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日本共産党参議院議員・医師 小池晃 アーカイブ[〜2008] 日本共産党参議院議員・医師 小池晃 アーカイブ[〜2008] 日本共産党参議院議員・医師 小池晃 アーカイブ[〜2008]

164通常国会 参議院厚生労働委員会

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2006年3月22日(水)

小池晃君

 日本共産党の小池晃です。

 一昨年十二月に起こった福島県立大野病院での帝王切開手術中の大量出血に関して、手術の執刀医である産婦人科の一人医長が逮捕、起訴された問題です。手術中の死亡という大変不幸な事件であります。亡くなられた女性と遺族の皆さんに心からお悔やみを申し上げます。

 その上で、これは産婦人科医不足と、その結果として、少人数の医師が献身的、自己犠牲的に出産というリスクの高い医療行為を行わざるを得ないという背景の中で起こった事件でありまして、執刀医一人のみの責任を問うたということに批判が沸き起こっております。私自身、事故調査委員会の報告書も読み、関係者の話も聞いて、逮捕、起訴という在り方に強い疑問を持っております。同時に、地域医療とりわけ産科医療に大変深刻な影響を与えることを危惧しております。

 大林刑事局長は、先週、衆議院の厚生労働委員会で、逮捕についていろいろな意見が寄せられているということをお述べになりました。国会でも、先週、西島委員が取り上げ、衆議院では民主党の仙谷委員が取り上げ、今日、共産党の私がこれを取り上げると、逮捕、起訴という対応に疑問を示すと。こういうふうに党派を超えて、医療界はもちろんですよ、もう物すごい今反応が起こっておりますし、国会でも党派を超えてこれはやっぱり問題じゃないかという声が上がっていることについて、法務省として、こうした幅広い批判が起こっているということについてどのように受け止めておられるか、お聞かせいただきたいと思います。

政府参考人(大林宏君)

 御指摘のとおり、この事件におきまして、医学界あるいは議員の先生方からもいろいろな意見が表明されているということは私どもも承知しております。

 しかしながら、既にもう裁判所に係属中になっている事件でございまして、法務省としてこの事件がどうだということはなかなか申し上げられないということを御理解願いたいと思います。

小池晃君

 今後過失致死について解明が進められると思うんですが、貧困な医療体制の中で頑張っている医師が、貧困な体制ゆえのこの不幸な医療死亡事故の責任を一身に背負わされると、こういうことがまかり通れば、私は本当に今の環境の中でリスクの高い出産にかかわる医師、いなくなってしまうのではないかと。

 川崎大臣は、医師法二十一条の見直しについて言及されました。私、これはもう当然だし、評価をしたいと思っているんですが、これは本当に問題ある仕組みで、刑事責任を問われる可能性のある医師が死因の特定を行って法医学的異状があった場合、二十四時間以内に通報しなければいけない。これほど現場にプレッシャーを与える仕組みないし、まあ患者さん方からも不信を持たれるような仕組みはないと思うんです。

 そこで、先週の議論で英国のコロナー制度などの紹介もございました。諸外国では、医療事故は第三者によって死因の特定など事実解明を行って、それを通じて、医師の診療行為に問題があれば責任追及という仕組みになっているところが多いようですが、日本でもこうした方向性で進んでいくべきではないかと思いますが、いかがですか。

政府参考人(松谷有希雄君)

 診療行為に関連した死亡につきまして原因究明を適切に行うということは、医療の透明性の確保あるいは事故の発生防止、再発防止といった観点からも大変望ましいことだというふうに考えております。

 今、先生御指摘のように、諸外国のいろいろな制度がございます。諸外国もまあ国によってそれぞれの医療の在り方に沿って行われているわけでございますけれども、我が国におきましても、平成十七年度より診療行為に関連した死亡を対象にいたしまして、中立的に原因究明を行うモデル事業を実施いたしまして、死因究明の体制確保の在り方、あるいは中立性、公平性の確保の方法、それから異状死の届出との関係など、課題の整理を行っているところでございます。

 現在までこのモデル事業で十三名について受け付け、個別事例の評価を進めている状況でございまして、この実施状況を踏まえまして、死因究明制度につきまして検討を進めていきたいと考えております。

