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151-参-厚生労働委員会-2号
2001年03月15日

○小池晃君 日本共産党の小池晃です。
 きのう、厚生労働省がKSDをめぐる調査結果を発表されました。私、中身読みましたけれども、読んで本当に驚き、あきれ、最後はちょっと怒りすら覚えた、そんなような感想を持ちました。
 これは結局、いろんなことが書いてあるんだけれども、結論をわかりやすく言うとどういうことか。さまざまなKSDをめぐる政策決定過程、政治家が働きかけたことは政策決定に影響なかったんだということがこの結論じゃないですか。例えば、アイム・ジャパンの設立許可、技能実習制度を二年から三年に延ばす、それからものつくり大学の設立支援、KGSの設立認可、そして二〇〇〇年度予算でものつくり大学に二十・五億円の追加要求を行ったこと、これはすべて適切な手続を経て行われたというのが結論でしょう。政治家からの働きかけは政策決定に影響しませんでした、端的に言えばこの調査報告の結論はそういうことじゃないかと思うんですが、どうでしょうか。

○政府参考人(戸苅利和君) きのう発表いたしました技能実習制度及びものつくり大学に係る政策決定の経緯等についての調査結果でありますが、これは厚生労働省が保有しております資料をもとにいたしまして、当時の担当者等からの聞き取りも行い、事実関係の確認を行ったわけであります。
 政策決定の経緯の中で適正に行政が行われたかどうか、それからKSDとのかかわりがどうなのかというあたりを中心に取りまとめたものでございまして、結論といたしましては、労働省としては、それぞれの課題にその時々の状況に応じて適切に政策決定を行ってきたということ、それからおっしゃるように個別の政治家の方々から個別具体的な働きかけがあったということは、資料を見てもあるいは担当者からの聞き取りでもそういった事実はなかった、確認できなかったということでございます。

○小池晃君 そんな報告で一体だれが納得するかというんですよ。政治家からの働きかけは旧労働省の政策決定過程に全く影響なかったというのがこの報告書の結論なんですよ。
 近藤事務次官も三月一日の記者会見で政策に与党の影響がなかったとは言い切れないというふうにはっきりおっしゃっているじゃないですか。政治家からの働きかけの影響がないなんという弁解が一体どうして通用するのか、国民は何でこういうことで納得するのかと。
 そもそも小山孝雄の起訴事実の要旨、これはKSDからの請託を受けて、そしてアイム・ジャパンの技能実習制度を二年から三年に延長する質問を行い、ものつくり大学への補助金増額の取り計らいを行ったことだと。それから村上正邦の逮捕の被疑事実では、KSDからの請託を受けて、そしてものつくり大学の設置を支援する質問をして、そして二人合わせて約一億円のわいろを受け取ったということじゃないですか。この容疑事実から見ても働きかけがあってそれが政策決定に影響した。大臣、これは明白じゃないですか。これがなぜ影響がなかったと言い切れるんですか。

○国務大臣(坂口力君) 村上、小山両氏ともにこれは今まで労働大臣あるいは政務次官をなさった方で、労働省が何を考えているか、どういう方向を目指しているかということは十分に御存じの方でございます、二人とも。
 ですから、そこに書かれておりますことは、それは私も再三いろいろの質問をして、聞きましたけれども、いずれにいたしましても、旧労働省が今まで進めてきました政策の中に、一つはものつくり大学、一つは研修生の二年から三年の延長にいたしましても、これは旧労働省としての意思、旧労働省としての政策としてかなりそれはもう進んでいたものであると。
 したがいまして、村上、小山両氏は、わざわざ、そのことを知っておりますから、旧労働省に対しましてこういうふうにしてくれ、ああいうふうにしてくれということを言うまでもなかった。そのことをよく御存じの上で、そしてこのKSDとの間のお話をされたのではないかという気がいたします。ですから、そこのところは、小池先生のお言葉でございますが、私はそう言うまでもなく、そこはもう旧労働省の方はそういう意思で動いていたということだろうという気がいたします。

