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日本共産党参議院議員・医師 小池晃 アーカイブ[〜2008] 日本共産党参議院議員・医師 小池晃 アーカイブ[〜2008] 日本共産党参議院議員・医師 小池晃 アーカイブ[〜2008]

162通常国会 参議院厚生労働委員会
臨床検査技師、衛生検査技師等に関する法律の一部を改正する法律案

2005年4月21日(木)


小池晃君

 日本共産党の小池晃です。

 最初、政府にお聞きしますが、臨床検査技師の検査業務、これはもう技術の進歩、あるいはその複雑な検査機器を使わなければいけない、それから厳密な精度管理の下で仕事を、膨大な件数の検査を実施しなければならない。そういう意味では、本当に質の向上を図っていくことは非常に大事だと思うんですが、最初に、二〇〇一年から二〇〇四年までの臨床検査技師学校、養成所の数と定員をお示しいただきたいのと、どれだけの養成を厚労省として計画されているのか、計画があれば目標を示していただきたいと。

政府参考人(岩尾總一郎君)

 臨床検査技師の養成施設ですが、文部科学大臣の指定する大学と厚生労働大臣が指定する養成所がございます。

 平成十三年、五十九施設で二千九百五十四人、平成十四年、五十六施設、二千八百五十四人、平成十五年度、四十五施設、二千三百四十四人、平成十六年度、三十八施設、二千百四人と減少しております。新たに免許を受ける者の数は、おおむね三千人前後で推移していると思われます。

 また現在、臨床検査技師として免許を受けている者は、平成十五年現在、全国でおよそ十五万人おります。医療機関で働いている者は、平成十四年時点で五万四千人程度、このほか衛生検査所で働いている者もおりますが、現時点では臨床検査技師の供給が不足しているという声は聞いておりません。したがって、その供給目標等を示すということは今考えておりません。

小池晃君

 医療現場での必要性、役割は高まっている中で、学校は定員は減っているんですね。私は、やはり一定の目標というのは国として持ってこの養成に当たっていくということは必要なのではないかと思うんですが、大臣、その点での御見解をお聞かせください。

国務大臣(尾辻秀久君)

 臨床検査技師の役割が大きくなっているというのはそのとおりでございます。ただ一方、聞いてみますと、検査業務の自動化が進んでいる、機械化が進んでいる、したがって、今のところ臨床検査技師が不足しておるということにもならない。こうなると、さあどうするんだということになるわけでありますが、ただ、まあ先生のお話は、しかし必要な人たちだし、役割も大きくなっているんだから、国が目標等を定めるべきだろうというお話でしょうが、今のところ、繰り返しになりますが、局長が申し上げましたように不足をしておるという声を聞かないものですから、目標を設定するということは考えてはおりません。ただ、今後は見守っていきたいというふうに思います。

小池晃君

 自然に任せるのではなくて、やはり国としての方針というのは、私、必要だというふうに思うんです。

 さらに、先ほど議論になりました「指導監督」を「指示の下に」と今回改正する問題について次にお聞きをしたいんですが、まず、繰り返しになるかもしれませんが、政府の方にお聞きをしたいんですが、そもそも「指導監督」というふうにした理由をお示しいただきたいと思います。

政府参考人(岩尾總一郎君)

 これは昭和三十三年の議員提案の衛生検査技師法の制定当時に入った言葉と承知しております。

 当時の国会の会議録によれば、他の医療関係資格法における医師の指示という言葉とおおむね同様の意味として医師の指導監督とした模様ですけれども、詳細についてはちょっと承知しておりません。指導監督の内容というのが、指導と最終的な責任を持つということで、検査現場の、検査業務の現場に立ち会って監視するという意味ではないという記録もあります。