小池晃君

 これはモデル事業をやっておられるのは存じておるんですが、これ異状死となったらこのモデル事業に入らないという仕組みなんですよね。やはり求められるのは、異状死も含めてやはりどうその真実を解明していくのかということを検討する仕組みだろうと思うんです。

 この医師法二十一条改正については前回大臣もおっしゃられたので今後検討されていくものだと思いますが、いずれにしろ一定の時間は掛かるでしょう。だとすると、この改正まで明確な基準のないまま、異状死については現場の医師が判断せざるを得ないという状況は続くわけであります。私はやはりその医師法改正の検討を進めつつ、その結論を待たずに、やはり異状死の判断基準については厚生労働省が医療関係者の声をよく聞いて検討するべきではないかと思いますが、その点はいかがでしょうか。

政府参考人(松谷有希雄君)

 医師法二十一条の届出につきましては、前にも御答弁申し上げましたけれども、法医学的な異状というものについて、二十四時間以内に所轄警察署に届け出るということになっているわけでございますけれども、どのような死が具体的に異状死に該当するかにつきましては個々の状況に応じて個別に判断される必要がございますので、死体を検案した医師がこれを個別に判断しているということでございます。

 異状死の届出の判断基準をお示しすることにつきましては、異状死が今申し上げましたように個々の状況に応じて個別に判断されるべきものであって、一律に基準をお示しすることが大変困難であること、仮に一定の考え方で届出対象となる異状死の範囲を限定した場合に、今度はその範囲に含まれるか否かの判断を行う必要が生じるわけでございますが、その判断の公正さをどのように担保するかといったような問題がございまして、現時点では大変困難だと思いますけれども、引き続き検討課題とさせていただきたいと思います。

小池晃君

 これがなければもう本当に現場に任される、これほど大変なことはないというふうに思うんで、これは検討をやはり急ぐべきだというふうに思います。

 加えて、その一人医師体制の見直し、集約化ということを大臣は言及されまして、福島県の病院局もそうした方向で検討しているそうです。

 そこで、数についてお伺いしたいんですが、この十年間で産婦人科医の数がどのように変化しているのか。医師全体の動向と併せてちょっと御答弁願えますか。

政府参考人(北井久美子君)

 厚生労働省の医師・歯科医師・薬剤師調査によりますると、平成六年から平成十六年までの十年間に、医師総数は二十二万八百五十三人から二十五万六千六百六十八人へと三万五千八百十五人の増加、パーセントで一六・二%増加をいたしておりますが、その中で産婦人科医師につきましては、平成六年一万一千三十九人から平成十六年一万百六十三人へと八百七十六人の減少、パーセントで七・九%の減少ということでございます。

小池晃君

 小児科医なんかは増えている中で、神経科と産婦人科が減っているようなんですが、大臣に最後にお伺いしたいんですけれども、ちょっと御紹介したいのは、岩手県の医師会報にあった記事なんですが、こんな記事あったんです。陸前高田市、千厩町、遠野市、江刺市、花巻市、地域中核病院から産科撤退が相次いだと。分娩場所を失った地域住民が分娩するためには車で一時間、二時間も掛かる最寄りの医療機関に行かざるを得ないと。例えば遠野市の住民であれば盛岡、釜石の医療機関、花巻市の住民であれば盛岡市、北上市などの医療機関、このため陣痛発来で移動中の車の中で分娩をしてしまった例や、胎動感の消失、出血などの自己の体調不調があっても遠方のため受診を遠慮をし、ちゅうちょし、治療時期を逸している例が相次いでいる。江刺、花巻というのは新幹線の停車駅ですが、こういったところにも産科医が空白になっている。

 それから、沖縄県の石垣島含む八重山郡では、分娩できる病院が四月になくなるという危機的状況であります。それから、都会でもこういうことが起こっていて、神奈川県の足柄上地区、一市五町ですが、ここでは一か所だけしか分娩できる病院がなくて月十件が限度だということで、新体制になって、お産は抽せんか先着順で受け付けるということになっているというんですね。こういう事態がもう全体で起こっている。

 集約化ということは私は必要なことだと思うんですね。医療の安全性という点では集約しなければいけない。しかし、それだけではやっぱり今起こっている医療の過疎化を一層進行させるという、これはジレンマみたいなものがある。やはり、その周産期医療の充実というのは厚労省が掲げてきたことでもありますし、私はやっぱり集約化と同時に、この際、産婦人科医や助産師の増加を図る、そのことが病院の経営上も報われる仕組みをつくる。地域で安心して出産できる体制整備と予算措置、これが併せて行われなければいけないのではないかというふうに考えますが、大臣の見解を伺います。

