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163特別国会 参議院予算委員会

  • 「自立支援」法案/障害者が生活できるか/通所施設 工賃を上回る利用者負担/入所施設 手元には月2万5千円だけ(関連記事
  • 一番の弱者に痛み押し付け/障害者「自立支援」法案/「改革を止めるな」と(関連記事

2005年10月4日(火)


小池晃君

 日本共産党の小池晃です。

 今国会に提出されました障害者自立支援法案をめぐる問題についてお聞きをしたいというふうに思います。

 障害者の福祉制度、あるいはその更生医療や育成医療などの医療制度は、今までは収入に応じた負担でありました。それが自立支援法では一律一割負担というふうにされてまいります。障害が重ければ重いほど多くのサービスが必要になりますので、負担も重くなるということになるわけです。障害者の皆さんからは、社会参加を妨げる自立破壊法ではないかという批判が沸き起こっております。

 さきの国会では審議未了、廃案となりました。しかし、政府は再びこの特別国会に提出をいたしました。全国六百五十六万の障害者、家族、関係者の皆さんが、かたずをのんでこの行方を見守っております。この負担増がどれほど過酷なものなのか、今日は、通所施設と入所施設のそれぞれ重大なポイントに絞って総理にお聞きをしたいというふうに思います。

 まず、障害者が通う通所施設でありますが、働いたり日常活動を行う授産施設や作業所の問題です。今、九五%の方がこれは無料なんです。無料で通っておられます。ところが、自立支援法の一割の利用料負担というのは、授産施設や共同作業所の利用にも押し付けられることになる。その結果、月二万九千二百円もの利用料が徴収されます。

 その一方で、作業所の工賃、いわゆる賃金、工賃と呼びますが、非常に少ない。平均で月七千三百円であります。障害者からは、工賃よりはるかに高い利用料を取られるのであれば、これなら作業所へ行かずに家でじっとしていた方がいいという声まで上がっている。懸命に働いて手にしたわずかの賃金を上回る利用料を取り立てる。

 総理、これがどうして自立を応援することになるんですか。これでどうして家から作業所に通おうという気持ちになるというんでしょうか。お答えいただきたい。

内閣総理大臣(小泉純一郎君)

 これは、共産党の立場からいえば、今、負担のばかり言いますけれども、負担ばかりじゃないんです。一割を負担してくれということは、今まで国家として費用負担していない、こういう点についても障害者が自立できるような対策もしようと、両面あるんです。今、小池さんは負担の点ばかり申し上げられました。

 具体的に言いますと、今の障害者福祉サービスについては、これ利用者が増大しています。これからますます費用も増大してくるでしょう。そして、今まで精神障害がサービスの対象とされていないという、そういう障害種別に格差があったんです。この格差をなくしていこうという面もあるんです。それに、在宅と今施設の間に負担の格差が存在しております。この格差、どうしてこの格差をうずめていくか。さらには、サービスに市町村間での格差もあるんです。この市町村間の格差をどうしてなくしていくか。さらに、働ける障害者が必ずしも仕事に就いていないと。本人は働けるんだけれども仕事就いていない。こういう課題をどうやって解決していくかという面がこの障害者自立支援法の主題なんです。

 今、小池さんは、負担一割はひどい、一割はひどいと言っていますけれども、これは、負担できない、収入のない人に一割を負担してくれと言っているんじゃないんです。様々な収入がある、その収入の範囲内で、収入のある人は一割負担してくださいということなんです。こういう問題において、今まで、この障害者の種別にかかわらず、市町村を中心に一元的に支援する必要があるんだということで、このサービスを確保していかなきゃならない、地域格差を是正するという面があるという点も、是非とも御理解いただきたい。

 そして、これから、仕事できるんだけれども、仕事を希望しているけれども、なかなか職場の実習等も思わしくないと、そういうことに対して就労支援をどうやって実施していくかと、そういう面についても改善の余地があるんじゃないかということで、これを充実していくという趣旨も入っている。さらに、今NPO法人を認めていない。しかし、国の機関だけじゃなくてNPO法人を認めることによって更に障害者支援が充実するんではないかという点にも配慮している。これから、在宅福祉サービスについては、国が負担していけなかったものを義務として国が負担するという措置も入っているんです。

 こういう利用者負担を見直さないと、今言ったような全体的な障害者の福祉支援サービスが思わしくはかどらないという点があるからこそ、ある程度収入のある方については一割は負担していただくことによって、今までサービスを受けられなかった方についてそのサービスを広げていこうということを考えているんです。

