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156-参議院通常国会 法務・厚労委員会連合審査 心神喪失者医療観察保護法案審議

2003年5月26日(月)


献金団体に高額委託費

「木村厚労副大臣は不適格」


小池晃君

 日本共産党の小池晃です。

 心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者をどう処遇するかという問題は、これは厚生労働行政と司法行政両方にかかわる重大なテーマです。徹底した審議が求められるというふうに思います。

 そもそも、今回の法案は他害行為を初めて行う者に対しては何ら効力を発揮し得ない。重大な他害行為を防止し社会復帰を適切に進める上で、より根本的には、神医療全体の水準をこれ、抜本的に引き上げること、そして地域ケア体制の整備を図ることが欠かせない課題だと思います。日本の精神障害者に対する医療福祉制度をこのままにして処遇制度を作るということは、これは新たな矛盾を生むことになりかねませんし、精神医療福祉の改革こそ急ピッチで進める必要があるというふうに思います。

 そこで、まず最初に、そもそも日本の精神医療が国際的にも異常と指摘されているのは、これは入院患者の数が多いことだと。しかも、諸外国が入院患者を減らしている中で我が国は逆に入院患者が増えてきている。

 そこで、まず厚生労働大臣に、こうした入院偏重の我が国の精神医療の在り方についてどういう問題意識をお持ちか、最初にお尋ねします。

国務大臣(坂口力君)

 今お話ありましたように、日本の精神医療の特徴と申しますか、他の先進諸国との間の違いというのは、今お挙げになりましたように、ベッド数が多い、そして長期入院が多いという一つの点、それからもう一つは、それと裏腹になるわけでございますが、地域における受皿が充実していないということだと思います。それからもう一つ挙げますならば、これはいわゆる精神医療の機能分化と申しますか、機能が分化されていないということ、そうした特徴があるのではないかというふうに思っておりまして、やはり、その七万人を超える社会的入院があります以上、ここを改革をしていくということがなければならないことは御指摘のとおりだというふうに思っておりまして、地域における受皿をどうしていくか、ハードの面、ソフトの面、両面にわたりまして整備をしていかなければいけないというふうに思っております。とりわけその中で人の問題が大事でございますので、人をどう育成をしていくかといったようなことに重点を置いてこれからやっていかないといけないというふうに思っている次第でございます。

小池晃君

 今お話あったように、社会的入院は七万人という数字が出されておりますが、その根拠をまず最初に説明していただきたいと思います。

政府参考人(上田茂君)

 お答えいたします。

 平成十一年患者調査によりますと、病院の精神病床に入院している約三十三万人のうち、生命の危険は少ないが入院、治療、手術を要する者が十九万七千人、生命の危険がある者が約五千人、受入れ条件が整えば退院可能である者が約七万二千人、その他の者が五万六千人、このような患者調査でございます。

 このような、今申し上げました受入れ条件が整えば退院可能である者をいわゆる社会的入院者と想定し、これらの方々が退院し社会復帰を実現することができるよう各種の施策の推進を図っているところでございます。

小池晃君

 そこで、この七万人、七万二千人、こういう数字、実際はもっと本当は多いんじゃないかと。かつての調査ではもっと多かったという指摘が衆議院でもされました。そして、当時の部長は実態調査の検討を行うというふうに答弁をされているんです。

 そこで、その後の検討、調査、どうなっているか、御説明願います。

政府参考人(上田茂君)

 先ほどは患者調査による結果で七万二千という御説明を申し上げておりますが、いたしましたが、この精神障害者の社会復帰のサービスニーズにつきまして、精神障害者の社会復帰推進施策の基礎資料を得ることを目的として委託調査として現在実施をいたしております。

 具体的には、全国から抽出しました精神病床の在院患者、精神科外来通院患者及び精神障害者社会福祉施設の入所者、こういった方を対象といたしまして、また、調査の趣旨について同意の得られた対象者に関し、本人が記入する調査とそれから主治医が記入する調査、これを併せて実施するものでございます。

