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日本共産党参議院議員・医師 小池晃 アーカイブ[〜2008] 日本共産党参議院議員・医師 小池晃 アーカイブ[〜2008] 日本共産党参議院議員・医師 小池晃 アーカイブ[〜2008]

162 通常国会 参議院厚生労働委員会

国の補助金等の整理及び合理化等に伴う国民健康保険法等の一部を改正する法律案及び介護保険法施行法の一部を改正する法律案
参考人質疑

2005年3月30日(水)


参考人
  • 全国町村会長・福岡県添田町長 山本文男君
  • 日本経済新聞論説委員 渡辺俊介君
  • 全国知事会社会文教常任委員会委員長・宮城県知事 浅野史郎君
  • 全国生活と健康を守る会連合会事務局長 辻清二君
小池晃君

 日本共産党の小池晃です。

 今日は四名の参考人の皆さんありがとうございました。

 最初は浅野参考人にお伺いをしたいんですけれども、今回のこのやり方ですね、都道府県の調整交付金の創設と。国はその一〇%の国の調整交付金を九%にしたから関与が弱まったと言いたいのかもしれませんけれども、一%で弱まったというふうにはちょっと言えないだろうと。

 一方で、都道府県の調整交付金をつくって、これは同じ方向で調整すれば激変するし、正反対の方向で調整すれば調整しなくなる交付金になるわけで、こういう矛盾したやり方はどうなのかというのはもうおっしゃるとおりだというふうに思うし、百歩譲ってやっぱり都道府県の調整機能が必要だということになれば、定率国庫負担を削るのではなくて、国の財政調整交付金を都道府県に切り替える、あるいはその範囲内で都道府県の調整交付金にするということなのかなというふうに思うんですが、御意見お聞かせ願えればと思うんですけれども。

参考人(浅野史郎君)

 これは百歩譲ってという議論でいかないといかぬと思いますので、その元々に戻ったんじゃなくて、百歩譲ってということでいったときに、これについては浅野私案というのを出したときにいろいろ反応があったということをちょっと申しましたけれども、都道府県の調整交付金に一本化というのは余り賛同を得られませんでした。さっき言ったように、国の段階での財政調整というのも必要だと。しかし、それは今九%で残っていますけれども、そんなに要るのかというのはちょっと議論の必要があって、それをゼロにはできないにしても、都道府県の財政調整交付金の率との見合いでもっとぐっと下げられるだろうと。今回一〇%だったものが私、九%にしたというのは思わずちょっと苦笑いというか、一%分だけ引っ込んだよということで見事に一%なんですけれども、その一%という根拠はない。都道府県の調整交付金を入れるんだとすれば、これ今までの経緯を抜きにして、百歩譲った議論にしても九%対七%というのはちょっと国の財政調整交付金に偏っているんではないかなという感じがします。ただ、これは私のまだ直観レベルでありまして、各都道府県にその辺どのぐらいがいいですかということはまだ投げ掛けておりません。

小池晃君

 ありがとうございました。

 あわせて、先ほど乳幼児医療費の問題お話あったんですけれども、確かに国の調整交付金がペナルティー的に使われている面が、これは乳幼児だけじゃなくて障害者医療などでもある。本来こういうペナルティー的な調整交付金の使い方というのはどうなのかと。もうプラスでポジティブなところを応援する調整交付金というのは私はあっていいと思うんですが、地方分権という中で、こう実際にその住民と向き合う自治体がやったことに対して、国がこの調整交付金をそもそもペナルティーとして用いるということそのものが私は非常に問題ではないかというふうに考えているんですが、そこについてのお考えはどうですか。

参考人(浅野史郎君)

 この問題が起きたときに、本県においても県内の市町村の重立ったところの意見を聴きました。これも財政調整、国の財政調整交付金ですね、今動いている、これについての評価はどうかといったときに、異口同音にあったのが今の問題だったということなんですね。正にペナルティーという言い方を各保険者、市町村はそういう受け止め方をしています。今おっしゃったようにどうしてペナルティーなんだと。それは理解すると、ある意味では納得というか、できるのは、国民健康保険の財政ということからいうと、それは正に合目的的な動き方なのかもしれません。つまり、償還払いした方が医療費が少なくなると、それはいいことなんですね、その国民健康保険の財政を健全にしようということだけで見ていけば。

 で、さっきちょっと言ったのは、県が財政調整交付金を持たされるようになったときに、その財政調整交付金をどういう物差しに当てて使っていくかというのは、悪いけどもらっちゃったんだからこっちでやらせてもらいますよという、若干捨てぜりふ的に申し上げたんです。

 で、そうだとすれば、これは単に国民健康保険の財政ということだけで考えて、その調整するんだろうかとなれば、これは知事が配るわけですから、知事というのは国民健康保険だけじゃなくていろんなものを持っています。となると、今御指摘になったようなむしろ乳幼児医療の実を上げるということについても、そのメリットを感じている存在ですから、そうなったらむしろそうやって現物給付にやったところは偉いよといって出すというのも、今度は別の光を当てているわけですから、納得されると。それはこのことだけの是非ということでなくて、正にそういうような問題を抱えている二元的財政調整交付金の出し方であるということがやっぱり一つの問題点だということを際立たせるためにも言ったということなんですね。

