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157 臨時国会 予算委員会総括質問

2003年10月3日(木)


年金保険収入 2 年で 3 兆円の見込み違い
給付“削減ありき”の政府検討案 年金財政悪化の原因改めよ


小池晃君

 年金の問題について今日はお尋ねをします。

 内閣府が六月に発表した世論調査では、六七%もの人が日常生活で悩みや不安を感じていると答えております。悩みの中で最も多いのは老後の生活設計。老後の生活を支える年金への不安、これにほかなりません。しかし、政府から出てくる年金の改定案はもうどれもこれも大幅な削減ばかりであります。これでは本当に不安が募るばかりではないでしょうか。

 そこで、総理に最初に現状の認識を私はお伺いしたいんです。削減ありきの議論、横行していますが、現在の公的年金の水準を総理はどう見ておられるか。

 最近で言うと、二〇〇〇年度で厚生年金平均月額十七万七千円、国民年金の平均で月額五万一千円、自営業者だとこれ四万四千八百円にすぎない。今年九月に発表された日銀の世論調査でも、年金だけでは日常生活費程度も賄うのが難しい、こういう回答がこれ増えてきているんですね。五割超えているんです。これが国民の声だと思うんですが、総理は現状の水準をどう考えていらっしゃいますか。

内閣総理大臣(小泉純一郎君)

 現状の水準のままずっと維持していきますと、これは給付の分を考えますと、保険料の負担者の負担が重過ぎると。やはり現状の給付水準だけを見るのではなくて、これは負担の側の方も見なきゃいけないと。給付と負担と、そして税金をどれほど投入するのかと、両面を見なきゃいけないと思うのであります。

 特に最近は、加入者が、加入できるのにもかかわらず加入しないという人も増えておりますので、そういう公的年金に対する信頼性も維持していかなきゃならない。税制としてこの制度を支えるための安定した財源というのはどうあるべきかという点も考えなきゃならない。もう多方面のことがあるわけであります。

 しかし、現状の給付水準を維持するということになりますと、とてもこの制度を支える若い人の負担は負担し切れないであろうという面も考えなきゃいかぬ。そこにこの改革の難しさがあるんだと私は思っております。

小池晃君

 現状でも暮らしていけないという声に全く答えていないじゃないですか。将来のことがあるからということで、私が聞いているのは、現状をどう見るのかということなんです。全くそれに答えていない。

 さらに、今もう給付の削減が不可避である、削らなきゃいけないんだというふうにおっしゃった。どんな今削減案が出ているかというと、これは保険料を毎年引き上げていこうと。二〇二二年までに二〇%にした上で、二〇三二年以降は、現役世代の所得の六〇%を保障している年金をこれ五二%まで引き下げる、これ厚労省の案。モデル年金なら、月二万八千円、年間三十四万円もの減額ですね。さらに、財務省の案では、年金は最低限の生活を保障できればよいと。塩川財務大臣は四〇%程度を保障すればいいんじゃないかと発言している。これでは三割以上の年金削減ということになるんですよ。

 総理に私お尋ねしたいのは、こんなふうに給付削減、給付削減の提案ばかりでいれば、これ、ますます年金不信募るでしょう。そうすれば、将来の不安から消費を冷え込ませる、ますます景気を悪化させて、結局、将来のこと将来のことというふうに総理おっしゃるけれども、年金財政の将来をどんどんどんどん火の車にしていく、そういう私は削減提案ではないかというふうに思うんですが、総理、いかがですか。

内閣総理大臣(小泉純一郎君)

 それは、先ほども言いましたように、今の給付水準を維持しますと、負担し切れないような保険料を負担しなきゃならない、そういう点も考えなきゃならないということを言ったわけであります。

 だから、保険料はこの程度が限度ですよ、そうすると給付水準はどうなりますかと。そこで、給付水準を五〇%がいいのか何%がいいのかというのはこれからの議論でありますが、そのためにはどういう安定した財源を確保するかというのが今後まとめていかなきゃならない主要な論点だと思います。

 今の保険料を払っても、それよりも少ない給付しかもらえないという意見がありますが、決してそうじゃないんであって、例えば一〇%の保険料でありますが、今は給付水準は給料の五〇%程度をもらっているわけでありますので、決して今の公的年金が民間の年金に比べて損だとかなくなるとかいう話じゃないんです。この公的年金には必ず税金投入されておりますし、今後お互いが支え合っていかなきゃならない制度でありますので、給付だけでなくて負担の面も両方考えて改革案を取りまとめなければいけないと思っております。

