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日本共産党参議院議員・医師 小池晃 アーカイブ[〜2008] 日本共産党参議院議員・医師 小池晃 アーカイブ[〜2008] 日本共産党参議院議員・医師 小池晃 アーカイブ[〜2008]

156-参議院通常国会

2003年4月1日(火)


失業手当 受給者が月 6 万人減


配付資料

小池晃君

 日本共産党の小池晃です。

 本日、この雇用保険法案、趣旨説明したその日に審議をすると。こういう本当に国民生活に深くかかわる重大な法案をこんな扱いでいいんだろうかと。私は、もう徹底的な審議を求めたいと、まず最初に申し上げたいと思います。

 その意味で、その上で、最初に大臣の認識を伺いたいんですが、そもそも雇用保険制度というのは何のためのものなのか。憲法二十五条では生存権、二十七条で勤労権、労働権を保障しております。この上に立って、雇用保険法は、失業した場合にその生活を保障するとともに再就職の促進の努力を払う、これは国として当然の責務だという基本から整備されてきたものだというふうに考えます。

 国民に雇用を保障するということは、これは国の責務であると。その上に立って、雇用保険制度というのは失業者の生活の安定、再就職の促進を図ると、このためのものだというふうに私は思っているんですが、大臣はこの雇用保険制度というものをどういうふうにとらえていらっしゃるか、基本的な認識をお伺いしたいと思います。

国務大臣(坂口力君)

 最初から大変大きなお問い掛けでございますけれども、雇用保険の歴史をずっと振り返ってみますと、いわゆる国家保障的な考え方の下にこれは出発をしたというのではなくて、政労使三者のお互いの助け合いの中で雇用保険というのは出発をいたしておりますし、その連帯の精神の中で今日も私は継続をしているというふうに思っております。

 したがいまして、今後もそうした政労使三者の自立と連帯の中で進めていくものというふうに理解をしているところでございます。

小池晃君

 政労使が、実態としてはその三者で支えているということはそれはあるかと思いますけれども、私は、基本的にはこれは国がそのやはり中心、心棒に据わって支えるべき制度だというのが憲法の考え方でもあるし、あるいは雇用対策法や職業安定法などもそういう基本的な考え方の下に作られている法律だというふうに理解しております。

 その点で、この間の雇用対策見てみますと、小泉内閣になってから、これは様々な雇用対策ということを言われてきましたけれども、失業率は小泉政権発足前の二〇〇〇年には四・七%、これが昨年は五・四%まで増加しております。さらに、失業期間を見ますと、明らかにこれは長期化する傾向が見られている。二年以上の完全失業者の数は、二〇〇一年二月には失業者全体の一二・七%、四十万人だったわけです。これが二〇〇二年十月から十二月までの平均では一六・一%、五十五万人の人が二年以上の失業と。十五万人も長期の失業者が増加しているということになると思います。

 これは、失業期間が長期化しているという現状であるということは、これはお認めになりますね、政府参考人。

政府参考人(戸苅利和君)

 労働力調査の特別調査等を見ますと、失業者のうち失業期間が一年以上の方の割合は、昭和六十三年から平成三年まで若干低下しておりますが、その後、平成四年以降は趨勢的に上昇を続けているということでございます。

  〔委員長退席、理事中島眞人君着席〕

 趨勢的な方向としてはおっしゃるとおりだと思います。

小池晃君

 結局、雇用者数も十八か月連続後退しているわけであります。ここに見られるように、国が本来行うべき必要な雇用が創出されているとは言い難い状況がある。失業者は増えている。しかも、失業者の中で長期の失業者の比率も増えている、失業期間は延長している。このようなときには、国は雇用の確保にこそこれは全力を注ぐべきであるというふうに思うわけです。

 ところが、今回の法案は、失業者が増えて失業期間が延長している、長期失業者が増えているという中で、失業手当を削減する、あるいは給付期間を短縮する。もちろんすべてが短縮されるわけじゃない、中には延びる人もいるんだとおっしゃるかもしれないけれども、全体としては給付期間を短縮すると。

 大臣、お伺いしたいんですが、このように失業期間が延長しているときに、あるいは失業者が増えているときに、そもそも失業給付を削ったり給付期間を短縮するということは私は正に逆行ではないかと思うんですが、大臣、いかがですか。

副大臣(鴨下一郎君)

 現在の基本手当の給付水準と労働市場における再就職時の賃金の手取り額を比較しますと、やっぱり高賃金層を中心に基本手当の方が高くなるという、こういうような言わば逆転現象が生じているというようなことがございます。

 一方、雇用保険制度においては、基本手当の受給中よりも所定給付日数分の基本手当の受給終了直後一か月以内に再就職の時期が集中すると、こういうようなこともありますことから、これは基本手当日額が高いほどそれが顕著になっていると、こういうような傾向も見られるわけであります。

 これらの状況を総合して、高額の基本手当の存在によって、ともすると再就職よりは基本手当を受給しようとする判断が働く場合もあるということもございまして、結果的に再就職時期が遅れてしまう方々が相当数存在すると、こういうようなことを含めて、基本手当日額と再就職時の賃金との逆転現象を解消して受給者の早期再就職の推進を図るために、高賃金層を中心に賃金日額の上限額を引き下げるとともに給付率の下限を原則六〇%から原則五〇%に引き下げると、こういうようなことにしたものであります。

小池晃君

 そのように政府は、失業手当の支給終了後一か月以内に再就職している者が多いんだというふうにこの間衆議院でも、本会議でも説明されています。

 しかし、そもそもこの統計の中で再就職している人というのは五八%しかいません、再就職していない人は、再就職できる人が全体の四二%しかいないわけです。その四二%の中で、基本手当の受給終了後一か月以内に再就職した人が二九%。これをもって、突出している、多いんだと言うけれども、全体から見れば、再就職している人が四二%、その中で二九%の人が一か月以内に再就職しているということであれば、これは全体から見れば一二%でしかないわけですよ。

