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161 臨時国会 参議院厚生労働委員会 質問

2004年11月30日(火)

  • 「今後の検討課題」と厚労大臣/特養入所者への減免「経過措置」/小池議員の追及に(関連記事

小池晃君

 日本共産党の小池晃です。

 育児休業法の質疑をさせていただきますが、衆議院の方では有期雇用の問題などを中心に質問をさせていただきましたので、別の角度からこちらではやりたいと思います。

 ちょっと私事なんですが、私、育児休業すごく大事だと思っていまして、というのは、今ちょうど子供が来週一歳になるので、妻が今育児休業を取得しておりまして、もう本当に切実に大事な制度だというふうに思っているんです。ただ、やはり中身はいろいろともっともっと改善しなければいけない点があるというふうに思いますので、今回のは第一歩だということは、先ほどもお話ありましたけれども、第二歩、第三歩を中心に今日はちょっとお聞きをしたいというふうに思っております。

 まず、取得状況なんですけれども、厚生労働省が二〇〇二年度に従業員五人以上規模の事業所に対して行った調査、先ほどから話題になっている六四%、男性は〇・三三%で、男性はもう本当に余りにも低過ぎるわけですが、この数字が実態に合わないのではないかということが指摘をされております。

 先ほども指摘ありましたが、厚生労働省が三月十七日に発表した出生前後の就業変化に関する統計、ここでは出産を前後して仕事を辞めた女性の割合、それから産休、育休を取得して仕事を続けた女性の割合はどれだけだというふうに発表をしていらっしゃいますか。

政府参考人(伍藤忠春君)

 出生前後の就業変化に関する統計でございますが、これによりますと、第一子の出生を機に離職した者の割合は六一・一%ということになっておりまして、出産前に離職した者が五二・五%、出産後が八・六%、合わせて六一・一%ということでございます。それから、出産前後とも働いている者が二三%、それから出産の際に離職したがその後復職、再就職した者が一三%と、こういう数字になっております。

小池晃君

 つまり、出産を契機に六割の人が仕事を辞めて、仕事を続けた女性二三%のうち育児休業を取得した女性が六四%ということになるわけですから、結局育児休業制度を利用した女性は出産前に仕事をしていた人を分母とするとまあ二割、あるいは一割強ということになるわけで、非常に少ない。制度があっても使えなければこれは意味がないのであって、どうしたら本当に取得をして働き続けられる制度にできるのかということが本当に大事なテーマだろうというふうに思うんです。

 その点で、育児休業の取得が進まない理由には、職場の雰囲気とか昇進昇格への影響、いろんな問題が指摘されていますけれども、やはり休業による家計への影響というのは本当に大きいと思うんですね。所得保障を引き上げることが求められているというふうに思うんですが。

 そこで、仮に現在の育児休業給付を六割に引き上げるということで試算をすると、幾ら必要なのか。これは失業等給付で賄うとすると割合はどうなるのか、それからまた、五割に引き上げるとこれは同様にどうなるのかについて、職業安定局長にお答えいただけますか。

政府参考人(青木功君)

 育児休業給付の平成十五年度実績を基に先生の今のお話のとおりに単純に試算をいたしますと、給付率を四割から六割にした場合には、所要額は約千百四十五億円で、三百八十二億円増になります。これが当該年度の失業等給付に占める割合は五・七%で、一・八%増ということになります。また、同様に給付率を五割として単純計算をいたしますと、所要額は九百五十四億円、百九十一億円の増になりまして、当該額が失業等給付金に占める割合は四・八%ということで、〇・九ポイント増ということになります。

小池晃君

 つまり、金額としては百九十一億円から三百八十二億円、五割で百九十一億、六割で三百八十二億円、失業等給付に占める割合は〇・九ポイント上がる、あるいは一・八ポイントの増加と。私、別に全部その失業等給付の中から、今の制度の枠組みの中でやれというふうに主張するつもりはございませんけれども、規模としてはこの程度だということでありまして、ちょっと大臣に基本的な認識をお伺いしたいんですが、私は、今のやはり育児休業取得がなかなか進まない、特に男性では本当にゼロに近い、こういう実態というのはやはり所得保障の問題が大きいのではないか。やはり所得保障のところを増やしていくということで育児休業の取得というのはもっともっと前進させることができるというふうに思うんですが、大臣の見解をお聞かせいただきたいと思います。

国務大臣(尾辻秀久君)

