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162通常国会 参議院厚生労働委員会

  • 定率制なら負担軽減/介護保険料 定額制、高齢者に重く/参院厚労委小池議員が質問(関連記事

2005年6月9日(木)


小池晃君

 日本共産党の小池晃です。

 最初に、一昨日の参考人で出た問題なんですが、やはり今の保険料負担が大変低所得者に重いと。特に定額の保険料だと最低額と最高額で三倍しか違わないということで逆進的だという指摘があって、定率制にすべしというような御意見がありました。

 そこで、最初に局長にお伺いしたいんですが、介護保険の第一号保険料を定率制にした場合に、公的年金支給額、これ基準にして計算すると保険料率は幾らになるんでしょうか。

政府参考人(中村秀一君)

 お答えを申し上げます。

 公的年金の総額が三十三・四兆円でございまして、第一号介護保険料総額〇・九五兆円、これは平成十五年度の第一号介護保険料総額を六十五歳以上の公的年金支給総額で割らせていただいたもので計算をいたしますと二・八%でございます。

小池晃君

 この数字は年金だけを基準にしていて、そのまま当てはめるわけにはいかないとは思うんです。それ以外に収入がある方ももちろんいるし、あるいは障害年金、遺族年金、公租公課の禁止原則もありますので一律に取るわけにいきませんが、あくまで目安として見ると、定率制ということにする場合、二・八%の保険料率ということになる。これ国民年金の平均受給者でいうと、月額四万六千円の場合で、これ千二百九十円ということに大体なるわけです。

 私は大臣に伺いたいんですが、やはり五年目の見直し、高い保険料、特に低所得者に重いということであれば、今回段階を少し分けたというのはありますが、やはりもっともっときめの細かい保険料にしていく、収入に応じた、負担能力に応じた保険料に改めていく、定率制ということも一つの選択肢として、負担能力に応じた保険料の制度ということを検討していくべきではないかと思うんですが、いかがですか。

国務大臣(尾辻秀久君)

 ただいまお話のことは御議論のあるところでございます。ただ、申し上げますと、この保険料段階の設定につきましては、まず被保険者の四分の三が市町村民税非課税者であります。税情報による所得の把握がしたがってできない。このことがまず一点ございます。それから、先ほどもちょっとお答え申し上げましたけれども、保険者である市町村の事務負担の問題ということがもう一点ございます。

 こうしたことを勘案いたしますと、現行の所得段階別定額保険料設定とされておるところでございまして、今回の見直しに当たりましても、御指摘の定率制も含め、市町村の実務担当者とも検討を重ねたのでありますけれども、どうしても慎重な意見が多くございまして、現行の設定法を維持することにしたところでございます。

小池晃君

 これ国保なんかに比べても非常に逆進性強い構造になっているわけですね、三倍しか違わないわけですから。市町村、実務とおっしゃいますが、ドイツなんかはもう定率制でやっているという、そういう実例もあるわけであります。私はやはり低所得者に本当に重い構造を真剣に検討する必要があると。その点是非、五年目の見直しというんであれば、やっぱりこういうことにこそしっかりメスを入れるということをすべきだったんではないかというふうに思っております。

 あわせて、今回の法案で障害年金、遺族年金から保険料を天引きする、これは公租公課禁止の原則に反するのではないかという指摘が参考人質疑でもありましたが、この点いかがですか。

政府参考人(中村秀一君)

 お答えを申し上げます。

 これまでの特別徴収、年金から保険料を引かせていただくと、これは老齢年金給付を対象に行われてまいりました。しかしながら、被保険者の方の保険料納付の利便性、それから市町村の側からの保険料徴収事務の効率性の向上を図る観点から、委員御指摘のとおり、今回見直しにおいては特別徴収の対象として遺族年金、障害年金を加えることといたしております。

 御指摘の公租公課禁止規定は、それぞれの法律において、支給された給付を課税標準として公租及び公課等を課することを禁止しているものであります。今回の見直しでは、保険料納付の方式である特別徴収は見直すものの、介護保険の保険料の算定の標準となる所得金額には遺族年金、障害年金等は従来どおり含まないこととしておりますことから、公租公課禁止との関係については問題なく、法制的な整理につきましては内閣法制局の審査を経て了解もいただいているところでございます。

