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日本共産党参議院議員・医師 小池晃 アーカイブ[〜2008] 日本共産党参議院議員・医師 小池晃 アーカイブ[〜2008] 日本共産党参議院議員・医師 小池晃 アーカイブ[〜2008]

156-外交防衛委員会 イラク派兵法案審議

2003年7月17日(木)


イラク派兵は憲法違反。デモ鎮圧への支援も 防衛庁長官、否定せず
治安派遣予定 4 カ国 政府「40 数カ国」の誤り認める
大量破壊兵器保有断定の根拠問われ 福田官房長官“むちゃ言うな”


小池晃君

 日本共産党の小池晃です。

 今度の法案の審議の中で、小泉総理を中心に、どう考えてもこれはおかしい、首をかしげざるを得ないような、そういう答弁が続いています。

 私たちは、本法案はこれは米軍のイラク占領を支援するという内容で憲法違反であり廃案にするべきだというふうに考えておりますけれども、これ、たとえ本法案に賛成をするという立場であっても、この自衛隊員を戦場に送るという重大な法案の審議に当たっては、やはり慎重で正確な議論をやはり行っていくということは、これは私は与野党を超えて共通の認識であるべきだというふうに思うわけです。そういう点で、これまでの審議でなされた、どう考えてもちょっと納得いかない、首をかしげざるを得ないような、そういう国会、政府答弁についてただしたいというふうに思っているんですが。

 まず最初に取り上げたいのは、小泉総理の例のフセイン大統領が見付からないからフセイン大統領はいなかったと言えるのかと、例のあの発言であります。最初にこの発言があったのは六月十一日の党首討論のときでした。我が党の志位和夫委員長が、なぜイラクが大量破壊兵器を保有していると断定したのかと、その根拠を問いただしたときにこう答えたわけです。この際は、だれもがもうこれは答えられないので支離滅裂な言い訳を言ったというふうに国民は受け取ったと思いますし、マスコミもそう書いておりました。しかし、その後、総理は二度にわたって、何か昨日もオーストラリアの首相に、の歓迎会でも同じことを言ったというふうに報道されている。だから、思わず言ったんじゃなくて確信犯的に言っているとすれば、これは極めて重大だと私は思うんです。

 そこで、官房長官にお伺いをしたいと思うんですが、小泉総理が発行している、官邸で発行しているメールマガジンがございます。これ、戦争開始一週間前の三月十三日付けではこう書いてあるんです。この問題は「全世界対大量破壊兵器を持っているイラク」と断定をしているわけですね、の問題だと書いています。戦争開始日の二十日付けではこう書いてある。「問題は、大量破壊兵器を保有するイラクの脅威に私たちがどう対峙するかです。」と、これも断定している。そして、戦争開始から一週間たった二十七日付けでも「この問題の核心は、イラクが自ら保有する大量破壊兵器、生物兵器、化学兵器を廃棄しようとしないこと、」、疑いという言い方ではなくて、いずれも断定をされている。

 官房長官、確認の意味で、これはまああくまで確認としてお聞きしますが、総理はイラク戦争の開戦前後にはイラクが大量破壊兵器を保有していると断言していたと、これは事実としてお認めになりますね。

国務大臣(福田康夫君)

 イラクには多くの大量破壊兵器に関する疑惑があると、そしてまた関連安保理決議違反をしておるということにつきましては、これはもう安保理決議もございましたし、それから国連の査察団による何回もした報告にも明らかになっております。これは国際社会の一致した認識であると、こう思います。

 総理のメールマガジン、御指摘の、それで発言していますけれども、そういうような国際社会の一致した認識を分かりやすい形で端的に表現したと、こういうように考えております。

 フセイン大統領が見付からないのに云々という話ございましたけれども、それは一つのこれもイラクの大量破壊兵器の捜査を実施している今最中でございましてね、そしてあの広大なイラクにおいて現在発見されていないということでありますけれども、そのことがイラクに大量破壊兵器は存在していなかったということにはならないという趣旨を述べているんであります。

小池晃君

 分かりやすい形で端的にというふうにおっしゃったんですが、疑惑があるということと保有しているということは、これ全然違うわけですよ。これ、メールマガジンは何か大分読者減ったとはいえ、百八十万人流れているわけですね。そういうメールマガジンで三回連続ですよ。これ、明らかに表現として疑惑とは言っていないんです。断定されています、総理は。

 もう一度言いますよ。「大量破壊兵器を持っているイラク」、これ三月十三日付けです。それから二十日付けは、「大量破壊兵器を保有するイラクの脅威」と言っているんです。それから二十七日付けでは、イラクが自ら保有する大量破壊兵器を廃棄しようとしないと言っている。あの疑惑という言葉は一度も使っておられないんだ。こういうふうに断定したその根拠、これ分かりやすい表現だなんという、そういうごまかし利きませんよ。これ説明すべきだと思います。

国務大臣(福田康夫君)

 イラクが自己申告した生産量などの報告もあるわけですね。そういうものが、そういうものが行方不明であるといったような、そういう UNMOVIC の報告もあったわけでございまして、そういうような、あの当時の状況から考えて持っているものだというふうに、イラクがそういうものを持っているものだというような、そういう何というんですか、疑惑と申しますか、そういう認識と申しますか、そういうものはあったんだろうと思いますよ。ですから、そういうことを端的に表現をしたと、こういうことであります。

 当時の状況から考えれば、そういう表現が仮にあったとしても絶対的に間違いであるというわけではなかったんだろうというふうに思います。

小池晃君

 疑惑の段階であったにもかかわらず断定したことが誤りでないというのは重大じゃないですか。これ、疑惑なら疑惑というふうにはっきり言うべきですよ。それを断定する言い方を国民に向けて三回行ったわけですから、これ極めて重大じゃないですか。

 それ疑惑であったんですね、じゃ、その時点は。じゃ、疑惑であったにもかかわらず断定したと。これ極めて責任重大じゃないですか。

国務大臣(福田康夫君)

 これ、そうおっしゃるけれども、見付からなきゃ、それは事実は確認できないんですよ。そうでしょう。見付かれば、話は簡単な話なんですよ。

小池晃君

 いや、それはすり替えですよ。私は、保有していると。なかったというふうに私一言も言っていなんです。保有しているというふうに断定しているわけです。保有していると断定するのであれば、それにふさわしい客観的な根拠があるべきでしょう。それがないのに断定したということであれば重大じゃないですか。

 それでは、官房長官、お聞きしますが、ここで保有しているというふうに断定するからにはそれだけの客観的な根拠があったはずですよ。それは一体何だったんですか。その時点での大量破壊兵器の保有を断定する客観的な根拠は何だったんでしょうか。お答えいただきたいと思います。

国務大臣(福田康夫君)

 国連の報告でもいろいろあります。例えば、この問題の核心は、イラクが自ら保有する大量破壊兵器、生物兵器、化学兵器を廃棄しようとしないことと、こういう記述もあるんですよ。それは、所有しているということを前提にした報告だというふうに私どもは思います。

 我々としては、やはり日本国政府が調べるというわけではない、国際機関において調査をするわけですね。そして、その国際機関が報告を発表するということでありますから、我々政府として判断する場合に、それを信用するというほかに方法はあるわけでないんですね。ですから、そういうような、そのときの状況を見て、総理の発言、メールマガジンにおける発言があるとしても、これは不思議ではないというふうに思います。

小池晃君

 委員長、委員会成立していないようですから、ちょっと止めていただけますか。

委員長(松村龍二君)

 速記を止めてください。

  〔速記中止〕

委員長(松村龍二君)