 ただ負担だけ、あるから、一割負担けしからぬ、一割負担けしからぬと言っておりますけれども、そういう全体的な点を見てこれは判断していただかないと、現に障害者の予算というのは増やしているんですから。それを負担だけ取り上げてやればそれは、今までゼロの負担、負担何にもなくていいのに決まっていますよ。しかし、収入のない人から一割負担を取ろうということでは全然ないんです。収入別において十分配慮しているということも是非とも御理解いただいて、一面だけ見ないでいただきたい。全体の福祉をいかに充実していくかという中での一環で、ある程度負担できる人は負担していただきたい。これがひいては全体の障害者の福祉を充実していく方向ではないかという点をやはり併せて議論していただかないと、片っ方だけ議論していただいちゃしようがないですよ。

小池晃君

 三障害一体化することやあるいは義務的経費化すること、前進面があることを我々は一切否定していないです。そういうことはこれまでも指摘をしているんです。しかし、最大の問題として、障害者の皆さんから指摘をされているのは、それじゃ、それで一割負担ということでそんなこと認められるのかということなんですよ。

 今、肝心な問題ごまかされた。私が言ったのは、負担、収入をはるかに超える利用料取られるんですよ。総理は収入の範囲で負担と言ったけど、私が言ったのは、作業所の場合、工賃七千二百円なんですよ、平均。それが、利用料二万九千二百円なんです。収入をはるかに上回る利用料じゃないですか。どうしてこれが払えるんですかと言っているんです。

国務大臣(尾辻秀久君)

 数字でありますから、私からお答え申し上げたいと思います。

 まず、今、工賃のことについてお触れいただいております。私どもも、私も何回も現場にも行っておりますから、障害を持った皆さんが作業所で働いておられる、そして頑張って工賃として収入を得ておられる。その収入、工賃からそんなに負担してくださいと申し上げるつもりは全くありません。この制度を考えたときから、これはもう私も一番気にしていたところであります。

 今、工賃のお話がございましたので、そこの部分だけでまず申し上げますと、今私どもが考えておりますのは、例えば一万円の工賃収入がある方でありますが、三千円をまず手元に持っていただきたい。そうすると、残り七千円です。その七千円の一五%を上限に、そこまでを上限に、利用料の一割がそこまであれば払ってくださいということでありますから、まあ例えば今一万円でというふうに申し上げましたけれども、三千円引いて七千円、七千円の一五%ですから千五十円になりますか、そこまでを上限にして払ってくださいと、一番払っていただいても工賃収入で払っていただくのはそこまででお願いしますということを申し上げておるわけでありまして、決して工賃収入を超えて払ってくださいとか、せっかく頑張られたお金の中から大半を払ってくださいとかというようなことを申し上げるつもりは全くないことは是非御理解いただきたいと思います。

小池晃君

 いや、ごまかしですよ。減免制度をしたとしても、これは一万二千六百円の負担になるはずですね。ですから、平均七千円の工賃をはるかに超えるんですよ。

 しかも、いろんな減免があるとおっしゃるけれども、家族に課税収入があれば減免の対象外なんです。それから、貯金が三百五十万円以上ある場合も減免の対象外なんです。障害者の貯金というのは、御家族が我が亡き後の子供のことを考えて子供の名義で積み立てるような貯金ですよ。そういう貯金があったら減免の対象外になるんです。しかも、三年間の経過措置でしかないんです。そして、結局減免されても食費、光熱費合わせれば負担は一万二千六百円。工賃平均七千円をはるかに超えるじゃないですか。一体どこがきめ細かい配慮なのか。身ぐるみはぐというのはこのことじゃないですか。

 総理、減免があると言うけれども、結局こういうことなんですよ。工賃を超える負担になるんです、みんなが。こういうことが許されるのかということが問われているんじゃないかと思いますが、総理、いかがですか。

内閣総理大臣(小泉純一郎君)

 それは誤解です。一方的な議論しないでくださいよ。身ぐるみはぐなんて、これは誠に遺憾な言葉であります。

 具体的な数字は厚労大臣から述べますが、収入以上の負担など求めておりません。全部配慮しているんです。それ詳しかったら、よく厚労大臣、もう一回答弁してあげてください。これはひどい。余りの一方的な議論です。

国務大臣(尾辻秀久君)

 余り細かなことを一々申し上げるということをここでは申し上げませんけれども、今例えば三百五十万円という預金の数字をお出しになりました。これも言わば現金預金というか、もうすぐ引き出せるところで三百五十万円の預金がおありの方はということを言っているわけでありまして、これも信託などに持っておられる方の分まで計算してというようなことも言っておりません。例えば、もうそういう正に細かな配慮をしているわけであります。