小池晃君

 いや、問題ないと言うけれども、二〇〇三年四月に発行された「介護保険の実務」、これは介護保険課の方が書いている本ですが、特別徴収となる年金の範囲については、公租公課禁止規定の趣旨等に配慮し、遺族年金、障害年金、老齢福祉年金は含まれてないというふうに言っているんですよ。これは公租公課禁止の原則から言ったら明らかにやっぱり、厚生労働省自身がこれはできないということを説明していたじゃないですか。おかしいですよ。

政府参考人(中村秀一君)

 特別徴収と申しますのは、年金から保険料の言わば源泉徴収を行うというこれまでにない仕組みでございまして、制度をつくりましたときには、まずは国民年金法による老齢基礎年金等を特別徴収の対象といたしたところでございます。

 今回、特別徴収の対象とした遺族年金等につきましては、当初から公租公課禁止規定は法律上特別徴収を禁ずるものではないと考えられておりましたが、ただいま申し上げました老齢基礎年金等とは違い、公租公課禁止規定が各法で設けられていることなど、社会的影響等を勘案し、特別徴収の対象とはしなかったところでございます。

 今回、特別徴収による保険料の徴収も定着が見られたこと、それから被保険者の利便性、特に市町村からの事務の効率性の観点からの要望も強いことから、今般の改正において遺族年金、障害年金等についても特別徴収の対象に加えることとしたものでございます。

小池晃君

 納得できません。遺族年金、障害年金を算定基準にしてないから、ただ天引きしているだけだから、これは公租公課禁止原則に反しないんだというのはへ理屈ですよ。これは明らかに年金から取られるわけですから、受け手側からすれば。年金から天引きで差っ引かれるわけですから、これは正に公租公課禁止規定に抵触する中身になっているということを申し上げたいというふうに思います。当初の説明に照らしても非常にこそくであるというふうに思います。

 それから、ホームヘルプサービスの問題で、ちょっと通院介助の問題についてお聞きをしたいんですが、通院介助の問題について様々な問題点が各地から寄せられております。最初に確認、お聞きしたいのは、通院介助については、病院の窓口で手続を始めてから診療を受けて手続を終えるまではこれは対象外だと、認めないというふうにおっしゃるようですが、なぜその病院の中での介助というのは認められないのか、説明してください。

政府参考人(中村秀一君)

 まず、現行の外出介助でございますが、日常生活の自立支援のため身体介護として位置付けられており、委員御指摘のとおり、通院のほか、利用者自ら品物を運ぶことを支援するための買物の移動介助等といったものがこれに当たると、こういうふうに解釈されております。個々の事例につきましては、在宅の日常生活の自立支援の観点から、その内容、必要性について個別に保険者である市町村が判断するものでございます。

 院内での利用者の介助は原則病院内のスタッフにより行われるべきものと考えておりますが、病院内のスタッフでは対応が困難であるとして、ケアマネジャーが適切なケアマネジメントに基づきケアプランに病院内の移動等の介助を位置付け、それが保険者が適当であると認めた場合につきましては身体介護として認められることになっております。

小池晃君

 院内での介助は病院がやるんだとおっしゃいますけど、医療保険で病院の待合室で待っている間の介助って給付されていますか。されてないですよ。診療報酬にもないですよ。それなのに、病院に入ったら全部病院の仕事だと。おかしいじゃないですか。だったら、JRの電車に乗っている間はもうJRの責任だと、スーパーマーケットに入ったらスーパーマーケットをつくった人の責任だと、こういうことになるんですか。おかしいですよ、これ。これは、幾ら病院であろうと、これ医療保険から待合室で待っている間の保険給付されていないんですから、これは通院介助を院内でも認めるべきですよ。

 大臣、どうですか。これはおかしいと思いませんか。病院の中にいるときだけは、これ、介助を認めないという。こういうやり方は、私は本当に現場の実情を見ない不当な制限だというふうに思うんですが、この点、見直す必要あるんじゃないですか。

政府参考人(中村秀一君)

 今申し上げましたように、病院内での利用者の介助等は、原則、病院内のスタッフにより行われるべきものと考えております。保険者が適当であると認めた場合は違うということを申し上げたとおりでございますが、単なる待ち時間につきましては、いずれにしても介護サービスを提供していないため報酬算定時間には含まないと、こういうことでございます。

小池晃君

 単なる待ち時間ったって、どれだけの時間あるか分かんないわけですから、その時間はその対象外だと言われたって、ヘルパーさん、待ってなきゃいけないわけですよ。時間が決まっていて何時に出てくるってわけじゃないんですよ。これは、何分後、何時間後に出てくるか分かんないわけですから、その間いなきゃいけないし、その待っている間だってしっかりこれはやっぱり介助しておかなければ。何かあったらどうするんですか。非常に安全にもかかわる問題でしょう。それを、じゃ病院がやってくれるかというと、今そういう体制ないんですよ、実態としては。