国務大臣(川崎二郎君)

 一つは、労働量や責任に対して報酬が低い、医療訴訟が多い、当直、不規則な診療時間がストレスになっていると、こういう研究もございます。私の地元でいえば、何件かの正にお産をしておりました産婦人科が婦人科に変わっていっている。そういう意味では、産婦人科としての能力は持っているけれども、もう自分はお産の仕事はしたくないと、こういう方々が増えてきていることは間違いない事実だと思います。

 一方で、地域におきますと、どうしても自分の市には小児科にしてもお産、周産医療につきましても自分の地域に持ちたいと、こういう気持ちが強うございます。しかしながら、各県でいろいろ御配慮いただきながら、例えば私の県でいえば小児医療、やはり集約化をしていっているところでございます。しかし、どうしても地方自治体、議会もございますから、御了解得られない。したがって、関西や中部圏から人を引っ張ってきて、三重県でございますけれども、私の場合は、医療体制をしいていると、こういうところもございます。

 しかし、今委員も言われましたように、やはり基本的には集約化をしていくという以外ないであろうと。私の県は、結構有名になりました尾鷲というところが五千五百万円給料出すからお医者さん来てくれと言って一人だけ来てもらっているという例があります。しかし一方で、それじゃ一人のお医者さんで今のような、今問われているような話が出たときに対応できるかとなると、なかなか難しい。そこはやっぱり公立病院を中心にしながら集約化をしていくということについて地域の皆さん方に御理解を得ながら進めなければならないだろうと私は思います。

 そういう意味で、産科の給料を、待遇を良くしたからどんどんどんどん産科のお医者様が増えてという形にはなかなかなりにくい。そういった意味では、やはり各県でどういう形で地域地域に体制をしきながらやっていくかと。そこには三人、四人のお医者さんが常駐しているという体制をどうつくり上げるかということでございますので、是非その方向で進みたいと考えておりますので、御理解のほどお願い申し上げたいと思います。

小池晃君

 まあ、集約化と同時にやっぱり全体の底上げが必要ではないかという私の問題提起ですから、しっかり受け止めて検討していただきたいと。

 続いて、障害者自立支援法の問題点を取り上げたいんですが、施行まで一週間となって様々な問題点が浮かび上がっております。全国からいろんな声寄せられておりますが、今日はちょっと報酬単価の問題、ここについてお聞きをしたい。

 四月から給食費全額自己負担、その上、報酬額が一・三%減額となりました。さらに、月払から日払に変更になっておりまして、事業所に当てはめてみると、かなり大変なことになるんではないかと。今日、資料もお配りしておりますけれども、支援費制度と比べて、当面の移行措置であっても大幅に減収になるという試算が出ております。

 これは何で減収になるかというと、単価の問題もあるんですが、厚生労働省としては九四・五%の利用率ということを仮定して設定をしているようなんですが、実際に現場でいろいろ聞くと、知的の施設で利用率が八割から九割、精神では五割から六割というようなところが多くなっております。四月からの移行措置で日払に変更になっただけでこれだけ減収になっているわけですね。

 局長にお伺いしたいんですが、自立支援法の審議の中でも一貫して水準は下げないというふうにおっしゃってきたと思うんですが、この報酬の水準で従前のケアの質や量が担保できると考えておられるんですか。

政府参考人(中村秀一君)

 お答えを申し上げます。

 委員から今示していただいた支援費制度の単価の表も見せていただいておりますが、支援費制度で年収七千九百五十六万円のところでございますが、新しい報酬単価で、旧体系になりますと、新しい制度では食費、日用品費が除かれますので、そういたしますと、この七千九百五十六万円のうち、報酬の対象になるのが七千百四十九万六千円ということでございます。

 で、その七千百四十九万六千円と、お示しになっている旧体系とどうかということでございますが、私どもの試算ですと、日払になるということですが、二十二日間オープンをし、平均利用率などを九四・五%、今御指摘のあった平均利用率で計算しますと、この数字が七千万、七千五万三千九百八十四円ということで、言わば先ほどお示しいたしました支援費制度の食費、日用品費等を除いた七千百四十九万六千円に比べますと約二%の差と、こういうふうになっております。

