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161 臨時国会 参議院厚生労働委員会 質問

2004年11月25日(木)

  • 乳幼児医療費の無料化/国の制度として実施を/小池議員が要求(関連記事

小池晃君

 日本共産党の小池晃です。

 児童福祉法の審議なんですが、その前に一問だけ、ちょっと急ぐ問題なので、新潟中越地震の復興の問題について聞きたいと思うんです。

 震災という事態の下で雇用状況が悪化していて、新潟労働局によると、解雇された労働者が五十社四百二十人ということなんですね。先日、私、問題にしました緊急地域雇用特別交付金、これが中小企業枠というのが実はありまして、これが非常に使いにくい制度だということで前から問題があったと。ところが、聞いてみると、これは新潟県では二億円以上使っていない分が残っているというわけなんですよ。

 そもそも最初から、非常に要件が厳しくて制約があるということについては意見も出ていた制度だと思うんですが、私はこういう災害時こそこういうのは大いに活用すべきではないかというふうに思っていまして、やはり緊急にこの中小企業枠というのを取り払って、残っている分はこれは広くやはり復興支援に使うということをやるべきじゃないかと考えるんですが、職安局長、いかがでしょうか。

政府参考人(青木功君)

 新潟県における緊急地域雇用創出特別交付金の活用についてのお話でございますけれども、御案内のように、今回の震災に絡みまして、新潟県あるいは関係市町村におきまして既にこの交付金を最大限に活用するということで、今先生お触れになった部分以外の通常の交付金につきまして、既に執行予定の部分を見直すなどして被災者の方々の仕事、そして被災地域の復興ということで活用をしようとされているということを伺っております。

 また、いわゆる中小企業枠の関係でございますが、こういったもの、現地からの要望、要請があった場合に変更するという仕組みになっておりまして、実を申しますと、今のところ正式な御要望はいただいておりません。御要望をいただきますれば、具体的な状況等もお伺いして対応を検討してまいりたいというふうに考えております。

小池晃君

 まあ新潟県の方ではそういう希望もあるやに聞いていますので、やはりこれはやっていただきたいのと、災害は新潟だけじゃないので、かなり全国的にもこれは残っているわけですから、やはりこれを使い切るようなやはり知恵を出すことを是非大臣にも私は求めておきたいというふうに思います。

 職案局長、これで結構です。ありがとうございました。

 児童福祉法の問題ですが、厚生労働省が今年二月に発表した調査でも、この死亡事例七割は関係機関が救済する機会があったというふうに述べているわけで、対策の強化は国の責任だと思うんです。

 ところが、児童相談所で虐待問題担当している児童福祉司の人数がこれ自治体によってかなりばらつきがあって、国の配置基準に満たない自治体が六割占めていると。午前中も御議論ありましたけれども、こういう状況の下で児童虐待関連の補助金を廃止して一般財源化するということになりますと地方間の格差はかなり広がってしまうということを私は懸念するんですが、大臣の見解をお聞かせいただきたい。

国務大臣(尾辻秀久君)

 児童虐待を含めまして、少子化対策というのは、これはもう国の基本政策でございます。強力に推進していかなければならない、そう考えております。ですから、これも再三申し上げておりますけれども、新エンゼルプランに代わる新しいエンゼルプランを作って、こうしたものも、こうした少子化対策を更に進めていこうと、こう考えておるところでございます。

 そうしたときに、そういうときに、こうしたものを地方にゆだねてしまいますと、これは今国が国を挙げて進めようとしておる少子化対策の推進に支障が生ずる、これは大いに懸念されるところでございます。更に申し上げますと、児童虐待防止対策などというのは、これも委員各位お述べいただいておりますように、子供の命の安全にかかわる問題でありまして、地方公共団体の差による対策の不足などが決して許されない分野でございます。今委員もお述べいただきましたけれども、自治体間の取組の格差も大きいところでございまして、こうした問題があるというふうに考えております。

 そこで、十月の二十八日でございましたけれども、私どもは地方六団体の提案に対する厚生労働省意見を内閣官房に提出をいたしました。その中では、引き続き国が積極的に関与しながら、国、地方挙げて施策を推進していく必要があるものとして、こうした少子化でありますとか、その中に含まれます児童虐待対策など、これらの関係補助金は維持すべきものとして意見を提出したところでございます。