 副大臣は今、手当の方が高いから再就職の意欲が持てないというようなことをおっしゃるけれども、私どもは全く根拠はないと思います。

 この問題、去年も議論しました。この一二%の人たちだって、何もこの失業手当があったから就職を延期していたというわけじゃないと思うんです。特にこれは比較的高賃金層ですよ、中高年ですよ。やはり求人少ないわけですから、なかなか条件に合うところは見付からないと。手当が切れて、もうやむなく低賃金、悪条件で仕方なく就職していると。だから、一か月後に一定のピークがあるというのは、私はうなずけるんです。しかし、かといって、それだって全体から見ればわずか一二%なんですよ。

 私、お伺いしたいんですが、この全体から見れば一二%の人の存在を理由にして手当を削減する、こんなことは到底許されないんじゃないですか。いかがですか。

政府参考人(戸苅利和君)

 基本手当日額と、それから雇用保険の所定給付日数の受給期間中と、それから支給終了後一か月以内の関係、これは数字を集計いたしますと、かなり明確にといいますか、相当明確にその関係がはっきりしているんじゃないかと、こう思っています。

 例えば、基本手当日額が七千円から八千円までの方につきましては、雇用保険の受給中に就職する方は四二・五%、それから一か月後に就職する方が三九・五%、こうなっています。さらに、それがあと千円高くなりますと、八千円から九千円までになりますと、受給期間中が四〇・二%、支給終了後一か月以内が四二・一%と、ここで一か月後の人が多くなってしまう。さらに、千円高くなって、九千円から一万円までですと、受給期間中が三七・五%、受給終了後一か月以内が四五・五%と。

 こういうことになっていまして、受給終了後一か月以内、失業されてから受給終了後一か月以内の就職率というのは基本手当日額の高い人ほど就職率は高くなっています。一方、受給期間中の就職率というのは逆に基本手当日額の低い方ほど高くなっていると、こういうことでありまして、その辺りを考えますと、やはり明らかに基本手当の受給中に就職される、あるいは受給終了後に就職される方と基本手当日額の関係というのはかなり明確に、先ほど副大臣がおっしゃったようなことが見て取れるんじゃないかと、こう思っております。

小池晃君

 いや、だから、そんなことは分かっているんですよ。そのことは先ほどそれ前提に議論したでしょう。だから、それは、基本賃金日額が高い人ほど就職しにくくなっているという現実があるだけだと私は言ったんですよ。

 しかも、今、全く私の質問に答えていないんです。副大臣、あなた自分が答弁したことなんだから、ちょっと答えてくださいよ。わずか一二%の人を理由にして、それですべてがそうであるかのように削るということ自体、私はこれは全く合理性欠けると思いますけれども、いかがですか。

副大臣(鴨下一郎君)

 先ほど申し上げましたように、その一二%というようなことだけではないわけでありますけれども、多くの理由の一つとしてそういうようなことがあるということであります。特に、逆転現象があるというのは極めて問題があるということと、それが多くは高賃金層に偏倚していると。こういうようなことを考えますと、今回の改正というのはそれらの方々に対しての話でありまして、低賃金層、それから中位の方々に関してはほぼ中立というようなことでありますので、そういうようなことで、お互いに労使が共同で連帯で、共同連帯で助け合うと、こういうような趣旨から、逆転をしているところに関しては是非協力をしていただきたいと、こういうような趣旨でございます。

小池晃君

 いや、逆転しているところについてはとおっしゃいますけれども、じゃ、これ、さらに、削減されるのは何も基本手当六〇%の高賃金層だけではないわけですよね。十二万六千三百円以上の手当であれば削減されるわけですよ。

 こういう本当に厳しい賃金層でしょう。こういう人たちも手当まで削るということは、逆転現象が起きている、起きていないということでは説明できないんじゃないですか。今回削減されるのは決して六〇%保障だけじゃないんですよ、月収十二万円までみんな下がっていくわけですよ。そういう仕組みになっていることは一切説明できないんじゃないですか。

副大臣(鴨下一郎君)

 ですから、先ほど申し上げましたように、逆転現象というのも一つの大きな改正の要素であるというようなことと、それから、もちろん今の雇用情勢そのものにおいて、先ほどからお答え申し上げているように、特に長期の給付の方々が増えていると、こういうようなことも含めて、ある意味で雇用保険制度というものを維持して将来にわたって安定的なものにしていく上で、今回は改正をするということが必要だと、こういうような判断でございます。

小池晃君

 失業者が増え、その上、失業期間が延長しているようなときに、本当にわずかな命綱を断ち切るようなことは私は本当に許せないというふうに思うんです。しかも、今回の法案によって一人当たりの給付が削減されるということは今議論したんですが、それではその失業給付を受ける人の数はどうなるのか。法改定後の試算では、月平均の受給実人員はこれは何人になるんですか。

副大臣(鴨下一郎君)

 これは、今回の雇用保険法改正によりまして、平成十五年度の予算においては、月平均の受給者実人数は約百八万人程度になるというところを見込んでおります。

小池晃君

 昨年度は百九万人ですから、一万人の減少なんですよ。失業者全体の数増えているのに、失業手当の受給者が、これなぜこの今回の改定によって減少するのか、ちょっとそこを説明していただきたいんです。

政府参考人(戸苅利和君)

 平成十四年度の補正予算の受給資格決定件数の伸び率、これは直近一か月、あ、直近一か年、十三年の十一月から十四年の十一月、あ、十月までの伸び率でございますが、これを考慮いたしまして月平均の受給者実人員の見通しを百九万人ということにしたところであります。

