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日本共産党参議院議員・医師 小池晃 アーカイブ[〜2008] 日本共産党参議院議員・医師 小池晃 アーカイブ[〜2008] 日本共産党参議院議員・医師 小池晃 アーカイブ[〜2008]

第150回国会 国民福祉委員会第7号 2000年11月30日

医療改悪徹底追及第3弾
(最終日;森総理への質疑)

○小池晃君 日本共産党の小池晃です。
 今回の健康保険法改悪の高齢者への定率負担の導入でどういう負担増になるか。負担増の総額は千四百六十億円だと。医療を受ける人も受けない人もひっくるめて一人当たり年間一万円の負担増になるということが明らかになったわけです。これはあくまで平均でありますから、ケースによってはもっともっと負担がふえる場合もある。例えば、気管支ぜんそくと脳梗塞で月一回往診を受けている患者さんは五百三十円から二千六百三十円、五倍になるんだと。あるいは糖尿病と高血圧で月一回二百床以上の病院に通っている患者さんは五百三十円から五千円へ、九・四倍であります。入院の場合も短期間の場合は四倍、五倍という負担増がある。
 総理にお聞きしたいんですが、総理はこの健保法の参議院本会議の質疑で高齢者への定率負担導入、これらの負担はお年寄りにとって無理のない範囲のものというふうにお答えになっているんですが、今でも今回の負担増は高齢者にとって無理のないものだとお考えなのかどうか、お答えいただきたい。

○国務大臣(森喜朗君) 今回の定率一割負担制の導入は、高齢者の方々に医療費に対するコスト意識を持っていただくとともに、定率負担になっております若年者とのバランスを図るという観点から行うものでございます。
 導入に当たりましては、外来について比較的低い月額の上限を設けますとともに、低所得の方々の入院時の負担の限度額を引き下げるなど、高齢者の方々の状況に応じたきめ細かな配慮を行うことといたしております。
 負担の方式が変更されることによりまして、個々のケースで見れば現行制度に比べて負担が増加することもあれば軽減されることもありますが、いずれにいたしましても無理のない範囲のものでございまして、十分に国民の皆様の御理解をいただけるものではないか、このように考えております。

○小池晃君 今のこのケースというのは上限を設定した上でのケースなんですよ。例えば五千円というのは上限なんです。それが九倍の負担になったりあるいは四倍、五倍の負担になったりするんだと。これは上限があっても負担増になるじゃないですか。この上限があっても全く負担の軽減になっていないじゃないかということははっきりしていると私は思うんです。無理のない負担だと、四倍、五倍あるいは九倍の負担が高齢者にとってなぜ無理がないと言えるのか、もう一度お答えいただきたい。
 総理、自分の答弁ですよ、これは。自分の答弁を聞いているんですよ。

○国務大臣(森喜朗君) 先ほど申し上げましたように、現行制度に比べて負担が増加するということもあれば軽減されるということもございます。
 いずれにいたしましても、この制度の趣旨を十分に皆さんに御理解をいただいて、そして無理のない範囲のものであるというふうに私どもも十分考えて、きめの細やかな配慮をしていくように、こういうふうに指示をしていきたい。そういう意味で十分国民の御理解をいただけるものではないか、このように考えております。

○小池晃君 国民が理解できないからこそ二百十万人もの署名が今国会に寄せられているんですよ。
 社会保障の負担増というのは医療だけじゃないんだと。例えば先ほどお話があった介護。介護保険の保険料は来年度満額で七千七百億円になります、お年寄りの分だけで。利用料六千億円だと。年金の改悪もされた、そしてこの上に医療の負担増だと。
 総理、この間、景気が持続的な回復軌道に乗らないのはやはり個人消費の伸び悩みにあるんだというふうに何度もお答えになってきたと思うんです。年金、介護、医療、こういう負担増というのはまさに個人消費の足を引っ張る、立て続けの負担増が私は景気の回復に明らかに逆行すると思うんですが、いかがですか。

