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日本共産党参議院議員・医師 小池晃 アーカイブ[〜2008] 日本共産党参議院議員・医師 小池晃 アーカイブ[〜2008] 日本共産党参議院議員・医師 小池晃 アーカイブ[〜2008]

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155-参議院臨時国会
2002年11月14日 厚生労働委員会・一般質疑

小池晃君

 日本共産党の小池晃です。

 最初に、雇用の問題をお聞きしたいと思います。

 今の不況というのは、これは正に政府による政策的な不況と言えるような事態になっている。不幸にして職を失った人に対して、あるいはその家族に対して最低限の生活を支えることは、これは当然だと思います。国や自治体はそのためにもっと力を尽くすべきだと思っております。同時に、失業者に対する公的就労を抜本的に拡充すべきだというふうに思います。

 そこでお聞きしたいのは、緊急地域雇用創出特別交付金事業であります。これは私、これまで二回ほど質問してきました。これはデフレ対策の中で政府の中でも見直し作業が進んでいる。

 そこで、最初に大臣にお伺いしたいんですが、見直しをというのであれば、やはりこの事業に財政の上積みをしていくこと、それから十六年度末が期限になっておりますが、これ以降も延長することも含めて大胆に拡充していくことが必要ではないかと思いますが、御見解をお伺いしたいと思います。

国務大臣(坂口力君)

 この交付金につきましては、平成十五年度分、十六年度分、一応合わせまして二千億円、それぞれ市町村に配賦をもう既にされているところでございます。基金として今積み立てていただいているところでございます。まだ予算を新しく組む時期ではございませんので、何はともあれ、この二年分、今預金をしていただいているわけでございますから、この範囲においてこれをお使いをいただくということにしております。

 一応二年分になっておりますが、その使い方につきましては市町村にゆだねているわけでございまして、今後、前倒しをしてお使いをいただくことも検討をしていきたいというふうに思っている次第でございます。

 また、使い方につきましてもいろいろの御意見があることも十分承知をいたしておりまして、それらのことにつきましても検討をしていきたいと思っているところでございます。

小池晃君

 全体として拡充していく方向で、充実させていく方向でいくということは、方向としてはよろしいんですね。

国務大臣(坂口力君)

 一応、十五年度、十六年度分がこれであるわけでありますから、それをどう使うかということでありまして、その後のことをどうするかというところまでまだこれは至っておりません。その時期が参りましたら議論になるものと思います。

小池晃君

 今、大臣、先ほどおっしゃった、使い方に意見が出ているという問題ですが、これは雇用期間が六か月未満に限定されている点についていろんな意見が出ていると思うんです。

 そこで、厚労省にお伺いしたいんですが、六か月未満の期間、これは制限されていること、いろんな意見が、運用を改善してほしいという意見が届いているかと思うんですが、簡単で結構ですので、一、二御紹介いただけますか。

政府参考人(戸苅利和君)

 交付金事業を実際に企画・運営いたしておるのは地方自治体でございますが、地方自治体からの運用改善についての意見として私ども承知しておりますのは、例えば、原則六か月未満の雇用期間について、林業のように業務を安全に遂行する上で、技術、知識、こういったものの習得が長期間を要するものがあるので、素人の人よりは長い方が業務の安全な遂行という観点から効果的ではないかというふうな御意見ですとか、あるいは基金の事業が終了した後の安定的な雇用機会の確保という観点から、更新要件の緩和あるいは延長の要望がなされているということでございます。

小池晃君

 こういう六か月という期間を緩和、延長するという意見が多数寄せられていると思うんです。

 やはり、そもそも不況で働き口少ない中で、六か月未満の雇用期間を過ぎればまた失業状態に戻るというのでは、これは限界があります。厚生労働省に届いているこういう声に、これを真摯に受け止めて、やはり大臣、いろんな意見ありますが、中でも一番出ていると思いますこの六か月という制限を例えば少し延長するとか、あるいは更新要件を緩和するとか、私は運用の改善が必要ではないかと思っておるんですが、大臣、いかがでしょうか。

国務大臣(坂口力君)

