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日本共産党参議院議員・医師 小池晃 アーカイブ[〜2008] 日本共産党参議院議員・医師 小池晃 アーカイブ[〜2008] 日本共産党参議院議員・医師 小池晃 アーカイブ[〜2008]

新医師臨床研修制度について

 2004 年 4 月から新しい医師臨床研修制度がスタートします。厚生労働省は、
検討部会を設けてその準備を進めています。9月には「新たな医師臨床研修制度
の在り方について(案)」が発表されましたhttp://www.mhlw.go.jp/houdou/2002/09/h0927-1.html

 臨床研修必修化についての厚生労働省医政局医事課レクチャーで明らかになった内容を紹介します。


新臨床研修基準案についての厚労省レクチャー内容(文責;参議院議員小池晃事務所)
  1. 研修プログラムの基準案に関して
  2. 臨床研修病院の指定基準について
  3. 管理型と協力型の施設基準
  4. 指導医などについて
  5. マッチング・研修評価について
  6. 処遇・研修費用
  7. すでに指定されている研修病院
  8. 今後のスケジュール
  9. その他 基本設計案の施設基準について

「新臨床研修制度の基本設計」がワーキンググループ(WG)で了承され、この基本設計を下に厚生労働省が省令案の作成に入っていると報道されている。9 月 4 日 WG 会議に出された資料をもとに以下の点を質問したい。


1.研修プログラムの基準案に関して

Q 「基本設計」では当初の 12 ヶ月を内科、外科、救急部門(麻酔科含む)の基本研修としている。これは「管理型」での研修を想定しているのか。
A 「管理型」で必ず始めるということではない。基本研修 12 ヶ月を「協力型」で開始することも現在の(案)ではあり得る。研修期間全体の 8 ヶ月を研修管理委員会のある病院で行うという規定が満たされればかまわない。そのために当初の厚労省案と表現も変えた。
Q 研修の開始時期は国試との関係でどのように考えているか。4/1 開始か国試発表後か、WG でも論議あったようだが。
A 議事録でもふれているが、4/1 という整理で考えている。しかし絶対ではない。省令という形で縛りを加えるつもりはない。1 ヶ月オリエンテーションなどを行うような場合は、医行為ではないので医師法上も問題ない。いずれにせよ柔軟に対応したい。
Q プログラムは研修医自身の到達度評価に合わせて研修期間中に組み直すことは可能か。
A 個別に相談することになると思う。詳細は只今調整中である。留学、大学院入学、出産、病欠などの時は評価でもふれている。フレキシブルに対応してしきたいと考えている。

2.臨床研修病院の指定基準について

Q 単独型の病床数の条件はどうなるか。
A 研修病院の基準はあくまで「基本設計(矢崎案)」にある「総合的な急性期型病院」。したがって病床数の基準は条件から消えた。「総合的な急性期型病院」であれば、何床でもかまわない。
Q 診療科に脳神経外科と麻酔科が加わったが、理由は。
A 委員より加えるべきとの意見があったから。加えることについても異論はなかった。
Q 常勤指導医について「指定基準(案)について(第 5 版)」では AB 案両論併記であるがどちらを考えているか。指導医数は科ごとに設定されるのか。(従前はマイナー科も複数配置)
A B 案でいくことになるだろう。指導医数に関して、人数は言及していない。1 人でもかまわない。ただし、「指導医 1 名あたり、5 名までが望ましい」という規定が基本設計であるので、それで一定制約される部分がある。
Q 常勤指導医の配置は「管理型」と「協力型」での基準はどうなるか。(基本設計では基本科目は内科、外科、救急で必修科目として小児科、産婦人科、精神科および地域保健・医療)
A 「管理型」と「協力型」を合わせての基準で考えている。両者合わせて必要な指導医がいればよいということ。すなわち管理型は内科外科精神科で、協力型に小児科産婦人科の指導医がいるという組み合わせでもよい。幅広い施設に参加してもらうためにそのようにした。
Q CPC との関連で具体的な剖検数の基準は示されるか。
A WG の議論では剖検は研修医が研修期間中に最低一回経験できればよいという意見があったので、2 年間の研修期間中に少なくとも 1 件できればよい。内容の乏しい CPC を重ねるよりも、内容のある CPC を期間中に 1 症例でも経験できればよい。
Q 小児科、精神科のベッドは必要か。ベッドの必要な科は?
A ベットに関してはとくに言及していない。しかし、基本的にはベットがあることが研修の条件となるのではないか。この件は関係学会の意見を聞いて決めたい。今後の検討事項となる。

