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155-参議院臨時国会
2002年12月3日 内閣委員会・構造改革特区法案審議
病院や介護への株式会社参入について追及

小池晃君

 構造改革特区の目玉とされている医療、福祉部門の問題をお聞きします。

 これ、医療も福祉も継続性、公平性、公共性が大事であって、株式会社の参入は営利化を加速してゆがめるのではないかという批判が出ております。

 それで最初に、今回は見送られましたが、病院に対する株式会社の参入問題についてお聞きをしたい。

 厚労省にお聞きしますが、既に株式会社によって運営されている病院あると思いますが、その数、どう推移しているか、お聞かせ願いたいと思います。

政府参考人(篠崎英夫君)

 医療施設動態調査というものがございまして、全国の株式会社立病院の数を直近で申し上げますと、昭和六十二年十月一日現在で八十九施設ございました。これは一番多いときでございました。平成十一年十月一日現在では六十八施設でございます。そして、本年九月末現在では六十二施設となっております。

小池晃君

 八七年八十九から今年六十二ですから、十五年間で二十七病院、三割も減少したことになるわけですね。こうした株式会社立病院の特徴は一体何か、さらに、こうした医療機関にほかの医療機関にない優位性というものがもしあるとすればどういうものか、お聞かせ願いたいと思います。

政府参考人(篠崎英夫君)

 特徴と言えるものかどうかでございますが、設立の経緯が一つの特徴ではないかと思っております。

 現在、先ほど申し上げました六十二の株式会社病院がございますけれども、一つは、専ら従業員の福利厚生の目的として設立されたものが一つのグループでございます。それから、もう一つのグループは、JR や NTT など旧公共企業体のものであったものが、それが民営化に伴いまして株式会社立となったものでございまして、それから、そういうものが元々職域の病院でありましたけれども、その地域住民の要望などによりまして地域全体の住民のための病院というような形で発達をしてきた。あくまでも、病院事業が主体ではなくて、その株式会社の付随的な事業で発達してきたと。これが特徴と言えば特徴だと思います。

小池晃君

 そういう病院にはほかの病院にない優位性、優れた点があるのかということを併せてお聞きしたんですが。

政府参考人(篠崎英夫君)

 六十二それぞれ経緯がございますので、他の株式会社立病院以外のものと比べて何か特別な優位があるかと言われれば、一つはやっぱり、元々の本社からのいろんな支援がある病院が多いというようなところが一つの特徴かと思います。

小池晃君

 要するに、この間の経緯を見ても企業立病院というのは急減しているわけですね。株式会社によって経営すれば非常にその経営手腕が良くてうまくいくかというと、決してそうではないというのが私は実態だと思うんです。

 我が国有数の企業立病院を運営している麻生セメント社長の麻生泰さん、これは麻生政調会長の弟さんですか、がこう言っているんです。たとえ企業参入が解禁されたとしても、医療分野に営利企業はそれほど参入してこない。大臣、ちょっとお聞きいただきたいんですが、こうおっしゃっているんです。企業参入解禁されても営利企業はそれほど参入してこないんだと言っているんですね、麻生セメントの社長さん。麻生セメントというのは有数の、九州に飯塚麻生病院って結構企業立病院としてはよくやっているんじゃないかなというような病院をやっているんです。労働集約型産業で人件費率が五割にも達するという費用構造、そして利益率が三%や五%などという産業は、利益追求という側面だけでいえば余りにもリスキーですとおっしゃっているんですね。しかも、昨今の診療報酬の大変厳しい対応があるわけですね。

 大臣にお伺いしたいのは、こうした条件にある株式会社立病院どんどん減っている、経営環境極めて厳しい、メリットが余り営利企業にはなさそうだ、こういう中で果たして株式会社が病院経営にどんどん参入してくるというような状況になるんだろうか。この点、どのように大臣はお考えなのか、お聞かせ願いたいと思うんです。

国務大臣(鴻池祥肇君)