 実は私もそういう感じを持っておりまして、ただ、今手元に、休業を取得しなかった理由というアンケート結果を見ておるのでありますが、これを見ますと、家計が苦しくなるためという答えは全体で、これは答えの取り方で、全部足して一〇〇%になる取り方ではないんですけれども、三〇%という答えが出ておりまして、その他の理由の方が結構大きなウエートを占めておる。したがって、少なくともこのアンケートを見る限りにおいて、決して小さくもありませんけれども、給付率を引き上げれば取得率が高まるのかどうか、これはよく分かりません。

小池晃君

 いや、しかし、例えば女性労働協会の育児・介護を行う労働者の生活と就業の実態等に関する調査、これ二〇〇二年ですが、育児休業制度を利用しなかった理由として、四〇・二%が収入減となり経済的に苦しくなるというふうに答えているんですね。それから、日本労働研究機構、ここの二〇〇三年の育児や介護と仕事の両立に関する調査によりますと、父親の育休取得が進んでいない理由としては、父親の給料が入らないと経済的に困る、これは四六・八%なんですよ。

 大臣のちょっとアンケートが一体どこのものかよく分からないんですが、私は本当に、これは最初に大臣がいみじくもおっしゃったように、所得保障伸びればこれはやはりじゃ取ろうかと思う人は増えるということは、これは当然じゃないですか。と思うんですが、いかがでしょうか。

国務大臣(尾辻秀久君)

 正直に申し上げますと私もそう思っておりまして、そうなんだろうなと思いつつ、何かいろんなアンケート見ていると必ずしもそうでもないものですから、これまた正直によく分かりませんと申し上げたところでございます。

小池晃君

 私が紹介したようなアンケートの数字もあるわけで、ここは先ほども議論あったと思いますが、所得保障をやはり引き上げるということについて、私はこれは第二歩、第三歩の育休制度の改革としてこれは是非踏み出すべき課題であるというふうに考えますが、いかがでしょうか。

国務大臣(尾辻秀久君)

 育児休業の給付率でございますけれども、御案内のように、平成十三年に二五%から四〇%へと大幅に引き上げました。さらにまた、年金等の保険料も免除されておりますから、そうしたことを勘案いたしますと、給付水準は五〇%を超えておるのではないか、超えておると、こういうふうに考えておるところでございます。

 そうした中で、これも午前中にも御議論あったように、給付率を上げられるかどうかという話でありますけれども、雇用保険の制度の中で考えると率直にお答えいたしましたもうかなりぎりぎりのところだというふうに思っておりまして、引き上げるべきかどうかという御質問でありますけれども、非常に現実的に難しいですということをまず先にお答えをいたすところでございます。

小池晃君

 いや、そのまず先にというふうにおっしゃるのであれば、その次には一体何なのかと。失業給付の今のままで出すのは難しいのかもしれませんが、例えば失業保険財政に対する国庫負担というのは引き上げることは法律的には可能なわけですよ。そういったこともあるし、ほかの財源ということも含めて、私は、財源は失業給付から出しなさいという議論をしているんじゃなくて、やはり一般論として、やはり所得保障を、どこから財源持ってくるにせよ、前進をさせるということをこれは検討課題として、やはりもうこれでいいんだということじゃなくて、今後の課題としてやっぱり検討していくべきだというふうに考えますけれども、いかがですか。

国務大臣(尾辻秀久君)

 少子化ということを考えますときに、少子化対策ということを考えますときに、相当思い切ったことをやらなきゃいかぬとは日ごろ思っておりまして、そうした中で今御提案のようなことは考慮すべきものの一つだというところは否定はいたしません。

 ただ、まずはと申し上げたんですけれども、もしこれを税からというような話にいたしますと、先ほどもお答えしたところでありますけれども、育児休業取る人と取らない人との間の公平をどう考えるかとか、公平性をどう考えるとか、いろんな問題が出てまいりますので、まずはという表現をさっき使ってしまいましたが、現実的に大変厳しい面を持ちますということを申し上げたところでございます。

小池晃君

 考慮すべき課題ということで、是非取り組んでいただきたいと思います。

 それから、子育て支援のためには、経済的負担の軽減、子育て世代に対する負担の軽減が大切だと思うんですが、実際には逆のことが行われようとしております。政府税調が定率減税を今後二年間で廃止するという答申を行いました。