小池晃君

 社会保障の問題、総理と一緒に議論をすると、いつもそうなんですよ。給付と負担だと。負担が嫌、給付を増やしたいんだったら負担我慢せよと、負担嫌なら給付を我慢せよと、こういう議論で、国の役割というのは全然ないんですよ。私、これでは本当に国の責任果たしたことにならないと思う。

 そして、おっしゃいますように、年金の保険料を払っていない人が増えている。加入しないんじゃないんです、加入できなくなっている。そういう実態を是非見ていただきたいと思うんですね。

 年金財政が今急速に悪化している原因を明らかにすることなしに私は改革の方向というのは出てこないはずだというふうに思うんです。そこで、どうしてこの年金財政が急速に最近悪化してきているのか、その原因が一体どこにあるのか、これを議論したい。


厚生労働省の資料から作成。1999年時点の見通しと実態を比較したもの
 
 
 

 パネル持ってまいりました。(図表掲示)最近、年金財政が悪化した最大の原因は、政府のリストラ支援、中小企業つぶしのせい。この結果、年金の支え手が急速に減っているわけですよ。これは一九九九年に政府が立てた見込みと比べて、ごく最近立てた見込みと比べて、二〇〇〇年度、わずか一年後で二百十一万人減っている。それから、二〇〇一年度には二百八十二万人厚生年金の加入者減っているわけです。その結果、保険料収入、賃下げの影響もあります、二〇〇〇年度で一兆一千億円、二〇〇一年度で一兆八千億円減っている。たった二年間で入るべき保険料が三兆円も入っていないわけなんですね。

 これだけじゃありません。見込み違いはもう一つあります。積立金の運用の失敗です。この二年間で運用収入がこれまた二兆八千億円予想より減っているわけなんです。これ書いていませんけれども、パネルには。合わせると六兆円でしょう。私、前回改定からわずか二年で大幅に六兆円も見込みが狂っている。足下がどんどん今崩れているわけですよ、総理。

 そもそも、総理、この景気の悪化とリストラの支援ということで年金収入が急速に悪化していると、これ重大な事態だというふうに思われませんか。ここを直ちに立ち直らせなければ、私は年金の制度の未来はないというふうに思うんですが、総理、いかがですか。総理ですよ、これ総理答えてください。今日は全部総理に聞きたいんです。

国務大臣(坂口力君)

 今見せていただきましたその数字というのは、それはそうなるかもしれません。これは景気が非常に停滞をしたときでありますから、働く人の数が一時的に減った。しかし、これは一時的な現象でありまして、景気の回復されればまた働く人の数は増えてくるわけでありまして、長期的な展望で見れば、その上下は確かにあると思いますけれども、それはなくなっていくものだというふうに思っております。

 そして、先ほど運用のお話もされましたけれども、運用の面も、確かに昨年は株式が低迷いたしましたので下がりましたけれども、今年はかなり上がってまいりまして、四月から六月だけでも二兆円を超えるもう増益になっているわけでありますから、減りました分は取り返しているというふうに思っているところでございます。

 そうしたことで、短期的に見れば出入りはございますけれども、年金というのはもう少し長期的な展望でやはり見ていかないといけないというふうに思っております。

小池晃君

 景気はこれから良くなるでしょう、株価も上がってまいります、全く根拠のないそんな見通しで今起こっている事態を正面から見ない。本当に無責任だと私は思う。こういう事態が起こっているのは私はそんな一時的な現象じゃないと思いますよ。これは非常に深刻な事態なんです。

 
厚生労働省資料(各年度3月末現在の年代別加入者数)、総務省人口推計(各年度10月1日現在)にもとづき作成。
 
 

 これ、なぜこういう厚生年金の加入者が減少しているんだろうか。これ一番減っているのは、これパネルをごらんください。(図表掲示)最も減少しているのは二十代の青年であります。二十代の青年労働者が、厚生年金の加入者が激減をしているわけです。これ見ていただくと、九六年度には九百七万人の加入者だったのが二〇〇一年度末には、これは予想は九百万人だったんです、ところがこれ百万人も下回っているわけです、八百八万人。そして、さらに二〇〇一年度、二〇〇〇年度末には七百六十八万人までなっている。九六年には四七・四%だった加入率が四二・九%まで下がってきている。恐らく現在、四割切っているかもしれない。これは、言うまでもなく雇用の流動化政策がもたらしているんです。一時的な現象じゃないんです。政府の政策的に進めている問題がこういう事態を作ってきている。

