2017年3月22日 参院厚生労働委員会 速記録

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○小池晃君 日本共産党の小池晃です。久しぶりですので、よろしくお願いします。
 午前中、石橋委員も質問されていた時間外労働の上限の休日に絡む話について聞きたいと思うんですが、ちょっと午前中も議論あったのでちょっと若干質問の順番とかは変わるかもしれませんが、この残業時間年間七百二十時間とする案が示されて、月四十五時間超えるのは年六回までと、ここには休日労働は含まれていないということが午前中も説明があったと思います。
 ということは、理論的には、休日労働を加えれば時間外労働は十二か月連続八十時間、つまり年間九百六十時間が可能になるということですよね。

○政府参考人(山越敬一君) お答え申し上げます。
 時間外・休日労働を合計した上限でございますけれども、今おっしゃられましたように、理論上は年間九百六十時間となり得ると思いますけれども、ただ他方で、この時間外労働、休日労働、三六協定による労使合意の範囲でやることになっておりますし、割増し賃金三五%を休日労働については支払っていただく必要があるわけでございます。

○小池晃君 いや、それは、まあ経営判断、労使の合意という問題で、労働法制上の問題じゃないと思うんですね。法律上は九百六十時間まで可能になるわけですよ。
 で、ちょっと分からないのは、百時間、八十時間には休日は入れる、今日午前中も説明はあった。
 何で四十五、七百二十時間には何で休日を入れないんですか。これ、よく分からない。

○政府参考人(山越敬一君) 今回の政労使提案におきます月四十五あるいは年三百六十時間でございますけれども、これは、現在、現行法の下で大臣告示で定められている限度時間であります月四十五時間、年間三百六十時間を踏襲するものでございます。
 この現行法の大臣告示は休日労働を含まない時間外労働についての限度時間を定めるものでございまして、これを踏襲するものでございますので、今回のその月四十五時間、年三百六十時間という政労使提案については休日労働の時間分が入らないということでございます。

○小池晃君 だから、現行制度だって入っていないのはおかしいじゃないかとさっき指摘あったじゃないですか。私もそうだと思いますよ。
 現行制度でないからそこに入っていないと。じゃ、その百と八十にはなぜ入れるんですか。

○政府参考人(山越敬一君) 今回の政労使提案では、二か月ないし六か月の平均で休日労働を含んで八十時間、それから単月では休日労働を含んで百時間未満としておりますけれども、これは働く方の健康を確保する観点から休日労働を含むということにしたところでございます。

○小池晃君 百と八十は健康確保のためだから休日労働は入れる。四十五と七百二十だって同じじゃないですか。何でそっちに休日労働を入れないんですか。百と八十は過労死基準だから、過労死基準との関係があるから、まあ健康確保のためには休日労働を入れなきゃいけない。一方で、四十五と七百二十は漏れがあってもいいと。
 こうなったら、結局、幾ら八十、百に休日労働を入れたって、これは過労死基準超える働き方になっちゃうでしょう。そこが何で違いが出てくるんですか、おかしいじゃないですか。

○政府参考人(山越敬一君) いずれにいたしましても、その一年を通じて二ないし六か月平均で休日労働を含みまして八十時間、それから単月では休日労働を含んで百時間未満ということでございますので、労災補償の脳・心臓疾患の認定基準の枠内には入るものだというふうに考えております。

○小池晃君 だって、違うと思うんですよ。だって、結局、こんなことをやったらば、二か月平均八十時間という過労死ラインの働き方がこれは毎月可能になるわけでしょう、四十五の方には休日入ってこなければ。ずっと八十時間で働けるわけですよ。
 年七百二十時間という上限があったから、二か月から六か月八十時間の規制が一定の歯止めになるはずだったと思うんですよ。ところが、これが九百六十時間まで許されるということになったらば、結局この歯止め空洞化するわけじゃないですか。もう毎月毎月、一年間ずっと八十時間働けるようになるじゃないですか。そうなれば結局、過労死基準を超える働き方になるじゃないですか。違いますか。

○政府参考人(山越敬一君) いずれにいたしましても、年間を通じて二か月ないし六か月の平均で休日労働を含んで八十時間、それから単月で休日労働を含んで百時間未満という基準は、その枠内には必ず収めていただかなければいけないわけでございます。
 ただ、これはその範囲で三六協定を定めるということでございますので、その中で幾らでもやってもいいということではなくて、労使が御努力をいただいてできるだけ短くするということも必要だというふうに思っております。

