本文へジャンプ
日本共産党参議院議員・医師 小池晃 アーカイブ[〜2008] 日本共産党参議院議員・医師 小池晃 アーカイブ[〜2008] 日本共産党参議院議員・医師 小池晃 アーカイブ[〜2008]

169通常国会 厚生労働委員会 介護保険法等改正案質疑

  • 介護 自治体が制限/小池議員追及 厚労相が調査約束(関連記事)
2008年5月20日(火)

小池晃君

 日本共産党の小池晃です。

 今日は、介護現場で起こっていることを幾つかお伺いしたいというふうに思います。

 最初に、訪問看護、訪問介護の駐車問題なんですけれども、二〇〇六年に道交法の改正で違法駐車の取締りが強化されて、零細業者の配達などにいろんな影響が出ている。とりわけ、在宅医療、訪問看護、訪問介護の分野では一定時間の駐車が避けられないという性格があります。

 二〇〇六年六月に私、質問主意書を出しまして、医療や介護については、駐車禁止規制の除外措置等の趣旨に照らし、その必要性、地域の実情等を勘案し、適切な対応がされるよう都道府県警察を指導してまいりたいと政府は答弁をいたしました。その後、昨年の二月に駐車規制及び駐車許可制度の運用の見直しが行われています。

 警察庁にお聞きしますが、規制除外指定の対象として課長通達も出されていますが、どういう場合を例示しているのでしょうか。

政府参考人(末井誠史君)

 御指摘のとおり、昨年二月に駐車秩序をより一層正常化するため、全国の警察に対して駐車規制及び駐車許可制度の運用の見直しを指示しております。その中で、緊急自動車、道路維持作業用自動車、医師が緊急往診に使用中の車両等、公共性が高く、緊急に、広域かつ不特定な場所に対応することが必要な用務に使用中のもの、身体に障害をお持ちの方等で歩行が困難な方などを駐車規制からの除外措置の対象とするとの考え方を提示しております。

小池晃君

 この規定の見直しを受けて、駐車禁止の除外許可をかなり厳格化する傾向が全国で生まれております。実際には緊急往診に限定するという県も現れています。全国訪問看護協会の調査では、昨年九月以降、規制強化によって千六百三十七事業所のうち百九十で駐車許可対象車両の取消し、それから百二十六で駐車違反の摘発を受けておりまして、日本看護協会や日本医師会も警察庁に要望を出していると聞いております。

 警察庁としては、こういう要望を受けてどのように対応していく方針なのか、御説明願います。

政府参考人(末井誠史君)

 先ほど申し上げました見直しの中で、駐車許可制度につきましては、駐車の日時、場所、用務その他その場所に駐車せざるを得ない特別の事情につきまして適切な審査を行う一方で、申請手続が煩雑になることを避けるため、繰り返して特定の場所に駐車する必要がある場合の一括許可の発行、緊急、やむを得ない場合に対応するための夜間、休日における申請受理窓口の整備など、駐車許可制度の運用の弾力化について指示をしているところでもございます。

 本年二月、先ほど御指摘の日本看護協会から訪問看護に使用する車両に係る駐車許可の取扱いなどにつきまして要望書の提出を受けましたので、警察庁から駐車規制、駐車許可にかかわる制度に関する考え方の説明を行うとともに、具体的な問題があれば対応方策を協議したい旨伝え、継続的な対話に努めているところでございます。

 このほか、各都道府県警察に対しましても、今回の見直しの結果、都道府県公安委規則の改正によって影響を受ける関係団体等につきましては同様に対話を行い、誠実に対応するよう指示をしているところでございます。

 今後とも、都道府県警察におきまして駐車許可制度の運用の弾力化の趣旨が生かされ、適切な対応が図られるよう指導してまいりたいと考えております。

小池晃君

 私、この問題では厚生労働省が積極的な役割を果たす必要があるというふうに思っております。

 例えば、愛知県では県の医療、福祉部局と県警本部が協議を行って、必要な事業に対しては駐車許可を出せるような措置も行っていると聞いております。こうした取組を普及していく必要があるんじゃないでしょうか。

 厚生労働省としてはどういう方針で臨むつもりか、まずお答え願いたいと思います。

政府参考人(阿曽沼慎司君)

 この問題については、私どもは今お話ございました訪問看護協会等々の団体からも陳情を受けておりますし、問題があるということは十分に承知をいたしております。

 この仕組みでございますけれども、各公安委員会の規則で規定をされておりますし、また平成十九年二月付けの駐車規制の今の通知については今警察庁の方からお話があったところでございますが、私どもとしては、本年二月の二十九日に各都道府県で訪問看護等の車両が駐車許可についてどうなっているかという実態調査を行っておりまして、今現在その調査結果を取りまとめております。

