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日本共産党参議院議員・医師 小池晃 アーカイブ[〜2008] 日本共産党参議院議員・医師 小池晃 アーカイブ[〜2008] 日本共産党参議院議員・医師 小池晃 アーカイブ[〜2008]

162 通常国会 参議院厚生労働委員会

国の補助金等の整理及び合理化等に伴う国民健康保険法等の一部を改正する法律案及び介護保険法施行法の一部を改正する法律案

  • 学童保育の補助金/障害児・長時間加算復活しました/実った国会内外の運動(関連記事

2005年3月31日(木)


小池晃君

 日本共産党の小池晃です。

 介護保険法施行法の方について最初に聞きたいと思うんですが、これはいわゆる発足時の特別対策のうち、介護保険法施行前からの特養ホーム入所者の負担軽減という措置ですが、今回、一方で、旧措置入所者で非該当要支援入所者の継続入所の経過措置を打ち切られます。これ該当者は現在で何人で、どういう対処をされようとしているのか、お答え願います。

政府参考人(中村秀一君)

 要支援あるいは非該当であっても、介護保険法施行法によりまして猶予措置として特別養護老人ホームへの入所が認められている方は、平成十三年四月には約二千八百人でございましたが、徐々に減少し、平成十六年十二月末には百九十一人となっていたところでございます。

 その後も退所計画等々受入先の調整を行いました結果、各自治体による退所後の受入先の調整が済みまして、現時点ではお二人の方が現在入院中でございまして最終調整が済んでおりませんが、そのお二人を除きますと最終調整が済んだという状況でございます。

小池晃君

 行き場のない高齢者、たとえ一人であっても生まれてもいけないと思いますので、ここは最後まで責任持って追い掛けていただきたいというふうに思います。

 あわせて、ホームヘルプサービス利用者の負担を、これは制度発足最初は三%、二〇〇三年度から六%に軽減していったわけですが、これいよいよ廃止すると。四月から一〇%になると。この在宅の軽減措置を受けている対象人数は何人でしょうか。端的にお答えください。

政府参考人(中村秀一君)

 お答え申し上げます。

 委員の方から御指摘のありました経過措置の対象人数でございますが、平成十二年に二十六万四千二百六十八人おられました。平成十六年度は十一万二千九百二十六人という状況になっております。

小池晃君

 十一万人超える方が対象となっているわけです。この方々が六%負担が一〇%負担になると、平均するとどれだけ利用者負担が増えるのか、一人当たりの平均と及び総額の見込みをお示し願いたいと思います。

政府参考人(中村秀一君)

 お答え申し上げます。

 現在、訪問介護の受給者一人当たりの一月の費用額の平均が約五万円でございます。現在の六%負担では一月当たり約三千円の利用者負担でございます。この措置が本年度をもって終了いたしますので、一〇%負担になりますと一月当たり約二千円程度の御負担の増となります。利用者負担の総額でございますが、先ほど申し上げましたように、年々利用者の方減少はいたしておりますので正確に見込むことは非常に困難と思われますが、平成十六年度の対象人数をそのまま当てはめれば、おおむね二十億円程度と考えられます。

小池晃君

 二千円とはいえ、低所得の高齢者の現状というのはこの負担に耐えられる状況にあるのか。

 あわせて、国の対策が不十分なために多くの自治体がこの国の軽減措置に上乗せした制度をつくってまいりました。例えば、東京では十九の自治体がこの在宅の特別対策のいわゆる横出し、上乗せを行っております。そのうち九自治体が横出しということで、かつてからの利用者だけでなく新規利用者も対象にした。十自治体は国の所得制限よりも緩和をした。四自治体は上乗せとして六%負担を三%に据え置いている。しかし、今回の国の特別対策の打切りに伴って、十九自治体のうち十二自治体が利用者に一〇%負担を求めると、独自対策やめるというふうに言っているようです。

 局長にお伺いしたいんですが、今回の国のこの在宅利用料の減免を終了ということが、自治体のその独自の減免制度の縮小や打切りにどういう影響を与えるのかということを把握していらっしゃいますか。

政府参考人(中村秀一君)

 今回終了されます負担軽減措置は、元来、平成十二年度から予算措置として五年限りという計画でやってまいりまして、先ほど委員から御指摘ありましたように、最初の三年間は三%、平成十五年度以降二年間は六%と、段階的に上げてきているところでございます。

 予定どおり経過措置を終了するということで、地方自治体の取組は正に委員御発言のとおり独自の取組でございまして、本措置の終了とその独自の取組の関係ということについては、自治体それぞれの御判断ではないかというふうに思っておりますので、私ども承知していない状況でございます。