○小池晃君 とんでもない話だと私は思いますよ、今のは。
 もう既に旧労働省は政策決定していて、そのことを村上氏も小山氏もよく御存じだったというんだったら、何でわいろを贈る必要があるんですか。ばかな話ですよ。だって、一方でKSDは一生懸命工作していたわけでしょう。立てかえ党費まで払って、村上さん、小山さんが上位で当選できるようにというふうに一生懸命お金を出したわけですよ。それから、それとは別にわいろまで渡したと。
 では、既に労働省は着々と粛々と政策決定していて、もう村上氏も小山氏も知っているというのであれば何でこれは、ではKSDのやっていた二十一億円の立てかえ党費も一億円のわいろもこれは全くむだ金だったということになるじゃないですか。そんな話を国民が一体どうして信用するのかと。全くおかしな話だと思いますよ。今のような大臣の説明では国民は絶対に納得できないと私は思いますけれども、いかがですか。

○国務大臣(坂口力君) 納得されるかどうかは別な話でございまして、私はその経緯を事実として申し上げているわけでございます。
 ですから、私もなぜ古関前理事長がそういうことをやられたのかということはよくわからないわけでありまして、むしろその具体的な進め方とかそういうことについて、それはそこまで一致していたとは言えないと私は思います。しかし、その方向性、大きな方向性としてはそういうことになっていたというふうに理解せざるを得ないということを私は申し上げているわけです。
 例えば、それに対してどういう、それを私立にするのかどうか、あるいは私立にしたらその財源をどうするのかという具体的なことについては、それはいろいろ思いの違いもあったかもしれないし、そこにはいろいろのこともあったんだろうというふうに思いますけれども、その方向性というのは、そういう方向であったことはよく両氏は御存じであったんではないかというふうに私は思います。

○小池晃君 大臣、お話しになればなるほどこの調査報告がいかに荒唐無稽かということが明らかになりますよ。既に決まっていることだったら何で二十億円も、一億円のわいろも使ってやるのかという話になるじゃないですか。素直に考えれば、今の説明で納得する国民は私は一人もいないと思いますよ。
 さらに、ではこういうことはどうなんでしょう。アイム・ジャパンの設立許可について調査報告では「特段早い対応ではなく、審査は適正に行われた」と、しゃあしゃあと言っているわけですね。ところが、KSDの関連合同部長会議の議事録では古関はこう言っているんです。「村上先生は豊明議連の幹事長であり、IMMの設立を三カ月で労働省を捩じ伏せた。これは我々の力ではなく村上先生の力である。」と。
 許可から八日間は早くないんだというふうに答弁もありましたけれども、設立の事前相談から三カ月で許可に至った。これは特段早い対応じゃないんですか。特段早い対応でないとすれば、この古関のは妄想だというふうにおっしゃるんですか。大臣、どうですか。

○政府参考人(戸苅利和君) 公益法人の認可、これは通常まず事前相談から始まりまして、その間に書類の整備をしていただき、あるいは公益法人としてふさわしい業務内容に調整をしていただくということを行った上で正式に許可申請を出していただいて、それで審査の上、許可ということでございます。
 過去のいろいろな公益法人の許認可の事例、非常に長期にわたるものもありますし、短期のものもあるわけでありまして、ちょっと手元に数字を持っておりませんが、これまでの感じからいうと、これ自体それなりにまとまっていたということもあるんだろうと思うんですが、そんなに早い方、特段早い方ということではないと思います。早いのは早いかなという感じはいたしますが、特段に早い方ということではないんじゃないかというふうに思います。

○小池晃君 事前相談から三カ月というのは早いんだというふうにはっきり認められました。
 さらに、この調査報告、もう本当に重大な問題だと思っているのは、KSD豊明会という言葉は一言も出てこないんです、この調査報告には。KSDからKSD豊明会に流れた補助金が政界工作の原資になっているんではないか、このことが一番問われた問題なわけですよ。それなのにKSD豊明会という言葉すら出てこない。KSDの事務所の同じフロアにKSD豊明会があるわけですから、こんなのすぐに調べればわかるんですよ。それがこの調査報告には一言も出てこない。
 大臣、予算委員会で私が質問して、豊明会の政治献金について、会員負担金等の自前財源から行われているというKSDの説明については疑いを持たざるを得ないというふうにおっしゃって、きょうも同様の答弁をされています。自前財源じゃないということは掛金が使われたと。これは要するに中小企業の皆さんが納めた掛金が政界工作に使われたと、この問題がこのKSDの疑獄の最大の中心的な問題じゃないですか。その問題についてなぜこの調査報告では一言も触れていないのか、御説明願いたい。

