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日本共産党参議院議員・医師 小池晃 アーカイブ[〜2008] 日本共産党参議院議員・医師 小池晃 アーカイブ[〜2008] 日本共産党参議院議員・医師 小池晃 アーカイブ[〜2008]

154-参-通常国会
2002年4月16日 厚生労働委員会速記録

○小池晃君 日本共産党の小池晃です。
 今日は診療報酬の問題を中心にお伺いをしたいと思っているんですが、その前に、高齢者医療制度、新しい高齢者医療制度の問題について冒頭お聞きしたいと思います。
 これは、先ほどもお話ありましたけれども、十二日のテレビ番組で丹羽雄哉前厚生大臣が新しい高齢者医療制度の具体的イメージについて発言をされているんですね。それによれば、七十五歳以上を対象にした独立型で、公費負担五割、患者負担は定率一割、高額所得者は二割、拠出金上限は三割として、一人当たりの保険料は七千円、介護保険と合わせると毎月一万円の負担ということになるわけですが、大臣にお伺いしたいんですけれども、これは前厚生大臣の発言ではありますが、こうした案というのも今後の高齢者医療制度の在り方の検討において選択肢の一つというふうに理解してよろしいんでしょうか。

○国務大臣(坂口力君) 先ほども辻委員にお答えしたところでございますが、高齢者医療につきましては早く決着を付けなければならない重大な問題だという認識を持っております。
 ただし、その内容につきましては、この独立方式というのも有力な方式の一つではありますけれども、これに固まったわけでは決してございません。ましてや、その内容につきまして、これは今云々できる段階にあるわけではございません。突き抜け方式も言われているところでございますし、またその折衷案も言われておるところでございますし、そうしたいろいろの行き方がございますけれども、丹羽議員が主張されました独立方式もその中の有力な一つの方法であるとは思っております。それ以上のことは現在何ら決まっていることではございませんので、これからいろいろと議論を積み重ねたいと思っております。

○小池晃君 大臣も有力なものだというふうにおっしゃったその独立方式ですけれども、七十五歳以上の医療を仮に独立した医療保険制度で賄うとすると、そうすると、仮にその費用の一〇%を保険料というふうに置いたとしますと、高齢者一人当たりの保険料というのは、これ確定した直近の数字は九九年だと思うんですが、一体お幾らになるんでしょうか。

○政府参考人(大塚義治君) 九九年といいますと平成十一年度になります。平成十一年度でございますと、実は介護保険制度の施行前でございますから、今日における状況とちょっと違いますので、今お示しでございますので、ずばり平成十一年度の介護保険制度施行前の数字で単純に申し上げさせていただきますと、当時、七十五歳以上の医療費が八兆四千億円程度でございますから、仮に医療費の一割ということになりますと八千億円程度でございますし、その時点での高齢者数、七十五歳以上、八百五十万人でございますから、一人当たりの金額は、今の前提で単純に計算をいたしますと九万九千円ということになるわけでございます。

○小池晃君 介護保険開始前だと。介護保険開始後の数字、確定した数字じゃないと思うんですが、お示しいただけますか。

○政府参考人(大塚義治君) 確定数字ではどうしてもないわけでございますので、仮の数字ということで十四年度の予算の数字を利用させて今と同じように計算をさせていただきますと、高齢者の医療費が、七十五歳以上でございますが、八兆六千億円強、したがいましてその一割、医療費の一割という前提で取りますと八千六百億円になります。高齢者数が一千五十万人、これ七十五歳以上でございますが、でございますので、これを割り算いたしますと年額で八万二千円程度、月当たりに直しますと七千円弱と、こういう数字でございます。

○小池晃君 いずれにしても、こういうふうに独立した保険制度とした場合、一〇%というのは厚生省も一つの案としては以前計算をされていると思うんですが、そうすると、介護保険施行前の平成十一年の数字で年間九万八千八百円、月八千二百円ですね。介護保険開始後で、確定した数字でないんではっきりいたしませんが、これでも七千円弱と。
 要するに、こういう制度になりますと、介護保険の保険料と合わせて月一万円を超える高齢者の負担になってしまう、保険料になってしまうわけであります。高齢者医療制度というのを独立させると、丹羽氏の発言も七千円ということなんですが、正にこういう大変な負担がのし掛かると。
 私どもは、これが抜本改革だとしたらとんでもないというふうに思うんですね。年金水準が引き下げられている中で、高齢者がこのような月一万円の保険料負担ということに耐えられようはずもないだろうと思います。このような道ではなくて、私ども、やはり大型公共事業偏重の財政構造を見直していく、本気で見直していく、そのことを通じて、やはり国庫負担を増額をして、現状の制度の下で国庫負担を増やして、患者負担も若年者の拠出金も抑制する道を真剣に探っていくべきだというふうに思うわけであります。
 その上で、今日は診療報酬の問題をちょっと論じたいと思うんですが、四月一日から診療報酬の改定が行われまして、全国の医療機関から不満と怒りの声が上がっております。これ同時に、この診療報酬の改定で打撃を受けたのは医療機関だけではありませんで、例えば人工透析の患者さん、後で御議論しますが、食事加算が廃止されたことで食事代自己負担となる人も出てくる。六か月以上の長期入院の特定療養費化で特別料金の徴収と、これも患者の負担になっているわけであります。結局、医療機関の痛みといいながら、患者さんにそのツケのかなりの部分が回ってきているのではないだろうかと。
 そこで、最初にまず私、取り上げたいのは、六か月以上の長期入院の場合に特別の料金を患者から徴収する制度についてでありますけれども、これそもそも社会的入院と言います。しかし、介護施設や在宅療養の基盤整備が遅れているために入院を余儀なくされているというケースが私は大半なんだろうと思うんですね。別に好きで、好き好んで入院していたい、病院にいたいからいるわけじゃなくて、行くところがないからいざるを得ないという方が圧倒的多数だと思うんです。
 そこで、大臣にお伺いしたいんですが、基本的認識をお伺いしたいんですけれども、社会的入院の解決のためには基盤整備の抜本的な強化、これこそ私、必要なことだというふうに考えるんですが、いかがでしょうか。