 小池委員はお医者さんのお立場でもございますので、私どもよりもいろんな意味で御心配のところも深いところがあろうかと思います。

 ただ、どんどんどんどん株式会社として参入してくる可能性があるかどうかというのは私は分かりません。分かりませんが、一つのパイロットケースとして、先行的に株式会社、特に、例えば今回提案がございました丸の内という場所で株式会社をやる、あるいは港区という場所で株式会社の病院を試みにやると。株式会社をすることによって資本が多く集まる、それによって最先端の医療機器、器具を整えることができる。そういったメリットを考えた場合に、私は一度はこういうことを試みてみる必要があると、このように思っております。

 営利を追求するだけの目的と申請の理由には書いてございません。それも、何度も申し上げますように、その株式会社でやりたいというところは土木建築業でもございませんし銀行でもございません、あるいは商社でもありません。医師がこれをやってみたいという、そういう意志、これはあれじゃありませんが、強いそういう思いがあるということを私は絶えず申し上げておるところであります。

小池晃君

 今、大臣が言われたのは、丸の内医療特区であるとか、あるいは神戸の医療特区ということもあります。想定されているのは先端医療的なものが多いと思うんです。この先端医療、高度医療というのは、これは非常に経営的には今の医療保険制度では大幅な赤字になるというのが常識だと思うんですね。しかも、補助金が入らなければどうやってそれを賄うかといえば、これはやはり患者さんから多額の保険外負担を取るということになっていかざるを得ないと思うんです。

 大臣の地元の神戸の経済特区の研究会の議事録を見ても、神戸市医師会の代表はこう言っているんです。そんな特区のそうした病院を造っても、一日何万円もするような個室に入ってくれるようなお金持ちの患者さんの方を当然優先して入院させるということになるだろうと。

 私は、たとえ少なかったとしても、こういう株式会社が参入するような先端医療を手掛ける病院というのは、今までにないようなやはり多額の差額を取るような病院になっていくんじゃないか。こういう病院が参入してくる、増えていくということは、私は医療の在り方をゆがめる危険性があるんではないかということを大変に危惧するわけですが、大臣、その点いかがですか。

国務大臣(鴻池祥肇君)

 そういう方向での考え方もあろうかと思いますけれども、私はそればかりではないと思います。やはり患者の選択というものが大変大きなファクターを持つんではないかと思いますし、また、そんなに高くして患者さんが来てもらえるかどうかということを、やはり株式会社という一つの自由経済社会の中で考え得る部分であるというふうに思いますので、株式会社化にすると極めて高度な医療のいわゆる診療対価として高価なものが支払わなければならないということを今決め付けるわけにはまいらぬことではないかと思います。

小池晃君

 しかし、大臣は小泉内閣メールマガジンでこうおっしゃっているんですね。「構造改革特区って何」というので、「世界屈指の優秀な専門の医者に診てもらえ、最新の機器があり、その上サービス満点の看護婦さんもいる、なんて場所が日本にあれば素晴らしいじゃありませんか。」と。こういう病院になれば必ずやはり多額の差額ということになりかねないと、私、非常に危惧する。

 しかも、これ議論としてやはり外国からの影響というのが私、無視できないんではないかと思いますので、その点をお伺いしたいんですが、外務省、お見えになっていますか。

 医療分野での市場開放を求める動きであります。WTO のサービス交渉が行われておりますが、医師や病院の部門について日本は現時点でどのような約束を対外的に行っているんでしょうか。

政府参考人(佐々江賢一郎君)

 お答え申し上げます。

 先生御承知のとおり、WTO の交渉は、前のウルグアイ・ラウンド交渉というのがございまして、それに引き続きまして今、新しいいわゆる新ラウンドの交渉というものが行われているわけでございますが、現時点まででリクエストについて各国が出しております。まだこれに対してオファーをするという段階に至っておりませんが、そういう状況に今あるということでございますが、現時点までのところ、医師サービスに関しては何ら約束を行っているということはございません。