 速記を起こしてください。

 質問お願いします。

小池晃君

 大量破壊兵器をイラクが保有しているということを断定したという根拠になる資料は何なのかということにお答えいただいていないんですが、それがあるのであれば、何というふうに示していただきたいと思います。

国務大臣(福田康夫君)

 今、それを証明する、私、資料持っておりません。ですから、お答えできません。

小池晃君

 私は、小泉総理のメールマガジンで核兵器の保有を断定している根拠を聞きますというふうに通告してあるはずです。お答えいただきたいと思います。

国務大臣(福田康夫君)

 小泉総理がメールマガジンで、「全世界対大量破壊兵器を持っているイラク」と、こういう表現使っておりますけれども、その前段でもって、「このイラクの大量破壊兵器が世界の平和に対する重大な脅威になっている」と、こういうような言い方をしておりますし、その上でのそういう発言でありますし、またほかのメールマガジンでも、「問題は、大量破壊兵器を保有するイラクの脅威に私たちがどう対峙するか」と、こういう言い方もしているんですね。そしてまた、「国連の決議を無視し、大量破壊兵器の破棄をしてこなかった」という「フセイン政権がこれらの兵器を廃棄する意思がない」ということを言っているんですよ。

 ですから、そういうのを見れば何が問題点なのかということはおのずから明らかだというふうに思うんです。

小池晃君

 今、官房長官が挙げられたくだりは、すべて大量破壊兵器の保有を、疑惑とは言っていませんよ、すべて保有しているという表現になっていますよ。ですから、私は聞いているんです。

 疑惑の段階だという、疑惑があるというふうに書かれているのであれば、それは今の御説明も成り立つかもしれません。しかし、今の御説明、今、官房長官が読まれたメールマガジンのくだりは、すべて大量破壊兵器の保有を断定しているわけであります。ですから、断定しているのであれば、それにふさわしい客観的な根拠を示すべきだと申し上げているんです。

国務大臣(福田康夫君)

 それはちょっと違うんじゃないですかね。

 それは、大量破壊兵器の脅威と、重大な脅威ということを言って、それがあるかないかと。なきゃ、こんな問題にならないんですよね、そもそもが。そうじゃないですか。ですから、それはあるんだという前提でそういう UNMOVIC などの査察も行われ、国連の、国際機関の報告も行われている。また、安保理決議もそれを認めたんじゃないですか。すべての安保理加盟国、国連の決議ですよ。

小池晃君

 いや、全く答弁になっていないですよ。私が言っていることに全然答えていないんです。

 大量破壊兵器の保有を、疑惑でなくて保有しているというふうに書いた根拠は一切示せないわけですよ、結局。そんなこと言っていませんから、どこでも、国際社会でも国連でも。そういうふうに断定していたのは、言わばアメリカ、イギリスだけであります。結局、アメリカなんかの言いなりだったということなんだ。しかも、アメリカもその断定を今否定し始めているわけですね。

 ブッシュ大統領は六月二十一日のラジオ演説で、大量破壊兵器を保有という従来の言い方を、大量破壊兵器計画があったという言い方に変えております。

 それから、ラムズフェルド国防長官は九日の上院軍事委員会公聴会でこう言っているんです。開戦前にイラクの大量破壊兵器についての新たな証拠は持っていなかった、我々は同時多発テロの経験というプリズムを通して、新たな観点から既にある証拠を見たんだと。要するに、新しい証拠が劇的に出てきたわけじゃないんだと、今まで持っていたものをその同時多発テロという色眼鏡を通して見たらこういうふうに見えてきたと、そういう話なんです。

 外務大臣、ブッシュ大統領、ラムズフェルド国防長官、このような発言をされているという事実は間違いございませんね。

国務大臣(川口順子君)

 ブッシュ大統領は、まず、六月の二十一日のラジオ演説で、サダム・フセインの歴史を知る者はすべて、彼が化学兵器及び生物兵器を保有し、彼が過去に化学兵器を使用したことについて合意している、多数の国の情報機関がサダム・フセインが違法な兵器を保有していると結論付けたとおっしゃり、それから引き続いて、我々は、いかに長期間掛かろうとも、サダム・フセインの兵器計画の真の範囲を明らかにする決意であるというふうに言っていらっしゃるということでして、その保有及びその計画、両方について触れていると思います。

 それから、ラムズフェルド国防長官ですけれども、これは九日の上院の軍事委員会公聴会で証言をして、そして、連合は、コアリションですね、は、イラクによる大量破壊兵器計画の劇的な新証拠を発見したからイラクへの行動に出たわけではない、行動に出たのは、先ほど委員がおっしゃった九月、九・一一というプリズムを通じ、既存の証拠を新しい視点で見たからであるというふうに言ったということです。

 ただ、同時に、ラムズフェルド国防長官は、フセインが武装解除していれば戦争は避けられていただろうと、しかし、彼は欺瞞を続け、査察団を妨害し続けた、論理的な結論は、フセインが大量破壊兵器を保持し続けたかったからであり、今後更に十二年間も国際社会を欺き続けられると信じたからであるというものであるというふうに言っているということです。

小池晃君

 アメリカも大量破壊兵器の保有という断定、表現を変え始めているわけであります。アメリカでもイギリスでも、もちろん日本でも、大量破壊兵器の存在を口実とした戦争への大義への疑問が大きく広がってきています。アメリカ政府すら、この保有の断定ということについて証拠なかったということを認めてきている。

 こういうときに、日本の総理大臣は国民に対してどう答えているかというと、なぜ大量破壊兵器の保有を断定したのかという疑問に対して、フセイン大統領が見付からないからフセイン大統領はいなかったと言えるのかという、完全なすり替えであります。

 官房長官は、これは分かりやすい例示だというふうに当委員会で十日におっしゃいました。フセイン大統領が見付からないからフセイン大統領はいなかったと言えるのかという、こういう説明は分かりやすい例示だというふうにおっしゃっていますね。これは本当にそう思っていらっしゃるんですか。私は例示としても完全に的外れだというふうに思いますが、この説明が適切なものだったというのが官房長官の見解ですか。

国務大臣(福田康夫君)

 例え話というのはぴったりということじゃないことは往々にしてありますよね。しかし、分かりやすいことは分かりやすいですよ。昨日のオーストラリアのハワード首相も、それは面白い話だというので、私もそれ使わせてもらえないかなというふうに言ったくらいですから、分かりやすいですよ。

 ただ、今の段階で、じゃ大量破壊兵器が全くないと断言できるんですか。

小池晃君

 私は、イラクが大量破壊兵器を保有していなかったと断定など一言もしていません。フセインが今見付からないからフセインがそもそもいなかったと言えるのかと、これは言えませんよ。これは、現在見付からない、一生懸命捜しても見付からないということは、それはそもそもなかったということにはなりませんよというだけの話でしょう。それは当たり前なんですよ。だから、我々も、私ももちろんイラクが大量破壊兵器を持っていなかったなどと断定するつもりはありません。

 問題は、何の証拠もなしに保有を断定し、そのことを理由に戦争を行ったわけでしょう。それで支持したわけでしょう、日本は。そのことの責任なんですよ。だから、総理の発言はそのことに対する説明には全くなっていないじゃないですか。そこを私は指摘をしているんです。そういう点を踏まえても適切だとなおおっしゃるんですか。

国務大臣(福田康夫君)

 こういうやり取りというのは意義があるのかどうか分かりませんけれども。

 今、大量破壊兵器も捜しているんですよ、あるかないかね。これ、捜すの大変だと思います、実際問題言って。本気であの大量破壊兵器、持っているものを隠そうと思えば、あの広大なる砂漠にばらまいちゃったら、もう見付けるの大変でしょう。砂あらしで一日で消えちゃうですよ。そのうちにまた現れてくるかもしれぬけれども。そういうことを本気でやったならば、これを見付けるのはもう容易なことじゃないと思いますよね。しかし、それに比べたらフセイン大統領を見付けるのは、これ、もし生きているという、存在しているということを前提にすれば、これはその方がよっぽど見付けやすいんじゃないかなというように私は思います。これはもう、何というんですか、私の想像の中の話ですからね。