 一方、平成十五年度予算につきましては、先ほど申し上げました直近一か年、十三年十一月から十四年十月の受給資格決定件数の伸び率、これを同じ伸び率を使いまして、それに基づいて受給者実人員を見込んでおりますけれども、この前提条件に加えまして、今回の制度改正効果、これにより受給者、受給期間が、受給者の方が早期再就職をしたりということもございます。それから、所定給付日数の一本化をするというふうなこともございます。そういったことを加味いたしまして百八万人と、こういうことになっております。

小池晃君

 それでは、お聞きしますけれども、もしも現行の制度のままで、給付期間のままで今年度の受給実人員を計算すると、何人になるんでしょうか。

政府参考人(戸苅利和君)

 今申し上げましたのと同じ計算方式で計算いたしますと、約百十四万人と、こういうことになります。

小池晃君

 結局、今回の制度改悪で、本来であれば百十四万人月平均もらえる、それが百八万人になるわけですから、毎月六万人失業手当を受けられる人が減少する、そういう制度改定だということなわけです。

 これ、痛みを分かち合うという言い訳は私は通らないと思うんですね。手当削減して幅広く広げるというのであれば分かるけれども、もらえる人の数も減るということになるわけです。失業者が増えているときに、失業手当額を削減する、それだけではなく、受給できる実人数まで減らしていくと。大臣、私、こんなことは到底、どのような言い訳をしても正当化することできないと思いますが、大臣いかがですか。大臣、お答えいただきたい。

国務大臣(坂口力君)

 社会保障というのは、先ほども申しましたとおり、これはそれぞれの助け合いですから、働いている人と、そして、現在失業している人との間のこれは助け合い。そしてまた、厳しいときには、失業している人の中におきましても、やはり恵まれている人とそうでない人との助け合い。それはやはり私はやむを得ないのではないかというふうに思っております。

 そうした中で、厳しいときであればこそお互いに助け合っていくということでありますから、そうした中で厳選をして、本当にこの人に手を差し伸べなければならないという人に差し伸べていくというのがやはり本来の制度ではないかというふうに思っております。

小池晃君

 私はとても了解できないですよ。こんな厳しい経済情勢になっている、この経済失政の責任というのは小泉内閣の責任ですよ。失業者が増えることを前提にした経済政策ですよ。その中で失業者が増えているわけですよ。そのことに責任も取らずに、そしてお互いに痛みを分かち合えだとか、そんな議論は通用しないですよ。今回のやり方によって国庫負担減るわけですから。基金で上積みしていると言い訳するかもしれないけれども、国は、みんなで分かち合うと言いながら、国は責任を後退させているわけですから。こういう本当に国策によって起こっている今の経済破綻、あるいはこれだけの大不況、失業者増に対して、私は国庫負担を増やして、国こそまず率先してこういう事態を支えるということをやるべきだと。ところが、それとは全く逆行して、失業手当は削るわ、実際受けられる人は削るわ、こんなやり方は本当に断じて認められないというふうに申し上げたいと思うんです。

 しかも、政府はちょっと前まで何と言っていたか。二〇〇〇年の雇用保険法の改悪のときにはこう言っているんですよ、答弁で。「今回の改正により失業率が五%台の半ばまでは雇用保険を安定的に運営することができる、」と、そういうふうにはっきり答えているんですね。これ参議院の労働・社会政策委員会です。

 現在も五%半ばですよ。それなのになぜ保険財政、これ維持できなくなっているんですか。

政府参考人(戸苅利和君)

 当時改正いたしました時点とそれから現在の時点、一つは企業のリストラが続いたということで、失業率は同じ五%半ばということでありますが、失業の中身自体が、企業のリストラが当時よりも大きく利いているということだろうと思います。

 具体的に申し上げますと、それによって受給者のうちで中高年齢者の方の比率が高まっている。中高年齢者の方につきましては、一つはベースになる賃金日額が高い、それから給付日数も長い、こういうことがございます。

  〔理事中島眞人君退席、委員長着席〕

 それからもう一つ申し上げますと、当時の想定以上にリストラが進んだということで、倒産解雇による離職者の方の数が当時の想定をはるかに上回ってしまったと、こういうこともあるんだろうと思います。これは、就職の心の準備もなく離職してしまうということがあるものですから、そういった倒産解雇による離職者の方の場合も給付日数が長いということで、給付日数の長い方の割合が増えたと。この結果、当初の予想を超えて赤字になってしまったと、こういうことだろうと思います。

小池晃君

 失業率五%台半ばまで安定的に運営できると言っていたんですよ。失業率五%の中身が、そんなこと、そういうふうに倒産、非自発が増えるとか中高年増えるなんて当然予想されることじゃないですか。そんなことも予想できていなかったのかと。私は、これは正に今おっしゃったようにリストラの影響だと。これ、もう一つあると思いますよ。やはり賃金が下がっていますから、保険料収入だって減っているわけですよ。だから正に、支出の部分でいえばリストラによって支出が増えている、それから保険料収入は更にリストラあるいは賃下げによって収入が減っているということでしょう。こういう中で今やろうとしていることはどういうことかと。

 ちょっと確認をさせていただきたいんですけれども、今回の雇用保険改定による給付の削減額は総額で幾らになるんでしょうか。

政府参考人(戸苅利和君)

 平成十五年度ということで申し上げますと、基本手当の給付率、それから上限額の見直し、それから通常労働者と短時間労働者の所定給付日数の一本化、それから再就職促進効果、これを合わせて約三千百億円の給付減と、こういうことになると見込んでおります。

 それからもう一つ申し上げますと、補正予算で設けました早期再就職者支援基金、これによりまして早期再就職が進む。あわせて、この基金によります支援金を受けた場合に雇用保険の就職促進給付を受けなくなるということで約一千億円の給付減、両方合わせて約四千百億円でございます。

小池晃君

 だから、今回の給付削減というのは四千百億円もの規模なわけですよ。こういうリストラによって当初政府がわずか三年前に予想していた財政見込みすら狂っているという事態ですよ。それほどの激しいリストラ、本当に大変な消費不況が進んでいるわけです。そういうときに四千百億円も失業給付を削減するというのが今度の提案であります。