 そこはこれからどういうふうにしていくかということを検討することにしているわけでございますが、いずれにいたしましてもこの交付金は、失業状態にありますときに次の雇用に就いていただきますまでのこれはつなぎでございますので、使い方といたしましても、できるだけ、単なるつなぎではなくて、半年なり一年なりをこれでおやりをいただく間に、そのことが次の本格的な雇用につながっていくような使い方というものができれば一番いいというふうに思っておりまして、できる限りそうしたことを各地域におきまして工夫をしていただきたいというふうにお願いをしているところでございます。

 例えば、東京でございますとか大阪でございますとか、そうしたところが、それぞれの地域でリストラ等に遭われた方、あるいはまたそうでない方もおみえだと思いますけれども、それぞれの企業で重要な働きをしておみえになりました方、例えば他の多くの企業との間のコネクションのあるような方、そうした方を雇われまして、そして中小企業のいわゆる経営、あるいはまた中小企業のお作りになりましたものの販売等々につきまして積極的に関与しておみえになるといったようなことを聞いておりまして、そのことは、それによりまして、中小企業がそれによってよみがえるようになってきているというようなお話を聞きますから、そういう使い方をしていただくのは大変有り難いことだというふうに思っている次第でございます。

小池晃君

 そういう市町村の工夫、努力というのは、それは私も当然承知をしているわけであります。

 しかし、その六か月という制限があることがいろんな工夫をする上で非常に障害になっているんだという声が寄せられているわけですから、しかも、つなぎ就労というのは十分分かっておりますけれども、やはりよりこれを、運用を改善していくためにも、この六か月制限をなくする、運用を延長していくべきだと。しかも、やっぱり失業保険の適用ということでいえば、六か月以上になれば失業保険適用になる。そうすれば、その事業が終わった後も次の仕事を探す間の生活の安定を図ることができるということもあるわけですから、これは是非前向きに検討する、検討対象だということはおっしゃいましたので、是非これは検討していただきたい。

 それから、一人一回しか使えないという制限も、これもいろんな意見が出ております。やはり一回この交付金事業で短い期間使ってしまうと、もう次はこれは使えない。例えば、一週間の仕事でもそれをやってしまえばもう二度と受けられない。こういう点についても改善の要望が出ておりますので、是非、公的就労、こういう大変な局面の中ではしっかり支える検討を進めていただきたいということを申し上げておきたいと思います。

 引き続いて、先ほども同僚議員から質問がありました、臨床研修必修化の問題をお伺いしたいと思います。

 私は、今回の必修化に当たって、プライマリーケアを重視した、対応能力を重視した研修の方向というのは基本的に支持したいというふうに思っております。

 しかし、問題は、これが本当に魂のこもったものになるのか、内実が伴うのかと。厚労省の文書でも、研修医がアルバイトせずに研修に専念できるように処遇を適切に図る、臨床研修体制はこれからの我が国の医療体制を支える最も基本となる重要な要素だと言っているんです。これはもうそのとおりだと私は思うんです。

 公私病院連盟も十一月五日の要望書で、少なくとも三十万円以上国から直接本人に支給されるべきだと。医療機関だけじゃなくて、医学生の団体、全日本医学生自治会連合からも、身分・生活保障が不明確なままで必修化の準備が進んでいる、非常に心配だということが表明をされております。

 先ほども大臣、御答弁ありました、約束するんだということもおっしゃいましたので、改めて私、お聞きしたいんですが、研修医の処遇ということだけではなくて、やっぱり指導医の育成、配置、あるいは環境整備、そういったもの全体に対して必修化のかぎ握るのはきちっと財源の手当てをしていくことだと思いますので、やはり国家的事業として全体として国としてしっかり支えていくんだと。不安の声出ているわけですからきちっと説明する責任あると思いますので、是非、医学生や研修医に語り掛けるというつもりで大臣の御決意を御答弁願いたいと思います。

国務大臣(坂口力君)