小池晃君

 私、そういうことでは本当に厚生労働省として責任果たしていることになるのだろうかと思うんです。やっぱり、住民にしてみれば、国の制度と自治体の制度が両方合わさって軽減されている。国がやめればやっぱり自治体にそういう影響が出てくるということを、やっぱりそこまで見てこれ考えるべきだと。

 先ほどのお話では、あらあら計算で利用者の負担増というのは事業費ベースで二十億円ということですから、これは国の負担というのは介護保険でいえば二分の一なわけですから、これはざっと計算すれば、国庫負担というのは十億円あれば六%の軽減措置を継続できるというふうに考えてよろしいわけですね。

政府参考人(中村秀一君)

 この軽減措置自体は、委員の方から介護保険だというお話がございましたが、この措置は予算措置として埋めておりますので、二分の一でございますので、十億円というのは委員そのとおりでございます。

小池晃君

 大臣、今までの議論を踏まえてお聞きしたいんですけれども、これ激変緩和ということで始めて、五年間の措置だったとは言うけれども、やはり低所得高齢者の生活実態というのはこの五年間でむしろ悪化しているわけです。医療費が負担増えていますし、年金も下がってきていると。これは六%を一〇%に上げると実態としてどうなるかというと、例えば、一日二時間の訪問介護を週五日間利用して、六%負担だと月九千八百円、これ一〇%になると月一万六千三百円になるわけで、こういう方だと六千五百円負担増になる。これ、本当に非常に重い負担になっていくわけですね。

 先ほどお話あったように、国庫負担十億円あればこれ継続できるわけですから、私は、今の経済情勢考えれば、本当であればやっぱり私、三%、あるいは低所得者はもっと軽減する必要があると思うけど、せめてやっぱり今やっている六%の措置というのは継続していくということが必要なんじゃないですか。いかがですか。

国務大臣(尾辻秀久君)

 今お触れになっております軽減措置といいますものは、介護保険法の施行の前に利用をしていた方々の利用者負担の激変緩和のために、これも局長から申し上げておりますように、予算上の措置として講じられたものでございます。したがいまして、これは激変緩和のための措置でございますから、本年度末をもって予定どおり終了をすることになっております。

 そうなりますと、その方々も施行後に初めてサービスを利用なさる皆さんと同様の取扱いになるわけでございますから、そうなると、改めてその対象の方の所得状況の変化を踏まえて措置をするということになるわけでございまして、そうした措置は続くわけでございますから、十分私どもとしてはそうしたことにも考慮をしたものと考えておるところであります。

小池晃君

 いや、私は、やはり在宅の方はこれ、負担軽減始めたけれども継続するというわけですよ。やっぱり今の経済情勢考えれば、良くなっている要素は恐らく高齢者の介護を受けているような生活の方には、今の経済指標見たって良くなっているような指標一つもないと思いますよ。だから、そういう実態考えれば私はこれを継続するということがあっていいのではないかと言っているんです。決めたんだから五年で終わるんだじゃ、これじゃ政治の責任というのは果たせないわけですから、ここのところは、やっぱり今の経済情勢とか高齢者の置かれている実態考えて、特養ホームだけではなくて在宅も負担軽減措置を継続すべきだということを検討すべきだというふうに思います。

 引き続いて、今回、国庫負担金一般財源化、廃止する養護老人ホーム、一歳六か月児、三歳児の健康診査、それから麻薬取締員等に関する経費について聞きますが、これらは法律上は特別な位置付けがあったわけです。わざわざ列挙して地方財政法第十条で規定している国庫負担金で、これらの国庫負担金は奨励的な補助金とは明確に区分される負担金なんですね。これを一般財源化するということであれば、私はその影響について十分な検討必要だと思いますが、これ、十分検討されたんですか。

副大臣(西博義君)

 今回の補助負担金の廃止に関しましては、昨年、地方六団体の提案を受けまして、私どもも一つ一つ検討してきたところでございます。その考え方は、同化、既に各市町村に同化し、また定着した事務について、これは負担金の廃止をしようと、また、かつ、その代わり財源移譲の手当てをきっちりと行おうと、こういうことでございます。このことに伴いまして、各法における負担の規定、それから地方財政法第十条における関連部分を削除させていただきます。

 養護老人ホームの措置、それから一歳六か月児の健診等、また麻薬取締員の設置等につきましては、法律上、市町村又は都道府県の責務ということでこれは引き続き法律上残っておりますので、各自治体で適切に行っていただけるものと考えております。

