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日本共産党参議院議員・医師 小池晃 アーカイブ[〜2008] 日本共産党参議院議員・医師 小池晃 アーカイブ[〜2008] 日本共産党参議院議員・医師 小池晃 アーカイブ[〜2008]

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153-参-厚生労働委員会
2001年12月4日

○小池晃君 日本共産党の小池晃です。
 最初に、雇用情勢全般について大臣にお伺いをしたいんですけれども、十月の完全失業率が過去最悪の九月からさらに〇・一ポイントふえて五・四%と。新規求職者のうち事業主都合による離職が前年同月より四六・五%もふえてリストラ離職が急増をしております。
 完全失業者の数は一年前の十月よりも三十八万人増加して三百五十二万人、働いている人、就業者数は百三万人減っている。減少幅が百万人を超えたのはオイルショック以来だと、二十七年ぶりだというふうに聞いております。
 小泉総理はこの問題で、記者会見で記者団に対して、構造改革を進めていく中で一時的に失業率は上がると答えている。当然だというような言い方をしているんですね。私はこんなふうに済ませられる状況じゃないと思うんです。
 厚労大臣は雇用を直接担当する立場ということでこの問題をどういうふうに認識されているのか、まずお伺いをしたいと思います。

○国務大臣(坂口力君) 今、御指摘いただきましたとおり、十月の雇用統計は非常に厳しい内容でございました。完全失業率が五・四%、そして有効求人倍率が〇・五五倍ということになりました。
 その中身につきましても、今御指摘をいただきましたとおり、非自発的失業者というのが非常に顕著に多くなってきているということがございます。また、新規求人者というのもこれまた減少をいたしておりまして、前年同月比で見ますと、サービス業がほんのわずかふえているということだけでございまして、その他の分野はほとんどが減少をしているという状況でございますから、質的にも非常に大変な状況を迎えているというふうに思っている次第でございます。
 こうした状況を抱えまして、厚生労働を担当させていただいている者といたしましては、やはり雇用というものをより重視をしていかなければならない、全体の政策の中における雇用の位置づけというものを、もう少し見方をレベルアップすると申しますか、雇用に対する考え方を高めていかなければならないと私は思っている次第でございます。
 したがいまして、閣議等におきましても、現状を認識をいたしましたときに、ただ出口の雇用対策だけでは追いつきがたい状況になりつつあるということを認識していただきたいということを率直に私の意見として申し述べたところでございます。

○小池晃君 出口の問題だけでは足りないという認識であれば、私は本当にやるべきことをやられていないと思うんです。
 我々、これまでも主張してきたように、今、大リストラを進めている例えばNTTにしても大手電機にしても、これは命運がかかってつぶれそうだというような企業じゃないわけです。低成長の中でどうやって当面の利益を保障するかというような企業なんですね。そのためにリストラしていると。私は、こうした企業の、本来大企業が持っている社会的責任を放棄していわば全体の流れに便乗してどんどんリストラをしていく、こういったことにきちっと規制をかけるというようなことはやはり政府として何ら手を打っていないんじゃないだろうかと。
 今度の雇用対策を見ても、私、そういう点では非常に不足が大きい、余りにも不備だと思うんです。言ってみれば、今どんどんどんどん火事が起こっているのに、しかも火事といっても放火ですよ、言ってみればね。勝手に大企業が火をつけている、そういうときに消防車をどうやってふやすかというような程度の対策にしかなっていないんじゃないかと。消防車をふやすことは大切なんだけれども、やはり根本的な、どんどんどんどん企業がわがままにリストラ進めているような現状にこそ厚生労働省としてきちっと規制をするという方向に切り込むということが今こそ求められているんじゃないですか。どうでしょうか。

○国務大臣(坂口力君) すべての規制を改革していこうというときでありますから、そういう次から次へとまた新しい規制をしていくということは私は好ましい方法ではないというふうに思います。やはり、それだけの社会的責任を持って企業は対応していかなければなりません。そういう企業をどう育成するかということに今かかっていると思います。
 これから世界の中で競争し、そして生き残っていくというためには、ただ単に雇用者を少なくする、そうしたことだけがテーマになっては決していけない。やはり社会の中で、世界の中で、この日本の企業が生き残っていきますためにはどういうことが一番大事なのか、そのことを大きい企業であればあるほど考えて行動をしていただかなければならない。決してそれは規制をし押しつける問題ではなくて、みずからそこで選択をし、そしてみずから世界の大企業としての貫禄を示していただくことが今大事であると思っている次第でございます。

○小池晃君 みずからやれと言ったって、そんなふうにならない現状があるわけですよ。だからこそ、その雇用を守る立場の責任ある厚生労働省としてきっちり大企業にも物を言うべきだと、私はそういうふうに申し上げているんです。
 その点で、やはり今の政策というのは、本当にこれ以上の失業者を出さない、一方で大もうけを出しながら労働者をリストラするような大企業の身勝手をやめさせる、こういう根本的な部分にメスを入れない雇用対策では私は失業者はますますふえるばかりだと思うんです。そういう中で、一方で同時に既に失業している人たちに対して生活を保障しながら再就職の援助をする、これも非常に深刻に求められているわけであります。
 きょう、ちょっと前半、新たな緊急地域雇用特別交付金の創設についてお聞きをしたいんですけれども、この交付金事業、これは九九年に創設をされて、二〇〇〇年度までに二十一万人の雇用を生み出したと。改善して継続すべしという声が関係団体からも寄せられております。地方公共団体あるいは労働組合からも寄せられております。
 私、この問題、四月十二日の当委員会で事業継続をすべきではないかというふうに申し上げた際に大臣は、雇用動向を見てどういう対策が一番適切かこれからの検討になる、過去のよい例も参考にしながら新しい対策がつくられるだろうと、そう答弁されました。そして、今回この新しい交付金事業の創設に至っているということだと思うんです。
 最初に、この新たな交付金を創設した目的についてお伺いをしたいと思います。