 大臣、私、これは本当に柔軟に、院内での介助というのは当然認める方向にすべきじゃないかというふうに思うんですが、いかがですか。

国務大臣(尾辻秀久君)

 今局長がお答え申し上げておりますように、基本的には病院内での利用者の介助というのは、原則病院のスタッフによって行われるべきであろうというふうに考えております。基本的にはそういうことになりますが、まあ今先生の御指摘のような面もございますし、今後のまた介護報酬の議論の中で議論をしていただければというふうに存じます。

小池晃君

 是非これは検討を求めたいというふうに思います。

 引き続いて、新予防給付の問題で、適切なサービスは提供されるんだという答弁が繰り返されているんですが、依然として心配はあるわけです。

 衆議院でのいわゆる確認質問に対する答弁について、また確認質問的になるんですが、ちょっとお聞きしたいんですが、自力で困難な行為があり、同居家族による支えや地域の支えや支援サービスやほかの福祉施策などの代替サービスが利用できないケースについては個別の判断を経た上でサービス提供すると言っているんですが、ここで言う同居家族による支えということについての意味を説明してください。

政府参考人(中村秀一君)

 同居家族がある場合の生活支援サービスにつきましては、現行制度においても生活援助型の訪問介護は利用者が単身であるとか、御家族が障害、疾病などのために本人や家族が家事が行うことが困難な場合に行われるものとされておりますので、改正後においても同様の取扱いをするということでございます。

小池晃君

 いや、だからいろんなケースがあると思うんですよ。仕事辞めてまで支えようということになるんですか。あるいは、元々家事全然やったことがないような家族にもそれを求めるんですか。あるいは、病気あるいは腰痛で介助が困難だとか、そういうケースについてもこれは駄目だというふうに言うんですか。その点についてちょっと説明してほしいんです。

政府参考人(中村秀一君)

 御家族の態様も様々であると思います。家事がやったことない人がという、その家事をやったことない人のその状況なり、そういった方がどういう方であるかということ、ある意味では社会的な、何といいますか、コンセンサスによるようなところがあると思いますが、私どもが同居家族による支えということを言っていますのは、同居の家族が家族のために一般的にしている家事は介護保険法の対象とならないという趣旨でございますので、例えば仕事を辞めるような状況に追い込まれるような事態というようなことを想定しているものではございません。

小池晃君

 すっきりしないんですが、地域の支えや支援サービスやほかの福祉施策ということを言っていますが、これはどういう意味なんですか。これについても説明をしてください。

政府参考人(中村秀一君)

 確認答弁でされておりますのは、地域の支えや支援サービスや他の福祉施策などの代替サービスが利用できないケースについてはということの文脈で出てきているものでございます。

 代替サービスにつきましては、高齢者の方の生活を支援するというのは介護保険のサービスだけではなく、自治体や地域の様々なサービス、配食サービス、生活支援サービス等、そういったものも視野に入れて、これらを含めてサービスを組み合わせ、利用者にとって最適なプランとすることが重要であることを述べているわけでございまして、地域の資源があるから介護保険のサービスの利用を一律に制限すると、こういう趣旨ではございません。

小池晃君

 民間企業によるサービスなども想定されているんですか。想定したものではないのであればそういうふうに言っていただきたいのと、費用が高くて使えないような場合はどういうふうに判断するんですか。

政府参考人(中村秀一君)

 地域資源といった場合に、何というか、ボランタリーなサービス以外に民間のサービス等、そういったものも含まれると思います。また、そういったものが組み合わせるということで利用者にとって最適のプランということになるわけで、やはり経済的な御負担というようなことも考えなきゃなりませんし、使えないサービスを当てにしても仕方がないわけでございますので、正にそういうところはケアプランを作成するときの利用者の方とマネジャーの御相談と、そういうことになるんだと考えております。

小池晃君

 今回のシステムで要支援一、二というふうに認定されると、地域包括支援センターに行くということになるわけです。利用者は今までケアマネジャーを頼りにしてずっと暮らしてきた。ところが、新予防給付になった途端にここを引き離されてしまうと。今までのケアマネジャーから離れて地域包括支援センターということになってしまうと。これでは選択権が奪われる、ますます形骸化するということになるんじゃないですか。この点はいかがですか。

政府参考人(中村秀一君)