 まず最初に、大臣に、基本的にこの定率減税の廃止というのは子育て世代に本当に重い負担がのし掛かることになると思うんですが、その点での見解をお伺いします。

国務大臣(尾辻秀久君)

 もちろん、定率減税を廃止するということでいいますと、全体にその負担が掛かるということは確かでございますけれども、特に子育て世代が他の世代と比べて税負担額が多くなるという性質のものではないと考えております。

小池晃君

 いや、そんなことないと思うんですね。税負担の問題だけでこれは論じられないところがあると思うんですよ。

 もちろん、税の負担だけでも、例えば、共働きで妻の年収が、夫婦の年収があるんですが、妻の年収が三百万円、子供が一人、夫の年収が三百万円の場合でも五万九千円、四百万円で七万七千円、五百万円の場合で九万八千円、こういう増税になっていくわけですが、問題はこれだけじゃなくて、保育料が連動してくる。保育料は自治体ごとに所得税額に応じて決められておりまして、定率減税の廃止で所得税額が増えますと、これは年収が同じでも保育料が増えることあるんですね。

 いろいろ調べてみました。例えば大臣の地元、鹿児島県の鹿児島市の場合ですね。子供が三歳未満で、夫婦合わせた所得税が五万七千六百円から七万二千円までの場合、これ定率減税廃止されると、保育料が何と年間十万八百円増えるんですね。これ、年収でいうと大体夫婦合わせて三百六十万円から四百万円ぐらいの層ですから、十万円保育料が増えるというのはこれ大変なことなんですよ。

 だから、ほかにも、例えば千葉県の習志野市では、夫婦合わせて所得税が十六万円以上十八万円未満、これ年収六百万円程度なんですが、保育料が現在、月四万四千五百円から五万四千八百円、二ランク上がりまして、年間十二万三千六百円の負担増。で、所得税、住民税の負担増が年間約五万円なんですけれども、その二倍以上の負担増、保育料で掛かってくるんですね。

 この定率減税の廃止で、子育て世代の増税でこういう保育料の値上げということにもなってくるんだと、この辺も含めて考えると、大臣、これ厚労省としてこれをやすやすとやらせていいのかと、子育て世代にこんな不安、負担を負わせることを認めていいのかというふうに考えるんですが、いかがですか。

国務大臣(尾辻秀久君)

 子育て世代に特に負担が掛かるかどうかというところについてお答えを申し上げておきたいと思います。そして、そのことと保育料との関係でございます。

 保育料につきましては、児童福祉法において、市町村が保育の実施に要した費用を徴収した場合における家計に与える影響を考慮し、児童の年齢等に応じて定める額を徴収することができるものと規定をされておりまして、仮に定率減税が廃止された場合においても、この規定を踏まえ判断されるべきものと考えております。

 言っておりますことはどういうことかといいますと、定率減税が始まりましたときにどういうことをやったかといいますと、平成十一年度と平成十二年度の違いであります。保育料の基準の、基準額というのを示しておりますけれども、七段階にしてあります。その七段階のうちの三段階までは、生活保護をもらっておられる方だとか市町村民税非課税の世帯だとか、そういうようなところになっております。その第四階層というふうに言っておりますが、ここから所得税の額で幾ら払ってくださいということになっております。

 したがって、委員が言っておられるのは、所得税額が上がると当然保育料が上がるだろうと、そういう御指摘で今の御質問だと思うんですけれども、今申し上げておりますことは、平成十一年と十二年度、定率減税が始まったときにどういうことをしたかといいますと、この第四階層のところを平成十一年度までは所得税八万円未満のところとしたものを、平成十二年度では所得税四万円未満と、こういうふうに変えておりますから、当然今後またこの逆のことが起きれば逆に近いことをするというようなことになろうと思いますので、必ずしもその所得税が増えて保育料が上がるということにはつながらないのではないでしょうかということをお答えを申し上げているところでございます。

小池晃君

 いずれにしても、この定率減税の廃止ということがこういう世帯、子育て世代の負担増につながる危険性が極めて大きいというふうに私どもは非常に危惧をしておりますので、子育て世代の経済的負担増えていくようでは子育て支援も進まないわけですから、そのことについては厚生労働省としてはしっかり物を言うべきだということを申し上げたいというふうに思います。

