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168臨時国会 厚生労働委員会 最低賃金法、労働契約法に対する質疑

  • 最賃を全国一律に/参院委で小池議員 厚労相「一つの手」(関連記事)
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2007年11月20日(火)

小池晃君

 日本共産党の小池晃です。

 最初に、最低賃金法について質問します。

 労働者の四人に一人がワーキングプアと言われている中で、日本の最低賃金は〇一年から〇七年までの上昇率、わずか二・九%で、下支えどころか平均賃金を引き下げるおもしになってきたのではないか。

 最初にちょっと実例を紹介したいんですが、十月三十一日に東京で働く美容師さんたちが首都圏美容師ユニオンというのを結成しました。首都圏に八十二店舗を持つ大手美容室アッシュで働いている二十三歳の男性美容師の方の例なんですが、まあ一見華やかな世界であります。しかし、彼の賃金は基本給月十一万五千円、サービス残業は当たり前だと。その上、教育費や共済金の名目で使途不明の天引きがされていると告発をしました。この方も美容師資格を持っている正社員なんですね。二万七千五百円の技能給があるんですが、これ加えても時給換算でやっと八百九円、東京の最賃よりわずか九十円上回るだけなんです。固定の残業代二万五千円入れても手取り十四万円に満たない。

 大臣、これ、たとえ正社員であっても、しかもこういう資格を持っている方であっても最低賃金水準の賃金で暮らさざるを得ないという実態があります。こんなふうに一生懸命資格を身に付けて、これ、夢もあったと思うんですね。しかし、生活できないような賃金水準に置かれている、こういう若者たくさんいる。これで果たして夢を持って働き続けていけると、大臣、率直な御感想をお聞かせいただきたい。

国務大臣(舛添要一君)

 今委員がおっしゃったような実例はまだいろいろあるかと思いますし、個々のケースを見れば本当に大変だなというのは思います。そういうこともありますんで、生活保護水準、これとの整合性ということで今回最低賃金法をきちんとやる、そしてさらに、それを守らない場合には罰金を一気に五十万に引き上げると、こういうことを含めて社会全体でやはり安心して生活できる環境を整えると、それが非常に重要だというふうに考えております。

小池晃君

 この最賃の水準の生活というのは一体具体的にどういうものか。いろんな取組がありまして、今日、資料でお配りしたものの二枚目に体験告発をやった労働組合がまとめたものがあるんですね。これは宮城県の全国一般労働組合ですが、宮城の最賃額の十二万円弱で一か月暮らした体験をまとめて、いかに人間らしい生活ができないかと。

 これ、逆説的なんですが、その結果をまとめて、最賃で暮らす八か条というのを出していて、家賃一万円以下の家に住め、車は絶対持つな、友達と交際するな、冠婚葬祭は無視しろ、休みの日には外に出ず家で過ごせ、食事は一日二食以内にすべし、外食厳禁、自炊をしろ、病気にならないよう健康管理をと。二〇〇六年に、見えを捨て、ひたすら人にたかれ、おごってもらうべしと、ここへ加わったと。もちろん、こういう生活しろということじゃないんですね。最賃の生活ではこういうことになってしまうと。これは体験を基にまとめたというんですね。実際、最低賃金水準で暮らしている人たちというのは、これは体験では済まないわけで、正にこれがずっと続いていく。

 大臣、引き上げる、そのための法案だというふうにおっしゃったけれども、ちょっと現状の認識としてお伺いしたいんですが、連合も全労連も現在の生計費考えれば時給千円以上という主張をしています。大臣は、現在の水準、最低賃金額、今年も例年になくこれ引上げがあったというのは私も承知をしておりますが、しかし、それであっても現状の水準で労働者が人間らしい生活を送れるとお考えか、現状についての認識をお伺いしたい。

国務大臣(舛添要一君)

 それは地域差もありますんで、それぞれの地方の最低賃金の審議会、これは私が勝手に決めているわけじゃなくて、政労使ということでいろんな条件を勘案しながら数字を出していただいているわけですから。

 しかしながら、今委員がおっしゃったような問題意識もございますんで、とにかく生産性を上げていく、それに見合った形で最低賃金を上げていく、それが政府の方針でもありますんで、引き続き努力はしたいと思いますけれども、基本的には私は審議会の議論を前提に置いているということを申し上げておきたいと思います。

