2017年1月25日 参院本会議 速記録

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○小池晃君 日本共産党の小池晃です。
 会派を代表して、安倍総理に質問します。
 総理は、施政方針演説で、全国津々浦々で確実に経済の好循環が生まれていると述べました。しかし、国民にはそうした実感は全くありません。
 確かに、大企業の経常利益は三年間で一・五倍近くに増え、内部留保は五十二兆円増えて過去最高の三百八十六兆円余りに達しました。しかし、労働者の給与、賞与は、大企業正社員でも一・四%の伸びにすぎず、消費税の増税もあり、実質では大きなマイナスです。中小企業や非正規も含めた全労働者では、安倍政権発足前と比べ、実質賃金で実に年収十九万円ものマイナスです。家計消費も十五か月連続で前年比マイナスを続けています。
 大企業に巨額の内部留保が積み上がる一方で、実質賃金が下がり、家計消費が落ち込んでいます。
 これを総理は、経済の好循環だと言うのでしょうか。
 国民生活基礎調査では、この二十年間、生活が苦しいと答えた人が四二%から六〇%となる一方で、普通と答えた人が五二%から三六%になりました。普通に暮らしていた人々が苦しい生活に追い込まれています。今や、リストラ、病気、介護などで、誰もが貧困に陥ってしまう社会になってしまいました。こうした社会の立て直しが政治の最大の責任なのではありませんか。
 格差と貧困を正し、中間層を豊かにするために、今政治が行うべきことは何か。
 第一は、税金の集め方の改革です。消費税増税を中止し、富裕層や大企業への優遇を正し、能力に応じて負担する公正公平な税制を実現することです。
 第二は、税金の使い方の改革です。軍拡や大型開発中心の予算にメスを入れ、社会保障、教育、子育て支援など、格差と貧困の是正につながる予算を増やすことです。
 第三は、働き方の改革です。長時間労働を規制し、非正規から正規への流れをつくり、最低賃金は時給千五百円へ。八時間働けば普通に暮らせる社会の実現です。
 第四は、産業構造の改革です。大企業と中小企業、大都市と地方などの格差を是正するため、中小企業を日本経済の根幹として支援し、農林水産業の抜本的充実を図るべきです。
 以上が日本共産党の提案ですが、今回は社会保障と雇用の問題について質問します。
 総理は、かつて毎年一兆円ずつ増えていた社会保障費の伸びは、今年度予算に続き来年度予算においても五千億円以下に抑えることができたと胸を張りました。しかし、この削減は国民に激痛を与え、家計消費を冷え込ませるものにほかなりません。
 安倍政権は、この四年間、年金の削減、入院食費の負担増、介護保険利用料への二割負担の導入など、給付を削り、負担を増やしてきました。さらに、来年度予算では、後期高齢者医療保険料の大幅な引上げ、七十歳以上の高額療養費の患者負担増、高額介護サービス費の負担増など、保険料負担、患者負担を更に引き上げようとしています。
 総理は、社会の安定のためには中間層が重要であり、中間層が安心して消費ができる状況が経済活性化のためにも必要だと述べてきました。しかし、医療や介護の自己負担引上げは、家計を苦しめ、現役世代の不安を増大させ、中間層の生活の安定と消費の喚起にも大きな障害となります。大企業への四兆円もの減税をやめ、社会保障の自然増削減はきっぱり中止し、充実に向かうべきではありませんか。
 働き方改革についても質問します。
 総理は、罰則付きの時間外労働の限度を定める法改正を提出すると述べましたが、その上限は何時間ですか。月八十時間で検討しているとの報道もありますが、過労死基準を上限にするなど許されません。大臣告示は、残業は週十五時間、月四十五時間以内ですから、当然これを法令とすべきではありませんか。
 勤務の間の休息時間の確保、いわゆるインターバル規制も必要です。ヨーロッパのEU指令では、二十四時間につき最低連続十一時間とされています。我が国でもこれを法定化すべきではありませんか。
 電通に勤め、二十四歳の若さで自ら命を絶った高橋まつりさんの無念に応え、このような苦しみを繰り返さないために、野党四党は衆議院に長時間労働規制法案を提出しています。直ちにこれを審議し、成立させようではありませんか。