 調査内容は、例えば入院患者の調査票におきましては、性、年齢、精神保健福祉手帳の有無、保有、診断名、病歴、本人の退院希望や主治医から見た退院可能性、精神症状の状況、障害の程度、日常生活能力、退院後の暮らしの場、退院後の必要な支援等でございます。調査は現在集計中でございまして、取りまとめた段階で私どもその結果を公表するということを考えております。

 また、精神病床あるいは在宅福祉に関する検討会、今後開催を実施することを予定しておりますが、こういった検討会の場の資料として活用させていただきまして、今後の精神保健福祉施策の充実に反映させていきたいというふうに考えております。

小池晃君

 その調査、どこに委託されましたか。委託先を教えていただきたい。

政府参考人(上田茂君)

 お答えいたします。

 当初、全家連に委託予定でございましたが、全家連からの申出により委託を中止いたしまして、日精協に、日本精神科病院協会に委託しております。

小池晃君

 日本精神科病院協会は社会的入院が七万人という見解に対してどのような見解を持っている団体なのか、御説明願います。

政府参考人(上田茂君)

 実は、日精協におきましても、入院患者のいわゆる社会的入院、今後の退院が可能な患者につきましての調査が行われております。そういう中で、日精協の方もこういった患者さんがおられるということにつきましては認識され、ただ、日精協の調査の中で七万二千でなくまた別な数字というようなものを出されてもおります。

 したがいまして、今回はこういった調査を更に進める中で今後の対策を考えていきたいというふうに考えております。

小池晃君

 日精協はもっと明確に言っているんですよ。昨年二月に皆さん方は、七万人という数字を社会保障審議会の障害者部会精神障害分会で報告されました。その直後に日精協の常務理事は、協会の雑誌の五月号で、机上の空論だと言っているんですよ。七万二千人の数字の算定根拠も明確でないと、全面反論しているわけですよね。

 このように明確に、社会的入院七万人という数字にもう明確に異議を唱えている、こういう団体に調査を委託して、客観的で公平、公正な調査ができると、そういうふうに考えるんですか。いかがでしょう。

政府参考人(上田茂君)

 先ほど申し上げましたが、当初は全家連に予定でございましたが、先ほどの答弁のとおりでございます。この調査は確かに日精協に委託をしているわけでございますが、先ほど申し上げましたように、全国自治体病院協議会、あるいは国立病院・療養所精神科医師協議会、あるいは精神科医学講座担当会議、あるいは全国精神障害者社会復帰施設協会、こういった関係団体にも御協力いただきながら調査を行っているものでございますので、単に一団体ではなく、今申し上げましたように幅広い関係者の協力を得ながら調査を進めているものでございます。

小池晃君

 日本精神科病院協会は、昨年十一月の全国集会でこう決議文まで出しています。今回、一方的に七万二千人の社会的入院を持ち出してきた、このことは国民に精神医療、特に精神科病院の現状を大いに誤解させるものであり、断じて容認できないと。もうはっきり、七万人という数字は容認できないとまで明確に言っている団体ですよ。そこに取りまとめをさせて、それでいいんだという説明は、これは成り立たない。

 副大臣、木村副大臣はこの全国集会に参加されているから、こういう決議が上がったことも御存じだったと思うんです。私、社会的入院の七万二千人という数を、これ、集会では断じて容認できないと決議されていた、副大臣御存じだと思いますよ。こういう団体に、その数が、再検討を委託すると。私は、これで公平、公正な調査と言えるのか、副大臣、ちょっと御見解を伺いたいと思います。

副大臣(木村義雄君)

 御指摘の集会でございますけれども、私は確かに出席をさせていただいたのでございますが、私が、ごあいさつをさせていただいた後、都合がございましてすぐに退席をいたしたわけでございまして、その後どういう議論が行われたかは存じ上げない次第でございます。大変恐縮でございます。

小池晃君

 極めて無責任ですよね。でも、今のもね、厚生労働省を代表して出たのに何が決議されたか知らないのかというのも無責任だと思いますが、私が聞いたのはそういうことじゃないんです。この問題ではっきり言っているわけですよ。もう七万人というのは駄目だと言っているような団体でしょう。そういうところに調査を依頼して公平と言えるのかと。