 そのぐらい、ですから、例えとしては、フセイン大統領ですら見付かっていないと。ましてや、隠そうと思った大量破壊兵器をこの砂漠の中で見付けるなんて、これは大変なことだろうという例えでもあろうかと思います。

小池晃君

 ですから、それでは説明、私の質問に答えになっていないと言っているんです。

 私は、これは経過で言いますと、党首討論でも志位委員長は、なぜ保有を断定したのですかと、そういう質問をしたんですよ。それに対して、フセインが今見付からないからフセインがそもそもいなかったと言えるのかと答えたんですから、これでは断定したことの説明にはなっていないではないですかと言っているんです。そのことには今も一言も触れていらっしゃらない。

 そもそも、フセインが今見付からない、だからフセインがそもそもいなかったなんという人は、これは世界じゅうだれもいないと思いますよ。フセインというのはいたんだし、声だってこの間、何か出てきたじゃないですか。CIA はこれは本人だというようなことを言っているわけですよ。

 しかし、大量破壊兵器はどうかというと、これは違いますよ。大量破壊兵器は開戦前から今に至るまで存在が確認されたということはないわけですよ。だから、なかったと断言はできないですけれども、全くなかったという可能性は排除できないじゃないですか。官房長官、聞いていてくださいよ。全くなかったという可能性を排除できないでしょう。そもそもが、フセインはそもそもいなかったということは、これはあり得ないけれども、大量破壊兵器は結局なかったという可能性だって否定できないじゃないですか。そのことはどうですか。その可能性だってあるでしょう。これだけ捜して、最終的にはなかったという可能性は、これは否定できないんじゃないですか。

国務大臣(福田康夫君)

 残念ながら、それはあったんでしょう。イラク自身が自己申告、かつて、あったんです。それが開戦時にあったかどうかは分かりません、分かりません。そのあるという疑念が強かったから、結局、開戦になったんじゃないですか。

小池晃君

 いや、私の質問に答えていないんですよ。私は、今お聞きしたのは、なかったという可能性も否定できないじゃないかと。そういうことはどうなんですか。結局、捜したけれどもなかったという可能性は私は一〇〇%排除できないと思いますよ。その点について官房長官はどのようにお考えですか。

国務大臣(福田康夫君)

 一四四一国連決議もありますね。何もなきゃ国連であんなに大騒ぎして、全世界が大騒ぎしてということではないでしょう。それは、ある可能性は極めて強かった、若しくはあったということなんじゃないでしょうか。

小池晃君

 なかったという可能性を否定できないというのであれば、あったという、これは根拠、あったと断定したという根拠を示すべきですよ、あるという断定した根拠を。結局、そこに戻ってくるんですよ。そこのところをあいまいにしたまま議論されているわけですよ。あったというふうに断言しておいて、その後、こういう形でごまかして、そして、なかったという可能性もあるじゃないかと言ったらば、いや、ある可能性が高いんだというふうにまた戻っていくわけです。だったら、しっかりとした、国民が納得し得る、日本政府としてはこれこれこういう根拠を基にイラクの大量破壊兵器についてあるというふうに考えましたという根拠を示すべきですよ。それを一切示さないじゃないですか。いかがなんですか。

国務大臣(福田康夫君)

 それは国際社会がそういうように認めたことなんですよ。我が国だけでどうこうできる話ではないでしょう。余りむちゃなことを言わないでください。

小池晃君

 国際社会が認めたというふうに簡単におっしゃるけれども、一体、国際社会のどの機関がどこで正式にイラクの大量破壊兵器の保有を断定をしたんですか。そういう事実はないはずです。

 しかも、大量破壊兵器の保有については、そもそも最初から偽造だったという疑いが今急速に出てきているわけであります。これは御承知のとおりです。

 英国政府の昨年九月の報告書には、四十五分でイラクが生物化学兵器を配備できると、これは全く根拠のない記述だったと。そして、二月の報告書は学生の論文を盗用したことが問題化しているわけです。そして、アメリカの国防情報局は、昨年秋の段階で化学兵器が存在する信頼できる情報はないと、そういう報告を出している。そして、十一日には CIA 長官が自らの情報の誤りも認めている。これは結局、アメリカ、イギリスは、大量破壊兵器についての情報を自分に都合のいいように操作をして世界を欺いてイラク戦争へ突き進んだんじゃないかと、こういう疑問が今沸き起こってきているわけですよ。

 官房長官、こういうときに、こういうときに小泉総理はあんな、フセイン大統領見付からないからフセイン大統領はいなかったと言えるのかと、こんな説明で国民の疑惑に答えることができるのかと私はそう聞いているんですよ。こんな言い方で国民の疑問、解消されると官房長官はお考えですか。そこはいかがなんですか。

国務大臣(福田康夫君)

 ちょっと、いつ総理が発言したのか見てお答えします。

小池晃君

 いつ総理って、ちょっと待って。

国務大臣(福田康夫君)

 いつの発言かね。

小池晃君

 いつ総理って、これ党首討論でやり、そしてテレビ中継されているときの連合審査会でやり、そして参議院の予算委員会でやったんですよ、総理は。ちょっと時間稼ぎしないでください。

 私が言っているのは、総理のあのような説明では、大量破壊兵器の疑惑というのは最初からなかったんじゃないかという国民の疑惑には、私は説明にはなってないんじゃないかと、そういうふうにお聞きしているんですよ。官房長官として率直な御見解を示していただきたいと思います。

国務大臣(福田康夫君)

 率直に申し上げて、あの発言を総理がされたころ、もう一か月以上前でしょう、恐らく。そのころ大量破壊兵器はなかったんじゃなかろうかといったような、そういう国際世論はなかったと思いますよ。今でもそれは全くないというような、そういう世論というのはないんだろうと思いますね。

 いずれにしても、あるかないかという議論を今の段階で幾らしたって余り利益はないと思いますよ。それよりも、しっかりと捜査、査察をすべきだと、こういうことじゃないでしょうか。そして、その事実を見て判断をすればいいことだと思います。

小池晃君

 私は、あるかないかという議論をしているんじゃないんです。あるというふうに断言したことの根拠を聞いているんです。その責任を問うているんです。そのことについて全く説明がないわけですよ。そして、あのような形でフセイン大統領が見付からないからフセイン大統領はいなかったと言えるのかと、こんなでたらめな答弁で国民が納得するかと。

 しかも、官房長官はあの時点はとおっしゃいましたが、あのとき党首討論で一回だけであれば私もこんなにしつこく追及はしないです。その後二回、国会でやっているんです。そして、更に昨日、オーストラリアの首相に対して歓迎会でも言っているんです。だから私は言っているんです。そんな、こんなでたらめな答弁、私は断じて許せない。

 官房長官、答えてください。あのような言い方で国民の疑問に答えることができると考えているんですか。

国務大臣(福田康夫君)

 先ほども申し上げましたけれども、総理は、断言と言っていいのかどうか、そういう、例えば全世界対大量破壊兵器を持っているイラクと、こういうように言っていますが、その前に、これはさっきも言ったことですけれども、イラクの大量破壊兵器は世界の平和に対する重大な脅威になっているというような表現とか、また別のメールマガジンで、大量破壊兵器を保有するイラクの脅威にどう対峙するか、また、国連の決議を無視して大量破壊兵器の破棄をしてこなかった、フセイン政権がこれらの兵器を廃棄する意思がないことが明らかになったといったような表現でもって、力点はそういうところにあるんですよ。