 実際にそれをどうするかというのは、これは極めて難しい問題です。

小池晃君

 ありがとうございました。

 引き続いて辻参考人にお伺いしたいんですけれども、先ほどもちょっと議論ありましたけれども、生活保護の問題で、辻さんの団体はこの生活保護世帯の方々の本当よりどころとなっていると思うんですが、今も既に制度改悪進んでいますし、これを国庫負担削減するという動きが出ている。そういう中で、やっぱり憲法二十五条との関係で、この生活保護制度に対する国の責任を後退させることというのは、これは決して許されないことだというふうに考えているんですが、その点についてお聞かせ願いたいと思います。

参考人(辻清二君)

 一昨年八月から厚生労働省の中に専門委員会ができて、生活保護の見直しの論議がされてきて、昨年末に専門委員会のまとめが出たわけですけれども、私たちは今のこの不況の中で、いわゆるこう国民の暮らしの最後のとりでというべき生活保護の役割というのは本当に大きくなっていまして、大都市のみならず町村、そういうところも含めて生活保護制度、生活保護を受けられる方が急増して、戦後最高ですかね、百万世帯を超えたというのは。そういう状況なんですね。

 一つだけちょっと紹介しますと、厚生労働省の資料で、今生活保護を受けられる方の開始の理由というのが、全体としては病気とか高齢とかが多いんですけれども、最近の顕著な例は、一つは景気の影響で増えているのと、それともう一つは今回の議論とも関連すると思うんですけれども、いわゆる社会保障給付金の減少、喪失による生活保護を受けたいということで来られる方が増えているんですよね。それは何かといいますと、恐らく、これは厚生労働省の資料ですから、それだけ大きな数ではないですけれども、顕著に増えています、それは。だから、恐らく医療費の負担とか介護の負担、それといろんな、先ほど言いましたような国保とか介護の料金が払えない、こういった関連の社会保障の給付の低下が生活保護に行かざるを得ないという、こういう状況があるんではないかというふうに考えています。

 それで、今の、率直に申し上げて今の生活保護、私たちから見れば憲法二十五条の健康で文化的な生活とはいかにあるべきかという、そういう議論だけではなくて、もう何せ財政の都合から減らす、生活保護を受けておる人の保護費を減らす、自治体でやりなさいということで国の補助金も減らす、そのことが、国の財政を減らすということが最大の目標になってやられているなというふうに思っていますし、そういう意味では、本来、安心して、やっぱり最後のとりでとしての機能を今生活保護というのは果たさなきゃならないんだけれども、それに逆行するような動きとして今の生活保護の見直しの問題を私たちは見ています。

小池晃君

 生活保護もそうなんですが、いろいろと、母子家庭に対するいろんな施策も含めて、何というか、憲法二十五条というのは生存権ということをきっちり保障しているわけで、今やられていることというのは、本当に国として最低限やらなければいけないような部分に次々と切り込んでいる。例えば、国民年金基礎年金までマクロ経済スライドということで削減していく、生活保護の問題あるいは母子家庭に対する児童扶養手当の問題も含めて、そういう今の、こういう一番基礎的な生活の部分にまで切り込もうというような小泉政治の今の現状についてどういうお考えをお持ちか、ちょっとお聞かせ願いたいと思うんですが。

参考人(辻清二君)

 今、私率直に申し上げまして、この間のいろいろな一連の法案なんか見ると、自立という言葉がやけにはやっているんですよね。もう自立というのは国に頼るなという考え方が基本だと思うんですけれども、それと、何というんですか、持続可能なという、可能な制度をつくるという、それとやっぱり憲法というのが、その三つぐらいがキーワードになっているかというふうに思うんですけれども。

 全体としては、言葉は悪いですけれども、例えば生活保護の問題でいえば、生活保護の今回幾つか基準の切下げがやられたわけですけれども、年金の受けておる人よりも生活保護の方が高いじゃないかとか、母子家庭であれば、生活保護を受けておられる方と生活保護を受けていない方の比較でそういう議論がされているわけですね。そして、お互いに何か反目させるような状況が生まれてきて、そして生活そのものも大変になってくると。

 そういう中で、そういう生活保護を受けられる方もおられれば自殺なんかされる方もおられる。かつ、そういう状況の中で、今の小泉さんがおっしゃっているような、何かよく言う、言われているかどうか知りませんけれども、勝ち組、負け組みたいな競争社会的な風潮の中で、国民が何か寒々とした雰囲気のような状況が今生まれてきていまして、その一つの大きなやっぱり原因は、どういうときでもやっぱり最低ここまでの水準の生活が保障される、そこにやっぱり国と自治体の責任が、保障する責任があるわけですから、やっぱりそこにもう一回ちょっと立ち返った政治、行政がやられる必要があるというふうに考えています。

