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日本共産党参議院議員・医師 小池晃 アーカイブ[〜2008] 日本共産党参議院議員・医師 小池晃 アーカイブ[〜2008] 日本共産党参議院議員・医師 小池晃 アーカイブ[〜2008]

156-参議院通常国会

2003年3月25日(火)


抗ガン剤イレッサ

安全性検討委員会 9 割が承認当事者


小池晃君

 日本共産党の小池晃です。

 まず最初に、抗がん剤イレッサの副作用問題をお聞きしたいと思います。承認の過程の問題であります。

 二月末の段階で、間質性肺炎、急性肺障害の副作用報告が五百二十三件、死亡が百七十七件、深刻な被害が出ています。様々な問題指摘されておりますので、まず最初に参考人にお伺いしたいんですが、第一に、アストラゼネカ社は発売から半月後の八月初旬には副作用拡大の危険性認識していた、にもかかわらずアメリカの審査を優先させて、結局十月十五日まで添付文書の改訂が遅れた。それから第二に、二〇〇一年二月、これは臨床試験中の副作用ですけれども、アストラゼネカ社が実際よりもグレード、重症度を低く報告したと。しかも、国への報告は医師の最初の緊急報告から四十日以上経過をしております。それから第三に、二〇〇一年に副作用の危険を示す動物実験のデータ、この報告を研究者から受けていたにもかかわらず、承認まで厚労省に報告せず隠していたと。こういったことがこの間報道されています。

 厚労省として、これ、薬事法に違反する重大問題だと私は思うんですが、調査の状況について、そして会社に対する改善指導とか行政処分、これはどうなっているのか、御説明願いたいと思います。

政府参考人(小島比登志君)

 先生御指摘の第一点目でございますが、アストラゼネカ社は早い時点で副作用問題を十分承知していて適切な対応を取らなかったんではないかという点でございます。

 私ども、このイレッサの健康被害に対しましては、十月四日からアストラゼネカ社と接触して緊急安全性情報への発出を向けて協議を始めたわけでございますが、そのときの副作用報告がまだ非常に少なくて、さらに、十月十五日の緊急安全性情報の発出は、被害例が二十六、うち死亡十三ということでしたが、十月二十六日にアストラゼネカ社が自ら発表した時には百二十五例の被害例で、うち死亡例三十九と。これは非常に多かったということで、一体社内の安全体制あるいは副作用の報告体制がどうなっているのかということで、大阪府を通じまして調査に入ったということでございます。

 その調査は、十一月五日に大阪府から報告されてきたところでございますが、具体的には、八月十二日の段階で副作用報告に関する会議を開きまして詳細情報の収集や調査項目の追加等を検討しているということ、それから九月十一日に開催した社内会議で添付文書を改訂するとの結論であったこと、それから九月十九日には英国本社に改訂添付文書案を送付したこと等々のことが十一月五日の段階で私ども把握したということでございます。これにつきましては、更にアストラゼネカ社等調査しまして、副作用報告が適正に行われていたかどうか更に事実関係を詰めてまいりたいというふうに考えているところでございます。

 それから、第二点目の御指摘につきましては、一つは、副作用の動物実験結果を承認審査の段階で報告していなかったという報道がございました。これにつきましては、企業からの事実関係の報告を受け、現在、その事実関係につきまして精査を行っているところでございます。

 それからまた、臨床試験の重症度の報告が間違っていたのではないかということでございますが、これについては、企業に事実関係の報告を現在求めているところでございます。それらを精査いたしまして、薬事法違反になるかならないか私どもとしては鋭意詰めて、必要があれば必要な処分をしてまいりたいというふうに考えております。

小池晃君

 これらは既に報道されてもう一月以上もたっておりますし、大阪府の調査はもう五か月たっている、まだ精査中だと。私は、これ、非常に何事かと思うんですが、しかも、承認一か月前の昨年五月に既に国内で間質性肺炎による死者が出ていたということが明らかになりました。厚生労働省はこの事実についてはいつ報告を受けたんでしょうか。

政府参考人(小島比登志君)

 先生御指摘の症例につきましては、審査センターに対しまして平成十四年五月二十二日に報告された治験外のゲフィチニブを提供された日本人の肺臓炎の症例であると承知しております。当該副作用報告におきましては、当該症例は死亡例として報告されており、審査時には報告資料に基づき死亡例として評価をしているところでございます。

