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2002年11月21日(木) 厚生労働委員会

母子・寡婦福祉法等改正案に対する反対討論
母子家庭を追いつめる児童扶養手当の削減に反対

 私は、日本共産党を代表して、「母子及び寡婦福祉法等の一部を改正する法律案」に反対の討論を行います。

 大臣は政府案について「離婚後の激変緩和と自立を促進する制度に改めるものであり、児童扶養手当の趣旨を変えるものでない」と答弁しましたが、それこそが趣旨の変更なのであります。政府案は、母子家庭の児童の健やかな育成に必要な条件と母親の健康で文化的な生活の保障を明記する母子・寡婦福祉法の趣旨に明確に反する改悪であることを最初に指摘しておきます。

 政府案に反対する理由の第一は、児童扶養手当の支給期間が 5 年を超えた場合に手当を最大で半額まで削減するとしていることです。

 政府はこれまで 5 年目以降に手当を削減する根拠として「平均受給期間が 5 年だから」と説明してきました。

 ところが、一昨日の委員会で、この数字は「調査時点で手当を受けている人の平均受給期間」であり、受給終了までの平均期間でないことが明らかになりました。

 つまり、平均 5 年で受給が終了するので手当を削減するというこれまでの説明は、全くのごまかしであったわけです。大臣も間違った認識で答えていたことを認めました。法案の中心部分の根拠が崩れた以上、法案は当然撤回すべきです。厚生労働省は、一昨日になって、「所得制限に達して受給を終えた人の平均受給期間は 5.56 年だ」とこれまでと違う説明を始めましたが、この数字は所得制限を超えた、わずか 1 万人、1.4 %の世帯の平均であり、全体の状況を示すものではありません。

 平均的な母子家庭は、必死に働いても一般世帯の三分の一程度の年収にとどまっているのです。午前中の参考人質疑でも、母子家庭の生活の厳しさが浮き彫りになり、5 年目以降に子どもの教育などの費用が一層増えるのに何故削減なのか、との厳しい指摘がありました。5 年目以降に手当を削減することは、生活が困難な母子家庭をさらに追いつめ、子どもの教育を受ける権利まで阻害するものであり、断じて認められません。

 反対する第二の理由は、母子家庭にたいする自立支援策が全く不十分なまま、「自立自助」を押し付けていることです。

 母子家庭の母親は言うまでもなく自立の道を必死で探っていますが、現在の雇用情勢のもとでは最も厳しい状態におかれています。法案では就労事業について行政の努力義務規定にとどまっております。実効性の保証が全くないことは、大臣が衆院で「どれだけの就労が見込めるかやってみないとわからない」と答弁している通りです。これではとても母子家庭のみなさんの不安を解消することなど出来ません。

 反対する第三の理由は、養育費を確保する努力義務を、事実上、母親に押し付けていることです。一方で国は「広報その他の措置」に努めるとしているだけです。

 親の扶養義務や養育費の支払義務を明記することは当然ですが、多くの母親にとって、別れた夫に養育費の支払いを請求することは大変な負担です。養育費の支払義務が履行されない場合の救済などの制度的保障こそが必要です。

 政府はすでに今年 8 月から児童扶養手当の所得制限を大幅に引き下げ、受給者の約半数、33 万人が減額になりました。本法案は、さらに将来にわたって手当を削減する仕組みをつくるものです。これは、母子家庭の生活を保障する国の責任を放棄し、母子家庭の希望を奪うものであり、到底認められません。

 なお、民主党・新緑風会提出の修正案は、受給 5 年目以降の児童扶養手当減額という政府案の根本問題の解消にならないので賛成できない旨を申し上げ、反対討論を終わります。

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