○政府参考人(澤田陽太郎君) 新しい交付金につきましては、構造改革の集中調整期間におきます雇用問題への対応を期するということでいろいろな対策をとっておりますが、その一つとして、臨時応急の措置として、地方公共団体が地域の実情に応じて創意工夫に基づく事業を実施し、臨時的な雇用就業機会を創出するということを目的にしております。

○小池晃君 具体的にさらにお聞きしたいんですけれども、この事業の実施要綱はいつ発表されることになるのかということと、そして各自治体で実際にこの事業が開始されるのは一体いつごろからになるのか、お聞きしたいと思います。

○政府参考人(澤田陽太郎君) 新事業の実施要綱につきましては、現在、最終の詰めをしております。
 各自治体におきましては、十一月から十二月にかけて地方の議会がございますので、この議会で交付金を受けて基金をつくるための条例を提案し可決していただくという手続が要りますので、現在その準備を進めてもらっていただいております。
 実際、交付金の申請を都道府県からしていただくわけですが、その際には事業計画を同時期に出していただく。事業計画を交付要綱の要件等に合っているかどうかを確認させていただいた上で交付する金額を決定するということを十二月中にいたしたいと、こう思っております。

○小池晃君 ということは、一月中に手続は開始できるということですね。

○政府参考人(澤田陽太郎君)
 各自治体におきましては、この交付申請の時期について多少ばらつきがあろうかと思いますが、総じて年明け一月から二月にかけて事業がスタートするというふうに考えております。

○小池晃君 これを進める上で最も重要なのは失業者の新規雇用にどれだけ結びつけるかということだと思うんです。
 現行事業でもいろいろ問題がありまして、例えば大阪ではこういう例がありました。六千万円で大企業に委託した事業で十三人雇用されたけれども、そのうち新規雇用は三人だけだったという例があります。
 そもそも、現行事業、今までやってきた事業全体でどれだけの人が働いて、そのうち本当に困っている失業者はどれだけだったか把握することが前提として必要だと思うんですね。さらに、今後失業者の雇用がきちっと確保されるための実効ある措置が必要だというふうに思うんです。その点で、新たな事業ではこの点でどのような改善を図ろうとしているのか、御説明願いたいと思います。

○政府参考人(澤田陽太郎君) 新しい交付金につきましては、現行の交付金の今御指摘ありましたようなマイナスの実態等々も踏まえまして、幾つかの点を考えております。
 一つは都道府県、市町村も含めた都道府県の計画全体で事業費に占める人件費割合をおおむね八割以上、そして都道府県計画全体で事業に従事する全労働者に占める新規雇用の失業者の割合を四分の三以上にすること。
 そして、計画を策定段階で当然国の方にお出しいただいて私どもが確認するわけですが、計画の策定後、各地方自治体において、都道府県は都道府県、市町村は市町村でそれを公表すると。
 それから、計画を実施した後の結果報告を私どももいただきますが、それも地方自治体において公表すると。結果報告をいただくスタイルでありますが、現行事業の結果報告を求めているスタイルよりは多少、多少と申しますかかなりと申しますか、詳しい情報をいただこうと思っておりまして、例えばその事業で全労働者が何人ついたか、これは当然でありますが、その中で実際に新規雇用された失業者の方々は何人か、そしてその事業についた労働者の雇用期間はどうであったか、こういうことを報告事項として求めようと考えております。

○小池晃君 さらに、失業者の雇い入れを具体的にどのようにして担保するのかということが問題であります。失業者であるかどうかということをどういうふうに確認をするのか。これは当然要綱にも盛り込むべきだというふうに思うんですけれども、その点も含めてお願いします。

○政府参考人(澤田陽太郎君) 交付金事業に新たに雇用される方のうち失業者を確認しなければなりませんが、今考えておりますのは、一つは、雇用保険の受給を終了した失業者の方につきましては、雇用保険受給資格者証という証書の裏にこの人は支給終了しましたという判こを押すことになっていますので、それで確認ができると、一点であります。それから、自営廃業者の方々につきましては、廃業届というものが地方自治体の方に届け出る形でもらえますので、それで確認ができるということ。ほかにも、本人に失業者かどうかということを、例えば委託事業を受けた事業主に対しましては、委託契約の中で委託を受けた事業主として雇おうとする方について失業者であるかどうかを確認をとることということを契約事項として入れてもらうというようなことを考えております。

○小池晃君 そのことは要綱に盛り込むということでよろしいんですね。

○政府参考人(澤田陽太郎君) はい、そのようにしたいと思っております。

○小池晃君 さらに、昨年、労働省が出した通達で公共職安との連携が強調されております。やはり、より多くの失業者が仕事につけるようにするためにも管轄の公共職安で求人の申し込みを行うというようなことがますます重要になっているんだと思うんですが、いかがですか。

○政府参考人(澤田陽太郎君) 当該事業を実施する地域を管轄する公共職業安定所への求人申し込みを事業を受けた事業主がするということも一つの大事な方法だろうと思います。
 ただ、この際、募集方法はなるべく多くていいのではないかという考えを持っておりまして、例えば自治体が広報紙で県民に対し広報する、広報紙といいますか県報といいますか、広報というものがございますし、それから事業を受けた事業者自身が求人広告を打つとか、いろいろなやり方があろうと思います。
 ただし、委員御指摘のように、この事業を実施するに当たっては雇用創出効果が高くなるということが一つの大きな要件でございますので、そうした観点からは都道府県、事業実施主体、事業を受けた方、安定所間の連携をよくしていかなければならないと、こう思っております。