 政府は、長時間労働の規制を言いながら、残業代ゼロ法案を撤回しようとしません。しかし、これはそもそも一定の労働者を労働時間管理の対象から外してしまう法案です。残業時間の上限規制をしながら、その一方で規制が掛からない労働者を増やす、こんなことは許されません。残業代ゼロ法案はきっぱり撤回すべきではありませんか。
 一%の富裕層や大企業ではなく、九九%の国民を豊かにする政治を。そのために日本共産党は全力を挙げる決意を表明するものであります。
 元高等教育局長の天下りを文部科学省が組織的にあっせんしていたことが明らかとなりました。
 隠蔽工作や大学側との口裏合わせまで指摘されており、組織的な天下りあっせんの疑いがあります。
 とりわけ文科省は、大学運営交付金や私学助成、さらに科研費などの競争的資金を配分する権限を持っています。そうした権限を背景にして、国立大学の人事を牛耳り、私立大学への組織的な天下りあっせんを行っていたのではありませんか。全容解明を求めます。
 重大なのは、第一次安倍内閣が二〇〇七年、それまでの国家公務員法にあった離職後二年間の規制期間や人事院による承認をも撤廃し、天下り、天上がりを原則自由化し、内閣の下で一元化する仕組みをつくった下で今回の事件が起きていることであります。我が党は、これは天下り自由化法だと批判をし、新たな政官財癒着に道を開くと指摘しましたが、そのとおりの事態になったではありませんか。当時、これは天下り問題を根絶する法案だと答弁した総理は、その責任をどう考えていますか。明確な答弁を求めます。
 沖縄では、名護市辺野古の美しいサンゴ礁を埋め立て、海兵隊の新基地建設が強行されています。
 東村高江ではやんばるの美しい森を破壊してオスプレイ着陸帯が、伊江島でもF35 戦闘機着陸帯の建設が住民の声を無視して進められています。
 これらは、米軍基地を世界への殴り込みの一大拠点として抜本的に強化、固定化するものにほかなりません。
 沖縄では、これまでの選挙で繰り返し新基地建設反対の審判が下されています。ところが、総理は施政方針演説で、辺野古沖への移設工事を進めると明言しました。総理は、保守、革新を超えて示されているオール沖縄の民意を一顧だにする必要もないと考えているのですか。それは民主主義の国の政府としては許されないことではありませんか。
 昨年十二月、米海兵隊のオスプレイが名護市の海岸に墜落した事故は、日本と沖縄の植民地的実態を浮き彫りにしました。今回の事故について、海上保安庁が捜査協力を申し入れたにもかかわらず、米軍は無視し、物証となる機体の回収を進めました。基地外での日本の警察権行使を拒否し、証拠を隠滅する行為は、日米地位協定上も許されない無法なものではありませんか。
 米軍は事故後僅か六日でオスプレイの訓練を再開し、事故後三週間余りで空中給油の訓練も再開しましたが、政府はいずれも理解すると表明しました。日本の捜査機関は独自の情報を何も持っておらず、米軍の調査でも事故原因は特定されませんでした。それなのになぜ、政府は一体どのような根拠で理解したのでしょうか。
 沖縄県民や国民の安全より日米同盟を優先する、主権国家にあるまじき安倍政権の態度を断じて許すわけにはいきません。米国のトランプ新大統領の米国第一に対して、今までのような日米同盟第一という硬直した思考を続けたら、国民との矛盾は深まるばかりであります。異常なアメリカ追随外交をやめ、対等、平等、友好の日米関係に切り替えることを強く求めます。
 東京電力福島第一原発の事故は、時とともにその深刻さが一層明らかになっています。今年も八万一千百三十名の方が避難先で六年目のお正月を迎えました。国民の経済負担も重大です。安倍政権は、福島原発事故処理費用として二十一兆五千億円に上る国民負担を、株主や大銀行の責任を問わないまま電気料金などで押し付けようとしています。
 総理、費用の増大はこれで終わりと断言できますか。事故原因の究明どころか、壊れた原子炉の内部状況や溶け落ちた核燃料の所在さえ不明です。
 汚染水対策も、保管量が増え続ける状態が今後も続き、費用が更に膨れ上がる可能性を否定できるのでしょうか。
 一旦大事故が起これば、故郷は奪われ、仕事も奪われ、平穏な暮らしや家庭が壊され、人々の健康と地球環境を危険にさらす、その上、膨大なコストが生じるのが原発です。再稼働せず、原発ゼロの日本に踏み出すべきではありませんか。
