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日本共産党参議院議員・医師 小池晃 アーカイブ[〜2008] 日本共産党参議院議員・医師 小池晃 アーカイブ[〜2008] 日本共産党参議院議員・医師 小池晃 アーカイブ[〜2008]

159 通常国会 予算委員会質問

2004年3月9日(火)

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委員長(片山虎之助君)

 次に、小池晃君の質疑を行います。小池晃君。

小池晃君

 先日、社会保険庁に勤める男性が逮捕、起訴されました。職場から離れた居住地で、土日や祝日にビラを配布した。これが国家公務員法で禁止した政治活動に当たると、そういう理由であります。これが男性の配布したしんぶん赤旗の号外であります。(資料提示)「憲法九条は日本国民の宝です」、このビラを郵便受けに入れただけで逮捕されたわけであります。

 私、総理にお聞きしたい。日本国憲法も世界人権宣言も、言論、表現、思想、良心の自由を保障している。これは民主主義の基本だからであります。それなのに、このビラをまいただけで逮捕される。こんなことが民主主義社会で行われていいのか。総理。

内閣総理大臣(小泉純一郎君)

 専門家だから。

小池晃君

 駄目ですよ。専門家じゃないですよ、これ。総理、答えてください、これ。重大な問題ですよ。

内閣総理大臣(小泉純一郎君)

 私に、逮捕された理由を私に言わせるんですか。

小池晃君

 理由じゃないですよ。こんなことがあっていいのかと。

内閣総理大臣(小泉純一郎君)

 いや、だからどういう事実、事実を確認しなきゃ。なぜ逮捕されたのか、これをよく伺わないと。私は、しかも今、逮捕された、どうかと言われても、事実をやっぱり確認しない限りははっきりしたことは言えないです。

国務大臣(小野清子君)

 お答えをさせていただきます。

 本件は、目黒社会保険事務所に勤務いたします厚生労働省事務官が、衆議院議員総選挙の際に、日本共産党を支持する目的で、政党の機関紙たるしんぶん赤旗号外及び政治的目的を有する無署名の文書たる東京民報号外を各戸に配布したものでございます。

 このため、警視庁におきましては、組織的、計画的、継続的な疑いのある国家公務員法違反容疑事件として、裁判官の発出をいたしました令状に基づきまして所要の捜査を行い、現在、公訴が提起されているものと承知をいたしております。

 国家公務員法によります政治的行為の制限は、最高裁判決におきましても、公務員の政治的中立性を確保という国民全体の重要な利益にかかわるものであるとされていると承知をいたしております。

 警察といたしましては、このような違法行為に対しまして、不偏不党、そして厳正公平な立場でその取締りに当たり、法と証拠に基づきまして捜査を進めたところでございます。不当な捜査であるという御指摘は当たらないものと考えております。

小池晃君

 公務員の政治活動を広く禁止する点で、そもそも憲法違反の法律です。しかし、勤務時間外に一市民としてビラを配るようなことは、今までのこの法律の運用の中でも違反ではないとしてきたんですよ。

 公務員の立場を利用した政治活動という点では、これ、自民党、どうですか。今年の参議院比例代表選挙で自民党から立候補を予定している官僚 OB は、防衛庁三名、農水省三名、国土交通省三名、総務省は二名、財務省、厚労省が一名ずつ、合計十三名に上るわけですよ。そして、昨年十二月に麻生総務大臣は総務省 OB の立候補のパーティーでどういうあいさつしたか。総務省を挙げて、選挙で当選させるべく全力を挙げて頑張りますとあいさつをしたんです。

 国家公安委員長ね、国家公安委員長、聞きますけれども、法律法律と言いますが、担当大臣がこのように選挙活動を奨励する発言している。もちろん調査していますね。答えてください。

国務大臣(小野清子君)

 個別の案件に関しましては発言を失礼いたします。

小池晃君

 大臣が公の場で自民党の候補者を省を挙げて当選させると。公務員の政治活動を省として支持しながら全く調査もしていないわけでしょう。野放しじゃありませんか。

 東京の立川市でもイラク派兵反対のビラをまいた市民が逮捕されている。私、こうした弾圧というのは、民主主義のない暗闇の日本への暴走だというふうに思います。日本共産党は、民主主義への挑戦であるこうした暴挙に厳しく抗議をします。そして、起訴の取下げと無罪を求めます。民主主義守るために断固として闘うことを表明をいたします。

