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162通常国会 年金制度をはじめとする社会保障制度改革に関する両院合同会議

  • 消費税財源化を批判/社会保障合同会議/年金論議で小池議員(関連記事

2005年7月8日(金)


小池議員

 日本共産党の小池晃です。

 国民年金の位置づけについて発言をいたします。

 先日発表された厚生労働省の二〇〇四年国民生活基礎調査では、いわゆる高齢者世帯、六十五歳以上の高齢者のみ、または十八歳未満の未婚者が加わった世帯、この数は過去最多の七百八十七万世帯、十年間で約二倍にふえております。

 中でも、高齢者世帯の平均所得金額が十年ぶりに三百万円を割り込んで二百九十万九千円、前年比マイナス四・五%。平均所得額は年々低下しております。最も高かった九八年で三百三十五万五千円ですから、この八七%にまで減っております。中でも、年間所得百万円未満の世帯が九八年には一三%だったのが昨年調査では一五%に、百五十万円未満の世帯が二五%から三〇%へと、低所得世帯の比率がふえております。

 注目すべきは、収入が公的年金、恩給のみという世帯が六四・二%に達し、これは十年前は五四・一%でした。政府は、高齢者の収入は年金だけではないと繰り返しますが、実態は、年金だけが頼りという方がふえてきております。老後の生活保障を担う公的年金の役割が極めて大きくなっております。

 こういう中で、国民年金は法律上どのように位置づけられているでしょうか。

 国民年金法の第一条に「国民年金制度の目的」がございます。ここには、「国民年金制度は、日本国憲法第二十五条第二項に規定する理念に基き、老齢、障害又は死亡によつて国民生活の安定がそこなわれることを国民の共同連帯によつて防止し、もつて健全な国民生活の維持及び向上に寄与することを目的とする。」としています。憲法二十五条第二項、国の生存権保障義務を規定したものでございます。

 ちなみに、厚労省のホームページでは、「基礎年金は、老後生活の基礎的部分を保障するため、全国民共通の給付を支給するもの」とされております。

 この目的に照らして、現状の国民年金の水準はどうでしょうか。

 基礎年金満額でも月六万六千円です。国民年金のみ受給者九百万人、この平均受給額は四万六千円であります。女性は四万五千円です。三万円未満の受給者が百十三万人おられます。そのうち、一万円未満の方が六万人、二万円未満の方が二十三万人もいらっしゃいます。三万円台という方は実に二百八十一万人であります。実態から見れば、まさに国民年金だけでは到底生活ができない。法律上の位置づけと実態がかけ離れているというのが事実であります。底上げが緊急に求められるわけであります。

 ところが、政府はこの間、介護や医療などの分野で高齢者の負担増を進める、その一方で年金カットを行ってまいりました。とりわけ昨年の年金改悪で、マクロ経済スライドという形で生活水準すら下回る実質切り下げを行ったことは、まさに国民年金法に違反するものだと言わざるを得ません。基礎的消費支出すら下回る状態になっております。

 同時に、すべての国民が加入する制度とされていますが、その点での実態はどうでしょうか。

 二〇〇二年の国民年金被保険者実態調査で、公的年金加入対象者七千八十万人のうち、第一号被保険者二千二百七万人、未加入者が六十三万人です。国民年金保険料の未納者は、二年間完全未納で三百二十七万人、一部未納が二百十二万人。受け取る年金額が大幅に減らされる免除者が三百七十六万人です。その後の調査でも未納者、免除者は増加を続けておりまして、低年金、無年金者が今後さらにふえていく危険は否めません。国民皆年金が崩壊しつつあるというのが現実の姿であります。

 こうした中で、どのように国民年金の水準を引き上げていくのかということは緊急の課題になってきているというふうに思います。

 私どもの提案は、何度か繰り返しておりますが、速やかに最低保障年金制度を実現するというものでございます。厚生年金、共済年金、国民年金の共通の土台として、全額国庫の負担による一定額の最低保障額を設定して、その上に、それぞれの掛金に応じて給付を上乗せする、いわば定率の国庫負担を定額の国庫負担という形にしていく改革であります。当面、その最低保障額を月額五万円からスタートさせて、安定的な年金財源を確保しながら引き上げを図るという性格の提案です。

 なお、この間、国民年金の引き上げの財源に消費税を充てることの議論がされてまいりましたので、その点について一言申し上げたいと思います。

 生存権を保障することを目的に給付されるのが、基礎年金、国民年金です。その財源として消費税を充てるということが果たして許されるのか。消費税の増税というのは、まさに高齢者の基礎的生活を破壊するものであります。生存権保障に逆行する税制であります。

 例えば月額五万円の基礎年金の方、これでは到底生活できません。働くなり預貯金を取り崩すなりしてさらに五万円追加して、月十万円で生活しているとする。消費税負担は、現在、税率五%で月五千円ということになりますが、一〇%に上がれば、当然、倍の一万円の負担になり、年間十二万円で、生活費一カ月分以上が税金で消えるということになります。これで果たして生存権が保障できるのか。

 しかも、低所得者に負担のより重くのしかかる消費税に社会保障の財源を頼ると、大きな矛盾が生じるということもあります。

 今例に挙げたケースでいえば、基礎年金の国庫負担が二分の一になったとして、税金から二万五千円が負担されることになります。税率一〇%だとすると、同じ人から一万円、いわば年金国庫負担の四割が消費税で取り上げられるということになるわけです。これが税率二〇%になれば二万円、年金の国庫負担の八割が消費税で取り上げられるということになってまいります。もちろん、無年金者も消費税は取られるということもございます。

 繰り返しになりますが、国民年金法の第一条、日本国憲法二十五条第二項の理念に基づいて国民生活の維持及び向上に寄与するという目標に照らしても、消費税を財源とすることは、国民年金法にある国民年金の位置づけに相反するものであるということを最後に申し上げて、私の発言を終わります。

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