○国務大臣(坂口力君) 基盤整備の充実も大事でございますが、しかし長く病院にお見えになります皆さん方を見ましたときに、やはり家庭に帰るに帰れない、帰るに帰れないといいますのは、おうちがないとかそういうことではなくて、人間関係が非常に難しくてやはり帰れないという人もあるわけであります。
 私は、こういう時代でございますから、やはり御家庭の方も温かく迎えるということが前提としてなければならない。お互いに助け合う時代でありますから、ましてや家族あるいは家族の延長線上の方でありますから、それはやはり温かく迎えるということがまずなければならない。そうしたことをやはりお互いにこれからは進めていくことがまず大事だというふうに思っております。
 その上で、その皆さん方が病院にいられないということになれば、それは特別養護老人ホームなのか、人によりましては老健施設なのか、あるいはまたケアハウスなのか、そうしたところにお移りをいただく方もあるだろう。中には、自立をしてやはり生活をしていただく方も中にはあるかもしれない。そうしたことの組合せによって、この人たちを、やはりその人たちが路頭に迷わないようにしていかなければならないというふうに考えております。

○小池晃君
 私、基本的認識が間違っていると思いますよ。まず大事なのは人間関係ができているのかどうか。家族の責任だということは余りに実態を見ない発言だと思います。
 私も医療機関で働いておりましたし、患者さんが退院するときにいろんなお悩みを持っていると。やっぱり一番大きいのはそういうことじゃないですよ。今、面倒を見ようにも、大半の家族は日中お仕事で出ている、面倒を見る人がいない、あるいは住宅環境もなかなか高齢者の介護ができない、そういう実態があるから、自分の親を家で見たくないなんという人はいませんよ。そういう思いがあっても、実態としてできないということがあるわけですよ。そこのところをやっぱり、大臣、基本的認識として私は持っていただかないと、ちょっと議論が最初からこれではやっていけないなというふうに思いますね。
 私、その点が、幾つかの基盤整備の遅れということが、いろんな条件がもちろんあるのは分かりますよ。でも、いろんな条件あるにしても、今の日本の社会的入院の解決のために数々条件はあるけれども、その中でやはり一番大きいのは、これは帰りたくても帰る場所がない、行きたくても行き場所がない、基盤整備が遅れているという問題の解決がその中でも一番大切なんだという基本的認識をやはり私は持つべきだというふうに思いますが、いかがですか。

○国務大臣(坂口力君) 私も分かって言っているわけです。現実問題を踏まえて私も言っているわけです。
 ですから、そういう病院に代わるべきところ、老健であれ特養であれケアハウスであれ、それは必要ですよ。その前に、しかしお互いに自分たちのやはり家族は自分たちで支えるという、在宅介護というものをどう進めていくかということを抜きにしてはあり得ないということを申し上げている。
 何のために在宅介護を進めてきたかといえば、そうした人たちを一人でも多くやはり家庭で温かくその人たちを守っていこうということから出発しておるわけでありますから、それを抜きにして、その病院におる人たちの分だけ全部施設を造れというのは、これは少し私は方針が違うのではないかというふうに思っております。

○小池晃君 私、基盤整備という言葉の中で言っているのは施設だけじゃないんですよ。在宅のことも含めて基盤整備なんですよ。現状としては、気持ちがまずあると、それは当然ですよ。まず、そこが当然、退院するという方には家族が受け入れるということがあるのは当然であるんだけれども、しかしそれを実現できない条件として、在宅にしても施設にしても基盤整備の遅れということがやはり私は大きいんだというふうに思うんですね。そういう認識をお持ちであるかどうかということをお聞きしているんですが、それはそれでよろしいですね、もう聞きませんけれども。そのことが重要であるということはよろしいですね。
 その上で、基盤整備が十分でない中で、その解決が求められている中での措置であるわけで、そういうことから見れば、私は柔軟な対応が必要だというふうに思うんです、こういう六か月以上の長期入院について特定療養費化するということをするのであれば。
 この特別な料金の徴収の条件としてこう言っているんですね。入院医療の必要性は低いが、患者側の事情により長期にわたり入院している者への対応を図るというふうにしています。患者側の事情というのは、一体これはどういう意味なのか。例えば、介護施設が不足をして待機者が多く、入院百八十日を超えても行き場がない、こういうケースというのはこれは患者側の事情ということになるんでしょうか。