○小池晃君 いや、私はそれでは歯止めになっていないと思いますよ。結局、休日労働をこの四十五、七百二十、ここには入れないということになったら、ここは漏れがあってもいいということになるわけですよ、結局ね。結局、こうなれば過労死基準まで働かせるということにお墨付きを与えることになるじゃないですか。だから、過労死基準はクリアするんだ、するんだと言ってきたけれども、結局ここのところで穴を空けちゃったわけだから、もう過労死基準を超えるような働かせ方が可能になる基準になってしまっている。
 大臣ね、やっぱり、もう理論的には九百六十時間まで可能になることをお認めになったわけですが、結局、私は、もう月六十時間、年間七百二十時間そのものがとんでもない上限だと思いますけれども、これを二百四十時間も上回る九百六十時間まで理論的には可能になるルールにしちゃったわけですよ。文字どおり過労死基準が認定されるような労働時間まで、もう毎月毎月、一年間八十時間働かせても、これは合法でしょう、法律上は。
 合法という形になっちゃったわけでしょう。これは、どこが過労死ゼロなんだということになりませんか。
 大臣、私の言っていることに反論があるんだったら言ってください。

○国務大臣(塩崎恭久君) 元々議論は、これは共産党の先生方からもしばしば言われたのは、この大臣告示である月四十五時間それから年三百六十時間を法定しろということを随分御議論いただいてまいりましたし、それから時間外労働の問題についての議論、御提案が多かったし、今回御案内のように、労使合意として連合と経団連の間での合意も、やはりこの時間外労働の上限規制は月四十五時間、年三百六十時間とすると、これが基本だということだと思うんですね。
 ただ、先ほども申し上げましたけれども、これは、人間はもう体が一つで、どういう規制をしようと命は一つですから、実労働時間で休日を含めて見ると。つまりこれは、労災認定をされるときには曜日に関係なくどういうストレスが掛かったのかということを見ながら労災認定をしていくわけでありますので、そういう意味で総理が何度も申し上げてきた、いわゆる過労死基準をクリアするということを何度も申し上げてきて、この際は休日労働も含めた実労働時間を念頭に事実上入れながら、新たなこの時間外労働の規制について労使間で合意をしてほしいということで話合いを促して、これが十三日に合意として出てきたということであります。
 さっき申し上げたように、また、今先生からお話があったように、人間の体は休日のストレスというものも掛かってくるわけですから、当然この休日労働について可能な限り抑制をするということは、私どもとしてもこの後に作られる指針という中で、これは労基法で指針を作るということにすることが政労使の提案の中に入っているわけでありますので、その指針の中で休日労働についても可能な限り抑制をするということをしっかりと盛り込んでいきたいというふうに考えているところでございますし、また、実績は、今日、石橋先生との間で議論が大分あったように、まあ言ってみれば、もうのべつ幕なしみんなやっているわけではなく、限られたところで休日の労働というのは行われているということで、もちろん休日全部に働かせることは今も可能になっているわけでありますけど、現実にはそんな協定はないということを連合の会長さんもおっしゃっているぐらいでありますので、そういうことをしっかりと頭に入れながら三六協定について合意をしていったということだというふうに思います。

○小池晃君 いや、午前中、私聞いていたけど、だって半分あると認めていたわけで、それで、だらだら言ったけれども、ちょっとおかしいですよ。
 それで、しかもそのデータ自体が非常に何かおかしなデータだという説明もされていたじゃないですか。
 今の話でいけば、やはり健康確保ということでいえばこの四十五と七百二十に対しても休日のことを加味するようなことを考える、検討するという理解でいいですか。

○国務大臣(塩崎恭久君) さっき申し上げたように、いわゆる過労死基準をクリアするということは、事実上、休日労働も含めた実労働時間を念頭に入れながら時間外労働の規制について考えるということで、労使の皆さんが話し合った末にぎりぎりの合意が初めて法律にするという形で出てきたということでございます。

○小池晃君 ぎりぎりの合意かもしれないけれども、穴は空いちゃっているんだから、穴を塞ぐ努力をするかどうかだと。私は、これしなければ、これはもう過労死基準超えますよということを言い続けますよ、私たちも。過労死の家族の会だってそのことを怒っているわけですよ、皆さん。その声に耳傾けて、やっぱり検討する、検討するぐらい言ってください。