 それから、今回の子供の看護休暇のことについてお聞きしたいんですが、一労働者につき年五日間ということです。これは子供が二人いても三人いても同じなのかという問題点指摘されております。一人親の場合も、これは五日で済んでしまうということになってしまうのかという問題点も指摘をされております。この点でいうと、介護休業は対象家族一人について何日という立て方になっているわけですから、こういう立て方に照らしてもこの看護休暇、子供については、対象となる子供一人当たり何日という形にするのが実態に最も合う設定の仕方ではないかというふうに思いますが、局長、いかがですか。

政府参考人(伍藤忠春君)

 再三御指摘をいただいている点でございますが、今回、子供の看護休暇ということで、従来努力義務であったものを事業主の義務として位置付けるということでございますので、そういった観点からいろいろ労使を含めていろいろ幅広く議論をしていただいて、今回こういう形にしたということが経緯でございます。

 参考までにそのバックデータといいますか、その背景を申し上げますと、議論の背景でありますが、年間にこの子供の看護のために休んだ日数というのが、男性の従業員の場合には九割程度が五日以内と、女性も大体五割強が五日程度と、五日までということになっておりますので、こういったことも参考にしながら、すべての事業主に義務付ける最低基準ということとしてはこういう労働者一人につき年五日というのが妥当ではないかと、こういう議論で集約を、議論の集約を見たわけでございますので、そんなことでスタートさせていただきたいと思っております。

小池晃君

 今の最低基準だというふうにおっしゃいました。最低基準ということであれば、やっぱり最低基準にとどまらずに、労働者の実態に応じて日数拡大する企業を増やしていくという立場でこれは臨むべきだと思うんですね。

 ちょっと資料をいただいたのを見ますと、子供の看護休暇の普及率が全体としてはちょっと伸びてはいるんですが、これは五人以上規模事業所の数字で、三十人以上になりますと逆に、平成十一年一一・二%が平成十四年九・八%と減っているというそういう数字もありまして、これ大企業の方が今の厳しい労働環境の中で減らしているんだろうかという、そんな印象も受けた。聞いたら、何か抽出調査だからこういう数字になっているみたいな説明をされているんですが、私にはちょっとそれだけでは説明付かないんではないかと思っているんですね。

 やはり最低基準だというふうにおっしゃるのであれば、やはりその国の最低基準に上乗せして制度を改善した企業に対してこれは支援策を取るとか、そういうことを当然図って、第一歩だ、第一歩だと言うんじゃなくて、やっぱり二歩、三歩ということを考えて進むべきじゃないですか。その点はいかがですか。

政府参考人(伍藤忠春君)

 先ほどのような議論の経過を踏まえてこういうことで提案をしているところでございますので、今回、今後の施行状況というのをよく見ながら、また御指摘のあったようなことも含めて議論をしていきたいというふうに考えております。

小池晃君

 今回、看護休暇取得できるようになったことは前進だと思いますが、これ、病気のときだけで、予防接種とか乳幼児健診などで休んだり早退せざるを得ないという状況もあります。それが適用にならないという問題もある。

 それから、対象となる子供は就学前に限られておりますけれども、これは、小学校になったら病気しなくなるわけでは決してなくて、むしろ小学生になっても病気のときには同じように親が休んで病院に連れていかなければいけない、あるいは家で看病しなければいけないと。せめて、これ、小学生は対象にすべきでないかという問題もあります。

 大臣は先ほど、一歩なんだと、一歩一歩前進させていくんだというふうにおっしゃいましたけれども、やはりこの子供の看護休暇、本当に利用しやすく柔軟に対応できるように、それから対象年齢も引き上げていくように、いろんな改善のポイントあると思いますが、これは、改善、前進の課題として二歩三歩進んでいくべきではないかと思いますが、いかがですか。

国務大臣(尾辻秀久君)

 一歩一歩進めてまいりますとお答えいたしました。そのとおりに正に次の一歩をまた進めなきゃいけない、その検討も絶えずしなきゃいけないと、こういうふうに考えております。

小池晃君

 それから、育児・介護休業法の改正に関連して介護保険の問題について最後に幾つかお聞きをしたいと思うんですけれども、介護保険法の施行以前に、先ほど指摘あったように、特別養護老人ホームに、措置制度の時代ですね、入所していた、こういう方について、一つは費用徴収の問題で、法の施行前の費用徴収を上回らないように、これは利用者の一割負担とか食費を減免する経過措置が取られておりました。