小池晃君

 提案者にお聞きをしたいんですが、先ほど提案者は、指導監督を指示に変えても拘束力という点では変わらないんだという、そういうお話あったんですが、これも先ほど同僚議員から指摘あったように、「法令用語の常識」というのを見ますと、これは、指導というのは本質的に相手方に対する法的拘束力はないと、指示の場合のように相手方がこれをそのとおり遵守すべきことも期待されていないと、指導という言葉と指示を比べると、指示に比べてこれらの言葉の拘束力は更に弱くかつ軽いということになっている。ですから、指導監督が指示に変わるということは、これは純粋に言葉の意味で見れば、やはりその権限というのはこれは変わってくるということになるんじゃないですか。

衆議院議員(鴨下一郎君)

 今先生のお話では、むしろ指示の方が少し緩くなるんじゃないかと、こういうようなお話でありますけれども、これ、法の第二条の医師の指導監督についてと、こういうようなことで、これは昭和四十五年の通知において、指導監督は、臨床検査技師又は衛生検査技師の行う検査業務の個々について個別的、具体的な指示を行うことではなく、一般的、包括的な業務の調整を行うと、こういうようなことを意味していると、こういうような考えが示されておりまして、先ほど足立委員にも答弁を申し上げましたけれども、同様の趣旨から、これは臨床検査技師が業務を行うときに、他の言わば医療関係資格の業務に関する規定の表現とある意味で横並びと、こういうようなことでいうと、指示に変えるというようなことが、先生おっしゃるように、権限あるいは医師からの指示、指示若しくは指導監督というようなことで差異があるかどうかというようなことについては、実質的には差異は生じないと、こういうようなことで考えております。

小池晃君

 差異が生じないということなんですが、若干、私の下にも不安の声というか疑問の声が来ていまして、病理診断にかかわるドクターなんかは、指示の下ということになると、医師の指示があれば、基本的に細胞診あるいは胃や大腸の生検を行った場合に診断まで行うことができるということになりはしないのかというような不安の声まで来ているんですが、この点、技師さんの果たしている技術的な独自性と診断における医師の責任ということは明確にこれはすべきことだと思うんですが、その点、お願いします。

衆議院議員(鴨下一郎君)

 先生も御承知でお話しになっているんだろうと思いますけれども、今回の改正でも医師の指示の下に行うと、こういうようなことにしておりますし、言わば細胞診だとか腸管の生検の診断、こういうようなことはもう一義的にそもそも診断でありますから、これは医師法の規定によって医師が独占的に行うと、こういうようなことで規定されておりますので、そういう意味で、今回答弁でも確認をしておきたいというふうに思います。

小池晃君

 それから、臨床検査技師の検査項目十六項目となっていますが、省令というふうに今回変える理由について。

 それから、新しい生理学的な検査項目出てきた場合に、これ厚労省の判断だけで機械的に取り組むのではなくて、やはり関係団体などとの協議を行うべきだと思うんですが、その点いかがでしょうか。

衆議院議員(鴨下一郎君)

 今回の改正では、臨床検査技師の行う生理学的検査の規定を政令委任から省令委任に改めましたわけでございますけれども、これはもう先ほどからの議論の中でも、医学、医療それから検査技術、あらゆることで急速な発展、進歩をしているわけでありますから、そういう中で、ある意味で迅速に、なおかつ患者さんの本位に立って即応できるようなことが必要だろうと、こういうような考えであります。

 ただ、そういう中で行っていく、先ほど先生おっしゃっているように、生理学的検査の項目については、これはその都度、言ってみれば関係の団体との協議をしていく、こういうようなことはもうもちろんのことでありますし、そういう専門的な職能集団との間で協議をしつつ進めていくというようなことで間違いないというふうに考えております。

小池晃君

 あわせて、衛生検査技師十三万三千人と言われていますが、今回資格廃止ということで雇用の不安が生まれないかということもあると思うんですが、その点どのように考えておられるか、教えてください。

衆議院議員(鴨下一郎君)