○国務大臣(塩崎恭久君) 先ほど申し上げたように、後に労働基準法の改正の中でこの指針を定めることにいたしますから、その指針の中で私たちとして可能な限り抑制をするということを明確にしていくということを申し上げておるわけでありますから、それは、今、小池先生の御意思に応えているというふうに私は思います。

○小池晃君 指針だというんだって、まだ法律だって出ていないんだから、今から見直して、ちゃんと合意をしっかりとした、本当に、過労死水準、過労死にさせない、過労死ゼロの働かせ方、働き方改革にすべきだし、今検討されている中身はもう私は撤回すべきだということを申し上げておきたいと思います。
 裁量労働制について聞きますが、今、国会に提出されている労働基準法の改悪案、いわゆる残業代ゼロ法案では、企画業務型裁量労働制に新たに一定の営業職を追加するとしておりますが、現在は一般的な営業は入っていないということですね。

○政府参考人(山越敬一君) 現行の企画業務型の裁量労働制の対象業務でございますけれども、これは、事業の運営に関する事項の企画、立案、調査、分析の業務とされております。したがいまして、営業についての企画、立案、調査、分析の業務をする場合はこれは含まれるわけでございますけれども、他方で、個別の営業活動などは対象業務にはならないというふうに考えております。

○小池晃君 損保ジャパン日本興亜では、嘱託などを除く職員約一万九千人のうち、企画業務型裁量労働制が六千三百七十四人、全社員の三三%、実に三人に一人という比率です。損保ジャパン日本興亜の人事部資料を見ますと、企画業務型裁量労働制の対象として営業とはっきり書かれております。これは明らかに対象外だと思います。実際、労働者へ聞いたところ、支店とか二十人から三十人程度の支社の一般の営業職にまで企画業務型が導入されている。
 指針では、これ、対象要件は、支店、支社の場合も、本社の具体的な指示を受けることなく独自に事業の運営に大きな影響を及ぼす事業計画や営業を計画する。もうとてもそんなことできない職場だと思いますよ、この今の支店、支社。これ直ちに調査すべきじゃないですか。

○政府参考人(山越敬一君) 個別の事案に関することについてのお答えは差し控えさせていただきたいと思います。
 一般論といたしまして、企画業務型裁量労働制の対象業務外に従事されている方の場合には通常の労働時間管理の下で行っていただく必要があるわけでございます。
 労働基準監督署といたしましては、いずれにいたしましても、法に違反するような事実が確認された場合にはその是正について指導を行ってまいりたいというふうに思います。

○小池晃君 実際に話聞きました。是非調査してほしいんですよ。この労働者は、上司から裁量労働制の同意書提出を求められたと。自分の仕事はこれは企画業務型の定義に当てはまらないんじゃないか、対象外なんじゃないかと伝えた。そうしたら上司は何と言ったかというと、あなたは毎日会社の仕事のことを考えているでしょう、それならば裁量労働制の対象になるんです、だから同意書にサインしなさいと、こう言われたというんですね。
 本人同意が要件というけれども、損保ジャパン日本興亜のこの対象を見ると、大卒後四年以上の経験なんですね、要件は。二十代後半の社員が上司から強く言われたら断れないのが現実だと思うんですね。これ、根本に関わる大問題だというふうに思います。
 そして、もう一つ、個別企業の問題は答えられないといつも出てくるんですけれども、大臣、これ実は、政府は昨年十二月に、損保ジャパン日本興亜を女性が輝く先進企業として総理大臣表彰を行っているんですよ。個別企業を表彰しておいて、問題があると指摘すると個別企業のことは言えないというのは御都合主義だと私思います。私、少なくとも、女性が輝く企業として総理大臣表彰までする、これは厚労省だって多分情報を流してこれ表彰したんだと思いますよ。
 これ、株主総会で問題にもされたこともあるんですよ、この企画業務型の裁量労働の適用がおかしいんじゃないかって。そういう企業をやっぱり表彰する、表彰するんだったら、今私が明らかにしたようなこういった実態とか、実際の労働条件どうなっているのか、賃金どうなっているのか、こういったことにしっかり目を向けるべきなんじゃないですか。
 これ、私が言っているだけじゃない。週刊現代、今年一月三十一日付けの週刊現代で裁量労働制の特集やられているんですが、その中で、損保ジャパン日本興亜の社員の声と、記事でも、二十代、営業と書いてあるんですよ。この方は、みなし労働時間一日九時間だけれども、実際十二時間働いているというふうに言っています。実際にこの損保ジャパンの人事部の資料を見ると、昨年四月から八月で実際の残業時間は月四十・三八時間、みなし時間である二十時間の約二倍、恒常的に、こういう実態あるわけですね。
 大臣、個別企業、個別企業と逃げないで、やっぱりこれ、これだけ明らかになって、表彰までしたんですよ。予算委員会で私、安倍総理にこのこと聞こうと思っていたんですけど、いろいろ事情があって聞けなかったので、ちょっと大臣、こういったものをちゃんと調査すべきじゃないですか。
 これは、個別企業だと言って逃げないでくださいよ、ちゃんと調査しますと言ってくださいよ。

