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日本共産党参議院議員・医師 小池晃 アーカイブ[〜2008] 日本共産党参議院議員・医師 小池晃 アーカイブ[〜2008] 日本共産党参議院議員・医師 小池晃 アーカイブ[〜2008]

162通常国会 郵政民営化特別委員会

  • 郵政民営化法案/関連業界や米国が関与/参院郵政特 小池議員が指摘(関連記事
  • 郵政民営化したらサービス低下/もうからなければバッサリ/小池議員が追及 (関連記事

2005年7月15日(金)


小池晃君

 日本共産党の小池晃です。

 最初に総務大臣にお伺いをしたいと思いますが、今、全国どこに住んでいても今は郵便貯金のサービスを受けることができます。それは法律上の規定があるからにほかなりません。郵便貯金法の第一条では、「郵便貯金を簡易で確実な貯蓄の手段としてあまねく公平に利用させることによつて、国民の経済生活の安定を図り、その福祉を増進することを目的とする。」と、こう定めております。この第一条、総務大臣、これは郵便貯金の基本を定めた規定で、大事な役割を果たしてきたと思いますが、いかがですか。

国務大臣(麻生太郎君)

 思います。(発言する者あり)

小池晃君

 総理、まあ大事なこと言っていただければそれで結構なんですよ。

 総理、私は今度の法案をよく読んでみたんです。今、麻生大臣が大事だとおっしゃったこの第一条の規定がこれどこにもないんです。第一条、廃止されているわけです。つまり、新しくつくる郵便貯金銀行にはこの大事な規定、全国あまねく公平に貯蓄の手段を提供する義務は法律上なくなると、こういうことになりますね。

内閣総理大臣(小泉純一郎君)

 義務付けてはおりませんが、そのサービスはできるような措置を講じております。

小池晃君

 なるはずだというのは、それは説明になっていないんですよ。これ、義務がなくなったというところが非常に大事なところだというふうにこれは指摘をしたいんですね。で、第一条なくなるんですから、いろんな言い訳しても、結局このサービスを提供するよりどころである義務なくなるわけです。

 総理は、民間にできることは民間にと、こういうふうに繰り返すわけですが、確かにこの大事な規定がなくなれば、結局民間銀行と同じになっていく。その民間銀行が今一体どうなっているか。(資料提示)

 これ、銀行、それから郵便局の店舗数をこの六年間で比較をしたものであります。これ、この六年間で見ると、郵便局は今御説明あったように法律上の義務があるがために店舗の数は基本的に維持してきた、むしろちょっと増えている。ところが、民間営利企業である銀行はこの店舗数をどんどんどんどん減らしている。

 総理、これなぜ銀行の方はこのように店舗の数が減っているとお考えですか。

委員長(陣内孝雄君)

 伊藤内閣府特命担当大臣。

小池晃君

 総理、時間短いんですから、総理全部答えてください。通告してませんから。

国務大臣(伊藤達也君)

 私からお答えさせていただきたいと思います。

 民間の金融機関の場合、合併等がございますから、そうした中で店舗を統廃合するというようなことがあったんではないかというふうに思っております。しかし、そうした場合におきましても、利用者の利便の向上が収益に、収益の拡大に結び付くと、こうした観点から、各金融機関が経営判断により店舗の設置あるいは廃止というものが行われたというふうに考えております。

 郵便貯金銀行の場合につきましては、全国津々浦々をカバーする二万数千から成る稠密な郵便局ネットワークを活用して、そして地域密着型の業務を長年行ってきた公社の業務を引き継ぐということになりますので、引き続きこうした点に競争上の優位を見いだしてビジネスモデルを構築しようとすることは当然考えることと承知をいたしております。さらに、これまで郵便局が地域において果たしてきた役割について重いものがあると認識をいたしておりますので、引き続き郵便局の窓口において金融サービスが提供されるよう様々な配慮がなされているものとも承知をいたしております。

小池晃君

 私、郵便局のことを聞いたんじゃなくて、銀行がなぜ減っているのかと聞いたんですが。

 先ほど経営判断だというふうにおっしゃった。確かにまあ経営判断なんだろうと思うんですが、経営判断というような生易しいものじゃない実態があると思うんです。なぜこれだけ銀行が店舗数を減らしてきたのか。合併の部分ももちろんありますが、そうでないんですよ。そうでない部分がたくさんあるんです。