 今委員から実際、月払から日払になった場合のどのくらい影響あるかというお話でございますが、私ども把握している利用率からいうと、この程度ではないかと考えております。

小池晃君

 ただ、その九四・五%の利用率というのは、これ支援費のときの実態調査に基づくもので、これから実際に負担が増えたときにどうなるかというのは、この数字で私は測れないと思うんですよ。しかも、これ支援費の実態調査というのは、御存じのように精神入っていませんからね。そういう点でいうと、それから二十二日というのも、現場に聞くと、やっぱり土曜日やっていないところ多いです。そういう意味では、これ無理のある数字ではないかというふうに思いますが。

 さらに、三月一日の課長会議で新しい報酬基準も示されました。新しい基準で当てはめるともっと下がるわけですね。これ四十名定員の知的でこれ当てはめて計算してみましたけれども、一応皆さんがモデル事業でやっている障害程度区分の分布に合わせて計算したのが、は最悪ケースといいますか、要は、すべて低い障害程度区分で当てはめるとどうなるかということで計算すると、二千九百万円、三六%の減収から三千六百万円、四五%の減収と。この四月からの旧措置で、旧体系で一回落ちて、更に新報酬になってまたがくっと落ちると。こうなると、本当に事業の撤退も考えなきゃいけないという声が現場から出ている、職員解雇しなきゃいけないという声も出ている。後退させないどころかサービスの提供ができるかどうかという、そういう水準にこれ新しい報酬ではなりかねないのではないか、審議の際の約束はどこへ行ったのかと思うんですが、この点いかがですか。

政府参考人(中村秀一君)

 委員から提出した資料を拝見いたしておりますけれども、新体系の移行先をどういう移行先というふうに考えるのか、それによってかなり試算も違ってまいります。

 私ども、例えば区分Aの方の中で生活介護、就労継続支援、そういったところに移るとすると、この計算とは違いまして、新サービス体系に移行した場合、旧単価よりも二・八%増加とか、それぞれどういう事業の組合せ、移行をするのかということで事業収入が変わってくると。生活介護につきましても、利用者の平均障害程度に応じて単価の水準は向上いたしますので、この試算についてもう少し、今日見せていただいたところでございますが、検討さしていただかなければなりませんが、我々の試算では一〇二・八%、一〇一・〇%と、そういう組合せができると、こういうふうに考えて報酬を設定しているところでございますので、必ずしもこういう事態にはならないんじゃないかと考えております。

小池晃君

 そうならない事態もあるかもしれませんけれども、こういう設定もあり得るわけで、こういう施設にとってみると本当に深刻な事態になっていると。私は移行期間の延長、あるいはその新報酬体系の抜本的引上げをこれは避けて通れないということを申し上げたいと思います。

 それから、自立支援医療についてちょっとお伺いしたいんですが、精神については、重度かつ継続の見直しをされました。ところが、育成・更生医療の範囲については、検討会が昨年十一月を最後に開かれてない。これどうなんですか、これ四月実施に間に合うんですか。

政府参考人(中谷比呂樹君)

 自立支援医療制度におきます重度かつ継続の範囲でございますが、前回の特別国会におきましては検討会を立ち上げまして、現在活用できるデータに基づいて検討いただき、その結果、精神通院医療につきまして、当初お示ししました疾患より拡大をして追加を指定をして、四月一日から施行ということになっておるわけでございます。

 一方、育成医療、更生医療の重度かつ継続の範囲につきましては、検討会においても当初お示ししております三障害、これを対象にスタートするというコンセンサスができまして四月一日を迎えるわけではありますけれども、更に実証的なデータに基づき検討を行うこととしておりまして、現在、厚生労働科学研究においてデータの収集等を行っております。この結果を踏まえまして更に御論議いただきたいと、こういうふうに思っております。

小池晃君

 いや、これ第三回検討会で佐藤座長のまとめは、年度末に結果を検討会に報告して検討すると言っていたんですね。ところが、それがいつまとまるのか、次の検討会いつ開くのか、これも未定と。これ極めて無責任だと思うんです。