小池晃君

 やはり審議会任せじゃなくて、国の本当にイニシアチブ、責任が求められている分野だと私は思うんですね。これ、法案、衆議院で修正されましたが、全国最賃制の導入や、労働者や家族の生計費を原則とするという規定は盛り込まれていないわけです。

 先ほどお話あったように、現行は都道府県ごとの決定で、最も高い東京と、あるいは秋田、青森、岩手などによっては大きな開きがあります。元々低いのに、住む地域によって更に月二万円以上も最低賃金額が違うという実態がある。

 そこで、局長にお伺いしたいんですけれども、世界ではどうなっているのか、日本のように地域別最低賃金制度のみを法律で決めている国は世界で何か国あるのか、お答えください。

政府参考人(青木豊君)

 ILOが二〇〇五年に出版した著書、それとILOのデータベースによりますと、政府又は第三者構成機関によって地域別最低賃金のみを設定している国は多くとも九か国であるというふうに思っております。

小池晃君

 九か国ということで、今日、資料の一枚目にお配りをいたしました。中国、インドネシア、日本、フィリピン、カナダ、メキシコ、パナマ、ベネズエラ、シリア、私どもの調べでも、ILOの資料ではこの範囲です。しかも、これらの国の最賃の数というのは、例えば中国は三十九、インドネシア三十、カナダ十二、メキシコ三、日本は四十七ですから、世界で最も地域別最賃の数が日本は多くなっているんですね。中国というのは、御存じのように日本の二十五倍の面積がある、インドネシアは五倍ある、それからメキシコやカナダは連邦国家ですからいろいろ特殊事情がある。

 私、この地域格差という点から見ても、地域別最賃の数というのはできるだけ少なく減らしていくべきものであって、狭い日本で世界で一番多い地域別最賃のままにしておいてよいのか、この点について、局長、どうですか。

政府参考人(青木豊君)

 確かに、全国の最賃というような御議論はもちろん従来から相当強くあるということは承知しております。

 しかし、最低賃金は労働者の最低限度の水準の賃金を保障するものであります。地域によって物価水準等の差もありますし、生計費も異なっているわけでありますので、その最低限度の水準についても地域によって差があるものと考えております。したがって、地域別最低賃金につきましては、こうした地域における差異を踏まえまして、現在は都道府県単位で設定しているところでございます。

 労働政策審議会労働条件分科会最低賃金部会において、地域別最低賃金の設定単位についても議論を行っていただきました。都道府県単位での設定を、現行設定をしているわけですが、これを変更するということについては様々に御意見ございまして、労使のコンセンサスは得られなかったところでございます。更に議論を続けていく必要があるんではないかというふうに思っております。

小池晃君

 二〇〇五年のILOの報告書では、この日本のケースを特異なケースだというふうにしております。地域別最賃など複数の最低賃金については、最低賃金制の決定が変質するというふうに指摘をしています。

 そもそもこの最低賃金の役割というのは、これはILOの報告書でも繰り返し格差と貧困をなくすことだというふうに強調しておりまして、四十七もあるのは世界で日本だけなわけですね。しかも、今回地域別に決めなければならないと法定化されていく。いろいろ地域の実態というふうに今局長おっしゃいましたけど、私は、国の責任でこれが最低ラインですというふうに決めて、さらに地域差については必要に応じて加算するということにしていけば、これは問題生じないのではないかというふうに考えております。

 大臣、これは大きな政治論としてお伺いしたいんですけれども、例えば中央最賃審議会が目安を決めまして、これ最初から地域別に四ランクに分けられているんですね。その結果、今年、先ほどちょっと言いましたが、十四円ということで例年になく上がったけれども、しかし東京と青森の格差というのは逆に更に広がったという実態、これは事実としてございます。青森の東奥日報というローカル紙は、最賃九円引上げ、でも喜べないという社説を掲げまして、景気が良くて人手不足から賃金を上げる流れにある大都市に、本県のような地方は更に差を付けられると、こう書いております。

 これ以上格差と貧困を広げていいのかということについて、これはもちろん中小企業支援を抜本的に強化するということが私は必要だと思いますが、それをやりつつ、やはり地域格差を縮小していくためにも、国の責任で全国どこでも最低ここまではというラインを設定すること、これがやはり必要になってきているのではないかと思うんですが、格差、貧困是正のためにどうなのか、お伺いしたい。