小池晃君

 五月二十二日にメーカーから知らされていたと。これは厚労省も知っていたことであります。しかし、この報告から二週間ちょっと、六月十二日に薬食審の薬事分科会が開かれてイレッサの承認を了承していると、これに基づいて厚生労働大臣が七月の五日にイレッサを承認しているわけです。

 薬事分科会には、副作用による死亡例があったということは、国内の間質性肺炎の死亡例があったということは報告されたんでしょうか。

政府参考人(小島比登志君)

 審査センターにおける審査は、五月九日に審査報告書というものを作成して、それに基づきまして五月二十四日に医薬品の薬事分科会の中の第二部会というところで審議が行われております。

 この五月二十七日に提出された事例については、私どもとしては、審査センターにおける審査報告書の中で、間質性肺炎の重大性、いわゆる副作用である可能性は否定できないという評価をしていることから、私どもとしてはあえて薬事分科会の方には報告をしていなかったということでございます。

小池晃君

 これ、だって、国内で初めての死亡例ということであったら重大な情報じゃないですか。こういったことが、承認し、了承した分科会に報告されなかったというのは、私、極めて重大だと思うんです。

 しかも、審議会に報告しなかっただけではなくて、十二月二十五日に開かれたイレッサの安全性問題検討会でも国内では承認前に間質性肺炎による副作用死はなかったと、そう説明していたと思うんですが、これ間違いありませんね。

政府参考人(小島比登志君)

 その点でございますが、昨年の十二月中旬以降だったと思いますが、NSK の報道で海外のいわゆる治験外のイレッサの使用によりまして副作用がたくさん出ているんじゃないかと、要するにそれを考慮したのかというような報道がなされまして、私どもといたしましては審査センターの資料を、大部なものでございますが、鋭意それを整理したということでございます。

 その整理の中に、先生御指摘の日本人の死亡例というのがあったわけでございますが、実は、この資料を作成する際に、その項目は入っていたわけでございますが、死亡欄のチェックがちょっと落ちてしまっていたということが実際事実でございます。

小池晃君

 ミスで済む話じゃないんですよ、これは。見落としたで済む話じゃないでしょう。だって、五月には報告受けていたんですよ。承認前に副作用で死亡者が国内でも出ていたという重大な情報ですよ。これを見落とすというのは、私、極めて不自然だと思うんです。

 五月二十七日には報告を受けていたと。テレビや新聞でもそういったことが言われていた、にもかかわらず資料を作成するときに気が付かなかった、書き落としたと。それで、このイレッサの安全性問題検討会にはそういう国内での死亡症例は承認前にはなかったという報告しているんです。私、これ極めて不自然だと思いますよ。これ、五月から既に分かっていた、ずっと分かっていたのにひた隠しにしていたということなんじゃないですか。

 しかも、確認しますけれども、この五月二十七日の例というのが、国内での発症、間質性肺炎の死亡第一例なんですか。

政府参考人(小島比登志君)

 日本人としては治験外の提供でございますが、最初の例ということでございます。

小池晃君

 そんなことないんじゃないですか。五月九日の、これは審査センターが出した報告書ですよ。五月九日に出した審査センターの報告書にこう書いてあるじゃないですか。審査センターは、国内外で死亡が認められている間質性肺炎については云々と書いてあるんですよ。五月九日の時点で、国内外で死亡が認められる間質性肺炎というふうに書いてあるじゃないですか。ということは、五月九日に出した審査報告書に、既に国内で間質性肺炎、死亡があると書いてあるんですよ。でたらめじゃないですか。

政府参考人(小島比登志君)

 少なくとも私ども国内の例は承知をしておりません。

小池晃君

 駄目ですよ、そんなのは。駄目ですよ、そんなことじゃ。審査報告書に書いてあるじゃないか。そんなのは答弁になっていないよ。ちょっと時計止めてくださいよ。そんなのは駄目ですよ。

政府参考人(小島比登志君)

 国内外と書いてあるはずでございますが、それは外ということでございます。

小池晃君

 国内外で死亡が認められている間質性肺炎ですよ。これは国内、国外という意味じゃないんですか。これが何で国外という意味なんですか。

政府参考人(小島比登志君)