 この間の国会では、精神の重度かつ継続だけではなくて、育成・更生医療についてもこれ範囲があいまいであると、決まってないまま進めていいのかということを質問して、大臣は、尾辻大臣ですが、急いで検討すると、そう答弁したんです。それにもかかわらず四月に間に合わないという事態なんですよ。これまともな検討もないままスタートして被害被るのは、本来重度かつ継続に該当しながら負担せざるを得ない利用者なわけで、これ検証というのは、聞くところでは昨年十月分のレセプトを基にモデルケースを作成しているというわけでしょう。だとすれば、それで検証の結果対象となったケースというのは、これは本来は施行日である四月から適用されなければいけないはずでしょう。それが四月にスタートできないというんでは、これは国の責任ですよ。

 だから、私、こんなことであれば、四月以降、将来対象になる人が例えば手術をしたという場合に、将来対象になった後で手術した人との間で不公平が生じると、こういう事態を避けなければいけないというふうに思いますし、何らかの経過措置が必要ではないかと、そういうふうに思います。将来対象となった場合には、四月から対象となるまでの間に払った医療費の返還をするとか、これは何らかの手だてをする、これ約束したんですから、検討するって。これ当然じゃないですか。

政府参考人(中谷比呂樹君)

 御答弁を申し上げます。

 前回お約束といいますのは、重度かつ継続の範囲につきましては引き続き検討を申し上げ、そして結論が出次第また対応していくということを尾辻厚生労働大臣お答えしたところでございます。

 したがいまして、現在までのところ、この検討会におきます検討というのは、精神につきましては対象拡大をしたと、更生医療、育成医療については引き続き実証的な研究を続けていくと、それを踏まえて対応するということになっておりますので、その結果が出次第その対象とするということになりまして、その施行日以降に正に負担軽減が適用されるというふうに考えておるところでございます。

小池晃君

 今の答弁、重大だと思いますね。尾辻大臣は、このことについて急いで検討すると答弁してます。その答弁を、これを参考人がゆがめるというのは、これは許し難いことですよ。これはちょっと議事録をよく整理させて、引き続きちょっと問題にしたいと思います。

 それから、最後、高年齢者雇用安定法の施行に向けての問題なんですが、これは四月に施行されます。今回の改正について、継続雇用制度の導入、あるいは六十五歳までの定年の引上げかのいずれかの措置を事業主に義務付けるというものですが、ちょっと確認だけさせていただきますけれども、希望者全員を雇用するのが原則と、これで間違いございませんね。

政府参考人(鈴木直和君)

 改正高年齢者雇用安定法による高年齢者雇用確保措置のうち、継続雇用制度を導入する場合につきましては、継続雇用を希望するすべての労働者を対象とすることが原則となっております。

 ただ、改正法におきましては、すべての企業に一律の義務付けを行うと各企業の経営環境等に応じた適切な対応が取れないとの意見も踏まえ、各企業において労使協定によりまして基準を定めたときは基準に該当する労働者を対象とする制度を導入することも認められているところでございます。

小池晃君

 これ、厚生労働省が周知する資料の中で、労働組合から、法改正の趣旨は希望者全員が原則なのに、最初から労働者を選び出すことを前提とするような記述は誤解を招く、不適切だという声が上がって改善した部分があるというふうに聞いてるんですが、どこをどう改善して、その周知がどういう規模で徹底されているのか、通達等は出されているのか、お聞きします。

政府参考人(鈴木直和君)

 改正高年齢者雇用安定法の周知の問題でございますが、これにつきましては、改正法の趣旨等に係る正確な情報の提供に万全を期するという観点から、事業主や労働組合の関係者からの御意見等を十分踏まえて周知啓発手法の見直し等を行ってきたところでございます。

 具体的には、改正法の周知啓発の際には、継続雇用制度の導入は希望者全員を対象とすることが原則である旨を明示的に説明するよう、昨年十一月に労働局やハローワークの担当者に注意喚起を行っております。また、同時に、この点を特に強調したパンフレット、これを新たに作成しまして、本年二月に全国に三十万部を配布しております。それから、継続雇用制度の対象者に係る基準事例を掲載したパンフレットについて、労使納得による基準策定に一層資するよう見直したパンフレットを作成して、これにつきましては、本年一月に全国に八万部を配布するとともに、厚生労働省のホームページを通じて公開をしております。

小池晃君

 じゃ、続きは後でやらせていただきます。

 終わります。

(中略)

