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日本共産党参議院議員・医師 小池晃 アーカイブ[〜2008] 日本共産党参議院議員・医師 小池晃 アーカイブ[〜2008] 日本共産党参議院議員・医師 小池晃 アーカイブ[〜2008]

156-参議院通常国会 厚生労働委員会 食品衛生法改正案審議

2003年5月22日(木)


新型肺炎 緊急連絡体制確立を 検疫官の増員求める


小池晃君

 重症急性呼吸器症候群、いわゆる SARS の問題、午前中も議論ありました。検疫所や厚労省の姿勢をただしたいと思うんですが。

 この問題、まず第一に、検疫所と厚労省の内部で情報が放置されたと。十五日の十九時半に伝えられた情報が十六日の昼過ぎまで放置されたということで、余りにもずさんではないだろうかと。大臣に最初に、厚労省の責任、私重大ではないかと思いますし、この点をお伺いしたいのと、それから、こういうこと起こらないように直ちにこの連絡体制、改善を図るべきでないかと考えるんですが、大臣、いかがでしょうか。

国務大臣(坂口力君)

 午前中にも御答弁を申し上げましたとおり、やはりその場その場のつかさに携わっております者はその任務というものを忠実に実行する必要がございます。いかに厳しい仕事の中であるとはいいますものの、寄せられました情報というものに対しましては敏感に反応をしなければならないというふうに思っている次第でございます。

 寄せられました情報はまだ確実な情報ではございませんでしたけれども、しかし、その情報に対してより具体的にやはりお聞きをすべき立場にあった、それを聞かなかったことが大きな過ちの発端になったと自覚をしているところでございます。

 情報につきましては、これはもうすべて集中して行われるようになっているわけでありますから、それをいかに忠実に実行せしめるかということだというふうに思っている次第でございます。

小池晃君

 ただ、厚労省の説明では、検疫所から厚労省への連絡、あるいは厚労省内部の検疫所業務管理室から結核感染症課への連絡、これも搬送ということが発生した場合は連絡するようになっているようなんですが、それ以外は基準はないというふうに聞いているんですね。やはり、現場の判断に任せるのではなくて、きちっと連絡をするというシステムを確立する必要があるというふうに思っております。

 こういう情報の放置、このこと自体あってはならないことだと思いますが、しかし現場の責任ばかりにできない面はあるんではないか。といいますのは、人員が大変手薄で十分な対応ができないという報道もされています。

 政府参考人に、検疫官の数が八九年と今年を比べてどのように推移しているか、数字だけ簡単にお答え願いたいと思います。

政府参考人(遠藤明君)

 八九年、平成元年でございますが、全国の検疫所に配置されている検疫官の数は三百七十七名でございました。平成十五年度、三百四十五名となっております。

小池晃君

 三十名以上減っているわけです。こうした中で、昨夜、大臣が全国の空港検疫所に三十一人の看護師さんを配置するということを決められたということで、私は率直にこれ評価したいというふうに思っているんです。同時に、これだけで十分ではあるとは言えないと思うんですね。

 いろいろと調べると、例えば問題の起こった関空の検疫所の職員は四十一名です。しかし、実際に検疫バースに立っている人は二十四名。七、八人一組として南北のバースに半分ずつ分かれて、交替で二十四時間業務やっているというんです。大変な業務量なんですね。実際の勤務形態を見ても、午前十一時から午後十一時まで働いて、仮眠をして翌朝の五時から十一時までと、こういうシフトなんかがあるわけです。私、これでは集中力も続かないし、体力が低下すればこれは感染の危険も増すわけですから、真っ先にその水際で感染者に接する可能性がある人たちにとってみれば私はこれ大変放置できない事態なんではないだろうかというふうに思うんです。

 今回、関空で六名増員ということになるわけですが、感染防止のために私は人手もお金ももっともっと掛けていいんじゃないか、こういう部分にこういう時期に人手を増やして多過ぎるということはこれ決してないはずだと思うんです。そもそもこの三十人減った検疫官の、その間に出入国者の数どうなっているかというと、八九年は千二百六十五万人、これが昨年は二千二百三十万人、激増しているんですね。二倍近く増えている。

 私はこれは、今回の措置、これは率直に評価したいんですが、これはここにとどまらずに引き続きこの検疫の体制を見直していくと、そして抜本的に強化するということが求められているんじゃないかと思うんですが、大臣の考え方、お聞きしたいと思います。

国務大臣(坂口力君)

 三十名、なかなか大変な中、認めていただいたわけでありますので、まずこの配置によりまして、そして第一線で頑張っていただくということを行いたいというふうに思っております。

 それから後のことにつきましては、これは今後の SARS の状況等にもよりますけれども、現状でありましたらこの体制でお願いをしたいと思っているところでございます。

小池晃君

 私はやはり、こういう事態に接して初めてこの手薄さ、この間、人員を削減してきたことの矛盾がはっきり現れてきたわけですから、やはりこういうときに本当に、国の危機管理のむしろ根本じゃないですか。こういったところにしっかり人を配置していく、こういう立場で私は、厚生省は、厚生労働省は臨むべきだというふうに思っております。これからの推移によって、これは必要な人員、体制の強化ということを引き続きやっていくということを求めたいというふうに思います。

 徹底的にこの流入を防止するために厚生労働省として全力を挙げるべきだと思うんですが、それでも国内感染者というのはこれは発生するということは可能性は否定できないわけであります。今回、感染拡大の防止に、そういうふうに国内感染者が発生した場合、もちろん第一にやはりやらなければいけないことは感染拡大の防止であるということは間違いないと。

 しかし、同時に、この感染者が様々な不利益な取扱い、あるいは不当な長期入院、こういったことを強いられることのないように、やはり人権を尊重した対応もまた同時に求められているんではないだろうか。それから、消毒の仕方やあるいは感染の危険性についての誤解なんかも今の対応を見ていると見受けられるようなふうに私も受け止めておるんですね。その点について、やはり正確な知識の普及ということにもこれ徹底して取り組んでいく必要があるんじゃないだろうか。

 その点で、こうした観点から大臣、この SARS の対策について、特に人権をどうやって守っていくかという観点からどのような態度で臨まれていくのか、対処されるのか、最後に伺って、私の質問を終わりたいというふうに思います。

国務大臣(坂口力君)

 午前中にも御答弁を申し上げましたとおり、まず、何と申しましてもこの病気を拡大をさせないということがまず第一、そのことを中心にしまして、そして、しかしそうはいいますものの、人権も守っていかなければならない、その両立を目指してこれは考えていかなければならないというふうに思っているところでございます。

 今回の場合に、特に、ホテルでありますとか飲食店の皆さんでありますとか、御了解を得て発表させていただきましたが、御協力をいただきました皆さん方に対して心から感謝を申し上げている次第でございます。

 これからも国内において発生することはないとは言い切れないわけでありまして、そのときにはまず感染の拡大防止、そして人権を守りながら、その中で拡大の防止を優先してどうやっていくかというところでケース・バイ・ケースそれは考えていかなければならないというふうに思っている次第でございます。

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