○政府参考人(大塚義治君) 今回のお示しの件につきましても、ただいまの表現、表現といいましょうか、条件でございますが、入院医療の必要性が低いにもかかわらず、患者側の事情により百八十日を超えて入院しているという場合の解釈でございますけれども、私どもは、入院医療の必要性といいますのは、あくまでやはり医学的な観点からの判断事項、どういう方々を対象に医療保険としての給付を行うか、その場合の給付をどの程度のものとするかと、こういう議論でございますので、患者側の事情という点につきましては、入院医療の必要性の観点からは入院する状況にないというケースを考えておりますので、他の施設が、整備が必ずしも十分でないということが患者側の事情には入らないというふうに考えております。
 ただし、今回の措置、考え方につきましては、かといって給付を打ち切るというのは、これはいかにも現実を無視した施策でございますから、両面の要素を勘案して今回のような考え方で整理をしたということを付け加えさせていただきます。

○小池晃君 患者側の事情というのは、じゃ、入院医療の必要性が低いというものはすべて患者側の事情になっちゃうという、今の説明だとそういうことになりますよ。それはおかしいと思うんですね。患者側の事情では、もちろんいろんな事情で退院できないという場合もあるかもしれませんけれども、これは明らかに、例えばその地域に全く行き場がない、基盤整備が遅れているという場合は、これは明らかに患者側の事情じゃないじゃないですか。社会的事情でしょう。こういうのまで含めて患者側の事情だというんですか。

○政府参考人(大塚義治君)
 厳密に社会的な事情ということを含めて表現しているわけではございませんけれども、この部分の考え方は、先ほど申し上げましたとおり、入院医療の必要性、つまり医学的な判断が最優先されるべきだということでございますので、現実問題としていろんな状況があることは分かりますけれども、基本的な考え方としては、やはり医学的観点、医療給付の妥当性、こういうことになるものと考えております。

○小池晃君 いや、医療給付の妥当性について、これは個別具体的にケース・バイ・ケースで判断していくと。大臣も衆議院で、担当医が、医師の判断が重要だというふうに言っておられるんですね。やはりケース・バイ・ケースで医療の必要性というのを判断していくと、これは当然だと思うんです。
 しかし、私は一方で、この言いぶりでいうと、入院医療の必要性が低いが患者側の事情により長期にわたり入院しているというのであれば、医療上の必要性があるかどうかの判断と同時に、患者側の事情なのかどうかということについても、これはやはりケース・バイ・ケースで判断していくのが当然じゃないかと思うんですが、いかがですか。

○政府参考人(大塚義治君) 同じような繰り返しになって恐縮でございますが、もし医療上、入院の必要性がない、若しくは非常に低いということになりますと、通常ですと在宅にお帰りになる、あるいは福祉施設などに、介護施設などに替わられるということになるわけでございますが、現実問題としてなかなかそれができないということでございますので、それを患者側の事情と、それらを含めまして患者側の事情というふうに整理をしているわけでございます。
 繰り返しになって誠に恐縮でございますが、それ、両方の事情を勘案をいたしまして、今回、特定療養費という仕組みを活用して一定の給付を行うと。逆に申しますと、患者あるいは入院されておる方につきまして一定の御負担をお願いすることになるという整理をしたものでございます。

○小池晃君 全くお答えになっていないと思うんですね。
 私は、基盤整備の遅れが原因なのに、患者側の事情だということで切り捨てることはあってはならないというふうに思います。基盤整備が整わない限り、この長期入院、経過措置はありますけれども、特定療養費化は私はこれは実行に移すべきではないということを申し上げたいと思うんです。
 さらに、再診料の逓減制の問題についてお伺いをしたいんですけれども、厚生労働省の中村審議官が講演でこう言っています。患者を何回も外来受診に来させる施設にはネガティブ評価をすると。しかし、これは病状から受診回数が増えるケースもあるんだと思うんですね。
 医療課長だと思うんですが、逓減制は医療行為の濃淡を評価したものだというふうにおっしゃっていますけれども、個々の病状の違いにも、あるいは頻回受診が必要かどうかということにも私は濃淡があると思うんですよ。そうした個々の事情も考慮せずに、一律に頻回受診は、先ほども御議論がありましたけれども、あかんと、保険給付は抑制するということが果たして許されるのかと思うんですが、この点についていかがですか。

○政府参考人(大塚義治君) これも先ほど御議論がございました件でございますけれども、先ほども申しましたが、全体として、医療費全体をいかに効率化するか。特に、今回の診療報酬改定では、全体として大変厳しい改定をお願いをする、お受け止めいただくということがございまして、それが背景の一つであることは私どもも否定いたしませんけれども、やはり長期にわたり、なおかつ頻回の受診といいますのが諸外国に比べても非常に多いのは、これまで何度かこうした場でも御議論があったわけでございます。
 もちろん、個々のケースによって、あるいは病状によっていろんなケースがあることは分かりますけれども、診療報酬の定め方という意味では、特に再診料という形で定める場合には、一定の、全体として最も合理的と申しましょうか、共通の判断をせざるを得ないと。これにつきまして、先ほども申しましたけれども、初診、一回目の再診、二回目、三回目という辺りとそれ以降とは、やはり質的にも濃淡、診療上の濃淡にも一般的には違いがあるということでございます。
 ただし、これも繰り返しになりますけれども、人工透析の患者さん始めどうしても頻回受診が必要となるケースにつきましては、逓減は行わないというような措置も設けてございますので、全体としての御評価を賜りたいというふうに考えております。