 さて、年金問題についてお聞きをします。

 今回の改革案では、保険料を引き上げる一方で給付はマクロ経済スライドによって削減をすると。これは国民年金含むすべての年金に適用されるわけです。しかも、これは既に年金もらい始めた人の例外じゃないんですね。こうした人の年金も実質価値が下がっていく。これはもう史上初めてのことであります。その結果どうなるか。(資料提示)これ、政府によれば、二〇二三年までに一五%の実質引下げになる。国民年金で見ると、今平均四万六千円の年金が三万九千円まで価値が下がっていく。今の年金ですら生活に必要な水準ではない、更にこんな引下げを行ったら生きていけないじゃないかと。総理、この声に一体どう答えるんですか。総理、答えてくださいよ。

国務大臣(坂口力君)

 国民年金の実質的な年々ダウンというのは、その初め四万六千円というのはなぜ四万六千円なのか、よく分からないですけれども……

小池晃君

 平均値ですよ。国民年金の平均値、それも知らないんですか。

国務大臣(坂口力君)

 今回の年金制度につきましては、今日、午前中からもお話がありますように、将来の少子高齢社会に対応できる年金制度をどう構築していくかということによって作り上げているわけでありますから、支える側の人が減っていく中で、そこをお互いがどう支え合っていくかということでありますから、それはある程度やむを得ない、難しい。出す方は増える、そしてもらう側は減るではないかと共産党さんは言われるんだろうと思うんですけれども、それはしかし、その言いにくいところを言ったところに今回の意味があるというふうに思っております。

小池晃君

 そもそも基礎年金の給付水準が低過ぎるということは問題になっていたんです。

 九九年の十二月一日の衆議院の厚生委員会で、こういう質問をしている人がいるんです。国民年金、基礎年金の水準の見直し、水準への配慮というものも大事で、現在のように生活保護者にも及ばないような基礎年金は少し問題がある、ここは努力をしなければならないんじゃないか。これ、だれの質問だか分かりますか。坂口力氏です。坂口大臣、覚えていますか。

国務大臣(坂口力君)

 そこまでは覚えておりませんけれども。

 しかし、時代も変わってきている、時代も変化してきている。だから、そこはこれからの少子高齢社会の中でやっていけるようにこれは年金制度というのは組む以外に方法がないわけであります。かつてはそれほど少子化が進んでいなかった。これほども進むとは思わなかった。そうしたときの話と今後の問題とは、それはかなり違ってきている。その状況の中でこれからの年金制度をどう構築していくか。今、国民の皆さん方に本当のことを申し上げて御理解をいただくときを迎えていると思っております。

小池晃君

 そんな二十年も三十年も昔の話じゃないんです、五年前なんです、これ。五年前の段階で既に少子化進行していたじゃありませんか。

 当時の公明新聞、ここで大臣こう言っているんです。来年四月から介護保険制度が導入されます、この保険料は年金から強制的に調整されるわけで、これは年金を削減するのと同じ影響を与えることになります、国庫負担率の引上げと基礎年金の給付水準の引上げを同時に実現すべきであるというのが公明党の主張ですと、こうおっしゃっているんですよ。

 それなのに、今回、基礎年金水準の引上げどころか、一五%の引下げを盛り込んだ。当時の主張は一体どこへ行ったんですか。五年前ですから、時代が変わったとは言わせませんよ。

国務大臣(坂口力君)

 一息は十年一昔と言いましたけれども、最近はもう五年たてばかなり状況は変わっているんです、それは。だから、五年前のその状況と今とはかなり変わってきているわけで、現在は将来が見通せるようになったこの時点の中でどう考えるか。それは特別な方法はないんですね。

 だから、将来の年金を増やそうと思えば、負担をそれじゃ増やさなければならない。あるいは、負担を余り増やさないでおこうとすれば、年金はある程度のところで抑えなければならない。これは当然のことでありますから、我々は今、その将来を見据えて当然のことを申し上げているということでございます。(発言する者あり)決して、そうではなくて、そうではなくて、この保険料は下げて年金を上げることができる方法があるのならば、それは共産党からお示しをいただきたいと私は思っております。