 この層が加入者が減っていることによって厚生年金の基盤が急速に崩れてきているわけですよ。若年者で、保険料の支え手が若年者で減るというのは、一つは当面の年金財政、保険料の支え手が減ることによって当面の財政が悪化する。それだけじゃありません。不安定雇用が増えれば晩婚化、少子化が進んでくる、そうすればこれは将来の支え手も減らしていくんです。正に現在の支え手を減らし、将来の支え手を減らす、正に二重の悪循環が起こっているわけですよ。

 こういう深刻な事態が進行しているときに、それに手を打たずに年金制度の安定なんて図れるんですか。総理、お答えいただきたい。

国務大臣(坂口力君)

 その表が示しておりますのは、現在の二十代前半の皆さん方の雇用の問題に関係しているというふうに思います。

 確かに、その時点におきます雇用というのは、非常に今状況が悪いことは事実でございまして、それに対して我々は今一生懸命手を打っている、先ほど総理からもお答えのあったとおりでございます。そこの雇用の問題を解決をしていくということにこれからも努力をしたいというふうに思いますし、そのことによって、その二十代、特に前半の皆さん方の低い加入率を上げていかなければならないというふうに思っております。

 これは可能だというふうに思っておりまして、来年からもデュアルシステム、そうしたものを新しく導入をして、そしてお若い皆さん方にも一部勉強をしてもらいながら、そしてまた、お勤めをいただけるような課程も作りながら、その部分の雇用の回復に努めていきたいと考えているところでございます。

小池晃君

 青年雇用対策を進めているなんとおっしゃいますけれども、内閣府の国民生活白書でも、フリーターの増加の原因というのは、企業が新卒正社員採用を厳しく抑制しているためとはっきり書いてあるんですよ。

 ところが、今御紹介になった政府のこの若者自立・挑戦プランというんですか、これは若者自身に頑張って挑戦しなさいよというだけの話で、これ企業に対して新卒者の採用、若者の採用枠を増やせ、こういう施策一つもないんですよ。あるんだったら挙げてくださいよ。全くないんですよ。政府が大企業に対して若者の雇用責任を果たすよう働き掛けることこそ今求められているんです。そういう施策を一切打たずに、こんなふうに雪崩を打って雇用環境が悪化している状況に歯止めを掛けることなんて決してできないですよ。

 私は、本気になってやらなければ、今大変なことになっているんだということを申し上げたいんです。こういうことに本気で取り組むことこそ年金制度の立て直しにつながっていくんですよ。

 しかも、年金財政を悪化させたのはこれだけじゃありません。支え手を減らしたということを一つ私は挙げましたが、三つ原因があるというふうに思っています。

 年金財政が急速に悪化した原因、まず、先ほども議論ありました基礎年金に対する国庫負担二分の一への引上げ、これ先送りであります。これ九四年の国会で、これ自民党も賛成して九九年までにやると附帯決議を上げて、実はこの間やるべきことだったんだ。ところが、それを先送りしたんですよ。そして、先ほども議論あったように、来年度やらなければいけない二分の一の引上げをまた先送りしようとしているじゃないですか。これは国民に対する約束ですよ。

 これを、歳出見直しのあらゆる努力を行って、これ来年度やるべきことではないですか。いかがですか、総理、お答えいただきたい。財政の問題ですよ。総理ですよ。

国務大臣(坂口力君)

 二分の一への引上げにつきましては、これは先ほどからほかの皆さんからもいろいろ御質問がございましたように、それに対しまして政府として全力を挙げて取り組んでいるということでございます。

 今日、財務大臣からもお話ございましたとおり、それは今後どういう年金制度にするかということともかかわってくる話でありますから、それを決める中におきましてその基礎年金の国庫負担の問題も決着を付けると、こういうことでございます。