○小池晃君 私、個々の病状だけではなくて、診療科によっても再診の医学的重要性というのは違うと思うんです。
 例えば、二〇〇〇年四月から二〇〇一年七月までの無床診療所の一件当たりの外来日数というのは、例えば整形外科だと四・三日、外科だと三日、内科で二・一八日、眼科で一・三七日と。こういう診療科による違いというのが私は一般的に、個々の事情というのはともかくとして、この診療科の違いというのはあると思うんで、こういったことは少なくとも反映されるべきではないかと思うんですが、その点はいかがですか。

○政府参考人(大塚義治君) その点も、今回の再診料逓減制を定める際に議論になりました点の一つでございます。
 ただいまお話にございましたように、平均的に見ますとということでございますが、比較的多い診療科でも四回程度ということでございますから、それらを念頭に置いた今回の改定であることは間違いないわけでございますけれども、一方では様々な、診療科といいましても、周辺の診療科、あるいは関連の診療科もございますから、一つ一つの診療科ごとにというわけにはなかなかまいりませんで、それらを十分議論した上で、関係者とも議論した上で今回の再診料のような定め方にいたしたということでございまして、一つ一つの診療科ごとに定めるというやり方がないわけではございませんでしょうけれども、実際の診療報酬、今日採用しております診療報酬体系の中で選択をいたしますとすると、今回程度の整理が取りあえずは極めて妥当ではなかろうかということになったわけでございます。

○小池晃君 関係者と協議してと言いますけれども、整形外科の先生たちからはこの逓減制に対する批判が非常に強いわけですね。先ほど慢性疼痛疾患管理料を算定していれば再診料逓減制から除外されるからというお話ありましたけれども、しかし慢性疼痛疾患管理料を算定すると一方で処置料が算定できなくなるということで、結局マイナスになるんだという批判もあります。
 今資料をお配りしましたけれども、これは今回の改定で実際の点数がどうなるかということを、ちなみに柔道整復師の様々な処置と比較をしてみたものなんですね。柔道整復師の例えば打撲や捻挫に対する治療と医科の消炎鎮痛処置を比較すると、柔整だと五百八十円、これ逓減制ないわけです。医師は三百五十円で、ただし五回目からは百八十円になると。部位数についても、柔整だと四部位までは算定できるんですけれども、医師の場合は何か所やっても同じ料金だと。それから、四部位にもしやったとして計算すると、柔整だと千八百八十五円で、医師だと三百五十円、五回目からは百八十円だと。これ再診料を加えてもかなりの差が依然としてあると。
 もちろん柔整の処置と整形外科の処置というのはこれ違いますから、単純に比較できないというのはそれはそうだと思うんです。しかも、柔整のその点数、決してこれ私高いというふうに言うつもりはありません、高いわけじゃないと思うんです。しかし、これと比べても、やはり診療報酬で定められている医師の技術料というのは、私はこれは低いという声が出てきて当然なのではないかというふうに思うんですが、いかがですか。

○政府参考人(大塚義治君)
 ここにお示しの点数自体はこのとおりでございます。
 ただし、ちょっと細かいことを申し上げますと、例えば四部位に行った場合、最後に総合計がございますけれども、柔道整復師の場合の再診料といいますか再検料、これは一回限り算定できるわけでございまして、医師の場合には逓減制はございますけれども、ここにございますように二回、三回、四回、五回というようなことは可能でございます。そうした違いございます。
 それから、これもお話の中にございましたけれども、医療保険から柔道整復師業の方にお支払する主要な項目がここに書いてあるようなものが主要になりますけれども、一方、整形外科における医師、整形外科診療に対する支払を見ますと、ここに掲げております打撲、捻挫など、あるいは消炎鎮痛処置は全体としましてはウエートが非常に小さいものでございます。したがいまして、この部分では差がございますけれども、それぞれの診療報酬全体を見て御判断をいただかなければならないと思っておるわけでございます。
 一つ一つの項目の議論と、全体としての、トータルとしての診療報酬体系と、両面から御議論、御理解をいただければ有り難いというふうに思います。

○小池晃君 今いろいろ付け加えたものを足しても、結局かなり違うわけですね。私は、この診療報酬の在り方というのは、特に整形外科の医師の中からやっぱり技術料が低いんじゃないかという声が出てくるのは当然なんじゃないかというふうにこれを見て思うんですね。この点でも再検討すべきだということを申し上げたいと。
 それからさらに、外科手術の施設基準の問題なんですが、今回、先ほど議論あったように三〇%カットということが盛り込まれています。私は、一部の特殊な手術について施設基準を設定することを一概に否定するものではありません。しかし、今回のやり方というのは、症例数とか経験年数だけでその施設基準が線引きされて、全国一律だと、それをクリアしなければ三割技術料カットと。これは余りに外科医の技術に対する見方が乱暴なんじゃないかと。幾ら腕が良くても、あるいは幾ら施設が良くても人口が少ない地域では手術ができないということになってしまうじゃないかと。
 例えば、北海道では心臓のバイパス手術などの開心術について一応クリアしている病院というのは八施設しかないというんですね。しかし、二次医療圏二十一あるわけですよ。だから、二次医療圏の中で半分以下しかできないということになっちゃうと。まあできないわけじゃないですけれども、三割引きでやれということになっちゃう。私は、この施設基準というのは余りに乱暴だと思うんです。
 先ほど技術の集積だというお話ありましたけれども、それは日本じゅうが全部同じ人口密度の国であれば成り立つ議論かもしれませんが、こういう人口の濃淡がある中で一律にこういう症例数だけで三割カットというような議論は余りに乱暴じゃないかと思うんですが、ちょっと局長だと何かかなり長い答弁になってしまうので、大臣、いかがですか。私、これ乱暴過ぎると思いますよ。大臣、いかがでしょう。

