日本共産党 書記局長参議院議員
小池 晃

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2019年6月10日 参議院決算委員会 速記録

2019年06月10日

○小池晃君 日本共産党の小池晃です。
 年金暮らしの御夫婦の平均収入と支出の差が月五万五千円、三十年間で二千万円不足する。金融庁のワーキング・グループの報告書が衝撃を広げております。
 麻生大臣、先ほどから表現が不適切だったんだというふうに言われています。しかし、ここにこの報告書に引用されている厚労省のデータもお示ししておりますが、年金収入では平均で毎月五万五千円不足すると、このことは事実だと思うんですね。
 表現が不適切なのではなくて、私は老後の生活を賄うことができないような年金制度そのものが不適切だというふうに思いますが、いかがですか。

○国務大臣(麻生太郎君) 御指摘のこの五万五千円というのは、これは二〇一七年の家計調査における高齢夫婦無職世帯における毎月の実収入の平均値から実支出平均値を単純に差し引いたものだと理解をしております。
 しかし、高齢者の家計においては、これは御存じのように貯蓄や退職金を活用していることに触れるということはされておりませんし、家計調査の結果に基づく単純計算で、老後に月五万五千円、三十年で二千万円の赤字があるかのような表現をしたことについて、私どもはこれは皆様に誤解や不安を広げる不適切な表現であったと考えておると申し上げております。
 いずれにいたしましても、現役世代に被用者であった方々につきましては、これは基礎年金と厚生年金を老後の所得の柱としていただけるように、厚生労働省を中心として、これは政府全体としてしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。総理も過去の答弁でこうした趣旨であったものだと私ども理解いたしておりますので、同様の考えを私どもも考えております。

○小池晃君 だから、その老後の暮らしの柱である年金では平均的な収入を賄うことができないということ自体が問題ではないかと私は言っているんですよ。
 先ほどから、更に豊かに暮らすためには年金では五万円足りないというふうに総理もおっしゃった。今まで政府はちょっと違っていたと思うんですよ。厚生年金というのは必要な生活費は賄えるというふうにおっしゃってきたはずなんですね。例えば、総理も国会でこう答弁しています。国民年金があれば十分ということではないが、厚生年金においてはある程度必要な生活費を賄うものであると。
 ところが、今回のこの報告書で政府がある意味正直に認めたのは、厚生年金でも年金生活者の平均的な支出を賄うことができないということだと思うんですね。
 先ほどから、更に豊かにするために五万円足りないんだと。更に豊かにと言うんですが、この厚生年金でもカバーできない、更に豊かに暮らすための消費支出って一体何なんですか。この家計の中でいうと、一体どこが更に豊かに暮らすために必要な五万円なんですか。

○国務大臣(根本匠君) それは、実態調査からそういう資料を出しているんだと思います。だから、その意味では、平均的な数字を六十代、六十五で、六十歳ということで出していますから、だから、それはあくまでも、年金というのは一定の所得を年金で基本的には確保して、あとはそれぞれ、今、預金もそれはその前提で、預金も全体で二千三百万の預金も前提であるし、中央値は千五百万という、結果としてありますから、それを実は充てながら、次の、これからの老後に備えるということだと思います。

○小池晃君 私が質問したことに全く答えていない。更に豊かに暮らすために必要なのは五万円だと言ったんだから、じゃ、この中で一体、五万円って何なんだと、どこが五万円、更に豊かに暮らすための五万円なんだと聞いているんです。答えてください。(発言する者あり)

○委員長(石井みどり君) 速記を止めてください。

〔速記中止〕

○委員長(石井みどり君) 速記を起こしてください。(発言する者あり)
 速記を止めてください。
〔速記中止〕

○委員長(石井みどり君) 速記を起こしてください。

○国務大臣(麻生太郎君) 今御指摘のありました点ですが、高齢者夫婦世帯モデルの年金額、約二十二万一千円というのがありますが、これ、平成三十年度総務省の家計調査による総支出額というのによりますと、消費支出と非消費支出額を加えたものが二十六万五千円ということになっておりますが、いわゆる基礎的消費支出額は約十一万四千円に加えまして、保健医療費、交通・通信、教育、教養娯楽費を合計した支出額にいたしますと約十八万二千円になっておりますので、その意味では、この二十万円というのは下回っておるということではあります。
 したがいまして、申し上げたように、多様な生活がいろいろありますので、それぞれの方が考える、望ましい生活を考える生活水準の働き方というものの、希望とか収入とか資産の状況も様々ですから、そういった意味でいえば、全額、全部赤字になるということになるというわけでは全くありませんですよ。

