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日本共産党参議院議員・医師 小池晃 アーカイブ[〜2008] 日本共産党参議院議員・医師 小池晃 アーカイブ[〜2008] 日本共産党参議院議員・医師 小池晃 アーカイブ[〜2008]

157 臨時国会 厚生労働委員会 感染症法等改正案審議

2003年10月9日(木)


【速記録】
国立病院でサービス残業が蔓延、厚労省は是正を。国立病院賃金職員の雇用継続を


小池晃君

 (中略)引き続いてサービス残業の問題をお聞きしたいんですが、これ非常に今激増していると言われています。大手サラ金の武富士が三十五億円、中部電力が九億三千万円是正された。個別企業の実態も明らかになってきています。

 昨年の是正勧告の総数と解決件数、対象労働者数、未払金額の是正金額、これを明らかにしていただきたい。

政府参考人(大石明君)

 平成十四年におきますところの定期監督等の実施事業場数、十三万一千八百事業場でございましたけれども、このうち労働基準法三十七条違反のところ、一万七千七十七事業場となっております。これにつきまして、現在、改善されるまで指導しているところでございます。

 今具体的な人数等についての御質問もございましたけれども、これについては把握しておりません。

小池晃君

 この間、各労働局は個別にいろいろ発表してきているわけですね。私は、各労働局任せではなくて、厚生労働省として全国でどれだけ是正支払したのか、企業数、対象労働者数あるいはその是正の金額というのは、これ公表すべきだと、やはりサービス残業を根絶するという政策を進めるのであれば、これしっかり公表するべきだと思うんですが、この点、いかがですか。

政府参考人(大石明君)

 その点につきましては、昨年も、平成十三年四月から平成十四年九月までの一年半のものにつきまして昨年の十二月に整理して公表させていただきましたが、現在、その後の状況につきましては取りまとめを行うべく準備を進めているところでございます。

小池晃君

 それから、来年度の概算要求ではフリーダイヤルの設置というのが計上されている。これ臨時に専門の担当者を配置するとしているんですが、これは来年度を待たずに直ちにやるべきことではないかなと私は思うんです。それから、その担当者については臨時ではなくて監督官増員して、やはり根絶までしっかりやると、すべきではないかと思いますが、この点、いかがですか。

政府参考人(大石明君)

 賃金不払残業対策につきましては本年五月に総合対策要綱というものを策定したところでございますので、現在、その要綱に基づいて本格的に対策を実施していると、こういう段階でございます。

 今御指摘のありましたアドバイザー、確かに概算要求の中に入れているところでございます。来年につきましては更に一段と進めてまいりたいというふうに思っておりますけれども、本年度中にというのはなかなか、予算上の問題等なかなか難しい問題等もあろうかと思います。

 また、いわゆる監督指導体制の問題ということでございますけれども、これにつきましても、きちっとした指導ができるような体制の整備というのは労働基準行政としても非常に重要な課題でございます。そうした姿勢で今後とも臨んでいくところでございます。

小池晃君

 引き続いて、厚労省の直接の雇用責任を持っている国立病院の職場の問題をお聞きしたいんですが、このサービス残業の実態、大変なんですね。

 これ、国立病院の労働組合である全医労の調査では、国立医療センターでは超過勤務をしながら申請していない人が七割いるとか、がんセンターでは超過勤務二時間以上付けちゃ駄目と言われていたりとか、国府台病院では月五時間までと言われていると。何でこんなに残業が多いのかと聞かれたら、それ以後付けていないという人もいるとか、国立南横浜病院では五十人の看護師が平均七十三分毎日残業しているけれども超過勤務申告は一人もないとか、こういう実態が明らかになっている。

 厚生労働省として国立病院の職場における労働時間の実態はどのように把握をされているんでしょうか。

政府参考人(冨岡悟君)

 国立病院・療養所におきましては、超過勤務の把握につきましては、勤務時間の適正な管理という観点から、業務上超過勤務が必要な場合には管理者等が事前に超過勤務命令を発し、また、管理者が不在で超過勤務を命令できない場合は、事後に確認、命令を行うことといたしておりまして、こういうふうに厳格に確認した上で超過勤務を行っているところでございます。

小池晃君

 実態調査をしているんですかと、調査結果を持っているんだったら言ってくださいと言っているんです。

政府参考人(冨岡悟君)

