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日本共産党参議院議員・医師 小池晃 アーカイブ[〜2008] 日本共産党参議院議員・医師 小池晃 アーカイブ[〜2008] 日本共産党参議院議員・医師 小池晃 アーカイブ[〜2008]

164通常国会 参議院厚生労働委員会「医療法『改正』案、健康保険法『改正』案の質疑」

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2006年5月30日(火)

小池晃君

 日本共産党の小池晃です。

 今度の法案は、高齢者と重症患者に重い負担を負わせるものであるし、しかも混合診療の問題なども含めて保険の利かない医療を拡大するという面もある。国民皆保険制度の解体につながる重大な改悪法案だと思っておりまして徹底的な審議が必要だと思いますが、小泉政権になってからもう毎年社会保障の重大法案が出てくるわけですよ。医療が最初にあり、年金があり、去年は介護と障害者自立支援法、そしてまた医療だと。こうスケジュールどおり、国民には痛みと負担が次々と押し付けられてくる。

 一方で、私、言いたいのは、社会保険庁の問題が出ております。役所の改革というのは一向に進まない。そういったことを放置して、国民にだけどんどんどんどんスケジュールどおり痛みを押し付けてくる。私は改革をする場所が間違っているというふうに思いますし、そういった問題を放置して国民に負担だけ押し付けるという議論は、これは国民、到底納得できないだろうというふうに思っております。

 その点で、この法案審議も大事なんですが、やはり今社会保険庁の問題、重大な問題になっております。先ほど辻委員からも審議の場をという要求がありましたけれども、私もこの問題については法案とは別に集中審議を行うということを要求したいというふうに思います。委員長、いかがでしょう。

委員長(山下英利君)

 理事会で協議をさせていただきます。

小池晃君

 それは是非やる必要があると思いますが、法案の方に入ります。

 健康保険法の改定による負担増の具体例を、具体的にどんな負担になるのかということを今日はお示しをしたいと思って資料を配りました。

 最初にケースの一。これはこの十月から直ちに起こるわけですが、現役並み所得の高齢者が二割から三割になるわけです。これは七十歳の男性の単身世帯で、収入は年三百九十万円の年金。高血圧、糖尿病で月一回の通院で、現在の負担は薬も含めて月一万一千百四十円が一万六千七百十円になるわけです。

 次のケースの二というのは、やはりこの十月から、療養病床に入院するいわゆるホテルコスト、食費、居住費の負担の見直しによる負担増のケース。七十三歳の男性で、収入は年百八十万、月十五万円の年金のみです。療養病床に三十日間入院して、現在の負担は食事代も含めて四万七千二百八十円ですが、これは十月からは七万五千二百八十円となると。さらに、再来年四月にはこういう方は二割負担になりますから、九万八千五百六十円に跳ね上がるわけです。

 さらにケースの三というのは、これは二〇〇八年四月の、再来年の問題で、いわゆる前期高齢者の負担が一割から二割に上がる。このことによって、例えばこのケースでは七十四歳の女性で、収入は年九十六万円の年金、月八万円の年金です。大腸ポリープの内視鏡手術で二日間入院した場合で、現在一万六百六十円の負担が二万一千三百二十円になる。

 これは具体例を基に計算したんですが、局長、こういう負担増になることは間違いないですね。

政府参考人(水田邦雄君)

 ただいま御提出というか、御説明いただきました資料におきます負担額でございますけれども、これは所得区分でありますとか診療報酬等について一定の仮定を置いた上であれば、お示しされた事例が一般的かどうかはともかくといたしまして、このような事例もあり得るものと承知をしております。

小池晃君

 あり得るというかあるんですよ、これ実際の実例で計算しているんですね。

 今回の制度改定が最終的にすべて出そろうのは二〇〇八年になるわけですが、この時点で七十歳以上の患者の自己負担比率というのは実効負担でどうなるのか。現在の負担比率と二〇〇八年での負担比率をそれぞれ示してください。