 医師研修医の必修化につきましては、医師としてのまず人格を涵養することが一番大事、様々な医師の問題も起こっておりますので、そうしたことが起こらないようにやはりするということが一番基本の基本だというふうに思っております。そして、今もお話ありましたように、いわゆる初期段階でプライマリーケアというものへの理解を深める。どういう患者に遭遇をしても、そのことに対する判断が的確にできるようにする。いつまでも一人の人が診るというのではなくて、専門医に渡すにいたしましても、一番最初のその患者さんを診たときにどう判断をするかということが大変大事でございますので、そのプライマリーケアの理解を深め、患者を全体の一人の人間として診ることができる基本的な診療能力を習得できる研修とする。そして三番目は、研修医がアルバイトせずに研修に専念できる環境を整備する。この三つが大体一番中心だというふうに思っております。

 それぞれ研修の先というのは選べるようにしたいというふうに思いますが、同じ病院でありましても、なかなか研修医を受け入れるだけの能力のないところも確かにあるだろうというふうに思っております。研修医を受け入れていただきます以上は、ある程度やはりそれが可能なところでなければなりませんし、それに対する注文も確かにあるというふうに思いますが、現在のところ、その研修医を受け入れてもらう病院についてそれをどう整備をするかという、その整備のところまでは今我々の方では考えておりませんで、研修をする人を受け入れてもらえるところはどこか、そして、受け入れてもらえるところにつきましては最低限これこれのことはちゃんと整えてくださいよということは申し上げたいというふうに思っている次第でございます。

小池晃君

 いや、私は国としてきちっとその財源を、研修医の処遇だけじゃなくて指導医の問題も含めて取っていくんだということをお聞きしているんですけれども、その点について簡単に大臣の御決意をお述べいただきたいと思います。

国務大臣(坂口力君)

 研修医を受けていただく以上は、当然一定の条件を整えていただかなければならないというふうに思いますが、それでは日本国じゅうどの病院におきましてもそれを整えられるように体制を整備できるのかといえば、それは不可能だろうというふうに思います。

 この研修医を受け入れていただくことが可能な病院というのは現在もう既にあるわけでありまして、そうした病院を中心にしながらお受けをいただく。その病院、それぞれ受けていただく病院に対しましても何らかの手当てをして、そして、その病院が受けていただけるようにするというところまではなかなかこれは行かないだろうというふうに思いますが、そういう整備をされたところにお願いをするという以外にないと思っております。

小池晃君

 ちょっとそれでは何か指導体制を作っていくことについては病院任せというふうに私には聞こえるんですけれども、先ほどの答弁、そうじゃなかったと思うんですね。研修医の処遇についてはこれはしっかり支えていく、それから、指導医の配置等についてもしっかりこれは国として責任を持っていくということだと思いますので、是非そういう方向でお願いしたいと。

 一部に、先ほど研修医の報酬の問題が出ましたけれども、これ奨学金でやったらどうかという御議論もあるようであります。私、これは筋違いなんじゃないかなと。研修医というのは既に医師資格得ているわけで、学生ではありません。また、将来医師になれば高収入得られるから奨学金でいいというような議論もあるやに聞いていますけれども、これはもう全く医療の在り方ゆがめるもので、私は論外だと思うんですね。

 政府参考人にお伺いしたいんですが、研修医に対する処遇として奨学金制度で対応すると、これは私は断じて許されないのではないかと思うんですが、この点についての見解をお伺いしたいと。

政府参考人(篠崎英夫君)

 研修医に対する奨学金の貸与ということにつきましては、今いろいろ御議論がされておりますが、研修医に対する一つの支援の在り方として意見が出されたというふうに承知をいたしております。

 研修医に対する支援についてはいろんなものがあろうかと思いますが、先ほど来申し上げておりますように、研修医の処遇に関する事項、まだ引き続きワーキンググループで細部を詰めるように検討していただいておりますので、そういう具体的な検討の中でその一つの項目として検討はしていただければというふうに思っておるわけでございます。

小池晃君

 一つの検討課題だといいますけれども、私はこれは、これでは処遇を保障するということにはならないと。国の責任を果たしたことにならないと。先ほど大臣が労働者だというふうにおっしゃったこととも矛盾するし、私は奨学金ではなく、きちっと賃金、給与としてこれは保障するということを貫くべきだというふうに思います。