 これ、昨年十月の連合総研の調査では、労働者の四人に一人は一年以内に失業の不安を感じるというふうに答えている。これで更に失業手当も当てにできない、四千百億円も削られるということになれば、私は、これは正にますます消費を冷え込ませると。更に保険料の引上げも予定をされていると。こういうふうなことをやれば可処分所得を奪い、ますます景気が悪化すると。

 私は、今度のようなやり方というのは正に雇用保険財政を一層悪化させると。大臣、こんなやり方すると正に、また三年後ぐらいに同じような議論をすることになるんじゃないですか。今の議論の中では六%台半ばまで大丈夫ですというふうに答弁されていますけれども、こんなやり方でますますリストラをあおるような、不況を加速するような負担増を押し付ければ、ますます雇用保険財政は悪化の悪循環をたどることになるんじゃないですか。大臣いかがでしょう。

国務大臣(坂口力君)

 これは景気の動向によって大きく左右されるでしょうね。現在の状況は早く景気を回復せしめるために打つ手は何か。そうしたことから、不良債権の処理を始めとして早く、一時的ではありますけれども、一時的な悪化を恐れることなしに早くこの経済状況を元に戻そうという、そういうことでやっているわけでありますから、私はそんなに時間を掛からずに回復できるだろうというふうに思っております。回復できましたならば現状というものは大きく好転をするというふうに思いますから、それまでのどう辛抱をしていくか。それまでは堪え忍ばなければならないというのが現状だと認識いたしております。

小池晃君

 こんな医療費を増やす、年金を削る、介護保険料を上げる、失業給付を削る、こんなことをやって景気が良くなるわけないじゃないですか。これ本当にどうかしていますよ。こんなやり方をしていたら、私は本当にますます悪循環に突き進んでいくばかりだというふうに思うんです。

 しかも、今回、基本手当日額の算定方法を変えます。これ、そもそも現行制度では失業時賃金の六〇%が下限でした。失業前賃金の六〇%というのが失業者の生活の安定と再就職の促進のための限界だったということだと私は思うんです。ところが、今回これ五〇%にすると。再就職活動のための生活保障ができる下限を六〇%から五〇%に引き下げる根拠を示していただきたい。

政府参考人(戸苅利和君)

 今回の給付率の見直しにつきましては、先ほど来副大臣も御説明申し上げていますけれども、高賃金層について税引き後の再就職賃金とそれから非課税である雇用保険の基本手当日額の間に逆転現象が見られると。それによって、高賃金層の方については、雇用保険の所定給付日数中に就職する方よりも給付を丸々受給した後一か月以内に就職する方が多いと、こういうことがあるわけであります。この逆転現象を正そうというふうに今考えて計算いたしますと、五割にしないと逆転現象が解消しないというのが一番大きな理由でございます。

 それから、五割自身についての考え方というのは、実は雇用保険法、昭和六十年だと思うんですが、そのころやったときも検討はしていたということで、そういう意味で、我々としては、今もお話ございましたが、五〇%というのは正直ぎりぎりのところかなというふうなことでぎりぎりの判断をさせていただいたということであります。

小池晃君

 説明は再就職時賃金とのバランスで説明をされるんですけれども、これはそもそもそういう考え方じゃなかったはずなんですよ。失業前賃金の保証だったわけですよ。それが急に今回再就職時賃金との関係でというのは私はフェアではないと思うんですね。六〇%を五〇%に下げるのであれば、私は五〇%に下げても再就職活動のための生活保障ができるんだということをしっかり説明すべきだと思いますよ。今のは、前、議論があったからいいんだと、それだけじゃ説明になっていませんよ。これ全く説明できないんじゃないですか。五〇%でも本来の再就職活動の支援のための生活保障ができるという根拠を示していただきたい。

政府参考人(戸苅利和君)

 可処分所得ということで考えますと、仮に高賃金層、五〇%の給付を受けている方が再就職をして、税引き後の手取りの賃金考えますと、ほぼ均衡するということでございます。

 そう考えるといたしますと、これはいろんな考え方あると思いますけれども、雇用され再就職して、勤務に伴ういろんな経費も掛かると思います。一方で、再就職活動に要する経費というのもそれぞれ掛かると思いますが、その辺り、仮に同額掛かるといたしましても、再就職時賃金並みの給付をするということであれば、それは求職活動も十分できるというふうに考えております。

小池晃君

 再就職時賃金並みの賃金を保障されれば再就職活動できるというのは、私は根拠、非常に薄弱だと思いますね。

 さらに、聞くけれども、失業給付についての ILO の社会保障最低基準、これはどうなっていますか。今回の改悪でこの基準守れるんですか。

政府参考人(戸苅利和君)

 ILO の百二号条約、社会保障の最低基準に関する条約でございますが、これにおきましては、失業給付の給付率は標準受給者について前職賃金の四五%以上でなければいかぬと、こういうことになっております。これにつきまして申し上げますと、一つは標準受給者という限定が付いております。それから、これは実は、前職賃金について、税、社会保険料等の控除後の賃金でも差し支えないと、こういう限定になっています。

 そういった意味では、我が国の場合は、今申し上げたような税とか社会保険料を控除する前の名目の賃金でやっているということもございます。もっと言うと、五〇%でございますので、四五%ということは当然クリアしていると、こういうことだろうと思います。

小池晃君

 しかし、今、税や社会保険料のことをお話しになりましたけれども、一時金の問題もあるわけですね。

 これは、八四年改正時に離職前賃金の対象から一時金除いているわけです。これは、今、一時金含めていないから六〇%、あるいは現状クリアしていますけれども、これ、もしも一時金含めると、平均賃金で見ますと、大体今の六〇%という手当は四八%相当になるんです。つまり、現行でもこれは ILO 最低基準、私ぎりぎりではないかと思いますよ。局長、ちょっと聞いておいてほしいんですけれども。