 国内外合わせて、要するにその場合ですと二例だと思いますけれども、死亡が認められているということでございます。

小池晃君

 じゃ、あくまで五月九日以前には国内の死亡症例はなかったということなんですね。それは、じゃそういうことで確認しておきますが、非常に、じゃ、この書き方は不正確だと私は思いますけれども、でも、これは非常に私、重大だと思うんですよ。

 だって、五月二十七日に承認前に副作用の死亡が報告されていたのに、それは承認を決定する薬事分科会には報告されなかったわけですよね。しかも、十二月二十五日に開かれたイレッサの安全性問題検討会でもこの報告はされなかった。資料に書き落としたという説明であります。

 そもそも、これだけの問題が次から次へと出てきている。承認過程に重大な問題があるのは間違いないと思うんです。しかし、ゲフィチニブ安全性問題検討会は、これは昨年十二月に開かれましたけれども、承認過程についての検討をやっていない。十二月二十五日にやったきり、その後一度も開かれていない。何で承認過程について検討しないんですか。

政府参考人(小島比登志君)

 その検討会でございますが、私どもといたしましては、主に薬事審議会の委員の先生方を中心に、専門的立場からこのゲフィチニブの安全性について御審議を賜りたいということで、その議事次第の第一番目に承認時の安全性、有効性に関する評価についてというような項目も挙げてございます。

 それがどのくらい委員の先生方の間で議論されたかというのはまた別の問題でございますが、私どもとしては、審査に携わった委員の先生、それから安全対策の関係の委員の先生、ほぼ同じぐらいの比重で選んで双方の観点から議論を詰めていただいたということでございます。

小池晃君

 いや、だから答えていないんですよ。何で、承認過程について検討していないじゃないですか、十二月二十五日も。そして、それ以後も一回も開かれていないでしょう。承認過程の検討をなぜしないんですかというふうに聞いているんです。

政府参考人(小島比登志君)

 承認過程ということで明示的に議題を提出したわけではございませんが、あくまで承認時の安全性、有効性に関する評価、それからもう一つ大変重要な議題がございまして、市販後における安全性と安全対策についてと、これも同時に御審議をいただいたということでございます。

小池晃君

 重大な話じゃないですか。だって、国会では、大臣は承認過程について検証する必要があると答弁しているんですよ。それなのに明示的に承認過程について検討することを議題にしなかった。検討しなかったということじゃないですか、そもそも。全くこんな判定会、委員会作っても、検討していないということなんじゃないですか。

 大臣、これ私、重大だと思うんですよ。副作用による死亡という重大な情報が承認のときの薬事分科会にも報告されなかったわけです。それで承認決定された。その後の対応も遅れて副作用が拡大したんです。問題がなかったかどうか検討する委員会に承認過程についての検討が明示的に議題としてなかったと。検討すると言ってしなかったわけでしょう。

 大臣は当委員会で、承認の経緯はどうだったか、誤りがなかったか、すぐ検証しなければならないと、私が質問してお答えになりました。ところが、やっていないんですか。これ重大じゃないですか。これ約束違反ですよ。大臣、この承認の過程について再検証すべきじゃないですか。

国務大臣(坂口力君)

 イレッサの話につきましては、私もあれからかなり多くの学者の先生方の御意見もお伺いをいたしております。また、これが審査されました時点のときの話も聞いているところでございますが、一応きちっとしたものは一遍やらなきゃいけないというふうに思っておりますが。

 これは、それぞれの学者の先生方によって随分意見が異なっております。どちらかといえば臨床の先生方は、いや、それはいろいろ副作用もありますけれども、しかし、今まで他の抗がん剤によってどうしても助からなかった、あるいはまた手術をすることもできない、そういう人たちにこれは使って、そして効果のある人がいるんだから、副作用を最小限にこれは押しとどめることを中心にしながらこれは持続してほしい、こういう御意見が非常に多いわけでございます。

 確かに、いろいろの症例を拝見をいたしますと、もう化学療法等によってどうにもならなかった人の中に完全と言っていいほどもう回復した人たちもかなりいる、そういう状況でございまして、これは使い方というのは非常に、この薬は使い方が非常に難しいけれども、きちっとしてそれを使うことができれば、副作用を抑えることができれば有効な薬であるという先生方の御意見というのも私は理解ができるわけであります。

 ただし、それはもう使われてからの話でございまして、委員がおっしゃるように、承認する前の話というのは私も全く分からなかったわけでございますので、これはどういう理由でこれが優先的な薬品としてこれが議論をされて、そしてこれが承認をされたのかという過程につきましては、きちっと検証をしたいというふうに思っております。