 で、ホームページで公表されている銀行の経営戦略を見てみたんです。(資料提示)例えばこれ、三大グループの一つ、みずほフィナンシャルグループの経営戦略から抜き出した表なんですね。これ、みずほグループは預かり資産に応じて顧客を分類しているわけです。預かり資産一千万円以上を重点顧客と呼ぶわけですね、重点顧客と。で、重点顧客の中でそのうち一億円以上を富裕層、こう言っている。さらに五億円以上を超富裕層と、こういうふうに名付けております。この重点顧客については、もう担当者を決め、きめの細かいコンサルティング体制、プライベートバンキング、もう非常にきめの細かいサービスでここは収益を上げるんだと。これは大体全部で八十万人だというんですね。

 ところが、それに対して預け入れ一千万円以下の顧客、これ二千五百万人。ちょっと、この表でいうともっと比率は大きいんです、本当は。この二千五百万人の顧客をみずほはマス顧客というふうに呼ぶ。マス、マス顧客です。このマス顧客に対しては方針はローコスト化なんです。つまり、具体的には店舗の統廃合、窓口で銀行員が直接相談に乗るんじゃなくて、ATMやインターネットに切り替える。で、徹底したコスト削減とサービスの切下げで収益を上げようと、こういう戦略なんです。

 これ、みんな同じなんですね。三菱東京グループも三井住友グループも調べましたけども、全く同様にマス層、マス顧客という言葉を使っております。

 実際に銀行員の方から私お話を聞きました。ATMにどんなに行列ができても、これはほったらかしにするんだと。なぜかというと、がらがらのATMは設置基準に照らしてなくさなきゃいけなくなるから。だから行列はいつまでたってもなくならないという構造になっている。とにかくカウンターに来させないんだと、小口の客は。カウンターに来たら人手が掛かる、コストが掛かるからATMで収益を上げる。もう一階のフロアは全部ATMだというような銀行は、今都内にはたくさん増えてきている。地方にも増えてきている。私、こういうその銀行のこうした経営戦略の結果、店舗数が激減している、こういう実態があると。

 郵政民営化であの大事な規定がなくなれば、郵便貯金も結局こういう、店舗数激減する、サービス低下する、サービスの低下というのは避けられないんじゃないかというふうに考えますが、総理、いかがですか。

内閣総理大臣(小泉純一郎君)

 今、その小池さんが示されたものを仮に事実だとすれば……(発言する者あり)いやいや、これは逆に今言った大手の銀行以外の金融機関はチャンスだと思うんですね。そういう大手が手を抜いているところに、私たちはどうやってお客を取ろうかと。ピンチはチャンス、ほかのやってないところをやるという中小金融機関の得意な分野を探して、創意工夫を発揮して、大手が逃している層をいかにつかむかというので、是非とも、これだけ大手が手を抜いているところは自分たちのチャンスだというふうに見いだす民間金融機関、民間の経営者が私は出てくることを期待しております。

小池晃君

 あのね、私の言ったこと理解されていない。

 要するに、民間銀行は戦略二つに分けているんですよ。富裕層を徹底的にサービス強化して、そこはもうけると。それから、下の層も、これは徹底的なローコスト化という戦略でもうける。どっちももうけると、収益を上げるということで徹底してやっているわけです。

 正に郵便局、郵便貯金というのは全部一千万円以下の言わばマス顧客なわけですよ。こういう世界にたたき込めば、結局こういう民間銀行の戦略と太刀打ちしていくためには、郵便貯金のサービスだってぐっと今の水準下がっていくということになるじゃないかと、そういうふうに危惧を持たないのかと私はお聞きをしているんです。

内閣総理大臣(小泉純一郎君)

 民間のいいところは、あるところでは一部の特定の層を対象にするところが出てきた場合に、その部分が手を抜いているところに自分たちはどういう分野を開拓していくか、ここが民間の知恵、創意工夫なんですよ。そういう特定の富裕層に特化する金融機関があれば、必ず、そのほか、いわゆる今マス顧客と言っている手を抜いている部分に集中するというチャンスが出てくると思います。民間なら必ずやっていける、私はそう思っています。現に住宅金融公庫は、政府じゃなきゃできないと言われたところを民間でもやり出して、政府のやっているよりも有利な商品を出してきて、住宅金融公庫を廃止することができたじゃありませんか。

 私は、そういう民間の創意工夫を大いに発揮する分野が、今共産党の小池議員から教えていただいたような気がいたします。

小池晃君

 あのね、議論をすり替えている、総理は。

 私は、郵便貯金と銀行の性格の比は最初に確認したはずです。あまねく公平にという法律の規定に基づいて、銀行がマスというふうに呼ぶような小口の貯金だけを対象にして店舗数維持して全国あまねくサービスを提供してきた、それが正に郵便貯金だった。庶民のサービスを守る防波堤としての役割を果たしてきたわけですよ。その法律の規定がなくなるのが正に郵政民営化だと。つまり、その防波堤、この庶民のね、本当に大事な金融サービスを守ってきた最後のとりでをなくすのが郵政民営化なんだと。