小池晃君

 これはやっぱり一つ一つについてちゃんと影響を踏まえて検討したのだろうか、私はそこは極めて疑わしいというふうに今の説明聞いても思うんですね。特別な位置付けを持ったものを廃止するのであれば、それに対して影響をしっかり検討する必要あるはずだ。

 加えて、廃止される補助金の中で養護老人ホームについて、これは大臣にお伺いしたいんですが、この制度は市町村の措置制度として行われておりますが、これは本当に大事な事業で、今後ともこれ措置制度として維持していくということでこれはよろしいわけですね。

国務大臣(尾辻秀久君)

 これ、今も副大臣にお答えいただきましたけれども、同化定着をしておるという、市町村の事務として同化定着をしているというものについては市町村に税源を移譲したわけでございますけれども、そのうちの一つが養護老人ホームのものでございます。したがって、十七年度からその運営費に係る国庫負担金を廃止して市町村に税源移譲をいたします。

 したがいまして、養護老人ホームの入所について市町村が措置するという基本的な仕組みはこれまでと変わらないものでございます。

小池晃君

 養護老人ホームは、社会的不適応の方も含めて一人では生活できないいろんな課題を持った高齢者に対する支援の場です。最後のセーフティーネットでありますから、これは今後とも措置制度を維持するように強く求めたいというふうに思います。

 続いて、放課後児童健全育成事業についてお伺いをします。

 これは、三位一体改革の一環で、地方自治体の裁量を高めるというような理由で補助金の組替えが行われる予定ですが、その内容、長時間加算、障害児加算、土日祝日開設加算は廃止するということを聞いております。

 これ、簡単に御説明願いたいんですが、どういう組替えやるのか、廃止される三つの加算額は一学童当たりそれぞれ幾ら出されているのか、お答え願いたいと思います。

政府参考人(伍藤忠春君)

 今回のこの放課後児童クラブの改正の考え方でありますが、三位一体改革で、地方に対する補助金交付等につきましてはできるだけ簡素化をして使いやすいものにすると。そういったことと軌を一にして、こういう特別会計でやっております事業についても自由度を高めるということから見直しをしようというふうに考えたものでございます。

 今回、取りあえず課長会議でお示しをした基準単価でございますが、全国の放課後児童クラブの加算部分を従来の基本部分と一括をして基準額を設定するということにしておりまして、一つのモデルで申し上げますと、利用児童数が三十六人から七十人の放課後児童クラブの場合、長時間加算として従来入っておりましたのが五万二千円、それから障害児の受入れ加算として九万二千円、それから土日祝日開設加算ということで十七万八千円、こういったものが一クラブ当たりの加算部分になりますが、これを基本部分と一括をして、トータルで年間二百七十八万七千円という基準額で交付をしたいと、こういうことを、考えを示したところでございます。

小池晃君

 これによっていろんな被害が出てくると。実際にはその補助金額が減らされる学童出てくるんですね。

 例えば、この長時間加算、障害児加算、土日祝日開設加算、こういう加算なくなる。この三つの加算すべて受けていた学童保育では、これまで合計百二十一万八千円の加算があったのに、それが廃止されて、増額分は一律三十二・二万円しか出ない。九十万円近い差額が生まれてしまうというわけです。これ、本来、本当に頑張って長時間開設やあるいは障害児の受入れやってきた、もう頑張っている学童保育を応援するというのが制度の、加算の趣旨だったはずなのに、こういったところの加算が大幅に減らされる。こういうことあっていいのかと。

 私、ちょっと財源についてお聞きしたいんですが、補助金の原資となっている厚生年金特別会計児童手当勘定の積立金幾らあるか。これ、二〇〇五年度予算の積立てからの受入額と二〇〇四年度の受入額示していただきたいと思います。

政府参考人(伍藤忠春君)

 児童手当勘定の積立金でありますが、十六年度当初七百三十四億円の積立金がございました。予算上は、この十六年度中にこれを百二十七億円取り崩すということで予算を組んでおります。したがいまして、これがそのままいけば自動的に十六年度末には六百七億円の積立金になると、こういうことになる予定であります。これは予定でありますから未確定でありますが、そういう計算になります。