政府参考人(水田邦雄君)

 七十歳以上の患者負担の医療費に占める割合についてでございますけれども、平成十五年、二〇〇三年度の実績で八・九%、これが改革後の平成二十年、二〇〇八年度におきましては一〇・七%と、このように見込んでございます。

小池晃君

 老人医療の実効負担率がついに一割を超えるということになるわけであります。

 私は、二〇〇〇年の老健法の改悪のときの審議にも参加をして、当時、津島厚生大臣と議論をいたしました。あのとき、定率負担になるけれども、七・七%の実効負担が七・九%になるんだから大丈夫だという答弁をされたことを今覚えているんですが、そういう当時から比べても、実効負担で一割超えるという事態になったということを改めて非常に重く受け止めざるを得ないわけであります。

 大臣に私はお聞きしたいんですが、先日の決算委員会でも議論をいたしました、予算委員会でも議論いたしましたが、高齢者の家計がこの間どうなっているかといいますと、課税の強化がありました。それに連動する国保税、国保料、そして介護保険の一号保険料が四月から引上げになっている。そういう連続する制度改定で大きな打撃が加わっている。可処分所得は大幅に減っているわけです。こういう中で、今お示ししたような具体例にあるような医療費の負担増ということが私は高齢者の生活にとっても大きな打撃になるし、受診抑制など健康に対しても深刻な影響を与えることにならざるを得ないというふうに考えるんですが、大臣の認識をお伺いします。

国務大臣(川崎二郎君)

 急速な高齢化が進む中で社会保障全体の費用が増える。その中で、二年前に年金制度の改革、すなわち若者に負担を増やしてもらう、お年寄り、受給者の方々にはマクロスライドの導入、国は三分の一の負担から二分の一の負担へという形で、お互いがこの社会を支え合うという認識の中で御協力をいただいてきております。

 今回の医療費につきましても、医療費の増大が見込まれる中で、世代間の負担の公平化の観点から、高齢者にも応分の負担をしていただくということでお願いをいたしております。今回の改革案では、現役並み以上の所得を有する高齢者については、現役世代との負担の均衡を踏まえ、現役世代と同じ三割負担するなどの見直しを行うことといたしております。

 なお、見直し後においても、高齢者に係る高額医療費については、入院と外来を合わせた自己負担限度額のほか、外来に係る自己負担限度額を設ける、一般の高齢者については現役世代よりも低額の自己負担限度額を設定する、低所得者については自己負担限度額を据え置くなどの配慮を行っております。

 御指摘のように、お互いに支え合う社会でありますから、高齢者の方が負担が増えることも事実でございますけれども、必要な医療まで妨げられるものではないと考えております。

小池晃君

 低所得者対策をやることや若年者に比べて上限を下げるなんて当たり前のことなんですよ。これは高齢者の身体の特性からいったって当然であります。

 支え合う支え合うと言うけれども、高齢者にとってみれば、年金は減らされ、税は増え、介護保険料その他社会保険料増え、医療費も増えると。何にもいいことないじゃないですか。何かいいことあるなら別ですよ、全部負担増ですよ。これでどうして支え合うんだというふうに私は思うわけです。

 しかも、私、実態でお示しした。これ、月十五万円の年金の暮らしの方が毎月五万円を超える負担増になるようなケースもある。これがどうして無理のない負担なのか、これでどうして必要な医療が抑制されないのか、私は全く今のは説明になってないと思うんです。

 しかも、高齢者だけじゃない、若者にも関係ある問題としては、高額療養費の限度額の引上げがある。

 ケース四は、これ、この十月からですが、この限度額も引き上げられます。七十二歳、これはケースは高齢者ですが、七十二歳の女性の単身世帯で収入が年百六十九万円の年金、胃がんで手術をされた方ですね。月十四万円の年金ですが、二十四日間入院して、現在は食事代も含めて四万九千五百六十円の負担が、今年十月から五万三千七百六十円になる、再来年四月からは負担上限更に上がるので七万一千四百六十円になる。