 今委員御指摘は、現に例えば要介護一とか、現状で要支援の方でサービスをケアマネジャーさんに受けてケアマネジャーさんとお付き合いがある方と、そういった方のケースを想定しておられるんではないかと思います。新たにサービスを受けることになるような方もございますので、だんだん入れ替わっていくということは考えられますが、確かに従来のケアマネジャーさんとの関係ということは御心配されているんではないかと思います。

 今回の地域包括支援センター、新予防給付のマネジメントは地域包括支援センターが行うことになりますが、利用者のアセスメントやプラン原案の作成についてはケアマネ事業者に委託できることにもなっておりますので、そういう特にケアマネジャーさんとの関係を重視される方などについては地域包括支援センターの方が様々配慮をして、利用者にとってのケアマネジメントの一貫性が確保されるように運用面で気を付けていくと、こういうことになるのではないかと思います。

小池晃君

 私は、そもそも介護保険制度というのは予防重視のシステムとして出発したはずのものですから、アセスメントも、マネジメントの主体まで別体系にしてしまうということ自体は全くおかしいというふうに思っていますが。

 さらに、ちょっとお聞きしたいんですけども、介護報酬の問題です。予防家事援助と介護給付の家事援助の報酬の問題で議論がいろいろありましたけれども、どっちが大変かといえば正に予防給付、見守りの方がよほど手間も時間も掛かってくるという実態があるはずなんですね。現に今の介護報酬でも自立生活支援のための見守り的援助は、これは生活援助ではなくて身体介護に分類されております。高い報酬が設定されているわけであります。その点で言えば、予防給付の介護報酬というのはどういう考え方で設定しようとしているのか、そういう点も考慮して設定しようという方向で考えているのか、そこを聞きたいと思います。

政府参考人(中村秀一君)

 お答え申し上げます。

 訪問介護につきましては介護給付と予防給付に分かれるわけでございますが、それぞれの個々の介護サービス自体につきましては、予防を重視し、そういったケアプランの下で行うという点はあろうかと思いますが、基本的には、こちらが予防の訪問介護だから介護給付の訪問介護と全く違うというような形態は考えられないわけでございまして、そうなりますと、訪問介護自体の在り方がこれからどう変わるかということが議論になるんだと思います。

 委員御指摘のとおり、自立支援のための見守り介助は、現在、身体介護で評価されておりますが、現在、訪問介護につきましては、身体介護型、生活援助型という二区分でよいのか、様々な行為別、機能別に再編すべきじゃないかと、こういう指摘もなされております。

 これから訪問介護全体の見直しを介護報酬の改定に向けてさせていただきますが、そういった中で、今委員御指摘の、介護予防における訪問介護、見守りの要素をどうしていくかということについても介護報酬の設定等をしてまいりたいと思います。

小池晃君

 そうなると、支給限度額がどうなるのかということになるわけですが、適切なサービスは受けられるんだと。そして、見守り的な援助というのは報酬上評価するんだと。それに更に筋トレなどの新しいメニューも加わるんだと。それなのに、要支援二の限度額は要介護一よりも下げるというのは、これは私、完全な矛盾だと思うんですね。

 結局、新予防給付、いろいろと議論がありますけれども、新しい手続をして、今までのケアマネジャーから新しい包括支援センターに移して、手続も変えて、利用者絞り込んで、支給限度額も下げて、適切なサービスは今までどおりと言うけれども、結局、サービス内容の制限につながっていく、そういう危険というのを本当に強く感じるわけであります。

 さらに、地域支援事業の問題について聞きたいんですが、これ財源構成が今までと大きく変わるわけです。今までは、老健事業にしても、介護予防・地域支え合い事業にしても、在宅介護支援センターにしても、公費でやっていた。ところが、保険料を投入するわけですから、これは国庫負担が削減されることは間違いないわけです。

 さらに、この利用料の問題についてちょっと聞きたいんですが、地域支援事業の利用料について、この法案では市町村は利用料を請求することができる、できる規定になっている。一方で、その他の介護サービス費用の利用者負担は今までどおり一〇%と法定をされているわけです。

 地域支援事業と介護保険の他のサービスで利用料の規定が違う理由を説明していただきたいと思います。

政府参考人(中村秀一君)

 お答え申し上げます。

 地域支援事業は個別の個人に対する給付ではなく、市町村が実施する、言わば市町村事業のメニューになっております。

 市町村事業という意味では、例えば類似の事業として、委員もお引きになりました老人保健事業のヘルス事業などがあるわけでございますが、そういったところの利用料徴収というのは、言わばそこに掛かるコストの一部を、費用の一部を徴収できると、こういう観点でなっているわけでございまして、その方、その方に対して個別のサービスあるいは介護給付として給付がなされ、それの定率負担という構成は取っていないということで費用徴収の規定が違うということになっております。