 さらに、十七年度予算におきましては、健全育成事業のためにこれを更に百十八億円取り崩すと、こういう予算を組んでおるところでございます。

小池晃君

 ですから、積立金からの受入れ約十億円減らしているわけで、私、その子育て支援を充実させるためにも、この積立金を本当に有効に使うべきだというふうに思うんです。

 大臣、とりわけ重大な影響予想されるのは、これ障害児加算がなくなることで、この障害児の今学童保育への入所希望が非常に増えている。受け入れる学童も急増していると。二〇〇四年度でいえば、補助金の対象となっている学童のうち一割以上の千三百三十九か所が障害児加算を受けているんですね。これ、障害児の受入れには体制手厚くしなきゃいけないから、指導員の加配がどうしても必要だと。しかし、加算がなくなると、もう現在受け入れているところでも困難になるということを言われている。

 大臣、昨日の衆議院の厚生労働委員会でも、この問題で見直すという御答弁があったということで、私も質問しようと思って準備していて、このことは非常に歓迎をしたいと思っているんですが、これどのような形で見直すように方向として考えておられるのか。あわせて、障害児加算だけではなくて、あるいは長時間加算や土日開設についても、これはやはり全体としてやっぱり見直していくということが私は必要になっているんじゃないかと思うんですが、今回のこの学童保育に対する補助金の在り方、全体としてやっぱり見直していくということも含めて私は考えるべきだと思いますが、大臣、いかがですか。

国務大臣(尾辻秀久君)

 今お話しいただいておりますように、この制度は今日まではそれぞれに加算をしてきました。それを一括してお渡ししようということでございますけれども、そういたしますと、今までのこの障害児受入れ加算というここの部分は非常に今いろいろお話しいただいたような面での問題もあるというふうに考えますので、それでいろいろ今御意見もいただいておりますから、そうした御意見も踏まえて、また地方自治体等の御意見もいただきながら検討をいたしますということを昨日申し上げたところでございます。具体的な中身までは、今まだ申し上げる段階ではございません。

小池晃君

 私、いろいろと実態聞きますと、本当に非常にわずかな予算の中で頑張っておられる。働いている指導員の方の労働条件なんかも本当に大変なんですね。そういう意味では、やっぱり細かい問題もちろんありますが、全体として抜本的に財政的な支援を強めるということを含めて検討するべきときなんだということを是非大臣には検討していただきたいというふうに思いますが、そういうことでいかがでしょうか。

国務大臣(尾辻秀久君)

 昨日、衆議院の厚生労働委員会で申し上げたのは、少なくともまず障害児の加算の部分だけは検討いたしますということを申し上げたところでございます。

小池晃君

 是非そこにとどまらずにやっていただきたいということを重ねて申し上げたいと思います。

 続いて、国民年金法のことですが、今回の法改定の中身は、昨年の年金課税の見直し分に加えて、定率減税の縮小による増収を充てるということで、この手当てのやり方には我々反対です。今日は運用上生じている問題をちょっとお聞きしたいんですが、公的年金受給者への課税と扶養親族等申告書という、この問題です。

 今年の二月に、公的年金等控除、老年者控除の見直しで、何でこんなに税金増えたんだという問い合わせが私の事務所にもたくさん参りまして、月額一万円も源泉徴収されているという声もありました。そういう中の人で、例えば都内の六十三歳の男性で年金月額十四万五千円の方、この方、本来課税額は三千五百円なのに一万円以上源泉徴収されている、おかしいなと思って問い合わせてみたらば、扶養親族等申告書を出してなかったからだということが分かりました。この方は去年御夫人が亡くなって独居世帯となったので扶養親族等申告書は出さなくてもいいと思ったというふうに言っていらっしゃるんですね。

 これ、年金受給者で税金を源泉徴収される人は、扶養親族いない人も含めて扶養親族等申告書を出せと社会保険庁から求められておって、提出しなければ基礎控除も受けられないし、公的年金等控除も一部しか適用されないし、定率減税も適用されないと。その結果、今日資料でお配りしましたけれども、この申告書を出さないと年間十万円から十二万円ぐらい税金取られ過ぎになる人が出るわけです。この例でいえば、六十五歳以上の独り暮らしの方で年金月額十四万円の方で、この書類出さないと年間十二万一千二百円の取られ過ぎになる。あるいは、年金月額十万円の場合では八万四百円になる。国税庁、財務省か、おいでだと思うんですが、この計算で間違いないですね。

政府参考人(加藤治彦君)

 結構でございます。

委員長(岸宏一君)

 財務省加藤審議官。

政府参考人(加藤治彦君)

 失礼しました。

 今御指摘の点につきましては、資料の計算のとおりでございます。

小池晃君

 社会保険庁にお聞きをしたいと思うんですが、これ、今年度、扶養親族等申告書の送付数と高齢者から返ってきた数は幾つでしょうか。

政府参考人(青柳親房君)

