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日本共産党参議院議員・医師 小池晃 アーカイブ[〜2008] 日本共産党参議院議員・医師 小池晃 アーカイブ[〜2008] 日本共産党参議院議員・医師 小池晃 アーカイブ[〜2008]

「消えた年金」
わかったこと 進んだこと
小池議員質問から

2007年6月9 日(土)「しんぶん赤旗」より

 「消えた年金」をめぐる論戦の舞台が参院に移ってから一週間。日本共産党の小池晃議員は厚生労働委員会で五、七日の二回にわたって質問にたち、国の責任で徹底調査と解決を図るよう求めました。これまで何が明らかとなり、どこまで対策がすすんだのか、検証してみると―。


政府に責任

厚労相が認める

 これまで政府は「社会保険庁の責任は重大」(安倍晋三首相)とまるで他人事で責任を認めようとしてきませんでした。

写真

(写真)質問する小池晃議員=5日、参院厚生労働委

 これに対し、小池氏は「国民には一切の責任がない。責任はひとえに政府が負っている。解決も政府の責任において行われるべきものだ」と追及。柳沢伯夫厚生労働相は、「事業運営にあたっている政府、厚生労働省、社会保険庁に責任があると認識している」と答え、責任を認めざるをえなくなりました。

 しかも政府は、二十年も前に、年金記録が所在不明になる可能性を十分認識していた―小池氏はこの重大事実を突き付けました。

 『社会保険庁二十五年史』(一九八八年刊行)で問題の発端となった九七年の基礎年金番号導入の十年前から、「同一人の記録が複数で管理され本人とつながらないことが往々にして生じる。年金の支給に不利益をもたらす」と総括していました。

 小池 基礎年金番号の導入時にこういう事態になることは当然予測できたはずだ。

 青柳親房社会保険庁運営部長 未統合の番号がかなり発生する見通しはあった。

 柳沢伯夫厚生労働相 複数の番号を持つ事態が起こって非常に問題であるという指摘があった。

 動かしがたい事実を突きつけられ、認めざるをえない政府側。しかし、「解消できるという見通しを持っていたが、甘かった」と言い訳する柳沢氏に小池氏は次のように畳みかけました。

 小池 甘いですむ話ではない。保険料を納付したのに記録がなくなる。これはサギだ。すでに年金を受け取れないまま亡くなった人もいる。責任は重大ではないか。

 柳沢 国民のみなさんにおわびをしなければならない。厚労省全体の責任である。

被害は20兆円に

 五千万件にのぼる「消えた年金」の被害はいくらになるのか。政府は「データがない」と明らかにしようとしません。

 小池氏は、平均加入月数が最低の一カ月だとしても、奪われた給付は三兆一千百三十七億円、仮に六カ月とすると約二十兆円にものぼる可能性があるとの独自の試算を示しました。具体的な被害推計額が示されたのは衆参通じて初めのことで、政府はこれを否定できませんでした。

 このやりとりは、マスコミも注目し、「未支給三兆円超の試算」(「日経」六日付)などと報じました。 

表

記録開示を

手がかり提供へ

 政府は五千万件にのぼる「消えた年金記録」について、「一年以内に受給者・加入者の記録と突き合わせを行う」と表明しています。

 小池 一年で終わるには一日十九万件、千人の職員が一件を二分で処理しないと終わらない。人手も増やさないというのに信用できるか。

 柳沢 プログラムを開発して時間を確保して何とか実施したい。

 小池 プログラムができるまで時間がかかるから、実際の作業は一年より短くなる。ますます困難だ。

 しかも、五千万件とは別に、未統合の記録が新たに千四百三十万件(手書きの「旧台帳」)もあることが発覚。対象者は膨れ上がるばかりです。

 小池 千四百三十万件の記録は、宙に浮いた記録という点では五千万件と同じだ。合わせて調査すべきだ。

 柳沢 五千万件とは別のトラックで、できるだけ早く調査する。

 小池 不完全なデータのまま名寄せしても国民の不安は解消しない。ソフト完成までに数カ月といわれている。その間に千四百三十万件のデータを入力してから名寄せしなければ、二度手間になるだけだ。

 重ねて迫る小池氏に柳沢厚労相はとうとう「考えに大きな変わりはない。五千万件を早くやって同時並行的に作業をしたい」と答えました。

調査のやり方

 調査対象者は、氏名、性別、生年月日の三条件が一致する者だけとされています。これでは、姓が変わったり名前の読み方を間違えた場合などは対象になりません。

 小池 姓が変わったり名前の読み方を間違えた場合などは対象に入らない。十分といえるのか。

 青柳 ヒット(該当)しないものも出てくるが、三条件でやるのが効率的だ。

 小池 それでは三振王だ。国民は見つけてくれると思っているのに、これでは戻ってこない。

 名寄せ処理はもともと九七年の基礎年金番号導入時に行ったものです。

 小池 以前やったこととどこが違うのか。

 青柳 同じものを送ることになるが、今度は加入者から返事がくる可能性がある。

 国民の対応が悪いといわんばかりの答弁に小池氏は「実行済みの同じ作業しかやらないとは国民をばかにした話だ。チェックしたと到底いえない」と批判しました。

 柳沢厚労相は「従来のくり返しにならないようプログラミングの段階等で工夫していきたい」と答えました。

本人に情報示せ

 政府は、該当者に年金記録は見せず、統合されていない記録があるという「その旨」を通知するだけとしています。これでは、何の手がかりもなく国民に思い出させる努力を強いるものです。