 これも、ちょっと簡単で結構ですが、間違いないですね、こういうケースであれば。

政府参考人(水田邦雄君)

 先ほども申し上げたとおりでございまして、このようなこともあり得るかと思います。

小池晃君

 私、これすべての世代に及ぶ高額療養費の限度額の引上げで、受益者負担と言うけれども、がんの手術をしたり、あるいは心臓病の治療を行うという人は受難者であります。そういう人に重い負担をかぶせるということが許されるのだろうかというふうに思うわけです。

 続いて、個々のケースだけではなくて、全体の総額で今回の負担増がどういう規模になるのか。今日は初回ですので全体像を明らかにしたいと思うんですが、資料の二枚目に厚労省から出してもらった数字を資料として配りました。

 ちょっと、資料にありますが、読んでいただきたいんですが、まず、今年度の負担増です。これは十月から高齢者の負担が増えること、高額療養費の限度額の見直しが行われることで、給付費、国庫負担、患者負担がどう、それぞれ、それから合計でどう変化するか、お答えください。

政府参考人(水田邦雄君)

 平成十八年度十月実施の患者負担の見直しによる財政影響でございますけれども、高齢者の患者負担の見直しによりまして、これは資料にあるとおりでございます。給付費については一千億円の減、国庫負担につきましては八百億円の減、患者負担につきましては五百億円の増と、このようになっているわけでございます。

小池晃君

 高額療養費。

政府参考人(水田邦雄君)

 高額療養費の限度額の見直しにつきましては、給付費につきましては六百億円の減、国庫負担につきましては百億円の減、患者負担につきましては三百億円の増でございまして、トータルで見ますと、給付費につきましては千六百億円の減、国庫負担につきましては九百億円の減、患者負担につきましては七百億円の増と、このようになっているわけでございます。

小池晃君

 これは今年度ですから、五か月分でありますから、平年度ベースでいいますと、例えば患者負担でいうと約千七百億円の負担増の規模になってくるということになると思います。

 引き続いて、二〇〇八年度ではそれぞれどうなるか、お示しください。

政府参考人(水田邦雄君)

 二〇〇八年度でございますけれども、これは表の右側にあるものでございますけれども、高齢者の患者負担の見直しにつきましては、給付費が三千億円の減、国庫負担千七百億円の減、患者負担千三百億円の増、高額療養費につきましては、給付費千四百億円の減、国庫負担三百億円の減、患者負担七百億円増。それから、七十歳から七十四歳の高齢者の患者負担の見直し、一割から二割でございますが、給付費につきましては二千五百億円の減、国庫負担につきましては五百億円の減、患者負担につきましては千二百億円の増。それから、乳幼児の患者負担の見直しでございますけれども、これにつきましては、給付費が六百億円の増、国庫負担百億円増、患者負担三百億円減。

 トータルで見ますと、給付費につきましては六千三百億円の減、国庫負担につきましては二千五百億円の減、患者負担につきましては二千九百億円の増と、こうなっておりますけれども、給付費につきましては、これらの保険料に、影響といたしましてはその分だけ減るわけでございますし、国庫負担につきましても税負担がそれだけ減るということになるわけでございます。

小池晃君

 それで、これがどれだけの数の高齢者に及ぶものなのかなんですが、二〇〇八年度における七十五歳以上の後期高齢者の数と七十歳から七十四歳までの高齢者の数、これをお示しください。

政府参考人(水田邦雄君)

 平成二十年度、二〇〇八年度におきます後期高齢者の七十五歳以上の加入者数でございますが、六十五歳から七十四歳の障害認定者も含めまして千三百万人、それから七十歳から七十四歳の医療保険の加入者数は六百万人と、このようになってございます。