○国務大臣(森喜朗君) 今回の健康保険法等の改正は、医療保険制度を持続可能な安定的な制度とするための抜本改革の第一歩として行うものである、このように先ほどからも申し上げております。
 医療保険制度は国民の負担に支えられて成り立つものでございまして、改革を進めて、国民が安心して良質な医療サービスを必要なときに受けられることなどを保障することによりまして国民の不安を払拭することが、経済の安定といった観点からも私は重要であるというふうに考えております。残されました高齢者医療制度の見直しといった課題に取り組みまして、制度に対します国民の信頼の確保を図ってまいりたい、このように考えております。
 なお、今回の改正では負担額の上限を設けるなどいたしまして、先ほどから繰り返し申し上げておりますように、きめ細やかな配慮を行っておりまして国民の皆様の御理解をいただけるものである、このように考えております。

○小池晃君 国民が将来に不安を持っているのはなぜか。これは、介護保険の今の実態を見て、そして年金がどんどん削られている実態を見て、そして医療もまた負担増が襲いかかってくるという実態を見てお年寄りは生活不安を強めているし、そういう実態を見て若者は将来への不安を高めているんですよ。
 例えば経済企画庁の調査では、老後に明るい見通しを持っていると答えた人のピークはいつかというと、これは八四年なんです。老人医療費の有料化が導入された翌年です。このときをピークとしてどんどん下がっている。そして九九年、直近では一七・四%と過去最低にまでなっているんですよ。まさにこういう社会保障の負担増というものが、社会保障に対する将来不安、これから本当に老後暮らしていけるんだろうかという不安をあおり立てているんです。
 さらにお聞きしたいんですけれども、政府は、健保財政が危機だから制度改正が必要だというふうにおっしゃってきました。ところが、国は健保財政を支える責任を果たしてきたんだろうか。医療費に対する国庫負担は八〇年の三〇・四%から九七年は二四・四%に低下しております。こうした国庫負担の削減をやめて、公共事業優先の国の財政を改めて、医療に対する国庫負担を増加させることが今必要になってきているんじゃないかと思うんですが、いかがでしょうか。

○国務大臣(森喜朗君) 年々増大をしてまいります医療費につきましては、保険料、そして公費、患者負担、この組み合わせによって賄われてきたところでございます。
 このうち国庫負担につきましては、保険料等の拠出が困難な者にも適切な保障を及ぼすという観点などからこれまで適切に確保してきたところでございまして、二十年前と比較すると国の一般歳出の予算額は約一・五倍しか伸びていないという厳しい財政状況の中で約二倍の約七兆円、平成十二年度予算でありますが、となっているわけであります。
 今後、高齢化の急速な進展に伴いまして医療に要する費用のさらなる増大が見込まれますが、医療費の伸びができる限り経済の動向とバランスのとれたものとなるように給付の適正化等を図りながら、必要な財源につきましては今後とも保険料、公費、そして患者負担の組み合わせによって確保してまいりたい、このように考えております。

○小池晃君 医療に対する国庫負担は一般歳出予算額に比べて伸びている、一般歳出は一・五倍だけれども医療は二倍になっているとおっしゃるけれども、これはそれぞれの額を別々に比較しているだけの話なんですよ。大事なのは、一般歳出予算の中で医療費に対する国庫負担がどうなっているのかというところ、ここを見ないといけない。
 国の一般歳出予算に占める医療費の国庫負担の比率はどうなっているか。一九八〇年には一一・七%だった。これが二〇〇〇年には一四・一%です。ほんのわずかしか伸びていない。そして、この間、高齢者は二倍にふえているんです、この二十年間で。高齢者は二倍にふえているというのに、一般歳出に占める医療費の国庫負担がほとんどふえていない。だから一人当たりの給付水準が低下する、負担増を押しつけられているんじゃないですか。これでは国庫負担をふやしたからといって責任を果たしたことにならないんじゃないかと思うんですが、いかがですか。
 総理、答えてくださいよ。

○国務大臣(津島雄二君) まず、数字について正確に理解をしていただきたいのでありますが、二十年前の国庫負担の基礎になる制度がどうなっていたか。例えば、老人医療に対して自己負担がどうなっていたか……

