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日本共産党参議院議員・医師 小池晃 アーカイブ[〜2008] 日本共産党参議院議員・医師 小池晃 アーカイブ[〜2008] 日本共産党参議院議員・医師 小池晃 アーカイブ[〜2008]

156-参議院通常国会 有事法制(武力攻撃事態対処)特別委員会

2003年5月29日(木)


医療公務員の米軍支援動員 予測事態でも「任務」

戦争協力拒否できない 小池議員が追及


小池晃君

 日本共産党の小池晃です。

 米国は、ブッシュ戦略の下で世界のあらゆる地域の紛争に介入するという方針を取っております。二〇〇二年度の国防報告でも、こう述べています。米軍は大統領の指示に基づいて、国家と非国家組織体を含むいかなる敵対者に対してもアメリカとその連合国家の意思を押し付けることができる能力を維持しなければならない。この基本戦略に基づいて在日米軍基地は、アジアのみならず、世界のあらゆる地域へ展開の出撃拠点として機能しているわけであります。

 もしも、その米軍が日本の周辺に展開し、そして在日米軍基地などから作戦行動を繰り返している、そういうさなかにこの周辺事態と認定されることが起きたと。そうすれば、恐らくかなりの日本に対して協力を求めてくるということになるでしょう。

 その場合、最初にお聞きしたいのは、法律の解釈になるわけですが、現行の周辺事態法は、日本の国民あるいは地方自治体に対してどの程度の強制力を持つ法的な仕組みになっているのか、まず最初にお伺いします。官房長官。

国務大臣(福田康夫君)

 周辺事態法との関係でお答え……

小池晃君

 周辺事態法について。

国務大臣(福田康夫君)

 についてですね。

 周辺事態法では、地方公共団体の長は、関係行政機関の長はその有する権限の行使について必要な協力を求めることができる、それから民間等につきましては、関係行政機関の長は必要な協力を依頼することができると規定しております。また他方、国民及び指定公共機関の協力を明示した規定というものは置かれていないということでございます。

 周辺事態法の必要な協力は、あくまでも地方公共団体の長等に対し、協力を求め又は依頼するということでありまして、措置の実施を強制すると、そういうものではありません。

小池晃君

 今お話あったように、周辺事態法での日本の支援というのは限定されている、あくまで協力をお願いするということであります。強制できない。そういう意味では、周辺事態法による対米支援ということは、これはおのずから限界があるということでよろしいんですね、お願いだということで。──いや、それ、当たり前のことでしょう。

国務大臣(福田康夫君)

 これは、先ほども申し上げたことなんでありますが、措置の実施を強制するものではない。それは同じ考えです。

小池晃君

 そこで、一方の今回の武力攻撃事態法ではどうなるのかということでいうと、これは第五条、第六条で、自治体あるいは指定公共機関の措置の実施は責務とされております。つまり、この周辺事態法とこの点は違って強制力を持つと、そういうことでこれはよろしいわけですね。

国務大臣(福田康夫君)

 武力攻撃事態対処法案におきまして、地方公共団体また指定公共機関は必要な措置を実施する責務を有すると、こういう規定ですね。必要な措置を実施する主体として位置付けておるところでございまして、これらの者に対して国が協力を求めるという規定は置かれておりません。

 また、よろしいですか、国民につきましては、「指定行政機関、地方公共団体又は指定公共機関が対処措置を実施する際は、必要な協力をするよう努めるものとする。」と規定されておりますが、この国民の協力は国民に協力を義務付けるものではないと、こういうことになっております。

小池晃君

 すなわち、周辺事態法というのは、あくまでお願いするという法律だったんですが、今度の武力攻撃事態法では地方自治体や指定公共機関は対処措置を行う責務があると、これは基本的な枠組みであります。その点で周辺事態法に設けられていた制約が外されていると、そういう法律の仕組みになっていると思うんですよ。