小池晃君

 そうすると、この表と今の数字からいえることなんですが、例えばその二〇〇八年度でいえば、給付費全体で六千三百億円の減少ですけれども、そのうち患者負担の増による給付費減が二千九百億円で、受診抑制による給付費の減が三千四百億円だと、そういうことになると思いますが、それはまあうなずいていらっしゃるんでそれでいいと思うんですが。

 そういうことでいいますと、先ほど示した、この今の数字でいうと、高齢者にかかわる問題でいいますと、高額療養費とか乳幼児の問題を除くと、高齢者の患者負担増は二千五百億円になる。受診抑制によって給付費が減る分が三千億円になるわけです。これを先ほどの高齢者の数で割りますと、七十歳以上の高齢者一人当たり年間一万三千円の負担増になってきて、同時に一人当たり一万六千円分の受診を控えるという計算になるのではないか。

 それから、七十歳から七十四歳の一割から二割負担の問題に限っていえば、この負担増の総額千二百億円ですから、で、人数が六百万人ですから、一人当たり年間二万円の負担増になり、同時に約二万円分の受診を控えるという計算になるかと思うんですが、これで間違いございませんか。

政府参考人(水田邦雄君)

 高齢者の患者負担の見直しにつきましては、どのような医療を受けるか、あるいは所得の状況がどうかによって異なりますので、すべての高齢者が一律に負担増になるわけではございませんけれども、単純な平均で割り算をいたしますと、先ほどの現役並み所得者の患者負担、それから高齢者に掛かる食費、居住費の見直し、それから七十歳から七十四歳の一割、二割の患者負担の見直しによる影響というのは合計二千五百億円でありますので、千九百万人で割りますと、年間一・三万円ということになります。

 同様に、七十歳から七十四歳について見ますと、千二百億円増で、これを加入者数六百万人で割りますと、単純平均で年間一・九万円の増と、こういうふうになります。

小池晃君

 全体像を示した上で、もう一度大臣に、先ほどの議論の続きをしたいんですが、大臣は先ほどは、これは大丈夫なんだと、受診抑制にはならないんだというふうにおっしゃるんですが、先ほど私、強調したように、高齢者の生活を実態として支えているのは公的年金ですが、これは増えるどころか、マクロ経済スライドで実質減になっているわけです。しかもその上、この間、増税やあるいは社会保険料の引上げで高齢者の可処分所得はどんどん減っているわけであります。

 そういう中で、今お示ししたように、これは平均で見て、だからいろんなケースがあるともっと多いケースだってもちろんあるわけです。平均で見て、年間一万円から二万円もの負担増になるし、同時にほぼ同額の受診抑制ということが想定された今度の負担増になっている。

 こういうことであれば、私はどう考えても、これは深刻な影響が高齢者の生活や健康に出てこざるを得ないというふうに思うんですが、そうならないというのであれば、その根拠も含めて御見解をお聞かせください。

国務大臣(川崎二郎君)

 先ほどは、後期高齢者の医療の負担について、組合の健康保険また政管健保等に御負担をいただく、国は五割を負担をする、その中で高齢者の皆さん方に一割負担をする、それがどこまで増えていくんだと、こんな議論がありました。

 この社会をお互いにどうやって支え合うかというときに、残念ながら若者の負担も増える、一方で、お年寄りの皆さん方にも協力をいただける方々には協力をお願いしていかなきゃならない、それでなければ我が国の社会保障制度は持続可能なものにならない。ここは国民の皆さん方に率直に申し上げて御理解を得ていかなければならないだろうと、こう考えております。

 患者負担の見直しにより医療給付率が減少すると、高齢者の中には受診を控える方もあり、医療費が縮減することになると、これはもう今数字でもお示しいただきました。先ほど御答弁申し上げたとおり、高齢者に係る高額医療費については、入院と外来を合わせた自己負担限度額のほか、外来に係る自己負担限度額を設ける。一般の高齢者については現役世代よりも低額の自己負担限度額を設定する、低所得者については自己負担限度額を据え置くなどの配慮を行うと。必要な医療まで妨げられるものではないと考えております。