 厚生労働省としては、訪問介護、看護等のサービス提供に支障が生じないということが最も重要でございますので、そういう観点で、十九年二月の通知の趣旨、地域の実情も十分考えた上で、都道府県警と連携してこの問題を解決できるように各都道府県の医療、福祉部局とともに対応していきたいと思っております。

小池晃君

 大臣、これ現場でどういうことになっているかというと、例えば、駐車許可出す場合に訪問対象のすべての住所と地図を提出しなさいというようなことがあって、非常に煩雑で困っていると、あるいはその三百メートル以内に駐車場がある場合は駐車許可しないというような基準があって、やっぱり医療、介護の実態と合わない基準にもなっているんですね。

 新潟市は、個人情報の提出はこれそもそもなじまないし、包括支援センターなどはこれは新規でどんどん入ってきますからあらかじめというのはできないと、これ実態に合った基準ではないということで、新潟県に対して改善の要望も出しているわけです。

 大臣にこれ政治家として私はお伺いしたいんですが、在宅医療や訪問介護というのはまさに政府として推進をしようという課題であると。ところが、その仕事に従事している方たちが駐車禁止で取締りを受けることに不安を感じながら仕事をしなければならないというのは、私これは問題ではないかと思うんですね。あくまで警察の問題だというふうに言われる方もいるんですが、しかし警察庁も各方面から指摘を受けて改善の姿勢を示してはいるけれども、やはり医療、介護の主務大臣として、是非、大臣にきちっと警察に対しても道交法上の配慮を求めるという、こういう働きかけをしていただくべきではないかというふうに考えるんですが、いかがでしょうか。

国務大臣(舛添要一君)

 お医者さんに認められて、同じような訪問介護とか医療をやる介護士、看護師に認められないというのは国民の常識から見ておかしい。それで、私は、この問題は私が介護しているときからずっと問題にしてきております。

 したがって、今おっしゃったように、いつ新しい方が来られるか分からない、そうすると、また一々その住所を届けないといけないか。やはり、これは国民全体の利益ということから考えたときに、きちんと訪問介護、特に今おっしゃったように在宅を推進しているわけですから、そういう国全体の方針からしても、これは私の方からも国家公安委員長に対してきちんと対処するように申入れをしたいと思いますし、各都道府県の福祉、医療担当部門の担当者が県警本部ときちんと議論をするように、そして、そういう形で柔軟な運営が図られ、国民が不便を来さないようにしたいと思います。

小池晃君

 よろしくお願いします。

 それから、介護事業所の手数料ということをちょっと取り上げたいんですが、情報公開手数料がこの間、この委員会でも取り上げられたんですが、昨年から事業所の新規指定と更新時に手数料の徴収が始まっております、一部の県で。昨年の時点で、九州、沖縄全県と、奈良、広島、香川、高知。これ金額は、在宅系で新規が一万五千円から三万円、更新時七千五百円から一万一千円、介護事業と介護予防事業のそれぞれについて徴収しているところもあるんですね。

 例えば、熊本の場合で、訪問介護と訪問看護を両方やっていて予防事業もやっている事業所だと、これ二万円掛ける二掛ける二で八万円取られるということで、厚生労働省としてはこういう手数料の問題って実態把握されていますか、局長。

政府参考人(阿曽沼慎司君)

 お答えを申し上げます。

 介護サービス事業所の新規指定あるいは更新について、手数料の問題ですけど、これは、御承知のように、都道府県知事などが自治事務として人員、設備、あるいは運営基準を満たしているかどうかということを確認をするということで、各事業所単位に新規指定、更新を行っているということでございます。

 この事務の手数料の徴収でございますが、これについてはいわゆる地方自治法の規定に基づきまして各都道府県の責任で条例で定めるということになっておりまして、私どもどういう額になっているかというのは完全につまびらかに把握はしておりませんけれども、現段階で把握しております相当の都道府県におきましては、徴収しているところもございますし、あるいは徴収していないところもあるという現状を把握をしております。

小池晃君

 この間、前回も議論ありましたが、介護報酬の問題で収益が悪化している事業所が多いわけで、その上こうした負担をかぶせるということがいいのか。しかも、これは全国一律ではなくて、自治体の財政力によって差が生まれてくるということもこれ問題ではないかなというふうに思うんですね。