○国務大臣(坂口力君) そこは少し結論を私は急いでおみえになると思うんですが、確かに今までKSD側は自前財源でやっていたということを旧労働省に報告していたわけであります。だから、今まではKSDはそういうことを言っておりますということを国会でも報告していた。
 しかし、それ以後いろいろのデータ等が出てまいりまして、しかしそれはそう言い切れない、むしろその自前の方はちゃんとそれで処理をされているという経理の内容の文書等があったりして、そうすると、その自前のところはちゃんとそれで使われているということになれば、それは一体どこから出たのかということになりましたから疑いを持たざるを得ないということを申し上げたわけであります。だからといって、だからそこがすべて補助金から出たというふうに断定できるかどうかといえば、それはやはり今地検に持っていかれております書類等を一遍正確に見ないことには言えない話でありまして、だから私は、その疑いは持ちますけれども、それ以上のことまで断定的に言うことはできないということを言っているわけであります。

○小池晃君 立てかえ党費にしてもわいろにしても億という単位で出ているんですから、それがその自前財源から出ないというのはこれはもう疑いようのない事実なんですよ。すべてが補助金かどうかわからないけれども、自前財源でこの財源を賄うことができないというのはこれはもうだれが見たって事実なんですよ。だから、今まではその自前財源で見ていたという非常に無理のある説明をしていたのを、その無理が通用しなくなったんじゃないですか。
 今の問題がこの調査報告に何で出てこないのかということを私は言っているんです。このKSDの資金というのはこれは中小企業の掛金だと。これがKSD豊明会に流れ、政界工作に使われていたんじゃないか。これが国民が一番怒っているところなわけです。そのことについて全く触れていないような調査報告では、これは国民の疑問にも答えることできないじゃないかと私は申し上げている。
 私、架空党員の立てかえ党費がKSDから出されたというのはもう国民周知の事実だと思いますよ。だって、先ほど大臣も言ったじゃないですか、KSDの新理事長は何と言っているかというと、返還を求めたいけれども法律上いろいろと難しい問題もあるというふうに言ったというふうにおっしゃいました。返還を求めたいということは、これはKSDが立てかえたということは認めているんですよ、そこまでは。返還はなかなか法律的には難しいけれども、返還を求めるということはKSDが出したということをみずから認めているということじゃないですか。これはもう国民周知の事実なんです。
 大臣、どうですか、これは国民の納得を得られると思いますか。そのことについて一言も触れないような調査報告でどうして国民の納得が得られるんですか。

○国務大臣(坂口力君) 我々として省内で調査のできるところとできないところがございます。できるところにつきましてはそこへお出しをしたわけでありますが、しかしこのKSDにかかわりますところは今地検の手にゆだねられているわけでありますから、そこは我々で明快にそこに御報告を申し上げることができないわけであります。そこを示すように言われるわけでありますが、それはそうはなかなかいかないというのが私たちの考え方であります。
 先日、中井新理事長がお見えになりましていろいろお聞きをいたしましたけれども、新理事長としてもそこのところは明確に把握をしておみえになるわけではないわけであります。小池議員からいろいろ質問のありましたことに関連もいたしまして私もいろいろなことをお聞きいたしました。しかし、現在まだ就任をされて一週間あるいは十日というような日程でありますから十分に把握できないということもございますけれども、それだけではなくて、やはりいろいろの内部の人たちから聞き取りをしているけれども、そこは断定的にどうこうと言うことはできない状況にあるということがその御発言の中からもわかったわけでありまして、我々もそこを断定的に物を言うことはできないというふうに思っております。