小池晃君

 そういうことでいうと、今回の改定の趣旨というのは、様々今あるいろんな事業が地域支援事業に組み入れたからといって、そのことが理由で利用料負担を取るということではないと、必ずしもそういうことにならないと。ましてや、一割負担にしなければいけないということではないということですね。その点についてお聞きします。

政府参考人(中村秀一君)

 お答え申し上げます。

 そのとおりでございまして、新たに地域支援事業を創設するわけでございますので、地域支援事業として市町村が適切と考える利用料負担ということをお願いするということになるということでございます。

小池晃君

 さらに、自治体の負担増の問題について取り上げたいんですが、この事業費の上限が三%ということになっているんですが、この三%をめぐって自治体では大変な議論が起こっております。

 例えば東京足立区の区議会では、区側の答弁なんですけれども、地域支援事業に組み込まれるのが二〇〇四年度予算で十三億円程度だと答弁しています。これ老健事業の六十五歳以上の分などを足し上げて試算しているんですね。

 一方、足立区は、介護保険給付費の三%、九億円なんです。ですから、もしも今回の法案が通って三%という上限になってしまうと非常に財政的に圧迫になると、区の当局も不安を表明しております。

 あるいは東京の板橋区では、ここは介護給付費の三%というのは約六億になります。一方で、六十五歳以上の老健事業の経費だけで七億四千二百万円なんです。

 局長、こういう、今時点でかなり積極的にヘルス事業、老健事業に取り組んでいるような自治体は、三%だと軽く超えちゃうんですね。こういう自治体の不安にどのようにお答えになるおつもりなのか。

政府参考人(中村秀一君)

 お答えを申し上げます。

 三%の上限を設定している理由については繰り返しお答え申し上げておりますので、時間の関係で省略させていただきますが、今、具体的な区の例も出ましたけれども、実はその区の例などを拝見いたしますと、現在の事業、例えば老人保健事業でもかなり国の基準を上回って、議員がおっしゃる、十三億円をやっておられます。

 そういう状況にあるということが第一点で、現にそういった意味では、例えば足立区さんにおいては一般財源から負担されておりますが、今回の支援事業に移行すると想定いたしますと、一般財源で今負担している、一般財源で持ち出している額が地域支援事業を入れることによって減少すると、こういう形になると考えておりますので、積極的にやっておられる足立区さんは三%の枠内に収まらないかもしれませんが、今の状況よりも足立区の一般財源の負担は減少する、地域支援事業を創設することにより減少すると、こういう状況にはなるのではないかと考えております。

小池晃君

 いや、理事者側はそんな答弁していませんよ。これ超えるから大変だという答弁をしているんですね。

 私は、国の基準を超えてやっているからけしからぬみたいな言い方というのはとんでもないというふうに思いますね。やはり国の基準を超えて本当に地域住民のために保健事業をやっているような自治体の意欲をそぐような、そういったところに上限を設けるようなやり方というのをするんじゃなくて、やはりここのところはきちっと柔軟に考えていくという、特にやっぱり頑張っている自治体を応援するという観点でこの制度を考えるべきだというふうに思いますが、大臣、いかがですか。

国務大臣(尾辻秀久君)

 今の局長の答弁も、何もそれぞれ頑張っておられるところが、たくさんやっておられることをけしからぬというふうにお答え申し上げたものではないと存じます。

 ただ、今回三%の上限というのを決めた。その三%の上限が、一生懸命やっておられるところは三%で収まらない、それはまた御指摘のとおりでありますけれども、現状からすると、うんと頑張ってやっておられるわけですから、そもそも大きな額を掛けておられる。三%分はむしろ今よりは助かるのではないですかと、こうお答え申し上げておるわけでございますから、それでいいのではないかなというふうに存じます。

小池晃君

 だから、区の当局はそう言ってないんですよ。今のままで行くと、国の実施内容が明らかでないので判断は難しいというふうに言っていますけれども、仮に事業総額が給付費の三%を超えた場合、一般財源投入できるかどうか不透明ですと。現在のサービス基準を後退させることはできるだけ避けたいと。何分、国の制度設計の詳細が見えないので明言はできないと、こういう答弁しているんですね。これが実態なんです。私、こういう自治体に対してきちっと配慮していくということを当然やっていくべきだというふうに考えます。