小池晃君

 私もその点では全く意見を同じにしますので、是非、廃止すべき補助金というのはひも付きの大型公共事業など、そういったものはあると思うんですが、こういうものはやはり廃止すべきじゃないというふうに考えております。

 さらに、改正案で市町村が担う役割が明記されて、これは身近な機関で相談に乗れるということはこれは良いことだと思うんです。ただ、実態はどうなのかと。

 これ、既に市が窓口を設置している横須賀市の話聞いたんですが、ここは〇二年度から子ども虐待予防相談センター事業というのをやっているんですね。常勤三人、非常勤二人で、合わせて五人で日常的に相談に乗っているそうなんです。窓口開いたらば、〇二年度は七百十一件、〇三年度は千三百十九件、物すごい数の相談が寄せられていて、これ本当大変だと思うんですね。いろんな相談が寄せられていて、母親やあるいは保育園関係者からのものが多いらしいんですが、子供がかわいいと思えないとか、ついいらいらして罵倒してしまうんだという悩みが寄せられたり、あるいは結構深刻な、たばこを押し付けられた跡があるとか、ネグレクトで食事を与えられていないようだというような通報まで来ていると。窓口広がったために日常的に声は拾えるようになったんですが、一方で、かなり深刻な虐待問題となると、やはりこの相談センターで対応するのは困難だということで結局児童相談所に回しているということなんです。

 局長にお伺いしたいんですが、窓口増えるのは重要なことなんですが、やはりこの専門性を持った職員を増やすということが非常に大事で、財政的支援もしっかりする必要があると。その点、どのような対策を考えていらっしゃるんでしょうか。

政府参考人(伍藤忠春君)

 各市町村における体制整備ということで、これも再三御質問いただいておりますが、児童相談所が各市町村を支援するモデル事業というものを今年度から始めておりますし、こういった中で、こういったその事業を通じていろいろノウハウを蓄積していきたいというふうに思っておりますし、それから保健師、これはずっと、ここ数年随分増員を図ってきておりますが、こういったものも含めて、さらに来年度から市町村がこの事務を担当するということも含めて、今いろいろな交付税の要望を総務省に行っておるところであります。

 それから、具体的な児童相談所との連携の在り方とかそういう市町村の事務の処理の在り方、こういう問題についても大変難しいところでありますが、これはできるだけ、ガイドラインといいますか、そういう中で詳細なものをできるだけ明示をしていきたいというふうなことを考えております。

小池晃君

 やはりその必要な人員がしっかり確保されるようにしないと絵にかいたもちになってしまいますので、保健師というだけにとどまらず、やはり専門家の配置ということを検討していくべきだと私は思います。

 それから、今年度から養育困難な家庭に対して育児支援家庭訪問事業、育児や家事の援助とか技術指導を図るということで始まって、二十億円付けて九百五十七市町村対象という計画だったんですが、まず実績をお伺いします。

政府参考人(伍藤忠春君)

 本年の六月時点で各自治体の取組を調査いたしたところでは、当初予算で本年度から事業を開始するというところが百二十五市町村ということになっておりまして、私どもが予算に計上した九百五十七市町村に比べますと、約一三%ということで、非常にまだ低調なところでございます。

できるだけ、今後の補正予算等で対応するところもありますので、そこはまだ把握できておりませんが、当初予算の状況はそんな状況になっております。
小池晃君

 大臣、私、これなかなかいい事業だと思っているんですよ。ただ、一三%しか進んでいないという事態なんですね。これ進まない背景には、やはり訪問して虐待防止ということだと、かなりやっぱりノウハウも必要になってくるという、そういったノウハウが市町村にはない、そういう問題も指摘されておりますし、最大の問題としてはやっぱり財政の裏付けが不十分で、国が二分の一補助で半額自治体費用負担と。

今の自治体の財政状態の下でなかなか進まないというのがネックになっていると聞いているんですね。

 私は、この点、補助金の増額なんかも含めていろんな形あり得ると思うんですが、やっぱり市町村の事業が、これ一三%ですから、何とかちょっと後押しするような工夫がないものかと思うんですが、いかがでしょう。

国務大臣(尾辻秀久君)