 確かに、こういうことになれば、富裕層に対してはサービス向上の競争が始まるかもしれないけれども、圧倒的多数の庶民、マス顧客に対しては、郵便貯金を巻き込んでサービス低下の大競争が始まるということになるじゃないかと。そして、郵便貯金というのは、正にすべて一千万円以下のマス顧客なわけです。競争相手が消えた銀行の方も、これは今までは、郵便貯金があるから、郵便貯金があるから頑張らなきゃいけなかった。庶民受けのサービス、一定水準守らなきゃいけなかった。これ防波堤があるから、銀行の方も郵便貯金と対抗するためにというところがあったわけですよ。それがなくなる。競争相手が消えた銀行だってサービス更に堂々と大手を振って切り捨てるようになるじゃないかと。で、結局郵貯も銀行も一緒になって歩調を合わせてサービスがどんどんどんどん下がっていくことになるんじゃないかと。

 で、こういう庶民の金融サービスに対する水準が切り捨てられていくということがどうして利便性の向上だと説明できるのかということを私はお聞きしているんです。

内閣総理大臣(小泉純一郎君)

 そこは共産党と違うんですよ、考え方が。

 切り捨てられるという分野、これは、どうしても公共的に必要なサービスという場合には、民間がやらない場合は税金を負担してでもやらない分野があるということは否定いたしません。同時に、民間の激しい競争によって、私は一部の金融機関が富裕層を重点的にやる分野があるとすれば、そうでない分野、いわゆるマス顧客を対象にする金融機関も必ず出てくると思っています。そういうところにおいて収益を上げる、そういう可能性、チャンスを広げるのが民営化でありますから、私は民間人のそのような知恵というもの、工夫というものを大いに生かせるような環境をつくるのは政治として極めて大事だと思っております。

小池晃君

 いや、今回の郵政民営化というのはそういうことではなかったというふうに説明してきたじゃないですか。結局、この庶民の大切な小口貯金をあまねく全国で提供するという義務は法律上なくなるんですよ。そこが歯止めなんだ。歯止めなくなるんですよ、法律上の。そうなれば、サービスの大幅な低下がこれは必然だと。だからこそ国民から、あるいは与党の中からも不安の声が上がってきているわけです。

 で、郵政の民営化で競争相手として郵便貯金の力が弱まることを一番歓迎しているのは銀行です。

 ところで、この法案を作った内閣府の郵政民営化準備室には民間企業から十三名出向者が来ているようですが、どんな企業から出向してきているのでしょうか、竹中大臣。

国務大臣(竹中平蔵君)

 具体的には、郵政事業に関連します金融分野や流通分野の方、さらに民営化先例、先行事例でありますJR、公益事業である電力会社の方にお越しをいただいております。

 具体的には、日本銀行、全国銀行協会、日本損害保険協会、そして金融系のシンクタンク、日本路線トラック連盟、JR、そして電力会社、計十三名お越しをいただいております。

小池晃君

 業種別、業種別に数を。

国務大臣(竹中平蔵君)

 数を申し上げます。

 日本銀行一名、全国銀行協会二名、日本損害保険協会一名、金融系シンクタンク四名、そして日本路線トラック連盟二名、JR関係二名、電力一名でございます。

小池晃君

 企業名言えないんですか。

国務大臣(竹中平蔵君)

 日本銀行等と申し上げた、企業名申し上げたつもりでございますが、金融系シンクタンクについて更に申し上げますと、野村資本市場、野村資本市場研究所、大和総研、ニッセイ基礎研、農中の総合研究所、JRは東日本と西日本、電力は関西電力でございます。

小池晃君

 時間参りましたが、これ結局、民営化でビジネスチャンスが広がるような企業の出向者を集めて準備室つくり、で、昨年四月からアメリカと何度相談しているのかというふうに聞いたらば、十七回、郵政民営化準備室はアメリカと意見交換をしている。で、国民にはまともに説明しない、いまだに不安の声が広がっている。その一方で民営化準備室には企業の代表を集め、そしてアメリカとは十七回の相談を重ねて作り上げたこういう法案だと。

 結局、この三百四十兆円の巨大な資本を日米金融資本に明け渡すということがこの法案の最大のねらいだというふうに私は思います。

 廃案を求めて、質問を終わります。

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