小池晃君

 日本共産党の小池晃です。

 先ほど時間切れになってしまった高年齢者雇用安定法の問題をちょっと冒頭伺いたいんですが、先ほど答弁ございまして、この法の資料に問題があって削除もされたということなんですが、やっぱりこれを基に事業主というのは具体化するわけですから、やはりきちっと徹底するのであれば、先ほどの御答弁のように内部文書ではなくてきちっと通達などを出すべきだったと思いますし、これは施行前に再徹底を求めたいと思います。

 その上で、この資料の中の継続雇用対象者の基準の基本的考え方には、事業主が恣意的に特定の対象者の継続雇用を排除しようとすること、本改正の趣旨、労働関連法規、公序良俗に反するものは認められないと、こうなっております。

 しかし、実態はどうなっているかというと、例えば全国社会保険診療報酬支払基金、ここの労働組合、全基労というんですが、ここの報告では、継続雇用の対象者の基準として、定年までの日常業務には求められていなかった医療事務の資格とかパソコンの検定試験の合格者であるということを、これは実態としてはもうほとんど必要ないと思うんですが、これを求めているんですね。在職者には求めていない資格を継続雇用の対象者、希望者にだけ求めるというのは、これは明らかにおかしいと思うんですが。

 ちょっとお聞きしたいんですけれども、一般論としてお聞きしますが、日常業務を行う上で必要としない資格を継続雇用制度の対象者の要件とする、これは事業主が恣意的に特定の対象者の継続雇用を排除しようとすることに当たるんじゃないかと思いますが、いかがですか。

政府参考人(鈴木直和君)

 まず、最初の御質問にお答えしたいと思いますが、趣旨の周知徹底につきましては、御指摘のようにメールマガジンで周知徹底をしておりますが、その後も、見直したパンフレット、これを全国的に配布しておりますので、そういう意味では、周知徹底は大丈夫ではないかと考えております。ただ、そこで問題が生じるようなケースがありましたら、改めてそこら辺は徹底していきたいと思っております。

 それから、今の後半の御指摘は、特定の資格を取得することを基準とする場合のお話ですが、これ、一般論としていえば、当該資格の取得、これが労働者の能力等を適正に測るものとして労使間で十分話し合って合意されているというものであれば、こういった改正法の趣旨には特段合わないということではないんではないかというふうに考えております。

小池晃君

 前段の話でいうと、作ったパンフの部数に比べて作り直した部数は圧倒的に少ないわけですから、これはきちっと周知していただきたいと。

 それから、後段の話でいえば、通常業務で求められない資格を、これを継続雇用の条件にしていいということになったら、どんどんこれ付け加えて絞り込めることになるわけですから。しかも、労使で協議といいますけれども、これは、労働組合あるのは二割なんですから、やっぱりきちっと適切な助言、指導をすべきだというふうに思います。

 それから、大臣に私お伺いしたいんですが、これは四月から実施をされるわけですけれども、中小企業なんかを見ますと、やっぱりまだまだ徹底されていないという実態があるようなんですね。やはり希望する人が定年を超えて全員働くことができる、こういう制度から漏れる人をつくっちゃいけないというふうに思いますので、雑誌などでは私広告を拝見しましたけれども、新聞広告とかテレビでやっぱりコマーシャルをやるとか、これは中小企業も含めて全事業主に再度周知徹底を図っていくということは必要なんじゃないかと思いますが、その点いかがですか。

国務大臣(川崎二郎君)

 春闘を通じながら大企業の中でこの議論が進んできて、三月にいろんな方針発表がされました。必ずしもこの高齢者雇用の問題だけでなく、パートタイマーの改善の問題や育児休暇の問題や、様々なものが議論されて、そういう意味では国民の中にかなり、新しく四月からスタートするんだねという意識が芽生えたところであろうと思います。

 一方で、春闘といいますと中小企業はこれからの話にもなってまいりますので、関心の深いときに周知をするというのは確かに言われるとおり大事な仕事であろうと。余り関心のないときに余りPRしましても、幾らやっても聞いてくれないと。しかし、今正に春闘も含めて議論をしている中でしょうから、そういった意味では、残された二週間、できるだけ有効に使いながら、また四月になってもまだまだそういった課題残ると思いますので、国民全体が、特に中小企業の皆さん方が理解をしていただくように周知に努めてまいりたいと思います。