小池晃君

 私は、その必要な医療を妨げないというんだったら根拠を示してくれと言うけど、やっぱり根拠なんか全く示せないわけですね。同じことを繰り返すだけなわけです。

 私は、別に高齢者の負担を抑えるために若年世代に負担を負わせようとは言っておりません。これはやはり公費の出方というのはあるんじゃないですか。今日、閣議決定で米軍再編決定したようですが、ああいう問題には三兆円というお金を出していく。やはり、税金の使い方について、支出についてもっともっと見直して、医療や社会保障を支えるという方向に政治の方向を切り替えるべきなんですよ。そういう議論なしに負担の押し付け合いだけやるような議論をしていたら、私は社会保障制度は崩壊してしまうというふうに思うわけです。しかも、今回新たに老人保健法を変えて、目的まで変えて、「老後における健康の保持と適切な医療の確保」から、「高齢期における適切な医療」と、医療費の適正化まで目的に盛り込んで後期高齢者医療制度を創設すると。

 全体像については改めて議論しますが、今日はちょっと保険料の問題に限って言いたいんですが、これは新たに被用者保険の扶養家族からも保険料を徴収する。この徴収対象となる総数は何人でしょうか。

政府参考人(水田邦雄君)

 平成二十年度の後期高齢者、千三百万人、先ほど申し上げましたけれども、このうち従前の制度で被用者保険の被扶養者であった方は約二百万人と見込んでおります。

小池晃君

 この保険料は年金天引きということだそうですが、その天引きの対象となる比率というのはどの程度を考えておられるんですか。

政府参考人(水田邦雄君)

 この後期高齢者医療制度におきましては、市町村におきます保険料収納の確保と事務の効率化を図る、これが一つの目的でございます。もう一つは、被保険者の保険料納付の利便を図るということの、これを図るために保険料を年金から天引きする仕組みを導入することとしてございます。

 その際、介護保険における年金天引きの範囲と同様に、年額十八万円以上の年金を受給している方を対象とする方向でございます。また、もう一点、天引き額が過大にならないように、介護保険料と合わせた保険料額が年金額の二分の一を超える場合には天引きの対象としないということを検討しているわけでございます。

 天引きの対象となる方、ならない方おられるわけでありますけれども、対象とならずに普通徴収となる方の割合につきましては正確な数値を把握しておりませんけれども、介護保険制度においては二割の方が普通徴収となっていることも踏まえますと、ほぼ同様の割合が普通徴収の対象になるものと考えてございます。

小池晃君

 今の御説明にあるように、月一万五千円ですね、十八万円ということは。ここまで天引き対象にしている。しかも、年金の半分まで天引きする。ということは、最悪の場合、手元に七千五百円しか残らないということになるわけです。そもそも、一万五千円という低額の年金が多数存在していること自体が私は生存権を保障する憲法に抵触すると思いますが。

 大臣、お聞きしたいんですけれども、こういう低額の年金まで半分まで強制的に天引きをしてしまうというのは、これは憲法二十五条で保障された生存権を侵害することになるんではありませんか。

国務大臣(川崎二郎君)

 さきに局長がお答え申し上げましたように、基礎年金のみの受給者など低所得者については保険料の軽減措置設けるようになっております。低年金しか収入がない者については全国平均で月額九百円程度の保険料となっておりますので、現実の話として年金十八万円しか収入がないという方々でしたら二分の一なんという数字にはならないと、このように思っております。

小池晃君

 いや、そういう仕組みを法的につくっていること自体が、これは憲法に抵触することになるんじゃないですかというふうに聞いているんです。

国務大臣(川崎二郎君)