 地方自治体の取組が当初の計上より伸び悩んでおりますことは今お答えしたとおりでございます。

 そして、その理由を大きく二つお挙げになったと思います。一つは、お話しのように、自治体が財政難の中で本事業の意義に対する理解が必ずしも十分に理解されていないというようなこともありましょうし、人材の確保に時間を要しておるというようなこともある。これらの、一方からの大きく一つ挙げられたような理由があると思います。

 もう一つは、国庫補助率のことを御指摘なさいました。ただ、本事業の国庫補助率は二分の一でございまして、他の市町村向け補助事業に比べても決して低くございません。したがいまして、国と地方の役割分担を踏まえますと、今直ちにこの二分の一を引き上げるというのは困難でありますとお答えせざるを得ません。

小池晃君

 その仕組みとして困難であるというのは、それは難しいことだろうということは分かるんですが、やっぱり一三%ですから、何かちょっとここは考えないといけないんじゃないかということとして是非受け止めていただきたいと思います。

 さらに、児童福祉施設の年齢要件の見直しにかかわって、児童福祉施設と乳児院はそれぞれ別個の配置基準持っていて、児童養護施設は三歳未満児の児童二人に対して職員一人、一方で乳児院は二歳未満児一・七人に対して職員一人。今回の改正で児童養護施設に一歳未満児が入ってくる。若干相互乗り入れがある場合、それに見合った職員の配置が必要となってくると思うんですが、その点どのような措置を取られるのか、局長にお伺いします。

政府参考人(伍藤忠春君)

 今回の改正は、いろんな施設の類型があるわけでありますが、これを施設ごとに、乳児院に入ってそれからまた児童養護施設に途中で移るということが必ずしも適当でない場合がありますので、乳児院に滞在できる時間も長くすると同時に、児童養護施設に最初から、乳児の時期から入るということも可能なようにしようというものでございまして、ケアの連続性ということからこういう改正を提案しているものでございます。

 したがいまして、児童養護施設、乳児がたくさん入ってくるということは余り想定しておりませんので、あくまで例外的な対応ということになろうかと思いますので、このためだけの特別の人員配置とか、そういうことまでは考えておりません。

小池晃君

 ただ、格差が生まれるとこれはまずいことですから、やはりそういう場合、一定のやはり加配というのが必要になってくるというふうに思うんですが、その点いかがですか。

政府参考人(伍藤忠春君)

 加配をする、人員を一人余計に配置をするところまでの手間暇が掛かるほど、たくさんの子供、乳児を一つの児童養護施設が預かるということも当面現実的にはなかろうかと思いますし、むしろ児童養護施設の今の現員の中でこういう乳児を預かれるようなノウハウ、授乳とかおむつの交換とか、それからそういった適切な養育が行われるような、そういったもののケアの確保ということから、できるだけ適切な指導とかそういうものに努めていきたいというふうに思っております。

小池晃君

 それではちょっと不十分ではないかと思いますが、そのことを指摘して次に行きますが。

 設置基準自体が、職員配置基準は一九七六年ですよね。神奈川県の話聞きますと、児童養護施設の入所児童が虐待を受けているケースが六割から七割だというんですね。かなりやっぱり状況は変化してきていると。ところが、その職員の配置基準は就学児六人に対して職員一人と、そういう仕組みのままになって、個別処遇が必要で一対一で接すれば落ち着くような子供が問題行動を起こしてしまうという例もあるそうです。私はやはり、児童虐待増加して処遇困難な児童が増えているわけですから、旧来の設置基準だけでは対応できないというふうに思うんですね。この点、今後、大きな方向性で結構ですけれどもやはり見直していくということ、必要性あると思うんですが、大臣に御見解をお聞きします。

国務大臣(尾辻秀久君)

 これはもう先ほど来御指摘をいただいておるところでございます。

 改めて申し上げますけれども、虐待を受けて入所する児童が増加をしておりますので、十六年度予算におきましても最低基準に上乗せする形で全施設について家庭支援専門相談員、ファミリーソーシャルワーカーでございますが、の配置だとか、あるいは被虐待児個別対応職員の配置、さらにまた心理療法担当職員等を確保するための被虐待児受入れ加算の創設、こういったようなことを行いまして実質的な改善は図ったところでございます。しかし、当然十分だと考えておるわけじゃございませんので、引き続き入所児童のケアの充実には努めてまいりたいと考えます。