 政府は、高速増殖炉「もんじゅ」の廃炉を決定しました。「もんじゅ」には一兆円もの資金を投入しながら、初臨界から二十二年間、稼働したのは僅か二百五十日です。総理は、「もんじゅ」は失敗だったと認めますか。
 政府は、「もんじゅ」に代わる新しい高速実証炉の開発に着手するとしています。しかし、高速実証炉は世界でも実用化できるめどは全く立っていません。「もんじゅ」の失敗の総括もなく、なぜ核燃サイクルにしがみつくのか。たとえ幻であっても、核燃サイクルが回るように取り繕っておかないと、核のごみ問題に対策がないことの言い逃れができなくなり、再稼働ができなくなるからではありませんか。
 使用済核燃料の処分方法の見通しが立たないまま再稼働を強行するのは、余りにも無責任です。
 原発再稼働を中止し、再生可能エネルギーの本格的導入に大胆に転換をする決断を強く求めます。
 今年は憲法施行七十年の節目の年です。総理は、憲法審査会で具体的に議論を深めようと述べ、憲法改定に執念を燃やしています。しかし、多くの国民は改憲を求めていません。直近の世論調査でも、憲法改定の議論を急ぐ必要はないと過半数が答えています。総理は、国民の多くが改憲が政治の優先課題ではないと考えている事実を認めますか。
 憲法を変えるのではなく、憲法を生かす政治こそ必要です。しかし、憲法施行後の七十年間、憲法は生かされるどころか、自民党政治によって、逆に踏み付けられてきました。とりわけ総理は、歴代自民党内閣の憲法解釈を踏み破り、立憲主義を破壊する暴挙を重ねてきました。集団的自衛権行使容認の閣議決定を行い、安保法制、戦争法を国民の反対を無視して強行成立させ、戦後日本の一人も戦争で殺さない、殺されないという在り方を根本から変えようとしています。
 安保法制に基づいて、南スーダンPKO、UNMISSに派遣されている自衛隊に駆け付け警護などの新任務が付与されました。
 そこで、質問します。
 総理は、南スーダンが事実上の内戦状態にあることを認めますか。
 昨年十二月の国連人権委員会の南スーダン調査団を始め、国連の公式文書は内戦状態であることを繰り返し指摘しています。UNMISSの楊超英軍司令官代理も、和平合意が維持されているとは言えない、ジュバの治安状況は予測不可能で非常に不安定と述べています。こうした見方は全て誤っているというのですか。危険を危険と認めない安倍政権の態度こそ最も危険であります。
 二点目。南スーダン政府軍が、国連PKO、国連施設、職員への攻撃を繰り返している事実を認めますか。
 昨年九月、南スーダンに関する専門委員会の書簡は、政府軍が国際機関のスタッフの居住区画で殺害、レイプ、略奪などを行ったことを明らかにしました。十一月の国連事務総長の南スーダン報告でも、UNMISSの要員に対する逮捕、拘束、迫害などが指摘されています。このような状況下で自衛隊が駆け付け警護を行えば、自衛隊が南スーダン政府軍に武器を使用することになり、憲法が禁止する海外での武力行使となるのではありませんか。
 自衛隊の新任務付与を直ちに撤回し、自衛隊を南スーダンから撤退させ、日本の貢献を非軍事の民生・人道支援に切り替えることを強く求めます。
 日本共産党は、憲法違反の安保法制、戦争法を廃止するために、野党と市民の共闘を更に発展させていく決意を表明するものであります。
 最後に、安倍政権が国会に提出しようとしている共謀罪について聞きます。
 共謀罪とは、実際の犯罪行為がなくても、共謀、すなわち相談、計画しただけで処罰するものであります。これは、犯罪行為が実行された場合のみ処罰できるとした刑法の大原則を転換するだけでなく、思想及び良心の自由を保障した憲法十九条に背く違憲立法にほかなりません。たとえテロ等準備罪と名前を変えても、対象犯罪を絞っても、その本質は何ら変わりません。
 政府はテロ対策のためと言いますが、既に日本はテロ防止のための十三本の国際条約を締結し、五十七の主要重大犯罪について未遂より前の段階で処罰できる国内法も持っています。それなのに、現行法ではテロを未然に防ぐことが不可能だというのでしょうか。
 政府は、共謀罪創設について、テロを防ぐ国際組織犯罪防止条約を締結するためとしています。