小池晃君

 全くごまかしですよ。これは五年前にもうやるって決めたんですよ。昨日今日決めたことじゃないんです。平成十六年までに財源を準備して二分の一に引き上げる。五年間準備期間があった。それをやらなかったのは政府の責任じゃないですか。そして、今もう十月ですよ。来年までにこれをやれるんですか。先送りまたしようというんですか。こんなことは断じて許されない。

 それから、二番目、積立金の運用の問題です。

 先ほども議論あったように、これ株式の問題で大変な穴を空けているわけですよ。これは六兆円穴空けて、五年後までに積立金をこれ全部自主運用、回そうとしている。私は、これで一体どれほどの損失出るか。

 今日、もう一つの損失の問題を取り上げたいんです。年金資金、掛金を、もうどぶに捨てるように無駄遣いしてきた箱物造りの問題です。これはグリーンピアの問題ですね。

 

 
 

 これは年金掛金を利用してレジャーランドを造ったわけですよ、全国十三か所に。それが大規模年金保養基地と言われている、通称グリーンピアであります。

 先日、ある新聞で鹿児島のグリーンピア指宿についてこれを特集していましたが、見出しには百万坪の廃墟、マムシが出るんだという紹介をされていた。

 これは経営不振で、政府は再来年までにすべて廃止をする、売却をするという方針だと言いますが、これは売却できたんですか。売却の見込みが立っているところはあるんでしょうか。

政府参考人(吉武民樹君)

 グリーンピアは、大規模年金保養基地につきましては、昭和もう四十年代後半から、年金の被保険者あるいは受給者のための総合的な保養基地、施設ということで構想がございまして、昭和五十五年から六十二、三年にかけまして全国十三か所で開所をいたしております。

 現在の方針で申し上げますと、平成十七年度までに事業を廃止をするという方針でございます。

 指宿につきましては、これは建設費につきましては年金福祉事業団が賄うということでございますが、運営につきましては基本的には地方自治体にお願いをいたしまして、運営については独立採算でやるという方針でやっておりましたけれども、指宿につきましては、最近の状況の悪化といいますか、運営についても赤字が出だしましたので廃止をいたしております。廃止をした後、一度、地元のホテルのような方にも公募をいたしましたけれども、公募が今不調でございまして、現在、地元の指宿市を中心に公的にこれを活用していただけないかということで検討をしていただいているところでございます。

小池晃君

 売却の見込みが立っているところはどこですかと聞いているんです。

政府参考人(吉武民樹君)

 現在、今年の秋に二か所、地元の自治体を中心にこれを活用しようということで協議が進んでいるところがございます。

 その一か所は、ホテルにつきましては、いわゆる介護老人施設に活用していこうということでございます。それからもう一か所は、地元の住民の方のための総合的な……

小池晃君

 どこかと聞いているんです。

政府参考人(吉武民樹君)

 公園的な機能としてやっていこうと……

小池晃君

 どこかと聞いているんです。(「場所は」と呼ぶ者あり)

政府参考人(吉武民樹君)

 場所は──失礼いたしました。どうも失礼いたしました。

委員長(片山虎之助君)

 質問をよく聞いて。

政府参考人(吉武民樹君)

 一か所は岩沼基地でございます。これは宮城県でございます。もう一か所は福島県の二本松基地、この二基地でございます。それから、それ以外の基地につきましても、先ほど申しましたように、すべての基地につきまして地元の自治体を中心としてこれを利活用しようということを、検討体制ができております。

小池晃君

 そのほかは見込み全然立ってないんですけれどもね。売却が決まっているグリーンピア岩沼、グリーンピア二本松、ここにつぎ込んだ年金掛金、建設費等、維持管理費、過去どれだけになるんですか。お答えいただきたい。

政府参考人(吉武民樹君)

 先ほども申し上げましたけれども、岩沼基地、二本松基地、いずれも昭和六十三年に開所をいたしておりまして、その前から建設をいたしております。岩沼基地は建設費が七十七億でございますが、減価償却がございますので簿価は四十九億でございます。維持管理費につきましては、修繕それから固定資産税の負担を中心に出しておりますが、これが累計で九億でございます。二本松基地につきましては建設費が八十億、簿価が四十八億、それから維持管理費が累計で九億でございます。

小池晃君

 それぞれ幾らで売却する予定なんですか。

政府参考人(吉武民樹君)