 平成十七年にお支払をする年金に係ります公的年金等の受給者の扶養親族等申告書につきまして、その送付件数六百六十八万件になっております。また、提出件数は、三月二十三日現在ではございますが、六百五十万件となっております。

小池晃君

 十八万件ぐらい返ってきていないわけです。

 サラリーマンの場合は、これ出さないと経理部辺りからこれ出してくださいというふうになるわけですが、年金暮らしで、例えば独り暮らしの高齢者の場合、扶養親族等申告書出しなさいと言われても、扶養家族いないからというふうに思っちゃう人出るの、私、これあり得ることだと。実際そういう相談来ているんですよ。

 これ財務省にもう一回お聞きしますが、年金暮らしの高齢者の場合に、提出を督促するような仕組みというのはあるんでしょうか。

政府参考人(加藤治彦君)

 税法上はそういう督促する制度というのはございません。

小池晃君

 大臣ね、この仮に十八万件のうち、いろんな事情があって出さない人もいるんですね。だから、誤解によって出さなかった人が一万件だったとしても、これ一年間で十億円ぐらいの取り過ぎになるわけなんですよ。一人一人にとってみると、これ十万円税金を取られ過ぎちゃうというのは私は深刻なことだと思うので、これ、社会保険庁が送っているこの手引が二十ページぐらいあるんですが、これ、本当によく読まないと分かんないんですね、特に高齢者にしてみると。扶養親族がいない人も対象だと、なかなかそういうふうに分かりにくい仕組みになっていて、提出しないと十万円以上税金取られ過ぎちゃいますよなんということはもちろん書いてないわけです。

 大臣ね、これもっと、私、相談受けて実感したんですが、分かりやすくしないといけないんじゃないかと。提出しない場合どういう損害が起こるのかとか、あるいは未提出の方にちょっと何らかの形で呼び掛けるとか、あるいは、そもそもこの扶養親族等申告書という名前がこれでいいのかということも含めて、これ検討した方がいいんじゃないかと思うんですが、大臣、いかがですか。

国務大臣(尾辻秀久君)

 今のお話でありますけれども、現在、社会保険庁におきましては、年金受給者の皆様から扶養親族等申告書を正しく提出していただくために、記入方法等を記載した冊子を扶養親族等申告書に同封してお送りをしております。今のお話であります。

 しかし、それが分かりにくいというお話でございますので、この冊子についてもっと分かりやすく解説してほしいなどの御意見もいただいておりますから、できるだけ分かりやすいものになるように工夫をしてまいりたいと思いますし、今のどう呼ぶかという呼び方も、分かりやすくした方がいいということもあるかもしれません。そうしたこと全部、できるだけ分かりやすくという立場から検討を、努力をさせていただきます。

小池晃君

 財務省にもう一回お聞きしたいんですが、これ、取られ過ぎちゃったということに気付いた場合に救済する制度はあるんでしょうか。

政府参考人(加藤治彦君)

 今御指摘の税につきましては、いわゆる源泉徴収の税でございますので、最終的には、これ、確定申告によって還付を受けることができます。かつ、その還付は確定申告をすることができるときから五年間できますので、その間に申告をしていただければ当然本来の税額に戻るということでございます。

小池晃君

 この高齢者に税負担を広く求めるということ自体に我々は賛成しているわけじゃないですが、こういうことをやる以上、やっぱりきちっとその権利を保障するような広報、周知徹底すべきだし、この名称については財務省、国税庁の方にも是非検討していただきたいというふうに思います。これ、やっぱりこういう名前で誤解生まれるということをやっぱり真剣に検討すべきだというふうに思います。

 残り時間、交付金の問題についてお伺いをしたいと思うんですが、今回創設される介護地域空間整備等交付金、次世代育成支援交付金ですが、これは自由裁量なんだ、自主性、裁量性を尊重した柔軟な対応が可能なんだと言うけれども、結局国の方針に沿った計画かどうかを採択するのは、これ厚生労働省なわけですから、私は、自由といってもおのずから限界があるということになるんじゃないかと思いますが、この基本的な考え方について、大臣、いかがですか。

副大臣(西博義君)