 そして、細かなことは言いませんけれども、今私どもが申し上げているのは、日常生活費として最後に二万五千円だけは必ず手元に……

小池晃君

 誤解。

国務大臣(尾辻秀久君)

 いや、二万五千円だけは必ず手元に残るようにすると言っているじゃありませんか。そこのところは是非御理解いただきたいと思います。

小池晃君

 私、提案している大臣が法案の中身理解していないことに愕然としますね。今の二万五千円の手元金残すというのは入所施設の減免の話ですよ。この次に質問する話ですよ。全く中身分かってないじゃないですか。通所施設に通う場合に手元金残すなんという仕組みは今回の法律の中にどこもないんですよ。そんなでたらめな理解で法案提出されたというのは本当にとんでもないと。

 入所施設のことをおっしゃったんでお聞きしたいんですが、入所の場合ですね、これは通所の負担、大変過酷なんですけれども、住まいである入所施設の場合、今お話ありました個別減免制度ありますけれども、それはどういう説明して、仕組みになっているか、じゃ、御説明願えますか。入所施設、住まいでもある施設の場合の減免制度についての説明。今ちょっと先走ってされましたけれども、それを説明していただきたい。

国務大臣(尾辻秀久君)

 私どもは、先ほども申し上げましたけれども、とにかくきめ細かにこの施設つくろうと、いや、制度をつくろうということで努力をいたしました。そして、やや複雑になったかなということは率直に思います。しかし、もう何とかしたいということがそういうやや複雑になったということは御理解いただきたいと思います。

 そこで、その制度をできるだけ分かりやすく御説明申し上げようと思って作ったのがこのペーパーでございまして、このペーパーだけでももう複雑であります。

 そこで、これを一々御説明申し上げるというのは、大変言葉で御説明申し上げるというのは難しいわけでありますけれども、今のをお答えしますと、まず、収入が六万六千円までなら負担はゼロです。まず、ここのところは踏まえてください。収入が六万六千円までの方は負担はゼロにするということを言っておるわけであります。まず、そこのところももう是非御理解いただきたいと思います。

 したがって、今おっしゃっておられるようなことにはならないわけでありまして、この制度が大きく、施設に入っておられる方と家におられる方との、大きく、個別減免というか、一方を個別減免と言っています。正確に言いますと、一つの方は、入所施設の皆さんの減免は個別減免と言っておりますし、それから在宅の方の皆さんの方は私どもは社会福祉法人減免と、こういうふうに呼んでおりまして、これも分けて表現しておりますことも御理解いただきたいと思いますが、もうそんな話すると非常に申し上げておりますように複雑で長い話になりますから、まず、六万六千円のところで負担ゼロだということは是非踏まえていただきたいと思います。

小池晃君

 今のはでたらめなんですよ。定率負担はゼロですよ、確かに。しかし、食費、光熱費あるでしょう。それ、トータルで個別減免で一体幾らになるのか、説明していただきたい。

国務大臣(尾辻秀久君)

 それでは、改めて申し上げます。

 入所施設に入所している方の利用負担については、食費等の実費については自己負担とすること、サービスについての費用は、所得に応じた上限額を設定した上で一割の定率負担とすることを原則としております。ただし、負担能力の低い方については、月額六万六千円までの収入の方は定率負担はゼロとするほか、食費等負担についても、少なくとも一か月当たり二万五千円残るよう負担を軽減する仕組みとし、過大な負担とならないように配慮しておるところでございます。

 これが改めてのお答えであります。

小池晃君

 その方が分かりやすいんですけれどもね。要するに結局、手元に二万五千円残すところまでは全部取り立てるという仕組みなんです。これは一日八百円ということですね。

 何で二万五千円の手元金が残ればいいというふうに判断したのか、根拠を示していただきたい。

国務大臣(尾辻秀久君)

 二万五千円残して全部巻き上げるみたいなことをおっしゃいますけれども、私どもとしては、何かそんなつもりは全くないわけでありまして、上限まで負担していただいてもこうなるというわけでありまして、そこのところは是非誤解のないように御理解をいただきたいと思います。

 それから、二万五千円とした根拠は何だということでございますけれども、これ、家計調査によりまして、家計調査で年収二百万未満の二人以上の世帯平均でその他生活費が幾ら掛かっているか、家計調査におけるその他生活費が幾ら掛かっているかというので二万一千円という数字が出ております。したがって、その二万一千円よりも、障害をお持ちの方、日常生活費もう少し御入り用な部分もあるのではないかということで四千円を乗せて、二万五千円は手元に残していただこうと、こういう根拠にいたしております。