○小池晃君 全く答弁違うんです。
 要するに、二十六万四千円と二十万九千円で五万五千円差額があると。これ平均ですよ。確かにいろんな人いますよ。ただ、この差額というのは一体、じゃ、何なんですかということを厚労省に聞いたらちゃんと答えていましたよ。これ、答えてください、じゃ、厚労大臣。

○国務大臣(根本匠君) 公的年金の水準については、モデル世帯を物差しとして、現役時代の所得に対してどの程度の水準になるかという所得代替率を示しておりまして、老後生活の一定程度を賄える水準を目標としてきておりますが、今財務大臣からも話がありましたけど、生活は人それぞれ多様な中で、その生活の全てを賄える水準とはこれまでもされておりません。高齢期の生活は多様であって、それぞれの方が望ましいと考える生活水準や働き方の希望、収入、資産の状況も様々であります。
 現在でも、国民の老後所得は公的年金を中心としながら、稼得所得、要は働いて稼ぐ所得、仕送り、企業年金、個人年金、財産所得などが組み合わさっているのが実態だと認識をしております。

○小池晃君 全く答えない。
 あのね、事前に聞いているときは、この差額というのは教養娯楽費と交際費だと言ったんですよ。何でそういったことをちゃんと認めないんですか。
(発言する者あり)言いたくない、よほど言いたくないんだね。
 要するに、厚生年金というのは、教養娯楽費や交際費は、これはぜいたくで豊かな暮らしなんだということじゃないですか。総理、日本の公的年金というのはこんなささやかな暮らし、だって、この家計調査で、教養娯楽費月二万五千円ですよ、一日八百円ですよ。交際費二万七千円ですよ。日本の公的年金、厚生年金というのは、こんなささやかな暮らしも支えられない。趣味も控えなさい、友達との付き合いもやめなさい、おうちでじっとしていなさいと、これが公的年金が保障する水準だということになるんじゃないんですか。総理、いかがですか。

○内閣総理大臣(安倍晋三君) これは、先ほど財務大臣からも、金融担当大臣からも根本大臣からもお答えをさせていただいたように、高齢期の生活は多様であって、それぞれの方々が望ましいと考える生活水準や働き方の希望、収入、資産の状況も様々であります。
 こうして、こうした点から見ると、言わば、言わば、先ほど根本大臣が答弁したように、いわゆるモデル世帯というのを見て言っているのではなくて、こちらは平均ですから、平均値、平均値を果たして出すことに意味があるのかどうかということも議論しなければいけないわけでございまして、こうした点から見る、言わば、この平均値を出した、平均値を出してそれが全てに当てはまるかの誤解を生むというところに問題点があるわけであります。
 モデル世帯であればですね、モデル世帯であれば、言わば夫婦二人で子供何人ということが決まっているわけでございます。そして、収入が幾らということが決まっているわけでありますが、それでモデル世帯で見てきているわけでありますが、そのモデル世帯で見て、言わば現役時代の収入の代替率を五割としているという、五割を守っていくということについて我々は年金の設計をしているわけでございますが、これは言わば平均値を取っている、言わばモデル世帯、実態のある具体的なモデル世帯があるわけではないわけでありまして、その中において、こうした点から見ると、御指摘の報告書が一定の単純計算の下に老後に月五万円、三十年で二千万円の赤字であるかのように表現した点については、これ大切なところですから、申し上げておきたいと思いますが、国民の皆様に誤解や不安を広げる不適切な表現であったと……

○委員長(石井みどり君) 答弁は簡潔にお願いいたします。

○内閣総理大臣(安倍晋三君) 考えていると、こういうことでございまして、この点が大切なことなんですよ。これ、生活に関わることがありますから詳しく御説明をさせていただいているところでございます。

