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日本共産党参議院議員・医師 小池晃 アーカイブ[〜2008] 日本共産党参議院議員・医師 小池晃 アーカイブ[〜2008] 日本共産党参議院議員・医師 小池晃 アーカイブ[〜2008]

参議院 厚生労働委員会
自殺予防対策に関する参考人質疑

2005年2月24日(木)


小池晃君

 日本共産党の小池晃です。

 長時間労働と自殺の問題について中村参考人にお聞きをしたいと思うんですが、厚生労働省の通達、過重労働による健康障害を防ぐためにでは、残業時間月四十五時間超えた場合は産業医による助言や指導、それから、月八十時間超える残業が長期間続いた場合は面接による医師の指導、必要あれば健康診断となっております。一方で、総務省の労働力調査では、十五歳から三十四歳の正社員で六十時間働く人が九五年から二〇〇一年にかけて四十九万人も増えていると。非常に過酷な労働実態あるわけですけれども、これ、過労死の問題はもちろんなんですが、長時間労働と過労自殺、この関係でもこの厚生労働省の通達がきちっと守られるべきだというふうに考えているんですが、その点についての御見解をお聞かせ願いたいと思います。

参考人(中村純君)

 もちろんそれはきちっと守るべきだろうというふうに私自身は思いますけれども。それでよろしいでしょうか。どういうふうに。具体的な制度化するという意味でしょうか。

小池晃君

 いや、そういうことじゃなくて、まあ、これについての御見解をお聞かせ願えればと思ってお聞きしたんですが。

 ちょっとそれと絡んで、今労働現場で起こっている問題でいうと、成果主義賃金が拡大される、成果主義賃金あるいは裁量労働制の拡大という問題があります。社会経済生産性本部の産業人メンタルヘルス白書などを見ますと、成果主義賃金の下でうつ病が増えているという実態が報告をされていたり、あるいは裁量労働制の下で、神奈川県では裁量労働制で働いていた労働者の過労自殺が労災認定されるという、そういうことも起こっているんですけれども、長時間労働については先ほどお話あったように厚生労働省の通達きちっと守っていくことが大事だということはあると思うんですが、今、更に、労働時間の管理そのものも労働者個人に任せる、あるいは成果や結果のみを求めるような、こういう働き方、働かせ方、これが広がっていることについて、こういうメンタルヘルスの問題あるいは自殺の問題から見て参考人はどのような見解をお持ちか、お聞きしたいと思うんですが。

参考人(中村純君)

 やはり、今産業構造の変革というのは非常に大きい問題があると思います。というのは、やはり数十年前の第一次産業が多い時代から、今三次産業がかなりの部分を占めるようになりまして、仕事の量もですけれども、質も変化していますし、それを行うためのいわゆる成果主義が出てきますと、仕事そのものに対する評価が企業経営者側も難しい状況になってきていると思うんですね。

 ですから、そういう点で、自由にやりなさいと言われたときに、元々非常にきちょうめんな方で、人から仕事を命令されればきちっとやれる人が自由にやりなさいと言われたときになかなか対応できないと、そういう人がやっぱり破綻を来している例は多いんではないかというふうに思います。

 ですから、先生がおっしゃるように、成果主義が助長されますとこういう方はやっぱり増えて、少なくともうつ病の方は増えてくる可能性は十分あるというふうに思います。

小池晃君

 今の問題、高橋参考人にもちょっと御意見をお聞かせ願えればというふうに思うんですが、こういう働き方の変化が労働者のメンタルヘルスやあるいは自殺ということにどのような影響を与えるかということについてお聞かせ願いたいと思います。

参考人(高橋祥友君)

 今の中村先生の御意見に付け加えることは余りないんですけれども、例えば私たちが見聞きしている点では、裁量労働であっても、例えばコンピューターのシステムエンジニアなどで一つのプロジェクトが終わったら強制的に何か月間か休ませるとか、そういうような方法を使ったり、幾つかいろいろな工夫が出てきていると思うんですね。ですから、単純に時間だけの問題ではなくて、労働時間の質というものもやはり考えていかなければいけないというのは今後の問題だと思います。