 それから、病院サービスに関しても、今の行われている交渉については約束を行っているということはございません。ただし、前のウルグアイ・ラウンドの交渉におきまして、我が国は患者が外国人で医療の提供を受けることができる、すなわち日本人が外国に行って外国から医療のサービスを受ける、あるいは我が国の国内、領域内での法人に外国の資本が参加すること自身について制限がないということは前の交渉のラウンドで約束はしております。ただし、今の交渉のラウンドでは、先ほども述べましたように、まだリクエストの段階でございまして、何らオファーも行われていないと、そういう状況でございます。

小池晃君

 前のラウンドの約束というのは、これは私は日本の国内法から見ても当然だと思うんですね。この約束に、今は次のラウンドでリクエストが来ている段階だということなんですが、医療、医師部門、病院部門にどの国からどのようなリクエストが来ているのか、お聞かせ願いたいと思います。

政府参考人(佐々江賢一郎君)

 サービスの貿易交渉におきましては、これは慣例、交渉上の慣例と申しますか、ウルグアイ・ラウンド以降、加盟各国あるいは地域からのリクエストについては公表しない、公開しないということが交渉上のもう慣例になっているわけでございまして、これは我が国のみならず、ほかの国も同様でございます。

 したがいまして、このような慣例あるいは関係国各国の対応を踏まえまして、基本的にはリクエストの内容については公表をしておらない、公表しないということについて是非御理解を得たいと思います。

小池晃君

 その内容は言えなくても、医療部門、病院部門にリクエストが来ているかどうか、このことぐらいは答えていただきたいんですが、これはいかがですか。

政府参考人(佐々江賢一郎君)

 医師や病院のサービスにつきましては、限られた数でございますが、我が国に対するリクエストがあるということは事実でございます。

小池晃君

 これはアメリカからは当然、アメリカがやはり一番この問題では熱心ですから、当然要求来ているんじゃないかと思うんですが、それはいかがですか。

政府参考人(佐々江賢一郎君)

 特定の国については、先ほど申し上げましたとおりちょっと御了解いただきたいと思いますけれども、必ずしも先生がおっしゃっているふうに断定はできないんではないかというふうにも思います。むしろ、周辺国の辺りに関心が強いところがあるということを御参考までに申し上げさせていただきたいと思います。

小池晃君

 これ、十一月一日に在日米国商工会議所のヘルスケア・サービス小委員会、ここが「医療法人経営への株式会社参入実現を」という意見書を出しています。日本の企業のためにわざわざアメリカが株式会社参入を求めるはずもない。これは、世界で唯一株式会社の病院経営を認めているのはアメリカですから、やっぱり自分たちの、自国の企業が入れるようにするための提案なんだろうと思うんです。

 私はこれは、アメリカからは恐らくリクエスト来ているのではないかと思うんですが、厚労省にお聞きしたいんですけれども、前回ラウンドでの WTO サービス交渉での約束表の中身、私はこれ以上の譲歩を日本はすべきでないというふうに考えるんですが、厚労省としてはどのように考えていらっしゃいますか。

政府参考人(篠崎英夫君)

 私どもの考えで申し上げますと、医療の提供につきましては、それぞれの国においてそれぞれの状況に応じて医療施設あるいは医療関連資格などについての制度が設けられているわけでございますから、基本的にはそれぞれの国の責任で行われるべきではないか、このように考えております。

 先ほど来お話のことにつきましてでありますが、現在でも外国の資本の日本国内への参加については制限がないところでありますが、株式会社への参入については認めていないというところでございます。

 また、医師などの人的サービスにおきましては、日本の資格を有していない外国の医療従事者を受け入れることについても現時点では慎重な検討が必要なのではないかと、このように考えております。

小池晃君

 鴻池大臣にお伺いしたいんですが、これも、WTO サービス交渉は再来年末までに結論を出さなければいけないと、今議論したように、こういう門戸開放を求める動きがあるわけです。一方で大臣も、特区の医療というのは、外国のお医者さん呼んで、最新の医療を受けて、そのためには株式会社を作ることが必要なのではないかというふうにもおっしゃっている。