小池晃君

 ですから、これ、年収二百万円、生活保護水準はるかに下回る水準ですね。一日八百円ですよ。それしか残さない。ここから日用品だ、医療費、交通費、電話代。外出もままならないし、洋服も買えないし、人間らしい生活など本当に無縁だと。もし病気になったら多額の持ち出しになるということになる。しかも、入所施設の場合は手元に二万五千円だけは残される、しかし、グループホームや自宅から通うような場合はこれもないんです、手元金すら。赤字になってしまうようなケースがほとんどなんです。

 総理、こういう仕組みになっているんです。非常に複雑なんです。しかし、複雑にした結果、最後に手元に生活費が二万五千円、月残ればいいという、そういう減免制度を作ったんです。一日八百円なんです。一日八百円で本当に人間らしい生活できると思いますか。総理、今日テレビ見ていらっしゃる障害者、家族の方いると思うんです。私、本当に説明していただきたい。障害者は一日八百円のお金があれば生きていけるという仕組みを提案されたんだから、きちっと総理、これ説明していただきたい。どうですか。

内閣総理大臣(小泉純一郎君)

 今厚労大臣も説明されましたし、私も説明しているように、これはなぜ複雑になったかということは、これは実にきめ細やかなサービスなり配慮をしたからなんです。そして、身ぐるみはぐのか、とんでもない。収入、(発言する者あり)収入二万五千円しか残さないというよりも、そこまで全部取るということじゃないんです。(発言する者あり)それ、ちゃんと収入はある程度ある方に対して一割の負担をしていただくということでありますから、それは全部の、それ一人一人全く対応が違うのは事実でありますが、それを全部一人対応はできませんよ。

 しかし、一定の基準というものを今までの調査ではじき出して、負担をされても二万五千円というものは日常生活に欠かすことができないであろうということで、収入を考えながらこのサービス料の負担を考えているわけでありますので、全部収入を持っていくとか収入ない人に負担をしろということではないと。なおかつ、今までしなきゃならないこと、義務で、義務的に払わなくてもいいというものを義務化してできるだけ市町村内の格差をなくしていこうと、そして障害者がそれぞれの場で意欲のある人に対しては自立できるような対策を講じようという全体的な配慮の中でされていると。

 それで、複雑になったというのは、できるだけきめ細やかな、人によって配慮しようということでありますので、負担ばかりの点について指摘されていますけれども、負担は決して無理な負担をお願いしているわけではないと、十分な様々なサービスをした上での負担であると、一割の負担であるということも是非とも御理解いただきたいと思います。

小池晃君

 全く仕組み違うんです。あのね、収入十万円までは二万五千円しか残らないんです。収入十万円超えた途端に十万円超える部分について〇・五%、あっ、半分を残すという仕組みなんです。だから、十万円の収入なんて、障害者なんてほとんどいないですよ。そういう人たちみんな二万五千円しか残んないんです。二万五千円の手元金で生きていけということを言えるんですかと私聞いているんです。答えていただきたい。ちょっとそれは総理、答えてください。二万五千円で生きていけるんですかと。

国務大臣(尾辻秀久君)

 二万五千円の根拠について申し上げましたけれども、もう一回申し上げますと、家計調査で年収二百万未満の二人以上世帯の平均の数字がその他生活費二万一千円であります。したがって、二万一千円で頑張ってやっておられる方々もおられるわけでありますから、まあ私どもの最低これだけ手元に残してくださいというその最低の数字は、その頑張っておられる方々の数字に合わしたと、まあこれは御理解いただきたいと思います。

 その二万一千円でも頑張っておられる方々が平均としてもおられるわけでありますから、じゃその方々にどういうふうに今度は申し上げることになるのかなと、今みたいなおっしゃり方すると、(発言する者あり)なるのかなと、つい思うわけでありまして、ここは二万五千円という数字は御理解いただきたいと存じます。

小池晃君

 年収二百万円で暮らしていらっしゃるというのは本当に大変な実態だと思いますよ。しかし、この法案というのは年収二百万円の生活水準で日本の障害者暮らせという法案なんですよ。そんなことが許されるのかということなんですよ。

 私ね、今の今日のやり取りで本当に日本の障害者施策がいかにひどいものか、そしてこの自立支援法案というのが正に年収二百万円の人の生活水準で生きていけということをすべての障害者に押し付ける法案なんですよ。こんなことが許されるのかと。憲法二十五条というのは健康で文化的な最低限度の生活というのを保障しているんです。これを憲法違反の法案だと。しかも、改革を止めるなといって最初に出してきた法案がこれでしょう。改革を止めるなといって最初に一番弱い立場にいる障害者に痛みを押し付ける、これが小泉改革の正体なんだ。絶対にこんな法案を許すことできない。この法案は断固撤回するべきだということを申し上げて、私の質問を終わります。

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