○小池晃君 政策決定過程に政治家の関与が影響がなかったということは断定的に言いながら、一方で、こういう問題は断定できない、わからない、資料がないと。これで国民は納得するかと、私はそう言っているんですよ。
 そういう問題についてどこまで調査して、ここから先は今検察の調査中だからわからない、捜査中だからわからないんだということが明確に仕分けして出されているんだったらまだしも、全く触れられていないんだから、肝心の金の流れの部分については完全に疑惑にふたをしているというふうにとられたって仕方ないじゃないですか、この調査報告。
 私、さらに問題にしたいのは、これは予算委員会で党費立てかえ問題を具体的な話も取り上げて大臣にお話ししたと思います。KSD豊明会の本部の経理部長が立てかえ党費の原資は本部の事務局費だと明言したと。青柳さんという方です。ここがやはり何億ものお金を動かせるとすればKSD豊明会の本部事務局費しかないというふうに経理部長は言っているんです、KSDの経理部長。
 このKSD豊明会の事務局費を動かしていたのはだれかというと、河野道明氏だと。この河野道明という人はKSD豊明会の経理部長をやっている、豊政連の会計責任者をやっている、そしておまけに自民党の東京と埼玉と千葉と神奈川の豊明支部の会計事務をやっているんです。もう完璧に全部を握っている。その上おまけにKSDの職員なんです。KSDの職員だということは、これは公益法人であるKSDの職員、厚生省の管轄下にあるわけですから、監督下にあるわけですから、これは今回の調査で当然話を聞いている対象だと思うんですが、いかがですか、話聞いていますね。

○政府参考人(戸苅利和君) 今回の調査につきましては先ほど大臣も答弁申し上げているとおりでありまして、要は、厚生労働省に保有されている資料、それから私どもとして的確に調査のできる相手方、そういったものがあるものについてきちんと調査をしようということで行ったものでありまして、今お話しの豊明会は、これも御存じのとおり労働省の所管の公益法人でありませんで、任意団体なわけであります。KSDが労働省所管の公益法人であるということで、KSDから豊明会への補助金というつながりのもとで豊明会についてのいろいろな資料を入手し、いろいろな調査をしてきたというのがこれまでの労働基準局の対応であったわけであります。
 今御質問のような、正直言ってさまざまな書類を入手し、それでチェックをしないととても事実を究明できないような問題、これにつきましては、これも大臣の答弁の繰り返しになりますけれども、ほとんどが捜査当局に行ってしまっている。それから、我々は強制調査権限を特に任意団体に対して持っているわけではございません。そういったもろもろの制約を考えますと、現段階で今御質問のような事項について的確な調査をし、正確な結果を出すというのは、これはもう至難のわざだろうというふうに私ども考えたわけでございまして、そういった意味で、調査結果の前文に、KSDについては率直に反省すべきものである、今後厳正に指導監督をしていくんだということにとどめまして、厚生労働省としてできる技能実習制度、ものつくり大学、これにかかわります政策決定の経緯について取りまとめたということでございます。

○小池晃君 今のは全然説明になっていないですよ。私は一を調べろと言ったのに、あなたは百ができないと言っているのと同じですよ。私はそんな無理なことを言っていないじゃないですか。すべてを調べろと言っているんじゃないですよ。KSD職員である河野道明氏の話を聞いたのかと。別に豊明会の職員の話を聞けと言っているんじゃないんですよ。KSDの職員なんですから、あなた方の公益法人としての監督下にあるんでしょうと。その人が豊明会へのお金の流れの核心部分を握っている可能性が高いんだから、何でその人の話を聞けないんですかと聞いているのに一切答えてないじゃないですか。もう一回答えてください。

○国務大臣(坂口力君) その青柳何がしという人の名前を先日も挙げられました。それで、そういう人がおりますかということを聞きましたら、以前におったようですけれども現在はKSDと対立関係にあると。その対立関係にあるような人の意見だけではそれはぐあいが悪いでしょうと、こういう話でございました。
 それで、小池さんのところがお調べになる場合には、一人のだれかのお話をお聞きになって、こう言っているじゃないかと、これで済むかもしれません。しかし、我々の方は、一人二人の人がこうです、ああですというふうに言いましても、人はそれぞれ違うことを言う場合もあるわけでありますから、我々はそうではなくて、そこはきちんとしたやはり書類を調べなければ本当にこうだああだと言うことはできないということでございまして、だからそこはできない。
 それともう一つは、河野さんという人だったですか、この前言われましたのは。河野さんのことにつきましても、今現在捜査中であって、いろいろのことを内部の人から聞くことはやめてほしいと、この間、新理事長からも話がございました。とにかく、すべてのことは私が整理をして私が窓口になってお話し合いに応じさせていただきますと、こういうことでございました。