 私は今回の法案というのは、やはり外国企業が日本に、外国といっても株式会社の病院を持っているのはアメリカだけですからアメリカということにこれはなっちゃうわけですけれども、アメリカが日本に株式会社の病院を作れるようにするため、それだけが目的だとは言いませんけれども、今回の法案というのはその条件作りの一つということもあるのではないかと考えるんですが、大臣、いかがですか。

国務大臣(鴻池祥肇君)

 小池委員の質問は大変無礼であり、そして鴻池祥肇に対して失礼な表現であります。

 真摯に、医療に関する最先端の技術を入れる、そういう思いの提案をまじめに受け止めて、これを厚生労働省と調整をしているところであります。

小池晃君

 いや、私は鴻池大臣だからこそ言っているんです。

 大臣の、個人のホームページですけれども、私、拝見しました。これはいいこと書いてあるんですよ。これは、何と書いてあるかというと、規制緩和の大合唱は気に食わない、緩和されるべき規制もある、維持されるべき規制もある、守るべきものは守らなければならない、大資本がすべてやることはない、日本の文化の背景が破壊されるとおっしゃっている。私、そのとおりだと思う。しかし、今進んでいる動きというのは果たしてそうなんだろうか。

 私は大臣にお伺いしたいのは、こういうふうに株式会社に医療の場を提供する、あるいはアメリカによって日本の医療を食い物にされる、こんなこと許さない、絶対そんなことは認めない、これが鴻池さんの政治信念なんじゃないですか。そのことを私、お伺いしたい。

国務大臣(鴻池祥肇君)

 私は、私の政治信念の一つとして、日本の国柄を守らなければならない、日本の歴史、文化、伝統というものを守り続けたい。私が政治家にしていただいておる一つの原点というものはそこにございます。そういう意味で、いつも私はいろんなところで表現をしております。小池委員も今私の表現をなぞっていただきましたけれども、守るべき規制は守らなければならない、外すべき規制は外さなければならない。その守るべき規制というのは、日本の国を共産主義国家にしない、そのためのもの、私は . .. .. . (「問題発言だよ、それ」と呼ぶ者あり)あなたが聞くから言っているんですよ。日本の国の風景というもの、文化、伝統を守るための規制というものは絶対に私は大事だと思っております。

 そして──答弁やめましょうか。

委員長(小川敏夫君)

 もうよろしいですか。

国務大臣(鴻池祥肇君)

 あなたが、外圧に対して鴻池が屈して、それで進めているんじゃないかと、そういう質問をするから私も同じレベルの答弁をしているんです。何かあったら言ってください。

小池晃君

 だから、私は、そういう条件作りと。屈して、外圧に屈して鴻池大臣がやっているという言い方はしていませんよ。こういう法律を作るというのはその一つの条件作りじゃないですかというふうにお聞きしているんで、冷静に聞いていただきたい。

 今の答弁は極めて私は問題だというふうに思いますので、ちょっと後でこれは問題にしたいと思います。ちょっと、じゃ、止めていただけますか。

委員長(小川敏夫君)

 後刻協議する、検討するとして、質問を続けてください。

小池晃君

 じゃ、引き続き、福祉の問題、特別養護老人ホームの株式会社による運営についてお聞きをしたいと思います。

 これ、小泉総理は、有料老人ホーム等については既に株式会社の参入を認めているということを踏まえて、今回、特養ホームに株式会社参入認めるとおっしゃった。厚労省として、簡単に、簡潔にお願いしたいんですが、有料老人ホームの実態、現状についてどう評価しているか、お聞きしたいと思います。

政府参考人(中村秀一君)

 有料老人ホームについてのお尋ねでございますが、有料老人ホームとは、まず第一に、昭和三十八年にできました老人福祉法で有料老人ホームというものが定められております。有料老人ホームの定義についてでございますが、常時十人以上の老人を入所させ、食事の提供その他日常生活上の便宜を供与することを目的とする施設であって、老人福祉施設ではないもの、老人福祉施設とは特別養護老人ホームなど老人福祉法で定められている福祉施設でございますけれども、そういうものではないものが有料老人ホームというふうに老人福祉法で定義され、その施設を設置する方はあらかじめ都道府県知事に一定の事項を届け出ると、こういうふうにされているものが有料老人ホームでございます。