○小池晃君 大切なところだから詳しく説明しているんじゃなくて、長々しゃべって時間を潰しているだけじゃないですか。
 平均で語らなければ分からないじゃないですか。平均で語って、だって、平均の数字出してきたのは政府ですよ。平均の数字を示して、五万五千円足りないと言ってきたのは政府なんですよ。だから、あなたたちの議論に基づいて私は指摘をしているんですよ。こういう本当に不誠実なやり方は許されないと思いますよ。
 現実に、これからこの事態はもっと悪化するわけですよ。これ、もっと悪化しますよ。というのは、マクロ経済スライドです。
 既に、安倍政権七年間の合計で、年金改定の指標となる物価五・三%上昇したのに、年金は〇・八%のマイナス改定です。だから、実質六・一%の大幅減なんです。年金の支給水準を自動的に減らしていくマクロ経済スライドがこの原因です。この今の数字というのは、まさにこれ今の現実です。今の受給者です。ということは、これからの年金受給者の赤字、この差額というのはますます増大することは間違いないわけですね。
 今回の金融庁の報告書でも、それははっきり書いてあります。公的年金で満足な生活ができなくなる原因は、マクロ経済スライドによる給付水準の調整が行われるからだとはっきり認めているわけですね。これ、厚生労働省がこのワーキング・グループに出した資料です。厚労省の企業年金・個人年金課長もこのワーキング・グループで、公的年金の給付はマクロ経済スライドにより水準の調整が見込まれ、私的年金の重要性が増すと言っているわけですね。
 先ほど金融庁は、公的年金が下がる前提で議論していないと言ったけど、あれはとんでもないごまかしですよ。公的年金がこれから下がるから、だから私的年金、貯蓄だということを示したのがワーキング・グループなんですね。明らかに下がる前提の議論です。
 このままでは、今の現役世代が年金受給者になったときに必要な貯金というのは、これ二千万円じゃ済みませんよ。これからマクロ経済スライドで調整していくわけですから、ますます増えていくわけですよ。前回の年金財政検証に基づいて計算すると、今四十一歳の方が六十五歳になるのが二〇四三年です。で、この二〇四三年までマクロ経済スライドは続きます。基礎年金は三割カットされます。夫婦二人で月四万円です。二〇二二年頃までは、これは報酬比例部分も六%カットされます。月〇・五万円ですから、合わせて四万五千円です。四万五千円、三十年続けば千六百二十万円です。だから、今四十一歳かそれより若い方は、夫婦で二千万円どころか三千六百万円、この差額が出てくるということになるわけです。これ、私は金融庁がやった計算のとおりに計算してみたら、こうなるわけですよ。これが実態なんです。
 総理ね、先ほどからマクロ経済スライドで将来世代の安心をと言いましたが、これが実態じゃないですか。これから更にこれはひどくなるわけですよ。私は、このマクロ経済スライドに問題があるということを、政府もマクロ経済スライドで年金水準下がっていくと言っているわけですから、これ直ちにやめるべきじゃないですか。

○内閣総理大臣(安倍晋三君) ですから、先ほど御説明したとおり、金融庁の出した報告書自体について、一定の単純計算の下に国民の皆様に誤解や不安を広げる不適切な表現ということを言っているわけでありますから、その上に、その上において議論することについては、私は、それは余り生産的ではない、意味のないということであると、こういうことを申し上げているわけでございます。
 その上で、まさに本論に入られたと思いますよ、マクロ経済スライドについてね。で、なぜマクロ経済スライドを、じゃ、導入したかということについてであります。
 それについては、言わば所得代替率を、モデル世帯でありますが、所得代替率を五割ということにしました。そして、保険料の上限も、保険料についてもこれは固定しました。しかし、それ両方固定しているわけでありますから、どこかで調整しなければ給付と負担のバランスが取れない。給付と負担のバランスが取れませんから、言わばこの延命の年数ですね、平均寿命の延び、そして被保険者数の増減について、これを指数として、総合的な指数としてマクロ経済スライドを導入したわけでございます。
 つまり、その中で、例えば、本来一%の伸びであっても、かつては〇・九マクロ経済スライドがあれば〇・一しか伸びないという形で、給付と負担のバランスを取っていたわけであります。これは、現役世代だけではなくて将来の世代においても、給付と負担のバランスも捉えて年金の持続可能性を確保したことによって、これを百年安心という仕組みにしたわけであります。と同時に、これ年金の積立金もあるわけでございます。これを運用して……(発言する者あり)これ関係あって、非常に重要な点であります。年金の言わば財源の安定性の問題であります。
 そこで、そこで、じゃ、年金は、年金がどうなのかということについては、このマクロ経済スライドをやめてしまえということでありますが、これやめてしまったら給付と負担のバランスをどうやって取っていくんですか。