 以上です。

小池晃君

 山本参考人にちょっとお伺いしたいんですけれども、国保を市町村単位から広域化する、県単位という話があるんですが、単純に見ますと、小規模な自治体ほど収納率もいいし、国保の財政いいと思うんですね。一番悪いのはやっぱり政令指定都市。規模が大きくなればなるほど運営困難になっているわけで、保険者として大きくなることのメリットというのはもちろんあるかもしれませんが、やっぱり保険者機能というような点で見れば、むしろ小規模なままの方がいろいろときめ細かい対応ができる、保険としての運営もうまくいくという面はないんでしょうか。その点はどういうふうに今回の、今の方向をお考えなのか、お聞かせ願いたいと思うんですが。

参考人(山本文男君)

 小規模がいいのか大規模がいいのかということは、やり方じゃないでしょうか。だから、やっぱり運営の仕方、これ仕組みは決まっているわけですから、これは議論するところはないと思いますけれども、運営の仕方、やり方がそれを支配するんじゃないでしょうかね。小がいいか大がいいかということになるわけですね。

 だから、小が必ずしもいいとは言えないと私は思いますね。大で、何かやっぱりそれが悪いというのは欠陥があると私は思いますね。そういう欠陥を早く見付けて是正していけば、大でうまくいくんじゃないでしょうかね。それから、小は幾らやったって小以上のものは出てこないんですよ。だから、やはりこの小さいところは連合して、ある程度の規模、能力を持つようにすることこそ大事じゃないでしょうか。

 そういう意味で、私は県単位でということをずっと以前から主張してまいりました。

小池晃君

 山口県の柳井市長の河内山さん、衆議院では参考人で来られているようですけれども、国保新聞なんかのインタビュー見ますと、やっぱり小規模自治体では収納対策はかなり徹底してやっていると、そういう中で、払うべき人にはほとんど払っていただいているという現状があるんだという、そんなお話されていて、なるほどそうなのかなと。幾ら収納対策ということで民間委託とか、あれこれ手の問題考えてもどうしようもないんだというふうにおっしゃっていまして、現場はそんな感じなのかなというふうに思っているんですね。

 やっぱり、この滞納の問題を解決していく上でも、やはり先ほど辻参考人からもお話ありましたけれども、やっぱり高過ぎる保険料ということについて、何らかのやっぱり財政的な手当てをする、あるいは減免制度ということを本当に進めていくということなしにこの滞納の問題解決することというのは難しいんではないか、これが現場の実態ではないかというふうに思うんですが、その点はいかがお考えですか。

参考人(山本文男君)

 人口構成が違うんですよ、大きいところと小さいところは。やはり私の町でも、昔から住んでいる人たちのところは収納率が非常に高いんですよ。ところが、私のところでも中心部になるところはいろいろな人が住んでいるわけですね。例えば低所得者もおりますし、失業している人もおります。ところが、昔からそういうところのない地域だってあるわけですね。だから、そういうところは収納率が高くて、私が今申し上げたようなところは低いわけです。

 だから、大きくなればなるほど人口構成というのが随分変わってきますから、失業者もおれば、何といいますか、低所得者もたくさんいる、あるいは老人が多いとか、こういうようなことなどがあって収納率が落ちるんです。

 だから、そこら辺りをどう考えていけばいいのかということを考えることが大事じゃないでしょうかね。だから、小だからいい、大だから悪いという意味じゃなくて、人口構成がそういうふうになっているわけですから、それにどう対応していくかということを大きいところは考えていけばうまくいくんじゃないかと、そういうように思いますがね。

小池晃君

 最後に渡辺参考人に。

 先ほど渡辺参考人のお話の中で、乱暴な医療費の抑制のやり方というお話あって、これは正に経済財政諮問会議の民間議員が言っているようなことを指しておられるんだと思うんですが、先ほども同様の質問あったわけですが、そもそもこの考え方の枠組みとして、GDPという問題と医療費、社会保障給付費というのを結び付けることというのは私はナンセンスではないかというふうに考えているんですけれども、その点について考え方、どういうふうに見ておられるか、最後にちょっとお伺いをしたいと思うんですが。

参考人(渡辺俊介君)

 私自身は、先ほど申し上げたように、今の医療費をGDPとパラレルな考え方というのは反対だということははっきり申し上げました。

 ただ、やはり経済とのバランスという問題がありますから、私、先ほど九とか一〇とかという例えばの数字を出したわけでありまして、幾ら、とにかく医療費が必要だ、年金が必要だ、介護必要だから青天井でいいとは私は考えておりません。やはり何らかの経済とのバランスというのを考える必要があると。その場合の一つの指標として、GDPとの関係といった考え方は私は決して排除してはならないと、そのように私は思っております。

 そんなことでよろしゅうございますか。

小池晃君

 終わります。

 ありがとうございました。

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