小池晃君

 財源の話は後でしますが、これ、五年前は与党だったんですよ。与党のときに、わずか五年前にそういう主張をしていた。本当に信用ならない。

 で、九九年の年金改定後、これ、その後二〇〇〇年四月から介護保険が始まりました。保険料が天引きされるようになった。それから、二回にわたって老人医療費の引上げが行われたと。それなのに、年金額は物価スライドで減額をしてきたわけですよ。これじゃ、本当に暮らしていけないというのは当然です。

 総理、私、社会保障の負担がこう次々と高齢者の場合増えてきている中で、老後の生活の基礎的な部分を担う基礎年金水準まで引き下げる。許されるのかと。低過ぎる基礎年金の水準を引き上げて安心して暮らせる水準にする、これが私、改革というなら第一歩になるんじゃないかと思いますが、いかがですか。

内閣総理大臣(小泉純一郎君)

 これは、年金は破綻させてはいけない、やはり将来永続的に持続させていかなくてはならないと。そういうことから、高齢者の数も増えてまいります、保険料を負担する世代も減ってまいります。そういう中での改革でありますし、物価が下がったと。物価スライドなんですから、物価が上がったときは上がるんですよ。しかし、物価が下がった場合は、下がるんだけれども下がるのを止めてきた。これはやっぱり配慮なんです。本来、物価スライドですから、物価が上がったときは上がるんだから、下がったときは下げれば当然ですけれども、それは政治的配慮で下がるのを止めてきた。これもやっぱり一つの政治的な配慮のあることでありますが、今後、基礎年金にしましても給付の立場と負担する立場、両方考えていかなきゃならない問題だと。

 なおかつ、保険だけではこの年金財政賄えませんから、税金が入っています。税金の投入をどの程度するかということで、今まで基礎年金には三分の一しか国庫負担、税金が入っていなかったけれども、これを二分の一まで税金を投入しないと給付と負担が重く、負担は重くなる、給付は薄くなるから、両方調整しようということで税金を入れるわけでしょう。しかし、税金も国民全体の負担です。給付を受ける方が多くなれば国民の負担が減るかといったら、そうじゃない。保険料増やさなきゃならないから。どれが立ったって、だれかがどっかで負担している。これはもう年金だけじゃありません。医療も介護も同じです。

 そういう点をやっぱり総合的に考えなきゃいけない問題だと思っています。

小池晃君

 総理の議論はいつも、もう負担を国民にどうやって押し付けるかという議論しかないんですよ。そうじゃなくて、財源があるでしょうと、国庫負担の引上げをやるべきですと言っているわけです。

 で、基礎年金国庫負担引上げの財源ね、与党は増税で賄うと言っていますが、これはとんでもないと。当面の国庫負担二分の一の引上げはやはり税金の使い方の見直しでやるべきだと。私どもの提案は道路特定財源の一般財源化なんです。

 そもそも、小泉総理は道路特定財源の一般財源化を主張されていましたよね。そして、〇二年度予算では、その一部を一般財源化したと、だれにもできなかったことを実現したと豪語した。ところが、その翌年から全くやっていないじゃありませんか。なぜこの主張を捨て去ったのか。

内閣総理大臣(小泉純一郎君)

 全然捨て去っていませんよ。

小池晃君

 捨て去っているでしょう。

内閣総理大臣(小泉純一郎君)

 道路財源は、一般財源化も含めて道路だけに使うということはいかがなものかと。

小池晃君

 そんなこと言っていないですよ。

内閣総理大臣(小泉純一郎君)

 だから見直すのはいいと。しかし、この道路財源は、期限が来た段階において、もし道路財源を一般財源化するんだったらばガソリン税というのを廃止しなきゃいけない、自動車税どうするかという問題もあるからよく検討しましょうということを言っているんです。