 これはただいまその地元の自治体と売却についての協議を行っているところでございます。その売却の最終的な考え方を申し上げますと、基本的には時価評価による売却でございますが、自治体が活用される場合には二分の一に減額して譲渡をするという形でございます。まだその売却の契約が終わっておりませんので、最終的な譲渡額は確定をいたしておりません。

小池晃君

 これはそれぞれの市議会ではもう発表されているんですよ。こういう数字を発表しないところに本当に年金不信をあおっていると私は思いますよ。国民の掛金じゃないですか。それを自分たちのもののように使っている。本当に許し難い。

 岩沼市ではこれは三億六百八十五万円ですよ。それから、二本松市は市議会で三億三千百九十万円。九十億円掛けて造った施設ですよ。それを三億円で売るんですよ。維持管理費九億円掛かっているんですよ。維持管理費の三分の一だと。私は、こういうやり方をしておきながらだれも責任を取っていない。年金掛金を次から次へと株式に投資をし、あるいはこういう箱物造りに投資をし、そして赤字で行き詰まったら二束三文で売り払う、こんなやり方をしていて、国民に対して年金を削減する痛みを押し付ける。総理、こんなことができるんですか。私は、こういうことについてきっちり責任取るべきだと思っている。

 ところで、これは昭和六十三年に造った施設なんですよ。昭和六十三年に総理は何をされていましたか。

内閣総理大臣(小泉純一郎君)

 六十三年は自民党の国会対策筆頭副委員長だったかな。そして、平成元年に厚生大臣だと思います。

 それで、今の話でもっともな点あるんですよ。私が厚生大臣のとき、何でこの年金福祉事業団の仕事が必要なのか、廃止しろと言ったら、もう慌てて、とんでもないって飛び上がるほどみんなびっくりしましたよ。こういうことをやる必要ないんですよ。ところが、これ難しいところは、全部賛成するんですね、地元の人も。造ってくれと言う。当時、造ったころは与野党反対する人いなかったですよ。しかし、できちゃって、なると、この赤字等で本当にこれはやる仕事かと。年金保険が、資金が、積立金がたくさんあるから、こういうものを造っていっちゃう。

 私は疑問に思ったから、二回目の厚生大臣やったときに廃止しなさいと言って、こういうことをするなと。これ続けていくと、ますます維持管理費が上がっちゃうんです。安くても売れるんなら早く売っちゃった方がいいんです。これを廃止して、無駄なグリーンピアなんてもう国がやる必要ない、事務次官の天下り機関にすぎないじゃないかと言ったのは私なんですよ。

小池晃君

 昭和六十三年に総理は厚生大臣やっているんですよ、これ造ったときに。今度二束三文で売り渡すところを。その後の厚生大臣になって、そのときに、ああ間違ったことをやったのかなと思ったのかもしれないけれども、あなたが厚生大臣のときにこういうことをやっていたということははっきりしているんです。

 そして、野党は賛成したなんておっしゃいますけれども、私どもは積立金持つこと自体に、これはおかしいんだということをずっと言ってきていますから、そういうゆがめた言い方はしないでいただきたい。私どもは積立金にきっぱり反対していました。

 改革したとおっしゃるけれども、じゃ何が変わったんですか。年金福祉事業団、確かになくなりました。年金資金運用基金と名前は変わりましたよ。でも、年金資金運用基金の理事長はだれですか。厚生労働省の事務次官が天下りしているじゃないですか、いまだに。そして、株式運用をして大変な赤字を出している。何も変わっていないじゃないですか。総理の言う改革というのは看板替えれば改革なんですか。この年金の問題ではっきりしていますよ。やっていることは全く同じです。名前が変わっただけじゃないですか。

 私は、総理、はっきり答えていただきたい。これが今の年金制度をめちゃくちゃにしてきた三つの原因なんですよ。総理はこれからこれをどうやって、これを変えるつもりあるのか、きっぱり改めるつもりはあるのか。基礎年金に対する国庫負担、国民に対する約束です。来年、きっぱり引き上げる、これは断固としてやるべきじゃないですか。そして、積立金でこれだけの損失を作ってきた。これきっぱり反省して、積立金なんというのは取り崩していく、そういう方向へ行くべきですよ。

 そして、支え手、何といってもリストラ支援の今の政策を根本から改めて、やはり雇用を守っていく、大企業に対してきっぱり責任守らせる。こういう仕事をやらないで国民にだけ痛みを押し付けるなんという議論が通用すると思うんですか。はっきりお答えいただきたい。

