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日本共産党参議院議員・医師 小池晃 アーカイブ[〜2008] 日本共産党参議院議員・医師 小池晃 アーカイブ[〜2008] 日本共産党参議院議員・医師 小池晃 アーカイブ[〜2008]

年金制度をはじめとする社会保障制度改革に関する両院合同会議

  • 年金/最低保障で底上げ/小池議員 空洞化解消で提案/社会保障両院合同会議(関連記事

2005年4月22日(金)


小池議員

 日本共産党の小池晃です。

 前回、最低保障年金制度を速やかに実現することを提案しました。それによって、無年金者がなくなり、月三万円の国民年金とか月十万円の厚生年金など、今の貧し過ぎる年金額を底上げすることができる、二十五年間保険料を払い続けないと一円も年金がもらえないという問題も解決し、年金制度全体の空洞化も解消に向かうと述べました。

 これに対して、最低保障年金があるイギリスでは、保険料を払わなくなり、無年金がふえているという自民党津島議員の発言がありましたので、調べてみましたけれども、イギリスで、最低所得保障制度の導入によって国民保険の納付率が下がったという情報は得られませんでした。イギリスでは、保険料と税が一緒に徴収されているので、保険料のみ払わないという事態は起こりにくい、一定所得水準未満の低所得者は保険料を納めなくてよいので、低所得を理由とする未払いも少ないと考えられるということでした。批判は当たらないということを初めに述べておきます。

 前回指摘したように、非常に深刻な無年金、低年金の高齢者の生活をどうするのか、さらに、現状のままでは、今後、無年金者、低年金者が激増していくという事態をどう打開するのかが極めて重要な問題だと思います。

 最低保障年金制度を否定する発言もありましたが、それならば、年金制度の空洞化で憲法二十五条の生存権がないがしろにされている実態をどう打開するのか、無年金、低年金をなくすためにどうするのか、責任ある提案が求められていると思います。

 意図的に払わない人をどうするのかという議論もありましたが、これはあくまで制度運用の問題であって、問われているのは、無年金、低年金をなくすのかなくさないのか、その基本的な立場こそ問われていると考えます。

 現状を見ると、現在、六十五歳以上で受給権のない無年金者が六十万人に上ります。六十歳未満で受給資格のない無年金者が三十九万人です。引き続き国民年金、厚生年金の空洞化が進んでおります。このままでは無年金者、低年金者がさらにふえていく。

 前回、遠山議員が、厚生年金、共済年金の加入者七千万人も分母に含めて、未加入、未納が五・五%と発言しましたが、全く性格の異なる強制徴収の制度まで含めて未納率を小さく見せようとするのは余りにもこそくであって、真実から目を背けるならば正しい解決は得られないと申し上げたいと思います。

 その点で、真実は、国民年金保険料納付率は六三・四%、四百万人以上、実に納付義務者の四人に一人が、二年間一度も納付しておりません。

 厚生年金の空洞化も深刻です。ピーク時と比べて二〇〇三年度の実態は、加入事業所で、九七年の百七十万が百六十二万と八万減少。被保険者数が、三千三百四十七万人が三千二百十二万人と百三十五万人減少。保険料収入が、二十兆七千億円が十九兆二千億円と一兆五千億円減っております。

 また、リストラによる正社員の減少、一方で、派遣、パートなど非正社員が三百七十万人ふえております。雇用者全体に占める非正社員の割合は、一九九〇年、二〇・二%が、二〇〇四年は三一・五%、約三人に一人です。

 給与所得者に占める被用者年金の加入者割合は、一九九〇年、六八・一%が、二〇〇二年は六〇・二%です。特に青年の不安定雇用が激増しております。パート、アルバイト、契約、派遣などで働くフリーターが四百数十万人、三十四歳以下の若者の五人に一人がフリーター。平均年収は、UFJ総研の推計で百六万円。こうした中で、厚生年金に加入する青年が激減しております。このまま推移すれば、無年金者、低年金者が激増することは必至であって、ここを根本的に打開することが求められていると考えます。

 基礎年金に対する国庫負担は今後二分の一に引き上げたとしても、これはあくまで定率の負担ですから、低い年金額にはその半分の低い国庫負担しか入りません。これでは、無年金、低年金の問題を解決できません。

 それに対して、私たちが提案しているのは、当面、月額五万円という定額の最低保障年金制度です。言いかえると、一律五万円の国庫負担ということになります。このように、国庫負担の仕方を定率から定額に切りかえることが今回の提案の大きなポイントであります。

 この結果、国庫負担の仕組みが変わり、無年金や低年金の方々に対して重点的に投入されることになる。これは、所得の再配分という社会保障制度の役割から見ても大きな意味を持つと思います。

 あわせて、当面の緊急対策として、年金受給のために必要な最低二十五年の現在の資格加入期間を、アメリカ、イギリス並みの十年程度に短縮し、加入期間に応じて年金が受給できる仕組みに改めることも提案します。

 保険料の収納対策というと、徴収の強化ばかりが強調されますが、幾ら取り立てを厳しくしても収納率の向上につながっていないことは、これまでの経過からも明らかです。そうではなくて、少しでも保険料を納めれば、最低保障額に支払った保険料分が上乗せされた年金が給付されるようになる、そうすることが、安心と信頼を回復して保険料の納付意欲を高めることにつながるものとも考えております。

 年金制度の空洞化を抜本的に打開することこそ、年金への信頼回復の最重要課題であるということを最後にもう一度強調して、意見表明を終わります。

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