小池晃君

 まあ施設自体が六〇年代から七〇年代に建てられたもので、大部屋中心で定員に空きがあっても男の子の部屋には女の子入れないとかいろんな問題がある。あるいは個別処遇が必要なのに大部屋では対処できないとかという問題もある。私はやはり、時代に見合った施設の小規模化、あるいは職員配置の基準の見直しということをこれはやっていく必要があると思いますので、是非進めていただきたいと思います。

 引き続いて、小慢事業の見直しについてお聞きしたいんですが、これは本当に病気に苦しむ子供と家族を支える大事な制度でした。充実改善が強く求められてまいりました。

 今回、法制化によって、対象疾患の追加、あるいはすべての疾患について通院へ対象を拡大すること、二十歳までの年齢延長などの前進が盛り込まれているし、新たに日常生活用具支給などの福祉サービスも実現していると。私、今後もこれは一層発展させていくと、次世代育成支援の一環ですから発展させていく必要性あると思うんですが、まず最初に大臣の基本的な認識をお伺いします。

国務大臣(尾辻秀久君)

 この制度は創設以来四半世紀がたちまして事業を取り巻く状況も大きく変化をいたしておりますので、各方面の御論議をいただいて、今回の改正におきまして児童福祉法に位置付けるということをいたしたわけでございます。今お話しのとおりでございますから、今後また更に制度の改善、重点化は努めてまいらなきゃならないと考えております。

小池晃君

 そこでお聞きしたいんですが、今年度予算では三十一億七千万円増額になっているんですね。自己負担増とか除外疾患がありますのでマイナスの部分もあるはずです。一方で対象拡大でプラスの部分もあるはずなんで、マイナスの部分は一体どれだけなのか、プラスの部分どれだけなのか、金額や人数について示していただきたいと思うんですが。

政府参考人(伍藤忠春君)

 今回の制度の見直しのうち、まず急性の疾患を除外するということと、それから症状が軽度のものにつきましてはこれを除外するということで、対象を重症者に重点化するということを取り入れておりますが、これによる影響額が七億四千万円の減少というふうに考えております。

 それから、逆に、新しい医学的知見に基づく疾患の追加、それから通院に対する給付について、疾患にかかわらず十八歳到達後二十歳までの給付を可能にすると、こういうプラスの部分がございますが、これらによる影響額として二十九億八千万円、こういった増加を見込んでおります。

 それからさらに、自己負担を導入するということも考えておりますが、これによる影響額として十二億五千万円程度の減少というふうに考えておりまして、このほか現行制度分の自然増といいますか、いろんな形での増加というものが二十一億円程度あろうというふうに想定しておりまして、全体で前年度予算に比べて三十億九千万円、約三十一億円の増加というふうなことを考えております。それに、先ほど委員御指摘のありました福祉サービスを新たに始めると。これに約一億円程度要することになろうかというような、大体そんな概況でございます。

小池晃君

 対象除外で七億四千万というのは非常に何か大きい印象を受けるんですが、ちょっとどれほどのものが除外されるのかということについて、これ七億四千万というとかなりの部分除外されるんじゃないかというような印象も受けるんですけれども、今対象になっている人がどうなるのか辺りも含めてちょっとイメージをお話しいただければと思うんですが。

政府参考人(伍藤忠春君)

 これ、最終的にまだすっかり固まった段階ではございませんが、大体七億四千万円の対象除外分ということで申し上げましたが、人数にして大体約三万人程度が対象除外ということではないかと。逆に、対象拡大分として三万数千人程度の拡大になるんではなかろうかと、こう大体あらあらそんなことを想定しております。

小池晃君

 これはどういう人が対象になってしまうんでしょうか。そのごく限られた重症患者、何というか、症状について言えばやはりある程度の症状の人というのも除かれてしまうのか、それとも、その辺の程度というのはどのようにお考えなのかを教えていただきたい。

政府参考人(伍藤忠春君)

 今回の基本的な考えでございますこの対象疾患の追加、除外ということで、基本的に、急性の経過をたどるものあるいは症状が軽微な疾患、こういったものについては今回は除外をさせていただくということでございまして、定性的な表現で言えば、急性疾患、急性の経過をたどると、それから、全体としてその症状が軽微なものと、こういうものを除外するというふうに考えております。

小池晃君

 ごく限られた重症患者というだけじゃなくて、やはり継続的に経過観察とか通院検査が必要な患者というのは、これはやっぱり当然対象になっていくと思うんですが、その点はいかがですか。