 これに対応する米軍の行動は一体どうか。これは、そもそも米軍は、周辺事態かあるいは武力攻撃事態か、こういう日本の法律の枠組みで動いているわけではありません。これは、あくまでブッシュ戦略に基づいて、アメリカの外交・安全保障戦略に基づいて行動しているわけであります。これが米軍の行動です。

 その場合、この間議論になっているように、武力攻撃予測事態と周辺事態が重なり得るということが御答弁の中でも明らかになっていると思うんですね。これはお認めになっている。そうすると、両者が重なってきた場合に、この地方自治体の対処というのにどういう問題が起こってくるんだろうか。

 これ、例えば、いろんなケース想像すると、米軍の艦船が自治体が管理している港湾に入ってくると、物品役務の提供を受けることを要請してくるとする。これ、周辺事態法の適用であれば、これ、協力の要請であり、お願いしますということになる。もうやりませんと、断りますと言ったら、それで終わりなわけです。ところが、武力攻撃事態法であれば、これは対処措置の実施の責務ということになりますから、これは拒否できないということになるわけですね。そういうときどうするのかということなんですよ。

 これは、米軍の行動というのは、先ほど言ったように、周辺事態だろうが武力攻撃事態だろうが関係なく動いているわけですから、あなたのこの船は武力攻撃事態法の適用なんですかと、周辺事態法の適用なんですか、そういうふうに聞いたって、これはアメリカは分かりゃしないわけですよね。周辺事態法で行動中の旗立てるとか、武力攻撃事態法で行動中という旗立てるというわけにいかないわけであります。こんなことは無理なんです。

 そういう中で、防衛庁長官はこの質疑の中で何を言ったかというと、五月二十二日の質疑で我が党の小泉委員の質問に対してこう答えているんです。「それぞれ別個の法律に基づく別個の判断」だと、こうお答えになっているんですね。

 米軍の任務には、こういう別個の法律に基づく別個の行動というのはないわけですよ。周辺事態法だろうが武力攻撃予測事態だろうが、その区分はそもそも存在しないんですから、防衛庁長官ね、米軍に対する日本の支援考える場合に、別個の法律に基づく別個の判断で支援することなんか、これは不可能ではありませんか。

国務大臣(福田康夫君)

 まず、周辺事態法に規定されております協力も、武力攻撃事態対処法に規定されている協力も、措置の実施を強制するものでないという意味においては同じでございます。

 なお、武力攻撃事態における米軍の行動の円滑化に関する措置については、これは、武力攻撃事態対処法案成立後、この法案に示された枠組みに基づいて行われる事態対処法制整備の中で検討をしていくと、これから検討していくと、こういうことになるわけです。

国務大臣(石破茂君)

 起こっておる事態というものがそれぞれ違うこともありますし、そしてまた、そのことが我が国から見てどう見えるのかということに着目をした場合には、当然、別個の法律に基づく別個の判断という実に当たり前のことを申し上げておるわけでございます。

小池晃君

 それは説明になっていませんよ。だって、周辺事態だろうが、重なる場合ですよ、私聞いているのは。重なり得るとおっしゃったんだから、重なる場合はあるわけです。そのときに米軍が行動していると。それは、日本の法体系と関係なく動いているわけですから、そのときに防衛庁長官は別個の法律に基づいて別個に対応するとおっしゃったわけですよ。どうやって判断するんですか、判断のしようがないじゃないですかとお聞きしているんです。

 先ほど官房長官おっしゃったけれども、これ、法律として先ほど最初に確認しましたよね、枠組み違うわけですよ。武力攻撃事態法は、これはあくまで自治体、指定公共機関は実施の責務がある。周辺事態法は、これは要請なんですから、これは自治体としての対応は全く違ってくるわけでしょう。そのときどうするのかということを聞いているんです。お答えいただきたい。

国務大臣(石破茂君)