○小池晃君 いろんな方法で周知徹底することはもちろん必要だと思うんですけれども、失業者が職安に行ったらばその県内のすべての交付金事業についてどんな内容になっているのかということが一目瞭然でわかるようにするということが私は大切だと思うんですね。
 個別の求人票を見るだけではなかなか自分に合った仕事ってないわけですから、何々県の事業はこれだけあるんだという全体像がわかる、やっぱり職安に行ったら全部わかるというふうにすることが必要ではないかというふうに思っているんですが、この点ではどういうふうに考えておられますか。

○政府参考人(澤田陽太郎君) その点はなかなか難しい問題がございます。端的に申しますと、すべての情報と申しますか求人を安定所の方に出すといいますか集約するということについて、ある意味非常に規制が強いという御意見もあり得るかと思いますので、安定所としては、例えば都道府県と都道府県労働局の間で事業の計画段階、策定段階でよく連携をとっておりますので、都道府県の事業計画の情報を労働局経由で安定所の方に蓄積するということは当然できるでしょうが、そのほかにも、私どもが考えておりますのは、都道府県あるいは市町村にこの事業の担当窓口を明確に決めていただく、その窓口の方は県民、住民から問い合わせがあればこの事業についてはこういうアクセスの方法がありますということをちゃんと広報するあるいはお伝えするということもあわせてやっていくことが大事だろうと、こう考えております。

○小池晃君 広報の仕方については、例えばこれは北海道が北海道新聞に出しているんですね。道が行う四十事業全部を紹介しているというような例もあります。ぜひこういういろんな手段で、本当にどういう事業をやっているか、失業者に事業全体を広く知らせるということが私は大切だと。
 その点でのこういう費用の財政的な保障はどうなっているんでしょうか。

○政府参考人(澤田陽太郎君) 交付金事業の広報、周知に必要な経費はこの交付金事業の中でいわば附帯事業費として認めておりまして、財源はその交付金を使っていいということにしたいと思っております。

○小池晃君 さらに、委託の対象なんですけれども、これは民間企業、シルバー人材センター等となっていますけれども、この「等」にはNPOあるいは失業者を組織した団体、こういったものは含まれるんでしょうか。

○政府参考人(澤田陽太郎君) 委託先につきましては、地方公共団体が契約を結ぶことになりますが、私どもが今典型的に考えておりますのは、いわば普通の企業、それからNPO、シルバー人材センター等々を考えております。
 いずれにいたしましても、事業を的確に実施する能力、体制がある方を委託事業の相手とすることが当然のことでありますので、そうした観点から御指摘のNPOや失業者が組織する団体についてもそうした条件を満たせば都道府県が委託先とすることは十分あると、こう考えております。

○小池晃君 さらに、雇用期間についてお伺いしたいんですが、現行事業では六カ月未満の期間限定がありました。これは改善すべきだという声があったわけです。今度は原則六カ月未満だが事業内容等によっては一回更新できるとされておるんですが、この更新できるというのはどういう事業になるんでしょうか。

○政府参考人(澤田陽太郎君) これも要綱の中で明らかにしたいと思っておりますが、考え方として三つほど今考えております。
 一つは、児童生徒あるいは障害者等の特定の者との対人関係の中で継続的にサービスを提供するような事業であって、そこに雇用されているといいますか、就業しております失業者等の方が対象の範囲としてあるだろうと。
 それから、事業を実施する場合にどうしても管理したり企画したりする人が必要でありますが、そうした六カ月でかわっては困るような企画・管理部門等であって事業を継続するために必要不可欠な業務に携わる方、これは第二類型としてあろうかと思います。
 そのほか、これは不幸な話でありますが、重大な災害が起きてどうしても仕事の機会を失ったような方々が出た場合には、そういった方々も更新の対象になるのではないかということを今のところ考えております。

○小池晃君 六カ月で中断するといろいろと支障がある事業というのはいろいろ幅広くあると思うんですね、私は。そういう点では、どういう事業が該当するのかということについては、個々の事業についての判断は自治体がやっぱり最終的には行うというふうに理解してよろしいんですね。

○政府参考人(澤田陽太郎君) ただいま申し上げたような、これは例でありますが、考え方を要綱の中でお示ししたいと思っております。それに基づきまして地方公共団体が判断をするということになります。地方公共団体におきましてもなかなか判断が難しいということになりますと私どもの方に照会が上がってくる、こういうことになろうかと思います。

○小池晃君 さらに、ちょっとこれは確認なんですが、雇用保険の失業給付を受ける場合、一般にですけれども、これは必要な加入期間というのは一般被保険者で六カ月以上となっていると思うんです。交付金事業で働く人についても当然この要件を満たす場合については雇用保険に加入できるというふうに理解してよろしいんですね。

○政府参考人(澤田陽太郎君) 雇用保険に加入できるということに限って言いますと、この交付金事業に従事した方がいわゆる短時間ではないということであれば、雇用期間がどうのこうのということはなく雇用保険の適用になるということでございます。

○小池晃君 六カ月以上働けるようにしてほしいという希望は非常に強いものがあります。失業保険につなげるという点から見ても、私は六カ月以上働けるようにすべきだということを申し上げたいというふうに思います。
 その上で、新たな事業で対象事業を建設・土木事業以外というふうにしております。これは、建設労働者の今の転職の事情などを見ると、十人のうち七人前後は同じ建設業界に再就職するという実態があるわけです。
 大阪府も平成十四年度の国家予算に対する重点要望で、新たな基金事業の対象に、建設・土木事業についても公共施設の維持補修等に該当するものは対象にすることとの項目を挙げているんです。全国市長会も対象となる業務の内容の採択基準の緩和ということを要望しております。
 建設・土木業を今回も除いている理由について御説明を願いたい。