 今後、高齢化が進行する中で、介護サービス基盤の整備、大変重要なことでございます。

  〔委員長退席、理事武見敬三君着席〕

 その中で、高齢化の状況、それから介護基盤整備の状況を見てみますと、委員も御承知のように、まだまだ地域間の大きな格差が存在していると、こういうことがございます。また、基盤の整備は、これ、介護費用の増大に大きく直結するということもございまして、全国的にバランスの取れた整備を進めていくということが今後とも必要だというふうに考えておりまして、そういう意味で国の助成制度を存続するということにさせていただきました。

 今回の交付金によって整備が進んでいない地域に対しては重点的な支援を行うということで、在宅サービスと施設サービスのバランス、それから地域に密着したサービス、これ、今後広めようとしておりますが、そういうサービス。それから、広域的なサービス、特養等のサービスでございますが、そういうもののバランスなどに配慮した整備が進められていくようにということで、そこの部分が今後大事だというふうに考えております。

 そういう面におきまして、今回の交付金化によりまして、自治体の創意工夫、それから裁量、これがかなり幅広く可能性が存在するということと、それから、事務量等につきましても、国とのやり取りが基本的には往復を何回もするというような事情がこれからはなくなってまいりますので、そういう意味では、自治体の裁量性が大きく前進するのではないかというふうに考えているところでございます。

小池晃君

 霞が関と行ったり来たりするのが減るから裁量が増えるということにはならないわけでね、これは仕組みそのものにも私、大変な問題があると思いますが、問題は、その金額がこれまでに比べて大幅にこれ減っているわけですね。

  〔理事武見敬三君退席、委員長着席〕

 今回、介護施設整備費補助金に替わって介護地域・空間整備等交付金になって、これ新年度の交付額は八百六十六億円。二〇〇四年度は予算不足が大問題になって、このときが九百三十一億円。更に六十五億円減っているわけです。

 二〇〇四年度、どんなことが起こったかというと、これは通知で前年実績の三分の二しか認めないということになって大問題になったわけですね。例えば東京では十七件、これ、実際もう自治体のところでは合意に至っていたけれども、駄目だというんで、結局八件だけになった。例えば東京の足立区でいうと、待機者は二千百七十四人いるんですが、昨年予定していた四か所のうち二か所しか採択されない。

 新たな整備進まないと、待機者解消のめど、全く立たないという実態で、こういう金額で、これ厚労省、局長、安心できる介護保険の基盤整備ができるんですか。

政府参考人(中村秀一君)

 お答え申し上げます。

 予算額につきましては、ただいま委員からお話がございましたように、十七年度、交付金として八百六十六億円計上いたしております。十六年度、社会福祉施設整備費で介護関係の部分が九百三十一億円でございまして、そういった意味では約七%減額いたしておりますが、これは非常に厚生労働省予算厳しい状況の中で、公共投資関係経費が前年度一一・二%減になる中で何とかこの予算を確保したと、こういうものでございます。

 整備量につきましては、平成十五年度、十六年度、新規の整備量が年間一万四千五百人程度となっておりまして、十七年度においてもこの一万四千五百人程度の新規の整備量が確保されると、こういうふうに考えております。

小池晃君

 とてもこれで大丈夫とは言えないと思うんですね。厳しい予算の中で頑張ったんだということにしか説明、御説明できないと思うんですが、加えて、その八百六十六億円のうち二百二十五億円は介護予防の拠点整備の予算とされていますから、実際に今までの補助金との関係でいえば六百四十一億円ということになって、これでは前年の七割以下の整備しかできないということになりかねない。

 しかも、この単価も下げているわけですよ。二〇〇四年度で小規模生活単位型特別養護老人ホームでいうと、一人当たり、国、二百五十万円ですが、これ、新たな交付金の基準額は一人当たり二百二十五万円ですから、一割カットであります。このほかにも加算がなくなる例があって、例えば、デイサービス併設百人規模の特養の整備を予定していた事業者が、これ計算してもらいますと、国と都から来るはずだった補助金が一億五千万円マイナスになると、そういう説明も聞きました。

 こういうふうに、全体もそうですが、単価そのものも減らしていくということになれば、これは地方の整備に水差すことにならないんですか。

政府参考人(中村秀一君)

 現在、交付金に変わることに伴いまして、準備のために都道府県の方に様々な資料を配付し、準備を進めていただいております。

 今委員御指摘の配分基礎単価が、特別養護老人ホーム等については一人当たり二百二十五万円でございますが、これを単価といたしまして建設工事の地域格差等については調整率を掛け、高いところ低いところをつくるとか、様々加算あるいは減算、そういう制度をつくっておりますので、基本的には従来の建設単価と乖離が少ないものと、こういうふうに考えております。

