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日本共産党参議院議員・医師 小池晃 アーカイブ[〜2008] 日本共産党参議院議員・医師 小池晃 アーカイブ[〜2008] 日本共産党参議院議員・医師 小池晃 アーカイブ[〜2008]

政策活動政治のゆがみをただす本物の改革をすすめ、
国民が希望をもてる日本をめざします

参議院選挙にのぞむ日本共産党の政策

| 目次 | 政策本文 | 各分野の政策 |

解説記事:政治のゆがみ正す本物の改革すすめ国民が希望をもてる日本を
/日本共産党が参院選政策/市田書記局長が発表

2004年6月2日 日本共産党中央委員会


【各分野政策の目次】

  1. 社会保障・福祉制度を拡充し、国民のくらしを底上げする
  2. 中小企業対策に真正面から取り組む政治に切りかえる
  3. 公共事業の浪費と利権の構造にメスを入れ、生活・福祉・防災・環境型中心に転換する
  4. 安全な食料の安定供給のために、農林漁業を再生し、食料自給率の向上をはかる
  5. ゆきづまった原発依存を転換し、自然エネルギーの開発・利用を本格的に促進する
  6. 21世紀の持続可能な経済・社会のために、環境問題に真剣に取り組む
  7. 地方財源の削減に反対し、くらしと地方自治をまもる
  8. 被災者への支援を充実させ、災害の備えを優先した国づくりをめざす
  9. 利用者・国民そっちのけ、金融業界の都合のための郵政民営化に反対する
  10. 女性が生きいきと力を発揮できる平等な社会をめざす
  11. 競争と管理の教育から、子どもの発達と成長を中心にすえた教育に
  12. 安心して子どもを生み育てられる社会に──少子化社会を克服する努力を
  13. 社会のモラルの危機の克服──子どもたちを守り、子どもたちの声に耳をかたむける社会をつくる
  14. 学術・文化・スポーツの自由で豊かな発展のために
  15. 政治とカネのよごれた関係を断ち切り、民意が反映される選挙制度に
  16. 国民の生命と安全をまもるために
  17. 海外派兵と大軍拡計画をやめさせる

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1、社会保障・福祉制度を拡充し、国民のくらしを底上げする

 小泉内閣は、「自助努力」、「自己責任」ばかりを強調し、社会保障にたいする国の責任を投げ捨て、これまでの自民党政府でさえ手がつけられなかったことに踏みこんで、あらゆる分野で社会保障制度の改悪をすすめようとしています。

 年金制度の大改悪につづいて、介護保険も、2005年の制度見直しにあたって、利用料負担を大幅に引き上げるなどの計画を準備しています。さらに、2008年度からは「高齢者医療保険制度」をスタートさせ、すべての高齢者から医療保険料を徴収する計画もすすめています。生活保護費への国庫負担削減も計画しています。

 これらの計画は、政府みずから憲法25条に明記されている「国民の生存権」を否定するものであり、社会保障切り捨ての新たな段階に踏みだそうとするものです。

 このままでは、社会保障が、国民のくらしを支えるという本来の機能を大きく失い、逆に多くの国民を苦しめ、不安をますます増大させる要因となってしまいます。経済の再生にとっても最悪のやり方です。日本共産党は、社会保障を予算の主役にすえ、くらしをしっかりと支える社会保障制度の改革、拡充に力をつくします。

だれもが安心して利用できる介護保険制度に改善する

 介護保険の実施から4年がたち、全体的には利用者数が増える一方で、負担が重くて十分な在宅サービスが受けられない、施設不足から特養ホームに入所できないなど、矛盾が大きくなっています。ところが、政府は2005年の制度見直しにむけて、(1)保険料の徴収対象を、現在の40歳以上から20歳以上に拡大する、(2)国の予算を抑制するために、障害者支援費制度と介護保険を統合する、(3)サービス利用料を、現在の1割から2割〜3割負担に引き上げる、(4)すべての特養ホームの入所者から家賃を徴収する、(5)軽度の要介護者のサービスを制限するなど、国民の負担を増やし、サービスを抑制する大改悪をすすめようとしています。これでは介護保険制度の存在意義そのものが問われることになります。日本共産党は、来年の介護保険制度の見直しにあたって、次の改革をおこない、だれもが安心して利用できる制度をつくります。

―保険料、利用料の免除・軽減制度を国の制度として確立する

―介護給付費への国庫負担を現在の4分の1から2分の1に引き上げる

―特養ホームなどを計画的に増設し、待機者の解消をはかる

―介護職員の労働条件を改善する

―「処遇困難」な高齢者に市町村直営のサービスを提供するなど、自治体ほんらいの役割をはたす

―高齢者の「自立支援・介護予防事業」への予算を増やし、サービスの拡充をはかる

窓口負担を引き下げ、保険で必要な医療が受けられる制度をつくる

 02年10月から老人医療費の負担が引き上げられたのにつづいて、昨年4月からはサラリーマンなどの窓口負担が3割に引き上げられました。その結果、「受診を控えた」患者が6割にのぼる(03年9月、全国保険医団体連合会の調査)など、深刻な受診抑制がひろがっています。そのうえ、政府は2008年度から「高齢者医療保険制度」をスタートさせる計画をすすめています。

 日本共産党は、国民の命と健康をまもるために、高齢者やサラリーマン・家族の窓口負担を引き下げ、国民健康保険の窓口負担や保険料の軽減にとりくみます。180日を超える入院患者に負担を強いるなどの特定療養費制度の拡大をやめさせます。医療に自由料金制を導入する混合診療に反対します。医科と歯科との診療報酬の格差を是正するなど、診療報酬を改善します。だれもが保険で安心して医療にかかれる制度にするために、つぎの改革をすすめます。

―減らし続けた医療費に占める国庫負担の割合を計画的に元にもどす

―薬の価格をさらに見直すとともに、異常に高い高額医療機器の価格を引き下げる

―予防・公衆衛生や福祉施策に本腰を入れ、国民の健康づくりを推進する

―国民健康保険証の取り上げをやめさせ、住民の命と健康をまもる

―差額ベッド代など保険外負担をなくし、保険で必要かつ十分な医療が受けられるようにする

福祉を拡充し、くらしの不安をとりのぞく

 長引く不況のなかで、生活保護の役割がますます重要になっています。ところが政府は、「老齢加算」の廃止につづいて、2005年度にも生活保護にたいする国の負担を、現在の4分の3から3分の2に引き下げようとしています。いまでもきびしい締めつけをさらに強化して、国民の「生存権」を乱暴に侵害しようとするものであり、絶対にゆるされません。

 日本共産党は、「老齢加算」の廃止を中止させ、「母子加算」の廃止計画に反対します。児童扶養手当の削減計画を中止し、拡充をはかります。今年10月から実施予定の小児難病患者への医療費自己負担の導入に反対し、難病患者の医療費自己負担制度をやめ、無料制度を復活します。

 昨年4月に発足した障害者支援費制度は、初年度から予算が大きく不足し、障害者と家族の不安をひろげています。政府は、介護保険との統合によって矛盾を解消しようとしていますが、利用者の負担が増えること、サービスの利用が大幅に制限されるおそれがあることなど、介護保険との統合は障害者の自立と社会参加をますます困難にするものです。

 日本共産党は、障害者関係予算を拡充し、サービス基盤の整備を集中的にすすめ、障害者がどこでも安心してサービスを受けられるようにします。小規模作業所や小規模通所施設の国庫補助金削減を中止し、予算を増やします。精神障害者の医療と福祉を抜本的に拡充します。「障害者差別禁止法(仮称)」を制定し、障害者の「全面参加と平等」を実現します。無年金障害者の救済は、現行年金制度の枠内での解決をいそぎます。

 乳幼児医療費無料化を国の制度として実現させ、各自治体の独自施策を上乗せして実施できるようにします。住民・行政・医療関係者の連携で、小児救急の充実や小児医療提供体制の整備をすすめ、安心して子育てできる地域社会をつくります。

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2、中小企業対策に真正面から取り組む政治に切りかえる

 企業数の99%、従業員数が全体の約7割、製造業の出荷額でも半分以上を占めている中小企業は「日本経済の主役」です。ところが、小泉内閣のもとで中小企業は、「処理と倒産」の対象にされ、国の中小企業予算・対策もひどい「手抜き」です。いまこそ中小企業金融と中小企業対策の拡充という、当たり前の政治に切りかえることが、どうしても必要です。

中小企業への資金供給を金融行政の中心にすえる

 小泉内閣は、「銀行の不良債権を処理しないと資金が必要な分野にまわらない」といって、銀行の「健全化」──「不良債権処理」中心の金融行政をすすめてきました。

 その結果はどうなったでしょうか。小泉内閣の3年間で、銀行の中小企業向け貸出は54兆円も減ってしまいました。銀行の「健全化」や「自己資本比率」のためには、中小企業への貸し渋り・貸しはがしや利上げが大規模に起きても仕方がないという金融行政です。

 しかも、こんな金融行政のために30兆円もの公的資金が投入されたのです。政府は、旧長銀に8兆円もの公的資金を投入し、アメリカの投資会社リップルウッドに、わずか10億円で売り飛ばしました。こうして発足した新生銀行は株式上場で1兆円もの譲渡益をあげながら、日本政府は1円の税金も取れない始末です。巨額の公的資金で「健全化」した銀行が、中小企業への貸出を減らし、アメリカのハゲタカファンドはぼろ儲け──これが、小泉内閣が声高に叫ぶ「金融再生」の姿です。

 こんな「中小企業つぶし」をやめ、資金を必要としているところに融資し、中小企業と地域経済の再生を支援する、ほんらいの金融行政に切りかえます。信用保証や公的金融など、あらゆる手段を講じて資金供給のパイプを太く、大きくしていきます。

 「中小企業と金融機関の『架け橋』」となっている信用保証協会の保証機能を拡充することは急務です。大銀行を中心に、投入された30兆円もの公的資金の1割を回すだけで、これまでの実績からみても、60兆円規模の貸付に対する保証が可能になります。信用保証協会の基金を上積みするとともに、財政基盤を強化していきます。「資金繰り円滑化借換保証制度」を保証枠の拡大など、さらに充実します。

 国民生活金融公庫や中小企業金融公庫など、中小企業を支援する公的金融の役割も重要です。同じ政府系金融機関でも、大企業やゼネコン向けの日本政策投資銀行には、政府からの出資金が1兆2000億円にのぼっているにもかかわらず、「公庫」への出資金は、それぞれ3000〜4000億円程度にすぎません。中小企業向けの公的金融こそ重視すべきです。