○政府参考人(大塚義治君)
 確かに症例数と経験年数を基準として今回の施設基準を定めております。一般的に申し上げますれば、これをより精緻にしていく努力、合理的にしていく努力あるいは医学の進歩に応じて見直していく努力というのが必要だろうと思っております。
 ただ、先ほども申し上げましたけれども、今回定めましたのは百十の手術でございまして、全体の手術例から申しますと十分の一足らずでございまして、こうした比較的難度の高い技術でございますので、取りあえずはこうした基準でまず現実的な対応としては妥当だろうと、こういう判断を加えたものであります。いろんな医学的な見地からの御議論は、将来に向かいまして我々も十分勉強しながら考えていきたいと考えております。

○小池晃君 まあ、これが万全だとはとても言えないと思うんですね。これは見直さないと駄目ですよ、こんな乱暴な基準は。私は、医療の質を担保すると言うけれども、こんなやり方したら、まあ既にある都市部の病院はともかくとして、地方では手術ができる病院がなくなってしまう、減ってしまうということになる。総体として日本の医療全体の水準ということを見れば、逆に引き下げることになりかねないというふうに思うんですよ。
 大臣、どうですか、こういうやり方、余りにも乱暴だと思うんですが、いかがでしょう。

○国務大臣(坂口力君) 医師の側から見ます場合と医療を受けます患者さんの側から見る場合とは違うと思います。まあ、差が七〇%になるということになれば、患者さんの側から見ればそれは安い医療が受けられるということになるわけでありますから、そこはどうとはなかなか言えないところがあると私は思うんですね。
 ただしかし、小池議員のおっしゃることも私、全然分からぬわけではないんです。ここはかなり私も理解をしているつもりでおりまして、少し様子を見させていただきたいというふうに思っております。

○小池晃君 さらに、人工透析のことをお伺いしたいと思うんです。
 今回、食事加算廃止されたわけですが、その理由を簡単に御説明願いたいと思うんです。

○政府参考人(大塚義治君) 人工透析につきましては、御案内のとおりでございますけれども、透析の時間なども随分昔に比べますと短縮化され、なおかつ標準化を、まあ標準化といいましょうか、一定の時間内に収れんをしつつあるという医療現場の状況がございます。かつて長時間を要していた時期、時代において食事加算という制度もございましたけれども、今般、全般に人工透析に対する診療報酬の体系を見直しまして、その中で、食事が必要な場合につきましてはその点数の中で包括化をするという形で整理をしたわけでございます。

○小池晃君 まあ、透析時間短くなったからだと。しかし、主流は四時間透析なんですね。その中で、例えば四時間透析だとしても、九時に始まれば一時です。九時半に始まったら、穿刺してやったら一時半になります。あるいは、夜間の透析でも五時に始まれば九時。こういう時間帯をずっと食事しないわけにいかないじゃないですか、幾ら四時間で短くなったといってもね。
 だからこそ厚生労働省は、食事提供のために患者から実費徴収してもいいと通知出しているんですね、今回。だから、短くなったからいいんだといいながら食事出してもいいというのは、私、これ完全な矛盾だと思うんですよ。透析時間短くなったというのは、私は食事加算廃止した理由にならないと思います。
 しかも、そもそも二〇〇〇年の通知では厚生労働省はこう言っているんですね。当時、厚生省ですが、食事加算については、人工腎臓実施中における食事の提供は治療の一環として行われるものであると。治療の一環だと言っていたわけですよ。
 私は、透析患者にとって食事が治療の一環だとすれば、これは当然すべての患者にきちっと保障されるべきだというふうに考えるんですが、いかがですか。

○政府参考人(大塚義治君) これも通知その他で明らかにしておりますけれども、医療上必要な食事と申しますか、療養の一環として提供される食事、これは食事加算という形ではございませんけれども、これは当然お支払をする診療報酬点数の中に含まれるというのが私どもの考え方でございまして、その中で御提供を賜るという考え方でございます。

○小池晃君 いや、だからそれもおかしな話なんですよ。
 だって、食事は治療の一環だというふうに言っていたわけです、二年前には。だとすれば、医療上必要な患者とそうでない患者っているんですか。そんなはずないじゃないですか。治療の一環として食事を提供するというふうに二年前に言っていたのであれば、これはすべての患者にとって食事は必要だということでしょう。じゃ、何でそういうふうに分けることができるんですか。治療の一環だということであれば、私はすべての患者に食事を保証するのが当然だと考えるんですが、いかがですか。

○政府参考人(大塚義治君) 十二年にお示しをしました通知の考え方は、当然、診療報酬として、つまり医療保険の支払としての対象とする食事は療養上必要なものでなければならないということでございますので、仮に、療養上の必要というよりも、言ってみれば通常の三食のうちの一つということで御提供する場合には、これは当然患者の自己負担でお願いをすることになるわけでございまして、今回はその食事加算というのを包括した点数の中に含めてお考えを願いたいということでございます。
 これは、当然のことながら、医療機関のサイドから見れば、従来に比べますと、全体の見直しをいたしましたけれども、診療報酬という意味ではもちろん厳しい内容になるかもしれませんけれども、これは全体の診療報酬の合理化、適正化の中で御理解を賜りたいという趣旨でございます。