 道路財源を一般にしたらどうするんですか、一般財源。今、道路、ガソリン税払っている人、全部これを年金にやれと言うんですか。これは怒りますよ、自動車使っている人、ガソリン使っている人。だから特定財源なんですよ。そういう難しい問題があるんです。もし道路財源が一般財源化するというんだったら、直ちに、ガソリン税なくした場合には、じゃもっと自動車税を軽くしてくれという声が出ますよ、共産党がそういう主張をするのは勝手ですけれども。国庫負担をしろと。どうやってこの、税金でやれ税金でやれと言うけれども、国債増発も反対、どこの税金増税させるんですか。

小池晃君

 ごまかしていますよ。

内閣総理大臣(小泉純一郎君)

 だから、そういうことも言ってもらわないと、片っ方だけ給付給付と言ったって、これは通じませんよ。

小池晃君

 総理は一般財源化を明らかに主張していたんですよ。

 それから、言っておきますけれども、我々、年金目的税にしろと言っているんじゃないんです、一般財源にしろと言っているんです。そして、税率を変えたからといって、これは、一般財源にしたら税率下げよって法律には書いていないんですよ、これ別の法律ですから。石油連盟のアンケートでも、五割の人が特定財源の見直しを言っていて、税率の引下げを言っている人より多いんです。これが世論なんですよ。総理は明らかにこれ、一般財源化ということを主張されていますよ。

 そもそも、これ、昭和二十八年に田中角栄氏が作ったと、議員立法で。そのときは道路舗装率三〇%だった。今九六%ですよ、簡易舗装を含めて。道路密度は、イギリス、ドイツ、フランス、イタリアの二倍から三倍だと。国土が二十五倍あるアメリカと日本の道路予算は同じだと。こんな特定財源要らないじゃありませんか。

 こういう例は世界だってないわけですから、この道路特定財源、国の分だけで三兆四千億ある。これを暮らしを支えるために使ったって別にいいじゃないかと、そういうことを総理もかつては主張していた。一般財源化とはっきり言っていた。なぜその主張を捨て去ったのか、お答えいただきたい。

内閣総理大臣(小泉純一郎君)

 先ほども言ったでしょう、一般財源化、見直すのはいいと。

 しかし、今廃止した場合に、それじゃガソリン税どうなるのかという問題が直ちに出てくる。これは、ガソリン税払っている人は一般財源に繰り入れられたら怒りますよ。

小池晃君

 そんなことは、アンケートでそうは言っていないって。

内閣総理大臣(小泉純一郎君)

 そういう点も含めて……

小池晃君

 今答えたでしょう。

内閣総理大臣(小泉純一郎君)

 一般財源化できる方法があれば、それは協議するのはやぶさかじゃない。見直し大いに結構。だから今回も使い道を道路だけじゃなく広げたでしょう。こういう点も今後よく議論してもらいたい。私は、こういう点において、一般財源化ということについて大いにこれからも見直ししていくことに対しては賛成ですから、議論をする中で、十分審議の中で進めていきたいと。

 ただし、今の特定財源というものに対しては、特定のために取られているから払っている人がいるということも考えなきゃいけない。これ一般財源化したら、直ちに減税してくれという要求が出ます。ほかの財源に使うなという要求が出てきます。そういう点も考慮しなきゃ駄目だと。だから、私は一般財源化するという議論については大いに結構です。

小池晃君

 結局、改革改革なんと言っているけれども、道路特定財源の一般財源化と言いながら口先だけですよ。そして、一方で年金改革は国民への痛みを押し付けるだけじゃありませんか。一体どこが改革なのかと。

 しかも、メスを入れるべきところ、ほかにもあるでしょう。グリーンピアの問題この間やってきましたけれども、これ四千億円掛金投じて処分を決めたようだが、それで済むのか。(資料提示)

 これ、グリーンピア計画が打ち出されてから、この期間の歴代の厚生大臣、その地元に建設されたグリーンピアの一覧であります。十三か所のグリーンピアのうち七か所がこの期間の厚生大臣の地元で作られている。このほかにも、厚生省年金局長が衆議院選挙に立候補した。宮城県の岩沼市にも作った。偶然にしてはでき過ぎているんですよ。

 小泉総理、こうした実態どう見るのか。私は、これは処分したからといって済む話じゃない、自民党の政治家の責任も含めて徹底究明する必要があると思いますが、いかがですか。