○小池晃君 調べて結果がどうこうということを言っているんじゃないんです。調べるぐらいやったのかというふうに私は言っていて、それに対して調べていないわけですから、調べてから物を言ってくださいよ。
 あんたたちは一人しか聞いていないから、ああ、それじゃ信用できないなんと言う資格はないですよ、一人も調べておかないで。我々野党なんですから、それはそんなあなた方みたいに情報そのものを握っていたり、情報の渦中にいるわけじゃないんですから。そういう中で一人一人に話を聞く努力をして、それでこれだけの材料が上がってきているんですよ。
 それなのに、あなた方は情報を握っている、あるいは情報に一番近い立場にいるのにもかかわらず、話を聞こうともしない、聞きにも行っていない。これで国民に疑惑は解明しました、この調査報告で納得してくださいと言ったって、国民がこれで、はい、そうですか、よくやりましたと言うわけないんですよ。
 さらに、私が指摘した問題、もう一つ聞きたいと思うんですけれども、三月九日の予算委員会で古関忠男が小山議員の私設秘書だったという事実を明らかにしましたけれども、それについて調査結果はどうなっていますか。

○政府参考人(日比徹君) 先般そういうお話が出ました。それで、御指摘の点につきまして参議院の事務局へ照会しましたところ、平成七年九月二十一日から平成十三年二月十五日までの間、古関忠男前KSD理事長に対し、小山孝雄前参議院議員の私設秘書として参議院出入記章が交付されていたとの回答を得たところでございます。

○小池晃君 小山議員当選直後から逮捕された後まで私設秘書の登録をされていたと。
 大臣、これを私、予算委員会で聞いたときには、事実であれば異常だとおっしゃいましたけれども、今これを聞いてどう思われますか。

○国務大臣(坂口力君) 私設秘書というのはいろいろな人が入っておりますからよくわかりませんが、この御指摘になりましたことは事実のようでございます。

○小池晃君 公益法人の理事長が自民党議員の私設秘書をやっていたということが、公益法人のあり方からして、大臣、公益法人を監督する厚生省の長としてこの事態をどうお考えですかと聞いている。

○国務大臣(坂口力君) その私設秘書というのがどういう形なのかということはよくわかりませんが、出入りをするためになっていたということであるならば、これは出入りがどんな人でもできるというふうになるのは、それはいいことじゃないというふうに私も思います。

○小池晃君 通行証をもらっただけの話じゃないんですよ。出入りができるだけの問題じゃないじゃないですか。私は小山の秘書だというふうに言って回っていたとしたら大変なことじゃないですか。そういう認識も持てないような大臣に私はこの問題の徹底解明なんて本当にできないと思いますよ。今の答弁を聞いて本当にあきれました。

 このKSDの問題、このKSD疑獄で問われているのは、これは中小企業の苦労して納めた掛金が自民党の政治家に渡ったということでありますけれども、きょうあと残った時間、こうしたことがKSDだけに限ったことなのかどうかということを私は議論したいと思うんです。
 朝日新聞の三月二日付に、自民党中堅議員のコメントとしてこんなことが出ている。例えば医師会のような伝統的な自民党支持団体から政治献金を受けて、医師会の意に沿う国会活動をしても汚職にはならない。村上氏らがやったこととどう違うのか。
 政官業の癒着というのはKSDだけじゃないんじゃないか。きょうは、医師会の問題で私は取り上げたいと思う。資料をちょっと配付していただきたいと思います。
   〔資料配付〕