 これやはりきちっと実態調査をやって適正化図るべきじゃないかと思うんですが、いかがでしょうか。

政府参考人(阿曽沼慎司君)

 現実に手数料がどうなっているかということの実態把握については私ども努めたいと思います。したがって、現実に各都道府県どういうふうな手数料になっているかということについてはつかみたいと思いますが、ただ、この問題、実際は各都道府県で条例で決めているわけでございますし、自治事務でございますので、国としてどこまで、こういうふうにしろとかそういうことができるかというのは大変難しい問題でございまして、ただ、他県の状況がこういう状況になっているということを十分情報提供するということはできるのではないかというふうに思っております。

小池晃君

 続いて、これも介護保険サービスの実施に当たって、各自治体で指導監督の内容の問題なんです。規定を過度に厳格に解釈したり、いきなり不適切だからといってやり取りなしに報酬の返還を求める自治体も多いというふうに言われています。

 今日は資料をお配りしました。一ページ、二ページ、三ページはこれは大阪府が示しているQアンドAなんですね。これ昨年八月に配布されたものであります。

 これ見ていただくと、表紙めくっていただいて最初のページ、身体介護で例えばこういう例があるんですね。通院の帰りに道沿いにあるスーパーや商店に立ち寄って買物をする、これ駄目だっていうんですよ。要するに、帰り道に物を買うというのは、これはまたいったん家に帰ってもう一回行かないといけないというんですね。だから駄目だと。それから、八番見ていただくと、生活費を出金するために金融機関へ行くと。中身見ますと、銀行の中では当該施設のスタッフが対応すべきであり算定できないとなっております。さらに、九番のところを見ますと、認知症の利用者が精神的に不安定になったとき落ち着くために外出すると、こういう気分転換のための外出は介護保険の対象にならないというんですね。

 それから、更にもう一枚めくっていただいて、二十五番と三十一番を見ていただくと、最初ちょっと三十一番見ますかね。三十一番、利用者宅における電球や掛け時計の電池の交換は対象となるかと、これは算定できるというんですよ。ところが、二十五番で、季節的に使用する冷暖房機の、だからストーブとか扇風機とかですか、こういうものの出し入れや掃除をすることは可能か、これはできない、介護保険外と考えると。あるいは三十七番、引っ越しの荷造りはこれ算定できないと。事細かなこういうマニュアルを自治体が今出しているんですよ。

 実際、大阪府ではこのQアンドAに基づいて、通院の帰りの買物はこれはもう返還命令出ている。あるいは散髪も銭湯もカーペットの敷き替えも返還命令が出ているんですね。

 局長、こういう自治体の対応というのは適切なものだとお考えになりますか。

政府参考人(阿曽沼慎司君)

 この委員会でもいろいろな御指摘がございましたし、また審議会等でもいろいろ議論がございます。

 特に、各自治体の指導監督につきましては、業務の標準化を図る、要するにばらばらでやっては困るというふうな御意見もございますので、私どもとしては今年の二月にも担当者会議も開催しまして、あくまでも介護サービス事業者についての行政的な関与につきましては法令に基づいてきちんとやるようにということをお願いしておるわけでございまして、議員御指摘のように、法令に定める基準以上の内容を仮にこういう形で指導しておるとすれば問題であると考えておりますから、全国会議などの場を通じまして指導監督業務の標準化に今後とも取り組んでいきたいというふうに思っております。

小池晃君

 大臣、前回、介護の給付費が当初予算も下回って下がっているという実態、私示しましたけれども、やっぱりこういう自治体の過度に、曲解というふうに私は思いますよ、これはっきり言って。こういう形で駄目だ、駄目だ、駄目だ。

 これ、大阪だけの話じゃありません。もっとひどいことをやっている自治体もあるわけです。やっぱりこれ、きちっとこういう自治体のマニュアルなんかは全国調査もして、こういうものはきちっと駄目だということをはっきりさせるべきじゃないかと思うんですが、大臣、いかがでしょうか。

国務大臣(舛添要一君)

 こういうたぐいのマニュアルについて、それは調査はしてみたいと思います。

 介護保険というのは何が目的かというと、介護される人ないしその家族、そういう方が快適な状況になるということが必要で、そのためにお金を使いましょうということですから。かつて、特に生活援助の場合、よく議論あるんですよ。庭の草取りやるのはどうだとか、犬の散歩どうだまでありました。だけれども、百歩譲って言うと、その犬の散歩をやってもらうことがまさに介護を受ける人にとって生きがいであって、それで精神の安定が保てて、例えば認知症の進行が止められるというようなことになったら、結局要介護度が下がるわけです。上がらないわけですから、トータル見たら費用は減るわけですよ。