 私、この七万人という数字は極めて重要な数字だと思いますよ。だって、これからの日本の精神医療、精神福祉行政左右する数字じゃないですか。この数によって、どれだけの施設や人員、整備するかの根拠になるんですよ。ですから、本来であればこんな調査は、私は、厚生労働省が自ら責任を持ってやるべき調査だと。

 百歩譲ったとしても、そもそもこれは七万二千人という数の検証をすることが目的だったわけですから、その七万二千人という数字に異議を唱えている団体に調査を委託する、私はこれは全く筋違いだし、こういう調査に基づいて政策決定が行われていいのかということを厚生労働副大臣にお聞きしているんですよ。お答えいただきたい。

副大臣(木村義雄君)

 まず、やっぱり事実関係を確かめ、真意を確かめないとその辺のことがはっきり言えないわけでございまして、十分、もし、十分にその辺をまだまだ理解をしていないわけでございますので、そこは直ちに今お答えをしろといっても、これはよく分からないところでございます。

小池晃君

 日精協が七万人に異議を唱えているというのは常識ですよ、これは。みんな知っていることですよ、運動団体もみんなそのことを指摘しているんですから。それを知らずに委託したんだとしたら、これは大変なことですよ。むしろその方が私、責任は大きいと思いますよ。

 利害関係が余りにも明白だ、これ断じて認められない。こんな調査を基に提案されるような精神障害者の社会復帰施策など、私は議論の前提が失われているんじゃないかと思いますね。

 しかも、お尋ねしたいのは、この調査に対して、厚生労働省、委託費幾らお払いですか。

政府参考人(上田茂君)

 お答えいたします。

 予算額は八千六百四十二万八千円でございます。

小池晃君

 約九千万円であります。

 七万二千人の数字を糾弾し、その引下げを画策している団体に、私は調査を依頼すること自体が非常識だと思う。その上これだけ多額の委託費を支払うなんというのは、本当耳を疑います。

 日精協は、常務理事のコメントでこう言っているんです。日精協でなければ調査分析はできません、日精協独自の現状分析を行い、それに基づく提案を早急に行わなければならないと。こうまで言っていたんですから、何もお金払う必要ないじゃないですか。勝手にやってもらって、それで提案してもらえばいいんですよ。そういう団体に九千万円もの税金を出してわざわざ委託をする、これ木村副大臣、こんなことをやって国民の納得得られると思いますか。いかがでしょう。

副大臣(木村義雄君)

 先ほどから申し上げておりますように、その七万二千人の件で日精協がどういう対応を取っているか、今初めて委員の御質問でお聞きしたところでございまして、そこは私が急に答えよといってもなかなか判断しかねるところでございますし、さらに、その上にその委託金がどうだこうだ言われましても、それはどういう水準で支払われているのか、それはもう今日は全く初めての御質問でございますから、私にやぶから棒に言われても、それが高い水準であるのか安い水準であるのか、中身がどういう契約が行われているのか、それは全く存じ上げないところでございまして、そこは急に言われてもそれはなかなかお答えしづらいわけでございますので、その点は御理解を賜りますようによろしくお願いを申し上げる次第でございます。

政府参考人(上田茂君)

 お答えいたします。

 まず、この調査につきまして、先ほど私、調査内容を申し上げました。この調査では、社会的入院者が七万二千ですとか、あるいはどのような数かというのではなく、あくまでも、私申し上げましたが、これから入院の患者、精神障害者の社会復帰を進めるために必要な基礎データでございます。これが一点でございます。

 それからもう一点………

〔小池晃君「駄目だ、さっき七万二千人の再検証の調査だって言ったじゃないか、答弁で。駄目だよ、そんなの。さっきの答弁と違いますよ。でたらめですよ、これ。駄目ですよ、答弁でたらめですよ」と述ぶ〕

委員長(魚住裕一郎君)

 許可を得て発言してください。

 答弁してください。

政府参考人(上田茂君)

 いや、私、先ほどこういうふうに申し上げました。

 精神障害者社会復帰サービスニーズ等調査は、精神障害者の社会復帰推進施策の基礎資料を得ることを目的として委託調査として実施したものということでお答えさせていただきました。