○国務大臣(塩崎恭久君) 個社の問題についてはコメントは差し控えたいと思いますけれども、実際、企画業務型裁量労働制と銘打っていながら必ずしもその法律の趣旨並びにその定めに合っていないというものについては、当然、不適切な運用でありますから、これは労働基準法違反ということを確認された場合には当然しっかりと指導して、厳しく指導していかなきゃいけないというふうに思いますので、営業ということでありますけれども、これは、やはり自社の経営そのものに影響を与えるような先であったり、あるいは事業場でも全体に影響を与えるようなものに限られるわけでありますし、それから、三年から五年の経験がなければいけないということも守られていないならばそれは問題になり得るわけでありますので、そういうことをもろもろやはりきちっと見た上で、私どもとしても、法が遵守されているかどうかは見ていきたいというふうに思います。

○小池晃君 限られると言うけど、社員の三人に一人なんですよ。全然限られていないじゃないですか。
 私、昨年の予算委員会で取り上げたソニーも、もうかなりの社員が裁量労働制になっているという実態も示しましたよ。これ広がっている。同時に、じゃ、企画業務型の裁量労働制の労働者って一体何人いるのかと聞いても答えられないわけですよね、政府は。かつて二〇〇三年の国会では私どもの山口富男衆議院議員が質問して、六千七百四十四人が企画業務型裁量労働制と答弁したこともあります。それから、二〇〇七年には東京労働局がそういう調査もやりました。
 私は、この企画業務型の営業職への拡大が今も実態として本当に野方図になっている、広がるんじゃないかということを言っているときに、少なくともやっぱりこれ調査すべきじゃないですか、労働者の数。どうですか。

○政府参考人(山越敬一君) 企画業務型裁量労働制の対象労働者数でございますけれども、これは、統計調査である就労条件総合調査などを基に推計ができるというふうに考えておりまして、毎年この推計結果については公表することを考えてまいりたいと思います。

○小池晃君 いや、それはあくまで推計結果で、数%みたいな話しか出ていないんです。実際の数字をやっぱり示すべきだと。
 それに加えて、今出している労働基準法改悪案では、今義務になっている六か月ごとの使用者の監督署への報告を制度導入後六か月のみとすると。
 もう一回こっきりで終わりにしちゃうというんですよ。今までは六か月ごとに報告義務があったのを、一回報告したら終わりにすると。これ、とんでもないじゃないですか。労働者保護に逆行するんじゃないですか。こんなことは撤回すべきだと思います。
 大臣、これやめてください、こんな規制緩和は。
 今ですら裁量労働制の把握ができていない。その調査を更に、六か月ごとにやっていたものをもう六か月やったら終わりでいい、こんなことはとんでもないと思いますよ。いかがですか。

○国務大臣(塩崎恭久君) これ、労政審の建議において、御指摘のこの定期報告についての、企業が制度を導入してから最初の六か月後にだけを行えばよいという方針が示されたことを受けての決めたことでございまして、これ、企画業務型裁量労働制が制度として定着をしてきたということ、それから手続の簡素化を図るという観点、そして健康・福祉確保措置の実施状況について事業場に書類の保存を義務付けることにより、定期報告は最初に行えばよいということになったと理解をしているわけでございますので、先生の御意見は御意見として受けてまいりたいというふうに思います。

○小池晃君 しっかり労働者保護をしていただきたいと思います。
 終わります。

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