○政府参考人(澤田陽太郎君) 現行の交付金事業におきましても建設・土木事業を除くということになっております。その考え方は、建設・土木事業につきましては、各種の施策、例えば国の補助金事業だとか公共事業による予算というものが国の予算あるいは県単の予算等々でついている、あるいはつく場合が多いということであります。
 この交付金事業は既存の事業の振りかえではないということが原則になっておりますので、そうした観点からは予算措置がなされる蓋然性、現実性が高いものという意味で、公共建設・土木事業が一つ除かれているというのがあります。それからもう一つは、かつて失業対策事業で公共土木事業をやりましたが、そのときのいろいろな問題点、それを避けるという意味で除外されている。こういう二つの大きな理由があろうかと思います。新たな交付金につきましてもそうした現行の取り扱いを踏襲することにいたしております。

○小池晃君 一般に、近年の巨大プロジェクト中心の公共事業というのは、これは非常に雇用創出効果が低いというふうに言われております。
 一方で、こういう試算もあるんですね。交付金事業の雇用効果と公共事業の雇用効果を比べた研究があるんです。北海道大学の椎名助教授らが行っています。これによると、北海道内の公共事業百万円当たりの雇用創出効果は十一・三人日、それに対して交付金事業では八十・八人日、かなりこちらの方が雇用創出効果が高い。
 そういう点で、交付金事業である公共事業というのは、要求にもあるように、小さな中小の事業、公共施設の修理、こういったものであれば私は雇用創出効果が高いし、公共事業に対して予算を確保されているということは、この交付金事業での土木・建設事業を排除する理由にはならないんじゃないだろうかと。むしろそういったことを本当に、小規模の生活福祉密着型の事業というのをこの交付金を使ってやっていくということに、私は積極的な意味があるんじゃないだろうかというふうに思っておりますので、ぜひこれは検討をしていただきたいと思います。
 ちょっと大臣にお伺いをしたいんですけれども、この交付金事業全体について、事業の内容は、これは地方の皆様にお任せするんだというような御答弁が午前中にもあったかと思うんですね。私、基本的には交付金の使い方ということについては、やはり地方の創意工夫といいますか、地方公共団体の裁量といいますか、そういった中で大いに生かして実施していくんだというのが基本的な考え方というふうに理解してよろしいでしょうか。

○国務大臣(坂口力君) そのように理解していただいて結構かと思います。

○小池晃君 ぜひこれを、こういう厳しい中ではあるけれども、活用するべきだと。大阪市なんかでは失業率八・九七%、大阪府は六・八七%、全国最悪であります。こうしたところでかなり自治体が頑張って、ホームレスの方々の仕事であるとか、交付金による環境美化事業などをやっているわけです。
 ぜひこれは予算を増額してもっと活用できるようにすべきだ、中身も本当に地方自治体が実情に合わせて使えるように改善をしていくべきだということを申し上げて、次に法案の中身である派遣労働、労働者派遣の上限延長の問題についてお聞きをしたいというふうに思います。
 まず最初に、労働者派遣法が同一の業務に一年を超えて労働者派遣の役務の提供を受けることを禁じている、現行の一年以上の派遣を禁じている理由は何なのか、ここをお答えいただきたい。

○国務大臣(坂口力君) 現行の派遣期間の一年の制限というのがございますが、これは派遣先が派遣元事業主を順次入れかえることなどによって同一の事業について継続して労働者派遣の役務の提供を受けることを認めるならば派遣先での常用雇用の代替が起こりかねないために、これを防止するために認められたもの、そういうふうに理解をいたしております。

○小池晃君 今言われた禁止理由については、これは今も同じことが私は言えるはずじゃないかと思うんですね。この理由が必要なくなるような環境の変化があったんだろうか。私はないと思う。何も変わっていないと思う。それなのに、なぜ派遣期間の上限を一年から三年に延長するということになったのか、ここをお伺いしたい。

○国務大臣(坂口力君) ですから、トータルとしての派遣業というものにつきましては鋭意今検討をさせていただいているところであり、そして皆さん方の御意見もお伺いをしているところでございます。そしてこれは決定をさせていただきたいというふうに思っております。
 その中で、中高年の問題は現状を見ましても非常に深刻でございまして、やはり雇用の選択肢というものを少し拡大しておく必要があるといったことで、これは特例措置として、ここに中高年の問題だけを取り上げさせていただいたわけでございます。したがいまして、全体の構造といたしましては今後議論を重ねていきたいというふうに思っている次第でございます。

○小池晃君 中高年齢者が厳しいから雇用機会を拡大するためにというふうにおっしゃる。しかし、雇用機会を拡大するというのは本当なんだろうかと。
 今回、中高年を派遣労働者として雇用する場合に一年から三年にするということで、大臣は、十一月二十八日の本会議で、中高年の方の派遣期間を一年から三年に延ばすと五万人の雇用増があると、そういう答弁をされていますけれども、一体この根拠は何なんでしょうか。