 しかし、この条約が採択されたのは、同時多発テロ以前の二〇〇〇年です。その目的は、マフィアや暴力団による経済犯罪への対処であり、テロ対策ではありません。
 総理、条約を締結したのは何か国で、そのうち新たに共謀罪制定した国は何か国かお答えください。
 ウィーン条約十九条は、条約の締結に留保を付することができるとし、国連が作成した立法ガイドは、締約国の国内法の基本的原則と合致した方法で行うとしています。共謀罪を留保しても、条約締結の壁にはなりません。
 一般人は対象にならないといいますが、それを判断するのは捜査機関であり、共謀しているかどうかをつかむためには、多数の一般人が盗聴や監視の対象となるのではありませんか。
 テロ対策の名で国民を欺き、国民の思想や内心まで取り締まろうという共謀罪は、物言えぬ監視社会をつくるもので、現代版治安維持法と呼ぶべきものです。共謀罪の国会提出を断念することを強く求めて、質問を終わります。(拍手)

〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇、拍手〕

○内閣総理大臣(安倍晋三君) 安倍内閣の経済政策についてお尋ねがありました。
 アベノミクスにより、政権交代後、極めて短い期間でデフレではないという状況をつくり出す中で、名目GDPは四十四兆円、実質GDPは二十五兆円増加し、過去最高の水準となりました。
 過去最高水準の企業収益を雇用・所得環境の改善につなげることにより、就業者数は百十万人近く増加、有効求人倍率は史上初めて四十七全ての都道府県で一倍を超え、賃上げは中小企業を含め今世紀に入って最も高い水準の賃上げが三年連続で実現し、税や社会保障負担等を差し引いた家計の可処分所得は二年連続で増加するなど、全国津々浦々で確実に経済の好循環が生まれています。
 御指摘の実質賃金の減少については、消費税率引上げに加え、デフレ脱却に向かう過程で物価が上昇したことや、景気が回復し、雇用が増加する過程においてパートで働く人が増えたことによるものであります。
 なお、足下では、平成二十七年七月以降、増加傾向となっています。
 世帯当たりの消費を捉える家計消費は、世帯人員の減少などから長期的に減少傾向となっていますが、一国全体の消費を捉えるGDPベースで見ると、個人消費は二〇一六年に入ってから三四半期連続の前期比プラスとなっています。
 生活意識については、様々な世論調査がある中で、昨年八月に公表された内閣府の国民生活に関する世論調査によれば、満足と回答した割合は、一九九五年以来の七〇%を超える水準を、二〇一三年以降、つまり政権交代して以降、四年連続で維持しております。
 政府としては、一億総活躍社会実現に向けた最大のチャレンジである働き方改革を加速します。
 同一労働同一賃金を実現し、正規と非正規の労働者の格差を埋め、若者が将来に明るい希望が持てるようにすることにより、中間層が厚みを増すことにつながると考えています。アベノミクスを更に加速させ、格差が固定化されず、誰にでもチャンスがあり、頑張れば報われる社会をつくり上げてまいります。
 医療と介護の見直しと国民生活等についてのお尋ねがありました。
 平成二十九年度予算の医療、介護の制度改革は、社会全体が高齢化、社会保障費が増大する中、制度を持続可能なものとし、次世代に引き渡していくため、高齢者の方々にも負担能力に応じた御負担をいただくものです。
 このため、今回の改革においては、七十歳以上の高額療養費制度の見直しや社会保険制度の利用者負担の見直しなどを行います。その際、高額療養費制度について激変緩和のため段階的に見直しを行う、長期的にサービスを利用される方の年間の自己負担が増えないよう年間上限を創設して負担額を抑える、医療と介護を併せて利用し高額の自己負担をされている方の年間の負担が増えないよう年間上限額を据え置くなど、きめ細やかな配慮を行うこととしております。
 社会保障に関しては、持続可能な社会保障制度を構築するために、今回のように医療や介護などの給付と負担の在り方について不断の見直しを行いつつ、社会保障・税一体改革やニッポン一億総活躍プランに掲げたとおり、安定財源を確保して、保育、介護の受皿整備や年金の受給資格期間の短縮などを実施する、保育士、介護人材等の処遇改善を行うなど、しっかりと充実を行ってまいります。