 いや、それは、併存する場合があるということは、ある一つの時点を切って併存をしているという状況があるということです。

 それから、もう一つ答弁中でお答えをしましたのは、時系列で周辺事態が武力攻撃予測事態になる、周辺事態が武力攻撃予測事態に転化することはあるということを申し上げたのであって、一つのことが、一つの起こっておることが、それが周辺事態でもあり武力攻撃予測事態でもあるというような、そういう概念矛盾みたいなことは起こらないということです。

小池晃君

 いや、それはごまかしですよ。防衛庁長官おっしゃったのは、周辺事態が武力攻撃予測事態に変わるということもあるというふうにおっしゃいました。しかし、同一の時間帯、同一のシチュエーションの中で、同時に周辺事態と武力攻撃予測事態、併存し得るということあったわけじゃないですか。そのときに日本の支援というのがどうなるのかというふうに聞いているんです。それ、今答えていらっしゃいませんよ。そういうふうに時間的に、時系列で変わったときの問題言っているんじゃないんです。同時に併存した場合に、日本の協力、日本の協力というか、自治体あるいは指定公共機関の支援がどうなるのかと。これ、今後の対米支援法制で決めるというのは、これは駄目ですよ。こんな重大な問題をこれからの法律で決める、こんなことで逃げられたら、私はこれ納得できません。これは重大な問題ですからきっちり答えていただきたいと思います。

国務大臣(石破茂君)

 これは私からお答えすることが適切かどうかは存じませんが、こういうことで御理解をいただきたいと思います。

 米軍をどう支援するかという法制は本当にこれから議論をするものでございます。その中身が分からないともう全然こんな法律は駄目だと、こういうふうにおっしゃるのかもしれませんが、この新しい法律というものも当然私どもで立案をいたしまして国会の御審議をいただくわけでございまして、それが分からなければ何にも審議できないと、こう言われますと、これは見解の相違だとしか申し上げようがございません。

 したがいまして、新たな法制の整備に際しまして、その法制に基づく措置の対象となりますアメリカ軍の行動の目的、そういうものを適切に規定することによりまして、当該法制と周辺事態法の各々に基づき対米支援を区分して行い得るようにすることは十分に可能であるというふうに考えておるわけでございます。

 その委員の御趣旨からいいますと、そういうことは実際には不可能だろうと、こういうことでございますが、そういうために調整メカニズムというものが存在をしておるということでございます。米軍の活動につきまして、日米間で情報の共有がなされる、そして対象となる米軍に対する措置を区分して実施するということは可能になるものというふうに考えておる次第でございます。

小池晃君

 調整メカニズムで情報を交換するということになれば、この同時に起こっているというような場合に、日本の対応を判断する場合に、判断のためには米軍のそれぞれの部隊の行動がいかなる任務によって行われているのか、これがすべて米軍から情報提供され、それを切り分けるという作業をし、その中で一つ一つ判断していくということが、できるんですか、そんなことが。そんなこと到底できるはずないじゃないですか。今おっしゃったのはそういうことですよ。それは、どこかの遠い離れたところでの自衛隊の行動の範囲の中ではそういったことが成り立つというあなた方の議論は、私は認めないけれども、あるのかもしれない。しかし、日本の国民、自治体あるいは指定公共機関が協力するときにもその調整メカニズムの中でそういった情報をやり取りして、この船は周辺事態法の船です、あるいはこれは武力攻撃事態法の、そんなことがあり得ない。

 しかも、そもそもアメリカの行動には周辺事態法か武力攻撃事態法かというような区分けないんですから対応のしようがないじゃないですかと。だとすれば、日本が主体的に判断するということになったら、結局アメリカの要請強いんですよ、これ。アメリカは全面的に協力してくれと言うに決まっているわけです。

 だとすれば、これは結局、こういうふうに周辺事態と武力攻撃予測事態が重なったという場合には、結局、武力攻撃事態法の枠組みに合わせて義務的に業務遂行させていくということに結果としてなっていくんじゃないですか。そのことはどうでしょう。

国務大臣(石破茂君)