 これ、実態聞きますと、利用料については、二〇〇二年度末で二万九千五百十人がこれは免除、自己負担ゼロなんですね。それから、六万五千六百五十四人がこれは減額されています。一割の負担が三%あるいは五%の負担になっている。合計九万五千百六十四人、かなりの人数が対象となっている。それから、介護保険実施前からこの施設に入所している人で介護保険始まってからは入れなくなった非該当あるいは要支援の方、こういった方が施設サービスを受けることができる入所特例というのもあります。これについては、大分減ってきてはいるようですが、今年八月段階で四百人が残されていると。恐らくこれは、これまでいろいろな努力をしてきたけれども結局様々な事情があって残っておられる方たちだろう、非常にいろんな厳しい難しい条件抱えた人たちだろうというふうに思うんですね。

 これは、施行から五年たって来年三月までが期限とされている。この経過措置、切れると途端に負担がどんと増えると。いろいろと実態を聞いてみますと、例えばこんな話ありました。

 川崎市のある施設に私聞いたんですが、七十人の入所者のうち十二人が旧措置入所の軽減措置を受けている人だというんですね。中には、利用料負担全額免除受けている、これは無年金の方らしいんですが、利用料負担全額免除を受けて日常生活費は四千五百円程度の負担なんだけれども、特例措置がなくなると、利用料一割負担、食費五百円負担ということになると月の負担が五万円を超えるわけですから、十倍、いきなり四千五百円が五万円を超えてしまうということで、これは、とてもじゃないけれども、これではもう暮らしていけないという声であります。

 無年金であったりほとんど収入がないという方にこういう負担増をいきなりかぶせるということは、私は、到底これは無理があるというふうに思うんですね。あるいは経過措置、特例入所にしても、行く場のない人を、もうこれで切れますから、あなた、あしたからちょっと出てってくださいと、これは、幾ら何でもこんなことできないと思うんですよ。

 その点で大臣に、私はこれ、この介護保険始まる前に激変緩和ということで始まった制度ではありますけれども、このまま機械的に何の対策もなく打ち切るということはあってはならないというふうに私考えるんですが、その点についてお伺いしたいと思います。

国務大臣(尾辻秀久君)

 これはもう、正に五年前に介護保険を導入いたしますときに議論をいたしたことでございます。

 介護保険を導入する。しかし、それ以前に既にもう特別養護老人ホームに入っておられる方がある。そして、特別養護老人ホームに入るということであると、当然、要介護度幾つかに認定されなきゃいけないけれども、万が一、じゃそういうものに認定されなかったときにその人たちに出ていってくださいと言うのか、そういったような議論を随分いたしました。

 それで、今委員からもお話ございましたように、経過措置として幾つかの措置を取ってきたわけでございます。それを五年間の経過措置といたしましたから、今度五年間が切れる。そういたしますと、今度は特例的な取扱いは解消をされますということになるわけでございますが、このことにつきましては、先ほど御答弁申し上げましたように、その取扱いについて今後の検討課題の一つとして検討してまいりたいと考えております。

小池晃君

 これは、検討課題ということは、打ち切るということが法律上の問題ですから、それを検討するということは、やはり打ち切るということを見直しを含めて進めていかれるということだと思いますので、私は、当然、今の状態でいえば、本当にこれは見直し、検討をしていかなければいけない課題だと。

 介護保険の問題については、ほかにも、予防重視型に変えていくということで軽度の人からサービスを奪うと。これも重大な、介護保険のそもそもの制度の基盤にかかわるような重大な改悪だというふうに思っていますし、それから、利用料のホテルコストの徴収ということについても、これは、今の計画でいえば相部屋で八万円超える、個室で十三万円超えるという、そういう計算も出されておりまして、国民年金で暮らしている方の満額六万六千円でも施設に入れないという実態になっていくという問題もあるし、様々、介護保険の問題については私ども問題点を指摘させていただいておりますけれども、この特例措置あるいはその経過措置の廃止の問題については、これはやはり、本当に行き場のない人を追い出すというのは、正に私、人権にかかわる問題ではないかというふうに思っているんですね。その点では、これは絶対にこういうことを機械的に打ち切ることなどはあってはならないことだと。

 大臣も検討課題だというふうにおっしゃいましたので、その中身、しっかり実情をよく調べていただいて、私もいろいろと聞きますと本当に深刻な実情ありますので、よく調査をして、こういう人たちが本当に路頭に迷うようなことは絶対にさせないような手だてを取っていただきたいと、そのことは最後に強く求めて私の質問を終わります。

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