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162 通常国会 参議院厚生労働委員会

  • 児童扶養手当/改悪案、参院委で可決/物価下落で減額/小池議員が反対討論(関連記事

2005年3月22日(火)


小池晃君

 日本共産党の小池晃です。

 児童扶養手当法の改正法案、これは各種手当の額を物価が下落したときには減額をすると、物価が上昇しても据え置くと。しかも、目的も成り立ちも性格も違う十種類を一つにまとめて、今後、国会審議なしに処理してしまうという問題もあります。

 そこで、お聞きしたいんですが、この物価スライド凍結したときの説明は、現下の社会経済情勢にかんがみと言っていたんですね。景気が悪いから、これは異例だけれども物価スライドしないんだと言っていた。

 そこで、お聞きしますけれども、今回それを凍結解除するということですから、前回は景気の動向を理由にしたわけで、今回の措置の対象者である母子家庭、障害者、被爆者の生活状態に何らかの改善が見られるのか。見られるのであったら、その指標を示していただきたいと思います。

国務大臣(尾辻秀久君)

 それぞれに申し上げなきゃいけないと思いますけれども、まず母子家庭について申し上げますと、平成十五年度で約百二十三万世帯と、五年前の調査から二十七万世帯増加しております。また、その生活を取り巻く状況も、平均年間収入、常用雇用割合、先ほども議論になりました、が平成十年度の調査より減少するなど、改善も見られませんし、依然として厳しい状況にあるというふうには認識をいたしております。

 それから、障害のある方々のことでございますけれども、こちらの方は、所得の状況でありますとか生活の状況はいろいろと多様であると認識をいたしております。

 それから、原爆被爆者につきましては、被爆後六十年がたっておりますからその高齢化が進んでおると、こういうふうに私どもは認識をいたしております。

 こうした中で、児童扶養手当等の手当について、平成十七年度においても本来の手当額よりも一・七%かさ上げされた状態にありますから、これらの手当受給者の生活について引き続いて配慮をしておるということでございます。しかも、この一・七%の解消を一度に行うわけじゃありませんで、物価の上昇局面においてのみ解消していくわけでございますから、手当受給者の生活に配慮した形であると認識をいたしておるところでございます。すなわち、一・七%かさ上げされておるんだというのを是非御理解をいただきたいということを述べたところであります。

小池晃君

 実態としては、大臣もお認めになるように、これ大変厳しい人たちばかりですね。

 障害者についても多様とおっしゃいますけれども、雇用の問題でいえば、例えば十五万人以上求職していますけれども、就職三万人というような実態もあると。

 かさ上げしていたのを戻すだけなんだとおっしゃるけれども、社会経済情勢を理由にして凍結したわけですよね。それを復活させるわけですよ、何年か掛かるかもしれないけれども。ということは、そこのところが、景気が悪いからというふうに言っていたことをやめるんですから、それは、そこが良くなったという理由がなきゃ駄目じゃないかと私お聞きしているんですけれども、それについてお答えいただきたいと思うんですが。

国務大臣(尾辻秀久君)

 そこのところは、あるいはぐるぐる回ってしまうのかもしれませんけれども、私どもは、一・七%がかさ上げされている、そこのかさ上げされているというのを是非理解をしていただきたい。そして、それを解消するという作業に入るわけでございますから、それも長いこと掛けて解消する。

 当初、確かに、経済の状況が引き下げるような状況ではないというようなことを言って凍結したのは事実でありますけれども、今日、今度は、その一・七%ずっとかさ上げされてきた状態から少しずつ下げさせていただくということは、これはもうやむを得ない措置だというふうに考えるわけであります。

小池晃君

 いや、かさ上げしたのは政府の側なんですから、そのときに景気を理由にかさ上げしたんですから、それを解消するという以上、そこが改善したということがなければ私はそういうことはできないはずだというふうに申し上げているんです。そこのところは説明、これはできないと思うんですね、やっぱりそういうふうになっていませんから、実態としては明らかに。一番大変な人たちなのでね。