 これを更に五〇%に下げれば、私は、一時金も含めた賃金総額に対してはこれ四〇%にしかなりませんから、これは ILO 最低基準違反ということになるんじゃないですか。

政府参考人(戸苅利和君)

 ILO の条約をどう解釈するかということだろうと思いますけれども、我々としては、定例賃金というか基準賃金というか、それとの比較ということで ILO 条約は解釈されているんではないかと、こう思っています。

小池晃君

 いやしかし、日本の賃金体系というのはやっぱり一時金の比率高いわけですよ。国際的な基準に照らすとすれば、一時金をその基準に含めたかどうかの是非はさておいて、国際的な基準に照らして日本の失業給付の最低基準を考えるんであれば、これは一時金も含めて考えなければやっぱり生活実態に合わないんではないですか。私は、今のままでは ILO 最低基準以下になるという危険が極めて高いというふうに思うんです。

 もう一回、大臣に私お伺いしたいんですが、賃金水準の五〇%で再就職活動する際の生活保障ができるとは、私はさっきの説明では全く納得できません。しかも、ILO 最低基準との関係でも非常にこれ重大だというふうに思うんです。

 中高年の失業者の皆さんというのは、これは長期に失業の経験なくずっと働いてきた方が多いわけです。そうした人たちに、本当に意欲を持ってもらって能力を本当に一〇〇%発揮してもらうと、私は支援することこそ求められていると思うんですね。

 やはり厳しい雇用環境です。中高年なんて本当にないわけですから。そういう中で、やっぱりそういった人たちに頑張っていい仕事を見付けてくださいということで支えることこそ、私、雇用保険制度に求められているんじゃないだろうかと。そういった人たちのところを削るというのは、私は正に全く逆行するやり方だというふうに思うんですが、大臣、もう一度、いかがですか。

政府参考人(戸苅利和君)

 確かに、高賃金層の方の中に中高年齢の方が多いということはそのとおりだろうと思います。

 ただ、今回の雇用保険の改正、非常に厳しい財政事情の中で、雇用保険制度の目的であります失業中の生活の安定と並んで早期再就職の促進と、この両面をいかにバランスを取って、それから雇用保険の被保険者の方、それから事業主の方、そういった方々の全体のコンセンサス、理解、最大公約数といいますか、その辺りはどの辺りなのかと、こういうふうに考えたわけでありまして、そういった意味で、雇用保険の失業給付について、いろんな立場からいろんな御議論あるわけでございますが、我々としては、やはり合理的な考え方として、今回のように低賃金層の方については極力給付率を維持し、高賃金層の再就職賃金とそれから基本手当日額との逆転現象は解消して、なるべく高賃金層の方については再就職の促進という方にウエートを置くということで見直したものでございまして、我々としてはこれで御理解をいただけるんではないかと、こう思っています。

小池晃君

 全く理解できません。最初から同じことしか言っていない。本当に答弁できていないというふうに思うんですね、私の言っていることに対して答えていらっしゃらない。

 景気悪化しているんですから、これは他の、ほかの社会保障制度とは違うわけですよ。高齢化だとかあるいは疾病構造の変化とか、そういったことはないわけです。正に経済情勢がダイレクトに反映するわけです。経済失政があるわけです。こういうときにこそ、せめてもの罪滅ぼしに国が責任を持つと、私はこれ当然のことだと思うんですよ。だって失業者増やす政策やっているんですからね。そのこと自体、私どもはもう正面から反対ですけれども、それをやるぐらいだったら、せめて罪滅ぼしに失業手当を厚くすると、私はこれは人の道だというふうに思うんですよ。

 国庫負担比率引き上げて、そして財政危機しのいで、そして景気回復に全力を挙げていくということをやるべきだと。景気回復すれば、以前の雇用保険制度なんというのは赤字のアの字もないわけですから、景気が良ければ全く財政、問題ないわけですから。そして、ここでしのいで、国庫負担入れてしのいで、そして景気が回復したらば財政も安定していくと、私はこれが本当にあるべき姿であって、国庫負担を緊急避難的にでも私は引き上げて、給付カットも、あるいは今後予定されている保険料の引上げというのも断じて撤回すべきだというふうに思います。

 さらに、雇用保険本体に関係する部分ですが、失業認定の厳格化の通達が昨年九月に出されていると。雇用保険法第三十二条の給付制限について、これまでは、紹介先の賃金が地域の平均賃金水準以下の場合は、これは紹介を拒否しても給付制限を受けなかったんですけれども、昨年九月の通達で、三十二条三号の「不当に低いとき。」の水準が、百分の百というのが百分の八十になっています。すなわち、紹介先の賃金が八割、地場賃金、地域の平均賃金の八割であっても、低賃金を理由に断ったりすると給付制限掛けられるようになると、こういう改定をしたということなんですね。

 これ確認したいんですが、いかがですか。

政府参考人(戸苅利和君)

 一つは、失業認定の見直しに合わせまして、効果的な再就職の実現に向けて、基本手当の受給におきます法三十二条の給付制限の一層的確な運営を図るという観点がありまして、そういった観点から職業紹介拒否等に正当な理由があると認められる場合の基準につきましての見直しを今回行いました。今おっしゃるとおりでございます。

 一般の賃金水準と比べまして不当に低い場合に該当する地域の同職種等の平均的賃金との格差、これをおおむね百分の百よりも低い場合から、おおむね百分の八十よりも低い場合に改めたということでございます。これは、八十というのは給付率の最高に合わせようと、こういうことでやったものであります。

小池晃君

 雇用保険の精神というのは、正に労働力の安売りをさせない、雇用の安定を図るというのが法の趣旨だと思うんです。これ、地場賃金の八割までの賃金は我慢しろというのは、法の精神に反するんじゃないですか。

政府参考人(戸苅利和君)