下請いじめや大型店の身勝手を規制するなど、中小企業の経営を守るルールを確立する

 単価はたたかれ、納期は無理を言われ、それがいやなら仕事を打ち切ると脅される、こんな大企業の横暴勝手があたりまえのようになっているのは日本だけです。親企業と下請け企業との対等平等な関係を築くことが必要です。下請検査官を大幅に増員し、下請代金支払遅延等防止法、下請中小企業振興法を改正・強化して、大企業にたいする中小企業の地位向上をはかります。

 ヨーロッパはもとよりアメリカでも、90年代にはいり、大型店の郊外乱開発と都市の空洞化が大問題になり、「規制緩和」から大型店の規制へと大きく転換しているのに、日本の「大型店は規制してはならない」という現状は異常です。住民と自治体が、自らのまちづくりの一環として、大型店の出退店や営業時間などのルールを確立できるようにします。

 サミット参加国で「納税者憲章」がないのは、日本とロシアだけです。納税者の申告納税権、調査の事前通知やプライバシー保護、立会人を置く権利など、適正な税務調査を受ける権利、税務署の推計課税を限定し、処分に不服のある場合の救済を求める権利など、納税者の権利をまもるルールを確立します。

中小企業の経営を支援する行政に

 中小企業予算は1738億円(04年度)で、アメリカ軍への「思いやり予算」2441億円より少なく、国の予算(一般歳出)に占める割合は0.36%にすぎません。中小企業予算を少なくとも1兆円程度に増やし、経営基盤を強化する支援をおこないます。

 経済産業省の研究開発補助金は、日立、三菱重工業、東芝などの上位10社だけで414億円ですが、500万の中小企業全体でわずか73億円です。技術力はあるが資金力に乏しい中小企業にこそ、こうした補助金を本格的に注ぎ込むべきです。

 また、行政機関や商工会議所、地域金融機関などが持つ経営ノウハウを活用できる仕組みをつくり、中小企業が、経営や再生計画等について気軽に相談できるようにします。

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3、公共事業の浪費と利権の構造にメスを入れ、生活・福祉・防災・環境型中心に転換する

 この数年間、公共事業予算は減少傾向になっていますが、その内容は工事費のコスト削減などが中心で、事業そのもののムダにはメスが入れられず、高速道路や空港などの巨大開発事業は軒並み温存され、「都市再生」などの名目で、大企業のための新たな浪費も拡大されています。その一方で、ほんとうに必要な住民生活に密着した事業の予算は削減されています。巨大開発中心の公共事業のあり方をあらため、「生活・福祉・防災・環境」重視に、大きくきりかえます。

大型開発の浪費にメスを入れる

 いまの公共事業の大きな問題は、誰が見てもムダが明らかな事業でも、歯止めがかからないことです。関西国際空港の2期事業は、2000年から2007年まで毎年平均、発着数が1.7%、国際線旅客数が3%増えるという需要予測をもとにしていますが、この3年間の実績は、それぞれ年平均マイナス7%とマイナス12.8%です。それにもかかわらず、毎年900億円以上もの巨額の事業費が注ぎ込まれているのです。川辺川ダムや諫早湾干拓事業なども同様です。

 大型公共事業を総点検して、事業の中止を含む大胆なメスを入れ、ムダと環境破壊の公共事業をやめさせます。そのために、計画段階、事前、着工後のそれぞれの段階で、事業の必要性、採算性、環境への影響という3つの角度から、住民参加と徹底した情報公開のもとで、公共事業を評価する「事業評価制度」を法制化します。

 政府が目玉にしている「都市再生」は、一部の大都市に公共事業を集中させ、バブル期に計画され頓挫していた開発を公共事業の後押しで復活させようというものです。すでにオフィスビルや大型マンションの供給過剰が指摘されている中で、さらに巨大ビルの建設を促進すれば、新たなムダや環境破壊、住民の追い出しにつながります。こうしたムダに歯止めをかけます。

道路特定財源を一般財源化する

 ガソリンにかかる揮発油税や、自動車重量税などの道路特定財源は、国の分だけでも3.4兆円、地方の分を含めると5.7兆円にものぼります。道路特定財源は、1953年に、国道・県道の舗装率は5%以下しかなく「整備が急務だ」という理由でつくられた制度です。舗装率が96%を超えた現在も、この制度を続ける理由はまったくありません。使途が限定されているために、税収が増えれば増えただけ道路をつくるというように、ムダを拡大する原因の1つになっています。

 道路特定財源制度を廃止し、社会保障財源にも使えるようにします。これによって、公共事業の予算自体についても、道路優先の固定的な配分を改め、生活密着型事業への配分を増やすことができるようになります。

道路公団は「民営化」ではなく、ほんとうの改革を

 政府の「道路四公団改革法」は、ムダな高速道路建設にいっさい歯止めがかからないという点でも、40兆円もの債務返済の保障がなく国民に巨額の負担を残すおそれがあるという点でも、政官財の癒着にメスを入れるどころか「民営化」によって天下りや談合規制が緩和されるという点でも、採算の合わない高速道路建設の建設費という形で、道路特定財源を温存し続けるという点でも、まったく「改革」の看板に値しません。

 日本共産党は、道路四公団については、(1)高速道路整備計画を廃止して新たな建設を凍結して無駄を見直す、(2)債務を安易に国民に押しつけるのではなく、計画的な返済をすすめるとともに、料金を段階的に引き下げ、将来の無料化に向かう、(3)「天下り」禁止やファミリー企業の廃止など、国民の管理・監視のもとで債務返済と維持・管理を行う公企業として再生させることを提案していますが、引き続き、この立場で、道路四公団の改革にとりくみます。

「生活・福祉・防災・環境」型事業中心に転換する

 低家賃の公共住宅の供給、負担と環境に配慮した下水道・合併浄化槽、生活道路などの生活関連施設、特養ホームや保育所など福祉関係施設の新増設、学校などの耐震化、災害に強いまちづくり、バリアフリー化、自然エネルギーの開発、「みどりのダム」である森林の保全など、「生活・福祉・防災・環境」型の公共事業を、大いに推進します。

 公共事業の内容を転換するためには、地方自治体が住民の要求に対応して、ほんとうに必要な事業に優先順位を置いて事業を選択できるようにすることが大切です。いまの公共事業の補助金制度では、補助金交付のための基準が細かに定められているため、実態に合わない大規格の工事がされる場合も少なくありません。しかも、政府は「公共事業の重点化」と称して規模の小さい事業は補助対象からはずす方向を進めているため、「補助金確保のため」ということで、住民にとって不必要な大型事業計画を助長するおそれがあります。

 公共事業補助金は、災害復旧など特別な場合を除いては、個所づけや規格の限定なしに地方が裁量を働かせて使えるような、大きな分野ごとの統合補助金にきりかえます。

中小建設業者の仕事を確保する

 公共事業の内容を生活密着型に転換することは、中小業者の仕事を確保し、地域経済への波及効果をもたらすうえでも重要です。

 生活密着型の事業は、大型開発事業に比べて、中小企業の受注が格段に多くなります。東京都の発注した臨海副都心関連の大型工事では大企業の受注が9割ですが、福祉・住宅・教育関連の工事では中小企業が8割を受注しています。雇用効果や経済への波及効果も、生活密着型事業の方が大きく、公共事業の転換は、経済にも良い効果をもたらします。

 全国の市町村で実施されている住宅リフォーム助成制度は、助成額の20倍以上の工事が実施され、関連産業を含めると、その2倍以上の経済効果を生んでいるといわれます。これを国が支援することや、遅れている学校耐震化工事を急ぐことなどによって、中小企業の仕事を増やします。

 大手ゼネコンが小規模な公共事業にも進出して、ダンピングや下請けコスト削減など、中小企業の経営を圧迫しています。政府は、官公需法による中小企業への発注金額目標の設定をなくせという大企業の要求にこたえて、その検討を開始しているといわれますが、こうした動きに反対します。

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4、安全な食料の安定供給のために、農林漁業を再生し、食料自給率の向上をはかる

 国民の食を支えるべき国内の農漁業は衰退が続き、日本は食料の6割を海外に依存するという先進国でも他に例のない状況におちいったままです。それにもかかわらず政府は、「食料・農業・農村基本法」にもとづく食料自給率の引き上げ目標(2010年度までに45%)の実現すら先送りし、目標を見直すことも検討しています。

 小泉内閣は農政「改革」の名で、農産物輸入をいっそう拡大し、輸入品との競争に耐えられない農業経営の切捨てや、農業予算の大幅な削減に乗り出しています。その中心の米「改革」は、米のいっそうの輸入拡大を前提にして、国の安定供給責任を放棄し、米の生産や流通を全面的に市場原理にゆだねようというもので、「備蓄米」の買い入れ価格制度を廃止し、わずかに残っていた米価の下支えもなくしてしまいました。さらに、米価下落対策や転作などの補助金を大幅に削減し、廃止さえもねらっています。そのうえ、現在の170万稲作農家のうち、所得保障の対象を8万程度の大規模農家・法人(北海道10ヘクタール以上、都府県4ヘクタール以上)に限定しようとしています。これによって、圧倒的多数の中小農家は、農政の支援からしめだされてしまいます。これは、世界的に食料不足が心配されているもとで、食料・農産物価格と需給安定に対する国の責任を放棄するものです。

 日本共産党は農業を基幹的な生産部門に位置づけ、国内生産を多様に発展させる方向へ農政を転換させ、食料自給率を早期に50%台に回復することをめざします。農林漁業の再生は、地域経済振興のうえでも重要です。

価格・所得保障を農業予算の主役にし、家族経営や共同事業をささえる

 価格・所得保障が農業予算に占める割合は、英独仏では6〜7割でまさに農業予算の主役です。ところが日本では、価格・所得保障は3割弱にすぎず、それすら大幅に減らそうとしています。

 政府の米の需給と価格を安定させる役割をまもり、不要な米の輸入を削減するとともに、米「改革」を中止し、政府の100%拠出による不足払い制度を創設して、米の品質の向上を図りながらコストにみあう生産者価格(60キロあたり平均1万8000円程度)に近づけます。麦・大豆・食肉など主な農産物にも価格保障が必要です。

 3兆円を超える農林水産予算の半分を占める公共事業費を、真に必要な事業に厳選する、無数の公益法人への補助金・委託金を見なおすなど、ムダをはぶき農業予算を改革すれば、1兆円程度の価格・所得保障予算は十分確保できます。