○小池晃君 そんなことはわかっています。

○国務大臣(津島雄二君) そういうすべてを考えた上で国庫負担のあり方を議論していただきたい。二十年前の状態をそのままにしていれば……

○小池晃君 総理が言ったんでしょう、二十年前の比較を。いいかげんなこと言わないでくださいよ。

○委員長(中島眞人君) お静かに願います。

○国務大臣(津島雄二君) どういう制度になっていたか、どういう医療費の状態になっていたか、そのことを中身に立ち入って議論をしていただきたいというのが私の答弁であります。

○小池晃君 だから、総理が言ったから私聞いているんです。二十年前の比較を総理が言ったんですから。お答えください。

○国務大臣(森喜朗君) 制度はやっぱり年々いろんな状況の変化というのはあるわけであります。当然、税収入の変化もあれば国民の人口の変動もあればあるいはまた老人のいわゆる増加等も考える、増減もいろいろ、減はありませんが増加はございますが、そういうものを皆しんしゃくしながら、その年その年いろんな角度でできるだけ国民に御負担をいただかないような形でそういう負担の確保というものを賄っているわけでありまして、これにつきましては数字だけで見ればそれなりの政府としても努力をしておるということもぜひ御理解をいただけるんだろうと思います。
 ぜひその面について、委員は御専門家でもありますから、いろんな見方、切り口はあろうと思いますが、政府といたしましてもこれはさらに国民の多くの皆さんの理解が得られるようなそういう仕組みにさらに改善をしていきたい、このように先ほどから申し上げているところであります。

○国務大臣(津島雄二君) 今の総理の御答弁をもう少し正確に申しますと、二十年前は高齢者医療制度はございませんでした。そのことが単純に予算の国庫負担の比率を比べる場合に非常に大きな誤解を招くわけであります。制度が基本的に違います。このことだけ申し上げておきます。

○委員長(中島眞人君) 時間が参っておりますので……

○小池晃君 一言。
 制度を国庫負担を削減する方向に変えてきたからそういうことになっているんじゃないですか。いいかげんなこと言わないでください。あなた方、社会保障に対する国庫負担をこの間どんどん削ってきた、その矛盾が今まさに国民に負担増となって襲いかかってきているし、それが将来不安をあおっているんですよ。
 森政権なんというのは国民の支持を全く得ていないということがこの間明らかになったんだ、そういう政権が国民に負担増を押しつけるこんな法案を提案するなんというのは、私、到底許されないというふうに思います。しかも、この大変な負担増であります。
 私は、到底このことを認められない、断固これは廃案にすべきだということを改めて申し上げて、私の質問を終わります。

○小池晃君 十月から介護保険の一号保険料の徴収が始まりました。この徴収は、月一万五千円以上の年金は天引きでありますから、それ以外の方は基本的に個別の普通徴収となるわけです。この普通徴収の収納率、厚生省としてどのように把握していらっしゃいますか。

○政府参考人(大塚義治君) お話しございましたように、介護保険の一号保険料が十月から徴収が始まりました。普通徴収につきましてでございますけれども、これは納期が市町村によって異なるというような事情もございまして、現時点では全国的な状況を把握いたしておりません。

○小池晃君 多くの方は一万五千円に満たない年金ですから大変負担が重いんですね。私どもの調査では、熊本市では七〇・七%、茨城県六十六市町村では六〇・四%、それから京都市では五六・二五%、これは極めて低いわけであります。
 これは半額徴収ですから、しかも低所得者が多いですから、もう本当に五百円、六百円あるいは千円ぐらい、本当にわずかな保険料であっても払えない、これが実態だと思うんですが、大臣、どう考えますか。