 ですから、その後で言っている、大量破壊兵器を持っているイラク、これは断定しているじゃないかと、これはやっぱり言葉じりをとらえた表現というふうに言うしかないですね。

小池晃君

 なぜ、そのような前置きがあったから断言しなかったと言えるんですか。今の御説明では全く、断言してないという説得的な説明にはなっていないと思いますよ。だって表現としては、今お読みになったもの、すべて断言しているわけじゃないですか。

 疑惑という言い方をしているのであれば私もこういう言い方はいたしません。しかし、メールマガジンの中で疑惑という言い方は一切していないわけです。そして、すべて、保有していると、今言ったの全部、だって断言しているじゃないですか。大量破壊兵器を持っているイラク、大量破壊兵器を保有するイラク、こういうのを普通は断言と言うんです。

 ですから、こういうふうに言った、こういうふうに言ったことを根拠を示しなさいと、示してくださいと言っているんです。

国務大臣(福田康夫君)

 総理は、小泉総理は、断言とは言っていません。断言するとは言っていません。だからちょっと、あなたの表現もちょっときつ過ぎるんですよ。もう少し全体を見て総合的に判断してください。

小池晃君

 私は一切、断言するというふうに、小泉総理が断言するというふうにメールマガジンで言ったというふうには私は申し上げておりません。こういうふうに、保有するというふうに言っているのは、普通は日本語ではこれは断言と言うんです。疑惑ではありません、これは。だから、こういう言い方をした根拠は何かと。結局答えられないということだと私は思う。

 もう一ついい加減な答弁。九日の連合審査会で我が党の緒方議員の質問に対して、あのときテレビ中継までされていたんですが、総理、こう言っているんですね。「現に四十数か国も軍隊派遣してイラクに行っている」というふうに言ったわけです。これは明確にこう言っています。

 外務大臣は、いつもならば、これは事実関係というと指名もしないのに外務大臣出てくること多いんですが、このときは事実関係なのに、事実関係なのに、このときはテレビ放映までされているのに訂正されなかったんですね。

 ということは、これは四十数か国、現に四十数か国、軍隊派遣しているというのは間違いのない答弁だったということなんでしょうか。

国務大臣(川口順子君)

 それ、総理のそのときの答弁、具体的に私、今ちょっと記憶ははっきりいたしておりませんので、今そういうことを総理が言われたかどうかということについてははっきり申し上げられませんけれども、私がそのときに出ませんでしたのは、何回か今まで出て共産党の方に指名していないといって怒られたものですから御遠慮申し上げたということです。

小池晃君

 間違った答弁したら、ちゃんと訂正してほしいんですよ。

 これは重大な問題ですよ、事実関係としても。これ、テレビ見ていたんですから、NHK テレビで中継されていたんですよ。そういうときに、現に四十数か国も軍隊を派遣してなんというのが、これ流れていいんですか。

 これ、事実関係お伺いしますよ。四十数か国、現に軍隊派遣されているんですか。

国務大臣(川口順子君)

 既に派遣を行った国、これは十六か国、アメリカ、イギリスを含んで十六か国です。それから、派遣を決定した国、これは十八か国でございます。

 したがいまして、足しますと三十四か国ということになると思います。

小池晃君

 現に派遣しているのはアメリカ、イギリスのほか十四か国であります。合わせて十六か国。予定も含めても四十数か国なんという数字は全く出てこないわけですね。インドは派兵を中止をしているわけであります。これ、明らかな誤りだというふうに思うんです。

 さらに、軍隊を送っている国のうち、いわゆる国連安保理決議一四八三で言う、安全で安定した状態の回復、このための支援活動をやっている軍隊を送っている国というのは何か国なんですか。

国務大臣(川口順子君)

 これはすべての国についてあなたが派遣をしている根拠は何ですかという形で把握をしているわけではありませんので漏れている部分があるかと思いますけれども、私どもが把握をしている範囲では、派遣をしているか、あるいは派遣決定済みの国々のうち、十一か国が一四八三に基づいて貢献を行うということを明言しているということであります。

 明言をしていないところでもそう考えているところがないという可能性を排除することはできませんし、それから、いずれにいたしましても、各国が軍隊を派遣をしている、あるいは派遣をすると決定をした、その場合に、その判断の根拠というのはそれぞれが主体的に判断をして実施をすると、そういうことであります。

小池晃君

 一四八三に基づくといっても、それが安全、安定確保の活動なのか、あるいは人道復興支援なのかというのはありますよ。韓国とかサウジアラビアとかアラブ首長国連邦なんかは、これ人道支援だと思うんです。安全で安定した状態の回復のための活動、いわゆる占領軍支援を行っているという国は私はもっともっと少ないということだと思うんです。先ほどから議論があるように、インドは派兵、撤回したと。私は、憲法九条を持つ日本こそこういうものは撤回すべきだというふうにここでも申し上げたいんですが。

 問題は、安全及び安定を回復する活動の中身であります。

 今回の法案の最大の目的というのは、これは自衛隊をイラクに派遣をし、米英占領軍への協力を行うということだと思います。これは法案では、自衛隊が人道復興支援活動と安全確保支援活動を行うというふうにしている。

 安全確保支援活動について、法案の第三条の二では、国連加盟国が行うイラクの国内における安全及び安定を回復する活動を支援するというふうにしているわけですが、この「イラクの国内における安全及び安定を回復する活動」というのは具体的には、具体的には実際今イラクで行われている活動の中でどういう活動をこれは指すのか、これをお答えいただきたいと思います。

国務大臣(川口順子君)

 イラクの国内において安全及び安定を回復する活動というのは二つあると考えています。一つは犯罪等の防止によってイラク国民の生命、身体の安全、ひいては社会全体の安全を確保するということです。もう一つは、イラク国民の生活を安定させることによって社会秩序を回復するための活動、これを指すというふうに考えております。

小池晃君

 それじゃ全くちょっと分かんないんですよ。具体的なイメージを持てないと実際にこれ、この活動を支援するというのであればもっと明確に示すべきだと、もっと具体的に国民に対して説明する私は責任があると思うんです。

 具体的にお聞きしますが、米英占領軍がこの間行ってきた掃討作戦、半島攻撃作戦、続いて砂漠のサソリ作戦、砂漠のガラガラヘビ作戦、現在はツタの蛇作戦だと。昨日の中央軍のプレスリリースによればソーダマウンテン作戦というのもやっているようであります。こうした掃討作戦ですね、一連の。これは法案に言う国連加盟国が行うイラクの国内における安全及び安定を回復する活動と、法案で言っている、法案で言っている国連加盟国が行うイラクの国内における安全及び安定を回復する活動に該当するわけですか、いかがですか。これは法案の中身だから内閣なんですか、いかがでしょう、官房長官、あるいは防衛庁長官でも結構です。

国務大臣(福田康夫君)

 じゃ、原則的なことを申し上げますけれども。

小池晃君

 原則はさっき聞いたから。

国務大臣(福田康夫君)

 個別の作戦については私は承知しておりませんからね、原則的な話。それでは防衛庁長官から答弁 . .. .. . 。

国務大臣(石破茂君)

 もう一度申し上げますけれども、本法案に基づいて我が国の支援の対象となりますイラクにおける安全及び安定を回復する活動とは具体的にはということで外務大臣から答弁がございましたが、犯罪の抑止等によってイラク国民の生命、身体の安全、ひいては社会全体の安全を確保するとともに、イラク国民の生活を安定させることによって社会秩序を回復する、こういうことでございます。ですから、ガラガラヘビであろうが、ツタの蛇であろうが、サソリであろうが、それがこの二つの要件と申しますか、それが明確に峻別できるわけではありませんが、そうであれば、これはイラクにおける安全及び安定を回復する活動ということになるのであります。