 そういうことを実際に可能にするために平素から日米共同調整所というものを設けている。そこにおいては、私も報告を受けることでございますが、ハードでもソフトでも、そういうものについてどうやって調整をするかという努力を行っておるわけでございます。正しく、委員御指摘のようなことが起こらないように、そういう御懸念が発生をしないように調整会議も平素から行っておりますし、連絡員も派遣をしておるわけでございます。

 それは、おまえはそんなこと言うが、米国の言いなりではないかというようなことだと思いますが、それは、我が国は主権国家としてそのようなことはないということでありまして、委員が日本をそのような国だというふうに御判断をなさるとすれば、それは委員の御判断ということに相なりますが、私どもはそうは思っておりません。日本国は日本国として、主権に基づいて、これは周辺事態なのか、それとも武力攻撃予測事態なのかという判断をするのでありまして、結局、対米追随ではないかと言われれば、それは委員の御見解でそうなのでしょうということです。

小池晃君

 全然明快じゃないですよ。だって、だって、その分けようがないじゃないかと私言っているんですよ。だって、アメリカ軍の行動には周辺事態法、武力攻撃事態法という概念ないんですから分けようがないでしょうと。そのときに別個の法律に基づいて別個に対応するといったら、これは日本は判断のしようがないから、結局、武力攻撃事態法で対応するしかないということになるんじゃないんですかと。いや、私もう当たり前のことを聞いているんですよ。

 じゃ、どうやって、調整メカニズムで調整するとおっしゃったけれども、じゃ、これは周辺事態法の範疇の米軍の行動であり、この部分は武力攻撃事態法の米軍の行動の範疇であるというのはどうやって分けるんですか。お答えいただきたい。

国務大臣(石破茂君)

 何度も同じことをお答えしますが、それは我が国が我が国の主権に基づいて判断をするのです。その事態が、そのまま放置すれば我が国の平和と安全に影響を与えるような事態なのか、それともそれが我が国に対する武力攻撃予測される事態なのか、それは我が国が我が国の主権でもって判断をすることですから、それができないではないかと、こう言われても、これはできるというしか私には申し上げようがございません。

小池晃君

 違うんですよ。私が聞いているのはそういうことじゃないんです。この事態が武力攻撃予測事態かあるいは周辺事態かという認定は、それは我が国がやるんです。だから、そのことを言っているんじゃないんです。

 武力攻撃予測事態と周辺事態が併存するということがあり得るというときに、このアメリカの部隊が武力攻撃予測事態に基づく部隊で、このアメリカの部隊が周辺事態だということが概念としてそもそも存在しないでしょうと。そういうときに、あなたは別個の法律に基づいて別個に対応すると言ったけれども、対応のしようがないじゃないですかと。ということになったら、結局これは併存している状態の中では武力攻撃予測事態だということで対処するしかなくなるんじゃないですかというふうに聞いているんです。

 事態の認定の問題を言っているんじゃないですよ。それは日本がやるのは分かっているんです。その中でどういう切り分けがされているのかということであります。

国務大臣(石破茂君)

 もうそれは事態の認定を我が国が我が国の主権に基づいて、法律に基づいて行うように、これがどういうものであるのかということも我が国が我が国の主権と我が国の法律に基づいて行うわけです。

 それはできないというふうに委員はおっしゃいますし、私 . .. .. . (発言する者あり)いや、違うんです、切り分けの問題じゃなくて、これがどちらの方に対応するのかということも両方の法律に基づいて、これは周辺事態、これは武力攻撃予測事態というふうに私どもは切り分けて対応ができる。それが区別ができないとおっしゃるのは委員のお考え方でしょうし、できるというのが私どもの考え方でございます。

小池晃君

 これはできるはずないと思いますよ、私は。だって、同じ作戦行動の中でやっているアメリカの行動をどうやってそういう切り分けるんですか。この船は武力攻撃予測事態で動いていて、この船は周辺事態で動いている。この部隊は武力攻撃予測事態で対応している、この部隊は周辺事態で動いている、こんな分け方が、そもそもアメリカにはそういう分類ないんですから。アメリカは一貫した戦略の中で動くわけですから、それを分けようがないだろうと。それを主体的に判断できるというのは、私もう正に牽強付会であるというふうに申し上げたいと思う。