 だから、そういう柔軟な発想を持ってやる必要があって、何でもかんでもお金の計算だけでやるということがどうなのか。それは、もちろん行き過ぎた濫用は避けないといけないと思う。国民の常識という観点からやることが介護においても一番大事だと、そういうふうに思っておりますので、必要な調査はやりたいと思います。

小池晃君

 もうまさに今の答弁のとおりに是非行政を進めていただきたいというふうに思います。

 最後に、療養病床の削減の問題について、先ほども議論ありましたが、取り上げたいと思います。

 厚労省は、二〇〇五年に突然、「療養病床の将来像について」という方針を出して、介護保険の療養病床の全廃とともに、医療療養病床二十五万床について十五万床にするという方針を打ち出しました。これを受けて、現在、各都道府県の医療費適正化計画が出そろいつつあります。

 資料の最後のページに、現時点で出されている医療費適正化計画を集計したものを厚生労働省にまとめていただきました。これで見まして、二〇一二年度末での医療療養病床の予定数について、現在策定されている計画を合計すると幾つになるでしょうか。

政府参考人(水田邦雄君)

 都道府県の医療費適正化計画は、現在、この資料に、案に示されておりますように、三十三都道県において公表されておるわけでございます。

 現時点での計画におきます医療療養病床の目標数についてのお尋ねでございますけれども、これはまだ全都道府県がそろっているわけではありません。それから、中に一部回復期リハ病床を含んでいるものもございます。

 こういうことで、合算する条件はそろっておりませんけれども、先ほどのありました三十三都道府県での公表数値を単純に積み上げますと、約十七万床になるわけであります。

小池晃君

 約十七万、十七万一千八百五十七ですね。

 この数字には、今あったように、大阪、東京を始め十四府県が入っていません。日本医事新報は、このほかに十一件の案段階のものも含めて、二十一万三千二百十五床と集計している。だから、このままだと二十二万床、大体そのオーダーというのは間違いないわけですよ。しかも、今、回復期リハ病棟が入っているという話しましたけれども、二〇〇五年の時点での厚労省の療養病床数には回復期リハ病棟は入っていたわけですから、今現在二万床、これ増えることは間違いないわけです。

 結局、大臣、二〇一二年度末の医療療養病床数というのは、回復期リハ病棟も含めれば現在の水準がほぼ維持されることになるという、そういう見通しになってきていることはほぼ間違いないんじゃないですか。これ、現状の認識としてはっきりお答えいただきたい。

国務大臣(舛添要一君)

 予定していた想定が必ずしも常に正しいとは限りませんから、そういう意味では、委員が今おっしゃったこともある意味で一つの真実かなと思っております。

 したがって、現状において、この再編成の問題、療養病床を含めて、どう考えるかともう一遍きちんと推計し直してみたいと思っております。

小池晃君

 医療療養病床の削減問題は前回も取り上げましたが、当時の官僚が雑誌に文章も出していて、非常に現場の実態を無視したものだということも取り上げましたが、やっぱりこの実態を見れば、まさに実情に合わない削減計画だったんだということをはっきり認めて、一つの真実だというふうにおっしゃいました。

 これ、きちっと見直すということを、はっきり方針転換するということを私責任持って示すべき時期に来ていると考えますが、大臣、いかがですか、重ねて。

国務大臣(舛添要一君)

 一つの真実だと申し上げたのには、もう一つの真実もありまして、やはり医療資源、限られた医療資源をどういうふうに配分するか。やはり、急性期の方に少し重めにという一つの理想があったわけですから、こちらの方のやっぱり目的も追求したいと。

 そういうことも含めて、今安心と希望の医療ビジョンということで長期的な医療ビジョン、どういうふうに日本の医療体制を再構築するか、そういうプランを作りつつありますので、そういう大きな中でこの問題も検討させていただきたいと思っております。

小池晃君

 安心を言うのであれば、あの療養病床の大幅削減が不安を広げたんだから、もう実態を見ればこれできないんですから、はっきりこれはもう転換するんだということを私、言うのが本当の意味での国民にとっての安心だというふうに思いますので、きっちり方針は撤回すべきだということを申し上げます。

 以上で質問を終わります。

ページトップへ
リンクはご自由にどうぞ。各ページに掲載の画像及び記事の無断転載を禁じます。 © 2001-2010 Japanese Communist Party, Akira Koike, all rights reserved.