 大規模経営だけでなく、複合経営、兼業など地域や農家の条件に応じた家族経営や、農業生産法人などの共同事業を支援します。耕作放棄地が広がらないよう、集落などでの耕作の受委託や生産組織への支援を強化します。地域の農産物と結びついた食品加工の振興を図ります。中山間地域の直接支払い制度を改善・拡充するとともに、営農による国土・環境の保全など「農業の多面的機能」を評価して、平場地域も対象に加えます。安易な株式会社による農地取得は、農地の荒廃や転用につながる恐れがあり、反対します。

食料主権を回復し、アジア諸国との多様な農業の共存と連携をめざす

 アメリカなどの輸出大国と多国籍企業の利益が拡大する一方で、日本など輸入国はもとより各国の家族経営は深刻な打撃を受けています。国内農業の維持、食料の安定確保はどの国にとっても大事な権利です。WTO交渉で、日本の米を自由化の対象から外すなど農業協定を改定させ、食料主権を回復することを強く主張します。

 二国間交渉による自由貿易協定(FTA)は、お互いの条件をよく考慮してすすめるなら、経済関係を深めることができます。しかし日本の財界がもとめ小泉内閣がすすめるFTAや経済連携協定(EPA)の交渉では、財界に都合のよい貿易や投資の「自由化」の見返りに、農産物の輸入をいっそう拡大し日本の農業を犠牲にしようとしています。どこの国であれ、国内の農業の維持・発展を考慮するのは当然です。アジア諸国との間で、「多様な農業の共存を前提とした経済連携の強化や農業協力の発展」こそめざすべきです。

食の安全を確保するため、チェック体制を強化する

 膨大な輸入食品のうち、港や空港で安全検査をされるのは、7%にすぎません。輸入農産物のチェック体制の強化と原産国表示の徹底を図ります。遺伝子組み換え食品の承認検査を厳密にし、遺伝・慢性毒性、環境への影響に関する厳格な調査・検証を義務づけます。牛肉輸入では、アメリカ産を初め輸入牛の全頭検査、危険部位である脊髄など神経組織の完全な除去、トレーサビリティ(生産・流通の経歴が追跡できる仕組み)が不可欠です。BSEの病原体の発見でノーベル賞を受賞したプルシナー米カリフォルニア大教授も「日本が行っているような全頭検査のみが、牛肉の安全性を確保し、消費者の信頼を回復する」と発言しています。危険部位を含む製品の輸入は基本的に禁止すべきです。

 鳥インフルエンザに感染もしくはその疑いがある鳥が出た場合には、知事への報告・届出義務を所有者に課すべきです。鳥インフルエンザの感染の拡大を防止するための処分や出荷の停止にたいして、被害の補償を充実させます。平飼いや有精卵など手間をかけた養鶏についても、実態に合った補償をすべきです。人間と家畜の共通の感染症に対応するため、行政や法制度の一元化をはかるなど抜本的な改革を目指します。

 農薬や化学肥料へ過度に依存した生産・供給体制を改め、有機農業など生態系と調和した生産、「地産地消」や「スローフード」への取り組み、食文化の継承・発展を支援します。

林業と漁業の振興策を強化する

 山が荒れ、林業・木材産業が成り立たなくて仕事がないという山村の声は切実です。林業を活性化させ、森林の多面的な機能を発揮させるためにも、緊急を要する除伐、間伐を治山・治水事業の一環として位置づけて国が責任をもってすすめます。木材価格の暴落は、民有林の多くの経営を立ち行かなくさせています。造林経費控除を経費全額に引き上げるなど、価格暴落のもとでの林業の税負担を軽減します。地元の公共事業での国産木材・木製品の利用を拡大し、民間でも国産材の利用への助成を実施するなど需要の拡大につとめます。林業労働者の確保と林業技術の継承を重視します。木質バイオマスによる間伐材や木くずの燃料化、バイオマス発電の推進など山村地域での新たな事業を促進します。

 日本は世界の水産物貿易の4分の1を輸入する世界最大の輸入国です。食用水産物の自給率は50%近くまで低下し、乱獲による資源の枯渇も問題になっています。漁業経営の安定のためにも、また乱獲を防いで資源を管理するためにも、政府の責任で価格安定対策を強化し、休漁・減船補償などを実施するとともに、後継者の育成のために青年漁業者支援制度を創設します。7割が公共事業という突出した公共事業偏重の水産予算を改めれば、財源はあります。諫早干拓や、中部国際空港、新たな米軍基地建設などの大規模な開発によって、干潟・藻場の破壊や埋め立て、海砂の採取、河川の汚濁などによる漁場の荒廃や破壊は深刻です。こうした開発をやめ漁場の保全や改善に計画的に取り組むべきです。有明海の豊かな漁場を取り戻すためにも、ただちに水門を開けての調査を実施すべきです。

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5、ゆきづまった原発依存を転換し、自然エネルギーの開発・利用を本格的に促進する

 エネルギーは食料とともに経済・社会の存立の基盤であるにもかかわらず、日本のエネルギー自給率はわずか7.6%(2002年度)にすぎません。地球の温暖化防止のためにも、エネルギー政策は要です。

 世界は、脱原発の方向に向かっているのに、政府がすすめるエネルギー政策は、あいかわらず原発の新増設にたよっているため、地球温暖化ガスの削減に不可欠な自然エネルギーの開発やエネルギー利用の見直しは不十分なままです。

 安全優先のエネルギー体制と自給率の引き上げを重視して、エネルギー政策の根本的な転換をはかります。

プルサーマル計画の中止、既存原発の総点検と計画的縮小をすすめる

 原発という未確立な技術にたよったエネルギー政策は、深刻なゆきづまりに直面しています。損傷隠しによる東電の全原発停止と昨年の夏場の電力供給への不安、高速増殖炉「もんじゅ」(福井県敦賀市)に関する国の設置許可無効の判決、東海地震の想定震源域の真上にある浜岡原発にたいする地震研究者の警告などが示すように、政府の原発拡大政策は無謀です。政府は地球温暖化防止という名目で、2010年までに9〜12基の原子力発電所の運転を新たに開始する計画でしたが、住民の反対運動のたかまりによって、電力会社は2010年度までに運転を開始する予定があるのは5基だけだとしており、政府の計画はすでに破綻しています。安全が危ぶまれる原発については、運転停止を含めた必要な措置をとらせます。原発の危険性を増幅するだけのプルサーマル計画の中止、核燃料サイクル施設の総点検と計画の中止をはかり、既存原発の計画的縮小をすすめます。

風力や水力、太陽光・熱、地熱、小水力、バイオマスなど自然エネルギーの開発を促進する

 エネルギーの自給率を引き上げ、また地球温暖化対策を進めるためには、エネルギー効率の徹底した向上とともに、環境に配慮した自然エネルギー源の開発・活用に本格的に取り組む必要があります。風力や太陽光・熱、地熱、小水力、波力や、あるいは畜産や林業など地域の産業とむすんだバイオマス・エネルギーなどは、まさに地域に固有のエネルギー源です。地域では、こうして得られる電気やガスを販売することで新たな収入が生まれ、地域経済の活性化にも貢献します。また、事業の成果や副産物を地元に還元し、雇用や技術、資金の流れを地元に生み出す可能性をもっています。

 イギリスは長期的な目標として二酸化炭素を1990年比で2050年に60%削減する目標を打ち出し(「エネルギー白書」)、またドイツの再生可能エネルギー法は、2030年までに電力の50%を、さらに長期には自然エネルギー源で100%の電力供給を達成することを目指しています。

 自然エネルギーの普及のためにも、以下のような取り組みをすすめます。

 「新エネ利用特別措置法」を改正する……自然エネルギーの普及に取り組んでいる人たちの声を反映させ、意欲の出る制度に改善して、自然エネルギーの取り組みを活性化させます。

 そのためには、導入目標を大幅に引き上げることが必要です。「新エネ利用特別措置法」では電力会社に、新エネルギーによる一定量の発電を義務付けていますが、その目標は、2010年でわずか1.35%にすぎません。同年までに、ドイツは10.3%、イギリスは9.3%、EU全体では12.5%を、アメリカのカリフォルニア州では20%を目標としています。日本でも、発電量の10%程度をまかなう目標に引き上げるべきです。

 固定価格による電力の買い取りも必要です。固定価格での買い取りは、デンマークやドイツ、スペインで実施されており、自然エネルギー普及に大きな効果があります。ところが、日本では価格競争にまかされ、自然エネルギーを利用した発電事業にとりくもうとしても、採算の見通しがたたず、事業化の障害になっています。初期の投資がかさむだけに、採算面で長期的な見通しがたってこそ、普及の意欲を引き出すことができます。また、廃棄物発電は、林業の廃材や加工くずなどに限定し、廃プラスチックなどを大量に燃やすやり方は対象外にすることが必要です。

 日本の現状にあった研究開発を促進する……自然エネルギーの利用を普及するには、まだまだ多くの技術開発が必要です。欧米で先行している風力発電でも、温帯モンスーン地域に位置する日本では風の強さや向きの変化が激しく、台風や強力な落雷にそなえた強度を要するなど、日本の自然の特徴に合わせた技術開発が求められています。小型水力発電でも効率のよい発電機の開発が続けられています。また小規模・分散型という特徴をもつ自然エネルギーを利用して発電した電力を、既存の電力供給システムに組み込んでいく系統連携のやり方なども、研究や施設整備を必要としています。 

 エネルギー予算のゆがみをただして財源を確保する……設備の設置への補助を手厚くし、発電量に応じた助成の創設を求めます。原子力関係予算(2004年度)は4718億円にものぼる一方、新エネルギー関連予算(1613億円)はその3割程度にすぎません。原子力のためにその8割以上(予算ベースで3200億円)を注ぎ込んでいる電源開発促進税や、石油関係諸税などの税制を見直し、CO2排出量に応じた環境税の導入によって、自然エネルギー促進のための財源の充実を図ります。

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6、21世紀の持続可能な経済・社会のために、環境問題に真剣に取り組む

 持続可能な経済・社会のために、温暖化ガス削減を実現する対策など地球環境の保全とともに、国内の大気汚染対策など環境保全に真剣に取り組む必要があります。

将来にわたって良好な環境を維持していくために、環境汚染を規制し、生態系を守る取り組みを強化します。各地で起きている環境汚染の問題解決には、少なくとも(1)汚染者負担の原則、(2)予防原則、(3)住民参加、(4)徹底した情報公開──の視点が欠かせません。その立場で、次のような取り組みを強めます。

