことが不可能だというのですか。

 政府は「共謀罪」創設について、「テロを防ぐ『国際組織犯罪防止条約』を締結するため」としています。しかし、この条約が採択されたのは、同時多発テロ以前の2000年です。その目的は、マフィアや暴力団による経済犯罪への対処であり、テロ対策ではありません。

 総理。条約を締結したのは何カ国で、そのうち、新たに「共謀罪」を制定した国は何カ国か、お答えください。

 ウィーン条約19条は、条約の締結に「留保を付することができる」とし、国連が作成した「立法ガイド」は「締約国の国内法の基本的原則と合致した方法で行う」としています。「共謀罪」を留保しても、条約締約の壁にはなりません。

 「一般人は対象にならない」といいますが、それを判断するのは捜査機関であり、共謀しているかどうかをつかむためには、多数の一般人が盗聴や監視の対象となるのではありませんか。

 「テロ対策」の名で国民を欺き、国民の思想や内心まで取り締まろうという「共謀罪」は、もの言えぬ監視社会をつくるもので、現代版「治安維持法」と呼ぶべきものです。

 「共謀罪」の国会提出は断念することを強く求めて、質問を終わります。

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