政府参考人(伍藤忠春君)

 経過観察というものをどこまで取り入れるかあれですが、そのそれぞれの疾患ごとに、先ほど言った、言いました重症度と、重症度の、重症の患者にある程度この事業を特化していくと、こういうことで制度の安定的な運営を図ろうということでありまして、そこは、先生、専門家の先生方の意見を聞きながら個別疾病ごとに重症度基準というものを定めようと考えておりますので、経過を見る必要があるということだけでは必ずしも対象にならないんではないかと。ちょっと、そこは専門家の先生方に意見を聞きながら、具体的な基準を定める中で議論をしていただきたいというふうに思っております。

小池晃君

 三万人、七億円というのは非常に大きいと思うので、やはり必要な人が除外されるようなことは決してないように、そこは大変懸念をいたしますが、望みたいと思います。

 例えば、ぜんそくなんかは今まで入院だけだったんですが、今回通院まで対象になっている。ところが、検討されている基準聞くと、今専門家の意見という話だったんですが、一か月に大発作三回以上とかそんな基準も出されているようですけれども、ここまで重度にならなければ対象にならないのでは私は制度の存立の意義が問われると思うんですが、その点、やはりここまで重症にならないように安心して治療が受けられる制度として維持、発展させていくべきではないかと思いますが、いかがですか。

政府参考人(伍藤忠春君)

 この対象疾患ごとに、症状の重さ、それから治癒の見通し、治療に掛かる費用、こういう要素を総合的に勘案して重症度基準というものを定めようということにしておりますので、横並びといいますか、ほかの疾病との関係でどういった基準が適当であるか、それぞれのその疾患の特性を見ながら、なかなか判定が難しい、その認定が、基準というもの、なかなかその個別疾病ごとに特徴が違いますので難しい面もございますが、そういった要素を加味しながら、専門家の先生方の意見を最大限尊重して基準を作りたいと、こういうふうに考えております。

小池晃君

 大臣は趣旨説明で、次世代育成支援を推進するために次世代を担う子供が心身ともに健やかに育つための環境を整備するとおっしゃっているわけで、やっぱり今回の趣旨からいっても、今後はやはり定期的にこの基準とか対象疾患の見直しというのをやって、やっぱりその事業の一層の拡充を今後もやっていくべきだと思うんですが、その点はいかがでしょう。

国務大臣(尾辻秀久君)

 今後の見直しについてでございますが、まず、今度の本事業の見直し後の実施状況や、まずこれを見たいと思いますし、それからまた、最新の医学的知見なども踏まえなければなりません。そうしたことを踏まえつつ、さらに、実施主体となる自治体、医療にかかわる専門家や患者団体などの皆さんの関係者の御意見などを十分に伺いながら適切に対応してまいりたい、こういうふうに考えます。

小池晃君

 予算の確保について続いてお聞きしたいんですが、これ国二分の一、地方二分の一の事業なんですが、実際には国の予算が足りずに地方の超過負担出ているんですね。〇〇年度は交付率が九八・六%、〇一年度は九四・九%、〇二年度は九一・四%と。だんだんだんだん下がって、〇二年度は九億円も不足して、これ地方負担になっているんです。

 大臣に私お聞きしたいんですが、これ予算不足を生じさせないように十分に当初予算確保するということが必要だと思うんですが、その点での大臣の御決意をお伺いしたいと思います。

国務大臣(尾辻秀久君)

 この必要な予算確保というのは一番大事なことでございます。最善尽くして所要の予算額の確保に努めてまいりたいと考えます。

小池晃君

 それから、これはもう同僚議員からもいろんな角度で指摘があった問題なんですが、大臣には事前に患者会の方の訴えが届いているはずで、昨日もお渡ししましたけれども、これは一型糖尿病といって、インシュリンがなければもう生きていけない患者さんたちの団体からの訴えなんですね。二十歳までは今回制度の対象になるが、二十歳超えるともう全く医療費補助がないと。二十歳超えたら病気が変わるわけじゃなくて、二十歳過ぎても全く同じ病気なわけですから、やはり二十歳以上の患者に対しても医療費の補助をしてほしいという願いなんです。もう本当に切実な訴えだし、当然のことで、二十歳超えても病気は変わらない、同じように続くわけですから、やはりこういったものをしっかり継続してほしいというのは私、当然の声だというふうに思うんですね。