○政府参考人(澤田陽太郎君) 今回の臨時特例措置を講ずるに当たりまして、緊急に派遣先につきましてアンケート調査を実施いたしました。
 そこの回答によりますと、派遣期間が一年に制限されている場合に比べて三年に延ばした場合には、四十五歳以上の中高年齢者を派遣労働者として受け入れる機会は増加すると思われますかと、こういう設問であります。それに対して、増加すると思うという回答が一七・六%ほどございました。
 それをベースに、現在、最新、直近のデータで派遣先が約二十六万件ございます。その二十六万件の派遣先が一七・六%という割合で中高年齢者を一人受け入れるという計算をいたしますと約五万人ということになりますので、その数字を答弁で使わせていただいているところであります。

○小池晃君 私は、今のアンケートの結果というのをそう使うというのは、ちょっととんでもないんじゃないかと思いますよ。
 だって、今のアンケートというのは、これは、そもそも慌てて法案提出する直前の十月に、聞くところではわずか百二社対象のアンケートですよ。そういうやっつけ仕事でこういう数字出したわけですけれども、このアンケートというのは、派遣期間が一年に制限されている場合に比べて四十五歳以上の中高年齢者を派遣労働者として受け入れる機会は増加すると思われますかという問いに対して、一七・六%ふやすと言ったといいますけれども、八二・四%はふやさないと言っているんですよ。これがその実態だと思う。百二社中八十四社は一年から三年に延びても中高年齢者を派遣労働者として受け入れる機会は増加しないと。私、注目するんだったらこっちに注目すべきだと思うんですよ。八割以上の企業が雇用はふえないと言っているんです。
 しかも、仮に中高年齢層の派遣労働者がふえたとしても、こういう世代というのは一家の大黒柱なんだから、お父さんが派遣労働者になったからといって家族喜ぶか、安心できるか。そんなことないわけですよ。中高年齢者の雇用に期間があるような派遣労働者では生活の安定というのは私は得られないと思う。
 私、大臣、お聞きしたいんだけれども、こういう数字の根拠も非常に危ういと思いますけれども、私は、これは実効性もないし、中高年の雇用不安にこたえるような中身ではないというふうに思うんですけれども、大臣、いかがですか。

○国務大臣(坂口力君) そこは大分認識が違いますね。
 私は、派遣業というのには新しい役割があるというふうに思っています。これからの新しい社会、例えば男女共同参画社会がこれから進んでいきまして、そして、育児にいたしましても介護にいたしましても、これからどんどんと育児休業、介護休業というのが進んでくる。そういたしますと、そこをだれが一体埋めるのかといえば、それは派遣業の皆さん方に埋めていただく以外に私はないと思います。
 一年という限定をされた、あるいは半年という限定をされたその中で、適当な人を雇うということはなかなか難しい。そして、その人がどんな立派な人であったとしても、半年たてば、一年たてばまた交代をしてもらわなければならない。もとの皆さん方をもう一度雇用の現場に戻さなければならないわけでありますから、そうするとその皆さん方にはまた帰っていただかなければならない。それは、半年とか一年という時間をとって、そしてそれを自身の企業の中でそういう人材を見つけ出すということはなかなか私は難しいと思います。これからの男女共同参画社会の先々において、派遣業というのは大きな役割を私は果たすと考えております。
 そして、また中には、そうした生き方をしたい、一つの企業の中で終生勤めるという生き方ではなくて、いろいろの職場で勤めたいという生き方の人がふえてきていることもまた事実でございます。こういう人たちにもやはり対応していかなければならない。
 私は、何もこの派遣業で一から十まで、これを全部そういうふうにすることがいいと私は言っておるわけじゃありません。しかし、そういう生き方も選択肢としてある、その選択肢を広げるということが、私は中高年の雇用に対しまして大きな役割を果たすと考えております。
 したがって、派遣業を中高年に広げることによって、そしてすべてが解決するなどというような大それたことは考えておりませんけれども、しかし、現在のように中高年がどこにも行き場がないと言われております中で、やはり選択肢を広げるということが大きな支えになることは間違いないと思っている次第でございます。

○小池晃君 派遣労働というような労働のあり方が一つの選択肢なんだと、そういう生き方もあるんだとおっしゃいますけれども、今回の派遣労働の規制緩和について、規制緩和すべきという要求を出しているところは、例えば日本人材派遣協会、経団連、リース事業協会、全国地方銀行協会、こういう経営者団体ですよ。雇う側からの要求が出ています。
 ちょっと政府参考人でいいですけれども、お聞きしますけれども、中高年労働者の側からは派遣労働の規制緩和、拡大してくれという要求は出ていますか。出ているんだったら教えていただきたい。

○政府参考人(澤田陽太郎君) 私どもにいろんな方々からいろんな形の要望が出てくる形を考えますと、ある程度同質の方々が集まったグループ、団体とか協会とかいう形になるわけであります。残念ながら、中高年齢者の方々でそうした派遣労働者を代表する方々の組織とかいうのはないものですから、そうした形での要望、意見等はいただいておりませんし、なかなか届けるチャンネルもないんではないか、こういうふうに思っております。

○小池晃君 そういう要望なんかないんですよ、労働者の側には。中高年労働者はやはり安定雇用につきたいんですよ。でも、実態として、やはりやむなくもうこういう短時間労働しかないということになっているわけで、自分の生き方として派遣労働を選ぼうなんという、そういう実態に私はないと思いますよ。そこは認識が私、大臣違うと言うけれども、大臣の認識の方が私は誤りだと思います。
 さらにお聞きしたいんですけれども、派遣労働を拡大していけば常用雇用が減少するんじゃないかという危惧が広がっていると。これは私は当然だと思うんですね。
 厚生労働省が出している平成十三年版の労働経済の分析、ここでは雇用者の中の常用雇用と臨時雇いの関係についてはどういうふうに記述をしておられますか。