国務大臣(舛添要一君)

 小池委員のおっしゃった方向も一つの手だと思います。ただ、私は逆に、やっぱり各地域で物価の水準も違う、いろんな要因が違う、そうすると、きめの細かさを売り物というか、きめの細かさを主眼として個別に対応する方がその対応を受ける方は有り難いのかなという面もまたもう一つあると思います。そして、これからの日本の国づくりをどうするか、余りにも地域格差、貧富の格差、こういうことがあってはいけないというふうに私は思いますけれども、しからば逆にすべてについて画一的であっていいのか。

 だから、地方の自立、地方の独自性、そういうこともまた例えば道州制の議論の中なんかで起こってきていることでありますので、私は、これが最低でそこから上というふうに決めるか、それか全体の物差しをどっかに置いてその幅を決めるか、いろんなやり方があろうかと思いますけれども、少なくともきめの細かい対応ができるという意味においては四十七都道府県で今のような形で行うというのは決して悪い手ではないというふうに考えております。

小池晃君

 きめを細かく、千円超えれば何も私もこう申し上げないんですが、やはり全国一律でないということが複雑にし、最低賃金引き上げることをやっぱり障害になっているという面もあると思うんで、これはやはり世界の流れを見ていただいて、やはりきちっと全国一律というふうにすべきだというふうに申し上げたいと思います。

 修正部分について提出者に質問したいんですが、政府案になかった「労働者が健康で文化的な最低限度の生活を営むことができるよう」という文言が加えられております。この修正によって、少しでもこう引き上がるということを期待されているんだろうと思うんですが、提出者としてはこの修正によってどのような変化、影響が最低賃金額の決定にもたらされると期待されているのか、お答えいただきたい。

衆議院議員(細川律夫君)

 小池委員にお答えいたします。

 衆議院の方での審議におきましては、政府はこの政府原案の九条第三項の趣旨についてこのように答弁いたしました。

 生活保護との関係は、地方最低審議会における審議に当たって考慮すべき三つの決定基準のうち生計費に係るものであるから、最低賃金法の書きぶりとしては、生活保護との整合性を配慮すると規定しているところでありますが、これは、最低賃金は生活保護を下回らない水準となるよう配慮するという趣旨であると答弁をいたしておるところでございます。

 すなわち、政府が提出いたしました原案は、地域別最低賃金、三つの決定基準のうち労働者の生計費につきましては、生活保護に係る施策との整合性に配慮することとしていましたが、この趣旨というものが必ずしも明確でないと、そういうことであったところでございます。

 そのため、この最低賃金の決定の際に生活費を考慮するに当たっては、生活保護との整合性について、最低賃金が労働者が健康で文化的な最低限度の生活を営むことができるような水準になるよう配慮することを明確にするよう修正を行うこととしたものでございます。これによりまして、最低賃金が労働者が健康で文化的な最低限度の生活を営むことができるような生活保護の水準を下回らないと、こういう水準になるというこの配慮、このことがより強化されたんだというふうに私どもは考えております。

 そこで、生活保護と最低賃金の比較に当たりましては、例えば地域最低賃金は都道府県単位で決定されておりますし、生活保護は市町村の六段階の級地に区分していることなどがございます。生活保護は年齢や世帯構成によって基準額が異なるということもございます。生活保護では、必要に応じた各種加算や住宅補助、あるいはまた医療補助などがございまして、そういう論点をどのように考慮するのかということが問題となっているところでございます。

 そこで、また……

委員長(岩本司君)

 細川君、簡潔に願います。

小池晃君

 もう大体分かりました。

衆議院議員(細川律夫君)

 はい、分かりました。

 それで、最後に申し上げますが、最低賃金の考慮要素であります生計費と生活保護とは異なるものだという認識に立って、双方共通の規範であります憲法二十五条の規定を加えることによりまして、最低賃金を生活保護水準以上に引き上げることを十分可能にするというのが本修正の意図でございます。

小池晃君

 最後、大事なことを言っていただいたと思いますが。

 私どもは、世界の流れからも実態からも、最賃額決定の要素は労働者と家族の生計費を基本とするというふうに原則にすべきだと思いますし、全国一律制、支払能力を削除して生計費原則にするものにこの参議院で是非修正をするべきだということを主張したいというふうに思っております。