 なお、大企業に四兆円もの減税を行ったとの御指摘ですが、安倍内閣において平成二十七年度、二十八年度に取り組んだ法人税改革は、課税ベースの拡大等により財源をしっかりと確保しながら税率を引き下げたものであり、御指摘は当たりません。
 働き方改革についてのお尋ねがありました。
 一年余り前、入社一年目の女性が長時間労働により過酷な状況の中で自ら命を絶ちました。このような悲劇を二度と繰り返さないとの強い決意で長時間労働の是正に取り組みます。
 野党が提出している労働基準法改正案では、誰に対して何時間の上限にするのか全く決めておらず、厚生労働省に丸投げしています。政府としては、具体的な内容を示し、実行しなければなりません。実現会議で取りまとめる三月の実行計画においては、現在の大臣告示に強制力がないことを踏まえ、実効性のある規制となるよう、罰則付きの時間外労働の限度が何時間か具体的に定め、法改正に向けて作業を加速し、早期に法案を提出します。
 また、インターバル規制については、中小企業への助成金の創設などを通じ、規制導入についての環境整備を進めます。
 なお、現在提出している労働基準法改正案は、長時間労働を是正し、働く人の健康を確保しつつ、その意欲や能力を発揮できる新しい労働制度の選択を可能とするものです。残業代ゼロ法案といったレッテル貼りに明け暮れていては中身のある議論はできないと考えます。
 国家公務員の天下り等についてお尋ねがありました。
 今回の文部科学省における再就職規制違反事案は、国民の信頼を揺るがすものであり、あってはならないことであります。文部科学省において、全容の解明に向け徹底した調査を行い、再発防止策を講じてもらいたいと思います。
 国家公務員の再就職について問題なのは、官民の癒着につながりかねない公務員OBの口利きや、予算、権限を背景とした再就職のあっせん等の不適切な行為であります。このため、平成十九年の国家公務員法改正により、各府省による再就職の禁止等厳格な規制を導入するとともに、監視体制として再就職等監視委員会を設置したところでございます。現行制度による厳格な監視が機能したからこそ本事案が明らかになったものでありますが、本事案で生じた国民の疑念を払拭するため、山本国家公務員制度担当大臣に対し、同様の事案がないかどうか、全省庁について徹底的な調査を行うよう指示しました。
 今後、準備ができ次第調査をし、その結果を明らかにしてまいります。
 沖縄における基地負担軽減についてお尋ねがありました。
 普天間の辺野古移設によって、学校や住宅に囲まれ、市街地の真ん中にあり、世界で最も危険と言われる普天間飛行場は全面返還されます。辺野古の埋立面積は、返還される面積の三分の一以下であります。また、飛行経路が市街地の上空から海上へと変更されることにより、住宅防音が必要な一万以上の世帯数がゼロとなり、安全性も大幅に向上します。
 北部訓練場四千ヘクタールの返還は、〇・九六ヘクタールのヘリパッドを既存の訓練場内に移設することにより、二十年越しで実現したものであり、沖縄県内の米軍施設の約二割、本土復帰後最大の返還であります。地元の国頭村や東村からは、国立公園の指定、世界自然遺産への登録を目指すとして早期返還の要望を受けていたものであり、基地負担軽減に大きく寄与するものであります。
 伊江島においては、既存の施設の老朽化に伴い改修工事を行っているものです。
 このように、米軍基地を抜本的に強化、固定化するとの御指摘は全く当たりません。
 沖縄における選挙の結果については、いずれも真摯に受け止めています。沖縄の基地負担の軽減を図ることは政府の大きな責任です。同時に、この思いは国も沖縄の皆さんも同じであり、変わらないはずであると思います。
 政府の進めている基地負担軽減の取組が沖縄の民意を一顧だにしないとの御指摘は、これも全く当たりません。引き続き、地元の皆さんの御理解を得る努力を続けながら、普天間の全面返還に向けて全力で取り組んでまいります。
 オスプレイの不時着水事故及び日米関係についてのお尋ねがありました。
 日米地位協定の合意議事録は、米軍機の機体のような米軍財産は原則として米軍がこれを取り扱い、日本側当局は米側の同意がない限り捜索、差押え等を行えない旨定めています。