 平成十四年度におきます国立病院等の平均超過勤務時間は一人当たり月平均八・四時間となっております。

小池晃君

 これ、一日平均二十五分ということになるんですけれども、実態はもっと長時間のサービス残業がはびこっているというふうに思うんです。

 国立滋賀病院では、これは実際に行った超過勤務手当を再三にわたって請求したけれども支払われないということで、看護師さんが行政措置要求を今しております。先ほど言ったように、全医労の調査では、多くの国立病院で二時間以上の超過勤務者が四割から五割、多いところでは六割と。それなのに超過勤務申告は一人もなしという南横浜病院の例などもあると。

 これ、厚労省が最近作ったリーフレットなんですね。サービス残業をなくしましょうと。ここでは何て書いてあるかというと、使用者が労働時間をきっちり把握するための努力しなければいけないとか、あるいは自己申告の場合でも、会社が適当な時期に実態を調査するとか工夫して、きちっと労働時間の把握ができるよう努力していくことが必要だと言っているんです。

 国立病院というのは、これ厚生労働省が使用者なんですから、企業に対してはこういう指導をしておいて、そして自らが雇用責任を持っている職場ではダブルスタンダードでやっているというのでは、これは駄目だと思うんですね。私は、これ直ちにサービス残業の実態調査をすべきだと、企業に対して言っているように実態調査をすべきだと、そして、タイムカードの導入などを始めとして、適正な労働時間管理をやはり国立病院でしていくべきだと、直ちに是正すべきだと思いますが、いかがですか。

政府参考人(冨岡悟君)

 先ほどお答えいたしましたように、私どもにおきましては、超過勤務をしていただく場合には、管理者におきまして命令を発しまして、また、終了の確認をすると、そのような手続を取って厳正に管理しているところでございます。

 そういった正確な手続を取りましてこういった時間管理をしているところでございまして、申し上げますと、制度としてきっちりした対応を取っているものでございます。

小池晃君

 実態としてそうじゃないという実態が出てきているわけですからちゃんと調べなさいと言っているんです。企業に対してはちゃんとそういったものを守れと、調査もしなさいと言いながら、自分たちが雇用責任を持っている国立病院ではちゃんとやっているから調査する必要ないというのは、私は本当にふざけていると思うんですね。この点で本当に厚労省の責任問われているということを申し上げたい。

 それから、時間がないので、もうちょっとやりたいんですが、賃金職員の問題をお聞きしたいんです。

 これだけサービス残業がはびこっている、あるいは過酷な長時間労働が行われている、過労死裁判まで国立病院は起こっているわけです。そういう中で、七千五百人の賃金職員の身分が宙ぶらりんになっている。これ、一体どうなるのかという不安が今広がっているわけですね。私は、一刻も早く雇用の保障、これを明らかにして、安心して仕事ができる環境を作るのは私は使用者の責務だというふうに思うんです。これ、四月一日に引き継ぐまでは職員の雇用問題などの権限は現時点では厚生労働大臣にあるわけです。

 私は、大臣にお伺いしたいんですが、理事長予定者決まりました。これ、四月になるまで使用者としての権限ないわけです。現時点で雇用しているのは厚生労働大臣なんですから。しかも厚生労働省です。雇用を守り拡大すべき立場にあるわけです。そういう責務をやはり私は、現時点で大臣が職責を懸けて賃金職員の雇用の確保というのを新法人に頼む、引き継ぐ、このことが求められているんじゃないかと思いますが、大臣、いかがですか。

国務大臣(坂口力君)

 新しく独立行政法人の理事長になっていただく方が決まりました。これから、この理事長予定者を中心にしまして、現在の国立病院、来年の四月から独立行政法人になります全国の病院の在り方というものについていろいろとこれから御議論をいただきたいというふうに思っております。思う存分ひとつやってくださいということをお願いをしているところでございまして、過去から引き継いでまいりました問題で整理をしなければならないところは整理をしていかなければならないというふうに思っております。

 その権限は来年の三月一杯までは厚生労働省にあるわけでございますが、しかし予定者も決まったことでございまして、四月一日からどのような形でやっていくかということの思いを聞かせていただきながら、そして私も決定をしていきたいというふうに思っているところでございます。

 賃金職員のお話が出ましたが、これは賃金職員というのはまさしく中途半端な制度と申しますか、正規職員でもないし、パートでもないし、だれが考えたのかよく分かりませんけれども、非常に私はその御本人の立場としても中途半端だと思うんです。これは、賃金職員という制度は正式にあるわけでもありませんしいたしますから、それはやはりなくするということにしなければならないんだろうというふうに私は思っております。