 その点、患者会の訴えも行っていると思うんですが、どうおこたえになるか、大臣にお聞きしたいと思います。

国務大臣(尾辻秀久君)

 これも先ほど来御指摘をいただいております。そのたびにお答えを申し上げておりますけれども、よく整理をして検討させていただきたい。大変お気の毒な状態にあることはこれは間違いのないところでありますから、いろんな制度をこの際ですから整理してみたいというふうに考えております。

小池晃君

 実際は、二十歳過ぎると、新たな問題として、病気があることで就職できないとか、そういう新たな問題実はあるわけですね。厚生省の委託研究でも、患者家族の行政に対する要望の一位は小慢事業の継続で、二番目は十八歳以降も対応してほしいという要望ですから、やはりしっかりこたえて検討すべきだと思います。

 それから、私どもはこの点についてはこの法案全体の中で異論を持っているところでありますけれども、自己負担の導入です。

 無理のない範囲といいながら、入院で月一万円、通院で月五千円程度。先ほども指摘ありましたけれども、実は表を見ると一万円超えているんですね。大体一万一千円ぐらいのところに最高の線があるような図が出されていて、月五千円といっても毎月毎月この通院必要なわけで、これで本当に無理のない範囲と言えるのかと。

 少子化対策基本法では、国、地方自治体が経済的負担の軽減を図るため必要な措置を講ずるというふうに定めておりますし、国連の子どもの権利条約では、到達可能な最高水準の健康を享受する権利があるんだと、いかなる児童もこのような保健サービスを利用する権利が奪われないことを確保するために努力するということがうたわれているんですね。

 私は、今回の見直しの中で、やはりこの自己負担の導入というのは、この少子化対策基本法あるいは国連の子どもの権利条約、この精神に反するものではないかという異論を持っているんですが、大臣、いかがでしょうか。

国務大臣(尾辻秀久君)

 このたび医療費の自己負担をお願いをいたしております。これは、私どもとしてはできるだけ全体的に無理のない範囲の負担を求めたつもりでございます。ただ、これについてはいろいろ御議論はあろうかと思います。

 ただ、一つだけ率直に申し上げさせていただきますと、この負担をお願いしたことが直ちに健康に関する児童の権利を規定した児童の権利条約の精神に反するということではないと私どもは考えております。

小池晃君

 いや、私は、この精神にと私申し上げましたけれども、反するものだと思います。

 財源の問題でいいますと、これは実は三月の当委員会で私、坂口大臣と議論させていただいたんですが、配付した資料にありますように、これは実は事業費の四割は内分泌疾患が占めておりまして、その大半は実は成長ホルモン製剤の値段なんですね。

 これ、厚労省の資料そのものを私持ってきた、中医協の資料なんですが、実際にはこの諸外国の値段と比べて約二倍で、この薬価を外国並みに引き下げれば二十億円の医療費が大体節減できると、これ前回、議論でそういう答弁があったんですよ。今回の自己負担の引上げ、さっきの議論にあったように二十億円ちょっとですから、まあ単純な話でいえば、これをやれば自己負担導入の必要性なくなるという、こういうふうにも言えるわけです。

 坂口大臣は、その議論の中で私に対して、倍というのは高過ぎると、もう少し努力しなきゃいけないと、格差是正に努めたいと答弁されたんですが、保険局長、その後どのような検討をされていますか。

政府参考人(水田邦雄君)

 お尋ねの成長ホルモン製剤の内外価格差の問題についてでございますけれども、中医協におきましては平成十六年の薬価改定の中で議論が行われたところでございます。そこでの議論としましては、まず、これは御存じのことかと思いますけれども、この製剤につきまして平成八年度の薬価改定で一三・二%の薬価の引下げが行われたということ、それからこの製剤の日本における市場規模が縮小しているということ、こういった議論が行われた結果といたしまして、結論として特別の新たな再算定ルールを設けることなく、他の医薬品と同様に市場実勢価格に基づく改定を行うこととされたところでございます。具体的に申し上げますと、この本年四月の薬価改定におきまして、銘柄ごとでございますけれども、一%から最大で二八%の引下げが行われたところでございます。

 いずれにしましても、薬価算定ルールにつきましては二年に一度の薬価改定時に見直しを行っているところでございまして、御指摘の内外価格差の問題も含めて、今後、中医協において更に検討を行うということでございます。