 文部科学省にお伺いしたいんですが、これは必修化で最大の問題は、先ほど議論があったように、大学病院がどうなるかということが私はあると思うんです。医師法上は、言わば自動的に大学病院は研修病院となります。しかし、現状で見れば、一番研修医が集まっているのは大学病院であると。その大学病院が、研修内容やプログラムも研修医の処遇もその配置基準も、今回厚労省で行われている見直しとは無縁で全く無関係ということではあってはならないのではないか、大学病院も基本的に厚労省の示している指定基準や到達目標に沿って研修を進めるべきだと考えますが、いかがでしょうか。

政府参考人(木谷雅人君)

 大学病院につきましては、申すまでもなく、教育、研究、診療という三つの機能を総合的に果たしていくということが本来の使命ということでございまして、制度的には指定制度の枠外ということではありますけれども、指定を待つまでもなく、卒後臨床研修の場として大きな役割を果たすことが求められているというふうに存じております。

 したがいまして、指定基準等の検討に当たりましては、文部科学省及び大学関係者は良き医師を養成するという観点からこれまでも積極的に検討に加わってきたところでございます。具体的には、国立大学医学部附属病院長会議が昨年十二月に研修プログラム等の指針を作成いたしておりますし、また本年三月には全国公私立大学から成る全国医学部長病院長会議において制度設計が提言されてございまして、これらの案というものは厚生労働省のワーキンググループにおける議論にも反映され、基準案策定にも寄与してきたものというふうに認識をいたしております。

 これらの経緯を踏まえまして、大学病院としても、良き医療人育成のため各大学の特色を生かしつつ指定基準にのっとった研修体制を構築していくものと認識をしておりまして、文部科学省としてもこれに協力してまいりたいと存じております。

小池晃君

 厚労省の示す基準にのっとってやっていく、同一歩調でやっていくと。その点で、研修の中身自体も今の大学病院の医療体制のままでは果たしてプライマリーケアに対応能力、培うものとなるんだろうかと。もちろん、大学には教育能力があることも存じておりますし、独自のやっぱり高度の医療という使命も負っていると思うんです。

 ただ、やはり初期の臨床研修ということを見た場合に、それだけではやはり十分な研修とはならないと思うんですね。私は、大学病院の医療体制自体もこれをきっかけに見直していくこと、あるいはほかの病院との連携を進めていくことが求められているかと思うんです。その中で、文部科学省がどういう役割を果たすかも問われていると思うんですが、その点いかがでしょうか。

政府参考人(木谷雅人君)

 大学病院における臨床研修につきまして、これまでともすれば将来の専門医としての養成研修に偏りがちであるというふうな批判があったことは事実であると認識をしております。

 しかしながら、近時、大学病院は地域の中核的病院としての機能への期待というものも高まってまいりまして、その中で、総合診療体制の整備でございますとか緊急医療体制の整備なども進めてございまして、このような場を十分に活用した基本的な臨床能力を育成する研修も必要であり、また可能であると考えております。また、例えば地域医療などについて地域の協力病院と連携をして研修プログラムを行うことなど、多様で柔軟な研修体制の構築がなされる必要があるものと考えております。

 今回の臨床研修制度の改革の背景には、二十一世紀の我が国の医療を担う若い医師の基本的な臨床能力に対する社会の大きな期待があるものと考えられることからも、各大学病院におきましては、良き医療人育成の観点から、各大学の特色を生かしつつ、大学病院自体の教育研修体制の見直しを行うとともに、地域の医療機関との連携を図りながら指定基準にのっとった研修体制を構築していくことが重要と考えておりまして、文部科学省といたしましても、各大学のこのような取組を支援してまいりたいと考えております。

小池晃君

 あと研修カリキュラムの細かい中身については、これはもう指摘はいたしませんが、一点だけ私気になるのは、臨床研修の到達目標の「医療人として必要な基本姿勢・態度」というところに、この間本当に厚生行政を揺るがしている薬害の問題等については全く記載がないわけですね。やはり医療人として必要な基本姿勢ということであれば、薬害エイズ、ヤコブなどの事件、こういったものを二度と繰り返さないということも、やはり基本的に必要な基本姿勢ということに私当然含めるべきだと思うんですが、厚生労働省の見解をお伺いしたいと思います。

政府参考人(篠崎英夫君)