○国務大臣(津島雄二君) 高齢者の介護保険料につきましては、十月から、年金からの天引きによる方々が多いわけでありますが、市町村の普通徴収による納付も始まっておるわけであります。市町村におかれましては、対象となる方への連絡や広報などに多大の御努力をしておられることは御承知のとおりでございます。
 普通徴収につきましては、納期が市町村によって異なっておりまして、現時点におきまして全国的な状況をしかと総括できる状態ではございませんが、介護保険料については初めての徴収であることとか、一般に国民健康保険などの収納状態を参考にすると、納期後の収納により収納率が相当リカバーされるという現象があることなどから、今お示しの事例から直ちに収納率の見通しを判断することはできないと思っております。
 いずれにいたしましても、厚生省としましては、介護保険制度の定着を図るとともに、保険料の意義や必要性について引き続き周知、広報に努め、国民の御理解を求めてまいりたいと思います。

○小池晃君 普通徴収には遺族年金とか障害年金の方も含まれるし、ことしの四月以降に六十五歳になった人も普通徴収なんです。だから、本当に低額の年金しかもらっていない人の徴収率というのはもっともっと恐らく低いだろう。例えば京都の中京区なんて五二%です。恐らく、半分も払っていないという実態があるんじゃないだろうか。
 大臣、いろいろおっしゃいましたけれども、厚生省として調べもしないでそんなことを言えないと思いますよ。こういう実態に厚生省は目を向けるべきだし、徹底的に調べるべきだと。そうでないならば、そういうこともせずに、医療保険の負担増、これは負担可能な範囲だなどとなぜ言えるのかというふうに私は思うんです。
 上限設定しているといっても、この保険料の徴収の実態を見れば、五百円でも千円でも払えないというのが私は本当に低所得の、高齢者の実態だと思うんですね。やはりそういう実態を今度の医療保険の定率負担というのが私は直撃するんだというふうに思うんです。
 さらにお聞きしたいんですけれども、この介護保険の利用料の負担の問題です。
 これは、利用料負担が大変重いという声が各地で上がっている。厚生省の調査でも一七・七%の人が利用を減らしている。恐らく、いや、ふやしている人もいるんだというふうにおっしゃると思うんです。それはそうで、もちろん一定の収入がある人にとってみれば確かにこれは介護保険で利用拡大するケースもあることはある。しかし、私が問題にしているのは、五百円あるいは千円以下の保険料も払えない人が現実にいるわけであります。そういう人にとって、介護保険の利用料も払えない、さらにこれが医療保険も定率負担ということになっていった場合に大変深刻な事態が起こるんじゃないだろうか、実証済みなんじゃないだろうかと、そう思うんですが、大臣、いかがでしょうか。

○国務大臣(津島雄二君) 委員の方のいつもの姿勢でありますけれども、大変決めつけた言い方をなさいますので、ちょっと前の、まず保険料の方について、何にも実態を調べていないとおっしゃいましたが、そんなことはありません。私どもは、関係の市町村長と話をするときは必ずそれを話題にしておるから、調べていないという、それだけはひとつ撤回をしていただきたいと思います。まだ納期が来ていないのが多いわけであります。
 それからもう一つ申し上げたいのは、四月から既に介護保険を払っておられる大多数の若者がいる、それから天引きで払っている方もいると。今、委員のおっしゃった普通徴収の方は大体四分の一以下であるということもこの際申し上げて、やっぱりバランスのとれた行政でないといけないということをまず申し上げさせていただきたいと思います。
 次に、利用料の方でございますけれども、もう毎度御答弁しておりますように、低所得者の方に大きな負担とならないように月々の利用者負担の上限額を低く設定しますとともに、社会福祉法人を通じた利用者負担の軽減措置を講じて、できるだけこれを利用していただくようなきめ細かな配慮を行っているところでございます。
 介護サービスの利用状態につきましては、私どもが自治体を通じたアンケート調査によりますと、利用料の負担が重いため従来よりもサービスの利用を減らしたという方は少なく、むしろ介護保険の導入によりこの四月時点でサービス利用者が新たに二割以上増加するとともに、従来からのサービスの利用者の六割以上がサービスの利用をふやしているという結果になってございます。
 今回、高齢者医療に定率一割負担制を導入するに当たりましては、定額の月額上限を設け、低所得者の方々の入院時の負担については負担の限度額を引き下げることなどをしており、多様な高齢者の生活に配慮した措置を講じ、お年寄りに無理のない範囲内で御負担をお願いすることとしているわけであります。
 このように、今回の改正におきましては高齢者の状況に応じた配慮を行っており、お年寄りにとって必要な受診が抑制されるといったことも医療保険の方にはないと考えております。