地球温暖化対策での国際的公約を果たす

 今年は、政府の温暖化防止大綱が示した第一ステップ(2002〜2004年)の最終年にあたり、大綱の見直しが予定されています。イギリスは長期的な目標として二酸化炭素を1990年比で2050年に60%削減する目標を打ち出し、ドイツは2020年までに45%を、デンマークは2030年までに50%削減するという目標を掲げています。日本でも長期的な見通しを持った計画が必要です。

 日本の温暖化ガス排出は、その94%がエネルギーの消費にともなうものです。また部門別でみると8割が企業・公共部門であり、家庭関連は2割です。アメリカ、ドイツ、イギリスと比較すると、日本は家庭ではずば抜けてエネルギー効率がよいのに、従来、効率がよいとされていた製造業が優位を失いつつあります。京都議定書にもとづく温暖化ガスの削減目標(90年比で6%減)の達成は、日本が世界にたいしておこなった国際的約束ですが、2001年度の総排出量は逆に5.2%増加しており、2012年までに11%削減しなければなりません。ところが、産業界が「自主的な取り組みの尊重」と言い張り、地球温暖化防止大綱の産業部門の7%削減を約束していないとしているために、目標の達成が危ぶまれています。EU諸国で削減のため導入されている政府と産業界との協定制度を日本でも導入し、地球環境の分野でも企業の社会的責任を果たすべきです。

大気汚染被害者を救済し、自動車メーカーに社会的責任をはたさせる

 自動車排ガスと健康被害との因果関係を、あいついで司法が認め、国・都・道路公団に被害者への賠償を命じました。公害健康被害補償法(公健法)で認定されていなかった被害者の健康被害が認められた以上、国は、1988年以降、被害者の認定を打ち切った姿勢を転換し、新たな措置も含めてすべての被害者の早期・迅速な救済にあたるべきです。また判決が、健康被害を予見できたにもかかわらず、乗用車にまでディーゼル化を進めたことなど、自動車メーカーの対応に社会的責任上、問題があったと指摘したことは重要です。使用中のディーゼル車の汚染物質除去装置の実用化など、メーカーが社会的責任を果たすよう求めます。くるま優先で自動車道路の建設を促進して公害を悪化させる行政の姿勢の転換を求め、行政・メーカーに必要な情報公開を義務づけ、環境・製品アセスメントを強化します。

ごみの“焼却中心主義”からの脱却を図り、ごみを出さないシステムを製造段階から確立する

 大型焼却炉によるごみの“焼却中心主義”からの脱却を図ります。ごみの発生を設計・生産段階から削減するために、OECDも勧告している「拡大生産者責任制度」にたって、自治体と住民に負担を押しつける現行のリサイクルシステムを抜本的に見直すことが必要です。政府がダイオキシン対策として導入を急いだ処理システムでの爆発事故やトラブルに、自治体は安全性と費用負担で頭を痛めています。国は安易に促進する姿勢を転換し、責任をもって改善と補償をメーカーに指導すべきです。

 廃棄物の不法投棄に歯止めをかけるため、徹底した立ち入り検査を実施し、不法投棄のルートと関与者の解明、違反者はもちろん排出者の責任による撤去を実施させます。

化学物質の有害性にかんする研究と規制を強める

 各地の工場跡地や茨城県神栖町の旧日本軍の毒ガスが原因とみられる井戸水の砒素汚染など有害物質による環境汚染がひろがっています。住民の健康被害に関する調査と情報公開、新たな被害補償制度など、早急な調査と対策が必要です。

 化学物質による環境汚染が引き起こすとされているアトピーや化学物質過敏症、ダイオキシンをはじめとする環境ホルモンの悪影響、シックハウスやシックスクールなどへの健康被害の調査と安全対策を強化し、地球環境サミットでも確認された予防原則にたって、遅れている化学物質の有害性にかんする研究と規制を促進します。

公共事業などの大型開発による環境破壊をやめさせ、生態系や住環境をまもる

 川辺川ダムや圏央道など公共事業のあり方について、司法から厳しい批判がなされています。人類生存の基盤である生態系や住環境をまもるため、環境破壊を引き起こすような大規模開発をやめさせるとともに、環境アセスメント制度を改善し、住民参加と情報公開、代替案の検討を義務づけ、事後評価を実施させます。さらに欧米で導入されている「政策の計画段階からの環境アセスメント(戦略的アセスメント)」の実施を求めます。諫早干拓などをただちに中止し、自然の維持と回復の取り組みを盛り込んだ干潟などの保全法をつくるとともに、環境NGOが求めている「野生生物保護基本法」の制定を目指します。

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7、地方財源の削減に反対し、くらしと地方自治をまもる

 いま全国で、住民ための施策と地方自治が危うくされています。小泉自公政権が、今年度予算で地方交付税など国から地方への財政支出を大幅に減らし、自治体の予算編成が困難になる事態さえ、もたらしたからです。全国の自治体から抗議と批判の声がいっせいにあがったのは当然です。

 政府は、来年度以降も地方交付税と地方にたいする義務的な負担金を削減するといっています。その代わりに国から地方に税源を移譲するのが「三位一体の改革」だといっていましたが、今年度をみても、削られた合計は3兆9千億円、増えた地方の税源は4千5百億円にすぎません。国の財政赤字を地方に押しつけるねらいがハッキリしました。

 小泉自公政権の地方切り捨てを許すわけにはいきません。民主党も交付税の削減をすすめるなど同じ土俵にのっています。

 日本共産党は全国の自治体関係者や住民と共同して、くらしと地方自治をまもるために、地方財源確保のたたかいを前進させ、国の政策を次の方向にきりかえさせます。

地方交付税と国庫補助負担金の縮減に反対し、地方財源を拡充する

 地方交付税は、福祉、教育など国民の権利である一定水準のサービス(ナショナル・ミニマム)を、どの自治体も提供できるよう、国が財源を保障する制度です。国庫補助負担金も約七割は福祉、教育への国の義務的支出で、地方への財源保障のもう一つの柱です。これらは地方自治の財政的うらづけともなっています。

──住民サービスの維持と自治体運営をおびやかす地方交付税と国庫補助負担金の縮減に反対します。基金の取り崩しや無理な帳尻あわせで予算を組まざるをえなかった自治体が大半であることから、緊急に必要な追加の財政措置をとります。

──真に地方財源の拡充となる税源移譲を、所得や資産にかかわる税を中心におこないます。公共事業を誘導する補助金を減らして地方の税源にまわせば、住民サービスのための財源を確保することができます。税源移譲は、都市と農山村の税収格差を広げるという面があるので、税源の乏しい自治体も財政運営ができるように、地方交付税制度の財源保障・調整機能の拡充と一体ですすめます。また、国庫補助負担金制度についても、福祉や教育などで自治体独自の上乗せや工夫ができるものに改善・拡充します。

市町村合併の押しつけをやめさせ、地域振興をはかる

 この間、「三位一体の改革」とあわせて、強引に市町村合併の押しつけがすすめられ、合併にすすむ自治体が増えています。しかしその一方で、合併を検討すればするほど、「住民サービスが低下する」、「周辺部はさびれる」、「独自の歴史や文化が失われる」など不安がひろがり、「合併反対」の選択もひろがっています。

 市町村を合併に追い込む政府の財政締めつけをやめ、この間、すすめてきた小規模自治体の交付税削減をもとに戻します。国による合併押しつけの強化や都道府県に市町村合併を押しつけさせる新たな仕組みはやめさせます。現在おこなわれている合併協議会が、来年3月末の期限にあおられて拙速な結論を迫られないよう、十分な検討期間が保障される措置をとります。

 地域のまちづくりの自主的な振興策に、財政的な支援をおこないます。

開発優先、「営利企業」化の旗振りをやめ、「自治体らしい自治体」づくりの支援に転換する

 政府は地方に、自治体独自の福祉や教育のサービスを次々に切り捨てさせ、保育所の民営化や公共施設の運営を株式会社に行わせるなど、自治体本来の仕事を企業のもうけの場にさせる指導をつよめています。その一方で、切り縮めた財源を大型開発中心の「都市再生」に集中することをもとめています。

 このような自治体の変質をすすめる方向をあらため、自治体が「住民の福祉の増進」(地方自治法第1条の2)という本来の仕事に取り組めるよう、福祉や教育、くらし、産業振興などの財源保障を充実します。

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8、被災者への支援を充実させ、災害の備えを優先した国づくりをめざす

 災害を未然に防止し被害を最小限に食い止めるのは、政治の重大な課題です。被災者の住宅再建にかかわる支援制度が創設されましたが、肝心の住宅本体の改修・建築費用は対象外です。政府は「私有財産(個人の住宅)に支援できない」といいますが法的に禁止の根拠はありません。実際、鳥取県では、地震で被災した住宅再建への個人補償を行っており、政府がやる気になればすぐに実現できます。日本共産党は、住宅の耐震補強や再建支援、観測監視体制や事前の防災対策、発災時の救援体制、被災者支援を柱にした災害対策を強化していきます。

「地震防災対策」を総点検し、耐震性を強化する

 阪神・淡路大震災を教訓に、事実上、東海地震や首都圏など特定地域中心に考えられてきた地震防災対策を、全国で強化してことが必要です。

 各都道府県が地震防災対策として進めている5カ年計画の施設整備計画が地域の実情にあっているかどうか点検するとともに、とくに避難所として計画されている学校の体育館などの耐震化を急ぐため、国の財政支援を強化します。個人住宅や宅地・よう壁・塀などの耐震補強工事はまったなしです。技術面や財政面をふくめ国の支援を強化します。

開発優先から防災重視、住民参加のまちづくりに転換する

 まちづくりそのものを、開発優先から、防災を重視した住民参加型に転換します。開発や土地利用の変更にあたって、災害に対してどのような影響があるかを事前にチェックする防災アセスを導入します。この間起きた九州や北海道の水害では、森林の荒廃が大量の流木をひきおこし、被害を増幅しています。間伐や風倒木撤去の徹底、作業用林道の回復措置など、国有林をはじめ、国土保全に役立つ山づくりをすすめます。また、治水・砂防ダムのあり方を見直すとともに、がけ崩れ対策や老朽化したため池の補修などを急ぎます。

消防力を強化し、測候所の廃止・無人化を見直す

 災害発生時に現場でただちに救援活動ができるのは、地域にあって地域の防災状況をもっとも把握している消防機関です。地域での救援活動に必要な消防力の強化を図ります。測候所は無人化や廃止による合理化一辺倒でなく、専門的知識をもった地域の“防災センター”としての役割を果たせるようにすべきです。避難勧告・指示の発動に際して専門家をふくむ支援体制の強化や機器の整備など、住民が安全に避難できるための情報伝達体制の整備をすすめます。