○小池晃君 今お配りしている資料、一枚目にあるのが、これは富山県の医師会の正式の会報「医報とやま」というものからコピーをさせていただきました。これは昨年七月十五日付の「医報とやま」であります。
 これは会計報告が出ているんですね、特別会費会計収支報告。これを見ると特別会費というのを集めているんですね、会員から。一年間で二千八百二十四万円、特別会費を集めている。これは人数で見ると、横に書いてありますけれども、千四百二十三人分なんです、前期分で。一方、支出の項を見ていただきたい。事業費として、十一年度自由民主党党費九百五万二千円。これは、下にある自民党の支部の収支決算報告書まで驚くべきことに医師会の会報に載っているんですよ。これを見て私は目を疑いましたよ、本当に。これが医師会の会報に載っているんです。これを見ると二千二百六十三人分の党費が入っている。だから、千四百二十三人分の医師会費を集めて二千二百六十三人分の党費が払われているんですよ。大変なことじゃないですか。
 補助金もこれは当然受けている団体ですよ、県医師会ですから。そこから架空党費の疑いが極めて濃厚な党費が堂々と支出をされている。一方、受け取った側の自由民主党の富山県医療会支部の収支決算報告を見ると、寄附金として六百万円、政治団体である富山県医師連盟に寄附されている。
 これはKSDと全く同じじゃないですか。公益法人から政治団体への献金。しかも、医師会は補助金を受けているんですよ、KSDは補助金を受けていないけれども。さらに、明らかな架空党員でしょう、これは。まるでKSDと同じ構造じゃないですか。
 厚生労働大臣、こういう実態を見て、厚生行政、医療行政の中心を担っている医師会がこういうことをやっている、こうした事態をどうお考えになりますか。

○政府参考人(伊藤雅治君) 御指摘の富山県医師会の事例でございますが、この件につきましては、本年三月に県医師連盟の規約を改正いたしまして、県医師連盟分の会費は県医師連盟に直接納入するように改めまして、県医師会より県医師連盟への寄附は行われなくなったと聞いているところでございます。
 今後、このような事例が生じないよう県に指導監督の徹底を要請してまいりたいと考えております。

○小池晃君 何でそういうふうに変えたかというと、これは我が党の、日本共産党の富山県委員会が富山県に申し入れたんですよ、こういう事態があると。それで変えたんです。
 大臣、こういう実態が、我が党が指摘しなければ明らかにならなかったこういう実態があるんですよ。こういう医師会の架空党費あるいは政治団体への献金が堂々と行われているような実態をどう考えるか、大臣、お答えいただきたい。

○国務大臣(坂口力君) 今初めて私お聞きする話でございますし、実態がどうであったのかということを十分に把握いたしておりません。
 これは、あなたは何度か見たかもわかりませんけれども、私は初めて見るわけですから、これがどういうふうかというふうに先ほどから見ているわけですが、富山県の医師会としていわゆる党費を支出していると、こういうことでしょうか。

○小池晃君 そのとおり。

○国務大臣(坂口力君) それは当然、医師連盟といいますか、政治連盟というものとを両方ともつくっておみえになりますから、政治連盟としてやはり処理をされるべきものと思います。

○小池晃君 医師連盟の収支報告はまた別個にあるんですよ。これは医師会の特別会費の会計収支なんです。だから、医師会の特別会費から党費が払われているんです。驚くべき実態ですよ。
 さらに、私、御紹介したいのは、これは富山だけじゃない、広島県の医師会報。これは二枚目をめくっていただきたい。これ、ことし二月五日付です。これも政治連盟じゃないですよ、医師会の会報です。医師会の会報に医師会長名で、まあ政治連盟の委員長の肩書もつけてありますけれども、医師会の会長の名前で「参議院選挙対策のための特別会費」、お願いが出ている。
 中を見ると、読みませんけれども、参議院の自民党の議員の名前も出ている。そして、驚くべきことに、最後の行を見ていただきたい。「尚、平成十三年二月分診療報酬より各一万円引き去りで納入させて頂きますことをお許し願います。」、大変なことじゃないでしょうか。
 この医師会の速報では、県医師会長はこう言っているんです。特別会費の徴収についてみずからこう言っている。「大変強圧的な手法で、個人の思想信条を踏みにじる方策であると、不平不満やご批判も多かろうと存じますが、今回の選挙は天下分け目の闘いでもあります。」、こんなことを書いているんですよ、堂々と。
 広島県の医師会は今大変な騒ぎになっているんです、これで、会員から苦情が殺到して。現場のお医者さんにしてみれば、自民党の医療政策で大変苦労を強いられている中で、一万円診療報酬から天引きで政治資金を払わせてもらう、怒るの当然じゃないですか。
 厚生労働大臣、これは自民党の先生だけですよ、公明党の先生は一方も名前を書いていない。選挙支援のための資金を、会員の意思を確認することもなく、しかも診療報酬から天引きをする。医師会長みずからが強圧的なやり方だと。こんなやり方、許されると思いますか。