 結局、こういう事態になれば、こういう事態になれば、私が聞いているのは周辺事態と武力攻撃予測事態が重なった場合ですからね、それが併存している場合ですよ。だから、それぞれの認定は可能だと、それはそういう枠組みなんですからそれは可能でしょうと。しかし、併存している場合に、そのそれぞれの部隊を切り分けるということが可能ではないんじゃないですかと言っている。しかし、それも可能だと。

 確認しますけれども、可能だと、日本の主体的な判断で切り分けることが可能だというふうにおっしゃるんですね。

国務大臣(石破茂君)

 先ほど来お答えを申し上げているとおりでございます。

小池晃君

 私も、今の議論を通じて、本当に、今回の法案によって結局そういう形でいけば、一体として一つのシチュエーションの中で起こっているときに分けようがないんですよ。米軍の方からはこれはもう強い要請が来ることは間違いないわけです。そういう中で、結局、武力攻撃事態法の枠組みに合わせて義務的に業務遂行させていくということになる危険性は極めて強いと。

 結局、今回の法案で、私は、周辺事態法で設けられていた本当に様々な制約があったわけですけれども、これが外されてくると。周辺事態法では、自治体などにはあくまで協力依頼するということになったわけですが、これがいったん武力攻撃予測事態ということが認定され、併存するということになれば、同じ事態であるにもかかわらず、これが結局自治体には業務が義務付けられてくるということになるわけであります。そして、自治体だけではなくて指定公共機関にも義務付けられていくということになる。そして、さらにこれから作られる国民保護法制の中では、国民の協力まで具体化されてくるということになると思う。私は、三法案の危険というのはますます強いものであるというふうに言わざるを得ないというふうに思うんですね。

 そこで、自治体の協力、自治体の業務についてお聞きをしたいんですが、そもそも国及び地方自治体のいわゆる公務員であります。(発言する者あり)ちょっと静かにしてください。これは、この対処措置の実施の業務命令というのは、これは公務員は拒否することができるんでしょうか。

国務大臣(福田康夫君)

 公務員の場合にそれ、これは公務員としての職務を遂行するということでありますから、公務員法でもって規定をされておるわけです。

小池晃君

 回りくどい言い方なんですけれども、拒否できないということですね。

国務大臣(福田康夫君)

 それはその職場職場のその任務ということありますけれども、それはその職務として行うことについて、それは公務員法で規定されているとおり行うわけであります。

小池晃君

 いや、もうそういう同じこと言わないで、回りくどいこと。

 要するに公務員は、これは、対処措置の実施ということになってくればこれは業務命令が出てくるわけですから、これ拒否できないということになるわけですねと。イエスかノーかでお答えいただきたい。

国務大臣(福田康夫君)

 その職務としての任務であれば、それはその任務を果たすというのは公務員の立場であると思います。

小池晃君

 拒否できないんだということであります。

 これは任務なんだから当然だと、公務員にいったんなった以上当然なんだというやじが自民党から飛んでおりますけれども、これは本当にひどい言葉だと思うんですね。

 例えば、対処措置具体的に見ていくと、例えば医療活動なども含まれてくると思うんです。これは最初は取りあえず自衛隊が対応するということになっていくのかもしれません。

 そこで数字をお聞きしたいんですが、自衛隊所属の医師、看護師の数というのは、これは防衛医大所属も含めて現在何名なのか。医師、看護師ということでお答え願いたいと思います。

委員長(山崎正昭君)

 厚生労働省篠崎医政局長──おりませんか。

小池晃君

 いや、違う、防衛庁です、自衛隊ですから。防衛庁です。

国務大臣(石破茂君)