内閣総理大臣(小泉純一郎君)

 私は、このグリーンピア問題も厚生年金福祉事業団の問題も、厚生大臣在任中に、必要ないから廃止しろと率先して言った議員の一人であります。問題点は認識しております。だからこそ構造改革が必要だということでやっております。

小池晃君

 そんな四千億円もの掛金作って箱物造って、批判を浴びると慌てて二束三文で売り渡すと、売り払うと。これで責任取ったことになるんですかと私は言っているんですよ。こういう事実があるわけですよ。厚生大臣の地元になぜか多数、半分ぐらいは造られていると。

 総理は口を開けば、民間民間とおっしゃいますよ。もしこれが民間だったらどういうことになるか。これだけの焦げ付き、損失を作ったらば、これは株主代表訴訟で訴えられますよ。ところが、年金では官僚も政治家もだれも責任取っていない。謝罪した者すらいないんだ。

 総理ね、これ造るのやめたと、売り払うと、そんなことで国民が納得すると思いますか。それで責任取ったことになるんですか。私は全然それでは駄目だと思いますが、いかがですか。

内閣総理大臣(小泉純一郎君)

 これは国民一般から見れば釈然としない問題だと思います。しかし、国会決議されているんですね。

小池晃君

 そんなのいいよ。

内閣総理大臣(小泉純一郎君)

 地元は、こういう施設を造ってくれるということに対しては地方の自治体も住民も歓迎するんです。だから、国会の中では委員会で各党が附帯決議でこういうの造れ造れと、国会でも決議してきたんです。ここが政治の難しいところなんです。政治の追求というのは。

 しかし、こういう時代じゃないということで、私がこれ廃止を言明したときにみんな反対しましたよ。しかし、ようやくだんだんみんな分かってきてくれた。これどこの負担があるんだ、これは進めていけばますます負担が増える、撤退すれば損する、非常に難しい問題なんです。しかし、これもまた負担が増えるよりも、安く売っても早く廃止しちゃう。民間、だから、任せることは民間に任せて、地方自治体でできることは地方にやらせて、さもなければ売り払った方がいい。撤退というのは難しいんです、損が出るから。損が出ないためにこのまま続けていったらもっと負担が増えます。そういう問題なんです。

小池晃君

 答えてないんです。私は、この問題でだれも謝罪すらしていない、責任をだれも取っていない、これでいいのかと。国民、納得するのか。売り払ったらそれで済むのかと言っているんです。答えていただきたい。

内閣総理大臣(小泉純一郎君)

 しかし、このままで済むより売り払うべきものは売り払った方が将来の負担は少なくなる。そして、廃止、合理化に進んで、今特殊法人改革もしているし、これからの財投の改革も、民間でできることは民間ということで郵政の民営化も始まる。道路公団も、民営化できるわけないというのが、実は法案になって進んできた。こういう、民にできることは民に。

 そして、共産党はこれとは全く逆ですから、できるだけ役所がやれという立場ということは分かっておりますけれども……

小池晃君

 そんなこと言っていないですよ。

内閣総理大臣(小泉純一郎君)

 そういう点については共産党と立場は違いますけれども、私はこのグリーンピア等の改革は必要だと思います。たとえ安く売り払っても、このまま突っ込んでいけばもっと負担が増えますから、早いところで撤退すべきだと思っております。

小池晃君

 共産党はこんなもの造れなんて一言も言ったことない。とんでもないこと言わないでほしい。年金マネーを食い物にしてきた官僚と政治家の責任、重大ですよ。徹底解明必要だと。

 委員長、歴代厚生大臣、中でもこの疑惑ある田中正巳氏、それから増岡博之氏については参考人招致を求めます。

委員長(片山虎之助君)

 理事会でよく協議いたします。

小池晃君

 雇用問題についてお聞きをしたいと思うんです。(資料提示)

 これ、最近の求人の実態ですけれども、これを見ますと、昨年十二月の厚労省の調査では、求人全体のうち派遣が五%、請負が二八%もあると。これ、各地の職安の実態なんですけれども、大阪梅田の安定所では五割超えているわけです。それから、横浜職安の調査では、製造業の求人の六割以上が請負であります。