 もう一点は、確かに日精協に委託でございますが、これも先ほど申し上げました、国立、大学ですとか自治体病院協議会ですとかあるいは社会復帰施設の協会、こういった各種の幅広い関係者に参加していただいております。それからまた、全家連もこの調査にも参加していただいておりますので、必ずしも日精協だけで行っているものではなく、こういった関係、医療関係者の、精神医療関係者の、あるいは福祉関係者が一緒になって調査を進めている調査でございますので、その点も、その点についての御理解をよろしくお願いしたいと思っております。

 それからもう一点は、入院、対象者の施設についてはかなり幅広い調査を実施いたしておりますので、そういった費用を計上しているところでございます。

小池晃君

 さっき言ったこと繰り返しただけです。しかも、私は七万二千人という数の検討はどうなっているのかと言ったときに、精神障害者社会復帰サービスニーズ等調査を行っておりますと答弁したじゃないですか。だから、これは七万二千人再検討するための検討だってさっき答弁したんですよ。でたらめなことを言わないでいただきたい。

 ところで、木村副大臣は、日本精神病院協会の政治連盟から二〇〇〇年には百三十万円、二〇〇一年には六十万円の献金を受け取っている。そして、衆議院の厚生労働委員会の答弁では、二〇〇二年度には百十万円。ですから、合計、あなたは日本精神病院協会政治連盟から合計で三百万円の政治献金を受け取っていることになる。

 衆議院の審議でもこの入院偏重の精神医療に対して批判があって、社会復帰を促進するというふうに政府は答弁してきました。しかし、その社会復帰促進のための施策に決定的な影響を与える調査を、少しでも不必要な入院の数を小さく見せたいというふうに思っている団体、当事者、病院経営者の団体にその調査を委託し、その上、九千万円もの税金を委託費として投入をした。そして、木村副大臣はその政治団体から三百万円の政治献金を受け取っている。これは絵にかいたような利益誘導じゃないですか。税金の還流そのものじゃないですか。あなたはそうでないというふうに国民に対して言えるんですか。

副大臣(木村義雄君)

 私への政治献金は、これはまず、政治連盟からの献金でございます。そして、その政治献金は適法に処理をさせていただいておるわけでございますし、大臣、副大臣、政務官規範にのっとり、決して、政治献金の有無にかかわらず、その政策がどうだこうだということは決してあるわけではございません。

小池晃君

 あなたね、法律に直接違反しなければ何やってもいいということですよ。これはずっとあなた衆議院のときからそれしか答えない。政治資金規正法に基づいて届出をしているんだと、これだけですよ。結局、あなたは法律に違反しなければどんな疑惑を招くことをやっても構わないということじゃないですか。このように疑いを持たれることをやっておいて本当に恥ずかしくないのかというふうに思いますよ。

 もう一点ちょっと厚労省にお聞きしますが、日精協への調査の委託契約はこれはいつ行われましたか。

政府参考人(上田茂君)

 お答えいたします。

 日精協との契約日は十二月十三日でございます。

小池晃君

 何年。

政府参考人(上田茂君)

 昨年。

小池晃君

 昨年十二月十三日に契約をしたと。

 木村副大臣に確認をしたいんですが、これはもう答弁されていますので間違いないと思うんですけれども、昨年十一月に三十万円、十二月に五十万円の政治献金を日本精神病院協会政治連盟から受け取っている。間違いないですね。

副大臣(木村義雄君)

 日精協政治連盟からは、先生御指摘の十一月に三十万円、十二月に五十万円の政治献金を受けているわけでございますが、日精協政治連盟はあくまでもこれは任意団体でございます。日本精神科病院協会とはこれはあくまでも別な組織でございますので、その点を十分に御理解いただきますようにお願いを申し上げる次第でございますし、政治献金は政治家の活動として法律上認められているものであり、政治資金規正法に基づき適正に処理をしているところでございます。