 御指摘のように、その到達目標というものが一応二つに分かれておりまして、行動目標とそれから経験目標、この二つに分かれておるわけでありますが、その経験目標の方の中に「薬物の作用、副作用、相互作用について理解し、薬物治療ができる。」という項目が設けられておるわけでございますが、研修医は医薬品による健康被害についてもそういうことで研修をすることというふうになってございますが、行動目標においてどのような項目を考えたらいいか、御指摘でもございますので、更に検討してまいりたいと考えております。

小池晃君

 続いて、高齢者の医療費負担の問題をお聞きしたいと思います。

 これは、自己負担限度額を超えた高額医療費について九月十二日に通知を出されまして、領収証添付は不要とか、該当者には市町村が通知するとか、一回申請すれば二回目以降は自動的に償還払にするとか、そういう通知を出された。

 しかし、いろいろ調べてみると、市町村によってかなりばらつきがあります。保険医協会の調査では、例えば京都府では、京都市を含めて十八市町村が一回申請すればよい、ほかの二十六市町村はその都度、毎回申請が必要だと、領収証の添付は要しないと要するというのが二十二市町村ずつはっきり分かれている。それから、東京都では、五十三市町村のうち一度申請すればよいのが十九、毎回申請が必要なのは十六。こんなふうにばらばらになっているんですね。

 私は、政府参考人にお伺いしたいんですが、基本的な仕組みだけで結構ですが、これは法定受託事務ですから、厚労省としても適切なやはり徹底する、市町村によってばらつきをなくしていく対応が必要だと思うんですが、いかがですか。

政府参考人(真野章君)

 今回の改正によります高額療養費の支給に際しまして、高齢者に過重な事務負担が掛からないように市町村の実情に応じた対応を、先生今御指摘のような対応を私ども市町村にお願いをいたしております。これまでの指導を通じまして、市町村におきましてもその実情に応じまして工夫、取組を進めていただいていると承知をいたしておりますが、御指摘のように、まだ更に検討が必要、又はなかなか対応が難しいというような今の状況下におきましてそういう御回答といいますか、対応になっているところも正直ございます。

 そういう意味では、今後とも都道府県を通じまして私ども市町村に私どもがお示しをしましたような方向で是非取組をいただきますように、御理解、御協力が得られるような指導を引き続き続けたいというふうに思っております。

小池晃君

 それから、十月の高齢者の負担増以降、いろんな方から負担増を訴える声が寄せられているんですが、とりわけ慢性呼吸不全に対する在宅酸素療法あるいは在宅中心静脈栄養法等を受けている方から大変切実な訴えが来ております。

 それと、配付した資料なんですが、これは業者の側から、在宅酸素の業者の側からの情報として、経済的理由で治療を打ち切る患者が増えているという、そういう情報が来ております。これを見ますと、ある会社では十月の中止件数、A 社というところですが、百三十九件中止のうち、死亡が二十七件、入院が七十件、転院が三十件のほか、経済的な理由が十二件あったと。

 これは何でこんなことを調べたかというと、急に中止が増えたので、業者の方も調べてみようということになったので、今まで統計はないんですね。ですから、今までのデータは書いてあるところと書いていないところとあるんですが、今までほとんど経済的理由でやめるなんという人はいなかったというふうに業者はおっしゃっているんですね。これは比率が大分違うんですけれども、傾向としては、大病院よりも開業医の患者さんを多く抱えている業者ほどその中止の比率が高いというふうにも聞いております。在宅酸素療法を受けている方というのは全国で十万人いるわけですから、たとえ数%だとしても非常に重大な影響を与える。

 私は、当面差し迫っている措置として、在宅療養指導管理料を算定している患者さんについては、寝たきり在宅総合診療、いわゆる在総診の方はこれは限度額までで支払は免除されているわけですけれども、是非こういういろんな各種の在宅療養指導管理料を算定している患者についても、一部負担金の徴収はこれは自己負担限度額までという措置を取るべきではないかというふうに考えるんですが、いかがでしょう。

政府参考人(真野章君)

 今回の高齢者の自己負担につきましては定率負担の徹底をお願いをするということで、高額療養費制度につきましても、自己負担限度額を超える部分については原則として償還払をお願いをいたしております。