 正直申し上げて、市場経済システムという中で恐らく日本の労働市場も動いているんじゃないかと、こういうふうに思います。そう考えますと、やはり賃金の実態等から見て、前職と全く同じ賃金でないと就職しませんということが現在許されるような賃金の実態ではないんじゃないか、こういうことだろうと思います。

 そういった意味で、雇用保険の受給者の方が真剣に仕事を探すということであるとすると、やはり標準的に再就職した場合の賃金、この辺りも見ながら、しかし、賃金実態がもっと低いというふうな場合もあるわけですけれども、考え方としてはぎりぎり給付率の最高であります八〇%に合わせて失業の認定はやっていこうと、こういう考え方であります。

 基本的には、今申し上げましたように、基本手当の給付率との均衡を考える、一方で受給資格者の方の、ここにおいても就職意欲の喚起を図りたいと、こういう考え方に立っているものであります。

小池晃君

 ちょっと聞き捨てならないんですけれども、現在の経済情勢の下では、地域の平均賃金を要求することは、これは不当なことなんですか。

政府参考人(戸苅利和君)

 現在の日本の賃金の実態といいますか、これで見ますと、やはり、年功序列賃金というわけではないんですけれども、再就職したときの賃金、それから勤続を重ね能力を高めていった場合の賃金と、これを比べますと、平均の賃金というのは、そういう意味では、学校を卒業してずっと就職されている方、それから中途採用はされつつもかなりの年限就職されている方、それから去年初めて就職した方、そういった方々の全体の平均の賃金ということなんだろうと思います。そういった意味で、我々としては、やはり今回の基本手当の見直しも、特に高賃金層について再就職賃金というものを一つのメルクマールに考えたということで、これについても同様の考え方を取ったということであります。

小池晃君

 しかし、その地域の平均賃金拒否することが給付制限の理由になるなんていうのは、私とんでもないと思うんですよ。だって、その地域の平均賃金より二割も低くては、本当家族を守っていけないという労働者だっているはずです。労働者の側でそれを選択するということは、それはあるでしょう、経済情勢厳しくなる中で。しかし、この給付制限の理由にこんなものを入れるなんてことがあっていいのかと。労働者の側で、そんな地域の平均賃金より二割も低くちゃ家族守っていけないと、そんなときでもそれを拒否すれば給付受けられなくなる、こんなことがあっていいんですか。どうなんですか。

政府参考人(戸苅利和君)

 紹介拒否による雇用保険法三十二条の給付制限の運用でございますが、これは確かに、今おっしゃいましたように、何というか、それだけをもって判断するということではないわけで、それまでの公共職業安定所の職業紹介に対してどういった対応を取っていたのか、あるいは職業訓練受けるようにという指示に対してどういった判断をしていたのかと、そういったことを総合的に判断するということでございます。

 そういった意味で、この百分の八十以上の仕事を断ったからといって、それだけを理由に給付制限するということではありません、それは申すまでもないことでありますが。ただ、職業紹介をした仕事を断るときに、百分の百よりも低いものを、ちょっとでも低い、あるいは今申し上げた百分の八十までですが、百分の八十までのものを断ったというふうなことで、今はそれは百分の百でないと運用していないわけですけれども、今度は百分の八十というのも一つの判断の材料にしようと、こういうことであります。

小池晃君

 大臣に今までの議論を含めてお伺いしたいんですが、この失業手当削減では、失業手当を削っていくということは、私は、失業手当は少なくなればなるほど、もうやむなく就職せざるを得ないということになってくる、悪条件での再就職を推進することになりかねない。そして、地域の地場賃金の八割までは再就職を拒否できないような給付制限掛けていくと。収入が二〇%下がっても地域平均賃金より二〇%低くても断れないと。これ、現在でも賃金がどんどんどんどん下がっているわけです。それなのに、さらに平均の八割の賃金ということを条件にしていく。

 私はこのやり方というのは、そして法の冒頭に再就職の努力というようなことまで付け加えられたと。私は、この全体像というのは、正に雇用保険制度の改悪を通じて本当に国が逆に低賃金を促進するような、そういう方向になりかねないんじゃないかと、この運用いかんによってはそういう危険性が非常に強いんじゃないかというふうに、これは大変重大だというふうに思うんです。失業者の生活条件の悪化ということではなくて、日本の労働者全体のこれは労働条件を悪化させることにつながるんじゃないかと。

 そして、併せてもう一点。就業促進手当というのは今回盛り込まれたわけです。これは選択できるんだというふうに衆議院でも答弁されていますけれども、先ほどの前半の議論の中では、多様な就業形態を促進するためだというふうに副大臣も答弁されている。

 こういうふうになれば、全体として、この雇用保険制度の今回の改定を通じて、賃金は低い方に、雇用は正規雇用から非正規雇用にという方向に持っていくという仕組みになっていくじゃないですか。そういう危険性が非常に強い改悪だというふうに思うんですが、大臣いかがですか。

国務大臣(坂口力君)

 これはもう需要と供給の関係で雇用の状況というのは回復するわけですから、経済の回復が見られる、そしてそういうふうになってまいりますと労働力はだんだん必要になってくるわけでありますから、そうしたら賃金は元に戻る。それはそれまでの辛抱だと私は思いますね。

 それは、小池議員は国が出せ国が出せとおっしゃいますけれども、雇用保険は国が出せ、医療費は国が出せ、年金は国が出せ、もう国自体が破綻し掛けているときでありますのに、本当に破綻させてしまっていいんでしょうかね。私はそうは思っておりません。