 我が国がやってはいけないのは、午前中からずっと御答弁を申し上げておりますとおり、国際的な武力紛争の一環として行われるような、そういうことを我が国はやってはいけないということなのでありまして、アメリカが何をやっているか、それが我が国の活動がどう評価されるかということを総合的に勘案することになります。

小池晃君

 その安全、安定のための活動であれば、それに当てはまるのであれば、ここで言う安全、安定を回復する活動だという御答弁だと。

 ということはですね、こういうふうにアメリカは説明しているんですよね。ラムズフェルド国防長官とマイヤーズ統合参謀本部の司令官は、これ六月三十日の記者会見でガラガラヘビについてこう説明しています。ガラガラヘビ作戦は親衛部隊を破壊し、拘束することによって安全で安定的な環境を確立することを目的として開始されたというふうに当事者がおっしゃっているわけですね。当事者が安全で安定的な環境を確立することを目的としてやっている作戦だと言っているんだから、これ少なくともガラガラヘビ作戦については、じゃ明白ですね。で、もう一度聞くと、要するに安全及び安定を回復する活動にガラガラヘビ作戦が当てはまるのであれば、これが法の第三条二に言う国連加盟国が行うイラクの国内における安全及び安定を回復する活動に該当するということであれば、すなわちガラガラヘビ蛇作戦は取りあえずこの第三条の二の国連加盟国が行う安全及び安定を回復する活動になると、その一つだということでよろしいですね。

国務大臣(石破茂君)

 それは否定をされるものではありません。

小池晃君

 これ、ほかのことでお聞きをしたいんですが、そうすると、このガラガラヘビ作戦というのは安全及び安定を回復する活動だということ、それから先ほど私申し上げたこの一番新しく出てきている、今、オペレーション・アイビー・サーペント、ツタの蛇作戦やっているわけですが、それを支えるソーダマウンテン作戦というのもやっているんですが、これもこう言っているんです。アメリカ中央軍の昨日付けのニュースリリースでは、安全な環境をイラクにおいて創出するために行っていると。

 ということは、これもやはりこの安全、安定を回復する活動ということの一つになりますね。

国務大臣(石破茂君)

 全面的に否定をされるものではありません。

小池晃君

 そうすると、こういうのはどうなんでしょうか。

 六月十八日にアメリカの第四歩兵師団のオディエルノ司令官はバグダッドで記者会見やっています。これも国防総省のホームページで公開をされておるわけなんですが、これによりますと、こう言っているんですね。攻撃を打破し、この地域の安全と安定を回復するために旧政権メンバーの捕縛、捜索と攻撃任務、巡回と武装解除のための襲撃、敵の部隊を打ち破る任務を行っていると。ここでも司令官はこの地域の安全と安定を回復するために行うと言っているんですが、こうした活動も、もちろん国連加盟国が行うイラク国内における安全及び安定を回復する活動ということになるんでしょうか。

国務大臣(石破茂君)

 それは全面的に否定をされるものではありません。

 それは、先ほど来何か持って回った答弁をしているなというふうにお思いだと思いますが、そのことが、相手がだれであるのか、組織的、計画的、国際性云々かんぬんということを勘案をいたしまして、ガラガラヘビであろうが、サソリであろうが、ツタの蛇であろうが、相手が何者であるかということによってそれが国際的な武力紛争の一環としてとらえられるかとらえられないか、そういうようなことの判断とはまた別なのでございます。そのことが安定を確保するような活動なのかと言われれば全面的に否定できないと申し上げましたのは、そういう意味で申し上げておるところでございます。

小池晃君

 しかし、ガラガラヘビとかツタの蛇というのは野盗対策じゃないんですよ。野盗ですよ、野党じゃないですよ。野盗対策じゃないんですよ、これは。これはフセイン残党の掃討作戦でしょう。ということは、今の御説明でいけばこれは安全、安定回復活動に合致するということでよろしいんじゃないですか。

国務大臣(石破茂君)

 それは一致をする場合があります。ただ、それがすべてぴったり重なるかどうかということは、それぞれのガラガラヘビであろうが、ツタの蛇であろうが、サソリであろうが、その作戦というものの詳細を私は存じ上げておるわけではございません。一〇〇%一致するということかどうかは分かりません。

 要するに、その内容、範囲、対象、目的などにつきまして、当該活動を行う国、つまりこの場合にはアメリカでございますが、説明を受けました上で我が国として主体的に判断をし、関連安保理決議を踏まえて、問題なのはこのような活動を我が国が支援をするための措置を行うことが是か非かということなのでございます。私どもがそれに対する支援を行うことがこの法案に沿ったものであるのか、その根底にある憲法の趣旨にかなったものであるのかということは、そういうことをすべて踏まえまして我が国が主体的に判断をすることになるわけでございます。

小池晃君

 ほかの実例についても聞きたいんですが、アメリカ中央軍の六月十八日のニュースリリースでは、こう言っているんです。

 米軍は CPA の前で行ったイラク人のデモに対して発砲し、イラク人が二人死亡したとされていると。このデモは、中央軍の発表によれば、仕事が不足していることへの抗議のために行ったデモだったということなんですね。これは中央軍のニュースです。これは、要するに大変失業者が増えていて抗議行動が起こっていると。これに対して発砲していると。デモの鎮圧のために発砲をした。

 こうしたこともこの国連が行う、国連加盟国が行うイラク国内における安全及び安定を回復する活動ということになってくるんでしょうか。

国務大臣(石破茂君)

 これも先ほど来お答えをしているように、白なのか黒なのか、どっちだと、こういうふうに言われますと、それがどういうものであったのかを正確に把握をしておりません以上、シロだとかクロだとかいうお答えは申し訳ございませんがいたしかねます。それは安定化に資する活動と言える場合もあるというふうな答弁しか申し上げられないのは、それがどういうことであるか正確に把握をしておらないがゆえでございます。

小池晃君

 ブッシュ政権に影響がある外交問題評議会、ここが出している米軍への抵抗という報告書があります。六月三十日に出ている。ここではこう言っているんですね。イラクのレジスタンスは日増しに組織化され拡大している多くの兆候を示しているというふうに言っています。この報告書の中では、だれが米軍を攻撃するのかという設問に対してこう言っているんですね。多くはバース党などのサダム親衛防衛隊員、他国からのイスラム部隊、第三のタイプは貧乏で米軍を攻撃することでもうけようという素朴なイラク人だと。そして、バスラ周辺で起こった暴動のように、攻撃者はしばしばイラクにおける連合軍の存在と行動に怒った普通のイラク人を含んでいるように見えるというふうに外交問題評議会の報告書は書いているんです。今、こういう状況が生まれているんだろうと思うんです。普通のイラク人がアメリカ占領軍に対する抗議、抵抗を強めていると。

 詳細に細かく把握しなければ分からないという部分はもちろんあるでしょう。しかし、一般論として言って、こういうものは、こうした行動を鎮圧するというような活動もこのイラクにおける安全と安定を回復する活動の中にこれ含まれるカテゴリーになるのかどうか、これはお答えいただきたいと思うんですが、いかがですか。

国務大臣(石破茂君)

 全面的に否定はされません。ただ、外国が、先生がおっしゃるように外国の議会がこう言っている、あるいはメディアがこう言っている、あるいはそういうようなグループのリーダーがこう言っている、いろんなことはございます。しかしながら、我々は、国連決議一四八三、あるいはただいま御審議いただいております法律、それに従いまして現地で行動をするわけでございます、仮にお認めをいただいたとするならば。だとすれば、その判断は我が国が主体的に行うことになるわけでございます。それは我が国の法律に適合したものなのかどうなのか、そういうことは主体的に我々が判断することでございまして、現地において、私どもはそういう現場に遭遇をいたしておりません。実際に現地に行きましてどういう状況なのかということを見なければ判断はできないものでございます。