 引き続いて、地域包括支援センターの問題ですが、ここは新予防給付のマネジメントだけでなくて、介護予防事業も地域支援事業もやっていくということになるわけですが、これは保健師、主任ケアマネジャー、社会福祉士の三人が配置して五千か所と。これは一人の保健師、一つのセンターが担当する新予防給付と介護予防事業の対象となる高齢者の数、これをお示しいただきたいと思います。

政府参考人(中村秀一君)

 お答え申し上げます。

 地域包括支援センターの設置につきましては人口二、三万人に一か所を目安としており、人口十万人の自治体であれば四、五か所が目安になると、こんなふうに考えております。

 当該地域の六十五歳以上人口を二〇%、介護予防事業の対象者を六十五歳以上高齢者の五%、要支援・要介護認定者数を六十五歳以上人口の一五%、予防給付の対象者を要支援・要介護認定者数の四割と仮定した上で一つのセンターがマネジメントする高齢者数についてお示しをさせていただきますと、介護予防事業については二百から三百名、予防給付に対しては二百四十名から三百六十名程度というふうに考えます。

小池晃君

 だから、一か所が大体五百人から六百人ぐらいの高齢者のマネジメントをするということになるわけですね。今、ケアマネジャー、五十なんというのはとてもできない、もっと下げろという議論があるときに、なおかつ、衆議院の参考人質疑では介護保険以外の様々な支援を視野に入れなければいけない軽度者のケアマネジメントはむしろ難しいという、そういう参考人のお話もあったんですね。そういう中で、地域支援事業、新予防給付を合わせて六百人のマネジメントを一か所でやっていく。局長、こんなことができると思うんですか。机上の空論じゃないですか、これ。

政府参考人(中村秀一君)

 地域包括支援センターのマネジメントの件でございますが、このマネジメントを受け持つ専門職として保健師等が配置されるほか、実際に業務を行う際には他の専門職もサポートしながら多職種協働でマネジメントを行いたいと考えております。

 また、新予防給付のマネジメントにつきましては、介護予防支援事業所、これはその地域包括支援センターが新予防給付のケアプランを作成する事業所の指定を介護予防支援事業所の指定として受けましてその業務を行うほか、その新予防給付のプランの原案作成といった事業の一部は外部に委託することもできるようにしております。そういったことを行うことによりまして、ただいま申し上げました地域包括支援センターで予防のケアプラン、ケアマネジメントをすることは可能であると考えております。

小池晃君

 私は、やはり地域の六百人近くのこういう高齢者のマネジメントを、わざわざせっかく定着してきた在宅介護支援センターとはまた別に新しいものをつくって、そこで六百人の管理をしていくなんというのは本当に机上の空論、絵にかいたもち、そういうふうに思います。これは、実際問題としては大変な事態になるのではないか、先ほどのお話じゃないけれども大混乱になるんじゃないかというふうに思います。

 併せて、ここを、その中心を担うのは保健師だというんですが、これは、今日は資料でお配りしましたけれども、実態として、新卒の保健師の就職先というのは、自治体を選ぶ人というのは急激に減ってきているわけです。赤い線で示しましたが、一九九九年千四百二十二人だったのが二〇〇三年で七百九十七人。

 現場の保健師さんに話聞くと、今でさえ本当にいろんな業務があって、ヘルス事業、保健事業、あるいは精神医療の問題などの相談、様々な課題があって大変なときに、地域包括支援センターに大量に異動するようなことになればどうなるのかという声も出てきている。

 しかも、実態としては何が起こっているかというと、同じグラフで示しましたが、老人保健事業で重要な役割を果たしている訪問指導がどんどん減ってきているわけです。これ、延べ人数で見ますと、一九九九年には二百五十一万七千回だったのが二〇〇三年度には百六十四万三千回まで落ち込んでいて、四十歳から六十四歳の年齢層に限っても四十六万回から三十四万回に、三分の二になっている。

 本当にある意味では、介護予防という点では団塊の世代の健康づくりの上で訪問指導というのは一番大事だというのは厚労省自身がおっしゃってきたこと。保健師の数が自治体では減っているし、訪問指導の回数減っているんですよ。こういう実態は、訪問指導がこれだけ減っている理由はどういうふうに考えているんですか。

政府参考人(中村秀一君)