 実態を申し上げました。

 仕組みとして憲法違反になるかどうかということになると、これは法制局と詰めた上で出さしていただいておりますので、そういう意味では憲法違反ではないと考えております。

小池晃君

 天引きの対象から外れる人個別徴収となるという先ほどお話ありまして、老健局長、介護保険における普通徴収について、徴収率はどうなっていますか。

政府参考人(磯部文雄君)

 保険料全体に占めます普通徴収の比率、平成十六年度で一八・一%でございますが、その徴収率は九〇・二%でございます。

小池晃君

 もう介護保険では、天引きでない普通徴収では一割、今徴収率九〇%、一割未納になっているわけです。介護保険ではその対象者一八%ですが、今回の高齢者医療制度は更にそれを上回るであろうというふうに思うんです。滞納問題深刻だと思うんですが、本法案では、未納の場合は資格証明書の発行ということを規定している。これは短期保険証の発行ということも想定されているんですか。

政府参考人(水田邦雄君)

 新たな後期高齢者医療制度におきましては、後期高齢者お一人お一人を被保険者といたしまして保険料を徴収するということにしてございます。したがいまして、保険料を滞納した場合には、後期高齢者の医療制度の運営主体がこの保険料未納者との接触の機会を増やしまして、保険料納付などの直接働き掛けることを目的といたしまして、国民健康保険制度と同様に、通常の被保険者証と比較して有効期限の短い短期被保険者証を発行する方向で検討してございます。

小池晃君

 私は、この制度で短期証や資格証を発行する、保険証を取り上げるということは断じて許されないというふうに思っておりますが、今までの国民健康保険制度でも老人保健制度の対象者には資格証の発行をしていないわけであります。この理由は一体どういうことだったんでしょう。

政府参考人(水田邦雄君)

 新たな後期高齢者の医療制度におきましては、保険料の徴収等、医療給付を同一の主体、広域連合でございますが、同一の主体が行うということでございますので、形として国民健康保険と同様になります。

 したがいまして、被保険者間の公平の確保と制度に対する信頼を維持していくために、保険料を滞納した方につきましては、資格証明書を発行して、償還払いによる給付を行うこととしているわけでございます。一方、現行制度におきましては、国保の被保険者のうち老人保健の対象者につきましては、保険料は国保の保険者に支払う一方で、給付は老人保健制度の実施主体である市町村から受けているわけでございますので、保険料を徴収した保険者が給付を行う仕組みとなっていないと、こういうことから資格証明書の発行は行っていないと、こういう考え方で整理をしていたところでございます。

小池晃君

 今のはごまかしじゃないですか。だったら、何で今資格証明書の発行対象から公費医療も外しているんですか。被爆者医療、障害者医療、結核に対する医療、あるいは医薬品副作用被害等、公費医療は資格証の対象から外しているじゃないですか。これ、なぜ外しているかといえば、幾ら何でもそういう人から保険証取り上げてはいかぬということがあるから対象から外していたんですよ、老健制度はそうじゃないですか。何で、じゃ公費医療は外していたんですか、説明付かないじゃないですか。局長、どうなんですか。

政府参考人(水田邦雄君)

 公費負担制度につきましては、私は承知をしておりませんけれども、老人保健制度におきましては従来からこういう考え方で整理をしていたところでございます。

小池晃君

 でたらめですよ。これはやっぱり高齢者や障害者や結核の患者さんというのは保険証取り上げちゃいけないと、厚生労働省であれどもそこは守ってきたんですよ。だから、国民健康保険の資格証の対象から老健の加入者って外していたんじゃないですか。それを今回、こっそりとこの後期高齢者医療制度は保険証取り上げる。大臣、こんなこと許されるんですか。今までの厚労省の制度からいったって、これ問題なんじゃないですか。いかがですか。

国務大臣(川崎二郎君)