○委員長(石井みどり君) 御答弁は簡潔に願います。

○内閣総理大臣(安倍晋三君) 給付と負担の、これ負担がなければこれ給付はできないんですから、そこを正面から捉えなければいけないということを申し上げているわけであります。
 その中において、今年度の年金については〇・一%増額改定ができたということでありまして、まさにマクロ経済スライドと今までのキャリーオーバー分も含めてそのプラス改定ができたということは申し上げておきたいと思います。(発言する者あり)

○委員長(石井みどり君) 速記を止めてください。

〔速記中止〕

○委員長(石井みどり君) 速記を起こしてください。(発言する者あり)
 御静粛に願います。

○小池晃君 月五万五千円、この年金……(発言する者あり)総理、違う違うと言うけど、それは金融庁の数字じゃないんですよ。厚生労働省が出している数字なんですよ。家計調査、一方、総務省の家計調査、それと年金の給付と、だから政府の統計なんですよ。これが間違っているんですか。
これ議論の前提でしょう。
 だから、赤字と書いたとか貯金と書いたのが表現が適切じゃなかったということを言っているのかもしれないけど、この差額があることは事実なんですよ。五万五千円の差額が毎月生まれ、それが三十年続けば二千万円になる、これは事実じゃないですか。そして、その二千万円の差額というのが、これからマクロ経済スライドを発動すればどんどんどんどん拡大していくでしょうと私言っているんですよ。物価上昇分、今年度年金上げたと言うけど、物価上昇分反映していないじゃないですか。物価上昇分年金を上げなければ、物価上昇分年金を上げなければ、年金生活者の暮らしというのは低下するわけです、生活水準は。胸張って言うような話じゃないんですよ。
 私は、これだけ問題が起こった、はっきり、ある意味では正直に認めたんですよ。毎月五万五千円足りなくなると、三十年間やったら二千万円足りなくなると、だから貯金してくださいと、年金だけに頼っちゃいけませんよということをある意味では正直に政府が認めたんですよ。だったら、そのときに何で貯金なんですかというんですよ。これだけの問題が起こっているんだったらば、貯金せよではなくて、この貧しい年金制度をどうするかを考えるのが政府の責任じゃないですか。それを、この年金の実態をこのまま全部さらけ出しておいて、それで貯金をせよと。大体、今の年金受給者は、もうこれ今の実態ですからね、総理、今の年金受給者ですからね、今から貯金なんかできないわけですよ。三割の人は貯金持っていないわけですよ。そういう人たちに、じゃ、政府はどう対応するんですか。何の積極的な提案も持っていないじゃないですか。
 そうして、これからマクロ経済スライドでどんどんどんどん年金が目減りしていく、これについて何も手も打たずにこれをこのままやるんだと開き直る。百年安心だと言っていたのが、いつの間にか人生百年の時代だから年金当てにするなと、自己責任で貯金せよと。国家的詐欺に等しいやり方ですよ、これは、はっきり言わせていただいて。
 政府がやるべきことは、総理、貯金せよではありません。この貧しい年金制度をどうするのかを真剣に考えるのが政府の責任なんじゃないですか。