 入院につきましては所要の措置を講じたことは御案内のとおりでございまして、特に在宅につきましても、寝たきりとなられて療養を余儀なくされている高齢者の方々に配慮するということから、寝たきり老人在宅総合診療料、それから在宅末期医療総合診療料の患者さんにつきましては、自己負担限度額を超える部分については現物給付化をするという措置を取りまして、これにつきましては、一つの特定の医療機関によりまして総合的かつ計画的な医学管理を行っている、又は患者さんはそういう管理を受けていると、そういう意味で、入院患者さんと同様の状況にあるということに着目をいたしましてこういう措置を講じたわけでございまして、その他の在宅の方々につきましてこういう措置を講じるというのはなかなか難しいのではないかというふうに思っております。

小池晃君

 入院の状態に準じているからそこに着目して減免したのであれば、在宅酸素療法だって在宅中心静脈栄養療法だって、これは余りそんなにいろんなところに病院掛かっている人というのは大体いないわけですよ。基本的に一つの医療機関で入院に準じた状態にあるということなわけですから、これもやはり寝たきり在総診に準じてせめて、私は負担軽減のことをまず言っているんじゃなくて、せめて高額医療費の限度額までで支払は免除するという形、償還払にはしないと、そのぐらいはやれるんじゃないかというふうに言っているんです。是非検討していただきたい。

 それから、在宅酸素療法については非常に今回の負担増で、定率負担で負担が増えていて、実際こういう経済的理由でやめるという人が出てきているわけですから、私は政府として医療費の助成制度など含めて早急に手当てするべきだというふうに思いますので、それも要求したいというふうに思います。

 ちょっと時間の関係で、最後、介護保険の問題についてお伺いしたいと思います。

 これは保険料が来年度三千二百四十一円、日本医師会のシンクタンクの日医総研の試算では、大体三年後には五百円から六百円上がるだろうというふうに言われている。やはり保険料の高騰を抑えるために私は国庫負担の拡大というのを検討すべきではないだろうかと。全国市長会の六月六日の決議でも、調整交付金は国の負担の二五%の枠外とするという要求出ております。要するに、これは国庫負担枠を広げろという要求だと思うんです。すぐにということではなく、将来も含めてこれはやはり国庫負担を拡大していくという方向、大臣、聞いていていただきたいんですが、国庫負担を拡大していくという方向を私は検討する必要があるんじゃないかと。

 それからもう一つ、あわせて、やはり企業負担についても、これは同じく日医総研の報告書では、企業負担は八・三%だと介護保険の場合。それに対して家計負担が四〇・七%だということも指摘されているんですね。

 細かい議論はともかくとして、大きな方向としてやはり企業負担あるいは国庫負担というものをこれは拡大していくということを一つの検討課題として今後浮上してくる可能性があるんじゃないか。私は避けて通れないと思うんですが、副大臣ですか、よろしくお願いします。

副大臣(木村義雄君)

 今、委員の御指摘の国庫負担という話になりますと、これ必ず財源がどうだというややこしい議論となってくるわけでございまして、御指摘のとおりこの辺の話をいたしますとまた相当にいろんな問題点が出てくるんじゃないか、こう思っているような次第でございますけれども。

 保険料が著しく高額となるという保険者に対しましては、必要と見込まれるサービスの内容の精査をお願いしますとともに、やはり広域化、財政の安定のためには広域化等を推進していって、できるだけ保険料が高くならないような努力をしていく、こういうのが私は一番大事なことではないかなと、こういうふうに思っておるわけでございまして、保険料が上がるからすぐに国庫負担ということを言うのはいかがなものかなと。

 そして、特に御指摘の国庫負担率の引上げにつきましては、これは給付費の全体の二分の一を公費負担とし、国と地方とでこれを半分半分に負担し合うという介護保険制度のここは根幹なんです。どういう形で負担をしていただくかという中で、ここは一番介護保険制度の根本的な考えなんで、ここをいじりますと、また例えば税だとか保険だとかそういうような議論に広がってまいりますので、私はここは、制度として介護保険制度を導入した以上、この点は変更しない方がよろしいんではないかなと、このように思うわけでございまして、企業の負担のところも、ここはこれに準じて同じような考え方を持っているような次第でございます。

