Dr.小池の日本を治す!
北朝鮮の無法行為は許されない
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 北朝鮮が韓国の延坪島(ヨンピョンド)に対して砲撃をおこない、全世界に衝撃を与えました。韓国軍兵士だけでなく、同島の民間人にまで死傷者が出て、住民1600人が緊急避難する事態となりました。

 北朝鮮が韓国領土を直接攻撃したのは、朝鮮戦争の停戦以来のことです。これまで特殊部隊の侵入や、軍事境界線付近での偶発的な銃撃戦、艦艇による交戦などはありましたが、民間人が居住する島を直接の標的にして砲撃するなどということはありませんでした。

 この無差別砲撃は、朝鮮戦争の休戦協定はもとより、国連憲章にも、北朝鮮自身が当事者である南北間のさまざまな合意にも反する、無法な行為にほかなりません。日本共産党は、北朝鮮の軍事挑発行動を厳しく非難します。

休戦協定で「韓国支配」明記

 北朝鮮が砲撃を正当化するために持ち出すあれこれの「理屈」も、とても納得を得られるような代物ではありません。北朝鮮によれば、今回の砲撃は、韓国軍が「北朝鮮の領海」で軍事演習をおこない砲撃したことへの反撃だといいます。

 たしかに、この海域における境界線については、韓国と北朝鮮の主張が異なります。1953年7月に結ばれた朝鮮戦争の休戦協定では陸上の軍事境界線(38度線)が定められましたが、海上の境界線は定められませんでした。そのため、同年8月に在韓国連軍は「北方限界線」を設定し、しばらくの間は北朝鮮もそれを黙認していたのです。北朝鮮は90年代に入ってから、これを「無効だ」と主張し始め、99年9月に「海上軍事境界線」を設定するのです。しかし、こうした境界線に対する見解の相違を武力攻撃の理由にすることなど、断じて許されるものではありません。

 もともと、朝鮮戦争の休戦協定では、延坪島の名前をあげて韓国側の支配地域であることを明記しています。さらに、同島への航路についても、2000年3月に北朝鮮人民軍が発表した「5島通航秩序」において、図で示したように、韓国軍と米軍などの自由通航を認めることを明示しています。延坪島もその周辺海域も韓国側に属することは、北朝鮮自身も認めていることであり、北朝鮮の言い分はまったく成り立つものではないのです。

 北朝鮮と韓国は、1972年の共同声明では「たがいに相手を中傷、誹謗(ひぼう)せず、大小を問わず武装挑発をせず」と発表しました。92年発効の南北基本合意書では「停戦状態を強固な平和状態に転換するため、共同に努力」することを確認しています。北朝鮮自身が結んだこうした合意に照らしても、今回の砲撃は許されません。北朝鮮には、攻撃とそれによって生じた被害にたいする責任があります。このような無法で挑発的な行動は絶対に繰り返してはなりません。

6カ国協議で理詰めの批判を

 国際社会の常識が通用しない無法国家を相手にするときは、相手が無法であればあるほど、これに対する国際社会の対応には冷静さが必要です。軍事的緊張をエスカレートさせることは、まさに相手の思うつぼの事態を引き起こしかねません。

 6カ国協議の緊急会合を実現し、その場で北朝鮮に対して、朝鮮戦争の休戦協定や南北間の合意などに違反すると理詰めで批判し、無法行為を抑えていく、外交的努力が必要です。6カ国の中で、日本だけが北朝鮮との交渉ルートを断たれており、交渉ルートを再びつくるうえでも有益です。日本共産党は、事件をさらなる軍事的緊張や軍事紛争につなげることなく、外交的・政治的な努力によって解決することを求めていきます。(日本共産党政策委員長)

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