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日本共産党参議院議員・医師 小池晃 アーカイブ[〜2008] 日本共産党参議院議員・医師 小池晃 アーカイブ[〜2008] 日本共産党参議院議員・医師 小池晃 アーカイブ[〜2008]

162通常国会 年金制度をはじめとする社会保障制度改革に関する両院合同会議

  • 大企業の負担を免除/民主・年金案/社会保障合同会議 小池政策委員長がただす(関連記事

2005年6月6日(月)


小池議員

 日本共産党の小池晃です。

 少子化や年金の空洞化に対する与党の危機感は余りに乏しいというふうに思います。出生率については、昨年の年金改革の前提は、〇四年まで一・三二、〇七年が一・三一で下げどまり、二〇五〇年には一・三九というものでした。ところが、先日発表された〇四年の出生率は一・二八八、昨年の一・二九〇五より低下をしております。これは決して将来の問題ではありません。年金財政上影響が出てくるのは先のことであっても、少子化は今現実に起こりつつある問題であります。

 同時に、少子化の背景には、若い人たちの間で、パート、アルバイト、フリーター、いわゆる非正規雇用が激増している、この問題があり、これは現実の年金財政にも深刻な影響を与えております。

 若者のフリーター化によって、今、厚生年金の加入者が激減しています。厚生年金に加入する二十代の若者は、九六年には九百七万人、それが二〇〇三年には七百十一万人で、二百万人減りました。若者自体の数も減っておりますが、加入率そのものも四七・四%から四一・九%へ激減しております。

 その人たちが国民年金へ行っています。しかし、若年フリーターの平均収入は月七万四千円で、一万三千三百円の国民年金保険料など払えるわけがありません。その結果、国民年金保険料納付率も、先日発表されましたが、昨年度六三・六%、目標に二・一%及ばないのが実態であります。再来年にはこれを八〇%にするというのが年金改革の前提でしたが、これも遠く及ばないものであります。

 つまり、深刻な少子化と、少子化を進めている今の背景にある雇用の問題というのは、将来の年金制度の支え手を減らすだけではなくて、現実の年金の支え手も減らしているのであります。年金制度の足元がどんどん崩れている、これが今の実態でありまして、これを将来の課題などとしてのんびりしていられる状況では到底ありません。

 少子化の克服というのは、先ほどもお話がありましたが、年金制度だけの問題ではありません。これはまさに、将来の日本社会全体にとっての重大な課題であり、政治の中心課題として取り組むべき課題であります。同時に、このまま負担増と給付カットのレールを走り続けたら、ますます年金への信頼が揺らぎ、制度の土台が一層崩れることは明白であります。この出生率の数字、あるいは年金加入率等の数字は、さきの年金改革の土台であります。この土台が崩れた以上、これを白紙に戻してやり直すことが当然のことであるということを私どもはまず主張したいというふうに思っております。

 続けて、民主党の年金改革案について若干お尋ねしたいことがございます。

 与党は、最低保障年金制度というのを否定されました。一方で、民主党は、最低保障年金の提案をされています。最低保障年金制度が必要だという点では私たちも同じ意見であります。ただ、民主党の提案では、年金目的消費税の創設、それを最低保障年金に充てるということであり、そもそも消費税を財源とするということには私たちは反対であります。しかし、そのこと以外にもお聞きをしたい点がございます。

 四月十四日の当会議で民主党の岡田代表は、最低保障年金の財源は全額税にする、その財源は、現行制度における基礎年金国庫負担相当分に加えて、年金目的消費税を創設し、その税収を活用する、税率は当面三%と発言されました。さらに、四月二十二日の当会議で枝野議員が、移行期というのは恐らく四十年、六十年かかる話だと発言されました。最低保障年金制度も、四十年以上かけて完成するものだとすると、当面の給付額はわずかでありながら、年金目的消費税だけがしっかり徴収されて、莫大に積み立てられていくということになるのではないかという点であります。

 具体的に計算をしますと、民主党の最低保障年金の額は不明でありますが、仮に七万円、二〇一〇年に制度を発足して、四十年後、二〇五〇年に完成とする。そして、年金目的消費税を三%として計算をいたします。そうすると、最低保障年金の給付額は、新制度のもとでの加入期間に応じて支給されますので、一年目の二〇一一年に六十五歳になって新規裁定される人の最低保障年金額は、七万円の四十分の一、千七百五十円です。受給開始する人は百四十万人ですから、仮に一律に支給したとしても、受給総額は二百九十四億円になります。うち半分は既存の税財源が充当されるので、残り半分の百四十七億円が年金目的消費税分となるわけであります。同様に、二〇一二年は四百四十一億円、二〇一三年は八百八十二億円。以下、これらの年金受給者が最大限で仮に十年全員存命とした場合でも、二〇二〇年までの十年間で最低保障年金に充当される年金目的消費税は三兆二千三百四十億円となります。

 一方で、年金目的消費税の徴収額はどうなるか。

 仮に二〇〇七年に三%の消費税増税を年金目的消費税として行うとすると、二〇〇七年から二〇二〇年の十四年間で、年金目的消費税の徴収額は百五兆円となります。すなわち、二〇二〇年までに給付される最低保障年金に充当される消費税は約三兆円に対して、徴収される年金目的消費税は百五兆円、差し引き百二兆円が、給付に回らずにどんどん積み立てられるという計算になってまいります。

 なお、最低保障年金制度が満額化するのが二〇五〇年だとすると、そのときまでの計算では、最低保障年金受給者がその後全員存命という最大限の場合で計算をしたとしても、四十年間の消費税充当額は百六十九兆円。一方、四十四年間の消費税収は三百三十兆円で、実に百六十兆円の年金目的消費税が積み立てられる計算になってまいります。

 こうした問題について、民主党としてはどのようにお考えなのか。日本経済にどのような影響を与えるものなのか。現在既に年金を受給されている方や、あるいは近い将来の受給者にとっては、年金目的消費税だけを取られ続けて、実際の年金給付にはほとんど反映されない、こういう点をどのように考えるのかという点について、ぜひお伺いしたいというふうに思っております。

 以上で発言を終わります。

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