小池晃君

 三年ごとの見直しで五百円、六百円上がっていく。しかも、例えば実態で見れば、沖縄県などは平均で五千三百二十四円。これは後期高齢者が比率が高いということが私はあると思うんですね。やはり介護保険、利用すれば利用するほど、財政規模が大きくなればなるほど、自動的に半分が保険料、自動的に保険料が上がっていくと。私は、四千円、五千円、六千円となっていったときに果たして将来的にこれが制度として維持できるんだろうかと。

 私は、介護保険制度、将来的にも維持可能なものとするために、やはり負担区分の見直しというのは、これは避けて通れない課題になってくるんじゃないかと、そういう観点でお聞きをしている。これは、やはり将来、本当に介護保険制度を維持可能なものとしていく上で、私はこれは見直す時期が来るというふうに思いますので、引き続き検討を求めていきたいというふうに思います。

 それとあわせて、在宅のやっぱり利用がなかなか進んでいないという問題、これをどうするかということであります。

 低所得者だけじゃなくて全体としてやはり在宅の利用が予想に比べればこれはやっぱり伸びが鈍いと思うんですね。在宅介護の利用料を軽減している自治体では、例えば東京の武蔵野市では、在宅サービス全体を利用料を三%に軽減して利用率は四九・四%、全国平均を一〇%以上上回っています。一方で、来年は介護報酬、在宅は引き上げていく方向が打ち出されている。施設は下げていくんだと。そうすると、結局、在宅の報酬を上げていくことはヘルパーの労働条件などから見て必要なことではあるけれども、これは一割の利用料ということで利用者に跳ね返る、在宅の負担がますます高くなる、施設の方が安くなる、ますます在宅から施設へということになる。施設入所増えていけば保険料にもまた跳ね返っていくことになって保険料が高騰していく。私はやはりこれは悪循環じゃないかと思うんです。

 自治体での利用実績を見ても、やはり在宅の利用料を軽減したところ、利用拡大されているという実績はあるわけですから、私はこれを見習ってやっぱり国の制度としても在宅介護の利用料一割というのを軽減していくと。そして、在宅サービスを利用して何とかぎりぎりで頑張れる人、在宅を支援していく、できるだけ施設というふうにならないように支援をしていくということが考え方としては必要なんではないかと思うんですが、この点はいかがですか。

政府参考人(中村秀一君)

 ただいま先生の方から、在宅サービスの利用状況について、また在宅重視の観点から様々考えていくべきではないかというお話がございましたけれども、在宅の利用状況でございますが、二〇〇〇年四月、介護保険がスタートいたしましたときにサービスを利用している方は百四十八万人でございました。施設サービスが約五十二万人、在宅サービスが九十七万人でございます。二〇〇二年六月、今年の六月でございますが、サービス利用者は二百四十八万人ということで、介護保険スタート当時より百万人増えております。施設サービスの利用者は六十九万人ということで十七万人ほど増加、在宅サービスは百七十九万人ということで八十万人以上増えているということで、伸び率で申し上げますと、在宅サービスの伸び率は八四%、施設サービスの伸び率は三三%、二年半で全体で六七%の方の増加になっております。

 先生御指摘のように、そういった中で施設サービスを利用する声も強く、在宅サービスも大変伸びておりますけれども、施設サービスと在宅サービスの在り方が問題になってという御議論もあることも事実でございます。

 今介護報酬の見直しも審議会の方で検討していただいておりますが、そのときに施設サービスの割安感、在宅サービスの割高感ということも言われておりますが、全体から見ますと、要したサービス費用の一割を御負担していただいているというところでございますので、御負担の率としては一緒ではないかと思っておりますけれども、これから介護報酬の見直しのみならず、五年後には介護保険制度の在り方の見直しということが法律の附則でも書いてあり、その際に給付の在り方についての見直しも検討課題になっているわけでございますので、在宅サービスの在り方、施設サービスの在り方、あるいは審議会などでは、有料老人ホームでございますとか痴呆性のグループホームでございますとか、中間的な形態が既に介護保険の中にあるのではないか、第三のカテゴリーではないか、こういったことを総合的に検討していくべきではないかというお話もございますので、私ども、そういった観点から見直しを考えてまいりたいと思います。