○小池晃君 医療機関にとってと言うけれども、そうじゃないじゃないですか。
 だって、患者で何で分けられるんですか。医療上食事治療が必要な患者と必要でない患者というのは私は分けられないと思うんですよ。だって、これはもう、透析患者にとってみれば、時間を掛けて透析をすること、それから水分制限等、摂取たんぱく量の制限、適切なたんぱく量の摂取というのは、これは透析患者の生命予後に決定的に重要だということはこれはもう通説ですよ。
 そういう中で、この患者には食事療法必要で、この患者には必要でないというのは、私、暴論だと思う。全く医学的根拠のない議論だというふうに思います。今回の診療報酬の下げ方というのは、本当にただ下げるだけ、理屈は後から付いてこいというようなとんでもないやり方だというふうに思うんですね。
 それから、続いて歯科の問題、ちょっと時間がないので、歯科の問題をお伺いしたいんですが、四月十一日の朝日新聞にこういう投書が載っています。八十歳代の女性の入れ歯の、義歯の訪問治療をしている横浜市の医師からの投書であります。
 この患者さんは要介護四の状態だそうなんですけれども、御主人が頑張って月二回、医科の外来に通院していると。そのために、この医師は四月からは訪問診療ができませんというふうに告げたそうなんですね。御家族からは妻を寝たきりにしないために頑張ってきたのにと言われ、医療の継続性や平等性はどうなっているのか、何のための国民皆保険なのかと考えさせられましたと、投書はこういうふうに結ばれております。
 今度の改定で、医科に通院していたら訪問診療は認めないとか、寝たきりでなければ訪問診療を認めない、こんなことだとすれば、私は歯科の在宅医療は成り立たないというふうに思うんですが、この点について御説明を願いたいと思うんです。

○政府参考人(大塚義治君) 歯科につきまして、その診療形態の一形態といたしまして訪問診療があるわけでございますけれども、その場合の基本的な要件といいましょうか考え方は、身体の状況その他で通院が非常に困難だというようなケースを想定しているわけでございます。
 その際には医療機関、歯科医療機関の方が訪問をして診療をしていく、その際に訪問診療料を算定する、こういう仕組みでございますけれども、そういう意味で、他の、あるいは医科の保険医療機関に通院している場合等と書いてあるわけでございますが、私どもの趣旨といたしましては、ただいま申し上げましたように、歯科診療への通院が困難だというケースを念頭に置いたわけでございますので、医科の保険医療機関に通院しているから、それ一字をもって算定しないということは、これは本来の趣旨にちょっと外れるケースになると思います。
 したがいまして、元に戻りまして、基本に戻りまして、訪問診療が必要な患者さんに対しまして所定の訪問診療がきちんと行われたという場合には訪問診療料を算定するというふうに考えているところでございます。
 なお、こうしたいろんなケースがございますので、現場における御疑問などもいろいろ診療報酬改定がございますと出てまいります。必要に応じまして、それを取りまとめてお示しをしたり、あるいは疑義解釈というような形で処理をしたり、様々な方法を講じておりますけれども、極力、現場における混乱のないように私どもも努力をいたしたいと考えております。

○小池晃君 これ疑問が一杯出ているんですよ。
 ということは、今のお話で言うと、例えば在宅で歯科診療を受けていたけれども状態が悪くなっていて救急車で運ばれたとか、あるいは具合が悪くなって家族がこう抱えて連れてきたとか、そういう場合についても含まれるわけではないと、個別具体的に判断していくということでよろしいんですね。

○政府参考人(大塚義治君) そのとおりでございます。
 今回、こうした様々な見直しをいたしました背景には、逆に申しますと医療機関の訪問診療という形を取りましてかなり本来の趣旨に外れたケースもあるというような御批判もございました。したがいまして、そうした適正化をするというのが本来の趣旨でございますから、ただいまお示しになったようなケースにつきましてまで訪問診療料の算定ができないということは、これは私ども考えておりません。

○小池晃君 それからもう一つ、今回の改定で訪問歯科診療について、医療機関に勤務する複数の歯科医師が同時刻に訪問診療を行った場合は訪問先にかかわらず一回分しか算定できないという規定が置かれました。これは一体なぜこういう規定を置いたんですか。

○政府参考人(大塚義治君) ただいまの御質問にお答えしたことなのでございますけれども、いろんなケースがあり得るわけでございますが、例えば福祉施設でありますとか、居宅と申しましても特定の地域を対象に、表現が適当かどうか、一種の出張診療のような形で出掛けていって、通常の診療を訪問診療という形で行っているというケースが見られるというような御指摘もございました。本来の考え方からいたしますと、これはやや現在の医療保険制度の仕組みを逸脱しているケースになり得るわけでございますから、そうしたことを整理をいたしたい、適正化をいたしたい。
 つまり、繰り返しになりますけれども、被保険者、患者さんがなかなか歯科診療に通院できない状態にある場合にその御要望におこたえして訪問をするというケースについては、これは当然訪問診療を算定しなければなりませんけれども、それ以外の、それを言わば乱用するといいましょうか、そうしたケースを排除したい、こういう趣旨が背景にございます。