 具体的にちょっとお聞きしたいんですけれども、児童扶養手当、先日質問して、生活保護を受けている方よりも一般の母子家庭の生活水準が低いのが正に実態であります。

 大臣にお聞きしたいんですが、今の母子家庭の現状、最初に、どう認識されておられるか。そのかさ上げしたとおっしゃる一・七%の物価スライド凍結分の解消に耐えられる、そういう状態にあるという御認識ですか、お答えいただきたいと思います。

政府参考人(伍藤忠春君)

 母子家庭の現状でございますからちょっと事務的に私の方から答えさせていただきますが、五年ごとに調査をいたしておりますが、平成十五年と十年を比べてみますと、母子家庭の就業率は平成十年が八四・九%でありましたが、平成十五年八三%、若干低下をしておる。それから、平均収入金額でありますが、平成十年が二百二十九万円、これが二百十二万円に低下をしておるということでございます。それから、就労収入というのを初めて取りましたが、平成十五年にはこれが百六十二万円になっておると。それから、常用雇用、先ほども議論がございましたが、平成十年では五〇・七%というところでありましたが、これが平成十五年には三九・二%、こういう状況になっておるということで、厳しさは増しておるということでございます。

小池晃君

 だから、一つもいい指標ないわけですよね、収入が減っているし。しかも、就労収入でいうと百六十二万円ということですから、平均、月でいえば十三万円余りということになるわけです。しかも、雇用情勢は悪化して、不安定雇用が激増しているというのが今の実態だと。

 大臣、平均年収も減少し、就業状態も不安定化している。お金もない、仕事も不安定だと。こういう母子家庭に対して、生活を支える命綱である児童扶養手当を実質マイナス改定するということが許されるというふうにお考えですか。こういうことが母子家庭の生活に耐え得る措置だというふうにお考えですか。

国務大臣(尾辻秀久君)

 これは、起点といいますか、ゼロ地点をどこに置くかということでの見方が変わるんだろうと思います。

 今、私どもは、プラス一・七になっているわけでありまして、そのプラス一・七のそもそものところからいいますと、まだずっと今後もプラスの数字が続くわけでありますので、そういうふうに申し上げておるところであります。

 今先生の御指摘は、この一・七%プラスされたところをゼロにするとマイナスになるという言い方もできるんでしょうけれども、それは言い方の違いでもあると思いますし、あくまでも私どもは、一・七プラスになっている、そこの時点から考えてまだプラスだということを是非御理解をいただきたいということを申し上げているところであります。

小池晃君

 いや、それは理解できないんですね。やはり母子家庭の生活に比べて、やっぱり今の児童扶養手当の水準が低過ぎるというのが前提としてまずあるわけです。しかも、かさ上げした、かさ上げしたとおっしゃるけれども、それは経済情勢を理由に皆さんされた。それをやめるというのであれば、それをしなくてもよくなったんだという状況があればまだしも、すべての指標が悪化している中でそれを元に戻すと。これは到底理解を得られるものではないというふうに思うんです。

 あわせて、障害者、障害児に対する手当についても同じことがやられようとしていますが、これらの手当というのは、重度の障害児、障害者に対して、障害のため必要となる精神的、物質的な特別の負担を軽減する目的でつくられている。

 閣議決定の障害者基本計画では、「年金、手当等による所得保障を引き続き推進する。」というふうになっています。手当の引上げこそ検討すべきなのではないですか。お答えいただきたいと思います。

副大臣(西博義君)

 今回の障害者自立支援法では、今後とも増大していくサービスを確保していくために、その費用につきまして、利用者も含めて皆さんで支えていただくよう、支え合うように、サービスの利用料と、それから同時に所得にも着目して利用者の負担をお願いすることとなっております。

 そこで、利用者負担を求めるに当たっては、障害者の所得の状況が多様である、先ほど大臣もお述べになりましたけれども、こういうことに配慮いたしまして、収入の状況に応じて数段階の月額の上限をきめ細かく定めるというようなことなど、各般の利用者負担の減免の仕組みを設けることとしております。そして、そのことによって利用者の負担が過大にならないようにきめ細かな配慮をしているところでございます。

 なお、物価スライドの特例法案につきましては、先ほどからもお話ありますように、元々この凍結によって本来の手当額がかさ上げされている一・七%について、一気に解消するということではなくて、物価の上昇した場合に手当額を上げないという形で段階的に解消を図るものであり、できるだけの配慮をしたところでございます。