○内閣総理大臣(安倍晋三君) 先ほど私の説明が長いと言われましたが、今のように年金の仕組み自体を全く詐欺とかそういう表現を使って言われるのであれば、年金の仕組み、マクロ経済スライドの仕組みについて、なぜ導入したかについて説明する必要は当然私は政府の責任者としてあるじゃないですか。それをこれ以上短く説明するのは無理なんです、今申し上げたように。ちょうど、私がしっかりと、この年金が、いかに年金の仕組みというのが固いものであるかということを説明し始めると皆さんすぐそういうふうにいらいらしてくるんですが、私の説明も、私の説明もちゃんと聞いていただきたいと思います。
 年金というのは、年金という仕組みについては、これは保険料と、これは税金から成り立っているわけであります。給付と負担のこれバランスで成り立っているわけなんですよ。しかし、残念ながら、少子高齢化が進む中において、この年金の持続可能性をいかに確保していくかということであります。これはやっぱり、保険料が安くて年金を増やせれば、それはもうそれにこしたことがないわけでありますが、残念ながらそういう状況にない中において、マクロ経済スライドというものを導入して、今の世代も、そして次の世代においても、給付と負担のバランスを取っていくということにしたわけでございます。
 その中において、言わば我々が申し上げた百年安心というのは、仕組みとしてそれを確保するのがこの仕組みであって、我々はこの仕組み以外にはないと、こう考えておりますし、足下で見た場合は、先ほどおっしゃったように、インフレ、確かに一%ですよ、賃金の上昇は〇・六だったんですが、〇・六の方を取って、そこから、言わばマクロ経済スライドプラス、今までキャリーオーバーした分も今回これは解消できたわけであります。また、同時に、特例水準というのがあったんですよ。デフレであればデフレにスライドするのをずっとしていなかった。これは旧民主党も賛成してこのデフレスライドをするという特例水準も安倍政権で解消できたということは、成長してプラス側になったからそれができたというわけでございまして、今回も、キャリーオーバー分も解消し、デフレ、マクロ経済スライドも行い、将来分のこの給付と負担のバランスも均衡し、かつプラスになったということでございますから、我々はこの方法しかない。
 小池さんは、それをどうすればいいとおっしゃっているんでしょうか。そこが全く分からないわけであります。

○小池晃君 何を言っている。もう、こんなことを延々としゃべられたら議論にならない。
 よく分かりました。総理の考えている百年安心というのは、年金制度さえもてば国民の暮らしはどうなってもいいということですよ、結局ね。これだけ年金の暮らしで赤字が出ているけれども、それに対して何の手も打とうとしない。
 共産党はどうするんだと言われました。私たちは、低過ぎる年金、政府のように低い年金には低い底上げしかしない、こんなやり方ではなくて、低年金には全てこれは底上げをしようではないか、そして、今やろうとしているこのマクロ経済スライドは直ちに止めろというふうに言っております。大企業やあるいは富裕層に対する行き過ぎた減税を見直すということで財源を示すということもやっておりますから、ちゃんとホームページ見てください。
 もう時間ないからできないけれども、総理、そういう形で言うのはけしからぬですよ。私たちは、今度のこの年金の問題についていえば、やはりこのマクロ経済スライドを止めるべきだと思います。こんな形でやったら、将来世代の安定のためだと言うけれども、私、今言いましたように、こんなことをやっていったらどうなるか。結局、今、結局これは赤字が出る、二千万円、二千万円赤字が出るというふうに言ってきた。これが、今の四十歳以下の方でいえば、更に千六百万円増えていくわけですよ、この差額が。それがマクロ経済スライドなんですよ。
 何かマクロ経済スライドをやるとあたかも今後年金が増えるかのようにおっしゃるけれども、全く違いますよ。年金水準下がっていくわけですよ、今よりも。そうすれば、ますます年金生活者の暮らしは大変になるじゃないですか。
 それと同時に、今実際に年金暮らしをしている方たちの、これだけの、月五万五千円、この差額が、これどうするんですか。何にも手だて打っていないじゃないですか。これだけのことを明らかにしておきながら、こういう低年金の人たちの暮らしに対して何の手も打っていない。これでいいんですか。だから、私たちはこれをしっかり底上げしようではないかと言っている。
 財源も、法人税について、大企業にせめて中小企業並みの基準で法人税の負担を求めれば、これ四兆円出てまいります。それから、株で大変なもうけを上げている富裕層の皆さんに平等に所得税を払ってもらう、そして所得税の最高税率を上げていく。これで三兆円の財源出てまいります。
 こういった財源を私ども示して年金の底上げをやろうじゃないかということを提案していますから、そんないいかげんなことを言わないでいただきたい。