 その中で、もちろん正規の職員になられる方もございましょう。また、しかしそこには枠があるわけでございますから、その中では他に職を求めていただく方もございましょうし、そこはいろいろだろうというふうに思っておりますが、採用できる人は採用するというふうな形にしないと、どちらも付かずのそういう立場というものを今後独立行政法人につきましても守っていくということは良くない、そういうふうに思っております。

小池晃君

 中途半端とおっしゃるけれども、そういう中途半端な地位に置いたのは厚生労働省じゃありませんか。厚生労働省が、実際には医療活動に必要な人でありながら、総定員法の枠に入らないからといって賃金職員という正に大変中途半端な位置に置いてきた責任があるわけですよ。何か自然災害でできたような、そういう無責任な言い方しないでいただきたい。

 私は、現時点ではあなた責任者なわけです。厚生労働大臣が責任者なわけです。定員内職員と同じ仕事をされてきた。しかし、賃金職員という正に本当に不安定な、劣悪な身分に置いてきた。これ、厚生労働省の責任なんです。解決する、なくさなきゃいけないというのであれば、私は、新法人に対して、こういう中途半端なことやってまいりましたと、この人たちに大変迷惑を掛けてまいりましたと、全部まとめて是非これは雇用を継続していただきたいと、これが責任じゃないですか。

 しかも、今雇用の問題これだけ深刻になっている中、厚生労働省は雇用を拡大するというそういう使命を負ったそういう省庁じゃないですか。その省庁の長がこれ、今引き継がなくても構わない、首切られる人が出ても構わないと、そんなことをおっしゃるんですか。私は、これ重大だと思いますよ。

 私は、責任を持って引き継ぐと、一人もこの問題で雇用を失わせない、このことを確約するのが私厚生労働大臣としての責務であると、雇用を守るというのであれば、きちっとやっていただきたい。大臣、いかがですか。

国務大臣(坂口力君)

 それはできませんね。これから独立行政法人にするわけでありまして、それぞれの病院が今後どういうふうな将来設計を持ってやっていくかということを決めてもらわなければなりません。現在の体制の中でやっていけるのか、あるいはもう少し拡大をしなければならないのか、あるいは既に今までは拡大をしてきたけれども、もう少しこの病院は縮小をしていかなければならないのか、そうしたことは、それぞれの病院で将来設計、どこ、何を中心にしてやっていくのかといったようなことも含めて検討をしていただかなければならないわけであります。

 ですから、そこでそれはおのずから決まってくることでございまして、そうした将来設計と併せてこれは決定しなければならないわけでございますから、そこを新理事長の方とよく御相談を申し上げて、そしてまた各地域の、それは院長先生始め事務長さん等にも御相談を申し上げて、将来どういう形の病院形成をしていくかということとセットでそれは考えなければならないものというふうに思っております。

小池晃君

 大臣の話にすっぽり抜け落ちているのは今までの責任なんですよ。先ほどから中途半端だとおっしゃいますけれども、大臣、こういう中途半端な状態に置いてきたその責任は厚生労働省にあった。これは間違いなくそうじゃないですか。そのことについてお答えいただきたい。

国務大臣(坂口力君)

 これは厚生労働省が今までやってきたことでありますから、そういういささか中途半端な存在を許していたということは厚生労働省の責任かもしれません。しかし、そういうことをそういう形にしてきたのは、それぞれの病院においていろいろの合意があって私はやってきたとも思っております。

 したがって、その辺のところは、だからそういうことは今後はやめようということになるというのは当然の成り行き、気付いたときに過ちがあればそれは直していくということだろうと思います。だから、そこにお入りになっている皆さん方が、それじゃ全部それをお雇いできるかどうかというのは、そこの病院が今後どういう体制でやっていくかということの将来像と関係をしてくるということを私は申し上げているわけであります。

小池晃君

 全く無責任だと私は思います。雇用を守るという厚生労働省の仕事と照らして、自分たちが直接雇用をしている国立病院の職員の雇用と労働条件の問題、先ほどから議論しているようにサービス残業の問題についてもまともに実態調査もしようとしない、そして賃金職員の問題については首切りを公言するような発言までする。

 私は、これでは雇用を守る厚生労働省としての責任を果たしたことにならないということを申し上げて、私、質問を終わります。

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