小池晃君

 ちょっと私が聞いたことと答えが違うんですけれども、自立支援法のことは次に聞こうと思っていたんですけれどもね。

 私が聞いたのは、障害者基本計画では年金、手当等による所得保障を引き続き推進すると、充実させるという、そういう決定をしているにもかかわらず、今回実質マイナスになるような改定をされる。今政府がやるべきことは、もう正にその障害者の手当を引き上げるということを検討すべきなのではないかと私はお聞きしたんで、お答えいただきたいと。

副大臣(西博義君)

 今後、様々な形で障害者の皆さんに対する支援をこれは行っていかなきゃならないということは当然のことだと思っております。

 今回、障害者の自立支援法に基づいて、自立、就労に重きを置いた施策へ転換を図っていこうとしております。障害者が置かれている状況を十分に踏まえながら、各種支援策を総合的に今後推進していくことによって、障害者の自立、それから生活の安定を図るよう努力をしていきたいと思っております。

小池晃君

 閣議決定では所得保障を推進すると言いながら、手当は下げる、しかも自立支援法では大幅な負担増になる。結局、決して高くない現在の所得保障の水準すら下げることになってしまう。低所得者対策等やっていると言いますけれども、住民税非課税、障害年金一級月額八万二千七百五十八円、こういう今まで費用負担なかった人まで来年一月からは最高月二万四千六百円負担させるというわけですから、これは正に閣議決定にも反する中身だというふうに思います。自立支援法については撤回を求めたいというふうに思いますが。

 以前、この検討に当たって、今全国で起こっていることを厚労省としてどう把握されているかなんですが、都道府県は単独事業で行ってきた医療費の助成制度をどんどん改悪今しています。医療費の負担が増えております。北海道では昨年十月から実施されているし、大阪府、岩手県、青森県でも一部負担の導入、入院給食費の助成廃止などをやられているんですね。

 今回の手当のマイナス改定ですが、こういう地方単独事業の後退によって実質的に所得保障が後退している、負担増が進んでいると、こういう影響を厚生労働省としては今回の検討に当たって把握された上で提案されているのでしょうか。お答えいただきたい。

副大臣(西博義君)

 委員御指摘のように、各都道府県が独自に、特に重度の障害者の方々などを中心にして医療費の補助とかそういう様々な施策を講じて工夫をしていただいていることは十分承知をしているところでございます。国として今後その在り方について御意見を申し上げるという立場には基本的にはないわけでございますが、障害者自立支援法においては、福祉だけではなくて、医療につきましても負担が過大にならないように相当きめ細やかに配慮をしようとしているところでございます。

小池晃君

 もう答えになってないと思うんですが、実態としてそういう、私ちょっと事前にお聞きしたらば、十八日の時点では、そういう都道府県のいろんな動き、把握してないということをおっしゃっておりました。

 これ、全国腎臓病協議会の調査では、例えばこのほかにも滋賀県や奈良県で八月から自己負担導入する、それから島根県など五県で負担増の具体案が示されていると。国の施策だけじゃなくて、都道府県単独事業でも障害者を取り巻くいろんな負担増の計画がある、経済環境悪化している。そういう状態把握することもなしに手当額を実質引き下げるということは許されないということも、重ねて申し上げたいというふうに思います。

  〔資料配付〕

小池晃君

 残る時間、シベリアの先ほど議論ありましたが、その問題を取り上げたいんですが、今年戦後六十年であります。戦争が引き起こした悲劇多くありますけれども、シベリアに不当に抑留された兵士、軍属の問題もその重大な一つだというふうに考えております。

 第二次大戦後、ソ連政府は日本兵を連行して、零下四十度、正に骨まで凍るほどの厳しい寒さの中で過酷な強制労働に従事をさせました。シベリア抑留者はポツダム宣言違反です。スターリンによるこれは弾圧政治、抑圧政治の犠牲者だというふうに私ども思っておりますし、衆議院では小沢和秋議員が一貫してこの問題を取り上げてきたし、井上美代さんもこの委員会で取り上げたこともございます。

 大臣に最初に基本的な認識をお伺いしたいんですが、シベリアのこの抑留者の問題というのは日本の政治が取り組んでいくべき重大な課題であると、そういう御認識をお持ちでしょうか、お尋ねします。