 小池 落とし物が届いているが、中身はいえません、思い出してくれというようなものだ。こんなやり方があるか。

 青柳 記憶を呼び起こしていただき、ぴったり合えば照会するのが筋。

 柳沢 記憶を呼び起こしていただく、よすがになることは提供すべく検討する。

 小池 思い出す努力を被害者にさせるのは本末転倒だ。国民は被害者なんだから、中身を公開する原則でやるべきだ。

 小池氏は「よすが」とは何かとただし、国民に責任を押し付けるべきではないと迫りました。

 柳沢厚労相は「手掛かりに資することを検討したい」と表明。小池氏は「情報は国民のものなんだから、原則公開でやるべきだ」と強調しました。

グラフ

物証なくとも

却下した人も対応

 五千万件に該当すると分かった場合、その証明をどうするのかが、大きな焦点です。

 何十年も前の領収書などないのは当然です。日本共産党は、物証がなくても状況証拠でも認めるよう求めてきました。

 政府はこれまで物証しか認めないとしてきましたが、「領収書などがない場合でも社会通念に照らして事実と認めるものは認める」(安倍首相)と表明し、「第三者委員会」で判断するとの方針を打ち出しました。

 しかし、これまで、本人が申請したのに証拠がないとして、最近半年間に却下された人が二万人以上もいます。小池氏は、これまでの姿勢を改めるというのなら、この人たちの再調査を行うべきだと求めました。

 小池 国民に何の落ち度もないのに、何十年前の領収書を持って来いというのは許されない。二万人は最近のケースであり、調べることは可能。直ちに再調査すべきだ。

 柳沢 申し出があれば第三者委員会が対処する。

 青柳 材料をお持ちいただきたい。

 本人が申請し、新たな証拠をもってくるようにいう政府。それでは、状況証拠はどこまで認めるのか。

 小池 職場の同僚の証言などでも認めるのか。

 青柳 同僚の証言だけですべて解決するものではないので、いろいろ集めさせていただく。

 小池 国の責任で起こったのに、少しでも手がかりがあれば解決しないと国民は納得しない。

 小池氏は「今までのやり方を見直そうということではないのか。二万人をまず調査すべきだ」と重ねて求めました。

 小池 却下した人に対して、再調査を希望する場合は「資料をそえて提出願います」との通知まで出している。これであきらめている人がどれだけいるか。被害者に立証責任を押し付けた姿勢が誤っていたというなら、最近半年間に却下した人にどういう態度をとるのかが問われている。

 柳沢 申請を待つわけではない。いろんな取り計らいを考えていくことになる。

 柳沢厚労相は、これまで「再調査はしない」としていた姿勢を改める考えを示しました。

社保庁解体

最悪の責任逃れ

グラフ

 「消えた年金」問題とそのことへの政府の対策をめぐって明らかになったのは、いま社会保険庁を解体・民営化することの道理のなさです。

 小池氏は、オンライン上の記録と元台帳の突き合わせには、「何十年かかるかわからない」といわれるなか、三年後の二〇一〇年には社保庁を六分割(年金業務だけで四分割)することで、国の責任の所在がなくなることを指摘しました。

 小池 「消えた年金」のように、国の責任まで消えてなくそうということになる。一度立ち止まって、徹底的に「消えた年金」問題をどうするのか、与野党が知恵を絞って、解決のために何が必要か集中的に議論すべきだ。

 柳沢 組織改編と同時並行に行う。小池議員の方は、組織のいろいろなご要求も背後にあるのかもしれないが…。

 柳沢厚労相の暴言にたいし、小池氏は「侮辱であり、撤回を求める」と猛然と抗議しました。

 小池 今回の事態で、国民の大切な財産を三十年、四十年預かる大事な仕事ということが明らかになったんだ。だとすると、こういう問題が起きたら、国は最後まで責任をもち、一人たりとも、この問題で不利益になるような人を出さないという立場で臨むべきだ。だから、解体・民営化は、最悪の国の責任逃れだといっている。発言を撤回せよ。

 柳沢 撤回します。

 社会保険庁分割・民営化に反対することを、あたかも労働組合などの「組織の要求」であるかのように描くことの道理のなさが浮き彫りになりました。



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