○小池晃君 要するに、企業的にといいますか一斉に往診するようなケースであって、個々の開業医が複数お医者さんを抱えているようなところが個別に居宅に行っているような場合についてはこの対象にならないということでよろしいですね。

○政府参考人(大塚義治君) それぞれの患者さんの事情に応じて必要な場合、これは当然訪問診療の対象になるということでございます。

○小池晃君 歯科については全体として医療経済実態調査が行われて、収支差額は二年連続減少しているわけですね。六・三%でした、去年は。そういう中で、私は医科と同率のマイナス改定になっていること自体が、これは全体としては非常に問題であると。これでは本当に医療経済実態調査をやる意味がないんじゃないかという声が上がっていますけれども、私もそのとおりだというふうに思っております。
 そのことを指摘した上で、ちょっと診療報酬全体の問題について時間がないのでお伺いしたいんですが、先ほどからもお話あるように、非常に現場からは二・七%などという数字と懸け離れているんではないかという指摘があります。例えば東京台東区の永寿総合病院というところ、ここはマイナス七%だという計算をされています。それから、大阪の私立病院協会の緊急調査では、一般病床は平均三・四%、療養病床は平均六%ダウンだと。一部だけ下がっているというならともかく、緊急調査で出てくるものすべて二・七%を大きく上回っているという実態があるんですね。
 先ほど大臣は三か月間様子を見てというふうにおっしゃいましたけれども、私はまず、この実際の数字出てきて、二・七という数字と乖離していれば、私は、これは約束違反だということにもなりかねませんから、これは当然見直すということが必要だと思いますし、三か月と言いますけれども、これだけ問題が、与党の方からも質問も出るぐらいですから、そういう点でいえば、もっと早く検討を私、開始すべきではないかというふうに考えるんですが、大臣、いかがですか。

○国務大臣(坂口力君) 三か月ぐらいは見ないと、現状がどうかということはちょっと把握できません。一か月、二か月ではやはり無理でしょう。少し皆さん方が落ち着いてこの制度にお慣れになって、どういう結果になるかということを拝見しなければならないというふうに思います。その結果を中医協でどう議論をされるのかということを少し私たちは見守りたいというふうに思っているわけでございます。
 この何%になるかという話は、前提条件、その計算の前提条件に何を置くかということによってこれぐらい違う話はないわけでありまして、大変大きな違いになります。したがいまして、トータルで見て一体どうなるのかということだろうと思います。一部分だけを見ればいろいろなことが起こるかもしれませんけれども、トータルでごらんをいただいて、トータルで一体どうなるのかということが三か月ぐらいすれば大体方向性が分かるのではないかという気がいたしますので、田浦先生にもそのようにお答えを申し上げたところでございます。

○小池晃君 トータルとして見ていって、はっきりしたものが出てくれば、再改定ということも検討の課題になってくるということでよろしいですね。

○国務大臣(坂口力君) ですから、そこは中医協で御議論をいただくわけでございますから、それを踏まえてどう御議論をいただくかということになるだろうというふうに思います。これは中医協でお決めいただくわけで、厚生労働大臣が決めるわけじゃないわけです。

○小池晃君 厚生労働大臣は告示するわけですから。私、中医協で決めるんだとおっしゃるけれども、そもそもこの診療報酬が、例えば今年の医療費の国庫負担の削減というのは二千八百億であります。そのうち大半がこれは診療報酬なんですね。制度改定によるものは大体九百億円ぐらいです。千九百億円は診療報酬の改定なんです。診療報酬の在り方が日本の医療の在り方を大きく規定しているわけですね。それが国会審議の対象とならずに中医協だけで決まっていくというのは、私は大変問題ではないかと。個々の具体的点数まで国会で議決しろと、そういうふうには言いませんけれども、私は、基本方針については、これは例えば今回のように今まで保険給付されていたものを特定療養費化するとか、こういう骨格部分はきちっと国会で審議をしていくということがこれは必要になってきているんじゃないかと思うんですが、大臣、その点で御意見をお聞かせ願いたいと思います。

○国務大臣(坂口力君) 国会というところは、それは具体的な細かな問題も、それは議論の対象になることもございますけれども、私は、いかなる制度であれ、その大綱と申しますか、大筋のところ、大枠のところをどうするかということを御議論をいただいて決定していただくのが国会だというふうに思っております。
 したがいまして、この医療制度改革におきましても、大枠としてどうするかという、そういう御議論をしていただいて、そしてその中で具体的な問題を決めていくということになるのではないかというふうに思っております。
 どうぞ、ひとつ、そうした意味でございますので、医療制度改革につきまして大きな枠がどうあるべきかということの御議論をまずお願いを申し上げたいというふうに思っております。

○小池晃君 いや、それももちろんやりますよ。でも、診療報酬の大枠、基本的な骨格というのも、これも医療制度の中では大きな枠組みでしょうと。それがやっぱり国会で一切審議されないというような在り方には問題があるんじゃないですかと。例えば、今年の国庫負担の大半は診療報酬で決まっているとすれば、それが国会で全然議論されないというのはおかしいじゃないですかと。私、単純にそういうふうに申し上げているだけなんで、これは与党も含めて是非私は検討していくべき課題だということを申し上げたいと思います。
 ちょっと時間なくなってきちゃったんですが、年金のことをちょっと若干お伺いしたいんですけれども、今年度から国民年金の半額免除制度が実施をされています。
 これでいろんな訴えが来ているんですが、今まで国民年金保険料を全額免除されている方から、所得に変化がないのに今年度からは全額免除じゃなくて半額免除ですよということで半額保険料を請求されて、払えないんで滞納せざるを得ないという訴えが来ているんですが、何でこんなことが起こるのか、ちょっと簡単に御説明願いたい。