国務大臣(尾辻秀久君)

 今もお話ありましたけれども、シベリアに抑留された方々は、厳しい環境の下で過酷な労働など、これは本当に筆舌に尽くし難い御労苦をなさったものでございます。私も遺骨収集にも参っておりますのでその状況は少しは分かるんですけれども、もう九月ぐらいに行っても手足が凍るような状態ですから、あれ真冬になったらどんな状況に置かれただろうなと、もう本当によくぞ生き延びられたなというような感じがするところであります。

 そうした中での御労苦なさった皆さん方の問題というのは、これは私どもがそれをただ見ておるだけの、見ておるというか、お聞きしましたというだけの話ではないというふうに考えております。

小池晃君

 先ほどちょっと話題になりました平和祈念事業の特別基金の問題ですが、総務省にお伺いしますが、この平和祈念事業特別基金設立以来の常勤役員の数と、そのうち官庁出身者の数、それから役員の退職金の支払実績をお示しいただきたいと思います。

政府参考人(阪本和道君)

 独立行政法人平和祈念事業特別基金の役員でございますけれども、昭和六十三年四月に当時は認可法人として設立されてございますが、以来の現在までの役員数は延べで十九人でございます。このうち官庁出身者は十四人でございます。また、退職した常勤役員に対する退職金の支給総額でございますけれども、現在までに支給した額、一億二千二百二十八万円になっております。

小池晃君

 資料を配付いたしましたが、退職金出ているのは常勤の理事長と理事だけです。その常勤者で見ると、十名中九名が天下りであります。官庁を辞めるときに退職金を受け、基金を退職するときにまた退職金を受ける。総額は一億二千二百二十八万円、平均して千三百万円だと。

 一方で、平和祈念事業で抑留者に対して行われたのは書状、銀杯に加えて十万円の慰労金のみです。で、今それを半分崩して記念品配るという話になっていて、抑留者の皆さんからばかにするなという声が上がっているんですね。一方では十万円の支給で決着済みで、正にこの事業を食い物にするかのように天下りの役人がこれだけ入って、一人千三百万円の退職金出ている。こんな組織に費やすお金があるんだったら、すべてシベリア抑留者に回せという声が当事者の皆さんから出ている。私、これ当然の声だというふうに思うんですよ。

 大臣、これ政治的に私お伺いしますが、こういう基金の状況で、こんなやり方していて、抑留者の皆さんの理解得られると思いますか。お答えいただきたいと思います。

国務大臣(尾辻秀久君)

 今も総務省から御答弁申し上げておりますように、平和祈念事業特別基金は総務省が所管をいたしております独立行政法人でございますから、私がお答えする立場にはございませんけれども、こうした平和基金のみならず、私どもがいろいろ基金をお預かりしておりましたり、独立行政法人所管をいたしておりますが、そうした中できっちり襟を正してやっていかなきゃならぬというのは当然のことでございます。

 また、厚生労働省といたしましては、今のこのシベリアの話についてお話しいただいておりますので、抑留中死亡者についての遺骨収集など、しっかりと取り組みまして、最善の努力をしてまいりたいと考えております。

小池晃君

 もう質問はいたしませんが、この四百億円の出資金を取り崩して新たな慰労品を配ると、銀杯や時計を配るなどという報道もされていますけれども、もう本当にこういうやり方に対する怒りが広がっているんですね。当事者の皆さんにしてみれば、もう八十過ぎ、平均年齢は超えている、そういう人たちにこういう記念品配って決着済みと、一件落着と、こんなことは絶対許せないというふうに皆さんおっしゃっているんですよ。絶対こんな形での決着なんて図るなんて許されないし、私はこの四百億円というのは国庫に全額戻して、それで、これだけでは足りないと思いますが、しっかり国としての責任も加えて未払賃金を払うと。南方の抑留者の皆さんについては、これは実際は全部払っているわけですから、このまま人生を終わらせるわけにいかないというふうにおっしゃっている皆さんのその思いにこたえて、一刻も早く未払賃金問題を国の責任で政治的な決着を図るべきだということを申し上げて、私の質問を終わります。

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