 この規定は、高度な軍事性や機密性を有する米軍財産について、その捜索や検証を徹底的かつ緊密に行うためにはその財産を熟知した米軍が一義的に取り扱うことが適当であること等を踏まえたものです。
 したがって、仮に米軍が日本の警察当局による米軍機の検証に同意を与えないことがあったとしても、それが日米地位協定に直ちに違反するものではなく、日米地位協定上許されない無法なものであるとの御指摘は当たりません。
 海上保安庁では、現場海域周辺において機体の一部と思われる浮流物を回収し、当該回収物の写真撮影などの捜索を実施しており、引き続き、米側にも協力を求めつつ、所要の捜査を実施してまいります。
 また、オスプレイを含め米軍機の飛行安全の確保は、米軍が我が国に駐留する上での大前提であります。先般の事故については、事故後、飛行停止と空中給油訓練の停止措置がとられましたが、その再開に当たっては、米軍だけの判断ではなく、日米で協議を行い、日本政府においても防衛省・自衛隊の専門的知見及び経験に照らして独自に分析を行いました。その結果、米側が事故を引き起こした可能性のある各種要因に有効であると思われる対策を幅広く取っていることを確認しました。
 また、今後とも空中給油訓練は陸地から離れた場所でしか行わないことも確認しています。
 これらのことから、日本政府として、再発防止について有効な対策等が取られていると判断したことから、その再開については理解できると述べたものであります。引き続き、事故の再発防止を強く求めるとともに、米側と連携を密にして安全確保に万全を期してまいります。
 日本と米国は、自由、民主主義、人権、法の支配といった普遍的価値のきずなで強く結ばれた揺るぎない同盟国です。また、日米同盟はいずれかのみが利益を享受する枠組みではなく、アジア太平洋地域の平和と繁栄の礎として不可欠な役割を果たしています。トランプ新政権との間で揺るぎない日米同盟を更に確固たるものにしていきたいと考えております。
 福島原発事故の費用増大と原発の再稼働についてお尋ねがありました。
 今回の所要資金の見通しは、現時点で最新の情報に基づき一定の蓋然性を有するものとしてお示しをしたものであります。上振れすることは想定しておりません。
 福島原発事故に係る対応については、東京電力が責任を持って対応し、負担することが大原則です。その上で、福島の復興再生のため、国も前面に立って取り組みます。
 福島原発事故の費用に関し国民負担との御議論もありますが、政府としては、事故当事者である東京電力の経営改革による資金捻出を基本とするなど、国民負担を極力抑えつつ、福島の復興再生を一日も早く実現するとの方針で臨んでおります。
 また、原子力発電所の再稼働については、仮に事故が起きれば住民の方々を始めとして極めて重大な影響が及ぶことを認識し、安全神話の信奉があのような悲惨な事態を招いたことを片時も忘れず、真摯に反省し、その教訓を踏まえつつ、二度と事故を起こさないようにすることが重要だと考えております。
 したがって、政府としては、高い独立性を有する原子力規制委員会が、科学的、技術的に審査し、世界で最も厳しいレベルの新規制基準に適合すると認めた原発のみ、その判断を尊重し、地元の理解を得ながら再稼働を進めるという方針で臨んでおります。
 「もんじゅ」及び核燃料サイクルについてお尋ねがありました。
 「もんじゅ」については、昨年十二月の原子力関係閣僚会議において、これまでの位置付けを見直し、原子炉としての運転再開はせず、今後、廃止措置に移行することとしました。
 「もんじゅ」は、これまで、設計、建設、四〇%出力までの運転を通じて高速炉開発に関する様々な技術的成果を獲得し、研究人材の育成にも貢献するなど、今後の実証炉の開発に貢献する成果を上げたと考えております。
 他方で、その保全実施体制や人材育成、関係者の責任関係などマネジメントに様々な問題がありました。このことは、昨年十二月の原子力関係閣僚会議において取りまとめられた政府方針に明記されているところです。
 核燃料サイクルは、高レベル放射性廃棄物の量及び放射線レベルを格段に減少させ、長期的な管理をより安全にする観点及び資源の有効利用及びエネルギー安全保障の向上の観点から、原子力を重要なエネルギーとして使用してきた我が国にとっては必要なプロセスだと考えています。