小池晃君

 いや、それは国だって削るべきところ一杯ありますよ。そういったところからやはり本当に景気回復に役立つ方向に行くべきだというふうに思いますよ。

 本当に今の無責任だと。もう正に自由経済という、もう完全に国はノータッチで、もう自然現象のように進んでいくという立場じゃないですか。もう大臣のように自然に需要と供給の関係で景気も回復していくし雇用も戻っていくというんだったら、もう政府なんて要らないということになりますよ。雇用政策なんて必要ないということになりますよ。社会保障制度なんてなくたって、自然に需要と供給の関係で景気も良くなっていくし雇用だって回復していくという議論じゃないですか。私は本当に耳を疑うような無責任な議論だと思いますよ。何のために国があるんですか。そんな需要と供給の関係、資本主義の、その経済理論だけに、経済原理だけに任せていたらばもうどんどんどんどん悪化するからこそ国がいて、そして社会保障制度があり雇用保険制度があり支えているわけじゃないですか。その責任を果たさずして、需要と供給の関係で良くなりますなんというのは、本当に私、無責任な発言だというふうに思います。そんなやり方では本当に景気の回復なんというのは、断じてそれは私は景気の回復なんてあり得ないと思いますし、ますます雇用保険財政にしても社会保険財政にしても悪化するばかりだというふうに思いますよ。

 ちょっと時間がもうほとんどなくなってきてしまったんですけれども、ちょっと用意していた青年の雇用の問題、冒頭の問題だけちょっとお聞きしたいんですけれども。

 青年の雇用の問題です。

 高卒の未就職者の数が大変今増加しています。一月末現在で五万人だと。文科省の調査では、昨年十二月現在で未内定者が八万人だと聞いています。三月十九日の参議院の予算委員会で、我が党の吉川議員の質問に対して大臣はこう言っているんですね。働くという気持ちがなければなかなか就職しないと。本当にそうだろうかと私思うんです。大臣は、まずやる気をどうしたら持たせるかということが先決問題だと言っているんです。高卒未就職者四万五千人は、これは就職望んでいるわけですよ。望んでいるにもかかわらず、働き先がない。大臣は先決問題は気持ちの問題だと言うけれども、私は先決問題は就職口を増やすことではないかと思いますが、いかがですか。

国務大臣(坂口力君)

 私もすべてが若い人たちの気持ちの問題だということを申し上げているわけではありません。

 しかし、若い人たちの気持ちの問題もあるということを私は申し上げているわけであって、一部だけ取り上げて言ってもらってもそれはいけないわけで、私は全体としては若い人たちに仕事の場を与えなければならない。それは先ほど、今日ここでもお答えを申し上げましたとおりの、若い人たちに対する今までの仕事というのはだんだんと全体の状況で少なくなってきている。それは大学やあるいは短大、専門学校といったようなところに取られる部分もあるし、そしてまたパートタイムその他の人たちに譲っている部分もあるし、そうした環境に置かれているこの高等学校卒業者の問題を構造的な問題としてどう取り組んでいくかということが大事だということを申し上げているわけであって、そこを解決することなしに駄目だ駄目だと言いましても良くなってくるわけではありません。

小池晃君

 私も大臣はそんなこと言うはずないだろうと思って発言全文見たんですよ。

 大臣こう言っているんですよ。最初から読みますと、一番大事なことは、若い人たちにやっぱり働くという気持ちを持ってもらうこと、これが私は一番大事だと思うんです。どれほどいろいろなものを並べましても、働くという気持ちにならなければ、これはなかなか就職しないわけでありますから、まずやる気をどうしたら持たせるかということが先決問題と思っております。その後は、外国の例もいろいろありますが、日本に最も見合った対策を立てていきたいと思っております。

 これ、全体として見れば、正に気持ちの問題が先だ、先決問題だ、一番大事なことは気持ちの問題だというふうに大臣言っているじゃないですか。私は違うんじゃないかと言っている。この全体の発言を見れば、大臣の認識はまず気持ちの問題だ、それがあってから就職口整備することだと、そういうふうにしか読めない発言ですよ。私は違うと。

 その後で遠山大臣は逆の言い方しています。まず就職口の確保だと言っている。私は、これは当然だと思うんです。

 だから、正に青年、特に高卒未就職者の就職問題の解決のまず最初にやるべきことは、私は就職口を増やすということではないかと。一番今の理由というのは中高年のリストラとともに新卒者の採用の削減があるわけですから、そこにこそメス入れると、これが青年の雇用対策の一番大事なところだという認識をお持ちじゃないんですか。

国務大臣(坂口力君)

 それはその議論が始まります前にまだいろいろの議論があったわけで、私はその部分では確かにそういうふうに申してあり、というのは、若い人たちに対するいわゆる求人というのはかなりあるわけですね。若い人たちに対する求人あるわけですよ。だから、若い人たちに対する求人があるんだけれども、なかなかそこに行ってもらうというわけにいかない。ミスマッチがそこに存在をしている。全体の世代の中で見れば、失業率も高いですけれども、求人もまた高いわけですよ。だから、その問題もある。それから、一度就職をしてもらっても途中で辞められる方が多い。こうした問題も考えていかなきゃいけないということを私は申し上げたわけであって、やはり若い人たちに対する就職の問題が大事だというのは私もそれはそう思っておりますよ。

 そして、しかしそうはいいますものの、そこが大事だというだけではそこに働く人たちが生まれてこない。生まれてこないその理由を尋ねていくと、そこを分析をしてみると、高校卒業のところの仕事がほかの部分に行っている。そういう全体としての社会状況、経済状況が今作り出されている。だから、その新しい経済状況の中で高校卒業の皆さん方に職を与えるためにはどう改革をしていったらいいかということを考えざるを得ない、そういうことを私は申し上げているわけであります。

小池晃君

 求人一杯あるんだとおっしゃいますけれども、政府の例えば二〇〇二年度の労働経済白書を見ても、九〇年代後半以降、学卒求人が大幅に減少し就職環境が厳しかったことがその後の離職率を高めていると考えられるというふうに分析しております。