 お答え申し上げます。

 老人保健事業における訪問指導の延べ回数、二百五十二万件から百六十四万件と八十八万件減少いたしておりますけれども、そのうち七十八万件が六十五歳以上対象者への延べ回数の減少でございます。これは、減少している延べ回数のうち大部分が、八八%が六十五歳以上の減少でございまして、これは介護保険において訪問看護、訪問リハビリテーションが提供される場合は内容的に重複するサービスは行わないと、こういうことといたしておりますので、介護保険実施以来減ったというふうに認識しております。

 また、委員の方から、新規の保健師さんの就職数が低下しておりますが、絶対数は言うまでもなく平成十一年二万六千七百五十人から平成十五年三万二百三十三人と自治体の保健師さんの数は増加していると、こういうことでございます。

小池晃君

 保健師さん、数増えていると言うけれども、それは非常勤も含めた数なんです。常勤の数は、総務省の調査では二万七千五百二人。これ、何と地方交付税で措置している数より少ないんです。それが実態なので、本当に、保健事業の分野はもちろん地域包括支援センターも含めて全体として保健師、抜本的に増員する計画を持たなければ、私は予防なんていったって、これ絵にかいたもちになるし、実態として大変な中で地域包括支援センターにどっと保健師さんが移っていけば、ただでさえ減少を続けている公衆衛生活動が更に後退して、私は介護予防どころか病気の早期発見を更に遅らせて要介護者をどんどん増やしていくということになりかねない実態だと。それほど今の日本の公衆衛生活動というのは本当に後退を続けているし、貧しいんだというところこそ本当にメスを入れるべきだというふうに申し上げたいというふうに思うんです。

 残る時間、今回の法案に退職手当共済制度の見直しがあるので、その点についてお聞きしたいと。

 この改正後の退職共済手当制度は、最初にお聞きしますが、魅力ある制度だとおっしゃるんですが、簡潔に、どう魅力ある制度になるのか言ってください。

政府参考人(小島比登志君)

 基本的には社会福祉法人の職員の方々の退職手当の共済制度でございまして、社会福祉法人に加入する職員の方々に対しまして、社会福祉法人が全体として協同してその退職手当を支給すると。それに対しまして、現在は公的助成というものも行われていると、あるいはまた事務費につきましても全額国庫負担が行われているというふうな制度であるからでございます。

小池晃君

 その制度を、今後、公的助成をなくす、事業者負担の掛金三倍にする、支払われる退職金は現行水準から一割カットするということが出されてきているわけです。

 ちょっと局長にお答えいただきたいんですが、二〇〇六年から新規加入率が一〇〇%の場合、掛金と退職金の推移をお示しいただきたいと思います。

政府参考人(小島比登志君)

 今回の改正案では、介護保険制度の対象となる老人福祉施設等におきます制度改正後の新規加入職員につきましては、公的助成、補助率三分の二でございますが、これを廃止することといたします。

 改正後は、単位掛金の全額を掛金額ということにするわけでございますが、ここの表にございますように、二〇〇六年採用された方、一年間で十二万五百円の年額の掛金、一年間で退職されますと退職金は八万六千四百円ということでございます。それから二〇〇七年、二年間働かれて退職された方、掛金の累計が二十三万八千四百円、それから退職金が十八万九千円。それから二〇〇八年、これは三年勤続の方、掛金の累計が三十五万五千二百円、退職金が二十八万三千五百円。それから二〇〇九年は、四年勤続の方で退職された方。掛金累計四十七万八百円、退職金が三十七万八千円。二〇一〇年は五年間働かれた方ということでございまして、掛金の累計は五十八万六千七百円、退職金は五十一万三千円ということでございます。

小池晃君

 資料をお配りしてあるんで見ていただきたいんですが、五年間こういう数字になるわけです。今お話あったとおりです。ちなみに、この制度での直近の退職者の平均在籍期間というのは五年なんです。というか、五年間でほとんどの方が退職するんです。

 今お話あったように、入って五年間は掛金よりも退職金の方が少ないんですよ、これ。だから、幾ら掛金出してもそれを下回る退職金しか返ってこないという、こういう制度なんですね。こういう制度になっちゃうんですよ、これ。大臣、御存じでしたか。事業者が払うんだけれども、事業主が払った掛金よりも受け取る退職金の方が少ないと、こんなばかな制度がありますか。

国務大臣(尾辻秀久君)