○政府参考人(坂本哲也君) 雇用労働者のうちの常用雇用労働者とそれ以外の臨時雇い、日雇いの労働者の割合でございますけれども、平成十二年で平均しますと約七対一ということになっておりまして、常用以外の労働者の割合が上昇傾向にあるという状況でございます。
 その背景といたしましては、雇用者数の増加がパートタイマーやアルバイト、こういった臨時雇いによるものでございまして、常用雇用は平成十年から平成十二年まで三年連続で減少をする、こういった弱い動きが続いている、そういった状況があるというふうに分析をいたしております。

○小池晃君 今、答弁にあったような実態なんですね。この資料のもとになっている総務省統計局の労働力調査、これを見ると、常用雇用は一九九七年から二〇〇〇年までに百三十一万人減少、一方で臨時雇いは六十二万人増加、まさに常用雇用が臨時雇いに置きかえられている実態があるんじゃないかと思う。
 さらに、常用雇用労働者をどけて派遣労働者が入っているわけじゃないというようなことをおっしゃることがあるんですが、これ本当だろうか。
 これもちょっと調査結果をお聞きしたいんですけれども、厚生労働省がことしの九月三日に出した労働者派遣事業実態調査結果報告、ここでは派遣労働者の受け入れ前に担当していた者の雇用形態について聞いています。この結果、どういう結果になっているか、お示し願いたいと思います。

○政府参考人(澤田陽太郎君) 御指摘の実態調査の内容をかいつまんで申し上げますと、派遣労働者の受け入れ前にその業務を担当していた者の雇用形態を調査いたしますと、常用労働者であったというのが七三・七%、新規業務のため前任者がいない、これが二三・二%であります。
 この七三・七%の解釈でありますが、一つは、常用労働者が処理していた業務が増加したということが入っておるでしょうし、また事業所内での担当業務の見直し等による場合もここに入りますし、常用労働者が急に離職した場合に次の常用労働者を雇い入れるまでの間つなぎとして派遣労働者を入れるというようなケース、さまざまなケースがこの中に入っているものと考えています。
 したがいまして、この七三・七%という結果が直ちに派遣労働者の受け入れが常用労働者の代替に使われているということを意味するものではないというふうに私どもは考えております。

○小池晃君 いや、今もう都合のいい解釈をするものだなと思いましたけれども。でも、実態としてこれは明確じゃないですか。だって、派遣労働者が入ってくる業務の受け入れ先がそれまでは常用雇用者が七割を超えているわけです。常用雇用が派遣労働によって置きかえられることはないというふうにおっしゃいますけれども、実態としては、まさにこういう中で常用雇用が派遣労働によって置きかえられているという実態は私はあると思うんです。
 そういう中で、今度三年に延長するということでありますけれども、この三年間に上限を延長するということによって具体的な仕組みがどうなるのかちょっとお聞きしたいんですけれども、企業側の受け入れ形態はこれはどうなるんでしょうか。

○政府参考人(澤田陽太郎君)
 派遣労働者の受け入れ期間が一年から三年以内に延びるということになりますと、現在一年の形態で中高年の派遣労働者がいるという仮定をします。そうすると、こうした方々を一年を超えたところから引き続き当該本人を派遣労働者として受け入れるという形が一つであります。それからもう一つのケースは、現在おられる方に一年で帰っていただく、そのかわりその業務について他の中高年齢者を派遣労働者として受け入れるという、この二つのパターンが出てくると思います。

○小池晃君 要するに、企業の側というのは、中高年の派遣労働者であれば、三年間ずっとやる人も中にはいるでしょうけれども、何人かで三年間つないでいくということも可能になるということですね。

○政府参考人(澤田陽太郎君) はい、そうです。

○小池晃君 ということであれば、結局このやり方でいけば企業にとっては一つのポスト、派遣労働者によって埋めるポストが、これはできるだけ安価で雇用調整もしやすい派遣労働者、これを中高年であれば三年間まで受け入れることができるようになる。逆に労働者の側から見れば、三年間別に、今度は上限が延びるといっても三年雇用される保障ができるというわけではないわけでありまして、次から次へと使い捨てにさせられていくということになる。これはまさにそういう仕組みじゃないかと思うんですが、いかがですか。

○政府参考人(澤田陽太郎君) 現在、一年の受け入れ制限の中で派遣労働者として働いている中高年齢者の人から見れば、一年を超えて三年までの間、引き続き安定的にそのなれた仕事を専門性を発揮して、あるいは専門性がないにしても十分能力を発揮して安定的につけるというメリットは相当あるというふうに考えておりますし、もう一つは、マクロの観点からいえば、最長三年間の間で受け入れる中高年齢者が途中でかわるにしても、かわった後のところを見ればそれは新たな中高年齢者にとっての雇用機会の拡大ということになりますので、先生御指摘の点についてはなかなか意見が一致しない面があろうと思います。

○小池晃君 派遣労働者について、雇用の努力義務の問題をちょっとお聞きしたいんですけれども、これは三年間という上限になったとしても今までどおり雇用の努力義務があるということを衆議院の議論でも御説明されていますけれども、その点についてちょっと説明をしていただきたいんですが。

○政府参考人(澤田陽太郎君) 派遣法四十条の三というところで優先雇用の努力義務がかかっております。ここにつきましては、中高年齢者が一年を超えて三年以内の間で引き続き派遣労働者として受け入れられるという実態が現に出てきた場合に、現行の派遣法本体の規定の効力と申しますか規定の意味がそのまま中高年齢者にも適用されるということは当然のことでありまして、これは条文にそのように書いてありますし、そのように設計をしておるところであります。