小池晃君

 ここで指摘した成長ホルモン製剤についての引下げはやっていないわけですよね。行われたわけですか、この該当製剤が。

政府参考人(水田邦雄君)

 この資料で掲げられましたものにつきましても引下げを行っております。

小池晃君

 二割程度ということであれば、まだまだ価格差というのは残っているわけで、私はやはりこの自己負担の導入ということに行く前にもっともっと検討すべきことがあると。やはりこの小児慢性、小慢事業の中でこの薬の占めている割合というのは物すごく大きいんですよね。だから、私はここのところにもっともっとメスを入れる必要があるというふうに考えるんですが、大臣、いかがでしょうか。

国務大臣(尾辻秀久君)

 確かに二倍というのは差が大き過ぎると思いますし、当然また次の改定の際に議論されることになると思いますが、私どもとしては薬価の適正化というのは求めていきたいと、こういうふうに考えます。

小池晃君

 最後に、この乳幼児全体の医療費をじゃどうするのかということについてお伺いをしたいんですが、乳幼児、六歳未満の医療費助成を国が実施した場合に必要な予算、これは今幾らということになるんでしょうか。局長、お願いします。

政府参考人(伍藤忠春君)

 仮に現在のこの乳幼児の医療保険の自己負担額を国が二分の一を負担すると、こういうふうな仮定で計算をいたしますと、三歳未満までで六百億円、六歳未満までで約千百五十億円と、こういうオーダーの数字になります。

小池晃君

 それから、更にお聞きしたいんですが、すべての自治体で医療費助成制度をやられているんですけれども、独自にその助成、特に現物給付やった場合は自治体に対するペナルティーがやられています。この金額について最近の状況を明らかにしていただきたいと思います。

政府参考人(水田邦雄君)

 先生御指摘のとおり、地方単独事業におきまして医療費の窓口における自己負担の減免を行っているという場合には一般的に医療費の増大が見られるということから、法定割合どおり徴収している市町村との間の不公平が生ずるということになるわけでございます。そのために、国庫負担金の公平な配分という観点から、法令に基づき国庫負担の調整を行っているところでございますが、その調整額は平成十四年度で約六十六億円でございます。

小池晃君

 これは二〇〇〇年度は四十九億円という答弁だったんですけれども、それが六十六億円ですから、まあ三割も増えているわけなんですね。まあ小児慢性の対策ももちろん必要なんですが、やはり子供全体の医療費を無料化してほしいという願いは、すべての自治体でこれ助成事業をやっているというところから、そこではっきり分かるように、やはり国の制度として実現するということが求められていると思うんですね。ところが、実際にやっていることは逆に、努力して現物給付やっているような自治体にはペナルティー六十六億円というのが実態なんですよね。

 やはり大臣に私はお伺いしたいんですが、小児難病も含めてですが、やはり子育て支援、少子化対策というのであれば、やはり国の事業として乳幼児医療費無料化ということを本当に検討すべき時期に来ているんではないかと。それと同時に、やはりこういうペナルティーというのはやはりやめるべきだというふうに思うんです。坂口大臣も、これは検討の一つだというようなこともおっしゃっているんで、是非、今後国としての検討課題の一つだという立場を示していただければと思うんですが、いかがでしょうか。

国務大臣(尾辻秀久君)

 是非御理解もいただきたいと思いますことは、本当に厳しい保険財政の中で、平成十四年の十月から三歳未満の乳幼児に対する医療費の一部負担を三割から二割に引き下げた、まあ引き上げたと言う方が正しいのかどうか分かりませんが、とにかく三割負担から二割負担にしたという、私どももいろいろ努力をしておるということは御理解いただきたいと思います。

 しかし、そうした中で、更に私どもが努力は続けていかなきゃならないわけでございますし、坂口大臣の答弁が、また検討の一つだというふうに言われたことはそのとおりでありますので、その答弁から後退しないように私も努力をしてまいりたいと、こういうふうに考えます。

小池晃君

 難病を抱える患者さん、子供たちも親御さんも特別な本当に苦難を背負っているだけじゃなくて、やはり乳幼児医療費全体について、本当に少子化対策ということであれば、そこに踏み込む検討を本格的にしていく時期に来ているというふうに思いますので、是非引き続き前向きの努力を求めたいというふうに思っています。

 以上で終わります。

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