 この細かな数字は正直に言って知りませんでした。

 ただ、基本的に申し上げますと、まず法人が任意で加入するものであります。まず、これが一点あります。法人が任意で加入する。それから、今もお話しになりましたけれども、全額法人が負担するわけでございます。全額法人が負担する。任意で加入した法人が、全額法人が払っていると、この仕組みでございます。そして、この仕組み全体は賦課方式で考えてありますから、五年というところで区切れば、今そういうようなことになりますけれども、六年目のところでちょうどとんとんになりますし、七年目以降は逆に掛けた金額より大きくなるわけでありますから、それはそういうことは当然あり得るわけでありまして、別に制度として欠陥を持っているものではないと、こういうふうに思います。

小池晃君

 だって、平均在籍期間五年なんですよ。だから、大半の人は五年で辞めるわけです。五年間見てみれば、事業主が払った掛金よりも退職金の方が少ないんだったら、これは任意で入るんだったら、事業主入らないんじゃないんですか。こんなことしないで貯金していた方がよっぽどいいじゃないですか。何でこんな制度が成り立つんですか。私、これはナンセンスだと思いますよ、こういう仕組みは。

 併せてもう一つちょっと指摘したいのは、この制度の、一〇〇%新規職員が加入した場合の被共済職員数の推計の数字があるんですが、この数字、二〇〇三年、二〇一五年、二〇二五年で示してほしいんですけれども、どうですか。

政府参考人(小島比登志君)

 御指摘の介護保険制度の対象となります老人福祉施設等の二〇〇三年の被共済職員数の実績は二十五万四千人でございます。さらに、社会保障審議会の福祉部会で御議論をいただいたときに出した私どもの資料によりますと、当該施設におきます新規採用職員が一〇〇%加入するとした場合、二〇一五年の当該施設等の被共済職員数は四十六万三千人、それから二〇二五年には被共済職員数は五十九万五千人となるというふうに推計しておるところでございます。

小池晃君

 これは、要するに、二〇二五年には職員数が二・三、四倍になるという、こんなふうになれば非常に私はすばらしいことだと思いますが、この老人保健施設、福祉施設を二〇二五年には倍にするという計画は余り聞いたことがないんですが、これは何が根拠なんですか、この人数の根拠は。

政府参考人(小島比登志君)

 積算の根拠でございますが、二〇〇八年までは、直近の過去五年間、平成七年から平成十一年の被共済職員数の伸び率を用いて推計しております。それから、二〇〇九年度以降は、二〇〇四年の五月に厚生労働省が社会保障の給付と負担の見通しというものを出しました。その給付費の伸びを基にして推計をしているところでございます。

小池晃君

 これ、施設のいろんな、前回議論したような計画とは全く別に、過去の職員数の伸びを基に計算しただけなんですよ。こういうふうに多くなっていけば掛金は低くなるということでこういう数字出しているんですが、これは正に机上の空論そのものだと私思うんですね。

 大臣、最初のこの数字にしたって五年間はまるで掛け損になっちゃう制度だと、しかも人数の推計の数字だって全く根拠のないような数字だと、こんなことで国民の納得を得られるのか。介護保険法の中に隠れて、この共済手当制度の法案くっ付けて出していて、余り注目されてないからこういういい加減なことをされているのかもしれませんが、私、この法案だって重大な問題があって、三倍になる掛金が実際の施設の経営にどんな影響を与えるのか、あるいは一割カットされる退職金が労働者の生活にどんな影響を与えるのかという、そういう説明もされていない。将来設計の数字も正に机上の空論だし、実際は、もうこれ事業主にとってみれば入んない方がいいような制度ですよ。みんな、こういうふうになったらもうやめようと、これ入らずに自分たちでもう自分たちの金融商品か何か使って退職金積み立てようということになっちゃうんじゃないですか。こんなでたらめな制度を提案して、大臣、これ説明できますか、いかがですか。

国務大臣(尾辻秀久君)

 先ほどもお答え申し上げましたけれども、そしてその五年を言われるのは、平均の、仕事をなさる皆さんの年数が五年だというふうには言っておられますけれども、基本的に賦課方式で制度を作るとこういう形に当然なるわけでございまして、こういう形というのは、あるところまではどうしても掛金の方が高くなるということには当然なるわけでございまして、ちょうど六年のところで申し上げておるようにとんとん、七年以降掛金よりもらう額の方が大きくなる。そこがきっちり制度としてできておるというふうに思いますし、あとは法人が自らの判断で任意に加入なさるかどうかということでありますから、おっしゃるように、別にでたらめなことを提案しておるという話ではないと考えております。

小池晃君

 もう質問しませんが、この共済手当、介護保険制度の方ももちろん反対ですが、こちらの法案についても重大な問題点があるということを指摘して質問を終わります。

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