 今回の制度、資格証明書制度は、負担能力があるにもかかわらず保険料を納めていない、高齢者だからということではありません。負担能力があるにもかかわらず保険料を納めていない、したがって資格証明書の交付に当たっては低所得者等の需要のある被保険者の方々については保険料を軽減するほか、保険料を納付することができない特別な事情がある場合には資格証明書を交付しない。したがって、払える能力がありながら払わないという人だけの話でございますから、その人が所得があって高齢者だからということでそこは分ける必要はないだろうと、こう思っております。

小池晃君

 私の言ったことに答えていない。今までだって国保はそういう制度だったんですよ。新たにそういうふうにしたわけじゃないんです。しかし、そうであっても、特別な事情があった場合でなくても高齢者についてはこれは除外していたんですよ、今までは。それを今回、七十五歳以上ですよ、七十五歳まで頑張って税金も社会保険料も一杯納めてきて、社会のために貢献してきて、それでも悪質滞納者だとでも言うんですか。私、これ、本当に血も涙もないやり方だと。少なくともこれ、今までの厚生労働省の説明に照らしても、これ、重大な方針変更だと思いますので、これは撤回すべきだということを申し上げたいというふうに思います。

 最後に、今法案審議中であるにもかかわらず、実際どういうことが起こっているか。実は後期高齢者医療制度の広域連合の準備組織が次々と立ち上がっているんですね。例えば東京都では、明日、六月一日ですが、広域連合の設置に向けた合同検討会と合同事務局が発足をする。事務局には八名の専任職員を置く。給与や事務局設置の費用まで決まっているんです。

 法案審議始まったばっかりですよ。しかも、六月一日から何か新たに制度が始まるからこれは仕方ないというんだったらともかく、広域連合なんというのはもうずっと先の話だし、広域連合の発足だって今年度末のはずであります。しかし、まだまだ先であるのに、もうもはや自明であるかのように人も金も配置して準備が行われているんです。局長、こんな指示を厚労省で出しているんですか。

政府参考人(水田邦雄君)

 広域連合の設立につきましては、平成二十年四月からこの制度を円滑に実施することを目的といたしまして、法律上、平成十九年度中に所要の条例の制定でありますとか、保険料の決定等の準備が必要であるということでございまして、法律上、平成十八年度の末日までに広域連合を設けるものとしているところでございます。

 この設置に当たりましては、様々、設置の準備、規約の議決と、こういったことがございますので、私どもとしては、市町村におきまして、法案が成立し次第速やかに施行準備業務に入っていただく必要があると考えてございます。

 既に、自主的、自発的に既に幾つかの地域で準備作業に着手していると聞いておるわけでございますけれども、これは正に自主的な動きでございますので、私どもにつきましては、施行準備の内容につきまして、決まった事柄に応じ、その段階段階に応じまして円滑な施行に向けて情報提供をしていきたいと、このように考えております。

小池晃君

 これ、委員長のおひざ元の滋賀県は既に準備委員会できているんですよ。こういうことで、私はこれは党派を超えた問題だと思いますよ。国会でこうやってみんなで議論しているときに、もうどんどんどんどん自主的にと言いながら、法案制定が自明であるかのように、いや、だから、繰り返しますけれども、例えば年度末で日切れで四月からやるんだということで準備仕方なくやっているというんだったらまだ分かるけれども、まあそれも分かると言っちゃ本当はいけないんだろうけど。でも、こんなふうにまだまだ先の話なのに、実際着々組織ができて、金まで付いてやっていると。私、こういうことは党派を超えてこの国会の軽視につながるんではないかと。参議院の審議が始まった途端に、六月一日に東京都が会議やる。

 私、これ、委員長に申し上げたいんですが、こういう事態が起こっていることについて、厚労省について、今知っているようです、自発的にやっているんだとおっしゃいましたから。実態調査を委員会として求めるべきだと。こんなことがまかり通ったら、まじめに審議なんかできないというふうに思いますので、委員会として厚労省に対して調査をするように求めたいというふうに思いますが、いかがでしょうか。

委員長(山下英利君)

 理事会で協議をさせていただきます。

小池晃君

 終わります。

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