 続いて、労働契約法案についてお聞きします。

 現行労基法では、労働契約は労使が対等な立場で合意、締結、変更することになっておりますが、本法案は、合意原則を定めながら、内容の合理性を要件として労働契約の変更を就業規則の変更だけで行うことができるようになっている。合意が原則だというふうに先ほどから何度も繰り返されますが、就業規則の変更によって使用者の一方的な押し付けを明文で容認することになるということは、これは間違いないんじゃないですか。

政府参考人(青木豊君)

 まずもって、就業規則の変更法理といいますのは、これは日本の労働現場における実態といたしまして、就業規則で一律的に労働条件を定めているということが非常に多くあると。そしてまた、そういうことから、労働条件の変更についても就業規則を変更することによって労働条件の変更がなされているという、七割方なされているという実態にもあると。

 そういうことで、労働契約というものを考えるときに、あるいはその労働契約の変更、労働条件の変更ということを考えるときに、やはり就業規則によるこういった取扱いをどうするのかというのはきちんとルールを定めなければいけないだろうということだと思います。そういう前提に立ってやはり考えますと、最高裁の判例法理においても一定程度確立をしているというものを踏まえまして取り入れるということであります。

 それで、委員がお触れになりましたように、それを規定するに際しては、やはりまずおっしゃるように労働契約というのは労使合意が原則なんだ、大原則なんだという、そういう大前提に立ちまして、それが八条でございます。明確にそういった規定をいたしまして、なおかつ第九条で、使用者が労働者と合意することなく、労働者の不利益に、就業規則の変更によって労働契約の内容を変更することはできないというのを明定をいたしまして、さらに十条で、最高裁判例で合理的にやるということでありますので、そういう意味ではその合意原則とそごを来しているというものではないというふうに思っております。

小池晃君

 判例に沿った立法化だという点は極めて疑問なんで、この点は次回でも更に議論したいと思うんですが。

 あくまで労使合意が原則だというふうにおっしゃる。しかし、先ほど局長もおっしゃったように、一番労働条件変更で多用されているのは就業規則の変更で、労働政策研究・研修機構の実態調査でも七割が就業規則変更でやっている。しかも、このうち二割は労働組合などとの協議が行われていないんですね。労働者代表の意見聴取のみです。

 また、働く女性の全国センターのアンケート結果では、就業規則を見ることができない人が二五%いると。その理由は、かぎの掛かった部長の引き出しの中にあるとか、専務の許可がないと見せることができないとか、イントラネットでしか見られないが接続されていない。見ることができなければ意見言うことだってできないわけです。これが実態なんですね、就業規則をめぐる。

 こうした現状、実態の下で、労使合意がないままに就業規則による労働契約変更を明文で容認する法律を制定したら、幾ら合意が原則だ、合意が原則だとずっと言っているけれども、結局実態から見れば絵にかいたもちということになるんじゃないですか。

政府参考人(青木豊君)

 就業規則についての周知につきましては、これはもう既に労働基準法で周知をするということになっておりますし、今お挙げになりましたようなものは基本的には周知に当たらないだろうというふうに思います。いつでも労働者が知り得る状況にある状況にしておかなければいけないということにいたしておりますから。

 したがって、こういった法律を作りまして、それによって法律効果を与えていくということでありますので、そういったものについてはきちんと、なければ法律効果は与えられないということになるだろうというふうに思っております。そういう意味では、この法律をもってそういうことがどんどんどんどん行われていくという御懸念はないんだろうというふうに思っております。

小池晃君

 そんなこと言ったって、罰則付きの法律があったってサービス残業はある、偽装請負はあると。これが日本の実態なんですから、今の実態から見れば合意原則なんというのは、これは絵にかいたもちになるのは間違いないというふうに私は思うんです。

 それから、労働契約法に書かれているのは合理性の判断要素だけなんで、労働条件変更の限度が明確になっていないんですけれども、例えば労使合意がなくて就業規則の変更だけで常勤から契約社員に変更する、つまり期限の定めのない雇用契約から有期雇用契約に変更する、こういうケース認められるんですか。

政府参考人(青木豊君)