 したがいまして、先生から今御指摘がありましたように、設置主体は限定がされておらず、補助金による助成も元来、昭和三十八年にこの法律ができましたときからないという、民間の創意工夫で造っていただく施設というふうに認識しております。

 現状は、平成十三年七月一日現在で全国で四百施設ございまして、入居者が二万九千百二十六名、高齢者の住まいと食事等のサービスを提供しております。

 このうち、平成十二年の四月から介護保険制度がスタートいたしました。介護保険制度では、一定の基準を満たしております有料老人ホームにつきまして、特定施設入所者生活介護という長い名前ですが、指定を行いまして、その施設に対しては介護保険の方から介護給付費を支給しております。この施設が三百二施設、全体の入居者が二万五千三百七十八名でございますが、この入居者のうち約一万人の方が要介護認定などを受けておられ、介護をしていただいているということでございます。

 位置付けはこういうふうに民間の多様な施設でございますので . .. .. .

委員長(小川敏夫君)

 答弁は簡潔にお願いします。

政府参考人(中村秀一君)

 介護につきましても一定の役割を果たしていただいているというふうに認識しております。

小池晃君

 この介護保険の特定施設の指定を取らない有料老人ホームの問題なんですね。もちろん、全体としては立派なケアを提供している施設もあるんですが、そういう指定を取らないところが増えていると。なぜそんなところが増えているかというと、特定施設を取った場合の介護報酬は要介護五の場合でも月二十六万円なのに、指定を取らずにマンションに在宅介護をやっているという形態にすれば、要介護五で支給限度額は三十五万円です。しかも、施設基準も人員基準も何もないわけです。だから届出しないケースが増えていると。

 例えば、神戸製鋼の子会社の神鋼ケアライフ、これはフォセッタ摩耶というのが特定施設の届出していないんですね。それなのに、併設しているシニア住宅のエレガーノ摩耶というのがあるんですが、ここの広告では、「同一敷地内に併設した介護専用の施設「フォセッタ摩耶」で終身にわたる介護をお約束します。」と書いてある。

 あるいは最近増えているのは、リストラで会社の独身寮が必要なくなって、それを有料ホームに転用する例が増えている。最近、立川市内でできたホームは元銀行の女子寮だった。これは特定施設でないんですね。ところが広告を見ると、要介護認定を受けている方のため、あるいはその退院後の生活に不安のある方にというようなことが書いてある。何の施設基準も人員基準も満たしていないのに、あたかも十分な介護を受けられるというような宣伝がされているわけです。

 公正取引委員会にお伺いしたいんですが、消費者保護の観点から、こうした実態には問題があるんじゃないかと思うんですが、いかがでしょうか。

政府参考人(楢崎憲安君)

 有料老人ホームにつきましては様々な御指摘等があるところでございますけれども、いったん入所すると容易にほかのところに変えられないという特性がございますので、入所するときに正しい表示がなされるといったことが非常に重要なことであるというふうに考えているところでございます。

 したがいまして、私ども、平成九年度以降、消費者の方々に体験入所等をしていただいて、表示と実態がどうなっているかという調査をしてきたところでございますし、また、その調査の一環として、景品表示法上問題のあるような不当表示が行われている場合には、平成九年以降十四件にわたって警告をする等、所要の改善措置を講じているところでございますし、また、関係の団体に対し、表示の適正化の一層の徹底といったことを要請しているところでございます。

小池晃君

 鴻池大臣にお伺いしたいんですが、有料老人ホームってかなりいろいろと問題があるわけですね。これ、企業参入の先行例なんです。やはり、こうしたことを放置したまま特養ホームを株式会社に門戸を開放すると、私は様々な弊害が予想されるのではないかと考えるんですが、その点についてどうお考えですか。

国務大臣(鴻池祥肇君)

 従来は、経営主体というのは自治体または社会福祉法人に限定をされておったようでございます。

 しかしながら、今回、特区に関し、自治体からの提案もございました。有料老人ホームについては既に株式会社の参入が認められていることなどを踏まえて、私からも厚生労働大臣に要請を行いました。その結果、特区において試行的に株式会社による特別養護老人ホームの経営参入が図られたものと認識をいたしているところであります。