被災者への支援を「復興意欲」をもてる水準に引き上げる

 災害発生後、被災者の住まいと生活を一刻も早く再建することは、地域経済の再建や地域の復興自体をいち早く可能にする道です。ことし改正された被災者生活再建支援法は、損壊住宅の撤去費用の一定部分を支援するなど個人補償に一歩踏み込んだものですが、支給の条件がきびしくそもそも実態にそぐわないなどの問題があり、見直しが必要です。

 日本共産党はすでに、国の責任で被災者の最低限の生活基盤回復をおこない、すべての被災者の自立(再建)を支援することを目的として、被災者生活再建支援法の改正案(「くらし復興支援立法案」)を提案しています。(1)当面の生活の維持への支援とともに、住まいの再建を支援対象とし、“被災者の災害復興の意欲を奮い起こす”(災害対策基本法97条)という観点にふさわしい金額を勘案しつつ、1千万円を上限に支給する、(2)生活の基盤をなす中小業者の事業等の再建も支援対象とする、(3)三宅島噴火災害のような長期の避難生活という事態にも対応できるようにする、(4)被災者の自立にとって大きな障害となっている既存ローンの負担を軽減する、(5)従来の支援策を見直すきっかけとなり、現に支援が求められている阪神・淡路大震災被災者をはじめ、この間に発生した災害被災者に対しても支援措置を講じる──などを柱にした被災者支援の改善をはかります。

経営を維持できる農業災害対策を充実する

 災害による農林漁業被害に対する支援策も大切です。早期復旧や農漁業経営を維持していくためにも、つなぎ融資の実施や被災者の負担を軽減するために必要な国などの支援を強めます。共済制度の早期支払いの実施や、果樹など加入しやすい制度に改善します。

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9、利用者・国民そっちのけ、金融業界の都合のための郵政民営化に反対する

 郵政事業改革は、利用者・国民を第一におこなうべきです。小泉内閣が掲げている郵政民営化は、「郵貯・簡保が民業を圧迫している」「金融市場をゆがめている」などといって、郵便貯金・簡保を廃止・縮小しようとする金融業界や財界の要求にそったものです。銀行や生命保険会社のために、身近な郵便局や郵貯・簡保の窓口がなくなっていく、こんなことが明らかになれば、国民の間で大きな問題になります。だからこそ、小泉内閣は、発足当初から郵政民営化を看板に掲げながら、民営化によって、身近な郵便局はどうなるかなど、利用者・国民向けのサービスがどうなるかという具体案を明らかにしないまま、参議院選挙が終われば、しゃにむに民営化を強行しようとしているのです。

庶民の貯蓄をまもる

 郵便貯金は、零細な国民の貯蓄をまもることを目的とした国営の事業です。そのため郊外や過疎地もふくめて、全市町村に郵便局がおかれています。しかし民間銀行は、最近のリストラのなかで、都市部を含めて店舗の統廃合を大規模にすすめ、一般向けサービスはもっぱら機械まかせという状態になっています。

 効率至上主義に陥っている民間銀行だけでは、預貯金という基本的な金融サービスを全国に提供することができません。だから、郵便貯金と民間銀行は補完しあって預金・貯金サービスを提供してきたのです。「民業圧迫」などという財界・銀行業界などの言い分には何の道理もありません。

 全国どこに住んでいても、基本的な金融サービスを受けられるようにすることは、国の責務です。郵政民営化に反対し、国営事業にふさわしいサービスの拡充をめざします。

郵貯・簡保の資金を地域経済・中小企業などに提供できるようにする

 民間金融機関であっても、地域経済に資金を供給するという公共的な責任があります。ところが、大銀行を中心に、不況が深刻化するなかで、貸し渋り・貸しはがしに奔走するという事態になっています。「市場原理」が機能せず、悪循環に陥ったときにセーフティネットとなるのが公的金融です。また中小企業、住宅や福祉・医療施設などへの資金供給は、市場まかせではなく、必要に応じた公的金融がもとめられます。こうした不可欠な公的金融の原資として、郵貯・簡保資金を活用します。大型開発プロジェクトや無駄な公共事業で「不良債権」をつくった自民党流「運用」や、投機市場で大損するような「自主運用」ではなく、公的金融を通じて、中小企業や地域経済に必要な資金を提供できるようにします。

自民党の郵政事業私物化にメスを入れる

 国民の立場からただちに取り組むべき郵政事業の改革は、自民党による郵政事業の私物化をやめさせることです。特定郵便局長や郵政職員を締め付けて自民党票をかき集めた高祖派選挙違反事件や渡切費流用事件の温床となっているのは、「世襲」やボス支配がまかり通っている特定郵便局長制度です。ここにメスを入れて、身近な郵便局のサービス改善や、合理的な郵便局ネットワーク経営をすすめていきます。

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10、女性が生きいきと力を発揮できる平等な社会をめざす 

 社会のさまざまな分野で、女性が力を発揮し活躍しています。女性は全就業者のなかで4割を超え、ほとんどの職種に進出し、生産と営業の担い手となっています。

 ところが女性の賃金はパート労働者を含めると男性の5割であり、女子学生への就職差別など、女性にたいする差別は根強く残っています。さらに財界・大企業いいなりの自民党政治があらたな格差と女性差別をつくりだしています。低賃金で企業に都合のいい働かせ方がひろがるなかで、女性労働者の過半数がパートや派遣労働者になっています。リストラや労働条件の悪化、社会保障の切り捨ての流れは、女性の健康破壊や過労死をひろげ、仕事と家庭の両立や女性の自立をいっそう困難にしています。

 昨年、国連の女性差別撤廃委員会は日本政府に対して、男女賃金格差、女性のパート・派遣労働の増大と差別の放置、仕事と家庭生活の両立の困難や男女の役割の固定化、政治参加の遅れなどについてきびしく指摘し、改善を求める勧告を出しました。女性が生きいきと力を発揮できるような平等な社会をつくることが急務です。

女性が正当に評価され、安心して働き続けられるルールをつくる

 男女雇用機会均等法を改正し、表面的には男女差別にみえなくても事実上、女性を差別するコース別雇用や、妊娠・出産にともなう差別・不利益扱いなどを禁止します。同一労働にたいする同一賃金を徹底します。

 パート労働者の雇用と労働条件の悪化がすすみ、パート労働法を実効あるものに改正することが求められているにもかかわらず、政府は行政への「指針」の徹底ですませようとしています。パートや有期雇用で働く労働者への差別的取り扱いの禁止、均等待遇の原則、罰則規定を明記した実効あるパート労働法に改正します。

 育児介護休業制度を改善し、雇用形態にかかわらず、有期雇用、派遣をふくむすべての労働者がとれるようにし、期間延長や所得保障の改善、家族休暇制度、労働時間短縮制度の拡充などをすすめます。出産、育児などで退職した女性の再就職支援をつよめます。

 農家や自営業者の家族の働き分を正当に評価するように税制の改善、出産・傷病手当制度を導入します。

女性の健康・母性保護、社会保障の充実をはかる

 女性の生涯にわたる健康をトータルに考え、妊娠・出産に関わる支援、乳がん・子宮がん検診の充実、女性専用外来の開設・運営への国の助成と条件整備、保健所での女性専用相談窓口の開設など、総合的な対策をすすめます。

 母子家庭の平均年収は一般世帯の約四割にとどまり、八割以上の世帯が「生活が苦しい」と感じており、経済的困難の解決は急務です。児童扶養手当の拡充、就労支援の充実など母子家庭への支援をつよめます。

男女平等、均等待遇実現で男女年金格差の是正、女性の年金問題の解決をすすめます

 政府は、年金の支え手を増やすために5年後にも、年収65万円以上のパート労働者などに厚生年金適用を拡大するとしています。本来、パート労働者に社会保険加入の権利を保障することは当然です。しかし、女性パート労働者の平均賃金は男性正社員の45%、女性正社員の66%であり、こうした劣悪な労働条件を解決しないままで、適用拡大を行えば、パート労働者の老後を保障する年金になるどころか、ただ負担増が押しつけられるだけです。厚生年金の適用拡大は、賃金や労働条件など正規労働者とパート労働者との待遇を均等にするルールの確立が必要です。現行制度で加入要件をみたしながら企業が未加入にしているパート労働者の加入をすすめるために、行政の取り組みを強化します。

 サラリーマン世帯の専業主婦(3号被保険者)からも保険料を徴収すべきという議論がありますが、所得がない人も一律に保険料徴収の対象にすれば、膨大な無年金者をつくることになってしまいます。もともと所得のない人に負担を課すことは、社会保障の原則に反します。日本共産党は、この問題でも「応能負担の原則」をつらぬき、高額所得の夫には、税であれ、社会保険料であれ、応分の負担を求めることを提案します。さらに、3号被保険者の問題を根本的に解決するためにも、全額国庫による最低保障年金制度をスタートさせ、女性の無年金や低額年金の問題の解決をすすめます。

女性の独立した人格を尊重し、社会的、法的な地位を高めます

 女性も男性も一人ひとりが大切にされ、あらゆる場面で人権が守られる社会をめざします。待たれている選択的夫婦別姓制度の実現を急ぐとともに、民法における女性のみの再婚禁止期間や婚外子差別など、法律上の差別を是正します。

 配偶者間暴力防止法(DV法)を生かし、国・地方自治体の責任による、被害者の保護・自立支援の充実、支援センター増設と相談員の増員、民間シェルター助成、加害者更生対策の確立・強化などをすすめます。

 女性差別撤廃条約の選択議定書やILOパート条約など、日本がこれまで批准していない国際条約をすみやかに批准し、日本の女性の地位を世界の水準に高めます。

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11、競争と管理の教育から、子どもの発達と成長を中心にすえた教育に

 いじめや不登校、学級崩壊など、学校教育の現状はひきつづき深刻です。この要因はさまざまですが、その根底には、いきすぎた競争と管理による教育のゆがみがあります。

 小泉内閣は、義務教育の水準を維持するための義務教育国庫負担金制度の廃止をねらうなど、教育にたいする国の責任をおおきく後退させようとしています。

 日本共産党は、この方向に歯止めをかけ、教育基本法と子どもの権利条約を生かし、子どもの現状にかみあい、子どもの発達と成長を中心にすえる、教育の抜本改革をすすめます。