小池晃君

 そんなことないわけでね、あるところを増やせばあるところを減らすわけで、全体として基準額減らしているんですから、これ、全体として減額はこれは動かし難い事実であると思うんですね。

 大臣、今日は資料で配付させていただいて、これは予算委員会で使ったものをもう一回ちょっとお示ししておりますが、特養ホームの待機者数はどんどんどんどん増えている、その一方でその施設整備費、予算削ってきた。大臣、昨年の臨時国会で私質問して、待機者数の調査をしていただくということで、三十三万八千人というふうに御報告がありまして、これは介護保険スタート前の十万人から三十四万人まで増えている。正にバッテンで、特養ホームの待機者増える一方、予算はどんどん減っていく。こうした実態に照らしても、私は予算を削減していくという今回の中身は国民の願いからいっても逆行ではないかと思いますが、いかがですか。

国務大臣(尾辻秀久君)

 昨年十一月に先生からお尋ねがございましたので、調べてみましたところ、各都道府県で把握をしております特別養護老人ホームへの入所申込み者数を単純に足しますと、三十三万八千人になります。そこで、そのようにお答えを申し上げたところでございます。

 ただ、この三十三万八千人の中身でありますけれども、複数施設に申し込んでおられる方もあります。それから、実は要介護度三以下の方が六割おられます。そういうことを見ますと、この三十三万八千人という人数が直ちに入所を必要とする方の人数を示すものではないと考えておるところでございます。まず、そのことを一点申し上げます。

 それからまた、高齢者御本人あるいは家族の方ともできる限り在宅での介護を望む方が多いことを考えますと、これからの介護サービスの基盤、介護サービス基盤の整備についていいますと、地域密着型サービスを含め、居宅サービスに厚みを持たせていくことが重要だと考えております。

 しかし、とはいえ、施設の整備ももちろん必要なことでございますから、今回の交付金化に伴いまして、限られた予算の中でも、今お話しいただいておりますように、予算額は確かに減っておりますけれども、その限られた予算の中でも地域の創意工夫を生かした効率的な基盤整備が進められると考えておりまして、そのことによりまして介護サービス基盤の施設の方の整備も進むものと考えておるところでございます。

小池晃君

 待機者の数は、これ、緊急に入所が必要だという、厳選して発表している県もあって、そういったものの積み上げでできている数字ですから、何かこれが正確でないかのような言い方は私はおかしいと思う。もしそういうことをおっしゃるんであれば、きちっと調べるべきだし、現時点である数字、これだけなんですから、やっぱりこれを基礎に考えていくべきだというふうに思うんです。

 それから、在宅、できるだけ在宅で、もちろんそれは願いだと思いますが、それができる環境がつくられていないからこそ今こういう事態が起こっている。地域密着型サービスのお話もありました。今回のこの交付金というのはそこにも充てられるわけです。

 しかし、都道府県や市町村は非常に、名目としては、掛け声としては何か地域密着型と言われているけれども、実態を見ると、どれだけお金来るか分からないという声が出てきていて、地域密着型サービス進めると言われても、めど立たないという声が圧倒的に自治体からは聞こえてまいります。

 その点では、特養も含めてですが、今回の交付金というのは地域密着型サービスなんかも含めて全体としてやるわけでしょう。これがこんな水準でいいのか。もっとやっぱり在宅を、できる限り在宅での暮らしができるようなということであれば、それに見合う十分な予算をやっぱり確保してから言うべきことではないかと思いますが、その点いかがですか。

政府参考人(中村秀一君)

 今回の交付金制度、市町村の今お話のございました地域密着型サービスの基盤整備、それから特別養護老人ホームなど、広域型の入所施設の整備、手を携えてやっていくと。地域の実情を踏まえたバランスの取れたサービス基盤整備をつくっていくことが必要であると考えております。

 介護保険の事業計画は三年単位で制定されておりまして、十八年度四月からまた新たな整備、事業計画が始まりますので、またそういった地域のニーズ、御要望というものも十分踏まえながら、国としても必要な予算の確保に努めてまいりたいと考えております。

小池晃君

 国からどれだけ交付金来るのか分からないということで、自治体独自の上乗せをカットする動きも出てきています。横浜市ではグループホーム整備を進めるために行ってきた市の上乗せ補助金三億円を削減すると。

 結局、こういう中で整備が進むのだろうか。本当に住み慣れた地域で暮らしていける体制をというのであれば、それにふさわしい特養にしても地域にしても抜本的な財政支援をしていくことが必要だというふうに思います。