小池晃君

 我が国の判断という問題でちょっとごまかしていらっしゃると思うんですが、私が聞いているのは純粋に法律の解釈の問題で、第三条の二で言っている、ここで言っている国際連合の加盟国が行うイラクの国内における安全及び安定を回復する活動に合致するのかどうか。それを支援するのかどうかとか、そういう議論をしているんじゃないんです。この第三条の二の定義にかかわる問題としてお聞きをしているんです。

 そういう点でいえば、今私がるる申し上げてきたような、これは盗賊に対する行動ではないですよ。一定の国又は国に準ずる集団に対する掃討作戦という一連のもの、あるいは占領軍に対する抗議行動、これは物取りのためにやっているわけじゃないですよね。こういうもの、こういったものに対する鎮圧活動というのは、この法で言っている、第三条の二の安全及び安定を回復する活動に合致するものであると。すべてがそうだとは言いませんが、そういうカテゴリーの中に含まれるということはお認めになりますね。

国務大臣(石破茂君)

 ですから、私も別にすり替えているつもりはございませんで、国際連合加盟国が行うイラクの国内における安全及び安定を回復する活動とは何なのか、その活動の相手方が、先生御指摘のように野盗ではなく、強盗でもなく、そういうような組織的な集団であったとしたらどうなのだということだろうと思います。仮に相手がそのような組織的な集団であったとしても、それが全くイラクの国内における安全及び安定を回復する活動ではないというふうに全面的に否定をされるということにはならないということを申し上げているわけでございます。

小池晃君

 更にお聞きをしたいんですけれども、自衛隊の支援する活動の中身についてであります。

 外務省、防衛庁、それから陸上自衛隊の幕僚監部の実務者十名が訪米をして、六月三十日から七月二日まで国防総省、国務省、米軍の幹部と会談した、そういう報道がありますけれども、これは事実でしょうか。外務省及び防衛庁にお聞きします。

国務大臣(川口順子君)

 そういう会談を持ったということは事実です。

国務大臣(石破茂君)

 意見交換を行ったということは事実でございます。

小池晃君

 報道によれば、日本が想定していた C130 による輸送と給水については、それだけでは不十分だということで、武器・弾薬について大型輸送ヘリによるイラク国内拠点間の空輸、陸上輸送が要請されたといいますが、これは事実でしょうか。

国務大臣(石破茂君)

 いろいろな意見交換は行っております。その中で、いろいろなニーズあるいは我々の能力についての意見の交換もいたしております。ただ、具体的な輸送ヘリでありますとか空輸でありますとか、そういうようなことにつきましては、お答えはアメリカ側との関係もございますので差し控えさせていただきたいと思います。

 それは調整の過程において、ディスカッションの中で、当然いろんなニーズがございましょう、我々が持っているいろんな能力もございましょう、その中で意見交換は行われております。具体的なことにつきましては申し上げることをお許しをいただきたいと存じます。

小池晃君

 十三日の新聞報道では、防衛庁は米軍向けの武器・弾薬の空輸を行うというふうにされていますが、そういう方針決めたと報道されていますけれども、こうした米軍からの要請に基づくということになるんでしょうか。

国務大臣(石破茂君)

 そのような事実はございません。意見交換を現在行っておることでございまして、それは法案をお認めをいただかない段階において確定的、断定的なことが決められないのは当然のことでございます。

小池晃君

 イラク国内拠点間の空輸、大型ヘリによる空輸、これは行わないということなんですか。武器・弾薬の空輸というのは行わないということなんですか。その点について、完全に否定されるんであれば否定していただきたい。

国務大臣(石破茂君)

 完全に否定はいたしません。

小池晃君

 完全に否定しないということであります。

 武器・弾薬の輸送というのは周辺事態法でも一応除外されていました。テロ特措法のときも、最後の修正で陸上輸送は除外しました。はっきり言えば、兵たん支援は、我々は水であろうと食糧であろうと武器であろうとこれは戦争の一部だというふうに思っております、程度の違いでしかないと。しかし、武器・弾薬の空輸ということも否定しない。これは本当に幾ら何でも戦争と一体のものだということになってくるだろうと。

 しかも、バグダッド国際空港では C130 に地対空ミサイルが撃たれたという報道もある中で、いよいよこの米軍支援、これが相手側からすれば攻撃対象となってくるのではないか、非常に危険な事態になるのではないかということを大変危惧するわけでありますが、イラクの現状をどう見るかということであります。一層混沌としている。

 ブッシュ大統領が五月一日に大規模な戦闘を終結したと宣言してからの被害について、これはラムズフェルド国防長官が十三日に発表していますが、それによれば米兵の死者は少なくとも七十九名、負傷者は四百名以上だと。それから、七月十日にはアメリカ中央軍のトミー・フランクス前司令官がイラクにおける米軍への攻撃は一日十回から二十五回に上るというふうに報告されています。十四日には二か所でロケットによる攻撃が行われた。それから、十六日にも爆発が起こって米兵一名が死亡した。米兵の死者はついに湾岸戦争時に並んだわけであります。

 先ほども議論ありましたが、政府は今の事態について、イラクでの米兵への襲撃というのは、これは非常に増加しているというふうに認識されているのかどうか、この点についてお答え願いたいと思います。官房長官でしょうか。よろしくお願いします。

国務大臣(川口順子君)

 イラクにおける米軍の亡くなった方の数ですけれども、五月と六月が三十七、二十八、七月が十六日現在で十八ということになっているわけです。それで、七月は、特に昨日、割に多かったわけですけれども、これは十六日、十七日がそれぞれバース党関連の記念日に当たっているというようなことも一因としてあったかというふうに思います。

 いずれにしても、いろいろな状況はその日その日でございますけれども、また地域的にもばらつきがあるということであります。全体として引き続き十分に注意をしなければいけない状況が続いていると思いますが、基本的な判断、戦闘が基本的に終了しているということは変えていない、治安確保は現在の当面の課題となっているというふうに考えています。

小池晃君

 ちょっと、官房長官のさっきの答弁とちょっと違うような気がするんですけれども、官房長官は、期待に反して余り良くなっていないとおっしゃいました。

 私は、率直に見て、今、資料もお配りしました。これ、アメリカ中央軍のプレスリリースだけから、これは全部事故は除きました。交通事故などはすべて除きました。除いて見てみると、私は、これはどう見てもアメリカ兵に対する攻撃というのは急増していると。見てください、官房長官、これ、六月の後半から急増しているわけですよ、六月下旬以降七月に掛けて。銃撃や手りゅう弾による攻撃が連日のようにやられているんです。与党代表団の現地調査というのはこれは実質二十三日までですから、与党の皆さん行った後ぐらいから、これは本当に立て続けに私は米兵に対する襲撃事件、激増していると。

 官房長官、今の現状について、アメリカ兵に対する攻撃は急激に増えてきているんだという認識をお持ちかどうか、官房長官、お答え願いたいと思います。

国務大臣(福田康夫君)

 先ほど私が期待に反してという表現を使いました。これは私は、もっと治安が早急に改善されるという期待を持っていたものですからそういう表現になったわけでありまして、状況は変わっていないということなんだろうと思います、全般的に見ましてね。

 ただ、地域的に限られているのかどうか、地域性があるのかどうか。一般情勢報告としてはそういうように見ておりますけれども、その辺よく精査しなければいけない、そういう問題だと思います。