小池晃君

 大臣はこの間も国会で言われたけれども、やっていないんですよ。検討会開いたけれども全く議題にもなっていないんですよ。これは直ちに検討していただきたい。

 あわせて、今日お配りしておりますけれども、ちょっと資料を見ていただきたいんですが、ちょっとこの検討委員会のメンバーについて。

 これは私が厚生労働省に請求して提出してもらった資料でありますけれども、十二名の委員、ゲフィチニブ安全性問題検討委員会の委員、これを見ますと、これは十二人中、薬事審の委員が十一人なんですよ。うち、医薬品第二部会、第二部会というのは、これは抗がん剤、イレッサなどを承認する部会のメンバーは四人です。薬事分科会は二人です。そのほかにも二人、いろんな審査とか報告書作成に協力したという人がいるんです。しかも、イレッサの承認を行った部会の部会長と部会長代理までいるんです。

 大臣、こういうメンバーで承認が果たして公正公平に、妥当に行われたかと議論できますか。私は、これじゃ身内の審査で、こういうメンバーで議論したって、承認に問題があったなんという結論出てくるはずがないと思うんです。大臣、承認過程を検証するのであれば、このメンバーについても検討し直す必要があるんじゃないかと思うんですが、大臣、いかがですか。

国務大臣(坂口力君)

 それは学者の皆さん方を非常に侮辱した話だと私は思いますね。この皆さん方は、それは確かにその中に携わった人がいるかもしれません。いるかもしれないけれども、その人たちは自分たちの学問的信念に基づいておやりになっているわけでありますから、それを、ここに出ている人は全部これは何かでたらめみたいなことを言うのは甚だ失礼な話だと私は思います。

 これは、この中の幾人かにつきましては、私は個別にもいろいろのお話を伺っております。その人たちは、それぞれの今までの学問的体系の中で信念としてこれはこうだということをおっしゃっているわけでありまして、これを審査するときに入っていたからそれは駄目だというのは、それは私はいささか言い過ぎではないかと思いますね。

小池晃君

 しかし、参考人にお伺いしますが、このメンバーを集めたときに承認過程についての意見はだれからも出なかったというふうに私お聞きしていますが、間違いないですね。

政府参考人(小島比登志君)

 承認過程ということでは名指しではありませんが、やはりイレッサはどういうふうな性格であるとか、どういうふうな被害が出るかということであれば、そのことも議題になっていたということでございます。

小池晃君

 イレッサという薬がどういう効き方をするかとか副作用どうかとか、そういうことを聞いているんじゃないんです。承認過程がどうだったかということについて明示的に議題も出さなかったし、実際にこれを十二月二十五日に開いても、そのことについて意見が出ていないんですよ。

 だから、侮辱とか言うけれども、このメンバーでは私は無理があると言っているんです。能力がないとかそういったことを言っているんじゃないんです。承認過程に直接携わった人たちが十二人中十一人を占めるような委員会で、承認に問題があったということが検討できるのかと言っているんです。

 私は、承認過程をきっちり、大臣言うようにきっちり調べる必要あるというのであれば、やはりこの承認に携わらなかった人も含めて、国民から見て、だれが見ても公正公平な検討をすべきだというふうに思いますが、大臣、もう一度いかがですか。そういう検討、全部入れ替えろとは言いませんよ。しかし、やはり承認過程検証するのであれば、一定の見直しは必要なんじゃないですかと申し上げているんです。どうですか。

国務大臣(坂口力君)

 私は、その審査されたときに的確な情報というものがその先生方にそれは届けられていたかどうかということが私は問題だと思っております。その先生方はそのときの情報によって決断をされたわけでありますから、そのときの情報に間違いがあれば違う結果が私は出るというふうに思います。

 したがって、その先生方にそのときの正確な情報をお伝えをして、そしてそれが問題であったかなかったかということをやはりもう一度検討をしていただくということは意義のあることだと思っております。

小池晃君

 私は、十二月二十五日にこれ検討会を開いても、結局、承認過程については全く議論していないわけですから、こういうメンバーで繰り返すのであれば、承認過程についてきちっと公正な検討ができるとは思えないんです。しかし、大臣は検討するというふうにおっしゃいましたので、これは、この検討をやるということは、これは引き続き見守っていきたいというふうに思います。


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