小池晃君

 是非前向きに取り組んでいただきたいとお願いしたいと思います。

 さて、今回の千葉南公共職業安定所の新設についてですが、これ、事実関係をお伺いしますけれども、職安一か所当たりの新規求職者数は、全国平均と千葉所ですね、今の、それぞれ何人なのか、で、新設される千葉南所はどうなるのか、お聞きします。それから、職員一人当たりでは全国平均と比べてどんな具合になるのか。それから併せて、全国的に五年前と比べて職員の増減がどうなっているか、これは先ほども議論ありましたけれども、お伺いします。

政府参考人(金子順一君)

 平成十六年度ベースでの数字でございますけれども、まず全国の公共職業安定所の新規求職者総数でございますが、約六百九十三万という数字になっております。これを一所当たりの平均新規求職者数に引き直してみますと、一万一千六百十三人という数字でございます。

 次に、千葉公共職業安定所における新規求職者数でございますが、平成十六年度で五万七千十七人となっております。新設の千葉南所につきましてこの十六年度の数字を基に推計をしてみますと、新設の千葉南で二万一千六百六十六人、新設後、分割した後の千葉公共職業安定所で三万五千三百五十一人と見込んでおります。

 次に、千葉公共職業安定所等の職員一人当たりの新規求職者数でございますが、千葉公共職業安定所につきましては同じく十六年度で八百九十人という数字でございます。また、先ほど述べました数値を基に職員数で割ってみますと、千葉南につきましては九百二人、分割後の千葉公共職業安定所については八百四十一人と見込んでおるところでございます。

 なお、最近五年間の公共職業安定所の定員の推移でございますが、十三年度一万二千六百九十二人、十四年度一万二千五百六人、十五年度一万二千四百四十六人、十六年度一万二千二百三十五人、十七年度一万二千百六十四人となっております。

小池晃君

 ちょっと今お答えなかったんですが、全国平均の職員一人当たりの新規求職者数は五百六十七人ですから、千葉、分割したとしても平均の一・五倍というようなかなり厳しい状況なわけで、今回の措置は当然の措置だというふうに思います。効率性というだけではなくて、一人一人の失業者に親身で丁寧な対応があってこそ雇用促進進むと思いますので、それにふさわしい職員配置を求めたいというふうに思います。

 この際、ちょっと雇用をめぐる問題について幾つかお聞きしたいんですが、若者の雇用の問題、依然として非常に厳しい状況が続いています。千葉県の民青同盟の若者が青年労働者にアンケートを取りまして、うちらの実態という黒書を出しているようなんですが、それ見ますと非常に厳しい状況伺えます。例えば、月四十五時間残業で翌月のシフトが組まれて実際には七十時間、月六日の休日も呼び出されている、食品会社勤務の男性。二、三か月前にやっと就職できたけれど、一日十二時間働いても残業代一切出ない、会社員の女性。五十社受けて全部落ちて、やっと正社員に採用されたはずなのに、うちでは契約社員と言われたという大学生の女性。もう明らかに法律違反というような実態がある。

 そういう中で、いろんな取組が今自治体では進んでまして、こういう「ポケット労働法」なんというのは、これ東京都が作っております。こういう労働にかかわるルールとか権利を若者に知らせるというような取組が起こっております。で、東京のその「ポケット労働法」の冒頭には何と書いてあるかというと、こういう労働法の知識があればトラブルにならずに済んだのではないか、またこれほどの不利益を受けずに済んだと思われるものが少なくないということでこれを作ったんだということが書かれているんですね。

 それから、大臣には事前にお渡ししていると思うんですが、新潟県では今年、就職を希望しているすべての高校生に、就職のための「若者のための労働ワンポイント講座」という、こういうリーフレットを作って、就業規則というのは何かとか、労働契約というのは何かとか、雇用保険というのは何かという、そんなことが一口説明がされている。私、大変いいんじゃないかと思うんです。で、これは新潟県では更に増刷をしてハローワークなんかにも置くというんですね。是非、私、こういったものをやっぱり若者向けに厚労省としても、まあ一口で今の労働のルールなんかが分かるようなものを作る必要あるんじゃないか、あるいはこういう新潟県の取組のようなものを全国に紹介するというようなことをやってもいいんじゃないかと、こう考えるんですが、大臣、いかがでしょうか。ごらんをいただけたかと思うんで、御感想も含めて。