 それから、ちょっと余計かもしれませんけれども、米軍はたくさん死者も出ている、イギリスも一回六人ということがございましたけれども、主としてというか、もうほとんど米軍に限られているわけですね。その辺が、どういうことでそうなのか、それだけまた危険な地域に米軍がいるのかといったような推測もできるわけでありますけれども、実は治安維持についてはほかの国も従事しているようでございます。例えばイタリア、デンマーク、リトアニア、ポーランドというのは治安確保というような観点でイラク国内で作業しているというように報告を受けておりますけれども、しかし、今、そういう国々で死者が出たというそういう報道はない、こういうこともございますので、そういうことも含めて、いろいろ考えていかなければいけないと思っております。

小池晃君

 それは、アメリカ十四万行っていてイギリス一万ですから差が出るのは当然なんですよ。

 私がお聞きしているのは、これ見てくださいよ。これを見て、増えていないとは言えないでしょう、さすがに。最初のころは結構事故が多いんですよ、プレスリリースを見ても、中央軍の。ただ、最近になってきて、やはり銃撃あるいは待ち伏せ攻撃、手りゅう弾、ロケット推進式りゅう弾、こうした攻撃が最近になってやはり増えてきていると。そして、ラムズフェルド国防長官もこう言っているわけじゃないですか、テレビのインタビューで。これから夏に掛けてフセイン支持勢力にとっての記念日が続くので、これから攻撃は増えるだろうというふうに、官房長官、アメリカ当局もこれから増えるというふうに言っているわけですよ。

 私、これ見てください、地域によってという、そんな問題じゃないと思いますよ。全体として米兵に対する襲撃、多発傾向にあると。これは当然そういう認識でないと私は困ると思うんですが、いかがですか。

国務大臣(福田康夫君)

 米軍が襲撃を受けているというこういう事実は、これはそのとおりだと思います。これが今後どうなるかということであります。こういうような状況を踏まえて、米軍としてもどういう対応措置をするかというそういう観点でラムズフェルド国防長官も発言をしたんだというふうに思っております。

小池晃君

 先ほど議論したように、安全、安定を回復する活動というのは、単にフセイン政権の残党狩りということではなくて、抵抗闘争に対する、占領軍の抵抗闘争に対する鎮圧のようなものも含まれてきている。停戦合意なされていないイラクで占領軍が反米デモなどを武力で鎮圧するということをやっているわけです。こういう中で日本の自衛隊がこれ支援に行く、米軍支援を行うということになると、私はこれ、普通のイラクの人々からも自衛隊、抵抗を受ける危険性あるというふうに思うんです。

 例えば、こんなことを言われています。朝雲の今年の六月五日付けで、防衛研究所の小塚郁也さんというんでしょうか、主任研究官はこう言っているんです。たとえ輸送支援を行うにしても、輸送支援だとしても、こう言っているんですね、現地で護衛任務を他国の歩兵部隊などに要請することは実際のところできないだろうと。そうすると、輸送部隊に加えて、護衛の陸自普通科部隊と装甲車などの装備品も送り込まなければならなくなる。普通科部隊は戦闘部隊であり、現地では治安維持部隊と一体化して見られるおそれがある。ねらわれる可能性も高まる。住民からは自衛隊も占領軍と同様に見られて、宿営地の性格なども従来の PKO と違ってくる。最悪の場合は自爆テロの目標にさえなり得る。これ官房長官、防衛研究所の主任研究官の発言です。大変ねらわれる危険が高まるのではないかというこの指摘は私は十分にうなずけるものだと思うんですが、官房長官、いかがですか。

国務大臣(福田康夫君)

 安全に十分な配慮をするということは当然でございます。ですから、そういう懸念というものを持ち続けながら、防衛庁も実際のその行動計画を作っていかなければいけないと思っております。

 しかし、先ほどちょっと申し上げましたように、米英以外の治安維持活動をしている国々もあるわけでございまして、そういう国々からは死亡という報告がまだない。また、これから派遣を決定して派遣しようというそういう国々もございますけれども、その中でも安定化部隊ですが、治安維持、治安維持というような方面の仕事をしようという国が一、二、三、四、私が持っている分でも四か国あると、こういうことでございますから、それはやっぱり、先ほど申しましたように米軍は本当に危険な最前線に立っているんだということだと思います。そしてまた、そういうおかげと言っては言葉は適当かもしれませんけれども、ほかの国々が安定した仕事ができると、こういう部分もあるんじゃないでしょうか。

小池晃君

 イラクの国民の抵抗、これからどんどんどんどん高まる可能性があると思うんです。その中で自衛隊が占領軍と一体だというふうに見られればどうなるか。

 これは、朝雲のインタビューではさっきの防衛研究所の方はこう言っているんです。先に行った国がそれぞれ安全で容易な仕事といったいいとこ取りしてしまって、後から行った日本が条件の悪い仕事を押し付けられるといったことも十分にあり得ると、こんなことまで言われているんですね。自衛隊は米英占領軍と同じ占領軍だと見なされる、かつ米英軍と違って実戦経験もない。なおかつ条件の悪い仕事がもしかしたら回されるのかもしれない。こういう中で、私は自衛隊は非常にねらわれやすくなる、攻撃対象になってくるという危険というのはこれは極めて高いんじゃないか。

 非戦闘地域で活動、そんなこと言うけれども、私はこれ、非戦闘地域か戦闘地域、区分けなんか本当にできないと思うんですよ。そういう中で、結局自衛隊員が行ったら自衛隊員がねらわれる。自衛隊員が行ったところがこれは一番戦闘地域ということにどんどんどんどんなっていくということになるんじゃないかと。私は大変そういう危険を感じるんですが、官房長官はそういう危険は感じられませんか。

国務大臣(福田康夫君)

 そういうことはないようにということでこの法案は作っておるわけでございまして、この法案を忠実に実行に移すということが大事だと思っております。

小池晃君

 私が言ったのは、そういうことがないようにという仕組みというのが正に成り立たないのではないですかと言っているんです。正にそういったところがねらわれるということになるじゃないかと。私が聞いているのは、自衛隊員が非常に全体の部隊の中でもうねらわれる、ねらわれやすい存在になる危険性は私は否定できないと思いますが、官房長官、どうですか。そういう危険は感じていらっしゃいませんか。

国務大臣(福田康夫君)

 もしそういう懸念があるんであれば、その懸念の原因を排除しながら工夫をしていくということになると思います。

小池晃君

 私が聞いているのは、その前のところなんです。懸念を、危険を感じないのかというふうに言っているんですが、一切答えない。

 さらに、危険にさらされるだけじゃないわけです。もしそういった場面になって攻撃に遭遇したらどうなるか。そうすると、これは自衛隊が安全確保支援活動を行っている際に何者からか攻撃を受けた場合、対応として二つあるわけですよね。一つは、いわゆる活動を休止し、回避し、そして中断するということですよ。それからもう一つは、正当防衛、緊急避難の場合において、範囲において武器を使うと。このいずれかの対応していくということに、あるいは二つ、両方かもしれません。そういうことになる。これは間違いないですね、防衛庁長官。

国務大臣(石破茂君)

 おっしゃるとおりです。

小池晃君

 そうすると、例えば自衛隊が占領軍の支援をしているときに、相手、国又は国に準ずる者、例えばフセインの残党、これ攻撃してきたら武器を取って応戦することもあり得るということですね。

国務大臣(石破茂君)

 それは、応戦という言葉が何を指すのか、ここの定義にもよりますが、十七条の範囲において武器を使うことはあり得ることでございます。しかし、それは、累次答弁を申し上げておりますように、正当防衛、緊急避難を危害許容要件として正当業務行為としてこれを行うということになっているわけでございまして、応戦をして、それが戦闘行為に発展をするということはないようにこの法律は組み立てられております。