すべての子どもの基礎的学力を保障し、人間形成を助ける学校に

 学んで楽しい学校に……すべての子どもに基礎学力を保障することは、学校教育の重要な責務です。ところが、文部科学省は、学習指導要領を「とにかく内容を3割減らせ」といっそう系統性を失わせ、「このまま教えても基礎学力がつくかどうか心配」という中身にしてしまいました。学習指導要領をただちに見直し、学習における基礎・基本の内容についての国民的な合意形成の場を設けます。非合理的な教育内容の押し付け、「習熟度別学習」や評価方法の機械的押し付けをやめ、学校の判断で、子どもたちにあった学習ができるようにします。

 子どもの人間形成を助ける学校に……人のいのちを大切にするなどの市民道徳の形成には、学校生活のあらゆる場面で、子どもが人間として大切にされることが何より大切です。そのため、教育基本法や子どもの権利条約の精神を学校に生かします。「心のノート」など特定の道徳観の押しつけに反対します。

 教職員の力量の発揮と向上を重視する……長時間労働や管理統制の強まりのもとで、6割の教員が「教師をやめたくなるほど忙しいと感じる」とするなど、教員の困難は放置できない状況です。教員が専門家としての力量を発揮・向上できる環境を整備します。勤務、研修、問題をかかえた教員の改善などの公正なルールを確立します。教員の目を子どもでなく管理職に向けさせる行政による一方的で恣意的な教員評価に反対します。

政治の仕事の中心を条件整備にきりかえ、遅れた教育条件を欧米並みに引き上げる

 教育に対する政治の第一の責任は条件整備です。ところが、日本の国・地方の教育予算の水準は欧米に比べて7割の低さです。そのため、欧米では1学級30人以下なのに日本は40人学級、ヨーロッパでは幼稚園から大学まで無料の国が多いのに日本は法外な父母負担、などとなっています。日本共産党は次のように、教育条件の本格的な向上にとりくみます。

 「30人学級」、私学助成増額など教育条件の整備……国の責任で「30人学級」にふみだします。私学助成の削減をやめさせ、2分の1助成の早期実現など拡充の方向にきりかえます。公立学校施設費を増額し、耐震化などをすすめます。安全でおいしい学校給食のための条件整備をすすめます。学校図書館への専任の人の配置、図書費増額など図書館の拡充をすすめ、指定管理者制度による民間委託に反対します。子どもの教育や住民のコミュニティーを無視した、学校の一方的統廃合に反対します。夜間中学を国の責任で増設します。

 教育費の私費負担を軽くする……長引く不況の中、「家計が苦しく泣く泣く高校中退」など実態は深刻です。私費負担軽減へ教育扶助・就学援助の国庫負担を実態にみあうよう引き上げます。また給食費や修学旅行などの父母負担の軽減措置をとります。高校や大学の学費の値上げを抑えます。家計急変などの場合の、授業料免除や教育資金の無利子貸し付けなどの制度を拡充します。

 障害児教育など「特別支援教育」の拡充……障害児教育の予算をふやし、比較的重い障害の子ども、LD(学習障害)などの「軽度発達障害」の子どもら、双方への教育を手厚くします。障害児学級の廃止などを許さず、障害児学校、普通学校の条件整備を進めます。

 生活圏内に子ども・青年の居場所を……学校完全5日制のもとで「地域に子どもたちの安全な居場所がほしい」という要求が切実になってきました。自然空間、児童館、中高生のたまり場、障害のある子どもの居場所をつくります。

国の教育への不当な介入をやめさせ、父母、子ども、教職員、住民が中心の教育改革にきりかえる

 自民党政治は、教育にお金をださずに、「改革」と称して教育の中身に口をだすことばかり熱中してきました。その結果、教育はよくなるどころか様々な矛盾がうまれています。文部科学省の研究所員の調査では、九十数パーセントの校長や教員が「政府の教育改革は現場の実態とかみあっていない」と回答しています。日本共産党は、父母、子ども、教職員、住民が中心の「地域発、学校発の教育改革」にきりかえます。こうしたなかで、基礎的な学力の保障や市民的道徳の教育、競争と管理の教育の改革などをすすめます。

 学校運営への父母、子ども、教職員、住民の参加をすすめる……子ども、父母、教職員、住民の学校参加のしくみをつくり、みんなの力で学校をよくしていけるようにします。学校評議員制度、「地域運営学校」は、その立場から見直し、改善します。「学区自由化」は、地域での子どもの成長を困難にし、学校統廃合などをひきおこしています。「学区自由化」の押しつけに反対します。

 教育委員会を、住民に開かれた、民主的な機関にする……不合理な教育方法や評価方法の押しつけ、現場無視の「特色ある学校づくり」など教育委員会の「指導・命令」が、学校や教員のやる気をうばい、かえって教育の質を低下させている場合が増えています。不当な学校介入を是正し、委員の民主的な選出、会議の公開、住民や学校現場の意思を反映させるしくみなど、教育委員会の改革をすすめます。

 「君が代・日の丸」の押し付けを許さない国民的合意を……国旗・国歌は、国が公的な場で「国の象徴」として公式に用いることはできても、国民への強制は許されないというのが、民主主義のルールです。しかし、政府は「教育は別」として学校だけ強制をしてきました。東京では、「子どもが歌わなかったら教員を処分する」ところまで強制がエスカレートしています。民主主義と教育をこわす、強制をやめさせます。

教育基本法の改悪に反対して、基本法を教育に生かす方向にきりかえる

 政府・自民党は、今日の教育の荒廃の原因を教育基本法におしつけ、その改悪の策動を強めています。しかし、これには根拠も道理もありません。反対に、政府・自民党が長年にわたって、「人格の完成」を教育の目的とする、国家権力による「不当な支配」を許さないなどの、教育基本法に明記された理念と原則を踏みにじってきたことが、教育の荒廃をつくりだしたのではないでしょうか。日本共産党は、教育基本法改悪のたくらみをやめさせ、基本法を教育に生かすようにします。「日本の戦争は正しかった」と子どもに教える、憲法の精神を踏みにじる教科書の押しつけに反対します。

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12、安心して子どもを生み育てられる社会に──少子化社会を克服する努力を

 少子化傾向がいっそうすすんでいます。出生率は毎年最低記録を更新しつづけ、1.32にまで下がりました。他の先進諸国からみても、日本の少子化は、急速に進行しています。これは日本の社会の衰退であり、日本社会の深刻で危機的なゆがみのあらわれです。

 日本は、子どもを生み育てることが大変な社会になっています。これまでの政治が、国民のくらしを痛めつけ、個人の生活も家族の一員としての責任も無視した「働かせ方」を野放しにしてきたからです。いまも、若い世代に、高い失業率と不安定な仕事がひろがり、家庭を犠牲にする長時間労働もますますひどくなっています。子どもを生んだら働き続けられない職場、保育所不足などの問題も解決するどころか、深刻さを増しています。

 国民のくらしをささえ、人間らしい生活をとりもどす政治、経済、社会への転換こそ、少子化社会を克服する道です。そのために、次の四つの対策にとりくみます。

長時間労働をなくし、家庭生活との両立ができる働き方に

 長時間労働、サービス残業が横行し、とくに、子育て世代である30代は、男性の4人に1人が週60時間以上も働くなど、最も労働時間が長い世代になっています。サービス残業の根絶、長時間労働の是正をはじめ、人間らしく働く労働のルールを確立・徹底し、だれもが「家族的責任」をはたせるようにします。子育て中の労働者には、変則勤務・夜間勤務・単身赴任を制限し、残業も本人同意を必要とするなどの措置をとります。

 育児休業を男女ともにとりやすくするために、育休中の賃金保障の6割へのひきあげ、代替要員の確保、職場への原職復帰、育休取得による不利益の禁止、派遣・有期雇用・パート労働者への適用拡大、中小企業への助成拡充などをすすめます。国際的にみても著しく低い男性の取得を増やすために「パパ・クォーター制」の導入などをすすめます。病気の看護や学校行事への参加などのための「子ども休暇制度」を新設します。

若者に安定した仕事をつくる

 若者の5人に1人がフリーターという不安定な仕事しかありません。パート・アルバイトで働く若者の6割が年収百万円未満という低賃金です。これでは自立して子どもを生み育てる経済的基盤がありません。

 大企業は、この間、若者の正社員を百八万人も減らし、派遣や臨時、アルバイトなどに置き換えてきました。大企業に社会的責任を果たさせる雇用政策をすすめ、正規雇用を拡充します。派遣や契約、パート・アルバイトへの差別・格差をなくし、一般労働者との均等待遇をはかります。若者の職業訓練や相談など、支援策を抜本的に拡充します。

男女差別・格差をなくし、女性が働きつづけられる、力を生かせる社会に

 4割をしめる女性労働者を正当に評価し、生かせないようでは、日本の産業も、企業も未来はありません。男女賃金格差の是正、女性差別の解消など、雇用のすべての面で「男女平等」をつらぬかせるようにします。

出産・育児と仕事の両立を応援し、すべての子どもに豊かな乳幼児期を

 小泉内閣は、「待機児ゼロ作戦」をかかげましたが、保育所は定員オーバーの詰め込みで「廊下で寝かしつける」など深刻な状態です。しかも、待機児は解消どころか増え続けています。出産・育児と仕事の両立を支援するとともに、人格の基礎をつくる大切な乳幼児期にふさわしい体制と条件を整備します。

 「保育所整備計画」をつくり、認可保育園の新・増設をすすめるとともに、延長・夜間・休日・一時保育・病後児保育などの要求にこたえます。保育所運営費の削減や「民間委託」の名による保育条件の切り下げをやめさせます。運営費を増やして高い保育料を引き下げます。適正な条件で保育している無認可保育所への税制的支援をおこない、認可を促進します。

 学童保育を希望するすべての子どもが入所できるように拡充します。「遊びと生活の場」にふさわしい設置基準を明確にし、予算を増額させます。

 身近な場所に子育て、育児相談、サークル活動などのための多様な場をつくるなど、専門的な相談・支援の場を拡充し、子育てを応援します。乳幼児医療無料を国の制度にするとともに、小児救急医療をはじめ小児医療体制の整備をすすめます。

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13、社会のモラルの危機の克服──子どもたちを守り、子どもたちの声に耳をかたむける社会をつくる

 少年犯罪、いじめ、児童虐待、少女買春などの横行に、多くの国民が不安をもち、心を痛めています。日本共産党は、子どもたちに鋭くあらわれている日本社会のモラルの面での危機の克服を、21世紀に豊かで人間的な社会をきずくとりくみとして、重視します。