○小池晃君 実態を目にしても、一年間、二年間ずっと同じようなことしか答弁しない。本当に国民の深刻な生活実態に目を向けようとしない。厚生省の姿勢が私ははっきりあらわれていると思うんです。
 九七年に医療抜本改革の問題、これは厚生省案が出されました。そのときの問題をちょっとお聞きしたいんですが、ここでは被用者保険は三割負担、それから大病院の外来は五割負担だということが出されました。政府が今二〇〇二年に実施しようというふうにおっしゃっている医療抜本改革の中身について、この被用者保険の負担増というのは今のところその四本柱というのを見ても見当たらないわけでありますけれども、この九七年のときに打ち出された被用者保険の負担増ということもいろんな検討課題の中の一つとして残っているというふうに理解してよろしいんでしょうか。

○国務大臣(津島雄二君) 医療制度の抜本改革は、二十一世紀においても医療保険制度を持続可能で安定的なものとするために行うものでございまして、毎度御答弁しておりますように、薬価制度、診療報酬体系、高齢者医療制度、医療提供体制という四つの課題を中心に総合的に検討しておるところでございます。
 平成十四年度を目途に残された高齢者医療制度の見直しなどの課題を精力的に検討して結論を得たいと思いますが、この検討に当たって、平成九年の「二十一世紀の医療保険制度」というあの文書をもとにするものではございません。

○小池晃君 ということは、被用者保険の負担増ということは二〇〇二年の抜本改革の課題ではないということですね。

○国務大臣(津島雄二君) これは全体としての今後の検討課題でございます。

○小池晃君 ということは、検討課題として残っていると。ですから、これからも抜本改革で負担増だと、若年者の負担増も検討課題としては残ると。まさに私は将来不安をかき立てるやり方だというふうに思う。
 さらに、高額療養費の問題について取り上げたいんですが、現在の公的医療保険制度のもとでもヨーロッパに比べて日本は自己負担比率が高い、一五・四%だということが言われています。しかし、これは保険でカバーされている範囲の話でありまして、医療経済研究機構で保険外の負担も含めた患者負担比率について日本とアメリカとドイツ、示されていると思うんですが、いかがでしょうか。

○政府参考人(近藤純五郎君) 医療経済研究機構の調査研究でございますけれども、これは普通の国民医療費に加えまして、差額ベッドでございますとか正常分娩、それから眼鏡とか体温計、こういった医療用具、それから大衆薬、売薬でございますとかこういったもの、それから人間ドック、こういった費用、さらには健康保険組合等の人件費も含める。こういうふうに非常に広い意味での国民総医療費支出、こういうものを把握いたしているわけでございます。
 ただ、こういうものについては統計的なものが十分備わっていないものもございますので、正確な把握というのは非常に厳しいというふうに思っておりますけれども、特に外国の関係では難しいと思っております。ただ、それを前提に、端的に数字だけ申し上げますと、日本では二一%、それから米国では二〇・二%、ドイツでは一〇・一%ということになっているわけでございます。
 各国の医療制度が違うわけでございまして、日本は皆保険、外国では、米国とかドイツでは皆保険ではないわけでございますし、医療機関のアクセスの関係とか保険料の水準、こういったものも違うわけでございますので、一概にこれだけで比較するというのは難しいのかなというふうに考えております。

○小池晃君 一つの研究であるけれども、日本の保険外の自己負担の額というのはアメリカ──アメリカというのは国民皆保険ではない国ですから、そこよりも高いんだという一つの研究なわけです。こういう負担がある上で、高額療養費の負担。高額療養費がかかるときというのは、大体例えば差額ベッドに入っていたりするケースが多いわけですよね。そういう負担の上にさらに上限まで、一%とはいえ外れていくということの負担増というのは極めて私は大きいというふうに思うんです。
 それから、ちょっと時間がないのでもう一つお聞きしたいんですが、薬剤費の問題です。
 大手製薬企業十五社の最近三年間の経常利益の推移、これを示していただきたい。