国務大臣(川崎二郎君)

 若者が意欲を持って就職活動を行い働き続けるためには、職業意識の涵養、これが大事であろうと。労働市場に関する理解や求人票の見方、労働関係法令など、就職活動や働く上で必要な基礎知識、就職活動や働く上で困ったときに相談できる窓口に関する情報、このようなことをしっかり周知させることが必要だろうと。

 まあ正直言って、私から言えば、高校でしっかり教育課程の中に入れてもらったらいいがなというのが厚生労働大臣の偽らざる思いでありますけれども、なかなか学校が動いてまいりませんので、厚生労働省の方も高校生を対象に若者の就職に資する情報を盛り込んだ就職ガイダンス等を実施するほか、もう卒業しちゃったと、しかし知らないという人たちには、やはりハローワークやジョブカフェ等において求職者にパンフレットを配布というようなことをやっております。

 このことについても、しっかり文科省、先ほどからいろいろ御指摘、文科省との間でしっかりやらなきゃならぬこと多いわけでありますけれども、議論をしてまいりたいし、言われるとおり、前向きにやらなきゃならぬと、このように思います。

小池晃君

 ところで、雇用の今の状況に対する認識ですが、川崎大臣は二月七日の衆議院の予算委員会で、我が党の佐々木憲昭議員に対して、少しずつ正規雇用がやっと増え出したと。これはハローワーク通じた就職件数を取り上げてそうおっしゃったようなんですが、実態を見ますと、例えば十一月、十二月ですね、去年、正社員の就職件数は三千七百九十一人に対して、非正社員では三千六百十七人減っている。十二月は正社員の就職件数が二百五人増え、非正社員では五千六百六十五人減っている。これを取っておっしゃったんだと思う。

 しかし、全体として見れば、正規と非正規の労働者数の推移でいくと、正規労働者数は二〇〇二年の三千四百八十九万人から四年間で百十五万人減っている。非正規雇用は四年間で百八十二万人増えているわけですから、けた違いでこう全体としては非正規雇用増えているわけで、これで良くなっているというふうになかなか言い切ることはできないだろうというふうに思いますし、やはり今必要なのは、この間、非常に氷河期と言われた時期に就職がなくて、やむなくフリーターになっている人をどうやって正社員にしていくのかと、ここのところが本当に政策としては問われているというふうに思うんですが。

 今日はちょっとその中で、正社員の就職者数の中には業務請負も入っているわけです。これまでいろいろとひどい実態も取り上げてまいりましたが、最近、厚生労働省として製造業における業務請負の求人数を把握したというふうにお聞きをしました。今年一月の生産工程における新規求人数に占める請負の求人数の割合、これ全国平均と、一番高い地域と比率も示していただきたいと思う。

政府参考人(鈴木直和君)

 生産工程の職業における新規求人数、これに占める請負求人の構成比の全国平均、これは平成十八年一月では二四・七%となっております。これは前年同月に比べると二・八ポイント減少しております。地域別ということですが、地域別に見ると、構成比が最も高い地域、これは今年の一月では九州地方で、この構成比は三三・九%になっております。

小池晃君

 これ、地域別資料によりますと、九州に続いて東北は三一・一%、東海は二九・五%、軒並み三割。で、全国平均でも四人に一人が請負の募集になっているというのが実態だということだと思うんですね。確かに、求人は全体で一倍を超えた。しかし、正社員では、多少正規雇用を増やす変化はあるとはいえ、〇・六七倍と厳しいわけで、しかもその中に業務請負求人が入っている。

 で、業務請負については、この間もいろんな法令違反も指摘されてまいりました。で、私、この幾つかの労働局では集中的に指導、監査やっているんですが、やっぱりこの業務請負の求人の比率の高いようなところも含めて全国的な調査をこの際やるべきではないかと思いますが、最後にお答え願いたいと思います。

政府参考人(鈴木直和君)

 派遣と請負に関する指導監督につきましては、今御指摘のように、主に大都市圏で必要な監督指導なりキャンペーン等やってまいりました。で、やはり、派遣事業者、あるいはまあ請負もそうなんですが、これは都市部に多いという事情もありまして、今までそういったことをやってまいりました。今後、そういった大都市部以外で、必要があればそういったところでもやってまいりたいというふうに考えております。

小池晃君

 終わります。

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