○小池晃君 努力義務についてちょっとお聞きしたいのは、現行の制度のもとでこの努力義務によってどの程度の効果があったのか、そういう実態調査はされていますか。

○政府参考人(澤田陽太郎君)
 その点は現在までの調査では調べておりませんが、今後、先ほどの質疑の中で申しましたように、総合的な実態調査をするという中では調査対象に含めることを考えていきたい、こう思っております。

○小池晃君 派遣労働制度ができて努力義務があるといっても、実態調査もやられていないわけですよね。
 しかも、今の話で、一年従事した場合の優先雇用の努力義務が残るんだと、それは法の中にあるんだとおっしゃいますけれども、これは、企業にしてみれば、一年以内の有期雇用にしておけばその努力義務すら全く意味をなさないという実態があるわけです。
 現に、労働者派遣事業実態調査結果報告では、派遣契約の期間の割合というのは三カ月未満が六六・一%だと。ほとんどの派遣労働者は実態としては努力義務が適用される前に契約を解除されている、これが私は現状なんじゃないかと思うんですね。
 こうした中で、先ほどから中高年の不安定雇用がふえるだけだというふうに言っているんですけれども、結局、こうした仕組みでは、今でさえ短い派遣労働者の契約期間がさらに切り詰められてどんどんどんどん使い捨てられる。企業の側は、中高年であれば三年間同じポストを派遣労働者で埋められる。企業からも要求が出ているのは、私はそのとおりとうなずけるんですよ。企業にとってみれば非常に使いやすい制度になる。一方で、中高年の労働者にとっては逆に不安定雇用が拡大する。
 私は、改めて今までの議論を踏まえて大臣にお聞きしたいのは、どうしてこういうようなやり方で今深刻な雇用不安にあえいでいる中高年の不安にこたえることができるというのか。私は、こういうやり方では逆に不安が強まるばかりだ、そういう改悪だというふうに思うんですが、いかがですか。

○国務大臣(坂口力君) 先ほど申し上げましたとおり、私は雇用の選択肢というものを大いにふやすことができると思います。今までの雇用状況だけでありますと、今までの雇用慣習の中でしか雇用ができない。しかし、こういう選択肢がふえることによって、たとえそれが一年であれ三年であれ、新しい雇用の場につくことのできる場ができるわけであります。
 それは、中にはそれをつなぎとする人もあるでしょう、つなぎにして次のまた新しいステップを考える人もあるでしょう。しかし、そういう生き方もまた一つの生き方だとそこに割り切る人もいるでしょう。少なくとも、現在の雇用慣習の中で、派遣業という新しい勤め方、生き方というものがまだ成熟をいたしておりません。それを引き受ける側も十分な知識がないままにやっているということもあります。しかし、これから先、日本の雇用慣行が成熟をしていくにつれまして、こうした働き方は多くなっていくことは避けられないと私は思っております。
 そういう意味で、私は、その始まりと申しますか、その始まりを開くものだというふうに思っておりまして、決して私はこのことが高齢者の皆さん、中高年の皆さん方に御迷惑をかけることではないというふうに思っております。選択の問題でございますから、もしも御希望でなければそれは選択をしなければいいわけでございまして、それを選択をしてでも一時をしのいでいこうという皆さん方にとっては、私はそれはプラスだというふうに思っています。

○小池晃君 選択だ、選択だとおっしゃるんだけれども、先ほどから紹介している派遣事業実態調査報告を見ると、派遣労働という働き方の選択をした理由で一番多いのは、就職先が見つからなかった、これが二八・八%なんです。就職先が見つかるまでのつなぎとしてという人が一二・三%。本当は常用雇用で働きたいんだけれども、就職先がないからやむなく派遣労働者になっているという実態が私はあると思うんです。
 そういう中で今回のようなやり方をすれば、まさにどんどん派遣労働者をふやしていく。それで常用雇用がどんどん切り詰められていく。結局、中高年の将来の雇用不安に対しては、逆にやはり不安を与えるような中身にならざるを得ないんだというふうに思うんです。
 それから、現状が果たして法の規定どおり行われいるかどうかということも改めて私は聞きたいんですけれども、現行の労働者派遣法では製造業への労働者派遣を除外してきております。この理由について、政府参考人、お示し願いたいと思います。

○政府参考人(澤田陽太郎君) 現行法体系の中で物の製造業務について適用除外にされている例でございますが、製造業の直接工程で働く労働者が我が国の雇用労働者に占める割合の大きさ、また我が国の労働者の労働条件の決定に与える影響の大きさ、いわゆる構内下請など製造業の製造現場における就業の実情等を考慮したことによるということになっております。

○小池晃君 今回の特例法案でもこの製造業への労働者派遣の除外というのは変わらないわけですね。

○政府参考人(澤田陽太郎君) そのとおりです。

○小池晃君 一般論としてお伺いしたいんですけれども、製造業の生産ラインにおいて請負と称して受け入れ先が現場での労働者に対する業務の遂行に関する指示その他の管理を行っている場合、これは違法派遣に当たるということになるんでしょうか。

○政府参考人(澤田陽太郎君) 製造業の生産ラインで請負という形でといいますか、称して行われている事業につきましては、注文主の事業所の従業員と混在して注文主の直接その指揮命令を受けて業務に従事しているということであれば、労働者派遣事業と請負により行われる事業との区分に関する基準を定める告示というものを厚生労働大臣が出しておりますが、こうした告示等に照らして実態として労働者派遣となっていると判断される場合には違法な労働者派遣事業に該当することになります。