○政府参考人(辻哲夫君) 御指摘のように、本年四月から、従来の全額免除制度に加えて半額免除制度を導入いたしますとともに、免除基準の明確化を図っております。
 具体的には、従来の免除基準は、市町村民税非課税世帯は免除対象、それから所得税の課税世帯に属する者は免除対象とならず、そしてその中間の世帯につきましては、世帯の所得のほかに資産、生命保険料の負担状況あるいは障害者の有無といったことを審査いたしまして、一定のルールの下で個別に免除か非免除かを判別しておりましたが、その判別方法が一定の計数を用いるなど非常に複雑でございまして、行政の裁量に一部ゆだねられていた部分があったといったことから、今後、増加が見込まれる保険料負担を公平に求めていくためには免除、非免除の基準を分かりやすく、しかも明確にするということが必要であると。そしてまた、現場からも、第一線の運用担当者からもそういう要望はございました。
 このために、今回の半額免除制度の導入と併せまして、原則として、前年の所得のみを基準とする形に免除基準をまず改めたものでございます。そして、免除の対象としては、まず、これまでの免除対象とならなかった所得課税世帯の一部も、一部半額免除対象とするとともに、市町村民税非課税世帯に属する者は従来どおり全額免除対象といたしました。
 問題は次でございますが、それ以上の世帯につきましては、従来は、市町村民税非課税世帯よりも負担能力は相対的に高くなっているものの、全額免除をするかどうかという言わばオール・オア・ナッシングということでなっておりまして、今日のように、保険料がかつてに比べて高くなった段階では、結果として、言わば大ざっぱな仕組みになっていたものを、今回は半額免除対象とそこをしたと、そういったことで、負担能力に応じたきめ細かな対応を取りつつ基準の明確化を図ったものでございます。もとより、失業後や災害といった個別の事情については前年所得にかかわらず免除を受けられることとしております。
 このようなことから、全額免除世帯の一部が今回半額免除世帯となったものでございます。

○小池晃君 半分で済むと思いますよ、今の、最初のことだけで。
 どうなったかというと、今までは、住民税非課税世帯は全額免除だ、それから所得税課税されていれば免除対象じゃなかったと。住民税が非課税の人と所得税が課税されている間の中間の人たちがいたんです。その人たちについては、いろんなポイントを挙げて、所得とか生命保険料とか被扶養者の数とか障害者がいるかどうかとか、かなり裁量でこの人は免除しようとやっていたんです。今回、これをなくしちゃったんですね。
 ところで、お伺いしたいんですが、今年度の全額免除の予定というのは一体何人でしょうか、社会保険庁。

○政府参考人(冨岡悟君) 平成十四年度予算におきましては、免除の対象となる方につきましては、全額免除の方が三百二十二万人、半額免除の方が百五十六万人、合計四百七十八万人と見込んでおります。

○小池晃君 十二年度は三百七十万人だったんです、全額免除者は。それが今年度予算では三百二十万人と。要するに、五十万人の中間層の人たちが切り捨てられるわけですね。
 ある社会保険事務所では、このことで相談がかなり来ているそうなんです。今まで全額免除だったのに、今度からは全額じゃなくて半額だと言われたと。もちろん、中には半額払って三分の二年金もらいたいという人もいるでしょう。でも、全額免除だったからよかったのに半額払わなくちゃいけないから、払えないで滞納とされちゃう人が出てくることになるんですね、これ。
 私、こんなふうになるとその年金審議の中で知りませんでした。国会でもこれは問題にならなかったと思うんですが、私は、こういう低所得者対策として半額免除制度が導入されたのに、逆にこの制度の導入に伴って中間層の人たちが切り捨てられるということがあってはならないんではないかと。私、今まで全額免除の対象になっていた人というのはやはりその事情に応じてどちらか選択できる、引き続き全額免除もできるという制度をこれは是非作るべきだと思うんですが、いかがですか。大臣、いかがですか。

○委員長(阿部正俊君) 簡潔にお願いします。
 では、最後に一言。

○政府参考人(辻哲夫君)
 あくまでも、これまで全額免除となっていた世帯は保険料が相当低いときに全額免除か否かと、オール・オア・ナッシングになっておりましたが、やはり市町村民税非課税世帯よりも高いところは負担能力はそれなりに増しているにもかかわらずオール・オア・ナッシングしかなかった、そこを新たに保険料が高くなった段階できめ細かく半額免除を認めたということで、この点合理的な措置であると考えております。

○委員長(阿部正俊君) 時間が参りました。

○小池晃君 もう質問はしませんが、オール・オア・ナッシングであるといっても、私は選択できるようにしたらどうかと言っているんですよ。住民税非課税世帯を超えてもと言うけれども、例えば単身者だったら年収百万円でも切られちゃうんですよ、これ。私、決して保険料を払える能力があるというふうには言えないんじゃないかと。こういう低所得者を救うという制度の中で低所得者が切り捨てられているというのは大変問題があると思うので、是非この点については検討していただきたい。
 あとちょっと労働問題聞く予定だったんですが、もう時間ありませんので、次回ちょっとさせていただきたいというふうに思います。
 以上です。

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