 社会の道義的危機の大もとには、自民党政治のもとでの国民の生活・労働・教育などでのさまざまなゆがみや矛盾、困難の蓄積があります。たとえば、長時間労働は「家族そろって夕食を」のだんらんを奪っています。弱肉強食の競争主義は、国民にゆとりのない生活を押しつけ、人と人との関係をぎすぎすしたものにしています。国連からも「極度に競争的な教育制度のため子どもたちが発達のゆがみにさらされている」と批判されるほどの競争と管理の教育は、子どもたちの成長と発達を妨げています。

 日本共産党は、これらのゆがみや矛盾、困難を民主的に打開し、「民主的なルールある社会」をきずきあげるとりくみを、国民のみなさんとともにすすめます。

 同時に日本共産党は、社会が独自にとりくむべき問題として、次の四点を重視します。

民主的社会にふさわしい市民道徳の規準の確立

 市民道徳は、一人一人の人間を大切にするために大切なことです。私たちは、侵略戦争の反省からつくられ、平和や民主主義の原則を確立した憲法や教育基本法が、市民道徳を形成する土台になると考えます。同時に、市民道徳の規準は、政府や一政党が決めるものではありません。広範な国民的な討論と合意で形成することを何より大切にします。

子どもを守るという社会のルールを各分野で確立する

 子どもを守ることは、社会の当然のルールです。ところが日本は、国際的にみてもこの分野の遅れが深刻な社会です。児童虐待から子どもを守る専門職員も、イギリスの数分の一しか配置されていません。児童買春や性の商品化では、国連子どもの権利委員会からきびしい勧告がだされています。メディアでの暴力や性の表現が、子どもに野放しになっている点などでも立ち遅れています。子どもをまもるという社会のルールを各分野で確立するために努力します。

 とくに、困難をかかえた子どもの相談・支援のための専門的な体制の拡充は急務です。児童相談所、児童養護施設、里親、児童自立支援施設、医療などの充実を重視します。

子どもの声が尊重され、社会に参加する権利を保障する

 子どもは、まわりから愛され、自分の悩みをうけとめられる経験のなかで、安心して生き、他人への思いやりをはぐくみます。ところが、競争社会・管理社会のなかで、そうした経験が奪われていることが、子どもたちの力をうばっています。子どもたちの声に耳を傾け、社会に参加する権利をみとめる社会をつくるべきです。子どもの権利条約で保障された「意見表明権」や社会参加の保障を重視します。学校運営への参加や地域社会への参加などの流れを前進させます。

子どもの成長をささえあう草の根からのとりくみ

 市民道徳は、言葉だけでなく、現実の人間関係、社会関係をつうじてこそ、身についていくものです。子どもの成長をささえあう、草の根の多様な運動がひろがっています。私たちもその一員として力をつくすとともに、とりくみの協力、共同をひろげます。

 以上の立場から、国連・子どもの権利委員会の日本政府への勧告の実施を推進する……今年一月、国連・子どもの権利委員会は日本政府に勧告をおこないました。「競争的学校制度」の是正、子どもの意見を尊重するための改善措置、子どもの権利の周知、思春期の情緒障害や性的感染症、薬物濫用などに関する研究など多岐にわたる勧告と、子どもの権利条約を全面的に実施するために奮闘します。

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14、学術・文化・スポーツの自由で豊かな発展のために

学術、科学・技術の多面的な発展をはかる

 学術研究の積極的な振興をはかり、多様な特性をもつ各分野のつりあいのとれた発展を保障することは、21世紀の社会の進歩にとって大切なことです。

(1)「学問の自由」を守り、国民の立場にたった大学改革をすすめる

 大学予算を大幅にふやし、抜本的な条件整備をはかる……欧米諸国の半分に満たない高等教育予算を大幅に増額し、大学の教育研究条件を抜本的に整備します。国会で決議されている、私立大学の経常費2分の1国庫補助を実現します。

 国公立大学の法人化を契機にした予算の一律削減を中止し、学費値上げを抑えます。教員養成系学部の半減計画をやめさせ、教育の機会均等を保障するために「すべての県に国立大学」という方針を守ります。私立大学生への学費助成や私立大学の学費減免への特別助成制度をつくります。

 大学への国家統制をやめ、「大学の自治」を尊重する……「大学の自治」を尊重するルールを確立します。財政支出を利用した大学統制のしくみをやめ、独立した大学財政配分機関を創設します。すべての大学に義務づけられた大学評価は、国の関与をやめ、学者・専門家を中心にした自主的な機関による評価を基本にすべきです。大学と企業との共同にあたっては、大学の自主性と研究成果の公開を原則とします。

(2)経済効率優先の科学・技術政策を転換する

 基礎研究への支援を強め、学術の調和のとれた発展をはかる……人文・社会科学の役割の重視をはじめ基礎研究への支援を抜本的に強め、学術の調和のとれた発展をはかります。研究開発(民間を含む)における基礎研究の比重が極端に低い現状を変え、政府の科学技術予算の配分を見直します。科学・技術の軍事利用に反対します。

 科学技術基本計画を、総合的な学術振興計画に発展させるとともに、政府がトップダウンで決めるやり方をあらため、科学者の代表機関である日本学術会議の意見を尊重するなど、研究者、国民本位の立場で策定するようにします。

 研究者の自主性を尊重し、自由な研究環境をつくる……研究者の自主性を尊重し、のびのびと研究できる環境をつくるため、大学や研究機関の独立行政法人化を見直すとともに、任期制でない安定した身分保障制度を確立します。研究者の経常的研究費を大幅に増額し、発明などにおける権利を守ります。

 若手研究者への支援を強め、大学院生の研究条件を改善する……大学や研究機関での教員・研究員の増員をはかり、非常勤講師の処遇を抜本的に改善します。大学院生に対する無利子奨学金の拡充と返還免除枠の拡大、給費制奨学金の導入をすすめます。

文化を生活の中で楽しめるように、芸術・文化活動を支える政治をめざす

 長引く不況や国民の鑑賞機会の減少で、芸術・文化団体の公演、上演にも深刻な影響が出ています。民間劇場が閉鎖されるなど、文化活動をとりまく環境も悪化しています。子どもたちの健全な成長を保障していくためにも、人びとの自由で豊かな発展のためにも、芸術・文化が果たす役割には大きなものがあります。文化芸術振興基本法は、文化を自由につくり楽しむのは国民の権利であり、それを保障することは国・地方自治体の責務としています。芸術・文化活動が直面する要望を支援し、文化の自由を守り、多面的な発展を支える政治を実現します。

(1)草の根の文化活動を応援し、舞台芸術、映画、音楽などへの公的助成を改善・充実させます。舞台芸術作品への援助を強め、作品を全国で公演する努力を応援します。日本映画の製作・上映への支援をすすめ、日本映画の再生をめざす映画人の努力を応援します。

(2)舞台芸術、音楽などでは、安く使える練習場の確保が切実な要望となっています。廃校となった学校の活用をふくめ、公設練習場の整備をすすめます。

(3)演劇、映画分野ではヨーロッパで当たり前になっている、国が責任をもつ公的な高等教育機関・研修機関の設立をはかります。

(4)映画館や劇場、映画撮影所への税制支援や、文化団体への寄付税制を充実します。

(5)労災補償や雇用保険すら受けられない実態を改善するなど、専門家の社会保障を確立していきます。

(6)全国で広がっている子どもの舞台・映画鑑賞など、草の根からのとりくみを応援します。すべての子どもたちが少なくとも年一回以上、芸術に接することができるよう、学校・地域での演劇・舞踊・音楽公演、映画上映への支援を強めます。

(7)アニメなどの「コンテンツ」制作は、劣悪な労働条件や人材難が大きな障害になっています。専門家の権利を保障し、芸術・文化の発展が優先される支援を充実させます。行政による支援は、内容に行政が介入しないことが大切であり、政府から独立した支援機関を設立して行います。

国のスポーツ振興のゆがみをただし、国民だれもがスポーツに親しめる条件づくりに力をそそぐ

 余暇を増やして、スポーツに親しみたい──国民のつよい要求です。スポーツのできる条件づくりに力をそそぎます。

 「スポーツ施設整備計画」にもとづく環境づくりをすすめる……バリアフリーで環境を大切にしたスポーツ施設の着実な整備します。サービスの向上をはかるために、スポーツ指導員の配置基準の設定、利用者の声がとどく公正で使いやすい施設運営をすすめます。

 元気な子どもを育てる体育・スポーツ活動を支援する……子どもの基礎体力をつける学校体育の充実、スポーツ広場、自然のあそび場、学校開放施設の整備をはかり、子どものスポーツ活動や部活動にたずさわる指導員やボランティアを支援します。

 選手が安心して競技にうちこめる条件整備につとめる……コーチ制度とトレーニング科学の確立をはかり、企業スポーツの廃部や移籍から選手の身分を守る、競技者への負傷休養の保障や最低年俸の引き上げ、競技者年金制度の充実をめざす活動を激励します。

 サッカーくじは廃止し、スポーツ予算の大幅な増額に力を入れる……青少年をギャンブルでゆがめ、スポーツ振興の財源をになう資格もない「サッカーくじ」は廃止し、国のスポーツ予算を大幅に増額します。

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15、政治とカネのよごれた関係を断ち切り、民意が反映される選挙制度に

 いったいいつになったら日本の政治・行政から、汚職や腐敗が一掃されるのでしょうか。日本経団連による公然たる政治買収、自民党議員による相も変らぬ公共事業の私物化、政党助成金をつかった買収選挙など悪質な選挙違反、秘書給与の詐取事件、さらには日本歯科医師会(日歯)による診療報酬引き上げのための贈収賄事件など、汚職、腐敗があとをたちません。いずれも、国民の血税を食い物にし、民主主義を踏みにじる許しがたい、自民党や民主党による腐敗行為です。

 ところが、日本の政治をこの自民党と民主党の「二大政党」にしてしまうため、衆議院の選挙制度を民意の反映されない単純小選挙区制にしようという動きが強まっています。 日本共産党は、日本の政治から汚職、腐敗を一掃し、国民の声が正確に反映される民主的な選挙制度の実現をめざします。