3.管理型と協力型の施設基準

Q 「単独型・管理型」を「総合的な急性期型病院」と規定したがその意味は。
A 「総合的」は各科診療体制があるということ。「急性期型病院」というのは一定の入退院があってベットが回転していること。老人病院ではないという意味で表現されている。
Q 管理型、協力型ともにベッド数の基準はもたないか。仮に管理型 100 床クラス病院でもあり得るのか。
A 基準はもたない。仮に目標の到達や管理、指導ができれば 100 床という単独型もあり得る。現実にはそのような病院で 5 科常勤指導医がそろっているというのは考えにくいが。いずれにせよ、「管理型」も「単独型」も病床数では縛りをかけない。
Q 研修管理委員会を持つ病院が協力型になれることになったが、今まで制度では他の病院群の従病院になれる数が制限されていたが、同様な数の制限を考えているか。考えているとすればどのくらいか。
A 「管理委員会を持つ病院が協力型になれるようにした」のは、以前の考え方では病院群をこえたプログラムを想定していたが、やはりプログラムは同一病院群のなかで組むべきだということになったため。そうすると複数の病院群が組み合わさることになるので、管理型が協力型にもなれるようにしなければ、プログラムの数を確保することができなくなるから。
 いくつの病院群の協力型になれるかは制限はしない。しかし、研修期間全体の 8 ヶ月以上は各プログラムの管理、運営を行う研修管理委員会を設置する病院でという規定で一定制約を受けると思う。
Q 「【協力型】は【管理型】の機能を補う分野が明確なこと」とあるが条件を考えているか。(従前は従病院は 4 診療科までというような条件があった)
A 条件はない。両者あわせて条件を満たしていれば認定する。ただし、明らかに管理型が従で協力型が主になるような組み合わせについては、認められない。常識の範囲内であればかまいません。
Q 管理型と協力型で、実態として連携可能ならば都道府県を超えての連携は可能か。
A 同一の医療圏でなければという必要はない。「同一の二次医療圏」であることが「望ましい」ということ。連携の形態も色々ありますので、時間的、物理的な距離にこだわる必要はない。県をまたがることもあり得る。
Q 研修開始はプログラムで位置づけられれば協力型から開始してもかまわないか。
A 前述のとおりかまいません。

4.指導医などについて

Q プログラム責任者は複数のプログラムの責任者を兼務することは可能か。
A プログラム責任者は 1 つのプログラムに 1 人。原則として兼務はできないと考えている。
Q たとえば「1 つの病院で 2 つのプログラムを 4 人の研修医だけを抱える」ような場合は?
A そのような場合は可能。ただし、この件に関しては(これまでの議論経過を)確認しておきます。

5.マッチング・研修評価について

Q マッチングを実施する機関は? イメージと設置時期は。
A 基本的に国が管理する予定。早急に作業を進め、年内にはマッチングの概要が決まるだろう。

6.処遇・研修費用

QWG 委員や日医などからも試算・提案されているがどのように考えているか。
A 様々な意見がある。一般財源からという声と、診療報酬からという声がある。そもそも医療関係者以外からは、医師の研修にだけ一般財源から出すことに関して疑問の声もある。司法修習生は一般財源だが、見直せという声もある。この制度が出来たときには、診療報酬から出すことが前提となっていた。財務省もそのような理解だったようだ。そのような状況のなかで、「国は責任を持って適切な処遇を確保する」という基本設計になったのだから、厚労省としては財源を確保したい。どの程度想定しているか、試算はしているが、今はまだ示せない。応援団も増やして、タイミングを計って、財務省に提起したい。

7.すでに指定されている研修病院

Q 新しい科目(脳神経外科、麻酔科)との関係で基準を満たさなくなったところはどうなるのか。
A 脳神経外科と麻酔科について、現在指定をうけている所に関しては、「みなし規定」で対応する。すなわち、この二科がなくても指定をはずされるということはない。

8. 今後のスケジュール

A 「基本設計(矢崎案)」をもとにパブリックコメントの対象となる案を 10 月上旬には示します。そして 10 月下旬までにパブリックコメントを求め、11 月上旬には省令で指定基準を決定します。
Q 学生アンケートはどのように反映させるのか。
A 必修化に関する宣伝と意識調査が目的で行っています。この間すでに 600 通の返信がある。
Q マッチングについて
A 研修医は公開されている研修プログラムに基づいて、自分が研修したいと思うところを選んで、希望順位をつけて実施機関に報告する。同時に学生は、希望する病院にもそのことを届ける。病院側は、それぞれの判断で面接や試験を行い、それをもとに学生にランキングをつける。
 この両者をコンピューターで判定して、適切な配置をおこなうというのが主旨。
 マッチングの結果には従っていただくことを条件に参加してもらう。ただし、マッチングの結果、選考にもれた場合は、2 次募集などを検討している。そうならないためにも、実施機関に報告する病院の数は複数以上が望ましい。マッチングへの参加は自由。職業選択の自由があるので。マッチングに参加せずに直接病院と契約することもできる。
 マッチングの参加は病院も自由。しかし、マッチングに参加してもらう病院はすべてマッチングで研修医を採用してもらう。つまり、募集人員の半分をマッチングで残り半分をそれ以外でというのはやめていただきたい。
 大学がマッチングに参加するかどうかは、これからの課題。
 学生が厚労省に直接電話をかけてきて、医事課に説明をもとめる大学も数大学ある。現時点では、制度が確定していないので、概要しか話せないが、必要であれば、説明にいくつもりにしている。
 マッチングについての検討は今の WG か、マッチングに特化した検討グループを新たに立ち上げるか検討中。04 年の必修化の時にはかならずマッチングも実施する。

9. その他 基本設計案の施設基準について

Q 研修期間はすべて 1 ヶ月なら 1 ヶ月連続した研修としておこなわなければならないのか?
A 基本的にはそう考えている。
Q 「地域保健」などは、週 1 日という形で行って、トータルで考えてもよいのでは?
A そういう事は検討したい。
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