 お答えいたします。

 医師の場合には、陸自、海自、空自、防衛医大含めまして一千二百三十四名、看護師の場合には、同じでございますが、陸自、海自、空自、防衛医大含めまして三千三百七十七名、こういう数字になっております。

小池晃君

 真っ先に対処措置で動くのかもしれません、この自衛隊所属の医官や看護師。しかし、これだけでは賄えないということも出てくるのかもしれません。

 そこで厚労省に、ちょっとここで質問なんですが、現在、病院に勤める医師、看護師の総数と、それから、そのうち国及び地方の公務員の数、これを明らかにしていただきたいと思います。

委員長(山崎正昭君)

 はい、ここです。厚生労働省篠崎医政局長。

政府参考人(篠崎英夫君)

 ここでお答えいたしますが、医師数は、常勤換算したものでおよそ十六万九千七百六十九人でありまして、看護師は五十三万六千百二十一人でございます。

 それで、国立とそれから──国立と地方自治体で分けるんですか。

小池晃君

 国立と地方自治体、分けないで一緒にしてやってください。

政府参考人(篠崎英夫君)

 一緒はちょっと。

 国の方は、国の開設する病院で働く医師の数は先ほどの中で二万六千六十三人、それから看護師の数は五万八千六百六十六人でございまして、地方自治体で働く者は、医師の数について言いますと三万三千百六十四人でございまして、それから看護師の場合は十三万二千四百七十九人でございます。

小池晃君

 ちょっと、まとめて答えてくださいと言っておいたのに、ちゃんと答えてほしいんですが、医師は、総数では十六万九千七百六十九人、うち公務員、国及び地方自治体の公務員は五万九千二百二十八人、三四・九%です。看護師は、総数で五十三万六千百二十一人で、公務員は十九万一千百四十五人、三五・七%です。

 ですから、病院勤務の医師も看護師も、これ三人に一人以上公務員なんですね。

 だとすれば、武力攻撃予測事態の段階から、これ予測事態の段階から、公務員はこれは業務従事命令出るわけですから、予測事態の段階から、日本の医療従事者の三割を超える六万人の医師とそれから二十万人の看護師は、これ対処措置を担うことを求めることができる対象となり得るということになるわけですね。この三法案の法的な枠組みでいえばそういうことになるということを確認させていただきたいんですけれども、これはよろしいですか。

国務大臣(石破茂君)

 聞き間違えだったら申し訳ないのですが、防衛出動又は防衛施設構築措置を命ぜられた自衛隊の部隊等が行動する場合、いいですか、八十六条に規定をしておるように、自衛隊法八十六条です、都道府県知事、市町村長その他の地方公共団体は、相互に緊密に連絡し、協力していただく、こういうことになっております。

 委員は今、百三条ではないというふうにおっしゃいましたが、先ほど業務従事命令が掛かるというような言葉をお使いになりましたので、これは百三条ではないということを申し上げておることでございます。

小池晃君

 いや、ちょっと、私が聞いたのは、対処措置の実施は、これは武力攻撃事態等への対処ですから、予測事態から動き始めるわけですね。その対象として、地方自治体、先ほど確認したように、公務員というふうになっていくわけですから、そうすると、今回の武力攻撃事態法の枠組みの対処措置を武力攻撃予測事態の段階から担うことを求めることができる対象に、この約三割、六万人の医師と二十万人の公務員である看護師、これはその対象となり得るという法的な枠組みなんですねということを、再度、これ確認ですから、当たり前のこと、法的な枠組み聞いているんですからお答えいただきたい。ちょっと長官、そういうことでしょう。

国務大臣(福田康夫君)

 これ、国民の生命、身体、財産を保護するためと、こういうことでございまして、そのために医療活動に携わっている公務員、これは医療をするのは、これは当然のことだと思います。

小池晃君

 いや、そこまで私聞いてないんですけれども。要するに、法的にはそういう枠組みだということは認めたということです。

 当然だとおっしゃるけれども、一体中身はどうなのかということが全く見えないわけですね。実際に攻撃されているときのことだけではなくて、今回の仕組みでいえば、これは医療従事者も含めてこうした公務員が、武力攻撃予測事態の段階から従事させることができるわけであります。