汚職、腐敗を徹底的に究明し、企業・団体献金をただちに全面禁止する

 企業・団体献金こそが、汚職、腐敗の根源であることは、日本歯科医師会の汚職によってもあらためて実証されました。日歯は、診療報酬の引き上げのため中央社会保険医療協議会(中医協)の委員に贈賄工作をおこなっていました。日歯による献金工作は、坂口厚生労働大臣をはじめ百人を超える自民党、公明党、民主党議員におよぶという深刻なものです。この全容究明を要求します。

 前回の参議院選挙でも、特定郵便局長会によるぐるみ選挙が大問題になりましたが、こんども自民党は、さまざまな業界団体と癒着し、ぐるみ選挙をおこなっています。選挙での票とカネの見返りに、〃業界に有利になるように働け〃というわけです。まさに汚職そのものです。

 日本経団連の献金工作も露骨です。政党のマニフェストを採点し、消費税増税など、財界が気に入った政策をかかげる政党には、巨額の献金をするというのです。公然たる政治の買収です。

 政治がカネの力で動かされれば、主権者国民の声は踏みつぶされてしまいます。これでは民主主義の政治ではありません。

 日本共産党が、現に実行しているように、企業・団体献金をただちに全面禁止します。選挙の自由を侵害するだけでなく、汚職、腐敗の温床にもなってきた業界ぐるみ選挙、団体ぐるみ選挙をきびしく規制します。

国民の税金を政党が分け取りする政党助成法を廃止する

 日本共産党は、政党助成金制度がつくられる際、国民の税金が支持もしていない政党に流れることは、憲法が保障する「思想・信条の自由」を侵すことになるとして反対しました。また、政党助成金制度をつくっても、企業・団体献金を禁止しないかぎり汚職、腐敗はなくならないと指摘しました。現状は、まさにこの指摘どおりです。

 しかも、政党助成金は、いったん政党に渡れば、あとは高級料亭での飲み食いに使おうと、何に使おうと勝手放題の〃つかみ金〃になっています。だから、こともあろうに選挙の買収費用に使うという自民党議員まででてきたのです。政治浄化どころか、腐敗資金にさえなっているのが、政党助成金の現状です。

 日本共産党は、政党助成金を受け取らず、国民のみなさんの募金や党員の党費、「しんぶん赤旗」の売り上げで活動費をまかなっています。これこそが、政党の本来あるべき姿ではないでしょうか。民主的な政党政治のためにも、国民の税金を分け取りする政党助成金制度をなくします。

民意を反映しない単純小選挙区制に反対し、公正な選挙制度に改革する

 選挙制度で一番大事なことは、主権者である国民の意思を公正・正確に議席に反映させることです。

 ところが、いまこれに逆行するくわだてが強まっています。とくに財界は、自分たちの意のままになる「二大政党」体制を無理やりつくるため、単純小選挙区制の導入を強く主張しています。自民党内には、この財界要求を受けて、比例代表制を廃止しようという動きが根強くあるうえに、野党である民主党も「マニフェスト」にもとづき、「衆議院比例代表議席数を八〇議席削減する法案」を国会に提出しています。

 比例代表制が、比較的正確に民意を議席数に反映させる選挙制度であるのにたいして、小選挙区制は、第一位の候補者だけが当選できる選挙制度で、それ以外の候補者に投じた国民の票は、まったく議席に反映されません。これでは、国会が民意とはかけ離れたゆがんだ構成になってしまいます。

 民意を反映する比例代表制の廃止ではなく、民意を反映しない小選挙区制の廃止こそ、いまやるべき選挙制度の改革です。日本共産党は、そのために衆議院の選挙制度を全国11ブロックの比例代表制のみの制度に改革することを提案します。

 また、格差5倍以上にまで拡大した参院選挙区の定数是正に取り組みます。18歳選挙権の早期実現をめざします。

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16、国民の生命と安全をまもるために

治安への不安にこたえる

 凶悪犯罪が大きく報道され、身の回りでも空き巣やひったくりなどが起きるもとで、治安への住民の不安がひろがっています。ところが、いまの日本の警察のなかでは、言論機関、市民運動の監視、弾圧をおこなう警備・公安警察が、予算や体制などでいまだに幅をきかせています。しかも、組織ぐるみの裏金づくりが明るみに出ても、警察には自ら真相を明らかにし、それをただす意思も能力も存在していません。

 日本共産党は、警察のいちばんの仕事は市民生活の安全を確保することという見地にたって、現在の警察の体質、体制を改革します。同時に、警察官に週休2日制が導入された際、必要な人員増がされなかったため空き交番が増えていることが、不安に拍車をかけています。日本共産党は、警察官を市民生活の安全の分野に適正に配置し、足りない場合は最小限必要な警察官を増員することにより、空き交番を即時に解消します。

テロから国民の生命・安全をまもるために

 いま、テロを根絶することは、人類生存の条件になったといえるほど、切実な問題となっています。日本国内でも、多くの人々が、テロの不安を感じています。

 罪のない人びとを恐怖に陥れるテロは、日本の右翼暴力団によるものはもとより、誰によるものであれ、いかなる理由があっても、絶対に許すことはできません。日本共産党は、国民のいのちをあらゆる手段で守るという見地から、この間、テロ対策に有益な条約、法律に賛成してきましたが、こんごとも必要な対策の整備を求めていきます。

 国際的なひろがりをもつテロに対処するためには、国際的な協力によって、情報の収集を国の内外で徹底し、テロ集団の資金の流れを押さえていくことが決定的です。そのために、テロ資金供与防止条約、核物質防護条約をはじめ、テロ対策の基本を規定した12の条約、関連する国内法の厳格な実施を求めます。

 テロ集団の潜入を阻止し、摘発するうえで、警察行政、出入国管理行政の役割が重要です。その活動と体制を充実させるようにします。それでもなお、大規模なテロ事件が発生するときは、可能なあらゆる手段で国民のいのちをまもります。

 テロはどんなものであれ許されないのは当然ですが、一方、貧困や飢餓、大国による国際的無法行為の存在が、テロの口実となり、テロ集団を勢いづけているのも事実です。テロの口実をなくしていくことが、国民のなかでテロリストを孤立させることにもなります。テロを根絶するためにも、国連憲章の平和ルールの確立、人道支援分野での政府開発援助(ODA)の充実、異なる価値観をもった諸文明間の対話と共存の関係の確立に全力をつくします。

 テロに対するアメリカの報復戦争は、テロを減少させるどころか、逆にテロの土壌をひろげ、拡散させています。テロ根絶に向かううえでも、アメリカの「対テロ戦争」に反対し、国連憲章にもとづく平和のルールをきずくことが重要です。

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17、海外派兵と大軍拡計画をやめさせる

海外派兵国家の仕組みづくりをやめさせる

 戦後、わが国の政府は、どんな無法で道理がないものであろうと、アメリカの戦争を無条件に支持する立場にしがみついてきました。そしていま、小泉内閣は、アメリカの戦争に自衛隊を参戦させる法律をつぎつぎと制定し、それにもとづいて自衛隊を海外に送り出すばかりか、いつでもどんな場合でも自衛隊を海外に派兵できる「恒久法」の制定さえねらっています。

 さらに、米軍の戦争支援を具体化する有事関連法案を強行しようとしています。この法案は、米軍への戦争支援を無限に拡大し、自治体・公共施設を「軍事優先」で動員するとともに、「国民保護」の名のもとに国民を米軍の戦争に強制動員する恐るべき内容が盛り込まれています。まさに、イラク戦争のような、アメリカの無法な先制攻撃の戦争に自衛隊と日本国民を動員する枠組みづくりです。

 ミサイル防衛やヘリ空母の導入などの新たな軍拡計画は、米国の先制攻撃戦略、軍事介入態勢に日本をいっそう深く組み込み、強化するもので、世界とアジアの脅威以外のなにものでもありません。

 アメリカに追従した「海外派兵国家」の道をつづければ、日本がアメリカとともに世界の平和に挑戦することになり、世界とアジアから孤立するばかりです。

 日本共産党は、憲法9条を守る立場から、「海外派兵国家」の仕組みづくりをやめさせ、有事法制・海外派兵法の発動を阻止し、抜本的な軍縮をすすめるために、広範な国民のみなさんと共同を広げることに力をつくします。

米軍基地の異常をただし、米軍の横暴勝手をやめさせる

 無法な米軍の空母艦載機などによるNLP(夜間離着陸訓練)や超低空飛行訓練は、米本国はもちろん、他のどの同盟国でもやっていません。こんな勝手放題をきぜんとした外交でやめさせます。米兵による女性暴行事件や傷害事件などのたびに大問題になる日米地位協定問題でも、自公政権は、国民の強い改定要求に背を向けて、「運用改善」にとどめています。日本共産党は、日米地位協定を抜本改正し、世界に例のない米軍優遇の特権措置をなくします。

 佐世保基地を中心にした「遠征攻撃群」の新編成や三沢基地への太平洋艦隊の電子スパイ機部隊司令部の移転、横須賀基地の原子力空母母港化は、沖縄の名護市への最新鋭基地建設とともに、世界への出撃拠点として、21世紀中にもわたって基地を固定化、強化しようとするものであり、断じて認められません。

 米軍の無法な活動を支え、米軍が居座る根拠にもなっている「思いやり予算」は、中小企業予算の1・3倍にまで膨張しています。安保条約上も何の義務もないものであり、ただちにやめさせます。

 日本共産党の国会での追及により、アメリカが核兵器を日本に持ち込む密約の存在が明確になりました。政府に密約の全ぼうを公開させ、核持ち込みの心配がない日本にします。核兵器廃絶を緊急課題として、被爆国日本がその先頭にたつようにします。

「ミサイル防衛戦略」への参加に反対する

 アメリカのブッシュ政権がすすめている「ミサイル防衛戦略」は、相手のミサイル攻撃を無力化する態勢をつくることで、アメリカの核戦略の優位を絶対的なものとし、報復の心配がなく先制攻撃を可能にしようとするものです。

 小泉内閣は、その開発・配備に参加することを決定しましたが、これは巨額の財政支出をともなうだけでなく、憲法を踏みにじった「集団的自衛権」の行使そのものとなり、地球規模のアメリカの核戦略に日本を組み込む事態をまねくことになります。この計画には、すでに中国やロシアも強い懸念と批判を表明しており、アジア太平洋地域の国ぐにとの緊張を激化させる危険も重大です。

 しかも、小泉に内閣は、「ミサイル防衛戦略」に参加するために、憲法をふみにじって、武器禁輸原則をないがしろにしようとしています。

 日本共産党は、「ミサイル防衛戦略」に反対し、日本の参加をただちに中止するとともに、武器禁輸原則を将来とも貫くことを強く要求します。

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