 請負というのはどういうものかというと、メーカーなどの製造ラインや営業を一括して労働者を送り込むわけですね。ある雑誌によれば、リコーの御殿場事業所では製造部門七百名のうち四百名が請負だと。富士ゼロックスの海老名事業所は生産ラインはすべて請負だと。NEC 米沢工場では、生産要員百四十人のうち半数が請負だと。ソニーの生産子会社、ソニーイーエムシーエス、社員一万三千人とほぼ同数の請負社員が働いている。このように、日本の大手の電機や自動車などの工場は今や多くが業務請負。請負業界は急成長していて、規模は一万社、百万人と言われている。

 総理は、昨年十一月二十六日の経済財政諮問会議でこう言っているんですね。若者の雇用は足りなくなるはず、それなのになぜ失業率が高いのか、やる気がないのか、能力がないのか、両方あるかもしれないけれどもと、こう言っている。しかし、求人の実態というのは今正に三割、四割は非正規雇用なんですよ。こういう実態があるわけです。条件が合わずに仕事に就けないという若者が出るのも、私、不思議はない。それでも総理は、これは若者のやる気や能力の問題だというふうにおっしゃるんですか。総理。

内閣総理大臣(小泉純一郎君)

 やる気のない面も能力のない面もあるでしょう。だからこそミスマッチ。この求人があるんだけれどもその就職の糸口が見付からない人に研修なり訓練が必要だと言っているわけであります。まずやる気を起こしてもらわなきゃいかぬと。そして、新しい求人に自分の能力が合わないんだったら、その能力を身に付けるために研修なり訓練が大事だと、そういう点を今、厚労省も真剣に考えて、若者の雇用、自立に対して積極的な今対策を練っているところであります。

小池晃君

 全く実態御存じない。本当にとんでもない今の発言だと思いますよ。派遣や請負の労働者の実態どうなっているか。どこで働かされるのかも、どんな働き方するのも分からない。

 私が聞いた話では、若者は四年間で八か所の職場転々したという若者に話聞きました。青森で働いていたのを、明日から佐賀へ行ってくれと言われたという話も聞きました。労働条件も劣悪であります。あるチラシでは、稼げます、月収二十万円以上となっているんですが、これ、小さい字で稼働二十一日、残業六十時間、休日出勤と。そして、社会保障の加入はこれ一割以下なんです、こういう請負、派遣。若い労働者を過酷な条件で働かせて、言わばピンはねをするようなやり方が日本じゅうでこれまかり通っている。そして、日本の名立たる大企業がこういう労働者を今製造業では多数使っているわけですよ。総務省の就業構造基本調査では、この五年間に正規雇用は約四百万人減っている。その一方で、派遣、契約、嘱託、パート、アルバイトが約三百七十万人増えていると。正に四百万人ぐらいの雇用が正規雇用から非正規雇用に置き換わっていると。

 総理、今こういう請負や派遣というのが日本の製造業の主流になってきている、求人の大半を占めている、これを異常なことだというふうに総理は思われませんか。私は、二十一世紀を担う日本の若者をこういう細切れのピンはねのようなやり方で働かせることが今や求人の主流になっている、私はこんなことを許してはいけないと、こんな労働の切り売りを絶対許してはいけない、そう考えますが、総理、いかがですか。

内閣総理大臣(小泉純一郎君)

 ピンはねとかそういうのはちょっと言い過ぎだと思いますけれども、労働条件の改善は今後よく心しなきゃいけないと思っております。また、正規社員が減って派遣社員が増えているというのも、これは一つの時代の変化の現われだと思います。一概に悪いとは言えませんが、労働条件の改善については今後十分配慮しなければならないと私は思っております。

 詳しいことは厚労大臣。

国務大臣(坂口力君)

 その中で派遣と請負とはかなり違いますね。派遣は派遣業法としてきちっと位置付けたわけでありますから、派遣で、これはもう上限三年になっているわけでありますので、その三年を経過するような人たちは、それはもうそこで本採用にしてくださいよということになっているわけでありますから、一つのそれは道筋の人もあるわけなんです。