 このような老人福祉の分野への株式会社の参入は弊害を生ずるのではないかということでございますけれども、利用者の保護に配慮して地方自治体が十分関与できる方式としたものであるということも御承知をいただきたいと思います。むしろ、この特例措置により、特別養護老人ホームが不足している地域での整備促進の効果を期待しており、地方自治体が地域のニーズを踏まえて計画を策定してくるものと考えております。

小池晃君

 私は、この分野で規制改革、規制緩和というのであれば、何をなすべきかといえば、やはり特養ホームが足りないと。地域ではその参酌標準というのがあって、やはりこれしか作れないという、そういう規制があるわけですよ。そういう規制こそ取っ払うべきだと。

 それで介護保険料が上がっちゃうという問題があります。それに対して厚生労働省は、介護保険料を引き下げるために自治体がいろんな取組をすることにも規制している。こういう規制こそ取り外すべきだと。私は、そういうことが本当に今求められている規制緩和だというふうに思いますよ。

 そのことはちょっと、今日は厚生労働委員会ではないのでこのくらいにしておきますが。

 最後に大臣に、先ほど、これは自分の信念でやっているんだと、国民の医療のために、福祉のためにやっているんだとおっしゃった。だとすれば、私が言いたいのは、構造改革特区の提案を行っている内閣府の総合規制改革会議、議長は宮内義彦さん、これはオリックスの代表取締役会長です。オリックスグループというのは、御存じのように、これは生命保険、がん保険を商品としている。混合診療になれば、非常に民間医療保険の巨大市場で期待できる企業なんです。あるいは議長代理は鈴木良男さん、この方は旭化成の子会社の旭リサーチセンターの社長だと。旭化成というのも、やはり医薬品・診断薬の製造を手掛けているし、子会社では透析のダイアライザーなんかを作っている会社もあるんですね。

 やはり総合規制改革会議のトップの二人ですよ。これが二人とも、医療への企業参入が進めば非常にビジネスチャンスとしては期待できるという人たちなんですね。

 私は、大臣がおっしゃるように、本当に日本の医療の未来、福祉の未来を考えるための構造改革だというふうにおっしゃるんだったら、私からこんなことを言われないように、こういう関係があるような、医療分野への参入をねらっているような企業の幹部、こうした人はやはりきっぱりと総合規制改革会議の議長とか議長代理から外すべきじゃないですか。そのことをきっぱりやるべきだと思いますが、いかがですか。

国務大臣(鴻池祥肇君)

 総合規制改革会議の人選につきましては全く私の承知いたさないところでございますし、また、特区を担当する閣僚といたしましてもタッチのできない部分ではなかろうかと思います。また、宮内氏、鈴木氏がどういう御商売を営んでおられるかというのは私は全く存じませんし、関与しないところでございます。

 先ほど大変大きな声を出しました。これはまずおわびを申し上げますけれども、ただ、小池委員が、鴻池は外国の指示に従って動いているのではないかというふうに私が取ったものでありますから、ですからそれは極めて無礼な話であると、このように申し上げました。

 ただいまの御質問につきましてもそれに近いところであろうかと思います。

小池晃君

 もう質問しませんが、どんな商売をしているかというのは大事ですよ、これ。やっぱりこういう企業のトップがやっているとなれば、これはやはり何をねらっているか。

 結果として、医療分野、福祉分野の規制緩和、企業参入が進んだら一番喜ぶ企業の人たちが検討している。あるいは一番喜ぶかもしれないアメリカの企業から要求が来ている。そういうのを見れば、私は、構造改革特区のこのやり方というのは、正にだれが一番喜ぶのかということを言いたい。

 こうした構造改革特区を幾ら推進しても、私は、日本経済の再生にはつながらないし、医療や福祉の公共性をゆがめて、やっぱり金の切れ目が命の切れ目というような状況を作り出しかねないという危険があるということを改めて申し上げて、私の質問を終わります。

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