○内閣総理大臣(安倍晋三君) ただいまの財源については、それは全く私は信憑性がはっきり言ってないと思いますね、全然、それは。日本の経済自体が相当のダメージを私ははっきり言って受けると思います。言わば、経済は成長どころかマイナス成長になるかもしれないし、それによって税収はこれは逆に減っていくだろうし、これ、収入が減れば保険料収入は減っていくことにつながっていくんだろうと思います。
 我々、低所得の高齢者の方への対策については、既に年金受給資格期間の二十五年から十年への短縮や医療、介護の保険料負担軽減を実施したほか、今年の消費税率の引上げに合わせて、低年金への年金生活者支援給付金の創設を行い、また、介護保険料の更なる負担軽減も行っているところでございます。
 将来世代の年金受給者の給付が増えるなんということを私は一回も言ったことはありませんよ。年金の給付が増えるということは言ったことありません。だって、そのマクロ経済スライドの説明をさせているとおりでありまして、それによって増えると言ったことはもちろんないわけであります。
 マクロ経済スライドにおいては、それは、一%、もし賃金あるいはインフレ率が上がったとしても、そこから言わばマクロ経済スライド分も差し引くということでありますから、それによって何が可能かといえば、今まさに、今の受給者と同時に将来の受給者においても年金の受給を確かなものにするということでありまして、それをやめてしまうというのは極めて無責任であり、また、将来世代の皆さんにとってこれは不安をかき立てるものになるわけでありまして、それは全くばかげたこれは政策なんだろうと、こう言わざるを得ない。間違った政策だと思いますよ、それは、だと言わざるを得ないと思います。
 年金というのは、これ給付と負担があって初めて成り立つものであって、それを真摯に受け止めながら真面目に政策を実行していくことが大切であろうと。我々は、経済を成長することによって、〇・一%でありますが、これはもう久々にプラスの成長を可能としたと、こういうことでありまして、ちなみに、民主党政権下の三年間は一回もプラスにはなっていないということであります。

○小池晃君 民主党じゃないですから、私ね。そういう無意味な反論しないでくださいよ。
 実際、安倍政権になってから六%年金削っているんですよ。マクロ経済スライドなど発動してキャリーオーバーもやって、六%年金削っているんですよ、安倍政権は。何を胸張って言っているんですか。
 さらに、これからだって、今はっきり増えないと言ったけど、減るわけでしょう、マクロ経済スライドで。明らかに減るんですよ。それをこの報告書では正直に言ったのに、慌ててまた隠している。私はこういう姿勢こそが年金不安をあおっていくんだと思いますよ。
 やっぱり正直に認めるべきですよ。これから年金はどんどんどんどん目減りしていきますと、今の生活水準は保障できなくなりますと、今、五万五千円、年金生活者と違いますけど、更にこれが広がりますと、生涯三十年間年金生活を送ったら更に千六百万円これは欠損が出てきますということを正直に言って、それでもいいですかと。私は、そういったことを正面から問うて、じゃ、F35に一兆円使うとか、そういったことが許されるのか。笑っている場合じゃないでしょう、菅さん。
 やっぱり税金の使い方見直さなきゃいけないでしょう。こんな貧しい年金で、まともな暮らしも保障できない年金で、娯楽も交際費も厚生年金では出せませんと、五万五千円毎月赤字が出ますと、こんなことを言っておきながら、何を平然とこれが将来世代のためだなんて言えるんですか。私は、それこそ無責任極まるというふうに思います。
 こんな年金の問題をそのままにしておいたら、それこそ将来不安をあおり、内需を冷え込ませ、消費を抑えていく。で、消費税を更に増税する、こんなことをやったら、日本の経済、大破綻になりますよ。
 私は、今必要なのは、税金の使い方、集め方を根本から切り替えて、大企業にもちゃんと物を言って、内部留保四百兆円もあるんだから、しっかり負担をしてもらうべきじゃないですか。そして、株で大もうけをしている人たちには、所得一億円を超えるとどんどんどんどん所得税の負担が下がっていく、こんな逆転現象やめようじゃないですか。そうしてきちんと財源をつくっていく。
 本格的にこれからの日本の年金制度をどうするのかということを、今回の金融庁のこの報告を機に、私は、真剣に考えるべきだと思いますよ。それなしに日本の未来はないということを申し上げて、私の質問を終わります。

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