○政府参考人(伊藤雅治君) 広島県の事例についてでございますが、今、先生が配付されましたこの資料でございますが、これは広島県医師連盟の会費としての納入依頼が行われたと承知しておりますが、ここに県医師会が県医師連盟として活動をしているというような誤解を与えるような文書となっております。具体的には、県医師会長名と広島県医師連盟委員長が連名になっているという、これは誤解を与えるような文書となっており、好ましくないものと考えられると思います。
 県に対しまして指導監督の徹底を要請してまいりたいと考えておりますし、また私どもの聞いているところによりますと、本年二月十四日に、この広島県医師連盟の執行委員長から各会員に対しまして訂正とおわびの文書が出されていると承知しているわけでございます。
 また、診療報酬の引き落としにつきましては、本人の了解なく個人の口座から引き落としを行うことは問題があると考えておりますが、既にこのような取り扱いはなされていないものと承知しているわけでございます。

○小池晃君 広島県、やめていないんですよ。二月十四日の通達、私もちゃんと見ています。医師会長名で出ているんですよ、これも。とりあえず医師会から立てかえるようにしました、そういう通達ですよ。やめるなんて一言も言っていないんですよ。
 あなた、診療報酬からの天引きが何か余り例がないようなことを言うけれども、広島だけじゃないです。私が入手した資料でも、富山市の医師会、福岡県の医師会、いろんなところでもう診療報酬から天引きという文書が出ているんです。
 こういうやり方が通用していることを大臣はどう思うか。医師会長の名前は削る云々というのはありましたけれども、医師会の会報ですよ。医師会の正式の会報で、明らかに特定の政党の特定の政治家の支援を呼びかけるということが医師会長名で行われて、その費用が診療報酬から天引きされるというやり方を大臣はどう思われるか。──大臣に聞いているんです。

○政府参考人(伊藤雅治君) 若干、診療報酬からの天引きにつきまして、法的な観点からの整理を申し上げさせていただきたいと思います。

○小池晃君 そんなことを聞いていませんよ。

○政府参考人(伊藤雅治君) 医療機関が有する診療報酬債権は民法上の債権であることから、支払基金等が医療機関に支払う診療報酬から天引きして第三者に直接支払うことにつきましては、医療機関の同意があれば適法だというふうに私どもとしては解釈しているわけでございます。

○小池晃君 私、そんなことを聞いているんじゃないんです。政治家として大臣に、こういうあり方は許されるのかと、そういうことを聞いているんです。大臣、答えてください。

○国務大臣(坂口力君) ここはやはり、政治連盟から、この政治活動というのは政治連盟で行うべきものだというふうに思います。

○小池晃君 医師会がやるべきことじゃないんですよ、こんなことは。
 何でこんなふうになっているのか。現場ではこんな声が出ているんです。
 福島県の歯科医師会報を見ました。これによれば、各地域とも会員感情としては自民党を応援できない、燃えない、とても選挙を戦える状況ではない。また、地域会長自身も会員に積極的に選挙を応援するよう言えない状態にあるが、県の会長が中央に行って発言しづらい、または行動しづらくなる等、肩身の狭い思いをさせるわけにいかない。県の会長のためならやる。同様な意見が相次いだ。これ、福島県の歯科医師会の会報に出ている。これ、現場の率直な声です。もうみんな大変だけれども、嫌々ながらやらされているんだ。
 ことしの一月二十六日に東京で開かれた全国医師総決起大会、ここで自民党の青木幹雄参議院会長、参議院幹事長はこう発言しているんです。
 何と言っているかというと、今回は氏名を記入していただく選挙方法となった。医師会代表が本当に何番になるのか国民の前で試験してもらうのが今回の選挙である。非拘束の議論をしたとき、こんな議論なかったですよ。日本医師会の力が評価される、皆様のメンツのかかった選挙である。こんなふうに現場の医師会員、お医者さんたちをあおるだけあおっていながら、こういうことを無理やりやらせている。
 さらにもう一枚、次のページをめくっていただきたいんですけれども、これは石川県の例です。石川県、実物はこれですけれども、昨年九月に石川県内の医師会員に配られた自由民主党入党申込票です。これを見ていただくと、「入党申込票」、「氏名」、「区分」というのは「会員 家族 従業員」と、自民党の党員というのは会員とか従業員とかと言うんですかね。大変おかしな分類だと思うんですよ。そして、「送付先」を見ると石川県医師会総務課だと。公益法人である医師会が自由民主党入党申込票を配って、そしてこの送り先を石川県医師会総務課にしている。医師会にしていると。白昼堂々自民党の党員集めをやっている。
 大臣、どうですか。これはどうお考えですか。これは大臣にです。政治家として聞いているんです、私。細かい手続のことを聞いているんじゃないんです。大臣、答えてください。