○小池晃君 こんな実態が寄せられたんですよ、私のところに。
 三洋電機の大阪の住道工場、ここは形式的に請負契約という形にして実態は派遣労働という実態です。私が聞いている話では、新日本という請負の会社と契約をして三洋電機の工場で働いている労働者、工場内では最終的な指揮命令は三洋の社員がやっていると。製造ラインの一部では三洋の女子社員とこの新日本という会社の社員が一緒に働いていると。これはまさに派遣労働そのものである。
今の例からいえば違法派遣、偽装請負に当たるんじゃないかと思うんですが、いかがですか。

○政府参考人(澤田陽太郎君) 今初めてお聞きいたしましたので、実態の方を私どもも把握しておりません。したがいまして、どうかと言われても答弁するだけの材料を持ち合わせておりませんので、お答えしかねるということになります。

○小池晃君 情けない話で、これは朝日新聞の一面に出ているんですよ。あなた方、そんなことも勉強していないんですか。大変なことですよ。このことが朝日新聞の一面で報道されたことをあなたは御存じないんですか。

政府参考人(澤田陽太郎君) 怠慢と言われるとそうかもしれませんが、私が見ている新聞の版においてはなかったように思います。

○小池晃君 そんな、でたらめですよ。朝日新聞の一面にこの問題は取り上げられているんですよ、ちゃんと実例を挙げて、住道工場と名前まで挙がって。
 それで、私、ホームページを見たんです、三洋電機の。三洋電機のホームページを見たら、何を言っているか。住道工場を見学した社長からのメッセージが載っているんです。この社長さん、何と言っているかというと、生産現場でも「生産要員も毎月毎月急激に変わる生産量に対応して、派遣社員の人たちでも、「いつでも」「どこでも」「誰でも」生産できるように、作りやすく、作業指導票もビジュアル化されています。」と。これ、三洋電機のホームページを見てください。出ていますよ。
 こういうふうに明確に社長が派遣労働だと言っているんですよ、派遣社員だと。これは明らかに違法じゃないですか。どうですか。

○政府参考人(澤田陽太郎君) 社長がホームページ上でおっしゃっていることはそうかもしれませんが、私どもとしては、その実態判断をしなきゃなりませんので、恐縮でございますが、調査をして、その結果必要な対応をとっていきたいと思います。

○小池晃君 こんな新聞で大々的に報道されたことは、これはすぐに調べるべき問題でしょう。私は、インターネットのホームページで、何か秘密資料を手に入れたわけじゃないんですよ、インターネットを見たら、これは派遣社員だと認めているんだから。こういうこともきちっと調査もせず、規制もせずに、さらに派遣労働の年数を広げようなんということは私は本当にとんでもない話だと。
 派遣労働の期間延長の問題については、新聞報道でも、これは役所にとっても想定外のことだったと。これも九月十九日付の朝日新聞ですけれども、「一年から三年に延長する労働者派遣法の見直しが盛り込まれたのは、役所にとって想定外」だと。「九九年の改正の際に、法改正の影響などを詳しく調査したうえで三年後に見直しを検討するとされた。議論のたたき台となる実態調査すらできていない。」と。
 先ほどからいろいろと指摘しているように、派遣労働のいろんな実態について慌ててこの間、この十月に調査をしたり、今いろいろと起こっている問題についてもまともな調査もやられていない。そして、私が指摘したような実態もあると。こんな違法派遣がまかり通っているような実態の中で、現状の中で派遣期間を三年に延長するようなことをしたらばますますこの事態が悪化するんじゃないですか。
 大臣、どうですか、こういう状況で、将来のあり方をめぐっていろいろ議論はあるということはおっしゃったけれども、少なくとも三年前にいろいろ調査する、見直す、それで調査した上で出すと言っていたものを何もやっていない中で、これを一年から三年になし崩し的に延長するようなやり方が私は許されるのかと。このことについて、大臣、お答え願いたいと思います。

○国務大臣(坂口力君) ですから、先ほどから申し上げておりますように、この部分は特例措置であり、三年の期限をつけたものである、こういうことでございまして、とにかく現状の危機を打開する一つの手段であるというふうに思っています。
 派遣業というものが悪の代表であるかのごとく言われますけれども、決してそういう働き方ではない、これからの働き方の中にはこういう働き方もあるということを私たちはそういう信念でもってやっているわけであります。

○小池晃君 認識が全く私は間違っていると思うんです。
 全体で見れば、雇用の統計すべてそうですよ。語っているのは、派遣労働者がどんどんふえて常用雇用が減っているんです。そういう現状があるんです。その中でこんな規制緩和をしたらますますそういう方向に拍車がかかるでしょうと。次から次へと派遣労働者に置きかえられていっちゃうわけですよ。
 しかも、現状を見れば、これはあなた方厚生労働省が四月十三日に出した文書を見ても、「厚生労働省所管行政に係る規制改革要望及びその検討状況」を見ても、これは何と言っているかというと、派遣労働の見直しについては、「改正労働者派遣法の施行から日が浅く実態把握もできておらず、加えて、紹介予定派遣の実施状況等も勘案する必要があることから、派遣期間の在り方については、改正法の施行状況等を踏まえ、施行三年後における制度全体の見直しの検討の中で検討する予定である。」と。今すぐできませんということをはっきり言っているんですよ、これを見ても。全く実態調査はできていないんだと。こういう中で派遣労働を三年に延長する今回の法案、私はもう断じて認めるわけにまいりません。
 さらに、あとはもう言うだけにとどめますけれども、政府の総合規制改革会議の最終取りまとめの中で、さらにもっと規制を取っ払う、すべての業務に広げる、あるいは派遣期間の上限を撤廃するということまで言われていると。
 つまり、こんな中では全く、こんなときに派遣労働の拡大、規制を原則撤廃するような改悪は断じて認められないということを申し上げて、私の質問を終わります。
 

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