 今回の改正では衛生検査技師の資格を廃止すると、こういうようなことでございますけれども、経過措置を設けておりまして、引き続き衛生検査技師の名称を用いて微生物学的検査などの業務は継続できると、こういうようなことになっております。このため、衛生検査技師はこれまでどおりの業務を継続するというようなことでありますので、直ちに雇用に不安が生まれると、こういうようなことはないというふうに考えております。

 また、法の施行の際に、現に衛生検査技師の免許を受けている者については臨床検査技師国家試験の受験資格の特例を設けておりますので、段階的にそういうような意味での雇用不安が生まれないようにという配慮はなされているものと、こういうふうに考えております。

小池晃君

 はい、分かりました。

 今後のことをちょっと政府に残りお聞きしたいんですが、業務独占の範囲なんですけれども、検体検査について、中には非常に高度のものもあるし、そもそもやっぱり検体を受け取って目視して、色や粘度やそういったことも含めて専門家として判断するというところから仕事があるわけですから、ただ自動分析機に入れるというわけじゃないんで、私は、やはり検体検査も含めて業務独占にしていくということが、これは将来の方向として必要ではないかというふうに考えるんですが、その点についてどのようにお考えか、お答えください。

政府参考人(岩尾總一郎君)

 先ほど申し上げました平成十五年六月にまとめた中間取りまとめ、この在り方検討会の中間取りまとめでは、臨床検査技師の業務独占分野の拡大についてということで様々意見があったけれども、このような意見を踏まえて、当検討会としては、今回提案のあった検査については、検査技師等専門的な知識、技能を持った者が行うことが望ましいが、法律上の具体的な位置付けについては更に慎重な検討を行うべきという報告になっております。

 そういうことから、私どもが考えますと、検体検査が業務独占にならない理由としては、無資格者による当該検査行為の罰則の対象とする強い規制を必要とするほど現状で不都合が生じているかということについての慎重な検討、検証が必要であろう。それから、そもそも人体より採取された検体の検査行為そのものが、医師の医学的判断及び技術を持ってするのでなければ人体に危害を及ぼすあるいは及ぼすおそれのある行為、いわゆる医行為とは言い難いのではないかという点があるのではないかというふうに考えております。

小池晃君

 検体検査の結果いかんでは本当に人体に影響を及ぼすわけですから、私はやはり人の命、健康ということを優先した考え方でこの問題にも臨んでいくべきだ、今後の検討を求めたいというふうに思っております。

 時間ないんですが、輸血の問題もちょっとお聞きしたかったんですけれども、やはりこの間、輸血療法の実施指針の中でも、管理体制強化するということを厚生労働省としては方針として持っておられる。実態いろいろと聞くと、大学病院あるいは国公立病院などで輸血の専門部が整っているのかどうかと聞いたら、余り厚労省としては把握してないということもありました。これ、この分野でも本当に技師さんの活躍の分野というのがあると思いますので、強化をしていく必要があるということを申し上げておきたいと思うんです。

 その点で一点ちょっと、保険局長おいでいただいているのでお聞きしたいのは、輸血療法の実施にかかわる指針で、肝炎やHIVなどのウイルス感染症の有無を見るために輸血前と後で検査を行うことを通知しました。これ検査を行う必要があると通知があるんですけれども、これ実際その検査を行った場合に、輸血前も輸血後も保険の適用になるのかということについてお答えいただきたいと思います。

政府参考人(水田邦雄君)

 お答えいたします。

 御指摘の指針と申しますか、平成十六年九月の医薬食品局長通知、輸血療法の実施に関する指針がございますけれども、この指針に従いまして、輸血後肝炎それからヒト免疫不全ウイルス感染に関しまして、医師が感染リスクを考慮し、感染が疑われる場合に肝炎ウイルス関連マーカー検査など、又はHIV抗体検査を実施したとき、保険診療上、当該検査料を算定できることとなってございます。

小池晃君

 終わりますが、医療機関の現場では保険適用されるのかどうかということが分からないという声も上がっていますので、是非、社会保険事務局や支払基金にも改めて周知徹底をお願いしたいと思います。

 終わります。

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