小池晃君

 あきれた話ですよ。これは昨年十一月に三十万円もらっているわけでしょう。そして、十二月に厚労省は日精協との委託契約を結んで九千万円支払っているんですよ。そして、その十二月に五十万円あなた受け取っているんですよ。これ、どう考えたって委託契約の見返りの献金じゃないですか。こんなの言い逃れできませんよ。あなたこれでも、これだけの露骨な形で金を受け取っておいて、政治資金規正法に基づく届出をしているから問題ないというふうにあくまでおっしゃるんですか。こういうやり方であれば委託契約の見返りの献金だというふうに思われたって仕方がないと思いますが、いかがですか。

副大臣(木村義雄君)

 先ほどから申し上げておりますように、政治献金は政治家の活動として法律上認められているものでございますし、政治資金規正法に基づきまして適正に処理をさせていただいております。私は副大臣といたしまして、公共の利益のために職務を遂行してございます。

 我が国の司法精神医療の充実を図る観点からこれからも頑張っていかなければいけないなと、このように思っているところでございますけれども、決して一部の利益のため影響力を行使したことは断じてございませんし、先ほどから先生の御質問に答えているように、今回のその先生が御指摘になった今の委託の話は今日初めて聞いたわけでございまして、どうぞ御懸念がないように、どうぞくれぐれもよろしくお願いを申し上げる次第でございます。

小池晃君

 本当にむなしく響くだけですよ。これ国民から見たら、こんな分かりやすい、こんな汚い金の動き方ないですよ。こういうやり方で金を受け取って政策決定が進んでいく、そして国民あるいは精神障害者の人権に深くかかわる精神医療の政策が決定されていく、あるいは法案が決められていく。こんなこと断じて国民は許しませんよ。私、これは重大な問題だと。

 それから、ちょっともう時間がないので、もう一つも、あなた、指摘したいんですが、昨年十一月のその精神病院協会の全国集会であいさつされていますね。ユダヤ人云々で大問題になったあいさつですよ。そのあいさつで副大臣、どういうお話しされているか覚えていらっしゃると思うんですが、こう言っているんです。

 ところで、ここに掲げられている心神喪失者等医療観察法案の早期成立でございますけれども、何とか頑張ってこの法案をできるだけ早く通したいなと思っているような次第でございます、とにかくこの法案が通らないことには、また皆様方からよく言われておりますいわゆる一般対策、これが見込みが立たないと言っても過言ではないわけでありまして、こういうことからもできる限りこの法案に、早期成立に一生懸命に頑張ってまいりたい、こういうふうにあいさつされている。

 お聞きしますが、この法案成立しなければ精神医療や精神障害者の一般対策の見込みが立たないなどということは、あっていいはずないと私は思うんですね。精神医療や精神障害者の福祉政策というのは、この法案の成否にかかわらず全力で取り組まなければならないことなんじゃないですか。この法案が通らなければ一般施策が進まない、こういうことを言う。これは脅迫みたいなものですよ。副大臣ね、このような発言をあなたされたんですよ。適切な発言だったと、これもおっしゃるんですか。

副大臣(木村義雄君)

 御指摘の点はでございますね、精神病院協会の方々が常々一般精神保健対策の充実の必要性について主張されていることをこういう表現で紹介させていただいたものでございまして、この点は私の発言内容を十分によくごらんいただければ、なるほどそう書いてあるなというふうに御理解をいただけるのではないかと、このように思っているような次第でございます。

小池晃君

 かなりこれは行政の施策をゆがめたあいさつだと私は思いますよ、どう考えても、これをしっかり読んでも。

 私は、国民の人権に深くかかわるこの法案を提出している責任者が関係団体との重大な疑惑を抱えている、そして公の場で政府の立場をゆがめる発言まで行っている。木村副大臣、私はあなたは担当副大臣として全く不適格だと思います。潔く辞任するべきじゃないですか。いかがですか。

副大臣(木村義雄君)

 これからも一生懸命厚生行政の進展に、微力ではございますが、尽力をしてまいりたいと、このように思っているような次第でございます。

小池晃君

 ちなみに、この日精協の全国集会の参加者三百八十五名、国会議員の本人の参加だけで四十三名、全員与党なんですね。自民党の山崎幹事長を始め、厚労大臣経験者が多数参加している。こうした集会で、この法案が通らなければ一般施策が進まない、こういうあいさつをして支援を呼び掛け、しっかり献金を受け取っている。