 で、請負の方は、これは一つの企業としてそこで、そこに働いているわけでありますから、その現場でその人たちが本当にその企業の社長なり上司から命令を受けて仕事をするということでなければならない。もしも仮にそこ、その人たちが派遣業のようにその行き先の工場のそこの工場長だとかそういう人たちの命令を受けてやっているということになれば、これは疑似派遣でありまして、本当の請負ではないということでありますから、そこは明確に区別をしていかなければいけないと。私たちもそこは取り締まっていかなければならないと思っております。

小池晃君

 自然に増えてきたんじゃないんです。この間、法改正を繰り返して規制緩和をどんどんどんどん進めてきて、そしてこういう非正規雇用を大きな流れに政府が作ってきたんですよ。それがこういう結果になっている。そして、契約が終われば正規に雇用されるなんてとんでもない話だ。そんなの本当にごく一握りの人で、ほとんどの人は使い捨てになっているんですよ。それが実態なんです。

 こういう労働を日本の若者の中にはびこらせていいのかと。私、これ、二十一世紀の日本の根本問題だと。しかも、今いろいろおっしゃいましたけれども、今主流になりつつある業務請負について監督責任持っている大臣いますか。いたら手を挙げてください。これ、いないんですよ。これね、この業務請負というのは、どこも監督官庁ないんです、法律もないんです。間違いないですね。こういう実態なんですよ。これが今の実態なんです。日本の若者がこれだけ主流になっている働き場所をだれも大臣が監督責任持っていないという実態あるわけです。こんなに激増している中で監督官庁もない、規制する法律もない、労働条件の過酷さから過労死事件まで起きている、職業能力を高めることもできない。私は、こんなことしていたら本当に日本の経済にとってだってこれはマイナスになると、日本の社会の基盤を本当に揺るがすことだと。

 総理、お聞きします。監督大臣いませんから総理に答えていただくしかないんです。こういう問題について、全く野放しになっている、監督官庁もない、規制する法律もない、こんなことで総理いいと思いますか。いかがですか。総理に答えていただきたい。総理。監督大臣じゃないんだから、総理に答えていただきたい。

国務大臣(坂口力君)

 請負というのは一つの企業でありますから、企業であります限りそこで人を雇っておれば、それは労働基準法の適用になりますし、それは法律もすべてかかってきますよ。だから、そういう法律を守っていただくということでありまして、そういう意味では厚生労働省関係するわけですね。ですから、その皆さん方が企業の、他の企業の中で働いているときに、そこの企業のいわゆる工場長なりなんなりの指揮命令下に入っているということになれば、それは問題だということを申し上げているわけでありまして、自主的におやりをいただいている以上、それは一つの労働形態でありますから、私はそれはいいんではないかと思います。

小池晃君

 ちょっと大臣、総理、答えてくださいよ。監督官庁じゃない。総理、総理、答えてくださいよ。

 私言ったように、今答えたけれども、監督官庁じゃないんですよ。これは、請負業というのは業として規制する法律もないんです。こういう実態でいいんですかと。一般的な労働者というのじゃなくて、これだけ百万人の労働者が働いている業界が全く何の規制もない、野放しになっている、これが実態なんです。そのことについてどうなのかと一点お聞きしているんです。

内閣総理大臣(小泉純一郎君)

 これは監督官庁とかどうかということについては今答弁は差し控えますが、この派遣社員の問題についてはもっと規制を緩和してくれという声も強いんです。共産党は規制緩和、これに対して非常に抵抗が強いようですが、一年ではなくて今回三年に延ばしたでしょう。あるいは派遣社員の規制を改革することによって更に雇用が増えるということもあります。だから、今後、今言った問題についてはそれぞれ厚労省あるいは他の官庁等、今の意見を踏まえてどういう対応が必要かということについては検討していくべきじゃないかなと思っております。

委員長(片山虎之助君)

 小池君、ちょっと、時間来ているから簡単に。

小池晃君

 EU ではその派遣に対する指令案が提案されています。派遣先労働者との均等待遇原則が明記されている。一方では、日本ではこういう労働者に対する規制は本当にルールがないんです。これは日本社会の二十一世紀にとって非常に重大な問題だということを申し上げて、私、質問を終わります。

委員長(片山虎之助君)

 以上で小池晃君の質疑は終了いたしました。(拍手)

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