内閣総理大臣(小泉純一郎君)

 今挙げたその三つの部分だけが年金財政悪化の理由じゃありませんが、雇用の問題、そして経済成長の問題、加入者の問題、それから給付と負担の問題があるので、引き上げろ引き上げろと今一番、税金を引き上げろ引き上げろと言うと共産党は絶対引き上げること、いざ具体的になってくると反対でしょう。どういう税金、じゃどこを税金引き上げるのかという議論はこれからなんですよ。

 それほど、給付と負担というと負担の方は反対するけれども、年金にしても医療にしても介護にしても、給付だけでもたないんですよ。どこかでだれかが負担しなきゃもたない。(「無駄遣いやめろ」と呼ぶ者あり)それは、無駄遣いをやめようとしているのは小泉内閣、一番今それを進めているんです。

 だから、そういう中で給付は一杯の方がいい、保険料は少なくていい、じゃ公費を上げろ。じゃ税金なんですから、じゃ、これ税金をどんどんどんどん下げろ下げろといって、どうやってこの年金制度もつのか。そういう点を総合的に考えなきゃならないのがこの社会保障の難しさなんです。

 今、日本は予算の中で社会保障に一番金使っているんですよ。公共事業は八兆九千億円だけれども、福祉だけで十九兆円使っていますから、今年度も。こういう点において、福祉の方はどんどんどんどん金を入れなきゃならない。そこで、お互い給付だけのことは考えないでくれと。高齢者は給付が多ければ多くと言うに決まっている。ただ、若い人、保険料、二〇%以上負担できるのかと、まあ企業と折半だけども。こういう負担と給付を両方考えなきゃいかぬ。

 で、保険料払っていれば損だということは絶対ないと。だって、どんなに上がったって保険料負担する人は一〇%以上上げないと、企業と負担、企業もありますから。給付の方は五〇%がいいか四〇%がいいかと考えているんだから、保険料より給付の方が多いのに決まっているんです。だから、保険料を払って損するということは絶対ないんです、この公的年金について。

 そういう点も考えながら、長生きできる時代になったんですから、これもお互い若い人と高齢者が支え合うような制度に総合的に考えて、二分の一へ税金を引き上げるんだったらどういう税金を引き上げるのか、そんなに税金引き上げるのが嫌だったらばどれだけの給付でいいのかという、保険料、どの程度にするかと、それはやっぱり総合的に考えなきゃこの問題というのはなかなか解決しない問題なんです。

小池晃君

 総理は保険料で取るのか税金で取るのかと、右のポケットから取るのか左のポケットから取るのか、取ることしか考えていないんですよ。私が言っているのは税金の使い方変えなさいと言っているんです。保険料で取るのか税金で取るのかじゃないんだ。税金の使い方を変えろと。

 そもそも、国民が国と地方に納めている税金のうち、社会保障として返ってくるいわゆる見返り率、ありますよね。これ見ると、アメリカは四七%です。イギリス四三%です。ドイツ四四%です。税金の四割が社会保障として戻ってくるんです。ところが、日本は二九%ですよ。サミット諸国で最低なんです。だから、これを公共事業なんかに無駄遣い続いているわけですよ。これが原因なんです。これをやれば、やめれば、欧米並みにすれば、私は年金財源、十分生み出すことできるんだと。

 私、今のお話聞いて、もう質問しませんが、もう今のお話聞いて、小泉内閣にはもう年金財政立て直すことはできないということ、はっきりしたと思います。この三つを改めることこそ年金財政立て直す道なんです。国庫負担引き上げる、徹底的な歳出の見直しであります。それから、巨額の積立金の浪費を、ヨーロッパなんかじゃ二、三か月分しかないんです。ここをしっかりと活用していくと。そして、本気になってやはり大企業に雇用責任を果たしていく、雇用を守っていく、そして……

委員長(片山虎之助君)

 時間だよ。

小池晃君

 深刻な年金制度の空洞化、これをやはり解決するために、やはり全額国と大企業の負担による……

委員長(片山虎之助君)

 はい、時間超えました。

小池晃君

 最低保障年金制度、これを作っていくことを、私ども全力を挙げて進めてまいりたい、そのことを申し上げて、質問を終わります。

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