 その際に、私、お聞きしたいのは、これ、在日米軍に対する支援のために武力攻撃予測事態の段階でこうした公務員を使うことがあり得るのか。これ、在日米軍は日本から周辺地域に部隊を展開させる、あるいは米本国からの増援部隊受入れ、兵たん補給作戦、大変な仕事をするわけであります。そういうときに、在日米軍に対する支援にこうした公務員を武力攻撃予測事態の段階で従事させることができるのか、それとも使うことはできないのか。政府の見解を明らかにしていただきたい。

国務大臣(福田康夫君)

 具体的なことについてはこれから決めることでありますけれども、予測事態においても、これは医療活動をするということについてのその任務というのは変わらない、こういうことであります。

小池晃君

 あり得るということなわけですね。これは、本当に医者や看護師だったらけが人見たら助けるのは当然だというような議論で私は正当化できるような話ではないと思うんです。

 この対米支援については、今確認してきたように、これは公務員、国家公務員、地方公務員を始め指定公共機関の職員あるいは国民、これが米軍支援にどうかかわるのかというのは一切明らかにされていない。しかし、予測事態における米軍の作戦行動はアメリカ政府の戦争方針に従ったものであることは私は紛れもない事実であるというふうに思うんです。そういう中で、予測事態だと認定をすれば、周辺事態法ではできなかった地方自治体や指定公共機関あるいは公務員の協力強制が可能になってくる。

 これ、どういう人たちが、あるいはどういう機関がどういう対米支援を押し付けられるのかを一切隠したまま全く明らかにされない。こういう中でこの法案を通すということは、私は政府に白紙委任をすると。国民については違うんだとおっしゃりたいかもしれませんけれども、改めて言いますが、公務員や指定公共機関、これは強制が可能となっていくということになれば、これは正に、中身は分からないまま法案通すということは、中身については政府に白紙委任してくださいよということになるじゃないですか。こんなことを国民が許すというふうに思うんですか。はっきり答えていただきたい。

国務大臣(石破茂君)

 白紙委任ということになりますと、国会の権能って何だろうかということになるんだろうと思います。国会におきまして御相談をしながらやることでございますし、そしてまた国民の保護法制につきましても、それぞれの整備本部を設けました趣旨は、いろんな方の御意見を聞きながらより良いものを作っていこうということでございます。米軍支援につきましては、そういうような本部ができるかどうか私は存じませんが、いずれにしても、国民の皆様方のそれぞれのお考えの方々の、お立場の方々の広い御意見を聞きながら法律はできるものでございますし、そしてまた国会におきましても御審議をいただけるものというふうに思っているわけでございまして、政府が白紙委任で勝手なものを作るというような御指摘は私は当たらないと考えております。

小池晃君

 しかし、現時点では全く明らかになっていないわけです、これから決めますという答えでこの三法案通してくれということですから。現時点では後の中身はこれから議論するという形で、こんな重大な法案通していいのですかと、私はそう申し上げているんです。

 それから、衆議院の審議では百三条、自衛隊法百三条の問題です。これ四項にある政令を有事法制成立後に制定したいというふうに答弁されておる。つまり、今まではこの百三条は動かなかったわけであります。しかし、この百三条第二項が政令制定によって動き出すと、使える法律になるんだと、そういうことになるということなんですね。

国務大臣(石破茂君)

 政令が定めておられる、定められておらなければ法律は動きません。そういう意味で、法律の実効性というものをこれによって確保させていただけるというふうには考えております。

小池晃君

 百三条二項の業務従事命令は、今までとは違って民間事業者を対象としたものであります。これ、今まで三十年以上ですか、発動されなかった、政令がなかったから使えなかった。この百三条二項が、民間人まで動員する仕組みが政令の制定によって息を吹き込まれて動き出してくる。ここで行われる業務従事命令、拒否することはできるんでしょうか。