 労働契約法案の十条では、就業規則による労働条件の変更ができる場合の合理性の判断要素として四つ挙げているわけであります。

 この四つの事情というのは、それぞれ、不利益の程度だとか、変更の必要性だとか、内容の相当性だとか、労働組合等との交渉の状況だとかいうことでありますけれども、これらを個別に、具体的に総合考慮して判断するということでありますけれども、例えば、今お触れになりましたように、無期から有期へ変更するというようなものについては、まあ特段の必要性が何かあれば別ですけれども、通常そのような変更は合理的であると判断するのは難しい場合が多いのじゃないかというふうに思っております。

 しかし、先ほど申し上げましたように、いずれにしても、個別の事案ごとに様々な事情を総合判断して裁判所においては判断される問題であるというふうに考えております。

小池晃君

 実態何が起こっているかというと、東武スポーツ事件というのがあるんですね。これ東武のゴルフ場のキャディーさんが訴えているんですが、心配しなくていいと、給料下がらないんだというふうにだまして、無理やり契約書を判こを押させて有期雇用に変えたんですね。

 これが裁判で争われている。これは一審で労働者側の主張が認められて、被告は今控訴しているんですが、東京高裁。東武スポーツ側、何と言っているかというと、労働契約の変更の合意は有効だというふうに主張した上で、仮に合意がなかったとしても、就業規則変更法理に照らして経営上の合理性があり、有期雇用の契約社員への変更と賃金ダウンは有効だ、こういう主張しているんですよ。

 これが今の経営側の就業規則変更法理の理解なんですよ。これが実態なんです。こういうときに、これを正に明文で立法化すれば、私はこういう横暴がますますはびこることになるんではないかというふうに思います。

 しかも、大臣は、これ労働者保護の法律であるべきだというふうにおっしゃいましたけれども、実際に今回いろいろ使われている変更法理というのは結局、秋北バス事件、大曲農協事件、第四銀行、それぞれ全部、使用者側の一方的な労働契約変更を否定したんじゃなくて肯定した判決ですよね。最近では、住友重機事件のように、経営が順調なのに、これは債券の格付低下が重大な経営危機だと言って、就業規則による賃下げ認めた判決まで出ているんですよ。これが実態なんです。

 大臣、こんな中で就業規則変更法理の立法化をして、どうして労働者保護が進むというんですか、お答えいただきたい。

国務大臣(舛添要一君)

 正にこの労働契約法をきちんと法制化することによって企業の社会的責任、そういうことを世に周知させる、その合理的な行動を求めるというためにもこの法律が必要でありまして、そういう世の中の大きな変化でありますよということを経営者側にもきちんとこの法律によって知らしめる、それは大きな意義があると思いますし、そういうきちんとした合理的な行動を取らない経営者はこれから我が日本では生き残っていけないと、そういう時代にしたいと思っております。

小池晃君

 非常に危険な法案だと改めて指摘します。

 それから一点、先ほど薬害C型肝炎の問題で、田辺三菱製薬が三十八人死亡されたという、そういうことを発表された。これ二〇〇二年の段階でこの方たちは元気だったのかどうか、あるいはその時点で感染を御存じだったのかどうか。私、重大だと思うんですね。それから、死因は何なのか、徹底調査すべきだと思うんです。

 しかも、大臣はコメントで、御本人がお亡くなりになっている場合には御遺族にお知らせするよう指示している、これしか言っていない。これ重大問題だという認識、大臣あるんですか。このコメントは余りにも冷た過ぎるコメントじゃないですか。

国務大臣(舛添要一君)

 私は、昨晩きちんと報告を受けた。それで、今日、朝から委員会ですから、コメントを付けてやる。

 それで、要するにこういうことなんですね。私が呼んで指示をするまで製薬メーカーは動かない。動き始めた。黙ってたら報告も上げてこない。だから必ず一週間に一遍報告をしなさいよと。遺族にちゃんと知らせなさいということを言わなきゃ、知らせることすらしないんですよ。ですから、それを一つ一つきちんとやっていく。

 私にまだどういう死因かも知らされていません。この前だって、分からないということで、十一例、十一人亡くなってますよって、私に来た紙には書いてないんだから。今回は書いてきた。ですから、きちんと製薬メーカーはやってもらわないといけない。それで、死因についても徹底的に調査する、今おっしゃったように。

 だから、私がやる気がなくてやっているんではなくて、冷たいコメントじゃないんですよ。今この場ではっきり申し上げますけれども、製薬メーカーも全力を挙げてきちんとやるように指示をし、十分でなければ更に厳しい指示を与えると、そういうことでございます。

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