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日本共産党参議院議員・医師 小池晃 アーカイブ[〜2008] 日本共産党参議院議員・医師 小池晃 アーカイブ[〜2008] 日本共産党参議院議員・医師 小池晃 アーカイブ[〜2008]

「貧困と格差」 各党の態度は

「しんぶん赤旗」2007年2月25日(日)より転載

 貧困と格差をどう認識し、是正するのか。今国会の最大の課題をめぐる序盤の論戦で明らかとなった、日本共産党、政府・与党、民主党の態度を見ると―。

共産党 実態示し、労働のルール確立を要求

 貧困と格差拡大の生々しい実態を示しながら、その根源を突いて注目されたのが日本共産党です。

 志位和夫委員長は、衆院代表質問(一月三十日)で、(1)貧困と格差に追い打ちをかける予算のあり方の抜本的な転換、(2)人間らしく働ける労働ルールの確立を強く求めました。

 衆院予算委員会の総括質疑(二月十三日)では、子どもの貧困の問題を取り上げ、母子家庭にたいする児童扶養手当削減、生活保護の母子家庭への母子加算廃止で、貧困をさらに拡大しようとする政府を厳しく告発。貧困の広がりの土台に、世界でも最低水準の最低賃金があるとし、抜本的な引き上げを要求しました。

 この質問は「最低賃金制の質問はよかった。自民党の政策は国民を苦しめるだけだ」(自民党員の男性)など反響をよびました。

 貧困の広がりが決して自然現象ではないことを追及したのが市田忠義書記局長(一月三十一日、参院代表質問)です。「自公政治がおこなってきた雇用のルールの規制緩和が原因で、これを最大限に利用して空前の利益を上げてきたのが巨大企業群だった」と指摘、非正社員が正社員になる道を開くよう抜本対策を迫りました。

 小池晃政策委員長は参院厚生労働委員会(二月十五日)で、ホワイトカラー・エグゼンプション(労働時間規制の除外制度)を撤回せよと追及。佐々木憲昭議員は衆院予算委員会(二十三日)で、日本経団連の御手洗冨士夫会長の出身企業であるキヤノンの偽装請負問題を取り上げました。「事実関係を確かめる意思はないのか」と迫り、答弁を避けた安倍首相を「財界いいなりだ」と批判しました。


財界応援の「成長戦略」に執着 政府・与党 

 安倍内閣は、貧困と格差の現実を認めず、もっぱら財界・大企業支援の「成長底上げ戦略」をすすめれば、中小企業や家計もうるおってくるという立場です。

 安倍晋三首相は、「(大企業の利益が)家計部門に波及していくことによってそれが消費に回り、消費が景気を支えるという好循環に入っていく」(二月二十三日、衆院予算委)の一辺倒です。

 しかし、大企業が空前の利益をあげる一方、労働者の所得は逆に減っているのが現実です。政府の言い分は崩れています。

 売り物とする「再チャレンジ」の中身は「就業支援」。閣僚からは、「福祉よりも自立を支援してあげるということの方が、むしろ人間にとっては自己実現の機会があり、幸せになる可能性の方がもっと高い」(九日の衆院予算委で山本有二金融担当相)などと、福祉放棄の本音が公然と語られています。

 与党はどうか。自民党は「格差の言葉がない」(青木幹雄自民党参院議員会長)と注文はしてみても、「安倍総理のリーダーシップによって、確かに好ましい方向に流れており大変期待している」(九日の衆院予算委で丹羽雄哉総務会長)と後押ししています。

 公明党は「正規とか非正規とかという言葉はよくない」「非正規の労働形態が一方でこれからも増えていくんではないか」(九日の衆院予算委で北側一雄幹事長)などと、貧困の根本原因である雇用破壊を当然視さえしています。


民主党 政府に「是正」求めるが…

 民主党は今国会を「格差是正国会」と位置付け、「(非正規雇用増加の)主因は、たび重なる派遣法制の変更にある」(松本剛明政調会長、一月二十九日の衆院代表質問)として、労働者派遣法の改悪や偽装請負などをとりあげ、さかんに政府を追及する姿勢をみせています。

 そうであれば、これらの労働のルールを破壊する法案に民主党がとってきた態度が問われることになります。

 同党は、派遣労働を原則自由化した一九九九年の労働者派遣法改悪に賛成。製造業への派遣拡大を行った二〇〇三年の同法改悪には反対しましたが、いまでも「(派遣拡大が)必要だという声も、私は全く理解できないわけではない」(岡田克也元代表、二月十三日の衆院予算委員会)との立場です。

 格差が広がった原因をめぐる論戦でも「(安倍首相は)競争に打ち勝った企業と打ち勝てない企業との間で格差が生まれたといったが、私は悪いといっているのではない。それこそが市場に任せるという考えだ。市場に任せる部分があっていい」(菅直人代表代行、十三日の衆院予算委員会)と理解を示しました。労働法制の規制緩和路線という政治の責任を正面から追及する足場がないのです。

 同党はキヤノンの偽装請負問題で、同社出身の御手洗冨士夫日本経団連会長の参考人招致を要求しています。その日本経団連から政策を「評価」してもらい、企業献金を自民党とともに受け取っています。

 財界が求める法人税率の引き下げについては、「法人税率引き下げは、設備投資へつながるのか、疑問符がつく」(松本氏)と批判しましたが、日本経団連に提出したリポート(〇六年五月)では「法人税率の引き下げについても検討を行う」と明記していました。

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