○政府参考人(伊藤雅治君) 製薬企業大手十五社の経常利益を合計いたしますと、平成九年度が七千四百六十億円、平成十年度が七千二百七十億円、平成十一年度八千百九十億円となっております。平成十一年度は、薬価改定が行われていなかったことや新薬の発売が相次いだこともございまして、平成九年度と比較すると七百三十億円、九・七%の増益となっております。
 一言つけ加えますと、我が国の医薬品産業の研究開発につきましては、欧米と比較しますと比率、絶対額とも低いとの指摘があることも事実でございます。

○小池晃君 製薬企業を連結ベースで見ると約九千億円。だから、国民医療費の三%に相当するような経常利益を上げている。一方で、お年寄りにも、それから現役世代にも大変な負担増を今回の医療保険、健康保険法改悪が押しつけるわけです。負担を分かち合う、分かち合うというふうに大臣はおっしゃるけれども、こういう実態を見た場合、果たしてこういう製薬会社の経常利益、莫大な利益にメスが入っているんだろうか。そういう意味では本当に平等に負担を分かち合うという形になっているんだろうか。
 国庫負担の問題も先ほど総理と議論いたしました。やはり、本当に負担を分かち合うということであれば、こういう製薬会社の莫大な経常利益にメスが入ってしかるべきじゃないですか。大臣、いかがですか。

○国務大臣(津島雄二君) 医薬品産業は、医薬品を安定的に供給するとともに、新薬の研究開発、実用化を行うことにより国民の健康の維持向上に貢献することがその責務であり、研究開発に膨大な投資が必要でございます。
 利益が出ているではないかということでありますが、その利益がどういうふうに使われているかもまた問題でございます。特に、最近のゲノム研究等による新薬開発の世界的競争の中で、我が国の製薬企業が画期的医薬品を開発して国民により質の高い医療を提供していくためには、不確実性を伴う研究開発に多額の費用を継続的に投資していかなければならない。先ほど参考人から答弁がございましたように外国のメーカーとの競争もやっていかなければならない。外国のメーカーに比べても、日本の製薬企業の利益率が高いという結果は出ておりません。むしろ低い方でございます。
 厚生省におきましては、数次にわたる薬価引き下げ等、過去八年間で合計約三五%引き下げましたが、薬価引き下げ等により薬剤費の適正化を行ってきたところでございまして、こうした状況の中で各企業が経営努力をして利益を上げて、それを将来の新薬開発に投入していただくということを私どもは期待しているわけであります。

○委員長(中島眞人君) 時間が来ています。

○小池晃君 一言だけ。
 海外の製薬企業と比べれば利益率は高くないと言うかもしれませんけれども、一般製造業と比べれば圧倒的に利益率は高いですよ。さらに、研究開発費が多いと言うけれども、日本の製薬企業が開発した医薬品の中で国際的に利用されているベストテンの中に一つも入っていないんです。そういう実態なんですよ。
 私、製薬会社の利益を問うとそれはいろんな形で弁護をされる、国民の実態を問うとあれこれあれこれ弁解をする、そして実態には目を向けようともしない、調査すらしない。ここに今の厚生省の大変国民不在の、国民に背を向けた姿勢が私ははっきり出ているというふうに思います。
 今回の改悪、抜本改革の第一歩と言いますけれども、自民党政治のもとでの抜本改革というのは国民に負担増をもたらすだけだ、国民に未来のない選択を押しつけるだけだというふうに思っております。破綻した自民党政治のツケを国民に押しつけるような健康保険法と医療法の改悪には、これは廃案にすることが唯一の国民に対する正しい解決であるということを申し上げて、私の質問を終わります。

▲「国会論戦ハイライト」目次

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