 最後に、次世代育成交付金について幾つかお聞きしたいんですが、これは保育所の待機児童は六万二千百六十四人、〇二年の十月から〇四年十一月の六万八千四百二十人と増えている。先ほどのグラフのもう一つの方ですが、どんどん増えている。にもかかわらず、予算額は〇二年度の三百六十六億円から〇五年度の百六十七億円と減っているわけです。待機児解消だと言いながら予算を減らすということで、どうやってこの問題を解決していこうとお考えなんですか。

政府参考人(伍藤忠春君)

 今回の施設整備でありますが、百六十七億円ということで児童関係の施設整備を行うということにしておりますが、当初予算の経費としては必ずしも今まで、過去の数年に比べて小さいものではないということでありますから、私どもは限られた財源を非常に有効に使っていかなきゃいかぬということで考えております。

 一つは、できるだけ待機児といった緊急を要するような自治体に有効に使っていただくということで、単なる改築とか修繕といったようなこと、若干我慢していただけるところは我慢をしていただいて、非常にニーズの高い、そういった新しい定員の増あるいは創設といったようなところをできるだけ重点的にこの整備の交付金を充てていきたいというふうに考えておるのが一つであります。

 それから、保育所の定員を拡大するということもこの数年やってまいりましたが、それと併せて幼稚園の預かり保育という、これは文科省の施策でありますが、これによってもかなりの定員増といいますか、人員を吸収しておりますから、こういったことも併せてやっていきたい。

 それから、施設整備だけではなくて、保育所の弾力化、定員の弾力化ということで、できるだけ、最低基準を満たす限りにおいてはできるだけたくさんの子供を受け入れていただくように各施設にお願いすると、こういった三本柱で今までも進めてまいりましたので、今回の財源を有効に使うということと併せてそういった施策を並行して進めていきたいというふうに考えております。

小池晃君

 いろいろやっていて待機児減っているんだったら、ああそうですねと言ってもいいんだけれども、増えているわけですから解消されていないわけです。そういう中で予算を減らすということが、これはおかしいじゃないかと言っているわけですね。

 しかも、この厚労省の通達見ますとこう言っているんです。交付金により、従来の施設ごとによる補助が整備計画に対する交付となり、自治体の裁量で柔軟な執行が可能になると。これ読むと何か希望がわいてくるわけですが、その後何て書いてあるかというと、平成十七年度の協議予定額は予算額を大幅に上回ることが見込まれており、極めて厳しい調整をせざるを得ない、こういうふうに通達に書いてあるんですね。これが実態です。

 整備計画の策定基準にはこう書いてあるんですね。単に待機児童数の把握にとどまらず、入所等の必要性の調査など実態を的確に把握し、中長期的視点から真に必要性が認められ、かつ施設整備の目的、計画等が具体的であること。

 結局、こういうやり方では、各自治体の自由な裁量に任せる交付金だって言いながら、柔軟な対応が可能だっていうふうに言いながら、一方では抑制しなさい、極めてぎりぎり、必要性を把握してやりなさい、これ、こういうやり方じゃ自由どころか抑制なんじゃないですか、局長、いかがですか。

政府参考人(伍藤忠春君)

 先ほど来申し上げておりますように、いずれにしても全体の財源の枠内で予算というのを編成するわけでありますから、児童分野に充てられた金額、その中でも、こういった保育、待機児童対策に充てられる財源にも自ずから限界があるわけでありまして、過去は補正予算といったような形でこれを補うというような措置も一時とったこともありましたが、そういったことは別にして、通常予算としては今この金額が当初予算でぎりぎり編成をできた数値でございますから、これをできる限り工夫していくということに私どもは尽きるわけでありますので、この有効な財源の活用と併せて、いろんな先ほど申し上げましたような各種の施策を総合的にやっていきたいというふうに考えております。

小池晃君

 交付金、補助金を交付金と変えたからといって自由度や裁量が拡大するわけじゃないんだと。現場のやっぱり要求というのがあって、それを本当に下回るような規模の財源しか用意されていなければ、本当に、運用というのは本当に制約的にならざるを得ないわけで、やっぱりこの名前変えるだけじゃなくて、規模の問題、本当に真剣に考えなきゃいけないと。

 厚生労働省、常々少子化対策は国を挙げて取り組む責任があるんだということを言って、その一方で予算額を削るということをやっているわけですから、私は、少子化対策の責任があると言うのであれば、国民の要望にしっかりこたえる、待機児が増えているのであれば、それに対して予算も増やしていくという当然のことをやっていくということを是非求めたいというふうに思います。

 以上で質問を終わります。

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