小池晃君

 正当防衛、緊急避難だと言うんですが、フセイン残党による、今、組織的、計画的な国及び国、国又は国に準ずる組織による攻撃が頻発しているわけですよ。地対空ミサイルまで撃たれたという報道もあるわけですね。NBC テレビでラムズフェルド国防長官はイラクはまだ戦争中だというふうに言っています。治安が悪いという水準じゃないと思うんです、まだ法的にもこれ戦争中ですわね、継続しているわけですね。防衛庁長官うなずかれました。

 そういう中で自衛隊が、これは正当防衛なんだというふうに言ったとして武器を使用したとしても、これはどう見たって攻撃を仕掛けてきている国及び国に準じる組織と交戦していると実態としては、見た目は全く変わらないと思うんですが、これいかがですか。

国務大臣(石破茂君)

 法的には戦争中だと申し上げましたのは、これはどこかでも答弁を申し上げたことがあるかと思いますが、要は、停戦条約とかあるいは降伏文書の調印とか、そういうことが行われていないという意味で申し上げておるわけでございます。それは、主要な戦闘は終了したがというふうに言っている、そういう意味なのでございます。

 見た目はそう見えるだろうがというふうにおっしゃいますが、それは、正当防衛、緊急避難として、自己又は自己とともに所在する者ですとか自己の管理の下に入った者ですとか、そういう者を守るために使える限度というものはあるわけですよ、必要にして合理的な範囲というものはですね。それを応戦というふうには言わないし、ましてやそれは戦闘行為とは言わない。それは、外見から見たところで、自分を守るために必要最小限のもの、ごめんなさい、必要なものを使っておるというものと応戦をしてできるだけ勢力を盛り返すというものとは本質的に異なるものでございます。

小池晃君

 いやいや、どう異なるんですか。例えば、具体的に言いますよ。自衛隊が米軍のために軍事物質を輸送しているというふうにします。そこにイラクの国に準じる組織から組織的に襲撃があったとします。自衛隊は正当防衛と称する武器使用を、これは部隊の指揮官の判断で部隊全員が行うと。それに対して相手がまた攻撃してくるといったら、また正当防衛だということで武器使用を行うと。これ、こういうことがあり得るわけですよね、今度のこの仕組みでいけば。これも正当防衛だと、違うんだというふうにどうして言えるんですか。

 全くこれは、例えば、その横に、じゃ米兵がいたとします。米兵も同じように反撃をしたとします。これは、米兵がやったらばこれは武力行使だ、自衛隊員がやったら武器使用なんだ、正当防衛なんだと。どこにその違いがあるんですか。外見的には全く同じということもあり得るということではないですか。

国務大臣(石破茂君)

 それは、一つ、そういうシチュエーションは極めて想像しにくい話でございまして . .. .. .

小池晃君

 だめですよ、そんなの . .. .. .

国務大臣(石破茂君)

 いやいや、委員、それはですね、自衛隊と米軍が一緒に物を運んでいて、ともに応戦するというようなことは、実際問題そういうような軍事オペレーションというのは非常に考えにくいことでございます。

 それを前提に置いて申し上げますが、要は、十七条にあります、その事態に応じ合理的に必要と判断される限度で、生命又は身体を防衛するためにやむを得ない必要があると認められる相当の理由がある場合にと、こういうふうに法律はなっているわけですね。この範囲で使える武器の使用というものと武力の行使というふうに評価されるものは、それは本質的に違うものです。見た目もそれは明らかに違うはずです。武力の行使というのは、国際的な武力紛争の一環として人を殺傷し又は物を破壊する行為ですから。武器の使用というのは、ここにございますように、自分の身を守るために必要な範囲において行うものですから、それは態様は違います。

 それは、こちらの方が守勢であればどこかで攻勢に転じ、相手を、せん滅という言い方が正しいかどうかは知りませんが、勝ったか負けたかの世界がそれは武力の行使でございましょう。そしてまた、武器の使用の場合に、あくまで自分の身を守る、あるいは現場に所在する者あるいは管理の下にいる者、そういう者を守るために必要な範囲においてということですから、それは元々本質的に違うものです。

小池晃君

 もう私には今の説明は全く理解できませんね。

 今の、防衛庁長官、今のような説明が国際的に通用するというふうにお考えですか。要するに、自衛隊が行っている武器使用は、これはあくまでも、相手がですよ、外国ですよ、場所は。そして相手は、外国の盗賊、山賊ではないですよ、国又は国に準ずる組織ですよ。組織的、計画的な攻撃があった場合にですよ。それに対して、外国の地で自衛隊が武器を使用していて、今のような理屈で、それは正当防衛なんだ、正当防衛の範囲の武器使用で、応戦ではない、武力行使ではないんだということが国際的な理解を得られるというふうにお考えですか。

国務大臣(石破茂君)

 委員のお説に従いますと、それはもう憲法九条というものの意味がなくなってしまいます。それはもう国際的に理解されるかどうなのかということも必要です。しかし、同時に我々は、日本の憲法九条、その中で日本の国は武力の行使を行わないということになっておるわけです。それがまた、我が国が専守防衛であり平和国家である、海外において武力の行使は行わないということを担保をすることも必要です。そのためにこの法律にはそういうことを書いてあるわけです。

 もちろん、国際的に理解を得ることは必要ですが、国内的にそういう整理をきちんといたしませんと、それは武器の使用だか武力の行使だか、何が何だか分からないじゃないかと、そんなことを現場においてやるわけにはまいりません。それは政府としても、これは武器の使用、これは武力の行使、きちんきちんと分けたふうにやっていくことは当然のことでございます。

小池晃君

 全く今のでは国際的な理解なんというのは得られないだろうというふうに思います。

 憲法九条があるから、だからそういう下でこんなことができないわけですよ。だから、今みたいなでたらめな説明になるんです。憲法九条の下で、外国にまで行って、そして事実上の武力行使を行うような、そういうことをやろうとするから今みたいなでたらめな説明になるんですよ。

 しかも、総理はこんなことを言っているんです。襲われたら戦うというのは、これは人間本来の活動だと。やっぱり自分の身は防がなきゃならない、自分の命は守らなきゃならないという場合に、殺されるかもしれないといったら相手殺す。

 官房長官、もう最後に聞きますけれども、日本国憲法というのはこういう考え方を根本から否定した憲法なんじゃないですか。憲法前文で何と言っているか。「人間相互の関係を支配する崇高な理想を深く自覚する」、「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した。」、これが日本国憲法ですよ。それに対して、殺されたら相手殺すんだ、これが人間本来の活動だ、こんな発言をテレビの前で国民に向かって総理行ったわけですよ。私は、日本国憲法というのは、このような殺し合いの原理によって支配される世界を否定したものだというふうに思います。総理の答弁は全くこういう憲法を踏みにじる発言だと私思いますが、官房長官、いかがですか。

国務大臣(福田康夫君)

 憲法のことですかね。緊急避難、自己防衛、そういう話を総理はされたんじゃないですか。そこでは憲法の話ということではなかったと私は思いますよ。突然襲われて、そして自己を守る、自己防衛、それは当然の権利だというように思っていますので、刑法上もそれは許されていることであります。

小池晃君

 もう質問しませんけれども、これは正当防衛の話じゃないですよ、総理が言っているのは。殺されるかもしれないと思ったら、言ったら、相手殺すかもしれないと言ったんですよ。これがどうして正当防衛なんですか。

 私は、本当に国際法違反のイラク攻撃を正当化するこの法案については、もう正に憲法違反そのものだと、廃案以外に道はないというふうに申し上げて、私、質問終わります。

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