国務大臣(石破茂君)

 動員という言葉は私ども使いませんけれども、業務従事命令を課す、そしてそれに罰則が科されないというのはるる答弁を申し上げているとおりでございます。

小池晃君

 罰則は科さないんだという話はこの前、この間の答弁でも出ております。しかし、たとえ罰則がなくても、公用令書が交付されて、その処分に従わないということはこれは違法状態、違法行為ということになるんじゃないんですか。その点はいかがなんですか。

国務大臣(石破茂君)

 罰則は科されません。しかしながら、業務従事命令に反したという状況は現出をしておるということだろうと思っております。それ、違法と言うかどうか、それは何に照らして違法なのか、その状況で、例えば何か民事上の、少なくとも罰則はないということは刑事上の問題がないということでございます。民事上、どういうその場合に何か違法性が生じて何か損害賠償とかそういうことが起こるかといえばそれも起こりません。

 したがいまして、委員がおっしゃいますことがどういうようなことを指しておっしゃっておるのか、ちょっと理解いたしかねるところでございます。

小池晃君

 それで、民間まで業務従事命令ということが出せる仕組みを作ろうとしているという中で、お聞きしたいのは、これ例えば公務員という話ありました、これ対処措置の実施が責務となっていくと。あるいは民間人、業務従事命令に基づいて業務に従事すると、こういう場合は、そのものは、これジュネーブ条約の議定書がございます。ジュネーブ条約の第一追加議定書の第五十一条、ここに照らした場合には、これは敵対行為に直接参加したことになって文民としての保護を受けられなくなると、そういう危険があるのではありませんか。その点、お答え願いたいと思います。

国務大臣(石破茂君)

 そのような懸念は、申し上げておきますが、全くございません。

 それはほかの条約等々見ましても、そういうことに従事する人たちを直接戦闘に参加しているとみなしてはならない、ジュネーブ条約の保護の対象にしなければならない。それはほかの条約によっても担保をされておることでございます。そういうようなことによって文民ではなくなる、攻撃の対象ではなくなる、だから危ないんだというような御議論は私は全く当たらないものと考えております。

小池晃君

 いや、医療ということにかかわってくればそういう議論もあり得るのかもしれませんが、一般論として対処措置実施する、あるいは業務に従事するという場合は、この五十一条に照らせばこれは敵対行為というふうに判断され得る中身になっているんではないですか。もう一度確認したいと思います。一切関係ないというふうにおっしゃるんですか。

国務大臣(石破茂君)

 それは正しく立場を変えて、攻撃する側が医療に従事をしておる、そういう人に対してそういう攻撃を与えてはいけないということの趣旨でございますから、そのような対象に相なりません。

小池晃君

 私は、そういう例外を置いて言っているのではなくて、一般論として申し上げているんです。そういう形で、今回のような形で公務員が例えば対処措置を実施したり業務従事命令に基づいて業務に従事したという場合というのは、五十一条を素直に読めば、これは我が国がいかに解釈するかというのはありますよ、しかし国際的にはこれは文民として保護されないというふうに扱われる危険性はないのかというふうに聞いています。

国務大臣(石破茂君)

 そのためにジュネーブ条約というのがあるんでして、相手がそういうふうに見るだろうからなどという議論をし始めたら、これはジュネーブ条約の議論そのものが成り立ちません。そういうような人をそういう者とみなして撃ってはならない、攻撃してはならない、そのためにジュネーブ条約があって、各国ともそれをどうやって遵守するかということに努めておるわけでございます。そんな議論をなさいますと、ジュネーブ条約の議論そのものができなくなる、そういうことだと思います。

小池晃君

 結局、今回の法案、従来の周辺事態法の制約すら外されて、本当に自治体、指定公共機関には予測事態の段階から支援が強制される、拒否することが許されないという法案だということが明らかになった。法案の危険性はいよいよはっきりしたと思います。これは廃案にすることを強く求めて、私の質問を終わります。

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