 辞める人多いんだというふうにおっしゃるけれども、九八年の若年者就業実態調査報告を見ても、離職の理由は、賃金条件や労働時間、休日、休暇の条件が良くなかったというのが二三・七%、倒産、解雇二・一%。四分の一は、就業環境が厳しい、本当に当初言われていた条件と全然違うということで辞めている人が多いわけですよ。根性ないとか気持ちの問題だとか、そういう問題じゃないんだと。これは青年の意欲の問題ではなくて、本当に今の厳しい就業環境、この問題なんだという認識を持たなければ、私は対策も誤ったものになるというふうに思うんです。

 その点で、ちょっと資料を配っていただきたいんですけれども、(資料:青年雇用資料本来ならば、やっぱり新規採用枠を増やすということで国が責任を持つと。サービス残業をなくすとか、そういうことで九十万人の雇用生まれるということもあるわけです。

 これは、サービス残業の根絶というのは緒に就いたばかりですけれども、これ徹底してやるべきですが、緊急の対策として、自治体では、今お配りしている資料にあるように、緊急の高卒未就職者対策というのをやられています。

 私ども調べたらば、ある程度の数の自治体で緊急施策やっていると。これ、例えば長崎などは、その資料にもあるんですが、週三十時間の就業で、その間にスキルアップの講習などの就職支援も行うような取組やっているんです。それから、臨時職員を雇用するという県でも、同時に、就職活動に役立つような時間とか講座を設けていると。

 もちろん、これ、全部がいいかどうかというのはこれ吟味必要ですよ。いろんな意見あると思うんです。助成金付きのアルバイトということになりかねないという意見もあると。

 しかし、高校を出た直後から四万五千人もの人が仕事がないと、こういう実態がある中で、やっぱり何かやりたいと。自治体としても何としても、少しでもこういった人たちを職に就けるような努力をしたいという、私は自治体の気持ちは大変よく分かる。これはこういう思い、当然だと思うんです。

 私は、こういう取組を国としてもよく調査研究をして、国としても何か必要なことはできないかと。例えば、今示した中には、先ほども議論ありましたけれども、緊急地域雇用創出特別交付金使っているような事業もあります。

 そういったことも含めて、やはり国として、こういう地方自治体でやられている様々な取組に学んで、研究をして、やはり何らかの高卒未就職者の緊急対策、こういった取組をやる必要あるんじゃないかと思いますが、いかがですか。

政府参考人(戸苅利和君)

 御指摘のとおり、各市町村あるいは各都道府県でも高卒者のいろいろな対策を取っておられます。

 我々も、学校在学時、それから求職活動をしている時期、それから就職した後の定着の問題、そういったことをやっぱり総合的にかつ体系的に対策を更に講じていかぬといかぬだろうと、こう思っているところであります。

 今の自治体の問題でありますが、自治体については我々もどんな状況かということはいろいろフォローに努めているところでありますけれども、やはりこれもいろいろ伺いますと、一年あるいは一定期間やってみたけれどももう見直した方がいいんじゃないかというところ、それから、やっぱりニーズも高いんで続けていこうと、いろんなところがあるようでありまして、我々としては、そういった自治体での取組というものがどういった効果を上げているのかということはやはり十分検討をしてみる必要があるだろうと、こう思っているところでございます。

 それから、交付金につきましてでございますが、交付金についても幾つかの自治体で若年者を対象にした交付金の事業はやっているようでございます。

 ただ、我々の立場からいたしますと、交付金については、なるべく幅広い層の失業者の方になるべく多くの一時的、臨時的な雇用機会を付与いただくと、こういう観点でやっておりまして、基本的にはそれぞれの自治体の判断で、若年者にも効果的であるということであれば、これはやっていただくということはそれはそれで意義のあることだろうと思います。

小池晃君

 それから、職業訓練の問題をお聞きしたいんですけれども、国と自治体が訓練施設で行っている高卒までの学卒者対象の職業訓練の募集は、聞いたところでは、十三年度、これ直近ですけれども、都道府県立の施設で一万三千人だと、能力開発機構で四千人で、計一万七千人だと聞いています。

 この一万三千人の都道府県立施設の定員に対して、これ倍率は一・八六倍、結構希望している人が多いわけです。就職率も、これ八〇%就職しているというふうに聞きました。これなかなか希望している人も多いし就職の成績もいいようですが、こうした都道府県立施設への助成金額、直近五年でどうなっているか。これどうも減少しているようなんですが、減少している理由も含めて御説明いただきたいと思います。

政府参考人(坂本由紀子君)

 学卒者訓練の運営経費への補助といたしましては、平成十年度の都道府県立の能力開発校への補助金額は百四十二億円であります。平成十五年度予算では同様の額が百二十三億円でございますので、御指摘のとおり経費としては減少をいたしております。

 その理由といたしましては、都道府県における能力開発校の統廃合等がございまして、入校生が減少をしているというようなこともありまして予算額が減少しているものであります。

小池晃君

 もう時間ないので質問はしません。提案だけさせていただきたいと思うんですが、いろいろと見ると、全体として倍率は高いんだけれども、人気のないような科目もあるらしいです。これはやはり応募が多いところは私は規模の拡大をもっとすべきだと。これは都道府県任せにせずに、国としても必要な財政支出を私は考えるべきだというふうに思うんです。

 それから、雇用保険の適用外になっていますから、学卒者は。そういった人の生活保障も検討すべきではないかと。

 それから、いろいろと中身聞くと、コンピューターが非常に古かったり、ウィンドウズの 95 を使っているとか、そういったので訓練しているとか、そういう話も聞くんですね。ですから、やはり本当に今の求人の水準に見合うような内容の吟味、水準の向上をしていくべきだと。

 私は、全体として、高卒未就職者あるいは高卒学卒者向けの施設に対する助成金が減っているというのは大変問題だというふうに思っています。これは是非もっともっと光を当てて、本来必要な訓練ができるような仕組み、その予算措置を取るべきだということを主張して、私の質問は終わります。

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