 木村副大臣をめぐる問題、坂口大臣に最後にお聞きしたいんですが、これは日本精神科病院協会にかかわる問題だけじゃありません。九七年、柔道整復師の団体から要望を受けて圧力を掛けて、そして保険請求適正化の行政指導を見送らせたという疑惑も出ている。そして、その文書をめぐって厚生労働省内部で、ある文書がないというような話も出ているようであります。

 私は厚生労働大臣に伺いたいんですが、今日の問題も含めて、一連の木村義雄氏の言動を見る限り、私は厚生労働副大臣としての適格性を著しく欠くというふうに思わざるを得ませんが、大臣はどのようにお考えですか。

国務大臣(坂口力君)

 木村大臣がこの日精協の大会に出席をいたしましたのは、これは本人が言っておりますように、政務として、いわゆる衆議院議員として出席をしているわけでございます。

小池晃君

 副大臣として。

国務大臣(坂口力君)

 いえ、それで私はこれを調べたんですよ。大臣に出席依頼が来ていて、私が行けなかったから木村大臣に行ってもらったんなら、これは厚生労働省代表として行ってもらったことになる。ところが、調べましたところ、厚生労働大臣には招待状来ていないんですよ。ですから、これは木村大臣は御自身で行かれたということでございまして、そこは誤解をしてもらってはいけませんので──いや、いかに手を振られても、それはそういうことでございます。

 それで、ちょっと小池先生もいろいろなこと、余り関係付けていろいろなことをおっしゃり過ぎるんじゃないでしょうかね。

小池晃君

 事実を言っているんですよ。

国務大臣(坂口力君)

 現在の、今日のそのデータの話も我々今日初めて、初めて、どこへそんなあったんだか、済みません、今日初めて僕らも知ったわけで、一切我々にそういう相談があったわけではありません。多分、木村さんもそういう相談はしてもらっていないんだろうと思います。

 したがって、もしこの日精協にそういう依頼をしたといたしましても、先ほど部長が答弁をいたしましたとおり、大学病院にも出している、あるいはまた公的な機関にも出しているということでございますから、そのデータを集めてきて見れば、日精協が一般の病院から集めたものと、あるいは公的な病院で集めたものとの違いがあれば、それは明確になるじゃないですか。

 だから、今回のこの問題につきまして、我々は我々として前回に集めました七万二千というのを一応今、目標にしながら、それを基にして、これからどうしていくかということを今やっているわけでありまして、もし一方的なデータが出てまいりましたら、それはそのときに分かるわけでありますから、私はそのときに明確になると思っている次第でございます。

委員長(魚住裕一郎君)

 時間ですが。

小池晃君

 委託の問題ですけれども、これ、委託じゃない、その集会の問題ですけれども、木村副大臣のあいさつは、日本精神科病院協会の雑誌でも、野田保守党党首、それから山崎幹事長の前にちゃんと紹介されているんですよ。これは政府代表としてちゃんと掲載されていますよ。後で御確認いただきたい。これはあくまでも、日精協の中では政府の代表としてのあいさつという受け止め方をされていることは間違いないということは申し上げておきたいと。

 それから、各団体にお願いしたと言うけれども、それは調査票を回しただけで、だったら何で、このように明確に七万人というのは絶対おかしいというようなことを旗印掲げているような団体に何で委託するんですかと。それには説明に全くなっていないということを申し上げたいと思います。

 私、そのほかにもいろんな疑惑出てきているわけですよ。もう正に厚労省版宗男疑惑みたいになっているわけでしょう、もう疑惑のデパートみたいになっているわけですよ。こういう副大臣をかばい立てする大臣も私は同様の責任があると、問われるということを厳しく警告をしておきたいというふうに思います。

 木村副大臣には改めて辞任を要求したい。そして、このような問題を脇に置いたまま本法案の審議を粛々と進めるわけにはまいらない、国会として疑惑の責任に全力を挙げるべきだということを申し上げて、私の質問を終わります。

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