 核燃料サイクルについては、直面する様々な技術的課題やトラブルを、問題点を明らかにした上で一つ一つ解決していかなければなりません。国として責任を持って、安全の確保、技術の向上に万全を期しながら、引き続き自治体や国際社会の理解を得ながら取り組んでまいります。
 憲法改正についてお尋ねがありました。
 憲法が施行されてから今年で七十年になります。
 憲法は、国の未来そして理想の姿を語るものであり、新しい時代の理想の姿を私たち自身の手で描いていくという精神が日本の未来を切り開いていくことにつながっていくと考えております。
 もとより、憲法改正は国民が国民投票によって決めるものでありますが、新しい時代にどのような憲法がふさわしいのか、各党各会派がそれぞれの意見を持ち寄り、国民の憲法審査会において議論が深められ、具体的な姿が現れてくることを期待したいと思います。
 なお、憲法改正の議論を国会で進めるべきであるとの意見が五〇%、そして進めるべきではない、反対が二一%という世論調査の結果もあることは承知しております。
 南スーダンPKOについてお尋ねがありました。
 御指摘の事実上の内戦状態が何を意味するものか、必ずしも明らかではありませんが、南スーダンにおいては、現在も武力衝突や一般市民の殺傷行為が度々生じており、その治安状況は極めて厳しいものと認識しています。首都ジュバについても、今後の状況は楽観できず、引き続き注視する必要がありますが、現在は比較的落ち着いています。
 このような我が国の情勢認識について、国連とも基本的に異なるものではないことを確認しています。また、国連の報告書において、UNMISSに対する移動制限等が報告されていることは承知しています。
 他方、南スーダン政府自身は、これまで累次の機会にUNMISSへの協力を表明してきています。また、自衛隊に対しては、南スーダンのキール大統領や政府内で反主流派を代表するタバン・デン第一副大統領からも感謝の言葉が示されており、また、南スーダン政府によるUNMISS及び自衛隊に対する受入れ同意は安定的に維持されているものと考えています。
 このように、南スーダン政府が自衛隊に敵対するものとして登場しないことを確保していることから、自衛隊が南スーダン政府との間で駆け付け警護の任務に基づき武器を使用する事態が生じることは想定されず、自衛隊が憲法の禁ずる武力の行使を行うことはありません。
 これまでも、我が国は、自衛隊派遣のみならず、人道支援や民生支援などで大きな貢献を行い、南スーダンや国連を始め、国際社会から高い評価を受けています。今後とも、現地情勢について緊張感を持って注視しながら、国際社会の平和と安全に貢献していく考えであります。
 国際組織犯罪防止条約の国内担保法についてお尋ねがありました。
 東京オリンピック・パラリンピックを三年後に控える中、テロ対策に万全を期すことは喫緊の課題であります。テロを防ぐためには、テロ等準備罪の整備に加え、逃亡犯罪人引渡しや捜査共助、情報収集において国際社会と緊密に連携することが必要不可欠であり、既に百八十七の国と地域が締結している国際組織犯罪防止条約の締結は、そうした協力関係を構築する上で極めて重要であります。
 国際組織犯罪防止条約を締結するに当たり新たに国内法を整備した国としては、ノルウェー及びブルガリアがあると承知していますが、米国や英国等は重大な犯罪の合意罪を、ドイツやフランス等は参加罪をこの条約の締結以前よりそれぞれの国内において法制化していたため、新たに国内法を整備する必要はなかったと承知しております。
 国内担保法の在り方については、現在、犯罪の主体を一定の犯罪を犯すことを目的とする集団に限定し、準備行為があって初めて処罰の対象とするなど、一般の方々がその対象となることはあり得ないことがより明確になるよう検討を行っているところであり、国民の思想や内心まで取り締まる、多数の一般人が監視の対象となるといった御懸念は全く根拠のないものであります。
 また、現在政府が検討しているテロ等準備罪は、テロ等の実行の準備行為があって初めて処罰の対象となるものであり、これを共謀罪と呼ぶのは全くの誤りであります。(拍手)

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