小池晃君

 それで、最後に高橋参考人にお伺いしたいんですけれども、ちょっと今日参考人がお話しされたことと直接関係があるわけではないんですが、自衛官の自殺の問題で、この間、過去を見てみますと、最近、防衛庁からいただいた数字では二〇〇三年で七十五名と。陸自で四十八名、海自で十七名、空自で十名と。これ、九三年の数字見ますと四十四名ということで、大分増えてきております。まあ自殺全体が増えているということもありますので、特異な現象かどうかというのは議論があると思うんですが、増えていること間違いないし、非常に痛ましい数字であることは間違いない。三十代前半の一般男性と比べても若干率として高くなっているという実態がございます。

 このことについて、高橋参考人、どのように見ていらっしゃるのかということと、自衛隊の中でこういう自殺を防ぐということについてプロジェクトなども行われているというふうに聞いておりますので、どのような取組がなされているか、お聞かせ願えればというふうに思います。

参考人(高橋祥友君)

 私は防衛医科大学校に所属していますんで、自衛隊全体の衛生に関しては統括していませんし、分からない部分もあります。ですから、私が知っている限りについて御説明いたします。

 今御質問がありましたように、確かに自衛官の自殺は増えております。マスメディアでは自衛官の自殺急増みたいになっているんですけれども、これはちょっとミスリーディングなんですね。確かにこうやって増えているんですけれども、やはり今日お話ししましたように、日本全体の自殺が増えているのとほぼ並行して自殺が増えているというふうに考えていただきたいと思います。

 で、自衛官というとほとんどが男性で、十五歳から五十五歳までの年齢ですね。ですから、この性別と年齢を組み合わせて比べてみますと、一般の人と自衛官の自殺率、十五歳から五十五歳までの男性で見るとほとんど同じかちょっと低いぐらいなんですね。イメージとすると、最近になって自衛官がめちゃめちゃ増えているというふうにイメージがあるんですけれども、必ずしもそうではないということです。

 ただし、今御質問がありましたように、自衛官の自殺が増えていることは現実ですんで、かなり早い時期から対応をしております。平成十二年度ですから、そのときに自衛隊員のためのメンタルヘルスに関する検討会というようなのが開かれていまして、この提言がもう出ています。これはホームページに、防衛庁のホームページにも詳しく全部載っているはずです。そこでもうかなりいろいろな提言を行っています。

 これはメンタルヘルス全般に関してなんですけれども、その中でも直ちに行い得る具体的な対策として、実際の自殺予防もあれば、あと、残された隊員ですね、非常につながりの強かった隊員で自殺が起きると同僚に対して大変心理的な動揺が起きますので、そういった人たちのケアをしようというような動きがあるわけなんですね。メンタルヘルス月間ですとか、惨事ストレス対策の、惨事ストレスというのは要するに、こういった痛ましい事故が起きたときの対応の教育などもしております。

 自殺予防はこういった三段階あります。プリベンション、インターベンション、ポストベンションですね。プリベンションというのは、元々、原因ですとかを取り除いて自殺を起こさなくすると。インターベンションというのは、今起こりつつある自殺の危険を防ぐ。ポストベンションというのは、残された人ですね、非常に大変な思いをする残された人へのケアをしようということなんですけれども、今、日本で実際に行われているのはこのインターベンションがほとんどなんですね。医療を中心としたインターベンションです。今自衛隊でいろいろやっていることはこの三段階のことを行っております。

 例えば、部隊で自殺が起きたなんということがあれば専門家チームを送ります。これは調査ではないんです。残された人に対してどうやってケアをするかということなんです。それでまた、残された人と面接することによって、自殺の背景も浮かび上がってきます。最後には、もう影響を受けた、非常に強い影響を受けた人に関しては、治療が必要ならば治療にのせると。また同僚たちに対しては、最終日には、自殺予防の教育ですね、そういうようなこともすると、こういうようなことをしております。

 ごく簡単に私の知る範囲でお話ししました。

小池晃君

 ありがとうございました。

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