 なお、利用料負担の軽減の点につきましては、そういうお考え方もあろうかと思いますけれども、やはり大事な資源をみんなで負担していくという観点から一割の御負担をお願いするという前提で制度を組み立てておりますので、そういった観点から、それを踏まえながらまた検討してまいりたいというふうに考えております。

小池晃君

 全体として在宅サービスが伸びているということは私も否定しないんです。それは事実だと思うんですね。ただ、利用限度額の四割しか使っていないとか、それから要介護認定を受けた人の中で七十万人介護サービス使っていない人がいるという実態があるわけで、やはりそこを更に広げて支えていくために検討するべきじゃないかと。しかも、内閣府の介護サービス価格に関する研究会の報告書を見ると、措置時代にはほぼ無料で介護サービスを受けていたが、介護保険導入後は一割負担となって低所得者は利用が減少した可能性がありますというふうに分析もしております。ですから、やはり在宅サービスをより一層普及していくためにも、私はこの一割の利用料というのは見直す必要があると。

 更に一言言うと、介護保険導入当初、激変緩和措置ということで低所得者については継続利用の人は三%の利用ということになっていた。これ来年から六%に上がっちゃうんですね。これ厚生省に聞くと、三%のまま維持するために必要なお金というのは約十億円、国庫負担十億円で、利用者は十六万四千人で積算していると。私は在宅サービス全体を三%に広げることによってやはり利用拡大を図るべきだと思うけれども、せめてこの低所得者、今まで措置時代から続いてきた人についてはやはり三%ということでやっていたわけだから、しかも景気はますます悪くなっているんですから、これは維持すべきだと。わずか十億円でできるんですから。ちょっと、大臣、寝ないで起きてほしいんですけれども、大臣。三%で維持すべきだと。わずか十億円でできるし、本当に厳しい状態にある方に対する私はメッセージにもなると思うんでこれはやるべきだと思うんですが、いかがですか。

副大臣(木村義雄君)

 低所得者の方々の利用料につきましては、月々の上限額や施設に入所した際の食費を二段階にわたって一般の方より低く設定をいたしております。それから、社会福祉法人によるサービス利用額に対する減免措置も行っておりまして、既にきめ細かな配慮を行っているところでございます。

 利用傾向が伸びていることと考え合わせますと、利用者負担割合を軽減することは考えておりません。

小池晃君

 それが大変だから特別対策で三%にしたわけでしょう。それを打ち切るのかと私は言っているんです。

 特養ホームの旧措置制度での入所者に対する負担軽減、これは五年間の制度だと思いますが、これは五年後の段階ではどうするんですか。

政府参考人(中村秀一君)

 特別養護老人ホームの経過措置でございますけれども、介護保険が施行されましたときに特別養護老人ホームに . .. .. .

小池晃君

 簡単にしてください。

政府参考人(中村秀一君)

 はい。既に入所されておりました方については、例えば要介護認定、そのときは制度がなかったわけでございますから、要介護認定を受けないで入ってしまった、入っておられる方があります。要介護認定しますと、今は、自立の方とか要支援の方がおられたとしますと、直ちに、経過措置がありませんと特別養護老人ホームを出なきゃならないと、こういうようなことなどがございましたので、経過措置を設け、要介護認定をされたとみなして入所される。あるいは措置の費用につきましても、旧措置時代との整合性を考えまして、徴収額について利用者負担の合計額が制度施行前の徴収額を上回らないようにするというような経過措置が設けられております。

 いずれも五年に限りというふうに設けられておりますし、経過措置でございますので、基本は、法律でそういうふうに書かれておりますので、経過措置が終了いたしましたらそれは終了することが基本ではないかというふうに考えております。

小池晃君

 もう質問しません。

 これは、やはりこれだけ景気が悪化している中で、介護保険が始まったときには激変緩和として始めた措置であれば、わずか十億円でできるんですから、在宅の利用軽減というのはこれは続けるべきだということを申し上げて、質問を終わります。

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