○政府参考人(伊藤雅治君) 石川県の事例についてでございますが、この文書自体は政治団体である連盟から出されているものでございますが、県医師会が自民党の活動の支援を行っているような誤解を与えるものであり、望ましくないと考えているところでございます。県に対しまして指導監督の徹底を要請してまいりたいと思っております。

○小池晃君 大臣、先ほどの私の質問に答えていただきたい。

○国務大臣(坂口力君) 別に文書があるとすれば、その別の文書はありませんから、この一枚こっきりのこれだけしかありませんのでわかりにくいんですが、下に書いてあります、やはりここも医師会総務課と書いてありますから、ここはやはり政治連盟と区分を明確にすべきものだというふうに思います。

○小池晃君 別の文書は政治連盟で「お願い」として出されているんですけれども、何かよく御存じのようで。そういうものとセットで出されてはいても、申込書のあて先は医師会になっているんですよ。これはどう見たって医師会がやっているとしかとらえられないじゃないですか。おまけに、区分は会員、家族、従業員ですよ。医師会の区分じゃないですか。こういうことがやられている。
 これは、医療関係の厚生省の管轄下にある問題というのは、これは医師会の問題をきょう取り上げましたけれども、これだけじゃないんです。職能分野、ほかの分野でもいろいろなことをやっている。
 例えば看護婦はどうか。秋田県の看護協会は、後援会名簿の作成依頼を県下の看護婦に発送したんです。市民団体の申し出に対して秋田県は、公益法人としての自覚に欠けるものであり、猛省を促したい、これは重点指導すると約束した。
 それから歯科医師会。この代表候補についても、これは歯科医師会の方じゃないですけれども、技工士会の機関誌を見ると、歯科技工士会の機関誌の「日本歯技」の二月号に出ているんです。「中原候補の推薦決定」というタイトルで、コラムなんです。これを紹介すると、昨年十一月に自民党幹事長も出席した日本歯科技工士連盟の会合が開かれたと。そこで自民党幹事長は何と言っているか。「歯科技工士の技術料の確保や身分保障は当然のこと。来るべき予算編成でも諸氏の機微にふれたもてなしをしたいとのあいさつに大きな期待を抱いた。」。「信義を重んずる歯科技工士会として、組織決定を踏まえ全力で選挙に臨み中原候補の「必勝」を期さねばならない。」と。
 これはまさに利益誘導選挙じゃないですか。これは締めつけ、票をかすめ取る、こういうやり方をまさにいろんな分野で自由民主党はやってきた。それはまさに医師会であり、看護婦の分野でもあり、歯科医師の問題でもあり、KSDと同じような構造がもういろんな分野に私は広がっているんじゃないかというふうに思わざるを得ないんですよ。こういうやり方を日本の政治の二十一世紀も続けさせるわけに私は到底いかない。
 厚生労働大臣、こういう各分野で行われている疑いのあるこういう公益法人を使った締めつけ、利益誘導、こういうものはあってはならないというふうに考えるんですが、大臣のお考えを聞かせていただきたい。

○国務大臣(坂口力君) 公益法人は公益法人としての節度を持っておやりをいただくということだろうと思います。

○小池晃君 きょうはKSDの問題の議論であったわけですけれども、やはり厚生労働省の監督下にある団体でさまざまなことをやられている可能性がある。きょうのKSDの問題の処理の仕方を見ても、私、本当にこの問題にメスを入れるという姿勢が見られないし、KSD以外の分野でも大変問題は大きいのではないか。
 引き続きこの問題は、選挙も近いわけですけれども、我々としては徹底的に監視を強めていきたいという決意を表明して、質問を終わります。

 

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